JP3058219B2 - 双ドラム式薄板連続鋳造方法及び装置 - Google Patents

双ドラム式薄板連続鋳造方法及び装置

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JP3058219B2
JP3058219B2 JP4044601A JP4460192A JP3058219B2 JP 3058219 B2 JP3058219 B2 JP 3058219B2 JP 4044601 A JP4044601 A JP 4044601A JP 4460192 A JP4460192 A JP 4460192A JP 3058219 B2 JP3058219 B2 JP 3058219B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、双ドラム式薄板連続鋳
造装置を使用して金属溶湯から薄板を連続鋳造する双ド
ラム式薄板連続鋳造方法及び装置に係り、特に、各鋳造
ドラムの両端部において湯溜まり部をシールするサイド
堰のシール性を高めると共に、サイド堰に付着する地金
の噛み込みによる鋳片切れを防止し、更に鋳片の端面性
状を良好にするものに関する。
【0002】
【従来の技術】図2及び図3に示すように、双ドラム式
薄板連続鋳造装置1においては、一対の鋳造ドラム2及
び3が水平に、且つ所定の間隙8を置いて互いに平行に
なるように、それらの軸4及び5を図示しないフレーム
内に軸受6及び7によって回転可能に支持されている。
ドラム2及び3の間隙の上部には金属の溶湯を供給され
る湯溜まり部11が形成されており、湯溜まり部11内
の金属溶湯がドラム2及び3の表面に触れて冷却される
ことにより形成される凝固シェル12が、ドラム2及び
3が互いに反対の方向に矢印のように回転駆動されるこ
とによって、ドラムの間隙8から冷却凝固した帯状の鋳
片13となって送り出されるようになっている。湯溜ま
り部11となるドラム間隙8の上部空間は、回転駆動さ
れる各ドラム2、3の円筒表面の一部と、ドラムの両端
部14及び15に摺動接触する一対のサイド堰16及び
17とによって外部に対して区画されているので、それ
らが摺動接触する部分は、湯溜まり部11にある溶湯が
洩れ出ないようにするための摺動シールとしての機能を
持っている必要がある。
【0003】しかしながら、連続鋳造作業を実施してい
ると、湯溜まり部11の溶湯はドラム2、3の表面で凝
固してシェル12を形成するだけでなく、一部がサイド
堰16及び17の表面でも凝固してそれに付着するの
で、サイド堰の表面に付着した地金18が大きく成長
し、凝固シェル12と融着するとサイド堰16及び17
の表面から剥がれてシェル12に噛みこまれ、ドラム間
隙8を通過して下方に送り出される。そのときサイド堰
の表面から剥がれた地金18は、ドラム間隙8で圧延さ
れることによって鋳片13の幅を拡大するようにドラム
2、3の軸方向に拡がるので、サイド堰16及び17を
軸方向外方へ押圧して、サイド堰16及び17をドラム
の端部14及び15から引き離そうとする力を及ぼし、
両者間に間隙を形成させてシール性を阻害する。
【0004】また、サイド堰16及び17の表面に付着
していた地金18がシェル12に噛みこまれて鋳片13
の厚さが一時的に大きくなると、その部分を通過させよ
うとしてドラム間隙8が開くので、鋳片13のその部分
が冷却不足となって所謂ホットバンドが形成され、この
部分は他の部分よりも高温のため、その部分で鋳片切れ
を起こしやすくなる。ここでホットバンドというのは、
鋳造中に凝固シェル12の中へサイド堰16及び17に
付着した地金18や、サイド堰16及び17を形成する
耐火物の破片等の異物が噛み込まれて、鋳片13の厚さ
がその部分で一時的に増大し、その部分を通過させると
きのドラム間隙制御の応答遅れによって、ドラム2及び
3からシェル12(鋳片13)への圧下力が一時的に低
下する結果、鋳片13のその部分が他の部分よりも高温
になる現象のことである。
【0005】そこで、例えば特開昭60−166146
号公報や、特開昭61−266160号公報に記載され
ているように、サイド堰16及び17とドラム2、3の
両端部14及び15との摺動接触による良好なシール状
態を維持しながらも、サイド堰16及び17をその摺動
面内で振動(水平方向の往復動、或いは一点を中心とす
る扇形の揺動)させることによって、溶湯がサイド堰の
表面に凝固付着して地金18が形成されるのを妨害する
方法が提案されている。
【0006】図4はそのような従来例の要部を拡大して
示したもので、ドラム2、3の端部14、15の周縁に
そって形成された突条19の端面は、耐火物からなるサ
イド堰16、17に円弧状に埋め込むようにして一体化
された自己潤滑性のあるセラミックプレート20に対し
て摺動接触して、湯溜まり部11に供給される溶湯のシ
ール部を形成しており、サイド堰16及び17は図中の
矢印(ドラム軸方向)のようにドラム2及び3に向かっ
て押圧されると共に、図示しない加振装置によって摺動
面内で振動をするようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術によれ
ば、サイド堰16及び17を振動させることによって、
溶湯がサイド堰の表面で凝固してそれに付着するのを防
止することができる反面、連続鋳造作業を続ける間、絶
えずサイド堰16及び17をドラム2及び3に押し付け
ながら振動させる結果、ドラム2及び3の突条19と摺
動接触しているセラミックプレート20は磨耗して表面
に図5に示すような溝21ができる。更に磨耗が進行す
るとセラミックプレート20に磨耗しなかった部分の突
条22が形成されるが、振動の振幅が必ずしも一定では
ないこともあって、突条22には振動によってそれを倒
そうとする方向の力が繰り返して作用するので、疲労破
壊によって突条22が欠損するという問題がある。更
に、サイド堰の振動により、鋳片13の端部においてド
ラム2及び3の表面と鋳片の表面との間に隙間が生じや
すくなり、その結果、鋳片13の端部に凝固遅れが発生
して、端部から未凝固の溶湯(溶鋼)がしみ出たり、鋳
片13のエッジの性状(形状、及び内質)を著しく損な
うことになる。
【0008】このように、セラミックプレート20の磨
耗によって、サイド堰16及び17によるシール作用が
短期間で低下するばかりでなく、セラミックプレート2
0上に振動磨耗によって残る突条22が欠損することに
よって生じるセラミックの破片が、湯溜まり部11内の
溶湯に混入して鋳片13に欠陥を生じたり、前述のよう
にホットバンドを形成して鋳片切れを起こす原因にな
る。もし溶湯漏れや鋳片切れを起こすと、連続鋳造の操
業が中断に追い込まれるばかりでなく、その修復作業に
多大な時間と資材を浪費することになる。
【0009】従って、本発明は、双ドラム式薄板連続鋳
造装置のサイド堰におけるこのような問題を解決し、サ
イド堰のシール性と耐久性を高め、更に鋳片端部の性状
を向上させる方法及び装置を提供することを、発明の解
決課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明においては、サイ
ド堰の表面に地金が付着して凝固シェルに噛みこまれる
現象は、熱的に定常状態に達するまでの鋳造作業の初期
に多発し、サイド堰等の温度が十分に上昇して熱的に定
常な状態に到達した後にはこの現象の発生がきわめて少
なくなり、発生してもごく軽微であることに着目し、鋳
造開始初期のように熱的に非定常状態において、サイ
ド堰に振動を与えて地金の付着を防止すると共に、鋳造
装置が熱的に定常な状態に達することにより、サイド堰
に地金が付着し難い状態になったと判定されたときに
は、サイド堰の振動を停止して、振動による弊害を防止
するように制御するものである。
【0011】即ち、本発明は前記の課題を解決するため
の手段として、所定の間隙を置いて互いに平行になるよ
う設置され同じ回転速度で互いに反対向きに回転駆動さ
れる一対の鋳造ドラムと、該鋳造ドラムの端面に摺動接
触する一対のサイド堰と、該サイド堰を前記鋳造ドラム
との摺動接触面内において振動させる加振装置とを設け
た双ドラム式薄板連続鋳造装置において、鋳造が熱的な
非定常状態の期間はサイド堰を振動させると共に、鋳造
熱的な定常状態の期間はサイド堰の振動を停止させる
ことを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造方法を提供す
る。
【0012】また、本発明は前記の課題を解決するため
の手段として、所定の間隙を置いて互いに平行になるよ
う設置され同じ回転速度で互いに反対向きに回転駆動さ
れる一対の鋳造ドラムと、該鋳造ドラムの端面に摺動接
触する一対のサイド堰と、該サイド堰を前記鋳造ドラム
との摺動接触面内において振動させる加振装置とを設け
た双ドラム式薄板連続鋳造装置において、前記一対の鋳
造ドラムの少なくとも一方の位置を検出する位置検出器
と、該位置検出器の信号によって算出される前記一対の
鋳造ドラムの間隙値が所定の時間内に所定の閾値を越え
ないときに前記加振装置を停止する制御装置とを設けた
ことを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造装置を提供す
る。
【0013】
【作用】サイド堰に溶湯が触れて凝固し地金となって付
着するのは、サイド堰の温度が未だ定常的な高温に達し
ていない鋳造開始初期の比較的短時間内、或いは何らか
の原因で溶湯(溶鋼)温度やサイド堰温度が低下したと
きに限られているので、その期間に限ってサイド堰を加
振装置によって振動させて、地金の付着を防止する。サ
イド堰の振動を終了する時期は、検出装置によってドラ
ム間隙の大きさを監視し、タイマーによって設定される
所定の時間内に、所定値以上のドラム間隙の大きな変動
がなかったことを条件として判定して、決定する。
【0014】本発明によれば、サイド堰を振動させてい
る時間が短いので、振動によってサイド堰と鋳造ドラム
の端部との間におこる激しい摺動摩擦を原因とするサイ
ド堰の磨耗が少なくなり、サイド堰が有効なシール作用
をなす耐用時間が著しく延長される。また、磨耗したサ
イド堰の破片や、サイド堰に付着したのちに剥離した地
金等がシェルに噛みこまれることによってホットバンド
が形成されて起こる鋳片切れや、鋳片に生じる欠陥の問
題も解消する。また、サイド堰の振動によって起こる鋳
片端部の凝固遅れの問題も解決する。
【0015】
【実施例】図1は本発明を実施する双ドラム式薄板(実
施例では鋼板)連続鋳造装置1を例示したもので、図2
及び図3に示した従来例と実質的に同じ部分については
同じ参照符号を付して比較を容易にしている。一対のド
ラム2及び3は、内部を循環する水のような冷却媒体に
よって冷却されていると共に、図示しない駆動機構によ
って同じ回転速度で互いに反対向き(矢印の方向)に回
転駆動される。実施例の双ドラム式薄板連続鋳造装置1
は、ドラム2及び3の軸4及び5の両端をそれぞれ回転
自由に支持する各一対の軸受6、6及び7、7(図1で
は軸4及び5の各一端側の軸受6及び7のみを示してい
る。以下同様)と、それらの軸受6、6及び7、7を支
持する共通のフレーム23(仮想線によって示してい
る)と、軸受7、7とフレーム23との間にそれぞれ設
けられ、軸受7、7の位置を検出するために図示しない
位置検出器を組み込んだ油圧サーボシリンダ9、9と、
軸受6、6に作用する荷重(反力)を検出するため、軸
受6、6とフレーム23との間に設けられた荷重検出器
(ロードセル)10、10とを備えている。
【0016】ドラム2及び3の間隙8の大きさは、油圧
シリンダ9、9によって調整される軸受7、7の位置に
よって決まるが、間隙8の大きさとドラム2、3の回転
速度が連続鋳造される鋳片13の厚さを決定する主たる
要因となる。ドラム2及び3の間隙8の上部には例えば
三角形状のサイド堰16及び17によって側面を仕切ら
れた湯溜まり部11が形成され、図示しないタンディシ
ュのノズルが湯溜まり部11内に伸びていて、そのノズ
ルによって溶鋼(一般的には金属の溶湯)が湯溜まり部
11内に供給される。
【0017】湯溜まり部11内に供給された溶鋼は、ド
ラム2及び3の表面に接しているところで冷却され、凝
固してシェル12を形成し、ドラム2及び3が矢印の方
向に回転駆動されることによってドラム2及び3の間の
最も狭い間隙8を通過し、圧下力を受けて帯板状の鋳片
13となり連続的に下方へ送り出される。送り出された
鋳片13は、図示しないピンチローラ等によって案内さ
れる間に更に冷却されて最後にコイラに巻き取られる。
このような連続鋳造が行われる際、ドラム3は油圧シリ
ンダ9、9によってドラム2に向かって押圧されて支持
されるが、それによってドラム2及び3に挟まれた鋳片
13(シェル12)には圧下力が作用すると共に、圧下
力に対応する大きさの反力が荷重検出器10、10にお
いて検出される。
【0018】図1において概念的に示されているよう
に、荷重検出器10が検出する軸受6に作用する反力の
大きさを表す信号と、油圧シリンダ9に組み込んだ位置
検出器が検出する軸受7の位置を表す信号(鋳片13の
厚さに対応する)は、例えば電子式の制御装置24に入
力される。サイド堰16及び17には、それぞれフレー
ム23上に設けられた加振装置25の出力端26が連結
されており、加振装置25は制御装置24が出力する制
御信号によって駆動されて、サイド堰16及び17に対
して、ドラム2及び3との摺動面内の振動(図示例では
下部に設けられたフレーム23への枢着点27を中心と
する揺動)を与えるように構成される。
【0019】本発明においては、加振装置25は電磁式
のものやモータとクランク或いは偏心輪とを組み合わせ
た機械式のもの等、どのような形式のものであってもよ
く、また振動の形式も、揺動に限らず直線的な往復運動
であってもよい。要は、振動がドラム2及び3の端部1
4及び15に対するサイド堰16及び17の摺動面内の
反復運動であればよい。
【0020】制御装置24はまた、油圧シリンダ9に送
る油圧を調整する図示しない制御弁にも制御信号を送
り、それによってを油圧シリンダ9に送る油圧の大きさ
を微調整する。油圧シリンダ9は軸受7を介してドラム
3をドラム2に対して進退方向に移動させる。それによ
ってドラム2及び3の間隙8の大きさが変化するので、
ドラム2、3の回転速度が一定であれば、荷重検出器1
0において検出されるドラム反力従って鋳片13の圧下
力や、鋳片の厚さが、ドラム間隙8の大きさに応じて変
化することになる。
【0021】本発明の特徴に応じ、実施例の場合も連続
鋳造作業の開始と同時に、制御装置24により加振装置
25を作動させて、サイド堰16及び17に枢着点27
を中心とする振動(揺動)を与える。それによってサイ
ド堰の表面において溶湯が凝固して地金18が付着する
ことが防止される。従って、地金18がシェル12と融
着して噛みこまれることが防止される。鋳造作業の進行
につれて、サイド堰16及び17その他の部分の温度が
十分に高くなり、それ以上温度上昇しない熱的な定常状
態に達すると、サイド堰の表面に地金18が付着するこ
とが少なくなるので、その状態に到達したことを検知し
た制御装置24は、加振装置25に対する制御信号を変
更して、加振装置25の付勢を終了させ、サイド堰16
及び17の振動を停止させる。それ以後は固定のサイド
堰を備えている従来の双ドラム式薄板連続鋳造装置と同
様にして連続鋳造が続行される。
【0022】この場合、どのような手段によって熱的な
定常状態を検知してサイド堰16及び17の振動を停止
するのかということが重要な問題になるが、その時期を
判断するための方法及び装置の一つの実施例が図6〜図
8に示されている。サイド堰16及び17を振動させた
ままで連続鋳造を実行した場合には、図6に示したよう
に、時間t(横軸)が経過するにつれて、ドラム2に対
するドラム3の位置、即ち油圧シリンダ9の出力端の位
置xを検出するために例えば油圧シリンダ9内に組み込
まれた位置検出器の出力信号の振れが小さくなる。
【0023】双ドラム式薄板連続鋳造装置1の起動直後
に出る検出値の大きなピークaは、鋳片13の先端のボ
トム端部にできる瘤がドラム2及び3の間隙8を通過す
る際に、ドラム2に対してドラム3が大きく後退して間
隙8の大きさが急増するときのもので、シリンダ位置の
検出値xは、その後は鋳片13の目標板厚に対応するシ
リンダ位置の目標値であるx0 に向かって漸次接近して
行く。その途中に現れるピークb,c,d,eは、サイ
ド堰16及び17に付着した地金18が剥がれてシェル
12に噛みこまれた結果、鋳片13の厚さが瞬間的に増
大して、ドラム2及び3の間隙8が開いたことを示すも
のである。
【0024】そこで、目標値x0 よりも所定の値Δxだ
け高い閾値x0 +Δxを設定し、シリンダ位置の検出値
xがこの閾値を越えたときに制御装置24によりタイマ
ーを起動し、それからタイマーに設定した所定の時間T
0 内に、検出値xが再び閾値を越えるか否かを監視す
る。例えばピークcにおいてタイマーを起動したときに
は、その後の経過時間Tが所定の時間T0 に達する前
に、閾値x0 +Δxを越える次の大きなピークdが現れ
るので、その時点でタイマーをリセットし、再び経過時
間Tのカウントを始める。
【0025】次のピークeは閾値x0 +Δxを越えない
小さい値であるから無視される。このようにしてシリン
ダ位置の検出値xが閾値を越えた時点から、所定の時間
0内に次の閾値を越える検出値が検出されなかったと
きは、タイマーはその時点fにおいてカウント終了の信
号を発し、それを受けた制御装置24は、加振装置25
に送っていた作動信号を遮断してサイド堰16及び17
の振動を停止させる。ピークeのような小さいシリンダ
位置の移動は、正常な連続鋳造状態においてもしばしば
検出されるので、この例では、Δxの幅の不感帯を設け
ることにより、必要以上に敏感なシステムの作動を抑え
ながら、可及的速やかにサイド堰16及び17の振動を
停止させ、サイド堰の磨耗による前述の各種弊害の発生
を予防している。
【0026】以上の作動を、制御装置24内に設けられ
たコンピュータが実行する制御プログラムのフローチャ
ートとして、より具体的に示したものが図7である。双
ドラム式薄板連続鋳造装置1が起動され、連続鋳造作業
が開始されると、ステップ100で制御プログラムもス
タートする。まずステップ101で、油圧シリンダ9に
組み込んだ位置検出器からの信号であるシリンダ位置の
検出値xが、閾値x0+Δxよりも大きいか否かが判定
される。大きくないときには所定の時間後に同じ判定を
繰り返す。
【0027】ステップ101で大きいと判定されたとき
は、ステップ102に進んで今度はシリンダ位置の検出
値xが、閾値x0 +Δxよりも小さいか否か、或いはそ
れと同じ大きさか否かを判定する。判定が否であれば図
6に示すピークa,bのように閾値x0 +Δxを越えた
ままの状態であるから、所定の短時間後に同じ判定を繰
り返す。ステップ102の判定結果が正であれば、ステ
ップ103で制御装置24内のタイマーを起動してカウ
ントを開始する。そしてステップ104に進んで、シリ
ンダ位置の検出値xが、目標値x0 に所定値例えば0.
3mmを加算した別の閾値x0 +0.3よりも小さいか
否か、或いはそれに等しいか否かが判定される。判定が
否(大きい)であれば、検出値xが別の閾値x0 +0.
3を越えるほどの高いピークを示しているということで
あるから、ステップ103に戻ってタイマーをリセット
し、再びカウントを開始する。
【0028】ステップ104における判定が正であれ
ば、シリンダ位置の検出値xのピークが別の閾値x0
0.3よりも低くなったことを示すので、ステップ10
5に進んで、ステップ103においてタイマーのカウン
トを開始した時からの経過時間Tが、所定の時間T0
りも大きくなったかどうかを判定する。否であればステ
ップ104に戻って判定を繰り返すが、ステップ105
の判定結果が正になったときは、所定の時間T0 内にシ
リンダ位置の検出値xの次の大きなピークが現れなかっ
たことを示すので、サイド堰の表面に付着した地金18
による鋳片13の厚さの大きな変動は終息したとして、
ステップ106に進んで加振装置25を作動させていた
制御信号を解除し、サイド堰16及び17の振動を停止
させる。なお、図7のフローチャートに示した実施例で
は二種類の閾値を用いて判定しているので、図6のよう
に共通の閾値によって判定する場合よりも更に細かな対
応が可能になる。
【0029】次に示す表1は、ステンレス鋼の薄板の連
続鋳造において、サイド堰の振動を停止する条件を色々
に変化させることによって、結果がどのような状況にな
るかを調べたものである。共通の実験条件は、ドラム2
及び3について、ドラム径を1200mm、ドラム幅を
800mm、鋳造速度を80m/minとし、鋳片13
の厚さを2.5mm、サイド堰16及び17の振動数を
10Hz、振幅を1mmとした。使用した鋼種はSUS
304である。
【0030】
【表1】
【0031】ケース1は、サイド堰の振動を連続鋳造作
業中は停止することなく連続して実施した比較例であっ
て、いわば前記の従来技術を実施した場合にあたる。こ
の比較例については全部で12回試験を試みたが、全
て、サイド堰16及び17のセラミックプレート20
が、深さ2.5〜3.0mm程度磨耗したところで疲労
破壊を起こしてシール不良になり、鋳造作業を中断し
た。
【0032】ケース2は、鋳造開始後3分で一律にサイ
ド堰16及び17の振動を停止した場合であって、全部
で15回試みたが、全ての場合にセラミックプレート2
0が磨耗して磨耗限界の4mmに達するまで、安定した
シール性を維持することが確かめられた。従って、ケー
ス2は本発明の目的に適っており、本発明の実施例の一
つにあたるものということができる。
【0033】ケース3は、鋳造開始後2分で一律にサイ
ド堰16及び17の振動を停止した場合であって、同じ
試みを10回繰り返したが、そのうち、サイド堰の表面
に付着した地金18がシェル12に噛みこまれた結果と
みられるシール性不良と鋳片切れによって、連続鋳造を
中断した回数が4回あり、それ以外の略半数は、支障無
くセラミックプレート20の磨耗限界まで作業を継続す
ることができた。サイド堰16及び17の振動を停止す
る時期がやや早すぎたきらいはあるが、本発明の効果は
部分的に認められた。
【0034】ケース4も同様であるが、僅か1分間だけ
サイド堰16及び17に振動を加えた後に振動を停止し
ても、それなりの効果のあることが判った。サイド堰の
表面に付着した地金18による弊害が、双ドラム式薄板
連続鋳造装置1の起動から短い時間内に集中して起こる
ということが、これらの試験結果から明らかになったと
いうことができる。
【0035】ケース5は、前述の図6に示した制御パタ
ーンにおいて、閾値x0 +Δxを決めるために目標値x
0 に上乗せする値Δxを具体的に0.3mmとし、タイ
マーを作動させるために設定する所定の時間T0 を30
秒とした場合であって、この場合もケース2と同様に好
ましい結果が得られたので、これは本発明の実施例にあ
たるものである。
【0036】図8は、以上の試験結果を整理して、閾値
0 +Δxを決定するためのΔxの値と、タイマーを作
動させるために設定する所定の時間T0 との関係におい
て、シール不良が発生する確率の分布を示したものであ
る。この結果から言えることは、本試験においてはΔx
の値を0.3mm以下とすると共に、時間T0 を30秒
以上にとれば、シール不良が発生する確率は0%になる
ということである。この領域を図8において斜線によっ
て示している。なお、閾値におけるΔx、時間T0 は鋳
造条件、具体的には鋳造機、溶湯金属、鋳片厚み等によ
って定まる定数である。各場合においては、予め図8の
ような基本図を作成することによって、Δx及びT0
範囲を決めることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、双ドラム式薄板連続鋳
造装置の運転状態において、サイド堰の表面に付着した
地金が凝固シェルに噛みこまれることによって起こると
みられるシール不良や鋳片のホットバンドによる鋳片切
れが確実に防止されると共に、サイド堰のセラミックプ
レートに生じる磨耗が著しく減少するので、長期間にわ
たって円滑に連続鋳造の操業を続けることが可能にな
り、鋳片切れによる多大な損失を防止することができ
る。また、サイド堰のセラミックプレートの破片等の異
物をシェルに噛みこむことによる鋳片の欠陥の発生もな
くなる。更にサイド堰の振動に起因する端部凝固遅れが
なくなり、鋳片端部の性状が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための双ドラム式薄板連続鋳
造装置を示す正面図である。
【図2】従来の連続鋳造装置の要部を概念的に示す正面
図である。
【図3】図2の連続鋳造装置の問題点を示す平面図であ
る。
【図4】連続鋳造装置のサイド堰を示す部分断面図であ
る。
【図5】図4のサイド堰の磨耗を示す部分断面図であ
る。
【図6】本発明の手法を説明するための線図である。
【図7】本発明による制御例を示すフローチャートであ
る。
【図8】試験結果から得られた結論を表示する線図であ
る。
【符号の説明】
1…双ドラム式薄板連続鋳造装置 2、3…ドラム 4、5…軸 6、7…軸受 8…ドラム間隙 9…油圧シリンダ 10…荷重検出器 11…湯溜まり部 12…シェル 13…鋳片 14、15…ドラムの端部 16、17…サイド堰 18…サイド堰の表面に付着した地金 19…ドラム端部の突条 20…セラミックプレート 21…溝 22…磨耗によってできる突条 23…フレーム 24…制御装置 25…加振装置 26…出力端 27…枢着点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇山 洋一 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 服部 英則 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (56)参考文献 特開 平3−174954(JP,A) 特開 昭62−134145(JP,A) 特開 昭62−16853(JP,A) 特開 昭60−184450(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隙を置いて互いに平行になるよ
    う設置され同じ回転速度で互いに反対向きに回転駆動さ
    れる一対の鋳造ドラムと、該鋳造ドラムの端面に摺動接
    触する一対のサイド堰と、該サイド堰を前記鋳造ドラム
    との摺動接触面内において振動させる加振装置とを設け
    た双ドラム式薄板連続鋳造装置において、鋳造が熱的な
    非定常状態にある期間はサイド堰を振動させると共に、
    鋳造が熱的な定常状態にある期間はサイド堰の振動を停
    止させることを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記鋳造の熱的な非定常状態と熱的な
    常状態の判定を、連続的に計測されたドラムの間隙値
    xが、所定の時間T0 の間において所定の閾値x+Δx
    を越える場合を非定常状態、越えない場合を定常状態と
    することによって行うことを特徴とする請求項1記載の
    双ドラム式薄板連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 所定の間隙を置いて互いに平行になるよ
    う設置され同じ回転速度で互いに反対向きに回転駆動さ
    れる一対の鋳造ドラムと、該鋳造ドラムの端面に摺動接
    触する一対のサイド堰と、該サイド堰を前記鋳造ドラム
    との摺動接触面内において振動させる加振装置とを設け
    た双ドラム式薄板連続鋳造装置において、前記一対の鋳
    造ドラムの少なくとも一方の位置を検出する位置検出器
    と、該位置検出器の信号によって算出される前記一対の
    鋳造ドラムの間隙値が所定の時間内に所定の閾値を越え
    ないときに前記加振装置を停止する制御装置とを設けた
    ことを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造装置。
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