JP3059331U - 自動洗車ブラシ用洗浄体及びそれを用いた自動洗車ブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動洗車ブラシに用いる洗浄体１において、
外観的にソフトな印象を与える発泡合成樹脂を用い、車
両への当たりがソフトで、しかも車両の突起物へ巻き付
いたり反回転方向に大きく寝てしまいにくい適度な張り
を有し、更に砂粒の付着を生じにくい洗浄体１とする。 【解決手段】 表皮を有する発泡合成樹脂の押出成形品
であって、ストロー状の中空線材１ａ，１ｂ，…が複数
並列に一体化された洗浄体１とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自動洗車機のブラシとして用いる洗浄体及びこの洗浄体を用いた自 動洗車ブラシに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、自動洗車ブラシとしては、車両に接触して汚れを拭い取る洗浄体として 、中実線材を用いたものとシート材料を用いたものが知られている。

【０００３】 洗浄体として中実線材を用いた自動洗車ブラシとしては、古くから非発泡合成 樹脂の中実線材を洗浄体として用いたものが使用されている他、発泡倍率が１． １〜１．７倍の微発泡合成樹脂の押出成形品である異形断面の中実線材を洗浄体 として用い、これを多数束ねて回転軸の周囲に取り付けたもの（特公平６−２１ ３７１号公報）が知られている。

【０００４】 また、洗浄体としてシート材料を用いた自動洗車ブラシとしては、柔軟な独立 気泡の発泡シートを洗浄体として用い、そのままもしくは棒状にスリットして回 転軸に取り付けたもの（特開昭６１−２７１１５７号公報、特開昭６３−１６１ ９０４号公報）や、不織布等の柔軟性のあるシート材料を洗浄体として用い、そ の一側を束ねて回転軸に取り付けたもの（特開平５−２２９４１０号公報、特開 平８−３１８８２８号公報）が知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】

微発泡合成樹脂の中実線材を洗浄体とした従来の自動洗車ブラシは、古くから 使用されている非発泡合成樹脂の中実線材を洗浄体とした自動洗車ブラシに比し て車両への当たりがソフトで、車両の塗装面を傷付けにくい利点がある。しかし 、外観上、非発泡合成樹脂の中実線材を洗浄体とした旧来の自動洗車ブラシと区 別がつきにくく、塗装面が傷付きやすかったこの旧来の自動洗車ブラシと混同さ れて使用者に敬遠されがちな問題がある。

【０００６】 一方、シート材料の洗浄体としては、合成樹脂発泡体のスライスシート、不織 布、織布、編み物（ニット製品）等が使用されており、洗浄体が柔軟でソフトな 外観を呈することから、上記微発泡合成樹脂の中実線材を洗浄体のような外観的 要因で使用者に敬遠されることが少ない。しかし、このようなシート材料はコス ト的に高いばかりか、水を吸って重くなることで車両に当たった時の衝撃が大き くなったり、例えばフェンダーミラー等の突起物に巻き付いてこれを損傷させや すい。また、表面に気泡や繊維間の目が露出しているので、砂粒等が付着して車 両の塗装面を傷付けたり、油等の汚れを吸って逆にこれを車両に擦り付けてしま う問題もある。

【０００７】 ところで、微発泡合成樹脂の中実線材を洗浄体とした従来の自動洗車ブラシは 、上記のような外観上の問題はあるが、車両への当たりがソフトであるだけでな く、張りがあって突起物への巻き付きを生じにくく、また押出成形品で表皮を有 することから、吸水しにくいと同時に砂粒や汚れが付着を生じにくい。このため 、この中実線材を、微発泡合成樹脂ではなく、更に発泡倍率を高めた発泡合成樹 脂の押出成形品とし、外観上もソフトな印象を与えるものとして、上記外観的印 象の悪さを払拭して用いることが考えられる。

【０００８】 しかしながら、発泡合成樹脂製の中実線材とすると、洗浄体が柔軟になり過ぎ て垂れやすく、突起物への巻き付きが生じやすくなったり、洗浄時に反回転方向 に大きく寝てしまって車両に十分接触させにくくなり、洗浄性能も低下してしま うことになる。

【０００９】 本考案は、このような従来の問題点にかんがみてなされたもので、外観的にソ フトな印象を与える発泡合成樹脂を用い、車両への当たりがソフトで、しかも突 起物へ巻き付いたり反回転方向に大きく寝てしまいにくい適度な張りを有し、更 に砂粒や汚れの付着を生じにくい自動洗車ブラシ用洗浄体及びそれを用いた自動 洗車ブラシを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

このために本考案は、ストロー状の中空線材が複数並列に一体化された形態を なす発泡合成樹脂の一体の押出成形品であって表皮を有することを特徴とする自 動洗車ブラシ用洗浄体を提供するものである。また、本考案は、この自動洗車ブ ラシ用洗浄体が回転軸の周囲に取り付けられていることを特徴とする自動洗車ブ ラシを提供するものでもある。

【００１１】 本考案は、ストロー状の中空線材としたことと、これを複数並列に一体化させ たことにより、発泡合成樹脂製としても、突起物に巻き付いたり寝てしまいにく くなるよう、張りを持たせているものである。また、発泡合成樹脂製であること によってソフトな外観を呈すると共に、中空であることも相俟って、車両への当 たりがソフトになり、更に、押出成形品であって表皮を有することによって、過 剰な吸水と砂粒等の付着を防止しているものである。

【００１２】

【考案の実施の形態】

本洗浄態１は図１に示されるようなもので、本洗浄体１を構成する合成樹脂と しては、押出発泡成形することができる熱可塑性樹脂であれば特に制限はないが 、良好な耐久性が得やすいことから、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の ポリオレフィン、ポリオレフィンを５０重量部以上含有するポリオレフィン系共 重合体、ポリスチレンにゴム補強体を配合したハイインパクトポリスチレン、更 にはポリウレタン等を好ましく用いることができる。

【００１３】 本洗浄体１は、上記のような合成樹脂の発泡体によって構成されているもので 、その発泡倍率は、過剰に柔軟になり過ぎることなくソフトな外観が得られるよ うにするために、２〜１５倍が好ましく、特に好ましくは５〜１０倍である。発 泡倍率が２倍未満では、外観上硬質感があり、外観的印象の悪さを拭い去りにく い。また、発泡倍率が１５倍を超えると、柔軟になり過ぎて、車両の突起物に巻 き付きやすくなったり、反回転方向に寝てしまいやすくなる。

【００１４】 本洗浄体１は、図１に示されるように、ストロー状の中空線材１ａ，１ｂ，… が複数並列に一体化された形態をなす。各中空線材１ａ，１ｂ，…は、中空であ るために、構成材料が上記発泡倍率の発泡合成樹脂であっても腰の強さが得やす く、車両の突起物に巻き付いたり、洗浄時の回転に伴って反回転方向に大きく寝 てしまうことのない適度な張りが得られる。この反面、中空であるために径方向 にはスポンジ状に押し潰すことができ、車両へのソフトな接触がもたらされる。 また、中空線材１ａ，１ｂ，…が複数並列に一体化されているので、中空線材１ ａ，１ｂ，…同士が支え合って上記腰の強さが補われると共に、テープ状もしく は帯状の洗浄体となって取り扱い性が向上する。

【００１５】 ストロー状の各中空線材１ａ，１ｂ，…は、外径が１〜５ｍｍの円筒状で、３ 本以上が並列に一体化されていることが好ましく、特に外径１．５〜３ｍｍの円 筒状で、５本以上が並列に一体化されていることが好ましい。外径が１ｍｍ未満 では必要な腰の強さが得にくく、外径が５ｍｍを超えるとパイプ状となって外観 的印象が悪くなる。また、並列一体化する中空線材１ａ，１ｂ，…の本数が３本 未満では、全体の腰の強さがやや弱くなる。並列一体化させる中空線材１ａ，１ ｂ，…の本数の上限は特に制限はないが、過剰に多くすると成形に大掛かりな装 置が必要となり、各中空線材１ａ，１ｂ，…を一体かつ均一に押出成形すること が難しくなることから、実用上は１０本程度である。

【００１６】 本洗浄体１は、押出成形品で、外周面に表皮（内部の気泡を覆う表面の薄い合 成樹脂層）を有するものである。この表皮は、押出成形品の外面に成形過程で形 成されるもので、この表皮によって内部の発泡層が覆われることから、砂粒等が 付着しにくく、付着した砂粒等による車両の塗装面の傷付きを防止しやすい。ま た、過剰に水分を吸収して重くなり、車両への当たりが強まることも防止するこ とができる。

【００１７】 上記本洗浄体１は、図２及び図３に示されるような押出成形によって容易に得 ることができる。

【００１８】 本洗浄体１の押出成形には、図２に示されるように、溶融した発泡性合成樹脂 （発泡剤を添加した合成樹脂）が押し出される複数の押出孔２，２，…が接近し て一列に設けられ、各押出孔２，２，…間がスリット３，３，…で連結されてい る押出ダイ４が使用される。また、この押出ダイ４の内側には、各押出孔２，２ ，…から押し出される発泡性合成樹脂中にガス（例えば空気、窒素ガス等）を吹 き込むためのガスノズル５，５，…が押し出し方向に向けて設けられている。

【００１９】 上記のような押出ダイ４及びガスノズル５，５，…を有する押出成形装置を用 い、各押出孔２，２，…とスリット３，３，…から溶融した発泡性合成樹脂を押 し出すと共に、各押出孔２，２，…から押し出される発泡性合成樹脂中にガスノ ズル５，５，…からガスを吹き込む。すると、各押出孔２，２，…から押し出さ れる発泡性合成樹脂は、表皮を有する線材として押出発泡成形されるだけでなく 、吹き込まれたガスによってストロー状の中空線材１ａ，１ｂ，…となり、しか もスリット３，３，…から押し出された発泡性合成樹脂によって、相隣接する押 出孔２，２，…から押し出されて成形された中空線材１ａ，１ｂ，…が相互に一 体となって本洗浄体１が成形されることになる。

【００２０】 本洗浄体１は、モーター等の動力源によって回転駆動される回転軸の周囲に取 り付けられて、自動洗車機の自動洗車ブラシとして使用されるものである。この 回転軸への取り付けは、例えば図４に示されるように、長尺のクランプ金具６を 用いて行うことができる。このクランプ金具６としては、例えば開口した頂部の 両側に上方に突出した締付部７，７を形成した断面三角形状の長尺中空材料を用 いることができる。本洗浄体１は、ワイヤー等の固定芯８を挟んで二つ折りにさ れ、固定芯８を挟んだ折り曲げ部分が開口部からクランプ金具６の内部に差し込 まれる。本洗浄体１をクランプ金具６の開口部に沿って多数並べた後、クランプ 金具６の開口部を狭めることで、本洗浄体１は締付部７，７で締め付け固定され る。このクランプ金具６にセットされた本洗浄体１は、例えば回転軸の外周面軸 方向に形成された差し込み溝にクランプ金具６を差し込むことで取り付けること ができる。また、回転軸の周囲にクランプ金具６を螺旋状に巻き付け固定するこ とによって取り付けることもできる。

【００２１】 本洗浄体１は、図５に示されるように、中空線材１ａ，１ｂ，…の外面に、中 心軸方向に連続する突起９，９，…を形成しておくことが好ましい。この突起９ ，９，…を形成しておくと、突起９，９，…によって車両の汚れを擦り取りやす くなる。突起９，９，…は、図２に示される押出孔２，２，…の対応位置に溝を 形成しておくことで容易に形成することができる。また、突起９，９，…は、１ 本の中空線材１ａ，１ｂ，…に図示されるような２条ではなく、１条や３条以上 とすることもできる。

【００２２】 また、本洗浄体１は、車両と接触する先端側の各中空線材１ａ，１ｂ，…間を 多少裂いておいたり、使用と共に裂けるよにしておくと、先端が各中空線材１ａ ，１ｂ，…毎にばらけた状態となり、車両の細部にまで接触しやすくなるので好 ましい。

【００２３】

【考案の効果】

本考案は、以上説明した通りのものであり、ストロー状の中空線材１ａ，１ｂ ，…によって構成されていることと、これを複数並列に一体化させたものである ことにより、発泡合成樹脂製としても適度な張りを有し、車両の突起物に巻き付 いてこれを損傷したり、反回転方向に寝てしまって洗浄効果が低下することを防 止することができる。また、発泡合成樹脂製であることによってソフトな外観を 呈するだけでなく、中空であることも相俟って、車両への当たりがソフトになり 、車両と接触した時の衝撃を和らげ、車両の塗装面を保護することができる。更 には、押出成形品であって表皮を有するので、過剰に水を吸収して重くなり、車 両への当たりが強くなったり、砂粒や汚れが付着して車両の塗装面を傷付けたり 汚れを擦り付けることをも防止することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る洗浄体の一例の一部を示す斜視図
である。

【図２】本洗浄体の製造に適した押出ダイの一例を示す
正面図である。

【図３】本洗浄体の押出成形状態の説明図である。

【図４】本洗浄体を回転軸に取り付ける場合の説明図で
ある。

【図５】本考案に係る洗浄体の他の例の一部を示す斜視
図である。

【符号の説明】

１ 本洗浄体 １ａ 中空線材 １ｂ 中空線材 ２ 押出孔 ３ スリット ４ 押出ダイ ５ ガスノズル ６ クランプ金具 ７ 締付部 ８ 固定芯 ９ 突起

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ // Ａ４７Ｌ 13/10 Ａ４７Ｌ 13/10 Ｚ

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ストロー状の中空線材が複数並列に一体
   化された形態をなす発泡合成樹脂の一体の押出成形品で
   あって外周面に表皮を有することを特徴とする自動洗車
   ブラシ用洗浄体。
2. 【請求項２】 各中空線材が、外径１〜５ｍｍの円筒状
   で、この中空線材が３本以上並列に一体化されているこ
   とを特徴とする請求項１の自動洗車ブラシ用洗浄体。
3. 【請求項３】 発泡合成樹脂の発泡倍率が２〜１５倍で
   あることを特徴とする請求項１又は２の自動洗車ブラシ
   用洗浄体。
4. 【請求項４】 中空線材の外周面に、中心軸方向に連続
   する突起が形成されていることを特徴とする請求項１〜
   ３いずれかの自動洗車ブラシ用洗浄体。
5. 【請求項５】 発泡性合成樹脂が押し出される複数の押
   出孔が接近して一列に並べられていると共に、相隣接す
   る押出孔間がスリットで連結された押出ダイを用い、各
   押出孔から押し出される発泡性合成樹脂中にガスを吹き
   込みながら、各押出孔及びスリットから発泡性合成樹脂
   を押し出すことで成形された押出成形品であることを特
   徴とする請求項１〜４いずれかの自動洗車ブラシ用洗浄
   体。
6. 【請求項６】 請求項１〜５いずれかの自動洗車ブラシ
   用洗浄体が回転軸の周囲に取り付けられていることを特
   徴とする自動洗車ブラシ。