JP3060080B2 - ヘマトポルフィリンの酢酸エステルおよびメチルエーテル - Google Patents

ヘマトポルフィリンの酢酸エステルおよびメチルエーテル

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JP3060080B2
JP3060080B2 JP4201950A JP20195092A JP3060080B2 JP 3060080 B2 JP3060080 B2 JP 3060080B2 JP 4201950 A JP4201950 A JP 4201950A JP 20195092 A JP20195092 A JP 20195092A JP 3060080 B2 JP3060080 B2 JP 3060080B2
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勝夫 會沢
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昌也 岸本
聡 小西
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株式会社ホーネンコーポレーション
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動脈硬化部位の診断に
用いられる新規化合物であるヘマトポルフィリンの酢酸
−dエステルおよびメチル−d エーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、動脈硬化部位の診断には患者の血
管内にカテーテルを挿入して内視鏡で観察するなどの方
法がとられており、患者に苦痛を与える結果となってい
る。最近になってMRI(磁気共鳴画像)装置による動
脈硬化部位の診断方法が開発されるに至った。しかし、
この方法は血管内を流れる血液の圧力波を画像として観
察し、血管壁の弾力性を計算して動脈硬化部位を診断す
るものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】MRI装置を利用した
動脈硬化部位の診断は上述のごとく患者の苦痛を伴わな
い有用な方法であるが、診断する医師の経験に頼らざる
を得ない。一方、ヘマトポルフィリン類は特異的に動脈
硬化部位に集中するという特性を持っている。本発明者
らは、このようなヘマトポルフィリン類に重水素を導入
し、この重水素の核磁気共鳴をMRI装置によって画像
処理することによって確実に動脈硬化部位を診断するこ
とができることを見いだした。本発明の目的は、このよ
うに動脈硬化部位の診断に有用な重水素化されたヘマト
ポルフィリン類を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、MRI装
置による簡便かつ確実な動脈硬化部位の診断を可能なら
しめるべく、ヘマトポルフィリン類について鋭意研究を
重ねた結果、上記化合物の合成に成功した。
【0005】即ち、本発明のヘマトポルフィリンの酢酸
エステルは、次式(I)で表される。
【化3】
【0006】又、本発明のヘマトポルフィリンのメチル
エーテルは、次式(II)で表される。
【化4】 式(I)および(II)で表される化合物は、文献に未記
載の新規化合物である。
【0007】式(I)および(II)で示される本発明の
化合物は、反応自体公知のいくつかの方法によって合成
できるが、以下の方法によればヘマトポルフィリン自体
の重合などが抑えられ、最も効率良く合成できる。即
ち、ヘマトポルフィリンを酢酸−d4 に溶解し、触媒量
の三ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体を加えて還流
し、得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィーに
よって精製して上記式(I)で示される化合物を得る。
【0008】又、ヘマトポルフィリンのメチルエーテル
を合成する場合には、ヘマトポルフィリンをメタノール
−d4 に溶解し、触媒量の三ふっ化ほう素ジエチルエー
テル錯体を加えて還流し、得られた生成物をシリカゲル
クロマトグラフィーによって精製してヘマトポルフィリ
ン誘導体を単離後、メタノール中でアルカリ加水分解し
て上記式(II)で示される化合物を得る。
【0009】本発明の式(I)および(II)で示される
化合物は、常温常圧で暗赤色の固体であり、その可視ス
ペクトルにはポルフィリン類に特有のソーレ帯とQ帯が
認められる。また、IRスペクトルには1712cm-1
と1699cm-1にエステルとカルボン酸の2つのカル
ボニル基の吸収がある。また、式(II)で示される化合
物のIRスペクトルには1703cm-1に一つのカルボ
ン酸のカルボニルの吸収がある。
【0010】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、式(I)および(II)で示される化合物の製造方
法は特に限定されず、実施例に示した方法によって合成
するのが簡便で望ましいが、それ以外の合成法によって
得てもよい。
【0011】実施例1 ヘマトポルフィリン1.00gを酢酸−d4 5.00g
に溶解し、15%三ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体
0.5mlを加えて、80℃で2時間攪拌した。冷却
後、ジクロロメタンを加えた後、不溶物を減圧濾過によ
り除去した。このジクロロメタン溶液を4回水洗した。
その後、ジクロロメタン溶液に無水硫酸ナトリウムを加
えて一夜乾燥させた。溶媒を留去後、真空乾燥して0.
29gの褐色固体を得た。この褐色固体をシリカゲルを
用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。目的
物を含む画分を濃縮し、真空乾燥して暗赤色固体である
ヘマトポルフィリンの酢酸−d3 エステル49mgを得
た。得られた生成物はNMRスペクトルによってヘマト
ポルフィリンの酢酸−d3 エステルであることを確認し
た。NMRスペクトルのチャートを図1に示す。
【0012】実施例2 ヘマトポルフィリン0.50gとジメチルアミノピリジ
ン0.50gを酢酸−d4 3.00gに溶解し、これに
ジシクロヘキシルカルボジイミド0.50gを少量ずつ
加えた。その後、室温で2日間攪拌した。得られた反応
液にジクロロメタンを加えた後、不溶物を減圧濾過によ
り除去した。このジクロロメタン溶液を飽和食塩水で3
回洗浄した。以下、実施例1と同じ操作により暗赤色固
体であるヘマトポルフィリンの酢酸−d3 エステル21
mgを得た。生成物は実施例1と同様にして確認した。
【0013】実施例3 ヘマトポルフィリン0.30gをピリジン1mlに溶解
した後、無水酢酸0.26gを加えて、室温で2日間攪
拌した。得られた反応液にジクロロメタンを加えた後、
不溶物を減圧濾過により除去した。このジクロロメタン
溶液を希硫酸で洗浄した後、3回水洗した。以下、実施
例1と同じ操作により暗赤色固体であるヘマトポルフィ
リンの酢酸−d3 エステル15mgを得た。生成物は実
施例1と同様にして確認した。
【0014】実施例4 ヘマトポルフィリン1.00gにメタノール−d4 10
mlを加え、さらに47%三ふっ化ほう素ジエチルエー
テル錯体0.5mlを加えて4時間還流した。冷却後、
ジクロロメタンおよび水を加えて抽出した。続いて、こ
のジクロロメタン溶液を3回水洗した。ジクロロメタン
溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて一夜乾燥させた。溶
媒を留去後真空乾燥してヘマトポルフィリン誘導体0.
23gを得た。このヘマトポルフィリン誘導体0.20
gに0.2Nの水酸化ナトリウムメタノール溶液を加
え、4時間還流した。冷却後、希硫酸で洗浄し、さらに
3回水洗した。以下、実施例1と同じ操作により暗赤色
固体であるヘマトポルフィリンのメチルd3 エーテル1
35mgを得た。得られた生成物はIRスペクトルによ
ってヘマトポルフィリンのメチルd3 エーテルであるこ
とを確認した。IRスペクトルのチャートを図2に示
す。
【0015】実施例5 ヘマトポルフィリンの酢酸−d
3 エステルの造影効果 a)公知の方法により育成した高コレステロール血症の
ラット(甲種)を10匹(平均値として、血清コレステ
ロール 475mg/dl、トリグリセリド312mg
/dl、リン脂質 296mg/dl)および正常のラ
ット(乙種)を10匹(平均値として、血清コレステロ
ール 34mg/dl、トリグリセリド 46mg/d
l、リン脂質 72mg/dl)準備した。 b)甲種および乙種のラットそれぞれに、実施例1で合
成したヘマトポルフィリンの酢酸−d3 エステルを体重
1Kgあたり5.0mgの割で血管内に投与した。投与
1時間後、各々のラットの大腿部の大動脈に内視鏡を挿
入し、Yasunakaらの方法(Lasers in the Life Science
(1) 53−65 1992)に準拠して、観察を行った。
その結果、乙種のラットの動脈中には、該ヘマトポルフ
ィリンの酢酸−d3 エステルは残存していなかったが、
甲種のラットの動脈硬化部位には、該ヘマトポルフィリ
ンの酢酸−d3 エステルの存在が確認された。 c)その後、上記のラットをMRI装置の磁場内に伏臥
固定し、大腿部の大動脈部周辺のMRIの測定を行っ
た。その結果、乙種のラットの動脈中には、動脈硬化の
造影が認められず、該ヘマトポルフィリンの酢酸−d3
エステルは残存していないことが確認された。甲種のラ
ットにおいては、b)で確認された同じ部位に、動脈硬
化の造影が認められ、該ヘマトポルフィリンの酢酸−d
3 エステルの存在が確認された。故に、この結果から該
ヘマトポルフィリンの酢酸−d3 エステルの動脈硬化部
位への親和、結合性が確認できた。
【0016】実施例6 ヘマトポルフィリン類としてヘマトポルフィリンのメチ
ルd3 エーテルを用いた他は実施例5と同様の試験を行
った。その結果、乙種のラットの動脈中には、該ヘマト
ポルフィリンのメチル−d3エーテルは残存していなか
ったが、甲種のラットの動脈硬化部位には、該ヘマトポ
ルフィリンのメチル−d3 エーテルの存在が確認され
た。また、乙種のラットの動脈中には動脈硬化部位の造
影が認められず、該ヘマトポルフィリンのメチル−d3
エーテルは残存していないことが確認された。甲種のラ
ットにおいては、動脈硬化部位の造影が認められ、該ヘ
マトポルフィリンのメチル−d3 エーテルの存在が確認
された。故に、この結果から該ヘマトポルフィリンのメ
チル−d3 エーテルの動脈硬化部位への親和、結合性が
確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたヘマトポルフィリンの酢酸
−d3 エステルのNMRスペクトルのチャートである。
【図2】実施例4で得られたヘマトポルフィリンのメチ
ル−d3 エーテルのIRスペクトルのチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 487/22 A61K 49/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)で示されるヘマトポルフィリン
    の酢酸エステル。 【化1】
  2. 【請求項2】 式(II)で示されるヘマトポルフィリン
    のメチルエーテル。 【化2】
  3. 【請求項3】 式(I)で示されるヘマトポルフィリン
    の酢酸エステルおよび/または式(II)で示されるヘマ
    トポルフィリンのメチルエーテルからなる動脈硬化部位
    の診断薬。
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