JP3059438B1 - 電気集塵ユニット - Google Patents

電気集塵ユニット

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Abstract

【要約】 【課題】 集塵ユニットの交換や保守点検を安全に行う
ことのできると共に、空気の流れに対する圧力損失を軽
減できるようにする。 【解決手段】 開示される電気集塵ユニットでは、 ニ
ードル電極１１，１１，…の向きが開口部に対して、横
向きにされているので、集塵ユニットの交換作業時や保
守点検作業時に、作業者の指等が針で刺される危険を防
止でき、安全である。それゆえ、業務用に限らず、広く
家庭用の空気清浄機にも適用できる。加えて、従来の箱
柱型のニードル電極保持体を用いないので、気体流路が
圧迫されず、このため、圧力損失を著しく軽減でき、そ
れゆえ、集塵ユニット、ひいては、空気清浄機の小型化
の推進に寄与できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、電気集塵装置及
びその製造方法に係り、特に、空気清浄機、ディーゼル
エンジンの排気黒煙除去装置及び工場のオイルミスト除
去装置等に適用して好適な電気集塵装置及びその製造方
法に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、オフィス、レストラン、遊技施
設、工場、住宅等の建物は気密性の高い構造となってい
るため、空気中に浮遊するタバコの煙、悪臭、その他有
害な物質が、オフィス等で働く人の健康を害し、設備や
機器を汚す確率を高めている。そこで、オフィス等に設
置して、室内の空気からタバコの煙等の浮遊微粒子を捕
集し、悪臭を除去する装置として、電気集塵式の空気清
浄機が普及してきている。空気清浄機には、天井埋込み
式、壁掛け型、床置き型、携帯型、ハイテーブル型等が
あるが、以下、ハイテーブル型の空気清浄機を例にと
り、説明する。
【０００３】図１１は、ハイテーブル型の空気清浄機の
外観構成を示す斜視図、また、図１２は、同空気清浄機
の内部構造が見える断面図である。この空気清浄機５
は、事業所の休憩室や空港やホテルのロビー等に設置さ
れて好適な、喫煙用ハイテーブルを持つ空気清浄機であ
る。この空気清浄機５は、装置本体の上面が、灰皿５１
等を置くテーブル面５２となっていて、このテーブル面
５２の略中央には、煙吸込口５３が設けられている。装
置本体の内部には、プレフィルタ５４、ニードル放電方
式の電気集塵ユニット５５、活性炭素繊維からなる脱臭
フィルタ５６、ファンモータ５７及び電源が装着されて
いる。清浄空気の吹出口５８は、装置本体の側面足元に
設けられている。運転時、ファンモータ５７によって、
タバコの煙を含む空気が煙吸込口５３から吸い込まれる
と、吸い込まれたタバコの煙は、まず、プレフィルタ５
４によって、大粒の煙粒子が捕捉される。次に、電気集
塵ユニット５５で小粒の煙粒子がコロナ帯電されて静電
捕集される。最後に、脱臭フィルタ５６によってタバコ
の臭いが吸着除去される。清浄化された空気は、ファン
モータ５７によって、再び、足元の吹出口５８から室内
に吹き出される。電気集塵ユニット５５、プレフィルタ
５４、脱臭フィルタ５６等が汚れてくると、引倒し式の
開閉扉から取り出して洗浄し、再生後、再び、装着して
使用する。
【０００４】ところで、従来の電気集塵ユニット５５
は、図１３及び図１４に示すように、外箱形のフレーム
６１の内側に角柱構造の電極保持体６２に１対１で保持
されたニードル電極６３が多数格子状に配列されてなる
雄型サブユニット６と、内箱形のフレーム７１の内側に
両端開口角筒状のコレクターセル（捕集電極）７２が多
数格子状に配列されてなる雌型サブユニット７とからな
り、両フレーム６１，７１が、嵌合状態に組まれること
で、コレクターセル７２とニードル電極６３（及び電極
保持体６２）とが１対１に対応配置され、つまり、それ
ぞれのコレクターセル７２の中に、ニードル電極６３
（及び電極保持体６２）が、１つずつ非接触状態で挿着
される構成となっている。なお、雄型サブユニット６と
雌型サブユニット７とは、例えば洗浄作業等の利便を考
慮して、互いに取り外し（分離）可能となっている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電気集塵ユニットにあっては、図１３及び図１４に
示すように、ニードル電極６３が気体の流路Ｆに平行な
縦型で、尖った針先が前面の開口部を向いているので、
電気集塵ユニットの交換時や保守点検時に、作業者の指
等が針で刺される虞がある。また、ニードル電極の電極
保持体が、従来は箱形であるので、空気の流れに対して
抵抗となり、圧力損失が大きいという、問題があった。
【０００６】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、集塵ユニットの交換作業や保守点検作業を安全
に行うことのできると共に、空気の流れに対する圧力損
失を軽減できる電気集塵ユニットを提供することを目的
としている。
【０００７】
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１記載の発明は、尖った針先をそれぞれ有
し、各針先の回りにコロナ放電を起こして気体中の浮遊
微粒子を帯電させるための複数のニードル電極と、上記
各ニードル電極によって帯電させられた浮遊微粒子を静
電気力で吸引捕集するための捕集電極と、該捕集電極に
対応して設けられ、上記帯電した浮遊微粒子に上記捕集
電極へ向かう偏向力を付与するためのプレート状の偏向
電極とを備え、かつ、上記捕集電極と偏向電極との間
に、上記気体の流路が形成されてなる電気集塵ユニット
に係り、上記捕集電極は、断面コ字状のコ字型電極部が
複数並んで配列されて全体として断面櫛の歯状の構成と
され、かつ、上記捕集電極を構成する各コ字型電極部に
対応して複数のニードル電極が配されていると共に、上
記各ニードル電極は、その針先が、上記捕集電極の対応
するコ字型電極部の空洞にまで突入した状態で、上記偏
向電極の主たる面に取着固定されていることを特徴とし
ている。
【０００９】また、請求項２記載の発明は、請求項１記
載の電気集塵ユニットに係り、複数の第１のコ字型電極
部を有する第１の上記捕集電極と、複数の第２のコ字型
電極部を有する第２の上記捕集電極とが、互いに所定の
距離を開けて相対向配置され、上記第１及び第２の捕集
電極の間に介挿配置されたプレート状の上記偏向電極と
を備え、かつ、上記第１の捕集電極と偏向電極との間及
び上記第２の捕集電極と偏向電極との間に、上記気体の
流路が形成され、上記第１の捕集電極の各第１のコ字型
電極部に対応して前記複数の第１の上記ニードル電極が
配されていると共に、上記各第１のニードル電極は、そ
の針先が、対応する上記第１のコ字型電極部の空洞にま
で突入した状態で、上記偏向電極の第１の主たる面に取
着固定されていて、上記第２の捕集電極の各第２のコ字
型電極部に対応して前記複数の第２の上記ニードル電極
が配されていると共に、上記各第２のニードル電極は、
その針先が、対応する上記第２のコ字型電極部の空洞に
まで突入した状態で、上記偏向電極の第２の主たる面
（上記第１の主たる面に対する背面）に取着固定されて
いることを特徴としている。
【００１０】また、請求項３記載の発明は、請求項１又
は２記載の電気集塵ユニットに係り、上記偏向電極の主
たる面には、上記ニードル電極を取り付けるためのニー
ドル電極取付穴が設けられていて、かつ、上記各ニード
ル電極が、針部と胴体部とからなり、該胴体部が、上記
ニードル電極取付穴に緊密に嵌合した状態で、上記偏向
電極に取着固定されていることを特徴としている。
【００１１】また、請求項４記載の発明は、請求項１又
は２記載の電気集塵ユニットに係り、上記偏向電極の主
たる面には上記ニードル電極を取り付けるためのニード
ル電極取付穴が設けられていて、かつ、上記各ニードル
電極が、針部と太径の胴体部と細径の後端段部とからな
り、該後端段部が、上記ニードル電極取付穴に緊密に嵌
合した状態で、上記偏向電極に取着固定されていること
を特徴としている。
【００１２】また、請求項５記載の発明は、請求項１又
は２記載の電気集塵ユニットに係り、上記偏向電極の主
たる面には上記複数のニードル電極を取り付けるための
複数のニードル電極取付穴が設けられていて、かつ、上
記各ニードル電極が、針部と太径の胴体部と細径の後端
段部とからなり、該後端段部が、上記偏向電極の一の主
たる面側から対応する上記ニードル電極取付穴に差し込
まれ、裏面側からかしめられた状態で、上記偏向電極に
取着固定されていることを特徴としている。
【００１３】また、請求項６記載の発明は、請求項１又
は２記載の電気集塵ユニットに係り、上記偏向電極の主
たる面には上記ニードル電極を取り付けるためのニード
ル電極取付穴が設けられていて、かつ、各ニードル電極
が、針部と太径の胴体部と細径の後端段部とからなり、
該後端段部が、偏向電極の上記ニードル電極取付穴に差
し込まれた状態で、偏向電極にろう接固定されているこ
とを特徴としている。
【００１４】また、請求項７記載の発明は、請求項１乃
至６のいずれか１に記載の電気集塵ユニットに係り、上
記各ニードル電極が、その針先を、"対岸"の上記捕集電
極の所望の地点に向けて、上記偏向電極の主たる面に取
着固定されていることを特徴としている。
【００１５】また、請求項８記載の発明は、尖った針先
をそれぞれ有し、各針先の回りにコロナ放電を起こして
気体中の浮遊微粒子を帯電させるための複数のニードル
電極と、上記各ニードル電極によって帯電させられた浮
遊微粒子を静電気力で吸引捕集するための捕集電極と、
該捕集電極に対応して設けられ、上記帯電した浮遊微粒
子に上記捕集電極へ向かう偏向力を付与するための偏向
電極とを備え、かつ、上記捕集電極と偏向電極との間
に、上記気体の流路が形成されてなる電気集塵ユニット
に係り、上記捕集電極は、断面コ字状のコ字型電極部が
複数並んで配列されて全体として断面櫛の歯状の構成と
され、同じく、上記偏向電極も、全体として断面櫛の歯
状の構成とされ、かつ、上記偏向電極の各"櫛の歯"が上
記捕集電極の対応する上記コ字型電極部に離隔状態で差
し込まれることで、上記捕集電極の"櫛の歯"と上記偏向
電極の"櫛の歯"とが１本ずつ交互に配列され、上記各ニ
ードル電極は、その針先が、上記捕集電極を構成する任
意の上記コ字型電極部の空洞にまで突入した状態で、対
応する偏向電極の"櫛の歯"に取着固定されていることを
特徴としている。
【００１６】また、請求項９記載の発明は、請求項８記
載の電気集塵ユニットに係り、上記各ニードル電極が、
後端面に溝部を有し、該後端面の溝部が、対応する上記
偏向電極の"櫛の歯"の先端エッジに緊密に嵌合した状態
で、上記偏向電極に取着固定されていることを特徴とし
ている。
【００１７】また、請求項１０記載の発明は、請求項８
記載の電気集塵ユニットに係り、上記各ニードル電極
が、針部と胴体部とからなり、該胴体部側面が、対応す
る上記偏向電極の"櫛の歯"の任意の１の主たる面に当接
接着された状態で、上記偏向電極に取着固定されている
ことを特徴としている。
【００１８】また、請求項１１記載の発明は、請求項
８，９又は１０記載の電気集塵ユニットに係り、上記各
ニードル電極が、その針先を、"対岸"の上記捕集電極の
所望の地点に向けて、上記偏向電極の主たる面に取着固
定されていることを特徴としている。
【００１９】また、請求項１２記載の発明は、請求項１
乃至１１のいずれか１に記載の電気集塵ユニットに係
り、上記捕集電極及び／又は偏向電極が、紙又は合成樹
脂の表面に金属コーティングしたものであることを特徴
としている。
【００２０】また、請求項１３記載の発明は、請求項１
乃至１１のいずれか１に記載の電気集塵ユニットに係
り、上記捕集電極及び／又は偏向電極が、紙又は合成樹
脂と金属箔との積層体からなることを特徴としている。
【００２１】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行う。 ◇第１実施例 図１は、この発明の第１実施例である電気集塵ユニット
の概略構成を一部破断して示す一部破断斜視図、また、
図２は、同電気集塵ユニットの概略構成を部分的に示す
部分平面図である。この例の集塵ユニットは、天井埋込
み式空気清浄機、壁掛け式空気清浄機、ハイテーブル型
空気清浄機、簡易携帯型分煙機等の各種空気清浄機に組
み込まれて使用されるもので、図１及び図２に示すよう
に、尖った針先１１ａ，１１ａ，…の回りにコロナ放電
を起こしイオン化空間領域を形成して、通過空気中の浮
遊微粒子を帯電させるための複数のニードル電極１１，
１１，…と、各ニードル電極１１，１１，…によって帯
電させられた浮遊微粒子を静電気力で吸引捕集するため
の複数の共通捕集電極２１，２１，…と、共通捕集電極
２１，２１，…に対応して設けられ、帯電した浮遊微粒
子に共通捕集電極２１，２１，…へ向かう偏向力を付与
するための複数の共通偏向電極３１，３１，…と、図示
せぬ筐体とを備えて構成され、対をなす共通捕集電極２
１，２１，…と共通偏向電極３１，３１，…との間に
は、清浄にすべき空気の流路が形成されている。
【００２２】共通捕集電極２１，２１，…は、長尺な金
属平板の支持板２１ａ，２１ａ，…の片面又は両面に、
複数のコ字型金属板２１ｂ，２１ｂが、開口部を外側に
向けて、支持板短手方向に平行に、かつ、互いに等間隔
に配列接合されることで、支持板２１ａ，２１ａ，…の
長手方向に断面コ字状のコ字型電極部２１ｃ，２１ｃ，
…が複数並んで形成され、全体として断面櫛の歯状を呈
してなっている。なお、この例では、ユニット内側にて
隣接配置される２つの共通捕集電極２１，２１は、１枚
の支持板２１ａ，２１ａ，…の両面に、複数のコ字型金
属板２１ｂ，２１ｂを配列接合することで、一体化して
形成されている（もちろん、隣接する２つの共通捕集電
極２１，２１を別々に形成しても良い）。また、共通偏
向電極３１，３１，…は、共通捕集電極２１，２１，…
を構成する支持板２１ａ，２１ａ，…と略同寸同形の長
尺な金属平板からなっている。この例では、１枚の金属
平板の一方の面を、隣接する２つの共通偏向電極３１，
３１のうちの一方の電極３１とし、他方の面を他方の電
極３１としている（もちろん、隣接する２つの共通偏向
電極３１，３１を互いに別体にしても良い）。
【００２３】また、ニードル電極１１，１１，…は、酸
化防止のために、ニッケルメッキ（膜厚２〜１０μｍ）
が施されたステンレス鋼製の針先（針部）１１ａと、針
先１１ａを支える円柱状の胴体部１１ｂとから構成され
ていて、共通捕集電極２１，２１，…の各コ字型電極部
２１ｃ，２１ｃ，…に１対１に対応して配置され、針先
１１ａ，１１ａ，…を、共通捕集電極２１，２１，…の
対応するコ字型電極部２１ａ，２１ａ，…の空洞にまで
突入させ、かつ、"対岸"の共通捕集電極２１，２１，…
（支持板２１ａ又はコ字型金属板２１ｂのウェブ部）に
垂直に向けて、（共通偏向電極２つ分に相当する）長尺
な金属平板の両面に、銀ろう等の接着剤の助けを借り
て、固定されている。
【００２４】このように、この例の構成によれば、ニー
ドル電極１１，１１，…の向きを開口部に対して、横向
きにしたので、集塵ユニットの交換作業時や保守点検作
業時に、作業者の指等が針で刺される危険を防止でき、
安全である。それゆえ、この例の集塵ユニットは、業務
用に限らず、広く家庭用の空気清浄機にも適用できる。
加えて、従来の箱柱型のニードル保持体を用いないの
で、気体流路が圧迫されず、このため、圧力損失を著し
く軽減でき、それゆえ、集塵ユニット、ひいては、空気
清浄機の小型化の推進に寄与できる。
【００２５】◇第２実施例 図３は、この発明の第２実施例である電気集塵ユニット
の概略構成を部分的に示す部分平面図、また、図４は、
同第２実施例で採用されるニードル電極の取着方法を工
程順に説明するための工程説明図である。この例の構成
が、上述の第１実施例の構成と大きく異なるところは、
共通偏向電極３２，３２，…の主たる面に、図４（ａ）
に示すように、一定の間隔を開けて、ニードル電極１
２，１２，…を取付固定するための複数の取付穴ｈ，
ｈ，…を穿設しておき、同図（ｂ）に示すように、ニー
ドル電極１２，１２，…を、銀ろう等の接着剤の助けを
借りずに、共通偏向電極３２，３２，…の取付穴ｈ，
ｈ，…に嵌合固着するようにした点である。ここで、取
付穴ｈ，ｈ，…の穴径は、予め、ニードル電極の針先
（針部）１２ａ，１２ａ，…の最大直径よりも大きい
が、胴体部１２ｂ，１２ｂ，…の直径よりは小さく設定
されている。
【００２６】ニードル電極１２，１２，…を共通偏向電
極３２，３２，…に取着固定するには、まず、図４
（ａ）に示すように、ニードル電極１２，１２，…を共
通偏向電極３２，３２，…の取付穴ｈ，ｈ，…に、図中
上方から差し込む。このとき、各ニードル電極１２，１
２，…の針部１２ａ，１２ａ，…の最大直径は、取付穴
ｈ，ｈ，…の穴径よりも小さいため、針部１２ａ，１２
ａ，…は、難なく穴内を貫通するが、胴体部１２ｂ，１
２ｂ，…は、取付穴ｈ，ｈ，…の穴径よりも大きいた
め、ニードル電極１２，１２，…は、胴体部１２ｂ，１
２ｂ…の先端部にて、取付穴ｈ，ｈ，…に係止される。
【００２７】次に、図示せぬエアハンマー等の打撃機で
各ニードル電極１２，１２，…の胴体部１２ｂ，１２
ｂ，…の後端面を打撃し、この撃力により、太径の胴体
部１２ｂ，１２ｂ，…が細径の取付穴ｈ，ｈ，…に打ち
込まれる。取付穴ｈ，ｈ，…は、胴体部１２ｂ，１２
ｂ，…のめり込みにより、弾性変形し、この弾性変形に
伴う弾性復原力・高摩擦力の発生により、ニードル電極
１２，１２，…の胴体部１２ｂ，１２ｂ，…が取付穴
ｈ，ｈ，…に緊密に嵌合固着する（同図（ｂ））。この
ようにして、ニードル電極１２，１２，…が、共通偏向
電極３２，３２，…に取着固定される。この例では、ニ
ードル電極１２，１２，…を、共通偏向電極３２，３
２，…の片面にのみ取着するようにしたので、集塵ユニ
ットの組立の際には、図３に示すように、隣接する２つ
の共通偏向電極３２，３２を、背中合わせにして組み込
む。なお、上記した点を除けば、上述の第１実施例と略
同様であるので、図３において、図２の構成部分と同一
の各部には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【００２８】このように、この例の集塵ユニットの構成
によっても、上述の第１実施例で述べたと略同様の効果
を得ることができる。加えて、ろう接に頼らずに、打撃
嵌着によるだけで、ニードル電極１２を共通偏向電極３
２に取付固定できるようにしたので、ニードル電極１２
の取付固定作業を著しく迅速化できる。
【００２９】◇第３実施例 図５は、この発明の第３実施例で採用されるニードル電
極の取着方法を工程順に説明するための工程説明図であ
る。この第３実施例の構成が、上述の第２実施例の構成
と大きく異なるところは、図５に示すように、ニードル
電極１３を、針先（針部）１３ａと太径の胴体部１３ｂ
と細径の後端段部１３ｃとから構成し、この後端段部１
３ｃを、ニードル電極１３の取付穴ｈに緊密に嵌合させ
て、共通偏向電極３３に取着固定するようにした点であ
る。ここで、ニードル電極１３の後端段部１３ｃの縁端
は、面取りされて角部を丸くされている。また、取付穴
ｈの穴径は、予め、ニードル電極１３の後端段部１３ｃ
の最大直径よりも小さく設定され、一方、後端段部１３
ｃの縁端の径よりも大きく設定されている。
【００３０】ニードル電極１３，１３，…を共通偏向電
極３３，３３，…に取着固定するには、まず、図５
（ａ）に示すように、ニードル電極１３，１３，…の後
端段部１３ｃ，１３ｃ，…を共通偏向電極３３，３３，
…の取付穴ｈ，ｈ，…に、図中上方から差し込む。この
とき、後端段部１３ｃ，１３ｃ，…の縁端は、面取りさ
れて、取付穴ｈ，ｈ，…の穴径よりも小さくなっている
ため、取付穴ｈに位置決め係止される。
【００３１】次に、図示せぬエアハンマー等の打撃機で
後端段部１３ｃ，１３ｃ，…を取付穴ｈ，ｈ，…に打ち
込む。取付穴ｈ，ｈ，…は、後端段部１３ｃ，１３ｃ，
…のめり込みにより、弾性変形し、この弾性変形に伴う
弾性復原力・高摩擦力の発生により、後端段部１３ｃ，
１３ｃ，…が取付穴ｈ，ｈ，…に緊密に嵌合固着する
（同図（ｂ））。このようにして、ニードル電極１３，
１３，…が、共通偏向電極３３，３３，…に取着固定さ
れる。この第３実施例の構成によっても、上述の第２実
施例で述べたと略同様の効果を得ることができる。
【００３２】◇第４実施例 図６は、この発明の第４実施例で採用されるニードル電
極の取着方法を工程順に説明するための工程説明図であ
る。この第４実施例の構成が、上述の第３実施例のそれ
と大きく異なるところは、打撃嵌着による固定に代え
て、かしめによる固定方法を採用した点である。この例
のニードル電極１３は、針先（針部）１４ａと太径の胴
体部１４ｂと細径の後端段部１４ｃとからなっている。
また、共通偏向電極３４の取付穴ｈの穴径は、予め、ニ
ードル電極１３の後端段部１３ｃの直径よりも大きく設
定されている。この例において、ニードル電極１４を固
定するには、まず、図６（ａ）に示すように、ニードル
電極１４の後端段部１４ｃを、共通偏向電極３４の取付
穴ｈに差し込んで、図示せぬ冶具により保持する。次
に、同図（ｂ）に示すように、高速偏心回転式かしめ機
４の回転軸先端に設けられた偏心力かしめ具４ａを、取
付穴ｈから上方にはみ出したニードル電極１４の後端段
部１４ｃに押し付けた状態で、高速偏心回転させる。こ
の回転時、ニードル電極１４の後端段部１４ｃに大きな
偏心力が作用して、後端段部１４ｃをかしめる。かしめ
後は、同図（ｂ）中左側に示すように、後端段部１４
ｃ’が半径方向に塑性変形して、共通偏向電極３４と一
体化しているので、もはや、ニードル電極１４の取り外
しは、不可能となる。
【００３３】このように、この例の構成によれば、上述
した第１乃至第３実施例と略同様の効果を得ることがで
きる。加えて、ニードル電極１４の根元が、堅固に共通
偏向電極３４にかしめられて、一体化されているので、
ニードル電極の固定が一段と堅固となる。したがって、
対機械的衝撃性及び対熱的衝撃性も向上するので、耐久
性及び集塵効率の安定性が著しく向上する。
【００３４】◇第５実施例 図７は、この発明の第５実施例で採用されるニードル電
極の取着方法を工程順に説明するための工程説明図であ
る。この例の構成が、上述の第４実施例のそれと大きく
異なるところは、かしめによる固定に代えて、図７に示
すように、銀ろうＧによる固定方法を採用した点であ
る。これ以外の点では、上述の第４実施例の構成と略同
様であるので、図７において、図６の構成部分と同一の
構成各部には、同一の符号を付してその説明を省略す
る。上記構成によれば、共通偏向電極の取付穴ｈに位置
決めされた状態でのろう接であるので、従来に較べれ
ば、接合品質の均質化良質化を達成できる。
【００３５】◇第６実施例 図８は、この発明の第６実施例である電気集塵ユニット
の概略構成を一部破断して示す一部破断斜視図、また、
図９は、同電気集塵ユニットの概略構成を部分的に示す
部分平面図である。この例の電気集塵ユニットが、上述
した第１乃至第５実施例のそれと大きく異なるところ
は、図８及び図９に示すように、平板状の共通偏向電極
３１，３２．３３，３４に代えて、全体として断面櫛の
歯状の共通偏向電極３６を用いるようにした点、そし
て、共通偏向電極３６の各"櫛の歯"３６ａ，３６ａ，…
を共通捕集電極２１の対応するコ字型電極部２１ｃ，２
１ｃ，…に離隔状態で差し込むことで、共通捕集電極２
１の"櫛の歯"２１ｄ，２１ｄ，…と共通偏向電極３６
の"櫛の歯"３６ａ，３６ａ，…とを１本ずつ交互に配列
するようにした点、さらに、各ニードル電極１６の胴体
部１６ｂの後端面に溝部１６ｄを設ける一方、その針先
１６ａを、共通捕集電極２１の対応するコ字型電極部２
１ｃの空洞にまで突入させ、かつ、"対岸"の共通捕集電
極２１（支持板２１ａ又はコ字型金属板２１ｂのウェブ
部）に垂直に向けた状態で、溝部１６ｄを、共通偏向電
極３６の"櫛の歯"３６ａの先端エッジに緊密に嵌合させ
ることで、共通偏向電極３６に取着固定するようにした
点である。
【００３６】この第６実施例の構成によっても、上記し
た第１乃至第５実施例で述べたと略同様の効果を得るこ
とができる。
【００３７】◇第７実施例 図１０は、この発明の第７実施例である電気集塵ユニッ
トの概略構成を部分的に示す部分平面図である。この実
施例では、ニードル電極１７は、針部１７ａと胴体部１
７ｂとからなり、図１０に示すように、胴体部１７ｂ側
面が、銀ろう等の接着剤で、共通偏向電極３６の"櫛の
歯"３６ａの一側面（主たる面）に当接接着された状態
で、共通偏向電極３６ａに取着固定されている。
【００３８】この第７実施例の構成によっても、上記し
た第６実施例で述べたと略同様の効果を得ることができ
る。
【００３９】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、ニードル
電極、共通偏向電極、共通捕集電極等の形状や個数や配
列は、上述の実施例のものに限らず、必要に応じて変更
できる。また、かしめる手段も、実施例の高速偏心回転
式かしめ機を用いる場合に限定されない。この発明は、
電気集塵装置及びその製造方法に係り、特に、空気清浄
機、ディーゼルエンジンの排気黒煙除去装置及び工場の
オイルミスト除去装置等に適用して好適な電気集塵装置
及びその製造方法に関する。なお、この発明の電気集塵
ユニットは、空気清浄機に限らず、排気黒煙除去装置や
オイルミスト除去装置や電気集塵装置等にも適用でき
る。また、捕集電極及び／又は偏向電極の素材として
は、金属板体に限らず、紙又は合成樹脂の表面に金属コ
ーティングしたもの、あるいは、紙又は合成樹脂と金属
箔との積層体からなるものでも良い。このようにすれ
ば、軽量化・低コスト化を図ることができ、使い捨て
（廃棄処理）が容易となる。
【００４０】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成に
よれば、ニードル電極の向きを開口部に対して、横向き
にしたことにより、集塵ユニットの交換時や保守点検時
に、作業者の指等が針で刺されたりする危険を防止で
き、安全である。それゆえ、この例の集塵ユニットは、
業務用に限らず、広く家庭用の空気清浄機にも適用でき
る。加えて、従来の箱柱型のニードル保持体を用いない
ので、気体流路が圧迫されず、このため、圧力損失を著
しく軽減でき、それゆえ、集塵ユニット、ひいては、空
気清浄機の小型化の推進に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の第１実施例である電気集塵ユニット
の概略構成を一部破断して示す一部破断斜視図である。
【図２】同電気集塵ユニットの概略構成を部分的に示す
部分平面図である。
【図３】この発明の第２実施例である電気集塵ユニット
の概略構成を部分的に示す部分平面図である。
【図４】同第２実施例で採用されるニードル電極の取着
方法を工程順に説明するための工程説明図である。
【図５】この発明の第３実施例で採用されるニードル電
極の取着方法を工程順に説明するための工程説明図であ
る。
【図６】この発明の第４実施例で採用されるニードル電
極の取着方法を工程順に説明するための工程説明図であ
る。
【図７】この発明の第５実施例で採用されるニードル電
極の取着方法を工程順に説明するための工程説明図であ
る。
【図８】この発明の第６実施例である電気集塵ユニット
の概略構成を一部破断して示す一部破断斜視図である。
【図９】同電気集塵ユニットの概略構成を部分的に示す
部分平面図である。
【図１０】この発明の第６実施例である電気集塵ユニッ
トの概略構成を部分的に示す部分平面図である。
【図１１】従来におけるハイテーブル型の空気清浄機の
外観構成を示す斜視図である。
【図１２】同空気清浄機の内部構造が見える断面図であ
る。
【図１３】従来の電気集塵ユニットの構成を示す断面図
である。
【図１４】従来の電気集塵ユニットの構成を分解して示
す断面図である。
【符号の説明】
１１，１２，１３，１４，１６，１７ ニードル電
極 １１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａ，１６ａ，１７ａ
針先（針部） １１ｂ，１２ｂ，１３ｂ，１４ｂ，１６ｂ，１７ｂ
胴体部 １６ｄ 溝部 １３ｃ，１４ｃ 後端段部 １４ｃ’ かしめ後の後端段部 ２１ 共通捕集電極（捕集電極、第１の捕集電極、
第２の捕集電極） ２１ａ 支持板 ２１ｂ コ字型金属板 ２１ｃ コ字型電極部（第１のコ字型電極部、第２
のコ字型電極部） ２１ｄ 共通捕集電極の"櫛の歯" ３１，３２．３３，３４，３６ 共通偏向電極（偏
向電極） ３６ａ 共通偏向電極の"櫛の歯" ４ 高速偏心回転式かしめ機 ４ａ 偏心力かしめ具 ｈ 取付穴（ニードル電極取付穴）
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ Ｂ０３Ｃ 3/60 Ｂ０３Ｃ 3/60 (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 尖った針先をそれぞれ有し、各針先の回
    りにコロナ放電を起こして気体中の浮遊微粒子を帯電さ
    せるための複数のニードル電極と、前記各ニードル電極
    によって帯電させられた浮遊微粒子を静電気力で吸引捕
    集するための捕集電極と、該捕集電極に対応して設けら
    れ、前記帯電した浮遊微粒子に前記捕集電極へ向かう偏
    向力を付与するためのプレート状の偏向電極とを備え、
    かつ、前記捕集電極と偏向電極との間に、前記気体の流
    路が形成されてなる電気集塵ユニットであって、 前記捕集電極は、断面コ字状のコ字型電極部が複数並ん
    で配列されて全体として断面櫛の歯状の構成とされ、か
    つ、 前記捕集電極を構成する各コ字型電極部に対応して前記
    複数のニードル電極が配されていると共に、前記各ニー
    ドル電極は、その針先が、前記捕集電極の対応する前記
    コ字型電極部の空洞にまで突入した状態で、前記偏向電
    極の主たる面に取着固定されていることを特徴とする電
    気集塵ユニット。
  2. 【請求項２】 複数の第１のコ字型電極部を有する第１
    の前記捕集電極と、複数の第２のコ字型電極部を有する
    第２の前記捕集電極とが、互いに所定の距離を開けて相
    対向配置され、前記第１及び第２の捕集電極の間に介挿
    配置されたプレート状の前記偏向電極とを備え、かつ、
    前記第１の捕集電極と偏向電極との間及び前記第２の捕
    集電極と偏向電極との間に、前記気体の流路が形成さ
    れ、 前記第１の捕集電極の各第１のコ字型電極部に対応して
    前記複数の第１の前記ニードル電極が配されていると共
    に、前記各第１のニードル電極は、その針先が、対応す
    る前記第１のコ字型電極部の空洞にまで突入した状態
    で、前記偏向電極の第１の主たる面に取着固定されてい
    て、 前記第２の捕集電極の各第２のコ字型電極部に対応して
    前記複数の第２の前記ニードル電極が配されていると共
    に、前記各第２のニードル電極は、その針先が、対応す
    る前記第２のコ字型電極部の空洞にまで突入した状態
    で、前記偏向電極の第２の主たる面（前記第１の主たる
    面に対する背面）に取着固定されていることを特徴とす
    る請求項１記載の電気集塵ユニット。
  3. 【請求項３】 前記偏向電極の主たる面には前記ニード
    ル電極を取り付けるためのニードル電極取付穴が設けら
    れていて、かつ、 前記各ニードル電極は、針部と胴体部とからなり、該胴
    体部が、前記ニードル電極取付穴に緊密に嵌合した状態
    で、前記偏向電極に取着固定されていることを特徴とす
    る請求項１又は２記載の電気集塵ユニット。
  4. 【請求項４】 前記偏向電極の主たる面には前記ニード
    ル電極を取り付けるためのニードル電極取付穴が設けら
    れていて、かつ、 各ニードル電極は、針部と太径の胴体部と細径の後端段
    部とからなり、該後端段部が、前記ニードル電極取付穴
    に緊密に嵌合した状態で、前記偏向電極に取着固定され
    ていることを特徴とする請求項１又は２記載の電気集塵
    ユニット。
  5. 【請求項５】 前記偏向電極の主たる面には前記複数の
    ニードル電極を取り付けるための複数のニードル電極取
    付穴が設けられていて、かつ、 前記各ニードル電極は、針部と太径の胴体部と細径の後
    端段部とからなり、該後端段部が、前記偏向電極の一の
    主たる面側から対応する前記ニードル電極取付穴に差し
    込まれ、裏面側からかしめられた状態で、前記偏向電極
    に取着固定されていることを特徴とする請求項１又は２
    記載の電気集塵ユニット。
  6. 【請求項６】 前記偏向電極の主たる面には前記ニード
    ル電極を取り付けるためのニードル電極取付穴が設けら
    れていて、かつ、 前記各ニードル電極は、針部と太径の胴体部と細径の後
    端段部とからなり、該後端段部が、偏向電極の前記ニー
    ドル電極取付穴に差し込まれた状態で、前記偏向電極に
    ろう接固定されていることを特徴とする請求項１又は２
    記載の電気集塵ユニット。
  7. 【請求項７】 前記各ニードル電極は、その針先を、"
    対岸"の前記捕集電極の所望の地点に向けて、前記偏向
    電極の主たる面に取着固定されていることを特徴とする
    請求項１乃至６のいずれか１に記載の電気集塵ユニッ
    ト。
  8. 【請求項８】 尖った針先をそれぞれ有し、各針先の回
    りにコロナ放電を起こして気体中の浮遊微粒子を帯電さ
    せるための複数のニードル電極と、前記各ニードル電極
    によって帯電させられた浮遊微粒子を静電気力で吸引捕
    集するための捕集電極と、該捕集電極に対応して設けら
    れ、前記帯電した浮遊微粒子に前記捕集電極へ向かう偏
    向力を付与するための偏向電極とを備え、かつ、前記捕
    集電極と偏向電極との間に、前記気体の流路が形成され
    てなる電気集塵ユニットであって、 前記捕集電極は、断面コ字状のコ字型電極部が複数並ん
    で配列されて全体として断面櫛の歯状の構成とされ、同
    じく、前記偏向電極も、全体として断面櫛の歯状の構成
    とされ、 かつ、前記偏向電極の各"櫛の歯"が前記捕集電極の対応
    する前記コ字型電極部に離隔状態で差し込まれること
    で、前記捕集電極の"櫛の歯"と前記偏向電極の"櫛の歯"
    とが１本ずつ交互に配列され、 前記各ニードル電極は、その針先が、前記捕集電極を構
    成する任意の前記コ字型電極部の空洞にまで突入した状
    態で、対応する偏向電極の"櫛の歯"に取着固定されてい
    ることを特徴とする電気集塵ユニット。
  9. 【請求項９】 前記各ニードル電極は、後端面に溝部を
    有し、該後端面の溝部が、対応する前記偏向電極の"櫛
    の歯"の先端エッジに緊密に嵌合した状態で、前記偏向
    電極に取着固定されていることを特徴とする請求項８記
    載の電気集塵ユニット。
  10. 【請求項１０】 前記各ニードル電極は、針部と胴体部
    とからなり、該胴体部側面が、対応する前記偏向電極
    の"櫛の歯"の任意の１の主たる面に当接接着された状態
    で、前記偏向電極に取着固定されていることを特徴とす
    る請求項８記載の電気集塵ユニット。
  11. 【請求項１１】 前記各ニードル電極は、その針先
    を、"対岸"の前記捕集電極の所望の地点に向けて、前記
    偏向電極の主たる面に取着固定されていることを特徴と
    する請求項８，９又は１０記載の電気集塵ユニット。
  12. 【請求項１２】 前記捕集電極及び／又は偏向電極は、
    紙又は合成樹脂の表面に金属コーティングしたものであ
    ることを特徴とする請求項１乃至１１のいずれか１に記
    載の電気集塵ユニット。
  13. 【請求項１３】 前記捕集電極及び／又は偏向電極が、
    紙又は合成樹脂と金属箔との積層体からなることを特徴
    とする請求項１乃至１１のいずれか１に記載の電気集塵
    ユニット。
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