JP3059381U - 磁性流体シール装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンピュータ等における磁気記録部へ、
その駆動部から有害物質が放出されないように設けられ
ている磁性流体を使用したシール構造において、磁性流
体の軸方向への盛り上がりが大きいと、シールの高速回
転時に外側方向へ飛散してしまうので、その点を防止す
ることを目的とする。 【解決手段】 シャフト７の所定部分に溝９をつけるこ
と、内外のポールピース１、２の厚みを変えること、あ
るいは両者を組合せることによって、マグネット３から
発生する磁束の流れをコントロールして、上記課題を解
決する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、情報産業における磁気記録媒体を駆動するスピンドルモータ部分等 に使用される磁性流体シール装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の磁性流体シール装置は図６に示すように構成されていた。すなわち、ド ーナツ状円板の形状を有する磁性体で構成された一対のポールピース１、２の内 側面の間にこれよりも内径の大きいドーナツ状円板のマグネット３を挾んだ上で 、これらの周面をハウジング６に固定し、ドーナツ状の中央の孔に磁性体でなる シャフト７を挿入すると共に、このシャフト７とこれに対面するポールピース１ の先端面４との空隙に、上記マグネット３の形成する磁気回路により磁性流体５ を保持することによって構成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の磁性流体シール装置においては、マグネット３から発生する磁束を全て ポールピース１、２からシャフト７へ流すことはできず、ポールピース内径近傍 からシャフト７に流れる時の磁束の漏洩で、シャフトとポールピース１、２の空 隙に注入される磁性流体５は、ポールピース１面より軸方向に膨らみをもった形 に保持されるようになり、シールが高速回転した時、磁性流体５が外方へと飛散 し、磁性流体５の量が減少して寿命低下を招いたり、また、磁性流体５がポール ピース１外側面上に流出し、周囲を汚染してしまうという不具合が生じていた。 本考案はかかる従来の欠点を解決するもので、磁性流体シールをより高速回転 で使用しても、磁性流体の周囲への飛散を防止でき、これにより周囲汚染の防止 と寿命向上とを図ることが可能な高速回転磁性流体シール装置を提供するもので ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本考案の第一は、磁性流体シール装置において、ポールピース内径面と対向す るシャフト面に溝を設けた磁性流体シール装置である。

【０００５】 シャフト面に設ける溝は、ポールピース上面より０．０５ｍｍ程度高い位置と 、同下面より同じく０．０５ｍｍ程度低い位置に設けるとよい。この溝を設ける ことにより、ポールピースの外側面側への磁束の漏洩を抑えるとともに、シャフ トとの隙間部分の磁束密度を高くすることができる。したがって、高速回転して も磁性流体の飛散がなく、シール効果を十分に発揮する。

【０００６】 本考案の第二は、磁性流体シール装置において、磁性流体保持側ポールピース の厚みが反対側ポールピースの厚みより１．５〜３．０倍厚い磁性流体シール装 置である。

【０００７】 磁性流体保持側ポールピースの厚みが反対側ポールピースの厚みより厚い部分 は全体であってもよいし、マグネットを押えるための段部より内周側の部分だけ でもよい。又、段部は磁性流体保持側のポールピースの内側と外側の双方にあっ てもよいし、内側のみであってもよい。

【０００８】 このように外側のポールピースの厚みを厚くすることによって、磁束の流れる 量を増やし、外側面側への磁束の漏洩を抑えることができ、上述の溝形成と同等 の効果を奏する。１．５〜３．０倍の範囲は多くの試験の結果確認した範囲であ る。又、磁性流体とポールピースとの接触面積が大きくなって、抵抗値を下げ、 静電気を逃すアース効果を向上する。

【０００９】 本考案の第三は、磁性流体シール装置において、ポールピース内径面と対向す るシャフト面に溝を設け、かつ磁性流体保持側ポールピースの厚みが反対側ポー ルピースの厚みより１．５〜３．０倍厚い磁性流体シール装置である。

【００１０】 前述の第一と第二の構成を併用することによって、より一層磁束の漏洩を抑え 、そのことによる上述の効果を発揮することができる。

【００１１】

【考案の実施の形態】

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１２】 図１はその一例で、その基本構成は従来の技術で述べた図６と同じである。し たがって、図６と同一名称部分は同一符号をもって示してある。ポールピース１ 、２に対向するシャフト７の面にポールピース１の上面より０．０５ｍｍ程度高 い位置と、同じく下面より０．０５ｍｍ程度低い位置に深さ０．０５ｍｍ程度の ２本の溝９、９を設けたものである。これによってポールピース１の図における 上方側への磁束の漏洩を抑えると共にシャフト７との隙間部分の磁束密度を高く することができる。

【００１３】 図２と図３とは図における下側のポールピース２の厚みに対して上側ポールピ ース１の厚みを厚くしたものである。例えば０．１ｍｍに対して０．１５〜０． ３ｍｍとする。図２の場合はポールピース１の全体の厚みを厚くしているもので あり、図３の場合は、マグネット３の抑えの段部より先端部分のみを厚くしたも のである。いずれの場合も図における上面側への磁束の漏洩を抑えることができ る。

【００１４】 図４と図５とは、それぞれ図２と図３の構成に図１の溝９を併せて設けたもの である。

【００１５】

【考案の効果】

請求項１ではシャフトに溝を設けることにより、又、請求項２ではポールピー スの一方の厚みを他方の厚みより厚くすることにより、さらに請求項３では請求 項１と請求項２の構成を組合せることにより、マグネットから発生する磁束の流 れをコントロールして、磁束の漏洩を防ぎ、磁性流体の軸方向への盛り上がりを 小さくし、又、外方への飛散を防止してシール効果を十分に発揮すると共に、環 境汚染の防止と寿命を向上する。又、磁性流体とポールピースとの接触面積が大 となって、静電気を逃がすアース効果も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例の要部断面図である。

【図２】本考案の第２実施例の要部断面図である。

【図３】本考案の第３実施例の要部断面図である。

【図４】本考案の第４実施例の要部断面図である。

【図５】本考案の第５実施例の要部断面図である。

【図６】従来例の要部断面図である。

【符号の説明】

１，２ ポールピース ３ マグネット ４ 先端部 ５ 磁性流体 ６ ハウジング ７ シャフト ８ ボールベアリング ９ 溝

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁性流体シール装置において、ポールピ
   ース内径面と対向するシャフト面に溝を設けたことを特
   徴とする磁性流体シール装置。
2. 【請求項２】 磁性流体シール装置において、磁性流体
   保持側ポールピースの厚みが反対側ポールピースの厚み
   より１．５〜３．０倍厚いことを特徴とする磁性流体シ
   ール装置。
3. 【請求項３】 磁性流体シール装置において、ポールピ
   ース内径面と対向するシャフト面に溝を設け、かつ磁性
   流体保持側ポールピースの厚みが反対側ポールピースの
   厚みより１．５〜３．０倍厚いことを特徴とする磁性流
   体シール装置。