JP3066051B2 - 橋本甲状腺炎治療剤 - Google Patents

橋本甲状腺炎治療剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は橋本甲状腺炎の治療剤に関する。
(従来の技術並びに課題) ロベンザリットは公知の化合物であり(特公昭60−63
55)、慢性関節リウマチ治療剤として商品化(商品名
「カルフェニール」/中外製薬)されているものであ
る。
橋本甲状腺炎は臓器特異的疾患として古くから知られ
ている疾患である。本疾患は甲状腺機能の低下が認めら
れるため、対症療法的に甲状腺ホルモン剤による治療が
行われているが、本疾患を根本的に治療するに足る薬剤
は見当らない。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は上記の課題を解決すべく永年研究を重ね
てきた結果、N−(2−カルボキシフェニル)−4−ク
ロロアントラニル酸(一般名「ロベンザリット」)又は
その塩がこの橋本甲状腺炎の治療に極めて有効であるこ
とを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明はN−(2−カルボキシフェニル)−4
−クロロアントラニル酸(一般名「ロベンザリット」)
又はその塩を有効成分とすることを特徴とする橋本甲状
腺炎治療剤に関するものである。
ロベンザリット又はその塩はいずれも本疾患の治療に
有効であり、これらの塩としては、ナトリウム塩、カリ
ウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
ロベンザリットを橋本甲状腺炎の治療として使用する
には、経口剤、注射剤などとして投与される。賦形剤及
び担体としては、薬学的に許容されるものを使用すれば
よく、その種類及び組成は投与経路や投与方法により、
適宜選択することができる。経口剤を製造する場合の賦
形剤もしくは担体としては、例えば乳糖、マルトース、
シュークロースなどの糖類、馬鈴薯澱粉等の澱粉類、ア
ミノ酸類、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロー
ス誘導体、ステアリン酸マグネシウム等の有機酸塩等を
用いることができる。注射剤を製造する場合には、注射
用水、各種緩衝液、グルコース、イノシトール、マンニ
トール等の糖類溶液、プロピレングリコール、マクロゴ
ール400等のグリコール類等を、注射剤を製造する常法
に従って使用することができる。また、マンニトール、
グルコース、シュークロース等の糖類、フェニルアラニ
ンの如きアミノ酸類等の賦形剤とともに凍結乾燥製剤と
し、それを投与時に注射用水等に溶解して投与すること
もできる。
経口投与する場合は、前記適当な担体とともに錠剤、
カプセル剤、顆粒剤等の剤形として使用すればよい。
橋本甲状腺炎に対するロベンザリットの臨床的有用性
の判断は、対症療法として投与している甲状腺ホルモン
製剤の補充量の減少度についての医師の評価によって正
確に行われる。また、さらには甲状腺腫を伴う橋本甲状
腺炎において、甲状腺腫の大きさの縮小を見ることによ
っても評価できる。
本発明者等は、後述する試験例に示す如く、橋本甲状
腺炎患者に対し、ロベンザリットを投与することによっ
て、対症療法剤である甲状腺ホルモン剤の補充量の減
少、甲状腺腫の縮小を確認することにより、本発明を確
立するに至った。
橋本甲状腺炎に対するロベンザリットの投与量は、患
者の年令、体重、症状等により医師の判断によって決定
されるが、一般に経口投与で50〜400mg/成人・日、好ま
しくは80〜320mg/成人・日である。
ロベンザリットは上述した如く、既に医薬として使用
されているものであり、極めて安全な薬剤である。
(製剤例) 以下に本発明の製剤例を示す。
製剤例1.ロベンザリット20mg含有注射剤 1アンプルあたり、ロベンザリット二ナトリウム20m
g、塩化ナトリウム17.6mgを注射用水に溶解し、全量を2
mlとして注射剤の製法に準じてガラスアンプル入りの注
射剤を製した。得られた注射剤はpH7.2、比浸透圧約1.2
であった。
製材例2.ロベンザリット80mg含有錠剤 1錠あたり、ロベンザリット二ナトリウム80mg、乳糖
100mg、結晶セルロース126mg、トウモロコシ澱粉30mg、
ステアリン酸マグネシウム4mgを均一に混合し、直径9mm
の金型を用いて、直接打錠法により、錠剤を製した。得
られた錠剤の崩壊時間は3〜5分、硬度は8〜9kgであ
った。
(試験例) 以下に試験例によって橋本甲状腺炎に対するロベンザ
リットの治療効果を示す。
試験例1. 21歳女性。1987年6月に橋本甲状腺炎と診断され、甲
状腺ホルモン剤「チラージンS(帝国臓器)」を一日1
錠(1錠中レボチロキシンナトリウムを無水物として50
μg含有)経口投与する治療が続けられていたが、1989
年12月よりこのチラージンS投与に加えてカルフェニー
ル(中外製薬)を一日2錠(1錠中ロベザリット二ナト
リウム80mg含有)経口投与したところ、直ちにチラージ
ンSの離脱が可能となった。
試験例2. 38歳女性。1989年12月に橋本甲状腺炎と診断され、直
ちに甲状腺ホルモン剤「チロナミン(武田薬品)」一日
10μg、カルフェニール一日2錠(1錠中ロベンザリッ
ト二ナトリウム80mg含有)を経口で併用投与することに
よる治療を続けたところ、1990年3月にチロナミンの離
脱が可能となった。
試験例3. 32歳女性。1989年1月に橋本甲状腺炎と診断された。
この患者は甲状腺腫を伴っていた。直ちにチラージンS
を一日2錠(1錠中レボチロキシントリウムを無水物と
して50μg含有)経口投与により治療を続けたが、甲状
腺腫に変化は見られず、臨床症状の改善には至らなかっ
た。1989年10月より従来のチラージンSの投与に加え
て、カルフェニール一日2錠(1錠中ロベンザリット二
ナトリウム80mg含有)を経口で併用投与する治療を続け
たところ、1990年1月よりチラージンSの投与を一日1
錠へと減量することができた。また、エコー(超音波)
診にて甲状腺腫のサイズを測定していたところ、カルフ
ェニール投与開始前が53.7mlであったのに対し、1990年
8月には33.7mlと著しい縮小が認められた。この縮小は
他の薬剤では認められなかった顕著なものであった。
(発明の効果) 上記試験例から明らかなように、橋本甲状腺炎に対す
るロベンザリットの投与は、対症療法剤の補充量を減少
させることができ、更に甲状腺腫を縮小させることが認
められることから、橋本甲状腺炎に起因する甲状腺機能
の回復、さらには治療効果が認められ、橋本甲状腺炎の
治療剤として極めて有効であることが判る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−(2−カルボキシフェニル)−4−ク
    ロロアントラニル酸(一般名「ロベンザリット」)又は
    その塩を有効成分とすることを特徴とする橋本甲状腺炎
    治療剤。
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