JP3058936B2 - ほうろうステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

ほうろうステンレス鋼板の製造方法

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JP3058936B2 JP3100512A JP10051291A JP3058936B2 JP 3058936 B2 JP3058936 B2 JP 3058936B2 JP 3100512 A JP3100512 A JP 3100512A JP 10051291 A JP10051291 A JP 10051291A JP 3058936 B2 JP3058936 B2 JP 3058936B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ほうろうステンレス鋼
板の製造方法に係り、特に表面の粗面化処理をせずに釉
薬の密着性に優れたほうろうステンレス鋼板の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ほうろうステンレス鋼板はステンレス鋼
素地表面に施釉し、焼成してガラス層を形成せしめたも
のであり、浴槽、洗面台、調理台などに汎用せられつつ
ある。しかしステンレス鋼素地とガラス層とは熱膨張率
に大きな差があり、従ってステンレス鋼素地からガラス
層が剥離し易く、密着性、耐衝撃性に問題を有するもの
である。
【0003】そこで従来、一般にはステンレス鋼素地表
面を粗面化してから施釉、焼成する方法がとられてい
る。この素地表面の粗面化の方法としては例えば特開昭
53-108039 号に開示されるショットあるいはサンドブラ
スト、液体ホーニング、固体ホーニング、研摩などによ
る物理的方法、王水、弗化水素などによる化学的方法、
空焼処理を施す方法があるが、これら従来の物理的な方
法においては素地に大きな歪が生じる可能性があり、化
学的方法では粗面化の度合いが小さくガラス層との密着
性に劣る。また、これらの方法は通常のステンレス鋼板
の製造工程にさらに1つ以上の工程が追加されることに
なり、生産性およびコストの面でも問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を改良し、ほうろう前処理としての粗面化処理
を省略できる釉薬との密着性に優れたほうろうステンレ
ス鋼板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため通常のステンレス鋼帯を連続焼鈍したあと酸洗
する際の焼鈍方法において前記焼鈍における焼鈍雰囲気
を加熱バーナー空気比0.6〜1.0の範囲内で例えば
液化石油ガス、液化天然ガス、プロパンガス等を燃焼さ
せた燃焼生成ガス雰囲気とすることにより、通常のステ
ンレス鋼帯の製造工程と全く同一の工程を用いて釉薬と
の密着性に優れるほうろうステンレス鋼板を生産性よく
製造しようとするものである。すなわち、本発明は、燃
焼ガス量に対して加熱バーナーの空気比を0.6〜1.
0の範囲内で燃焼させた燃焼生成ガス雰囲気中で焼鈍し
て得た冷延ステンレス鋼板を用い、表面の粗面化工程を
省略してほうろうがけ処理を施すことを特徴とするほう
ろうステンレス鋼板の製造方法を提供するものである。
【0006】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0007】通常冷間圧延されたフェライト系ステンレ
ス冷延鋼帯またはオーステナイト系ステンレス鋼帯は液
化石油ガス、液化天然ガス、プロパンガス等を燃焼させ
た雰囲気で焼鈍される。焼鈍時表面に生成した酸化スケ
ールを完全に除去するため、焼鈍後フェライト系ステン
レス冷延鋼帯はソルト処理あるいは中性塩電解処理後、
硝酸浸漬や電解処理を行い、オーステナイト系ステンレ
ス冷延鋼帯はソルト処理あるいは中性塩電解処理後、硝
フッ酸や硝酸等の酸を用いて浸漬または電解処理を行
う。このような酸洗処理後、水洗、乾燥を行った後ほう
ろうステンレス鋼素材とする。
【0008】本発明においては、上述した焼鈍時の燃焼
ガスの完全燃焼に必要な最小限空気量(理論空気量)を
1とした場合のこれらのガスに対する混合空気の比率
(空気比)を0.6〜1.0の範囲内として焼鈍する。
これにより、焼鈍酸洗後のステンレス表面の粗度が大き
くなり釉薬密着性が十分となる。
【0009】すなわち空気比が1.0をこえると焼鈍酸
洗後の粗度が不十分で釉薬密着性が不良となる。一方、
空気比を0.6より低下すると焼鈍時に厚い酸化皮膜が
生成し、酸洗性が極端に悪くなり、通常の製造工程で
は、スケール残りを生じ易くほうろう性が悪くなるため
空気比は0.6以上1.0以下とする。
【0010】図1にフェライト系ステンレス冷延鋼帯を
種々の燃焼雰囲気で焼鈍するにあたって空気比を種々変
化させてその後の酸洗処理後のステンレス鋼表面の表面
粗度を調べた結果を示す。図1からも空気比0.6〜
1.0の範囲内とすることが表面粗度が大きくほうろう
用として優れていることがわかる。
【0011】なお、本発明では焼鈍時の加熱時間や加熱
温度、酸洗条件については特に限定するものではなく、
鋼種や鋼帯の厚み等に応じて適切に定めればよい。空気
比0.6〜1.0での焼鈍による粗面化鋼板は、十分に
粗面化されているために、改めて粗面化処理することな
く、必要な前処理後ほうろうがけ処理することができ
る。ほうろうがけ処理条件は一般に行なわれている方法
によればよい。
【0012】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。
【0013】(本発明例)供試材料としてはSUS 430 の
冷延板で板厚0.3mmものを用いた。これらの供試材
をコークス炉ガス、液化石油ガス、液化天然ガスを空気
比0.6〜1.0で燃焼させた雰囲気中で実験室的に焼
鈍した。焼鈍条件は820℃×10秒間保持とし、全在
炉時間100秒である。さらに酸洗は中性塩電解、硝酸
電解を行なった。ここで中性塩電解は、液温80℃、2
00g/lのNa2SO4電解液を用い、電流密度は陽極20
A/dm2 、陰極10A/dm2 にて行った。このよう
にして得られたステンレス鋼板にSiO2,TiO2,B2O3,K2
O などを主成分とする市販の釉薬を施釉した後、800
℃で3分焼成した。これらのほうろう用ステンレス鋼素
材およびほうろうステンレス鋼板の特性を調べその結果
を表1に示す。
【0014】ここで耐衝撃性は落重試験(1kg重の鉄
球を高さ50cmより自然落下させてほうろう層からの
剥離の発生の有無を観察)により評価した。エリクセン
張り出しほうろう層をエリクセン試験機にて張り出しを
行ない、ほうろう層に割れが生じるまでの張り出し高さ
を評価した。曲げ性は180°曲げ(曲げr=15m
m)を行い、ほうろう層の剥離の発生の有無を評価し
た。
【0015】(比較例)本発明例と同様な冷延鋼帯につ
いて、コークス炉ガス、液化石油ガス、液化天然ガスを
空気比1より大きくして燃焼させた雰囲気中で実験室的
に焼鈍し、引き続いて中性塩電解処理、および硝酸電解
処理を行った。焼鈍条件、施釉条件は本発明例と同様で
ある。施釉したサンプルのほうろうステンレス鋼素材お
よび施釉後の特性試験結果を表2に比較例として示し
た。
【0016】(従来例)SUS 430 (0.3mm厚)冷延
鋼板を上記比較例と同様に焼鈍、酸洗して製造したステ
ンレス鋼帯をサンドブラスト処理した後施釉した。ほう
ろう施釉条件は本発明例と同様である。これらのほうろ
うステンレス鋼素材およびほうろうステンレス鋼板の特
性を調べ、その結果を表3に示す。
【0017】表1、表2、表3から本発明法によって製
造されたほうろうステンレス鋼素材は表面粗度が大き
く、それから得られたほうろうステンレス鋼板も優れた
釉薬密着性を有していることは明らかである。
【0018】[参考例]参考のためほうろうステンレス
鋼素材の表面状況を顕微鏡写真によって示す。比較法に
よるものは図2(空気比1.4)、本発明法のものを図
3(空気比0.8)に示した。図2および図3ともコー
クス炉ガス雰囲気中での仕上げ焼鈍後中性塩電解、硝酸
電解で酸洗を行った場合の酸洗後の表面状態である。本
発明法によるものは表面状況が比較法によるものにくら
べ粗いことがわかる。
【0019】なおSUS 304 を用いて同様に行った結果、
SUS 430 と同様本発明により釉薬密着性、加工性とも良
好な結果が得られた。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【発明の効果】上述した処から明らかなように、本発明
に従ってコークス炉ガス、液化石油ガス、液化天然ガス
を燃焼させた雰囲気中においては空気比を0.6〜1.
0の範囲内とした場合は、比較例に示す空気比より大き
くした場合や従来例に従ってサンドブラスト処理を施し
た素材に比較して、釉薬密着性に優れたほうろうステン
レス鋼素材を得ることができる。上記の様に本発明によ
れば通常のステンレス鋼帯の製造方法にサンドブラスト
処理などの後処理を追加することなく優れたほうろう密
着性を持つステンレス鋼板を生産することが可能とな
る。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ焼鈍雰囲気の空気比とステンレス鋼表面
の表面粗度との関係を示す線図である。
【図2】金属組織を示す図面代用写真であり、ほうろう
ステンレス鋼素材の表面状況を示す。図2は従来法によ
って製造されたものの顕微鏡写真(倍率1600倍)で
ある。
【図3】金属組織を示す図面代用写真であり、ほうろう
ステンレス鋼素材の表面状況を示す。図3は本発明法に
よって製造されたものの顕微鏡写真(倍率1600倍)
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−108023(JP,A) 特開 昭60−77931(JP,A) 特開 昭62−54028(JP,A) 特開 平4−276013(JP,A) 特開 平4−183821(JP,A) 特開 昭51−98715(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46,8/02 C23D 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼ガス量に対して加熱バーナーの空気
    比を0.6〜1.0の範囲内で燃焼させた燃焼生成ガス
    雰囲気中で焼鈍して得た冷延ステンレス鋼板を用い、表
    面の粗面化工程を省略してほうろうがけ処理を施すこと
    を特徴とするほうろうステンレス鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 燃焼ガス量に対して加熱バーナーの空気
    比を0.6〜1.0の範囲内で燃焼させた燃焼生成ガス
    雰囲気中で焼鈍して得た冷延ステンレス鋼板を用い、ほ
    うろうがけ処理を施すことを特徴とするほうろうステン
    レス鋼板の製造方法。
JP3100512A 1991-04-05 1991-04-05 ほうろうステンレス鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP3058936B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7767248B2 (en) 2007-02-02 2010-08-03 Overly Iii Harry J Soft chew confectionary with high fiber and sugar content and method for making same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7767248B2 (en) 2007-02-02 2010-08-03 Overly Iii Harry J Soft chew confectionary with high fiber and sugar content and method for making same

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