JP3062466U - 羽織及びコ―ト共に絵羽仕立て可能な羽尺地 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 羽織及びコートのいずれに仕立てても、全体
に模様が自然に現れ、絵羽仕立て可能な羽尺地を提供す
る。 【解決手段】 前身頃部分Ｂ、Ｃが、前おとし部分５に
接するように設けられた柄１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ、１
ｅと、前おとし部分５から羽織の衿幅だけ離れた位置に
存在する模様２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅを有し、衿
部分Ｅ、Ｆが、前身頃部分Ｂ、Ｃの前記柄１ａ、１ｂ、
１ｃ、１ｄ、１ｅを補い一体の模様を形成するような柄
３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅを生地の一側辺の対応位
置に有し、かつ、生地の他側辺から羽織の衿幅だけ離れ
た位置に、前記模様２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅに重
なり合う模様４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅを、それぞ
れ対応した間隔で有するものとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、羽織及びコート共に絵羽仕立て可能な羽尺地に関する。

【０００２】

【従来の技術】

羽尺地は、羽織やコートを仕立てるのに使用されるが、通常の捺染布等では、前 身頃と衿の柄を合わせることは困難であり、また特別に羽織で絵羽様の仕立てが 可能なように模様を設けたとしても、その生地は、仕立ての異なるコートに使用 すると、模様がずれて、美しく仕立てることができないものとなった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、このような羽尺地を、羽織とコートのいずれに仕立てても、全体に模 様が自然に現れ、絵羽仕立て可能なものとすることを課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案では、羽尺地の前身頃部分と衿部分に、特定の関係で、相互に関連ある模 様が設けることによって、上記課題を解決した。

【０００５】 即ち、本考案の羽尺地は、前身頃部分に、前おとし部分に接する柄と、前おとし 部分から羽織の衿幅だけ離れた位置に存在する模様を設け、衿部分の生地の一側 辺に、前身頃部分の前記柄を補い一体の図柄を形成するような柄を設け、かつ、 衿部分の生地の他側辺から羽織の衿幅だけ離れた位置に、前身頃部分の前記模様 に重なり合う模様を設けたことに特徴を有するものである。

【０００６】 ここに羽尺地とは、羽織やコートを仕立てることができる反物を意味するもので あり、反物の幅は並幅（約３８cm）であるが、長さは、特に限定されない。

【０００７】 なお、前身頃部分の前おとし部分とは、前身頃の前開き部分の余分な切り落とし 布のことで、約９〜１０cm幅で、通常、袖口布やまち、小衿等として使用される 部分のことである。また、羽織の衿幅は、通常、約５〜７cm程度である。

【０００８】 本考案の羽尺地には、図柄・模様が、前述の箇所だけでなく、他の部分にも設け られてよいことは勿論であり、その種類はどのようなものでもよい。また、図柄 ・模様は、手描友禅、スクリーン捺染等の捺染柄、刺繍柄、織柄のいずれからな るものであってもよい。

【０００９】

【考案の実施の形態】

次に、本考案の実施例を図面に従って説明する。 この例では、並幅（３８cm）で総丈が９ｍの羽尺地を使用したが、図面には、そ の身頃部分と衿部分のみを示す。なお、図面における点線は縫い代を示すもので あり、縫い代幅は約１cmである。

【００１０】 図面のＡは右後身頃、Ｂは右前身頃、Ｃは左前身頃、Ｄは左後身頃、Ｅ及びＦは 衿部分を示しており、Ａ、Ｂ、Ｃ及びＤの長さは、それぞれ、約１１０cm、Ｅ及 びＦの長さはそれぞれ約１２０cmとである。

【００１１】 前身頃Ｂ、Ｃには、幅約9.５cmの前おとし部分５が存在し、衿部分Ｅ、Ｆの片側 には約１６cm幅のコートの竪衿６となる部分が存在し、他方側には、約６cm幅の 羽織の衿７を形成するように、約１２cmの衿布８が存在するようになっている。

【００１２】 右前身頃Ｂには、前おとし部分５に接するように柄１ａ、１ｂが設けられ、かつ 、前おとし部分５から羽織の衿幅（約６cm）離れた位置に模様２ａ、２ｂが設け られており、また、左前身頃Ｃには、前おとし部分５に接するように柄１ｃ、１ ｄ、１ｅが設けられ、かつ、前おとし部分５から羽織の衿幅（約６cm）離れた位 置に模様２ｃ（この模様は柄１ｄの延長である）、２ｄ、２ｅが設けられている 。

【００１３】 なお、衿部分Ｅ、Ｆの片側には、前身頃部分Ｂ、Ｃの柄１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ 、１ｅを補い一体の模様を形成するような柄３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅがそ れぞれ、生地側辺の対応位置（即ち、前身頃Ｂ、Ｃと衿部分の竪衿６を縫い合わ せた際に、柄１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ、１ｅと柄３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅ が一体となって、完成した模様を形成する位置）に、設けられている。また、衿 部分Ｅ、Ｆの他方側には、生地の他側辺から羽織の衿幅だけ離れた位置に、前身 頃Ｂ、Ｃに設けられた前記模様２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅに重なり合う模様 ４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅが設けられている。各模様の位置は、当然、前身 頃Ｂ、Ｃに、衿部分の衿布８を衿７が表になるようにして縫着して羽織とした場 合に、各模様が相互に重なりあり、絵羽模様となる位置である。

【００１４】 このような羽尺地を使用して縫製したコートと羽織の例を図２及び図３に示す。 図２のコートでは、前身頃に、生地の前身頃部分Ｂ及びＣに設けられた模様２ａ 、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅがそのまま現れ、かつ、前身頃と竪衿６の縫い合わせ 部分には、前身頃部分Ｂ及びＣの柄１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ、１ｅと衿部分Ｅ及 びＦの一側辺に沿って設けられた柄３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅが一体となっ てそれぞれ完成した模様を形成している。即ち、本考案の羽尺地で縫製したコー トは、前身頃と竪衿６の縫い合わせ部分で、模様がずれることなく、全体に絵羽 仕立ての外観を有する非常に意匠性に優れた製品となる。

【００１５】 また、図３の羽織は、前身頃部分Ｂ及びＣの、前おとし部分５から羽織の衿幅だ け離れた位置に存在する模様２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅに、衿部分Ｅ及びＦ の衿布８に設けられた模様４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅが重なり合うので、こ の場合にも、縫製後、前身頃と衿７に絵羽様の模様を設けたかのような外観に仕 上げることができるのである。更に、この羽織は、衿７が浮いても、前身頃に、 衿７の模様４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅと重なり合うように模様２ａ、２ｂ、 ２ｃ、２ｄ、２ｅが存在するため、全く自然な外観で、美しく着用することがで きるのである。

【００１６】

【考案の効果】

本考案の羽尺地は、羽織及びコートいずれに仕立てても、容易に、絵羽様の美し い外観の製品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案の羽尺地の一例を示す要部説明
図である。

【図２】図２は、図１の羽尺地を用いて縫製した道行コ
ートの正面図である。

【図３】図３は、図１の羽尺地を用いて縫製した羽織の
正面図である。

【符号の説明】

１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ、１ｅ 柄 ２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅ 模様 ３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅ 柄 ４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅ 模様 ５ 前おとし部 ６ 竪衿 ７ 衿 ８ 衿布

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 羽尺地の前身頃部分Ｂ、Ｃと衿部分Ｅ、
   Ｆに相互に関連ある模様が設けられているものであっ
   て、前身頃部分Ｂ、Ｃが、前おとし部分５に接するよう
   に設けられた柄１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ、１ｅと、前お
   とし部分５から羽織の衿幅だけ離れた位置に存在する模
   様２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅを有し、衿部分Ｅ、Ｆ
   が、前身頃部分Ｂ、Ｃの前記柄１ａ、１ｂ、１ｃ、１
   ｄ、１ｅを補い一体の模様を形成するような柄３ａ、３
   ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅを生地の一側辺の対応位置に有
   し、かつ、生地の他側辺から羽織の衿幅だけ離れた位置
   に、前記模様２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ、２ｅに重なり合
   う模様４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄ、４ｅを、それぞれ対応
   した間隔で有することを特徴とする羽織及びコート共に
   絵羽仕立て可能な羽尺地。