JPH0410161Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、和服の長着の衿部に適宜簡易に縫
着して装飾の役割を果たす伊達衿に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

この種の伊達衿は、和服の衿元から胸元の合せ
目へかけて、その部分を装飾し、和服の外観にア
クセントを持たせるために最近盛んに使用されて
いる。ところで従来の伊達衿は、厚手の生地から
なる帯状の布を長手方向に沿つて二つ折りとした
一重形態となつており、長着の衿部の内側に、着
付けた際に衿元および胸元の合せ目からわずかに
見える状態になるよう簡易に縫着して使用され
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この伊達衿は、袖とともに着たときに人の目に
触れるので、装飾的意味合いの強いものである
が、上述のように一重形態となつているので、興
趣の点で物足りなさを感ずることもある。

そこでこの考案は、複数本の衿山部を有するよ
うに折り込んだ多重形態として十分な装飾効果を
有しながらも、違和感を与えない着心地の良好な
伊達衿を提供しようとしてなされたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案に係る伊達衿は、上記課題を達成する
ために、長手方向に沿つた縦糸を一方の布辺から
他方の布辺に向かつて段階的に細くして織られた
織組織の生地からなる帯状布を、長手方向に平行
な複数本の折込み線により折り込んで重ね合わ
せ、この折込みにより形成された、布辺に平行な
複数本の各衿山部を、前方側の厚手部から後方側
の薄手部に向かつて順次高くしてそれぞれ平行に
露呈させた構成を要旨とするものである。

〔作用〕

上記構成としたこの考案の伊達衿は、これを長
着に取り付けて着付けた際に、複数の衿山部が衿
元および胸元の合せ目の部分からそれぞれわずか
ずつ露呈するので、興趣に富み、かつ装飾性の高
い伊達衿となり、そしてその生地を、着付けた状
態での前面側を厚手部とするとともに後面側に向
かつて順次薄手になる織組織としたので、単に多
重形態としただけでは問題となるところのごわご
わした感触がなくなり、違和感のない着心地の良
さが得られる。

〔実施例〕

以下、この考案の１実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

この考案に係る伊達衿は、次のようにして作成
される。まず、第４図に示すような帯状布１に、
その長手方向の布辺に平行な２本の折込み線２
ａ，２ｂを形成し、この折込み線２ａ，２ｂに沿
つてそれぞれ、第２図に示すように折り込み、三
重形態に重ね合わせる。この折込みにより形成さ
れる折込み線２ａ，２ｂに平行な３本の衿山部３
ａ，３ｂ，３ｃを、第３図ａおよびｂ図に示すよ
うに、前方側に位置するものから後方側のものに
向かつて順次高くすることにより、第３図ｂ図の
Ｂ矢印で示す前方側から全て見えるようになつて
いる。

また、帯状布１は、第３図ａ図に二点鎖線で示
す短手方向に沿つた横糸４として全て同じ太さの
ものを用いるとともに、一点鎖線で示す長手方向
に沿つた縦糸５として太さの異なるものを例えば
３種用い、前面部から後面部に向かつて段階的に
細い糸になるようにして織りあげた織組織を有し
ている。従つて、第４図に示すように、帯状布１
は、前面側から厚手部１ａ、薄手部１ｂ、薄手部
１ｃが順次形成された形状となる。

上記構成した伊達衿１０は、第１図に示すよう
に、長着１１の衿元から胸元の合せ目にかけての
内側部分に縫着して取り付けられる。その縫着
は、後に伊達衿を長着から取り外すことができる
ように、簡単に糸で留めるだけにしておく。そし
て、長着１１を着付けた際に、前方から見て前面
側に厚手部１ａを位置させることにより、各衿山
部３ａ〜３ｃが衿元および胸元の合せ目にわずか
ずつ露呈され、その姿に優雅な趣を与え、十分な
装飾的効果を上げることができる。そして、前面
側から順に厚手部１ａ、中薄手部１ｂ、薄手部１
ｃが設けられているから、生地を多重形態とした
ときに問題となるところのごわごわした感触がな
くなり、違和感を全く与えることがない。

なお、必要に応じて厚手部１ａ、中薄手部１
ｂ、薄手部１ｃをそれぞれ異なる色彩で染め分け
たり、前側となる厚手部１ａに装飾模様を施すよ
うにすれば、更に装飾効果が増大する。また、折
り込み部分にパーマネント加工を施すようにすれ
ば、折込み線２ａ，２ｂおよび衿山部３ａ〜３ｃ
を折り目として保持することができる。

〔考案の効果〕

以上詳述したようにこの考案の伊達衿によれ
ば、１枚の帯状布を折り込んで多重形態とすると
ともに、折込みにより形成される複数の衿山部
を、長着を着付けた状態で衿元および胸元の合せ
目において全て露呈するようにしたので、簡単な
構成で興趣に富んだ大きな装飾効果を上げること
ができ、そして、その織組織が前面側から後面側
にかけて順に薄手となつているので、多重構成と
しながらも違和感を与えない極めて良好な着心地
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の伊達衿の１実施例を示し、
第１図は、その伊達衿を長着に縫着した状態の正
面図、第２図は、その伊達衿における折込み状態
を示す斜視図、第３図ａ図は、その伊達衿の正面
図、同ｂ図は同ａ図のＡ−Ａ線断面図、第４図
は、その展開図である。 １……帯状布、２ａ，２ｂ……折込み線、３ａ
〜３ｃ……衿山部、４……横糸、５……縦糸、１
０……伊達衿、１１……長着。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 長手方向に沿つた縦糸を一方の布辺から他方
   の布辺に向かつて段階的に細くして織られた織
   組織の生地からなる帯状布を、長手方向に平行
   な複数本の折込み線により折り込んで重ね合わ
   せ、この折込みにより形成された、布辺に平行
   な複数本の各衿山部を、前方側の厚手部から後
   方側の薄手部に向かつて順次高くしてそれぞれ
   平行に露呈させたことを特徴とする伊達衿。 ２ 衿山部を３本または５本として三重または五
   重形態とした実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の伊達衿。 ３ 折り込み部分にパーマネント加工を施した実
   用新案登録請求の範囲第１項または第２項記載
   の伊達衿。