JP3058711U - 磁気テープ転写装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気層を被転写物上に短冊状に断続して転写
する装置で、磁気フィルムの特性の相違を問題とせずに
非圧着領域にある磁気層を台紙から除去でき、しかも構
造が簡単で生産能力の大きい磁気テープ転写装置の提供
を課題とする。 【解決手段】 被転写物Ｄの搬送手段６０と、搬送され
る被転写物Ｄに対して磁気テープＴを連続的に供給する
磁気テープ供給手段１０と、磁気テープＴを被転写物Ｄ
の一定領域に押圧して磁気層を熱圧着させる作業ロール
域２１ａと磁気層を被転写物Ｄに熱圧着させない非作業
ロール域２１ｂとをロール体２１の円周方向に構成した
熱圧着用回転ローラ２０と、磁気テープＴのベースフィ
ルムｆを被転写物Ｄ上の磁気層から連続的に剥離除去す
るベースフィルム剥離除去手段３０と、被転写物Ｄ上の
磁気層から非圧着領域にある磁気層を除去する非圧着磁
気層除去手段４０とを有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、磁気層を転写可能とした磁気テープを用いて、磁気テープの磁気層 を被転写物上に転写させる磁気テープ転写装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、磁気層を転写可能とした磁気テープを用いて、磁気テープの磁気層を被 転写物上に転写させることは、例えば銀行通帳、各種チケット等において行われ ている。この種の転写は、主として上記の磁気テープを加熱したローラで被転写 物上に押しつけることで熱と押圧力にて被転写物上に転写し、更に磁気テープの ベースフィルムを被転写物上の磁気層から剥離除去する構成となっている。 前記磁気テープの転写は、単純には、図７に示すように、磁気層ｍが被転写物 である台紙Ｄ（紙に限らない）の表面に帯状に連続して転写されることになるが 、その一方、最近においては、図８に示すように、それらの磁気層ｍを台紙Ｄ表 面に短冊状に、即ち一定の間隔をおいて断続的に転写する必要性が多くなってい る。 しかして、磁気テープの磁気層を被転写物に対して短冊状に転写するには、磁 気テープを熱圧着用のローラによって被転写物上に断続的に押しつければよいが 、転写後にベースフィルムを被転写物上の磁気層から分離する際に、被転写物上 の磁気層の内、前記短冊転写の間の熱圧着がなされていない領域、即ち非圧着領 域になる磁気層が、ベースフィルムに伴って旨く剥離除去されずに、被転写物上 に残る問題があった。

【０００３】 磁気層を転写可能とした磁気テープは種々販売されているが、磁気層とベース フィルムとの分離のし易さの程度も、種々である。ベースフィルムと磁気層との 密着力が強ければ、押圧していない磁気層の部分がベースフィルムと伴に一緒に 剥がれることが期待されるが、この場合においても、磁気層そのものの引き裂き 強さや、その他の要素も加わり、磁気テープを単に選べばよいというものではな い。また、実業においては、その様な磁気テープ転写装置としては、種々の磁気 テープの種類に対して、良好な転写ができるものであることが要求される。

【０００４】 以上の様な状況下において、現在、以下の（１）、（２）に示すような磁気テ ープ転写装置が開発されつつある。 （１）．磁気テープを被転写物である台紙に加熱押圧する手段として、ローラを 用いずに、シリンダを用い、台紙を間接搬送しながら短冊を一型毎に押圧して、 転写を行う方式。 この方式では、先ず台紙を搬送した後、一定の搬送位置で台紙を停止し、次に シリンダで磁気テープを短冊状に押圧して熱圧着を行う。そして更にベースフィ ルムを短冊状の熱圧着部の両端から剥離除去して転写を完成させ、台紙を１ピッ チ搬送する。 （２）．磁気テープの特性を変えたものを使用する方式。 この方式では、磁気テープの磁気層の引っ張り強さ（引き裂き強さ）よりも磁 気層とベースフィルムとの密着力の方が強くなるような特性を有する磁気テープ をメーカに特注し、これを押圧時の加熱温度、押圧力等を最適に調整することに より、特別の工夫をせずに、ベースフィルムを剥離する際に非圧着領域にある磁 気層を一緒に除去する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記（１）の方式では、簡潔搬送となるため、一般的に機構が複雑 になり、また台紙を何度も止めながらの作業となるため、装置としての生産能力 が上がらないという問題あった。 また、上記（２）の方式では、特注の磁気テープを使用するため、コストアッ プとなり、また現状においては、転写用の磁気テープの特性が安定せず、実用化 までには更に時間がかかるという問題があった。

【０００６】 そこで本考案は上記従来における問題を解消し、磁気層を被転写物上に短冊状 に断続して転写することができる転写装置であって、転写用の磁気フィルムの特 性の相違をあまり問題とすることなく確実に非圧着領域にある磁気層を台紙から 除去することができ、しかも構造が比較的簡単で生産能力を上げることができる 磁気テープ転写装置の提供を課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を達成するため、本考案の磁気テープ転写装置は、転写用磁気テープ のベースフィルム上に積層された磁気層を被転写物上に転写する磁気テープ転写 装置であって、被転写物を搬送する搬送手段と、前記搬送される被転写物に対し て磁気テープを連続的に供給する磁気テープ供給手段と、前記磁気テープを被転 写物の一定領域に押圧して前記磁気層を熱圧着させる作業ロール域と前記磁気層 を被転写物に熱圧着させない非作業ロール域とをロール体の円周方向に構成した 熱圧着用回転ローラと、該熱圧着用回転ローラを経た地点で磁気テープのベース フィルムを被転写物上の磁気層から連続的に剥離除去するベースフィルム剥離除 去手段と、該ベースフィルム剥離除去手段によりベースフィルムが剥離除去され た被転写物上の磁気層から非圧着領域にある磁気層を除去する非圧着磁気層除去 手段とを有することを第１の特徴としている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第１の特徴に加えて、被転写物を搬 送する搬送手段と磁気テープ供給手段と熱圧着用回転ローラとベースフィルム剥 離除去手段と非圧着磁気層除去手段とは、相互に一定の時間的タイミングをもっ て動作するように構成されていることを第２の特徴としている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第１又は第２の特徴に加えて、非圧 着磁気層除去手段は、非圧着領域にある磁気層を被転写物から剥離して吸引除去 するための吸引ノズルを有することを第３の特徴としている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第１〜３の特徴の何れかに加えて、 非圧着磁気層除去手段の手前の位置に、非圧着領域にある磁気層に一定のタイミ ングで切り込みを入れる切り込み手段を有することを第４の特徴としている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第４の特徴に加えて、非圧着領域に ある磁気層の中央付近に対して横断切り込みを入れる切り込み手段と、前記非圧 着領域にある磁気層に対してその前後方向から吸引口を臨ませた一対の吸引ノズ ルを備えた非圧着磁気層除去手段とを有することを第５の特徴としている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第１又は第２の特徴に加えて、非圧 着磁気層除去手段は、非圧着領域にある磁気層に対して、該磁気層の被転写物上 からの剥離を促すためのエアー噴射ノズルと、非圧着領域にある磁気層を被転写 物から剥離して吸引除去するための吸引ノズルとを有することを第６の特徴とし ている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第６の特徴に加えて、エアー噴射ノ ズルは、非圧着領域にある磁気層の帯の中央付近の側縁に対してベースフィルム からの剥離を促すようにエアーを吹きつける構成とし、吸引ノズルは一対として 非圧着領域にある磁気層に対してその前後方向から吸引口を臨ませた構成とした ことを第７の特徴としている。 また本考案の磁気テープ転写装置は、上記第１〜７の特徴の何れかに加えて、 非圧着磁気層除去手段には、非圧着領域の磁気層を除去する際に磁気層の破片が 周囲に逃散するのを防止するためのカバーを有することを第８の特徴としている 。

【０００８】

【考案の実施の形態】

図１は本考案の実施の形態の一例を示す磁気テープ転写装置を側面からみた概 略側面構成図、図２は図１における要部を示す図で、（Ａ）は吸引ノズルによる 吸引前の状態を示す図、（Ｂ）は吸引ノズルにより吸引している状態を示す図で ある。図３は本考案の実施の形態の他の一例を示す磁気テープ転写装置を側面か らみた概略側面構成図、図４は図３における要部の平面図、図５は図４を左から みた側面図、図６は磁気テープの具体的な積層例を示す断面図である。

【０００９】 先ず図１、図２及び図６を参照して、本考案の磁気テープ転写装置の実施形態 の第１の例を説明する。 磁気テープＴに積層された磁気層を被転写物である台紙Ｄ上に転写するための 磁気転写装置は、磁気テープ供給手段としての磁気テープ供給リール１０及び補 助輪１１と、熱圧着用回転ローラ２０と、ベースフィルム剥離除去手段として、 磁気テープＴのベースフィルムｆを磁気層ｍから剥離除去するためのベースフィ ルム巻き取りリール３０及びその補助輪３１と、非圧着磁気層除去手段として、 台紙Ｄ上の磁気層ｍから非圧着領域にある磁気層を除去するための吸引ノズル４ ０及びカバー４１とを有する。 また非圧着磁気層除去手段として、前記ベースフィルム剥離除去手段の手前の 位置に、非圧着領域にある磁気層ｍに切り込みを入れるための切り込み手段とし て、カッター５０を有する。 また前記台紙Ｄを搬送する搬送手段として、搬送台６０及び図示しないベルト コンベア等の搬送機構を有する。７０は取り付け枠乃至外装体である。 前記磁気テープ供給リール１０と熱圧着用回転ローラ２０とベースフィルム巻 き取りリール３０と吸引ノズル４０とカッター５０とは、装置の運転時において 相互に一定の時間的タイミングをもって動作するように、予め電気的及び機構的 に調節されており、或いはコントローラによってタイミングをとるように構成さ れる。

【００１０】 前記磁気テープＴは、図６に示すように、大きく概略的に分類するとベースフ ィルムｆと磁気層ｍとからなり、該磁気層ｍとベースフィルムｆとが相互に剥離 されて分離できるようになされたテープである。従ってこの磁気テープＴを用い て、その磁気層ｍを被転写物である台紙Ｄ上に熱圧着等した後、ベースフィルム ｆを剥離除去することで、磁気層ｍだけを台紙Ｄ上に転写することができる。 前記磁気層ｍは、より詳細には、ベースフィルムｆに近い層から、保護層ｍ₁ 、着色層ｍ₂ 、磁気層ｍ₃ 、粘着層ｍ₄ から構成することができるが、この例に 限定されるものではない。

【００１１】 前記台紙Ｄは、磁気テープＴの磁気層ｍが転写される被転写物であり、例えば 、その後適当な大きさに切断され、最終的に貯金通帳の表裏の表紙として仕上が る台紙であったり、またその後切断され、最終的にチケットとして仕上がる台紙 であったりする。台紙Ｄは紙の他、プラスチックやその他の材料であってもよく 、特にその材質を限定されるものではない。

【００１２】 前記磁気テープ供給リール１０及び補助輪１１は上述したように磁気テープ供 給手段である。巻回された磁気テープＴが磁気テープ供給リール１０にセットさ れ、繰り出される。繰り出された磁気テープＴは補助輪１１を経て台紙Ｄの搬送 方向に供給され、熱圧着用回転ローラ２０、補助輪３１を経てベースフィルム巻 き取りリール３０に巻き取られる。

【００１３】 前記熱圧着用回転ローラ２０は、前記磁気テープ供給リール１０及び補助輪１ １を経て送られてきた磁気テープＴを、同じく搬送台６０上を搬送されてきた台 紙Ｄ上に押圧して、磁気テープＴの磁気層ｍを台紙Ｄ上に熱圧着するローラであ る。 熱圧着用回転ローラ２０は、図示しない駆動源によって、例えば予め定めた一 定の速度で、回転せられる構成となっている。熱圧着用回転ローラ２０の本体で あるロール体２１には、そのロール周面において、円周方向に、作業ロール域２ １ａと非作業ロール域２１ｂとが交互に構成されている。より具体的には、作業 ロール域２１ａはそのロール面で磁気テープＴを台紙Ｄ上に押しつけ、熱圧着す る領域である。非作業ロール域２１ｂは、磁気テープＴを押圧することができな い領域であり、ロール周面において、作業ロール域２１ａに対して段差をもって その半径（直径）が小径になされている。 各作業ロール域２１ａの円周方向の長さは、転写される各短冊状磁気層の長さ を決定することになり、非作業ロール域２１ｂの円周方向の長さは、転写がなさ れない非圧着領域の長さを決定することになる。この作業ロール域２１ａと非作 業ロール域２１ｂの各寸法は、転写条件に応じてそれぞれ必要な寸法が採用され ることになる。例えば、転写条件が変更されると、その条件に適合した作業ロー ル域２１ａと非作業ロール域２１ｂとを備えたロール体２１が選択されることに なる。或いはまた、同じロール体２１において、作業ロール域２１ａと非作業ロ ール域２１ｂとの寸法関係を変更調節して用いることになる。 前記ロール体２１の作業ロール域２１ａと非作業ロール域２１ｂとの境界は、 明確なエッジをもって構成されるのが好ましい。このため作業ロール域２１ａと 非作業ロール域２１ｂとの境界は、直角若しくはそれ未満のエッジ角度を有する シャープなエッジとする。境界線をシャープなエッジで構成することで、台紙Ｄ 上に転写される磁気層ｍの熱圧着領域と非圧着領域との境界が明確に形成され、 よって非圧着領域の磁気層ｍが除去される際に、明確な境界線をもって非圧着領 域の磁気層ｍを、取り残しなく、綺麗に除去することが可能となる。 前記ロール体２１は図示しない加熱手段によって、少なくと前記作業ロール域 ２１ａの表面が熱圧着に適当な温度に加熱保持される。加熱保持する温度は、磁 気テープＴの種類、台紙Ｄの種類等に応じて、予め実験等により好ましい温度、 或いは温度範囲を決めておくことになる。

【００１４】 前記ベースフィルム巻き取りリール３０及び補助輪３１は、上述したように、 磁気テープＴのベースフィルムｆを磁気層ｍから剥離除去するためのものである 。ベースフィルム巻き取りリール３０に巻回されるベースフィルムｆと前記磁気 テープ供給リール１０から供給される磁気テープＴとは連続されており、磁気テ ープ供給リール１０からの磁気テープＴの繰り出しとベースフィルム巻き取りリ ール３０によるベースフィルムｆの巻き取りとが連携されるかたちでスムーズに 行われるように、両者１０、３０での回転駆動のタイミングや回転数等が調節さ れることになる。勿論、ベースフィルム巻き取りリール３０だけを回転駆動させ るようにし、磁気テープ供給リール１０は駆動源なしのフリーの状態、或いはブ レーキのみが適当に加わるような状態に構成してもよい。何れにしても、磁気テ ープＴが適当な緊張状態でロール体２１と台紙Ｄとの間に供給され、更にベース フィルムｆが適当な緊張状態で巻き取られるように構成される。

【００１５】 前記吸引ノズル４０とカバー４１は、上述したように、台紙Ｄ上の磁気層ｍか ら非圧着領域にある磁気層ｍを除去するための非圧着磁気層除去手段である。 吸引ノズル４０は一対で構成し、台紙Ｄの搬送方向の前後に少し離間させた位 置に対抗させて配置すると共に、台紙の上方から斜め下方に向けて配置している 。 またカバー４１は、前記吸引ノズル４０で吸引される非圧着領域の磁気層ｍの 破片等が周囲に飛散することなく、吸引ノズル４０内に確実に吸引されるように するためのもので、前記一対の吸引ノズル４０、４０を内部に収容する形で一定 の領域、より具体的には台紙Ｄ上にある磁気層ｍの非圧着領域よりも多少大きい 領域を上方から被うように構成されている。４２は吸引ダクトで、吸引ノズル４ ０から吸引された磁気層ｍがこの吸引ダクト４２を通って外部に排出される。 前記吸引ノズル４０及び吸引ダクト４２は、図示しない負圧発生源により吸引 力を付与されている。 吸引ノズル４０の吸引のタイミングは、前記熱圧着用回転ローラ２０との関係 において、熱圧着用回転ローラ２０の非作業ロール域２１ｂを経て熱圧着される ことなく台紙Ｄ上に移った磁気層ｍの非圧着領域が前記カバー４１内に入ってき た時とすることができる。より好ましくは、磁気層ｍの非圧着領域の中央付近が 一対の吸引ノズル４０、４０の中央付近まで移動してきた時とする。このタイミ ングは、熱圧着用回転ローラ２０のある位置からカバー４１のある位置までの距 離及び台紙Ｄの搬送速度等から予め容易に演算してセットしておくことができる 。 なお吸引ノズル４０は、要するに非圧着領域にある磁気層ｍを吸引除去できる ものであればよく、必ずしもその数や配置が上記の場合に限定されるものではな い。

【００１６】 前記カッター５０は、非圧着領域にある磁気層ｍに切り込みを入れるための切 り込み手段として、吸引ノズル４０による非圧着領域にある磁気層ｍの吸引除去 を一層容易にするのに役立つ。 該カッター５０は、例えばロータリカッターとし、移動してくる台紙Ｄに対し て一定のタイミングで降下することで、台紙Ｄ上の磁気層ｍの非圧着領域の中央 付近に横断する切り込みｃを形成させる構成とする。 磁気層ｍの非圧着領域の中央付近に横断する切り込みｃを入れることで、その 非圧着領域の中央付近が、一対の吸引ノズル４０、４０の中央付近まで移動して きたときには、図２の（Ａ）に示すように、その切り込みｃを中心にその前後か ら吸引ノズル４０、４０が臨む様な形となり、そしてその状態において吸引が開 始されるので、図２の（Ｂ）に示すように、磁気層ｍはその切り込みｃの部分か ら両側の吸引ノズル４０、４０に一気に且つ安定して吸い取られることになる。 これによって熱圧着領域との境界線に凸凹が生じたりすることなく、シャープな 境界線をもって、非圧着領域にある磁気層だけが確実に除去される。 尚、前記切り込み手段は特定のカッターに限定されるものではない、またカッ ター５０による非圧着領域への切り込みの条件は上記のものに限定されるもので はない。

【００１７】 前記搬送台６０は図示しない搬送機構と共に、台紙Ｄを搬送する搬送手段を構 成する。即ち、図示しない搬送機構によって台紙Ｄが搬送台６０上を矢印方向に 連続的に移動せられる。 前記取り付け枠乃至外装体７０は、装置の上記した各機構を取り付けるための 枠体となり、或いは装置の外装を形成するものである。

【００１８】 以上の様な構成において、今、台紙Ｄが搬送台６０上にセットされ、また磁気 テープＴ及びそのベースフィルムｆが磁気テープ供給リール１０から補助輪１１ 、熱圧着用回転ローラ２０、補助輪３１を介してベースフィルム巻き取りリール ３０まで掛け渡された状態にセットされており、更に熱圧着用回転ローラ２０が 所望寸法の短冊状磁気層の転写に対応するものとしてセットされた状態において 、転写の運転スイッチをオンされると、磁気テープＴの台紙Ｄへの転写動作が次 のようにして行われる。 まず搬送手段の駆動により台紙Ｄが搬送台６０上を移動開始され、続いて磁気 テープ供給リール１０及びベースフィルム巻き取りリール３０の回転による磁気 テープＴの供給と熱圧着用回転ローラ２０の回転も開始される。熱圧着用回転ロ ーラ２０は、その回転開始に先立って予め適当な熱圧着温度に加熱しておく。 前記磁気テープ供給リール１０から繰り出されてきた磁気テープＴは、作業ロ ール域２１ａと非作業ロール域２２ｂとを有する前記熱圧着用回転ローラ２０に よって、その平行して搬送されてきた台紙Ｄ上に、熱圧着領域と非圧着領域とを 交互に形成しながら転写せられされた状態となる。 そして熱圧着用回転ローラ２０を経た所で、磁気テープＴのベースフィルムｆ が連続的に台紙Ｄ上の磁気層ｍから剥離され、ベースフィルム巻き取りリール３ ０に巻き取られる。この時点で台紙Ｄ上には、進行方向に帯状に連続する磁気層 ｍが存在することになる。勿論、前記熱圧着用回転ローラ２０によって熱圧着さ れていない非圧着領域にある磁気層ｍの一部は、ベースフィルムｆが巻き取られ る際にベースフィルムｆと一緒に台紙Ｄ上から剥離除去されることもある。 ベースフィルムｆが除去された磁気層ｍは台紙Ｄと共に更に搬送され、カッタ ー５０の下を通過することになる。このとき、カッター５０は予め調整されたタ イミングにより動作して、台紙Ｄ上の磁気層ｍのうち非圧着領域の中央付近に対 して横断切り込みｃを入れる。

【００１９】 横断切り込みｃを入れられた磁気層ｍは台紙Ｄと共に更に搬送され、やがて吸 引ノズル４０が配置されたカバー４１内を通過することになる。このとき、一対 の対抗して配置された吸引ノズル４０は、前記横断切り込みｃが吸引ノズル４０ 、４０間の中央付近まで移動してきたときに、その吸引が開始される。よって、 その横断切り込みｃの部分からそれぞれ両側の熱圧着層との境界線に向けて、磁 気層ｍの吸引除去が安定した状態で進む。その結果として、シャープで綺麗な境 界線を持った短冊状の転写磁気層を得ることができる。

【００２０】 図３〜図５に、本本考案の実施の形態の他の一例を示す磁気テープ転写装置を 示す。 この装置は、非圧着領域にある磁気層ｍの剥離除去を促す手段として、上記し た第１の例における切り込み手段（カッター５０）を設ける代わりに、エアー噴 射ノズル４３を設けている。 即ち、図３に示すように、非圧着磁気層除去手段として、吸引ノズル４０とカ バー４１と吸引ダクト４２の他に、カバー４１内にエアー噴射ノズル４３を設け ている。 このエアー噴射ノズル４３は、図４、図５に示すように、台紙Ｄ上に転写され た帯状の磁気層ｍに対して、その帯の一側に配置されて、且つ帯の側縁に対して 、磁気層ｍと台紙Ｄとの間にエアーが入り込みやすいように斜め下方に向けて配 置せられている。そして、このエアー噴射ノズル４３は、前記一対で相互に離間 して設けられた吸引ノズル４０、４０に対して、その間の中央付近に位置される と共に、先端部が二股になされ、これによってエアーが二股の先端部から互いに 角度を持って噴射されるようになされている。 尚、図３に示す吸引ノズル４０とカバー４１は、図１に示すものと形等が多少 異なるが、図１に示すものと同様であってもよい。図４、図５に示す吸引ノズル ４０、４０は図１に示すものと同様の形、配置としている。 前記エアー噴射ノズル４３には図示しないエアー供給源からのエアーが供給さ れるようになっており、そのエアー噴射のタイミングは、移動されてくる台紙Ｄ 上の磁気層ｍの非圧着領域の中央付近がエアー噴射ノズル４３の位置にきた時と することができる。これらのタイミングは予め調整しておくことになる。 本例における他の構成は、上記図１〜図２で説明した例と同じであり、同じ部 材には同じ符号を付して、説明を省略する。

【００２１】 本例においては、台紙Ｄ上の磁気層ｍの非圧着領域の中央付近がエアー噴射ノ ズル４３がある位置にきた時に、エアーの噴射を開始し、一定時間継続する。そ てそのエアー噴射に前後して吸引ノズル４０、４０による吸引も開始する。エア ー噴射ノズル４３からのエアーによって、非圧着領域の磁気層ｍはその中央付近 からの剥離が促進せられ、両側に広がるようにして熱圧着領域との境界線に至る まで、すっきりと各吸引ノズル４０、４０に吸い取られる。 エアー噴射ノズル４３を用いる場合は、カッター５０を用いる場合と異なり、 台紙を傷つけたりするおそれがない。

【００２２】 尚、エアー噴射ノズル４３の形状や配置は、該エアー噴射ノズル４３がカバー ４１内にあって、非圧着領域にある磁気層ｍの剥離を促進する機能を果たすこと ができるものであれば、上記した具体的な形状や配置に限定されるものではない 。

【００２３】

【考案の効果】

本考案は以上の構成よりなり、請求項１に記載の磁気テープ転写装置によれば 、転写用磁気テープのベースフィルム上に積層された磁気層を被転写物上に転写 する磁気テープ転写装置であって、被転写物を搬送する搬送手段と、前記搬送さ れる被転写物に対して磁気テープを連続的に供給する磁気テープ供給手段と、前 記磁気テープを被転写物の一定領域に押圧して前記磁気層を熱圧着させる作業ロ ール域と前記磁気層を被転写物に熱圧着させない非作業ロール域とをロール体の 円周方向に構成した熱圧着用回転ローラと、該熱圧着用回転ローラを経た地点で 磁気テープのベースフィルムを被転写物上の磁気層から連続的に剥離除去するベ ースフィルム剥離除去手段と、該ベースフィルム剥離除去手段によりベースフィ ルムが剥離除去された被転写物上の磁気層から非圧着領域にある磁気層を除去す る非圧着磁気層除去手段とを有するので、 作業ロール域と非作業ロール域とを設けた熱圧着用回転ローラによって、磁気 フィルムの磁気層を被転写物上に短冊状に断続して転写することができると共に 、、被転写物上の磁気層からベースフィルムを剥離除去するベースフィルム剥離 除去手段とは別に、ベースフィルムが剥離除去された被転写物上の磁気層から非 圧着領域にある磁気層を除去するための専用の非圧着磁気層除去手段を設けたの で、転写用の磁気フィルムの特性の相違をあまり問題とすることなく、確実に非 圧着領域にある磁気層を台紙から除去することができる。 しかも熱圧着用回転ローラを用いた構成とすることで、転写作業を連続的に行 うことが可能となり、比較的簡単な構造で生産能力を上げることができる。 また請求項２に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項１に記載の構成に よる上記効果に加えて、被転写物を搬送する搬送手段と磁気テープ供給手段と熱 圧着用回転ローラとベースフィルム剥離除去手段と非圧着磁気層除去手段とは、 相互に一定の時間的タイミングをもって動作するように構成されているので、 装置全体の転写動作を円滑に且つ連続して行うことができ、生産能力の向上を 図ることができる。 また請求項３に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項１又は２に記載の 構成による上記効果に加えて、非圧着磁気層除去手段は、非圧着領域にある磁気 層を被転写物から剥離して吸引除去するための吸引ノズルを有するので、 非圧着領域にある磁気層を取り除くのみならず、周囲に散在することなく、確 実に掃除して除去することができる。よって非常に綺麗な仕上がりとすることが できる。 また請求項４に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項１〜３の何れかに 記載の構成による上記効果に加えて、非圧着磁気層除去手段の手前の位置に、非 圧着領域にある磁気層に一定のタイミングで切り込みを入れる切り込み手段を有 するので、 非圧着領域にある磁気層の取り除きを、切り込みの位置から一層速やかに、確 実に行うことができる。 また請求項５に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項４に記載の構成に よる上記効果に加えて、非圧着領域にある磁気層の中央付近に対して横断切り込 みを入れる切り込み手段と、前記非圧着領域にある磁気層に対してその前後方向 から吸引口を臨ませた一対の吸引ノズルを備えた非圧着磁気層除去手段とを有す るので、 非圧着領域にある磁気層の取り除きを、非圧着領域の中央付近の切り込みの位 置からそれぞれ前後に隣接する熱圧着領域の境界線の方向へ向けて、一対の吸引 ノズルによって、更に速やかに確実に行うことができると共に、前後に隣接する 熱圧着領域の境界線に至るまでの磁気層の除去を十分確実に且つ安定して行うこ とができ、シャープで綺麗な境界線を持った短冊状の転写磁気層を得ることがで きる。 また請求項６に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項１又は２に記載の 構成による上記効果に加えて、非圧着磁気層除去手段は、非圧着領域にある磁気 層に対して、該磁気層の被転写物上からの剥離を促すためのエアー噴射ノズルと 、非圧着領域にある磁気層を被転写物から剥離して吸引除去するための吸引ノズ ルとを有するので、 非圧着領域にある磁気層の取り除きを、エアー噴射ノズルにより磁気層の剥離 を促進させて速やかに、確実に行うことができると共に、吸引ノズルによって剥 離された磁気層を周囲に散在することなく、確実に掃除して除去することができ る。よって綺麗な仕上がりとすることができる。 勿論、エアー噴射ノズルを用いて磁気層の剥離の促進を図るので、台紙を傷つ けるおそれも全く無い。 また請求項７に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項６に記載の構成に よる上記効果に加えて、エアー噴射ノズルは、非圧着領域にある磁気層の帯の中 央付近の側縁に対してベースフィルムからの剥離を促すようにエアーを吹きつけ る構成とし、吸引ノズルは一対として非圧着領域にある磁気層に対してその前後 方向から吸引口を臨ませた構成としたので、 非圧着領域にある磁気層の取り除きを、非圧着領域の中央付近の位置から、そ れぞれ前後に隣接する熱圧着領域の境界線の方向へ向けて、一層速やかに且つ確 実に行うことができると共に、前後に隣接する熱圧着領域の境界線に至るまでの 磁気層の除去を十分確実に且つ安定して行うことができ、シャープで綺麗な境界 線を持った短冊状の転写磁気層を得ることができる。 また請求項８に記載の磁気テープ転写装置によれば、請求項１〜７の何れかに 記載の構成による上記効果に加えて、非圧着磁気層除去手段には、非圧着領域の 磁気層を除去する際に磁気層の破片が周囲に逃散するのを防止するためのカバー を有するので、 非圧着領域から剥離された磁気層の破片が周囲に散らばるのを防止することが できると共に、吸引ノズルによる吸引等に際しては、空間を仕切ることによりそ の吸引効果を上げることができ、磁気層の除去を一層効果的に行うことができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態の一例を示す磁気テープ転
写装置を側面からみた概略側面構成図である。

【図２】図１における要部を示す図で、（Ａ）は吸引ノ
ズルによる吸引前の状態を示す図、（Ｂ）は吸引ノズル
により吸引している状態を示す図である。

【図３】本考案の実施の形態の他の一例を示す磁気テー
プ転写装置を側面からみた概略側面構成図である。

【図４】図３における要部の平面図である。

【図５】図４を左からみた側面図である。

【図６】磁気テープの具体的な積層例を示す断面図であ
る。

【図７】磁気テープを台紙上に切れ目なく連続して転写
した状態を示す図である。

【図８】磁気テープを台紙上に短冊状に断続して転写し
た状態を示す図である。

【符号の説明】

１０ 磁気テープ供給リール １１ 補助輪 ２０ 熱圧着用回転ローラ ２１ ロール体 ２１ａ 作業ロール域 ２１ｂ 非作業ロール域 ３０ ベースフィルム巻き取りリール ３１ 補助輪 ４０ 吸引ノズル ４１ カバー ４２ 吸引ダクト ４３ エアー噴射ノズル ５０ カッター ６０ 搬送台 ７０ 取り付け枠乃至外装体 Ｔ 磁気テープ Ｄ 台紙 ｃ 切り込み ｆ ベースフィルム ｍ 磁気層

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 転写用磁気テープのベースフィルム上に
   積層された磁気層を被転写物上に転写する磁気テープ転
   写装置であって、被転写物を搬送する搬送手段と、前記
   搬送される被転写物に対して磁気テープを連続的に供給
   する磁気テープ供給手段と、前記磁気テープを被転写物
   の一定領域に押圧して前記磁気層を熱圧着させる作業ロ
   ール域と前記磁気層を被転写物に熱圧着させない非作業
   ロール域とをロール体の円周方向に構成した熱圧着用回
   転ローラと、該熱圧着用回転ローラを経た地点で磁気テ
   ープのベースフィルムを被転写物上の磁気層から連続的
   に剥離除去するベースフィルム剥離除去手段と、該ベー
   スフィルム剥離除去手段によりベースフィルムが剥離除
   去された被転写物上の磁気層から非圧着領域にある磁気
   層を除去する非圧着磁気層除去手段とを有することを特
   徴とする磁気テープ転写装置。
2. 【請求項２】 被転写物を搬送する搬送手段と磁気テー
   プ供給手段と熱圧着用回転ローラとベースフィルム剥離
   除去手段と非圧着磁気層除去手段とは、相互に一定の時
   間的タイミングをもって動作するように構成されている
   請求項１に記載の磁気テープ転写装置。
3. 【請求項３】 非圧着磁気層除去手段は、非圧着領域に
   ある磁気層を被転写物から剥離して吸引除去するための
   吸引ノズルを有することを特徴とする請求項１又は２に
   記載の磁気テープ転写装置。
4. 【請求項４】 非圧着磁気層除去手段の手前の位置に、
   非圧着領域にある磁気層に一定のタイミングで切り込み
   を入れる切り込み手段を有することを特徴とする請求項
   １〜３の何れかに記載の磁気テープ転写装置。
5. 【請求項５】 非圧着領域にある磁気層の中央付近に対
   して横断切り込みを入れる切り込み手段と、前記非圧着
   領域にある磁気層に対してその前後方向から吸引口を臨
   ませた一対の吸引ノズルを備えた非圧着磁気層除去手段
   とを有することを特徴とする請求項４に記載の磁気テー
   プ転写装置。
6. 【請求項６】 非圧着磁気層除去手段は、非圧着領域に
   ある磁気層に対して、該磁気層の被転写物上からの剥離
   を促すためのエアー噴射ノズルと、非圧着領域にある磁
   気層を被転写物から剥離して吸引除去するための吸引ノ
   ズルとを有することを特徴とする請求項１又は２に記載
   の磁気テープ転写装置。
7. 【請求項７】 エアー噴射ノズルは、非圧着領域にある
   磁気層の帯の中央付近の側縁に対してベースフィルムか
   らの剥離を促すようにエアーを吹きつける構成とし、吸
   引ノズルは一対として非圧着領域にある磁気層に対して
   その前後方向から吸引口を臨ませた構成としたことを特
   徴とする請求項６に記載の磁気テープ転写装置。
8. 【請求項８】 非圧着磁気層除去手段には、非圧着領域
   の磁気層を除去する際に磁気層の破片が周囲に逃散する
   のを防止するためのカバーを有することを特徴とする請
   求項１〜７の何れかに記載の磁気テープ転写装置。