JP3059476B2 - 2‐フェニルベンゾトリアゾール類の製造法 - Google Patents

2‐フェニルベンゾトリアゾール類の製造法

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JP3059476B2
JP3059476B2 JP2276730A JP27673090A JP3059476B2 JP 3059476 B2 JP3059476 B2 JP 3059476B2 JP 2276730 A JP2276730 A JP 2276730A JP 27673090 A JP27673090 A JP 27673090A JP 3059476 B2 JP3059476 B2 JP 3059476B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は紫外線吸収剤として有用な、下記一般式IIで
示される2−フェニルベンゾトリアゾール類の製造方法
に関する。
〔従来技術〕
一般式II (但しR1は水素、塩素、炭素数1〜4の低級アルキル
基、炭素数1〜4の低級アルコキシル基、カルボキシル
基又はスルホン酸基を表わし、R2は水素、塩素、炭素数
1〜4の低級アルキル基又は炭素数1〜4の低級アルコ
キシル基を表わし、R3は水素、塩素、炭素数1〜12のア
ルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシル基、シクロ
アルキル基、フェニル基、炭素数1〜8のアルキル基で
置換されたフェニル基、フェノキシ基又はアルキル部分
の炭素数が1〜4のフェニルアルキル基を表わし、R4
水素、塩素、ヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコ
キシル基を表わし、R5は水素、炭素数1〜12のアルキル
基又はアルキル部分の炭素数が1〜4のフェニルアルキ
ル基を表わす。)で示される2−フェニルベンゾトリア
ゾール類はプラスチック、塗料、油等に添加される紫外
線吸収剤として知られている。
一般式Iで示されるo−ニトロアゾベンゼン誘導体を
塩基性アルコール媒体中で一般式IIの2−フェニルベン
ゾトリアゾールに還元することは公知である。
しかし、この還元は芳香族ジヒドロキシル化合物また
はキノン化合物を触媒として使用するほかに、更に還元
剤、例えば亜鉛、硫化アンモニウム、アルカリ金属硫化
物、ハイドロサルファイトまたはヒドラジンの存在をも
必要とする(特開昭56−133076号)。
このように金属、とくに亜鉛が使用される場合には多
量の亜鉛スラッジを生じ排水問題が発生する。硫化系還
元剤からは有毒な硫化水素、ハイドロサルファイトから
は亜硫酸ガスが発生し、大気汚染の問題にもつながる。
ヒドラジンは確かに強力な還元剤であるが、その高い
毒性のため、その取り扱いに多大の注意をはらわねばな
らない。
本出願人の出願に係る特開昭59−170172号にはキノン
類を、特開昭63−72683号には芳香族ケトン類を触媒と
して塩基性触媒中で一般式Iのo−ニトロアゾベンゼン
誘導体をアルコール類で還元する方法が記載されてい
る。
この方法は大気汚染、排水汚染を解決したすぐれた方
法であるが夫々次の欠点を有する。
芳香族ケトンを触媒として使用する特開昭63−72683
号の方法は高価な触媒を使用するわりには収量が低く、
又、反応途中に急激な発熱があり大規模の工業生産には
不向であり、キノン類を触媒とする特開昭59−170172号
の方法は比較的収量がよいが触媒であるキノン類は変質
し回収不能であり、そのためコスト高はさけられない。
それと同時に、製品に強い黄色味があり無色のプラスチ
ックの添加剤としては不向である。特に一般式IIのR3
アルキル基でR1,R2,R4,R5が水素原子の場合にこの傾向
がつよい。
〔目的〕
本発明の目的は以上の従来技術が内包していた問題を
全て解消し得る2−フェニルベンゾトリアゾール類の製
造法を提供することである。
〔構成〕
本発明者等は従来の2−フェニルベンゾトリアゾール
類の製造法における前述のような問題を解決すべく鋭意
研究の結果、 1) 一般式Iのo−ニトロアゾベンゼン類を、 (a) ヒドロキシル基および/またはアミノ基を合
計して2ケ以上持つナフタレン類またはそれらの酸化物
および芳香環に隣接した環状ケトン類よりなる群から選
ばれた少なくとも1種の化合物よりなる触媒、 (b) ヒドロキシル基とアミノ基を合計して2ケ以
上持つベンゼン類およびアミノ基を2ケ以上持つベンゼ
ン類よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物よ
りなる助触媒(促進剤)の存在下、 3ケ以上の炭素原子を持つ第1級アルコールおよび第
2級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種
の化合物を用いて還元するか、或いは 2) 一般式IIIで示される2−フェニベンゾトリアゾ
ール−N−オキシド類を、 (a) ヒドロキシル基および/またはアミノ基を合
計して2ケ以上持つナフタレン類またはそれらの酸化物
および芳香環に隣接した環状ケトン類よりなる群から選
ばれた少なくとも1種の化合物よりなる触媒、 (b) ヒドロキシル基とアミノ基を合計して2ケ以
上持つベンゼン類およびアミノ基を2ケ以上持つベンゼ
ン類よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物よ
りなる助触媒(促進剤)の存在下、 3ケ以上の炭素原子を持つ第1級アルコールおよび第
2級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種
の化合物を用いて還元すること、 により一般式IIの目的物が技術的にも公害的にも問題な
く、特開昭59−170172号の比較的高い収量を更に上廻る
極めて高収量、すなわち最高が式Iから97%、式IIIか
らは98%という驚くべき収量で得られることを見い出し
た。
すなわち、本発明においては、 (a) ヒドロキシル基および/またはアミノ基を合
計して2ケ以上持つナフタレン類またはそれらの酸化物
および芳香環に隣接した環状ケトン類よりなる群から選
ばれた少なくとも1種の化合物よりなる触媒に加えて、 (b) ヒドロキシル基および/またはアミノ基を合
計して2ケ以上持つベンゼン類およびそれらの酸化物よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物よりなる
助触媒(促進剤)と、好ましくは適量の水の存在 が収量の向上のきめ手となる。
一般にアルコール類は親水性で水を加えると水と任意
に混合するか、或いはある範囲内の水を溶解する性質を
有する。
水を溶存したC3以上のアルコールに塩基を投入すると
大部分の塩基を含む水層と少量の塩基を含むアルコール
層の二層に分離する。本発明はこの性質をたくみに利用
したものである。水層には助触媒(促進剤)、アルコー
ル層には触媒が、多く存在し、この二層間で一般式I或
いは一般式IIIの還元反応が非常におだやかに副反応も
なく進行して、高収率で目的を達成することができるも
のである。
C3以下の水性メタノール、水性エタノールは塩基を投
入しても二層に分離することがないので、本発明の方法
を実行しても低収量であるが、全く反応が進行しない。
本発明の前記1)の方法は反応温度、反応時間及び第
1級アルコール類または第2級アルコール類の消費量に
よって下記1つ又は2つの工程を経て行なわれる。
(i)1工程(下記工程a)の場合 この場合の反応温度は60〜110℃、反応時間は3時間
〜12時間が適当であり、その時の第1級アルコールの使
用量は式Iの化合物1モル分子当り0.9〜1.3モル分子で
あり、第2級のアルコールの使用量は1.8〜2.6モル分子
である。
第1級アルコール類の場合の反応式 (式中Rはアルキル基を示す) 第2級アルコール類の場合の反応式 脂環式アルコール類、例えばシクロヘキサノールの場
合は( )となる。
(R′,R″は同種または異種のアルキル基) (ii)2工程(下記工程b及びc)の場合 この場合工程bでは反応温度は約60〜100℃、時間は
1〜10時間、工程cでは反応温度は約70〜110℃、時間
は1〜6時間が適当である。
この方法は工程が2つになるが1工程の方法より品質
及び収率の面で有利になることがある。
アルコールの使用量は工程bでは式Iの化合物1モル
分子当り、第1級アルコールは0.4〜0.7モル分子、第2
級アルコールは0.8〜1.4モル分子、また工程cでは式II
Iの化合物1モル分子当り第1級アルコールは0.4〜0.7
モル分子、第2級アルコールは0.8〜1.4モル分子であ
る。
第1級アルコール類の場合の反応式 工程b 第2級アルコール類の場合の反応式 脂環式アルコール類、例えばシクロヘキサノールの場
合は( )となる。
工程b 本発明の方法は(i)及び(ii)のいずれの場合も反
応を円滑にするため、通常、還元に使用するアルコール
類を溶媒とし、場合によっては、トルエン、アセトン、
ジメチルスルホキシド、アセトニトリルのような不活性
溶媒中で実施することもできる。また、相間移動触媒、
界面活性剤を併用することもできる。
本発明の(i)の方法で原料として用いられる一般式
Iの化合物の具体例としては下記のものが挙げられる。
2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−3′−t
−ブチル−5′−メチルアドベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−5′−メチルアゾベン
ゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルア
ゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルアゾ
ベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−3′,5′
−ジ−t−ブチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ア
ミルアゾベンゼン 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブ
チルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−
5′−メチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′,4′−ジヒドロキシアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′,4′−ジヒドロキシアゾ
ベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−4′−メトキシアゾベ
ンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−3′,5′
−ジ−t−アミルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−5′−t−アミルアゾ
ベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−5′−t
−アミルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ(α,α
−ジメチルベンジル)アゾベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−3′,5′
−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)アゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−3′−α−メチルベン
ジル−5′−メチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−3′−α
−メチルベンジル−5′−メチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−5′−n−ドデシルア
ゾベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−5′n−
ドデシルアゾベンゼン、 2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−オ
クチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−3′,5′
−ジ−t−オクチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロキシ−5′−t
−オクチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−メチル−2′−ヒドロキシ−5′−メ
チルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−メチル−2′−ヒドロキシ−3′−t
−ブチル−5−メチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−n−ブチル−2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−t−ブチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−n−ブチル−2′−ヒドロキシ−3′
−sec−ブチル−5′−t−ブチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4−t−ブチル−2′−ヒドロキシ−3′
−sec−ブチル−5′−t−ブチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4,6−ジクロル−2′−ヒドロキシ−5′
−t−ブチルアゾベンゼン、 2−ニトロ−4,6−ジクロル−2′−ヒドロキシ−3′,
5′−ジ−t−ブチルアゾベン、及び 2−ニトロ−4−カルボキシ−2′−ヒドロキシ−5−
メチルアゾベンゼン。
本発明の2)の方法で用いられる一般式IIIの化合物
は、例えば前記一般式Iの化合物をN−オキシドまで還
元することにより得られるが、その具体例としては次の
ものが挙げられる。
2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフ
ェニル)−5−クロルベンゾドリアゾール−N−オキシ
ド、 2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−5−クロルベンゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル−N−オキシド、 2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−5−クロルベン
ゾトリアゾール−N−オキシド、 2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)ベンゾ
トリアゾール−N−オキシド、 2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ(α,α−ジメチルベ
ンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール−N−オキシ
ド、及び 2−(2−ヒドロキシ−3−α−メチルベンジル−5−
メチルフェニル)ベンゾトリアゾール−N−オキシド、 なお、これら一般式IIIのN−オキシド類は一般式I
のo−ニトロアゾベンゼン誘導体を原料として前記
(i)の工程bの方法で作ることが好ましいが、他の公
知の方法で作ることも可能である。
本発明の還元剤であるアルコール類としては、n−プ
ロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ア
ミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノ
ール、シクロヘキサノール、2−エチルブタノール、n
−ヘプチルアルコール、n−オクタノール、2−エチル
ヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−
デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、イソプ
ロピルアルコール、第2ブタノール、3−ペンタノー
ル、メチルアミルアルコール、2−ヘプタノール、3−
ヘプタノール、2−オクタノール、ノナノール、ウンデ
カノール、などがあげられる。中でもn−プロパノー
ル、n−ブタノール、n−アミノアルコール、イソプロ
ピルアルコール、イソブタノール、第2ブタノール、第
2アミルアルコールが好ましい。
C3以上のアルコール類(第3級アルコールを除く)は
第1級、または第2級アルコールに応じ、化学当量以上
使用するのが好ましく、一般には反応の溶媒をかねて使
用するので出発物質である式(I)のo−ニトロアゾベ
ンゼン類1モル分子或は式(III)のN−オキシド類1
モル分子に対し、3モル分子〜50モル分子、好ましくは
6〜20モル分子使用する。
また2種以上のアルコール類を混合しても何ら反応に
は悪影響がなく、好ましい結果ももたらす場合もある。
反応時に使用する水は式(I)、式(III)の1モル
分子に対し2モル分子〜40モル分子、とくに5〜30モル
分子であることが好ましい。従ってこの範囲内の溶存水
を持つアルコールを還元剤とする場合は脱水することな
く使用でき工業的に非常に有利である。
本発明の前記(a)に相当するヒドロキシル基および
/またはアミノ基を合計して2ケ以上持つナフタレン類
またはそれらの酸化物としては、ナフトキノン類、ナフ
トヒドロキノン類、アミノナフトール類、ナフチレンジ
アミン類等があげられる。
本発明の触媒であるナフトキノン類は1,2ナフトキノ
ン、1,4ナフトキノン等であり、又、これらがハロゲン
原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基
で置換されていてもよい。好ましい1,4ナフトキノンは
次式IVで表わされる。
(R6,R7は水素、ハロゲン、アルコキシ基、水酸基、又
はアルキル基を表わす) 特に好ましいのは、1,4ナフトキノン、2,3−ジクロル
−ナフトキノン(1,4)、2,3−ジアルコキシナフトキノ
ン(1,4)、2−アルコキシ−3−ヒドロキシナフトキ
ノン、2−アルコキシ−3−クロルナフトキノン(1,
4)、2−ヒドロキシ−3−クロルナフトキノン(1,
4)、2−メチルナフトキノン(1,4)、2−メチル−3
−ヒドロキシナフトキノン(1,4)、2−ヒドロキシナ
フトキノン(1,4)である(アルコキシル基は炭素数7
ケ以下の低級アルコキシ基をいう)。
また、本発明の触媒の1つであるナフトヒドロキノン
類は1,2−ナフトヒドロキノン、1,4−ナフトヒドロキノ
ン等であり、またこれらがハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシル基、水酸基、アミノ基で置換されていても
よい。特に好ましいのは1,4−ナフトヒドロキノンであ
る。
また、本発明の触媒の他の1つは、アミノナフトール
類、ナフチレンジアミン類であり、さらに具体的には、
1−アミノ−2−ナフトール、4−アミノ−1−ナフト
ール、2−アミノ−1−ナフトール、1,2−ナフチレン
ジアミン、1,4−ナフチレンジアミン等があり又、これ
らが、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水
酸基、スルホン基で置換されていてもよいし、塩酸塩等
でもよい。また、本発明の前記(a)に相当する芳香環
に隣接した環状ケトン類としては、たとえばベンズアン
トロンのようなアントロン類、9−フルオレノンのよう
なフルオレノン類、9−キサンテノンのようなキサンテ
ノン類等があげられる。
これらの触媒は、2種以上混合してもよい。
いずれにしてもその使用量は、出発物質としての式
(I)のo−ニトロアゾベンゼン1モル分子に対し、0.
05〜0.5モル分子が適当であり、好ましくは0.05〜0.3モ
ル分子である。また出発原料として式(III)のN−オ
キシドを使用する場合もN−オキシド1モル分子に対
し、0.05〜0.5モル分子、好ましくは0.05〜0.3モル分子
である。
助触媒(促進剤)の例としては、o−アミノフェノー
ル、p−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミンなどを挙げることができるが、
これらの助触媒は2種以上混合してもよい。
また、助触媒となる化合物のベンゼン環は、アルキル
基、ハロゲン、アルコキシ基で置換されていてもよい。
その使用量は式(I)或いは式(III)に相当する化
合物1モル分子に対し0.05〜0.5モル分子が適当であ
り、好ましくは0.1〜0.3モル分子である。
研究の結果、選ばれたこれらの触媒、および助触媒は
反応系内で、酸化還元反応を繰り返すことのできる化合
物か、または酸化還元反応を繰り返すことのできる化合
物に変化する化合物であると予想される。
使用後は、これらの化合物は変質して回収が困難であ
るが、高価な式(II)の収量および品質向上で充分満足
できる。式(II)においてR3がアルキル基、R1,R2,R4,R
5が水素原子の場合でも純白に近い高品質であるため、
これを透明プラスチックに混入しても殆んど黄色味をお
びることがない。
塩基としては水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが
好ましい。その使用量は式(I)又は式(III)1モル
分子に対し1〜12モル分子が適当であり、好ましくは2
〜8モル分子である。
以下実施例により、本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔実施例〕
実施例1 第2−ブタノール83.0g(1.12モル分子)、水21.0g
(1.16モル分子)および97%苛性ソーダ8.2g(0.2モル
分子)を混合攪拌して苛性ソーダを溶解させる。
この混合物に2−ニトロ−4−クロル−2′−ヒドロ
キシ−3′−t−ブチル−5′−メチルアゾベンゼン3
4.8g(0.1モル分子)を加え、攪拌しながら65℃となし
o−アミノフェノール2.2g(0.02モル分子)および2,3
−ジクロロナフトキノン(1,4)2.27g(0.01モル分子)
を加える。その後昇温して沸点(90℃)で1.0hr攪拌す
るとアゾベンゼンが消失して工程bの反応が終了する。
次工程cの反応を行なうため70℃に冷却し97%苛性ソ
ーダ12.4%(0.30モル分子)を追加してから沸点(90
℃)に昇温し6時間攪拌するとN−オキシドが消失し、
工程cの反応が終了する。同様に後処理を行ない目的物
である2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−
5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ルを得た。
収量30.6g 収率97.0% 融点138〜140℃ 実施例2 実施例1で使用したo−アミノフェノール2.2gの代り
に、(イ)p−アミノフェノール2.2gまたは(ロ)p−
フェニレンジアミン2.2gを使用する以外は、実施例1と
同じ方法を繰り返した。
(イ)収量30.5g 収率96.6% 融点138〜140℃ (ロ)収量30.0g 収率95.0% 融点138〜140℃ 実施例3 実施例1で使用した2,3−ジクロロナフトキノン2.27g
の代りに、(イ)1,4−ナフトキノン2.37g、(ロ)1−
アミノ−2−ナフトール塩酸塩1.2g、2,3−ジクロロナ
フトキノン1.2gの混合物を使用した以外は、実施例1と
同じ方法を行なった。
イの場合 収量30.4g 収率96.3% 融点138〜140℃ ロの場合 収量30.6g 収率97.0% 融点138〜140℃ 実施例4 実施例1で使用した第2−ブタノール83.0g(1.12モ
ル分子)の代りに、(イ)イソブタノール83.0g(1.12
モル分子)、(ロ)第2−アミルアルコール88.2g(1.0
モル分子)を使用した以外は、実施例1と同様の方法を
行なった。
イの場合 収量30.4g 収率96.3% 融点138〜140℃ ロの場合 収量30.0g 収率95.0% 融点138〜140℃ 実施例5 第2−ブタノール128.2g(1.73モル分子)、水32.1g
(1.78モル分子)、および97%苛性ソーダ16.5g(0.4モ
ル分子)の混合物に、2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−
5′−t−オクチルアゾベンゼン35.5g(0.1モル分子)
を加え、攪拌しながら65℃に昇温後、50℃に冷却し、9
−フルオレノン3.6g(0.02モル分子)およびo−アミノ
フェノール2.2g(0.02モル分子)を加えてから、沸点
(92℃)に昇温し、3時間攪拌するとアゾベンゼンの殆
どが消失して工程bの反応が終了する。
次工程cの反応を行うため、70℃に冷却し、97%苛性
ソーダ8.2g(0.2モル分子)を追加してから沸点(93
℃)で4時間攪拌するとN−オキシドが消失し、工程c
の反応が終了する。水140mlを加え、62.5%硫酸約41gで
PH11.0〜11.5とし、10℃以下に冷却し、析出した結晶を
濾別し少量のメタノールで洗滌後、充分水洗して乾燥す
ると目的物である2−(2−ヒドロキシ−5−t−オク
チルフェニル)ベンゾトリアゾールが得られる。
収量29.4g 収率90.9% 融点103〜105℃ 比較例1 o−アミノフェノール未使用の外は、実施例5と同原
料で同方法を実施した。
収量26.5g 収率82.0% 融点103〜105℃ 実施例5に比し収量が低いばかりでなくこの方法での
製品は黄色味がつよく品質価値が劣る。
実施例6 2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−5−クロルベンゾトリアゾール−N−オキシド3
7.4g(0.1モル分子)を、第2−ブタノール74.2g(1.0
モル分子)、水18g(1.0モル分子)、97%苛性ソーダ2
0.6g(0.50モル分子)の混合物に投入し、65℃に昇温
後、o−アミノフェノール3.0g、2,3−ジクロルナフト
キノン(1,4)3.0gを加えてから沸点(93℃)で3時間
攪拌すると、N−オキシドが消失し還元反応が終了す
る。
水140mlを加え、62.5%硫酸約30g、pH11.0〜11.5と
し、10℃以下に冷却すると34.9g収量で2−(2−ヒド
ロキシ−3.5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロル
ベンゾトリアゾールを得た。
収率 97.5% 融点 153〜155℃ 出発物質である2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール−
N−オキシドの合成は、例えば特開昭61−197571号の方
法で得ることができる。
〔効果〕
本発明は、公害問題を発生することがなく、また反応
制御が容易であるため目的物を極めて高収率、すなち最
高で式(I)からは97%、式(II)からは98%という驚
くべき高収率で得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−202878(JP,A) 特開 平2−202877(JP,A) 特開 昭63−72683(JP,A) 特開 昭63−72682(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 249/20 B01J 31/02 C07B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式I (但しR1は水素、塩素、炭素数1〜4の低級アルキル
    基、炭素数1〜4の低級アルコキシル基、カルボキシル
    基又はスルホン酸基を表わし、R2は水素、塩素、炭素数
    1〜4の低級アルキル基又は炭素数1〜4の低級アルコ
    キシ基を表わし、R3は水素、塩素、炭素数1〜12のアル
    キル基、炭素数1〜4の低級アルコキシル基、シクロア
    ルキル基、フェニル基、炭素数1〜8のアルキルル基で
    置換されたフェニル基、フェノキシ基又はアルキル部分
    の炭素数が1〜4のフェニルアルキル基を表わし、R4
    水素、塩素、ヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコ
    キシル基を表わし、R5は水素、炭素数1〜12のアルキル
    基又はアルキル部分の炭素数が1〜4のフェニルアルキ
    ル基を表わす。) で示されるo−ニトロアゾベンゼン誘導体を、 (a)ヒドロキシル基および/またはアミノ基を合計し
    て2ケ以上持つナフタレン類またはそれらの酸化物、お
    よび芳香環に隣接した環状ケトン類よりなる群から選ば
    れた少なくとも1種の化合物よりなる触媒、 (b)ヒドロキシル基とアミノ基を合計して2ケ以上持
    つベンゼン類およびアミノ基を2ケ以上持つベンゼン類
    よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物よりな
    る助触媒(促進剤)の存在下、 3ケ以上の炭素原子を持つ第1級アルコールおよび第2
    級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種の
    化合物を用いて還元することを特徴とする一般式II (但しR1,R2,R3,R4,R5は、一般式Iに同じ) で示される2−フェニルベンゾトリアゾール類の製造
    法。
  2. 【請求項2】一般式III (但しR1は水素、塩素、炭素数1〜4の低級アルキル
    基、炭素数1〜4の低級アルコキシル基、カルボキシル
    基又はスルホン酸基を表わし、R2は水素、塩素、炭素数
    1〜4の低級アルキル基又は炭素数1〜4の低級アルコ
    キシル基を表わし、R3は水素、塩素、炭素数1〜12のア
    ルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシル基、シクロ
    アルキル基、フェニル基、炭素数1〜8のアルキル基で
    置換されたフェニル基、フェノキシ基又はアルキル部分
    の炭素数が1〜4のフェニルアルキル基を表わし、R4
    水素、塩素、ヒドロキシル基又は炭素数1〜4のアルコ
    キシル基を表わし、R5は水素、炭素数1〜12のアルキル
    基又はアルキル部分の炭素数が1〜4のフェニルアルキ
    ル基を表わす。) で示される2−フェニルベンゾトリアゾール−N−オキ
    シド類を、 (a)ヒドロキシル基および/またはアミノ基を合計し
    て2ケ以上持つナフタレン類またはそれらの酸化物およ
    び芳香環に隣接した環状ケトン類よりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種の化合物よりなる触媒、 (b)ヒドロキシル基とアミノ基を合計して2ケ以上持
    つベンゼン類およびアミノ基を2ケ以上持つベンゼン類
    よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物よりな
    る助触媒(促進剤)の存在下、 3ケ以上の炭素原子を持つ第1級アルコールおよび第2
    級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種の
    化合物を用いて還元することを特徴とする一般式II (但しR1,R2,R3,R4,R5は、一般式Iに同じ) で示される2−フェニルベンゾトリアゾール類の製造
    法。
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