JPH0639501A

JPH0639501A - 双ドラム式薄板連続鋳造装置

Info

Publication number: JPH0639501A
Application number: JP4254292A
Authority: JP
Inventors: Takashi Arai; 貴士新井; Yuji Yoshimura; 裕二吉村; Hidetaka Oka; 秀毅岡; Isao Mizuchi; 功水地
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-02-28
Filing date: 1992-02-28
Publication date: 1994-02-15

Abstract

(57)【要約】【目的】双ドラム式薄板連続鋳造装置のドラムに形成
されたディンプルが磨滅したときに、生産性を低下させ
ずに、且つ不良な鋳片を出す前に補修する。【構成】鋳造ドラム２、３の円筒面に形成されたディ
ンプルの一部が磨滅すると、湯溜まり部６で形成される
凝固シェル７との間にガス膜が形成されなくなるので、
凝固シェルが円筒面に直接に接触し、熱伝導性が良くな
って鋳片８の温度が低下する。従って、鋳片８の表面温
度を計測している鋳片温度検出装置１３、１４の検出値
が異常に低下している部分では、それに対応する鋳造ド
ラム２、３の円筒面上の特定部分のディンプルが磨滅し
ていることになる。そこで制御装置１２は、円筒面上の
その特定部分がショットブラスタ１０、１１に対面する
位置へ来たときにそれを作動させ、ディンプルが磨滅し
ている部分に再びディンプルを形成させる。この補修は
本来の鋳造作業を継続しながら行われる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属溶湯から薄板を連
続鋳造する双ドラム式薄板連続鋳造装置に係り、特に、
回転する円筒面に多数の微小なディンプル（窪み）を均
等あるいはランダムに形成した鋳造ドラムにおいて、デ
ィンプルの一部が磨滅した場合にそれを補修する手段を
備えたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】双ドラム式薄板連続鋳造装置において
は、内部を循環する冷却水によって冷却されている一対
の鋳造ドラムが、鋳片の厚さに対応する鋳造間隙を置い
て平行になるように、フレームに支持された軸受によっ
て水平に軸承されている。鋳造ドラムの鋳造間隙の上部
には、タンディシュからノズルを通じて連続的に金属の
溶湯の供給を受ける湯溜まり部が形成され、湯溜まり部
内の金属溶湯がドラムの表面に触れて冷却されることに
より形成される凝固シェルが、ドラムが互いに反対の方
向に回転駆動されることによって、ドラムの鋳造間隙か
ら冷却凝固した薄い帯板状の鋳片となって送り出される
ようになっている。

【０００３】表面に割れ（微細な亀裂）等の欠陥がな
く、性状の優れた良質の鋳片を得るための手段として、
連続鋳造装置の鋳造ドラムの円筒面に、ショットブラス
ト法、フオトエッチング法、放電加工法、電子ビーム加
工法、その他の方法を利用することによって、深さが５
〜１００μｍ、直径が０．１〜１．２ｍｍ程度の円形或
いは長円形等の多数の微小なディンプル（窪み）を、均
等あるいはランダムに形成することが有効であること
が、特開昭６０−１８４４４９号公報、特開昭６２−２
５４９５３号公報、特開昭６４−８３３４２号公報等の
記載によって知られている。

【０００４】連続鋳造を実施しているときの、上記のよ
うに鋳造ドラムの円筒面に形成されたディンプルの有用
な作用の一つは、低温の鋳造ドラムの表面とそれによっ
て冷却される凝固シェルとの間に、薄いガス膜を形成さ
せてそれを保持し得ることであり、熱伝導面にガス膜が
介在することによって、鋳造ドラムの表面上の部分的に
冷却の程度が異なる状態が緩和されて、凝固シェルの全
域にわたって冷却が略均等に行われるようになるという
効果を生じる。

【０００５】また、もう一つの有用な作用は、ディンプ
ルが設けられることによって微小な凹凸を与えられた鋳
造ドラムの表面が、凝固シェルに対するグリップ作用を
もつことであり、鋳造ドラムが凝固シェルの表面を拘束
して相対的な移動を妨げることにより、冷却によって起
こる凝固シェルの任意の位置の微小部分の収縮が、それ
ぞれの微小部分内で吸収され、収縮が特定の場所に集中
することによって鋳片に割れを生じるのが防止されると
いう効果を生じる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】鋳造作業を実施してい
ると、ドラムの表面に設けられた微小なディンプルによ
る凹凸は時間の経過と共に磨滅して平滑になって行くの
で、ディンプルを設けなかった場合と同様に鋳片に割れ
が生じるようになり、鋳片の品質が漸次低下して行く。
そこで割れの出現の状況等を監視していて、使用可能の
限界に達したと判断したときには、連続鋳造装置の運転
を停止させて、ドラム表面にディンプルを再加工する補
修作業を行うことになるが、補修作業を行う前に鋳片の
品質不良の発生率が徐々に高くなって来て歩留りが悪く
なるうえに、補修作業を実施している間は当然のことと
して連続鋳造作業を休止することになるので、装置の稼
働率等の生産性が大幅に低下する。本発明は、従来技術
のこのような問題を解決することを発明の解決課題とし
ているものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決するために、連続鋳造装置の運転を停めないで操業を
継続しながら、ディンプルの異常の兆候を検知すること
により、不良な鋳片が産みだされる前に、運転中のドラ
ムの表面のうちでも連続鋳造に直接かかわっていない部
分を利用して、ショットブラストによるディンプルの補
修作業を行うことによって、品質と生産性の低下を同時
に防止するものである。

【０００８】即ち、本発明の双ドラム式薄板連続鋳造装
置は、円筒面に多数のディンプルを形成され、鋳造間隙
をおいて互いに平行に配置されて、前記鋳造間隙の上部
に金属の溶湯を連続的に供給される湯溜まり部を形成す
ると共に、互いに反対方向へ回転駆動される一対の鋳造
ドラムと、前記鋳造間隙から連続して導出される鋳片の
面に対向して配置され、前記鋳片の幅方向に走査されて
前記鋳片の表面温度を検出する鋳片温度検出装置と、前
記鋳片温度検出装置の検出値が入力される制御装置と、
前記鋳造ドラムの円筒面のうち前記湯溜まり部と前記鋳
造間隙の部分を除く部分の一部に対向して配置され、前
記制御装置の制御信号を受けて前記鋳造ドラムの軸方向
に移動すると共に、前記鋳造ドラムの円筒面に対してシ
ョットブラストを行うショットブラスタとを備えている
ことを特徴とする。

【０００９】

【作用】鋳造ドラムの円筒面に形成されたディンプルの
一部が磨滅すると、湯溜まり部で形成される凝固シェル
との間にガス膜が形成されなくなるので、凝固シェルが
円筒面に直接に接触し、熱伝導性が良くなって鋳片の温
度が低下する。従って、鋳片の表面温度を計測している
鋳片温度検出装置の検出値が異常に低下している部分で
は、それに対応する鋳造ドラムの円筒面上の特定部分の
ディンプルが磨滅していることになる。そこで制御装置
は、鋳造ドラムの円筒面上のその特定部分がショットブ
ラスタに対面する位置へ来たときにショットブラスタを
作動させ、ディンプルが磨滅している部分に再びディン
プルを形成させる。ショットブラスタによるディンプル
の補修は、鋳造ドラムの円筒面のうち、その時点におい
て鋳造作業に使用されていない部分に対して行われるの
で、連続鋳造装置の本来の鋳造作業を継続しながら、補
修作業を自動的に実施することができる。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明の実施例としての双ドラム式
薄板連続鋳造装置１の全体構成を示すもので、２及び３
は水平に且つ互いに平行に配置された一対の鋳造ドラ
ム、４及び５はそれらの軸であって、図示しない軸受等
を介してフレームによって支持される。５はドラム２及
び３の間に形成される鋳造間隙５であって、その上部に
は両端を図示しないサイド堰によって仕切られることに
よって湯溜まり部６が形成され、図示しないタンディッ
シュから連続的に金属の溶湯の供給を受ける。湯溜まり
部６内の溶湯は、内部を循環する冷却水によって冷却さ
れているドラム２及び３の表面に触れて熱を奪われるこ
とにより凝固シェル７を形成し、図中の矢印の方向にド
ラム２及び３が回転駆動されることによって、圧下され
て薄い帯板状の鋳片８となり、鋳造間隙５から下方へ押
し出される。鋳片８はピンチローラ９等に案内されて図
示しないコイラに巻き取られる。

【００１１】具体的な数値例を示すと、ドラム２及び３
の直径は１２００ｍｍ、ドラム幅は８００ｍｍ、鋳造速
度は８０ｍ／ｍｉｎである。一対のドラム２及び３の円
筒面には、連続鋳造作業を始める前に、ショットブラス
ト法、フオトエッチング法、放電加工法、電子ビーム加
工法その他の方法によって、深さが５〜１００μｍ、直
径が０．１〜１．２ｍｍ程度の円形或いは長円形等の多
数の微小なディンプルが均等あるいはランダムに形成さ
れている。

【００１２】実施例の双ドラム式薄板連続鋳造装置１
は、ドラム２及び３の円筒面のうち、連続鋳造に直接関
与している湯溜まり部６から鋳造間隙５にかけての部分
から比較的離れた部分、即ち図１の例においては、ドラ
ム２及び３の軸４及び５と略同じ高さの真横の位置に、
それぞれショットブラスタ１０及び１１を、図示しない
フレームに支持させて設けている。ショットブラスタ１
０及び１１は、鋳片８の幅の例えば数分の一程度の幅を
有するスリット状のノズルから、例えば４〜７ｋｇ／ｃ
ｍ²の空気圧によって直径０．１〜０．６ｍｍの鋼球シ
ョットを被加工面に向かって噴射する空圧投射式のもの
であって、それに付属して、被加工面に当たった後のシ
ョットを吸い取る口も備えている。

【００１３】ショットブラスタ１０及び１１は、それぞ
れ例えばパルスモータと送り螺子軸によって駆動される
移動台に乗っており、コンピュータや各種の記憶装置、
駆動回路等からなっている制御装置１２が出力する制御
信号を受けて、ドラム２及び３の軸方向に往復移動する
ことができ、制御装置１２の指令通りの位置へ急速に移
動してショットノズルを位置決めすることができる。シ
ョットブラスタ１０及び１１のドラムの軸方向における
位置は、それらの内部或いは支持機構に設けられたマグ
ネスケールのような手段によって検出され、検出値は制
御装置１２へフィードバック信号として入力される。

【００１４】ドラム２及び３の鋳造間隙５から送りださ
れる鋳片８の両面に対向して、鋳造間隙５から所定の距
離だけ離れた位置に例えば走査型放射温度計のような鋳
片温度検出装置１３及び１４が設けられ、それらの検出
値が制御装置１２へ入力される。鋳片温度検出装置１３
及び１４はその設置位置を通過する鋳片８の幅方向に走
査されて、鋳片８上の幅方向の各部分の温度を計測す
る。走査は例えば０．１秒毎に１回の割合で繰り返され
る。鋳片温度検出装置１３又は１４の計測結果の例が図
２に示されている。

【００１５】図１において１５及び１６として示したも
のは、ドラム清掃用のブラシであって、ドラム２及び３
の幅（軸方向長さ）と同程度の長さを有し、図示しない
フレームに支持されて、ショットブラスタ１０又は１１
の前を通過した後のドラム２又は３の円筒面に接触して
おり、ショットブラストによってできる金属粉や、連続
鋳造作業によって鋳造ドラム２及び３の円筒面に付着し
た滓のようなものを払拭することによって、湯溜まり部
６に異物が入らないようにする。ドラム清掃用のブラシ
１５及び１６は静止しているものに限らず、モータによ
って駆動される回転型ブラシであってもよい。

【００１６】双ドラム式薄板連続鋳造装置１、殊に本発
明の実施例の特徴であるショットブラスタ１０及び１１
と鋳片温度検出装置１３及び１４は、制御装置１２と共
に、例えば次のように関連して作動する。

【００１７】(1) 鋳片温度検出装置１３及び１４は０．
１秒の周期で鋳片８の幅方向に走査されて、鋳片８の表
面或いは裏面の各部分の表面温度を計測し、検出値をリ
アルタイムに制御装置１２内のレジスタへ入力する。１
回の走査によって図２に例示されたような鋳片８の幅方
向の温度分布が記憶される。

【００１８】(2) 制御装置１２のコンピュータは、例え
ば１０秒毎に、鋳片温度検出装置１３及び１４が１００
回の走査を行って得た検出値に基づいて、温度の平均値
Ｔ₀を算出し、レジスタに記憶されている鋳片８の温度
の平均値を更新する。

【００１９】(3) 制御装置１２のコンピュータはレジス
タに記憶される図２のようなリアルタイムの温度分布か
ら、鋳片温度の平均値Ｔ₀よりも許容範囲である所定値
ΔＴ（連続鋳造する金属の種類とディンプルパターンに
よって適正値が存在する）以上温度が低い領域を検知す
る。図２の場合は、ＷＳ及びＤＳが鋳片８の側縁位置に
対応し、それらのいずれかを基準にして数値的に位置が
定まる点Ｘ₁及びＸ₂の間に挟まれた領域の温度が、許
容値Ｔ₀−ΔＴよりも低いことが判明する。これは、ド
ラム２又は３の円筒面に設けられたディンプルによる凹
凸がそれに対応する部分だけ磨滅して、凝固シェル７と
の間にガス膜が形成されなくなり、凝固シェル７がドラ
ム２及び３の表面に直接に接触することによって、ディ
ンプルが残っている部分よりも強く冷却された結果であ
ると判断される。

【００２０】(4) 制御装置１２はショットブラスタ１０
又は１１に制御信号を出力して図２の点Ｘ₁に対応する
位置へ移動させ、ショットブラストを開始させる。そし
て、必要なショットブラスト時間を確保するため、ドラ
ム速度に反比例した一定の速度（ディンプルパターンに
応じた適正値が存在する）で、点Ｘ₁から点Ｘ₂に向か
ってショットブラスタ１０及び１１をドラムの軸方向に
移動させる。点Ｘ₂に到着した時点でショットブラスト
を停止し、前記(3) の段階へ戻り、繰り返して検知を行
う。これらの作動は、全て双ドラム式薄板連続鋳造装置
１の稼働中に並行して行われるので、その間に連続鋳造
作業を中断する必要がない。

【００２１】このように、ショットブラスタ１０及び１
１をドラム２及び３の軸方向に往復移動させ、ディンプ
ルが磨滅していると思われるドラム２及び３の円筒面上
の特定位置へショットブラストを実施することによっ
て、磨滅したディンプルを再生させることができるの
は、ディンプルの磨滅はドラム２及び３の円筒面上にお
いて円周方向に連続して起こりやすいという経験上の知
見に基づいている。

【００２２】もっとも、ドラム２及び３の回転速度と、
鋳造間隙５から測った鋳片温度検出装置１３及び１４の
距離と、同じくドラム２及び３の円周上におけるショッ
トブラスタ１０及び１１の距離が判っているから、島状
に飛び飛びでディンプルの磨滅箇所が現れても、制御装
置１２によって、それらの位置に狙いを定めてショット
ブラストを行うことは容易である。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、双ドラム式薄板連続鋳
造装置の鋳造作業を継続しながら、同時に鋳造ドラム上
のディンプルの磨滅が比較的進んでいる部分に対する補
修を行うので、連続鋳造装置を休止する必要がないこと
から高い生産性が得られる。また、ディンプルが磨滅し
て不良な鋳片が出るようになってから補修を行う従来の
場合と異なり、ディンプル異常の兆候を検出したとき、
直ちに部分的な補修機能が発動されるので、割れ等の欠
陥のある鋳片を殆ど全く出さない、きわめて歩留りの高
い操業が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の双ドラム式薄板連続鋳造装置のシステ
ム構成図である。

【図２】本発明の作動を説明するための線図である。

【符号の説明】

１…双ドラム式薄板連続鋳造装置２、３…鋳造ドラム５…ドラム間隙６…湯溜まり部７…凝固シェル８…鋳片１０、１１…ショットブラスタ１２…制御装置１３、１４…鋳片温度検出装置１５、１６…ドラム清掃用のブラシ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者水地功山口県光市大字島田3434番地新日本製鐵株式会社光製鐵所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】円筒面に多数のディンプルを形成され、
鋳造間隙をおいて互いに平行に配置されて、前記鋳造間
隙の上部に金属の溶湯を連続的に供給される湯溜まり部
を形成すると共に、互いに反対方向へ回転駆動される一
対の鋳造ドラムと、前記鋳造間隙から連続して導出され
る鋳片の面に対向して配置され、前記鋳片の幅方向に走
査されて前記鋳片の表面温度を検出する鋳片温度検出装
置と、前記鋳片温度検出装置の検出値が入力される制御
装置と、前記鋳造ドラムの円筒面のうち前記湯溜まり部
と前記鋳造間隙の部分を除く部分の一部に対向して配置
され、前記制御装置の制御信号を受けて前記鋳造ドラム
の軸方向に移動すると共に、前記鋳造ドラムの円筒面に
対してショットブラストを行うショットブラスタとを備
えていることを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造装
置。