JP3069147U - アクリル繊維布 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】アクリル熱収縮繊維の収縮による分散化ならび
に柔軟さを利用してアクリル繊維布の洗浄効果を高める
と共に、垢すりタオルへの利用など、利用分野の拡大を
はかる。 【解決手段】アクリル繊維を主成分とする芯糸２と押え
糸３により熱収縮性アクリル繊維を主成分とする花糸４
を直交方向に多数挟み込み保持せしめ、該花糸４を熱収
縮により収縮せしめて芯糸２と押え糸３のまわりに多数
の花糸４による毛羽を不定方向に叢生せしめた毛虫状糸
を用いて所要の製品を編織する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案はアクリル繊維布、特に洗剤を使用しなくても、垢すりタオルや食器類 あるいは車両などの油落とし、洗浄に使用し良好な洗浄効果を奏すると共に産業 用資材ならびに衣料等にも使用可能なアクリル繊維布に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、食器等の洗浄に際しては通常、たわしが用いられ、洗剤を併用して洗浄 が行われているが、この場合、たわしには繊維製、発泡ゴム又は樹脂製、不織布 製など種々の素材が使用されている。 一方、車の洗浄では洗剤と共に各種ブラシや雑巾類が用いられていた。また、 垢すりタオルとしては合成繊維、特にナイロン糸等を編織したタオルが用いられ ていた。 ところが、上記の如き従来使用している洗浄具では、殆ど洗剤を併用すること が必要となっており、洗剤付着の面倒さ、洗剤の浪費などを免れ得なかった。

【０００３】 近時、繊維の種類、特にアクリル繊維の使用により洗剤を使用しなくとも湯や 水で充分、洗浄効果が得られることが判明し、その特性を活用して本出願人は先 にアクリル繊維からなる比較的太手の毛糸を利用し、洗剤を用いることなしに充 分、洗浄効果を有し、汚れを落とし得る洗浄布を提供した。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記アクリル繊維使用による洗浄布は確かに従前の洗浄布に比し、洗剤の不使 用を始め種々の利点を有している。 しかし、更に使用する糸の形態を始め被洗浄体に接触する態様に改善の余地の あることを見出した。 即ち、本考案はレギュラータイプのアクリル繊維に限らず、熱収縮性アクリル 繊維の熱収縮を利用した毛虫状モールヤーンの使用を見出すことにより、従来に 比しより有効に洗浄の効果を奏すると共に熱収縮繊維使用による柔軟効果を利用 して身体の垢すりを始め、産業用、衣料用などの利用分野への拡大を図ることを 目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的に適合する本考案の特徴は、アクリル繊維を主成分としてなる芯糸及 び押え糸により熱収縮性アクリル繊維を主成分とする花糸を直交方向に多数挟み 込み、保持せしめ、該花糸を熱収縮せしめて芯糸と押え糸の周りに多数の花糸に よる毛羽を不定方向に叢出せしめた毛虫状糸を用い所要の形状に編織してなるア クリル繊維布にある。

【０００６】 ここで毛羽化される花糸は必ずしも一様なものに限らず、長さ、太さの異なる 熱収縮性アクリル繊維の外、一部熱収縮しない繊維を混合せしめてもよく、更に 上記長さ、太さの異なる繊維、熱収縮性繊維と熱収縮しない繊維を適宜組み合わ せ混合せしめたものも使用することができる。 また、一部に低融点接着繊維を用いて熱融着させ、毛羽の脱落を阻止すること も有利である。 そして、上記の如き毛虫状糸はモールヤーンとして布作成においては随時、編 成に用い、あるいは経糸又は／及び緯糸として平面状、筒状、袋状など所要形状 に編織し、たわし代用、垢すりタオルなど、各用途に利用する。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、更に添付図面にもとづき、本考案の具体的態様を説明する。

【０００８】 図１は本考案アクリル繊維布Ａの１例を示し、図２は毛虫状糸の概要図、図３ は熱収縮により花糸が不定方向に叢出した状態を示す概要図である。

【０００９】 これら図において、１は芯糸２と押え糸３の撚り合わせ糸であり、４は花糸を 示す。 ここで、芯糸２と押え糸３は通常のレギュラータイプのアクリル繊維を主成分 とする糸であり、少量の他繊維包含による混紡も可能であるが、洗浄効果等の面 よりアクリル繊維１００％が有効である。 一般にはレギュラータイプのアクリル繊維１００％よりなる４８番／双糸が 用いらる。

【００１０】 一方、花糸４は熱収縮性アクリル繊維を主成分とするものであり、少量の熱収 縮しない繊維を包含してもよい。 また、一部に低融点接着繊維を包含させ、収縮発現時の加熱により融着せしめ ることも、収縮繊維の脱落を防止する上で有利である。

【００１１】 なお、熱収縮性アクリル繊維及び低融点接着繊維は既知の繊維であり、低融点 繊維の融点は略１００〜１２０℃である。 そして、花糸４は図２に示すように芯糸２と、押え糸３によって撚り合わせ糸 １の長さ方向に直交するようにして挟持される。

【００１２】 この花糸４を撚り合わせ糸１に挟持させるには既知の手段、例えばモールヤー ン、シエニールヤーン作成手段などによって行うことができる。勿論、撚り合わ せ糸１に挟持される花糸４の密度は適宜、決められる。

【００１３】 上記花糸４を芯糸２と押え糸３により挟持させると、これを加熱処理に付し、 熱収縮性アクリル繊維を収縮させる。 このとき、横方向に並列された花糸４を構成する熱収縮性アクリル繊維は収縮 と共に方向性が失われ、撚り合わせ糸１の若干の捩りと共同して撚り合わせ糸１ の周りに不定方向に毛羽を叢生した状態とする。

【００１４】 なお、花糸４構成繊維中に長さ、太さの異なる繊維、あるいは熱収縮しない繊 維などが混在していると収縮態様はより複雑となり、芯糸２と押え糸３り捩りを 生起し易く、より一層、複雑化した毛羽を撚り合わせ糸１の周りに叢生させる。 かくして、本考案繊維布作成に使用される毛虫状モールヤーン、即ち、撚り合 わせ糸１の周りに多数の毛羽を叢生させ頗る柔軟かつふっくらとした糸が得られ る。

【００１５】 本考案は上記の如くして得られた毛虫状モールヤーンを用いて編成し、あるい は経糸又は緯糸もしくは経緯両糸に用いて織成してなる編織布であり、例えばた わし代用の洗浄布の編成においては上記毛虫状モールヤーンを１本又は２本以上 、あるいは太さの異なるモールヤーンを用いて平面編、筒状編、袋編とし、又は 一方の面を太糸編成面、他方の面を細糸編成面とする２重編地とする。

【００１６】 また、垢すりタオルの織成等においては上記毛虫状モールヤーンを経糸又は緯 糸もしくは経緯両糸に用いて、タオル織機により織成するか、あるいは経編機に より経編編成する。 その他、上記モールヤーンは各方面に利用可能であり、夫々の用途、目的に応 じて編成し、織成して各種製品を作成することができる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は以上のようにアクリル繊維を主成分としてなる芯糸及び押え糸により 熱収縮性アクリル繊維を主成分とする花糸を直交方向に挟み込み保持せしめ、該 花糸を熱収縮せしめて芯糸と押え糸の周りに多数の花糸による毛羽を不定方向に 叢出せしめた毛虫状糸を用いて所要形状に編織してなるアクリル繊維布であり、 アクリル繊維糸が呼吸する状態を呈して汚れを繊維糸内に取り込み、汚れ、油を 落ち易くして洗浄効果を高める特性を有することから、食器、車両などの洗浄具 あるいは垢すりタオルとして頗る有効であると共に、これと相俟って芯糸と押え 糸によって挟持され、その周りに不定方向に叢生する花糸のアクリル収縮糸の柔 軟性とふっくらとした感触により衣料用を始め各種用途に広く適用することがで きる顕著な効果を有する。 特に不定方向に叢生する太さ、長さの異なる、あるいは収縮差のある毛羽によ り洗浄に際して隅々まで充分、洗い落とすことができ、洗浄効果が一段と向上す る利点がある。 また、低融点接着糸の使用により毛羽の脱落を阻止する効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る繊維布の１例を示す外観図で、
一部拡大して示す。

【図２】 本考案に使用する毛虫状糸の収縮前の外観略
示図である。

【図３】 上記毛虫状糸の収縮後の毛羽叢生状態を示
す。

【符号の説明】

Ａ アクリル繊維布 １ 撚り合わせ糸 ２ 芯糸 ３ 押え糸 ４ 花糸

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アクリル繊維を主成分としてなる芯糸及び
   押え糸により熱収縮性アクリル繊維を主成分とする花糸
   を直交方向に多数挟み込み保持せしめ、該花糸を熱収縮
   せしめることにより芯糸と押え糸の周りに多数の花糸に
   よる毛羽を不定方向に叢出せしめた毛虫状糸を用い、所
   要の形状に編織してなることを特徴とするアクリル繊維
   布。
2. 【請求項２】花糸が太さの異なる熱収縮性繊維の混合あ
   るいは熱収縮性繊維と、収縮しない繊維の混合又はそれ
   らの組み合わせよりなる請求項１記載のアクリル繊維
   布。
3. 【請求項３】花糸が一部に低融点接着繊維を含み、熱融
   着されている請求項１又は２記載のアクリル繊維布。