JP3135282B2 - 薄板連鋳法 - Google Patents

薄板連鋳法

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JP3135282B2 JP03150948A JP15094891A JP3135282B2 JP 3135282 B2 JP3135282 B2 JP 3135282B2 JP 03150948 A JP03150948 A JP 03150948A JP 15094891 A JP15094891 A JP 15094891A JP 3135282 B2 JP3135282 B2 JP 3135282B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の溶湯から直接的に薄板を
連続鋳造するための双ロール式連続鋳造方法の改善に関
する。
【0002】
【従来の技術】互いに反対方向に回転する一対の内部冷
却ロールを適当な間隙をあけて平行に対向配置し,この
間隙(ロールギャップ)上部のロール円周面上に湯溜り
を形成させ,この湯溜りの中の湯を回転するロール円周
面で冷却しながら該ロールギャップを経て薄板に連続鋳
造する双ロール式連鋳機が知られている。このような双
ロール式連鋳機を鋼の連鋳に適用して,溶鋼から薄板鋼
板を直接製造しようとする提案もなされており,このた
めの装置の改善や運転方法について多数の報告がなされ
ている。
【0003 】
【発明が解決しようとする課題】双ロール式連鋳機にお
いては,ロール円周面上で凝固するシエルは,多少なり
とも厚みむらが発生することは避けられない。このため
にロール対の表面に形成された双方のシエルがロールギ
ャップを通過する際に,ロールと強く密着する部分とそ
うでない部分が生じる。また,熱膨脹等によってロール
表面に凹凸が生ずるとロールギャップがロールの幅方向
並びに円周方向に一定でなくなるので,これによっても
鋳造される薄板とロールとの密着度の不均一が発生す
る。このような密着度の差が薄板の幅方向もしくは長手
方向に生じていると,強く密着した部分では薄板がロー
ルにより強冷却され,そうでない部分は緩冷却される。
この冷却むらは薄板表面に冷却むら模様となって現れ
る。薄板鋳片に生じた冷却むら模様は,焼鈍酸洗及び冷
延工程を経た後の冷延板の表面に光沢むらとして残り,
品質上問題となる。
【0004 】この冷却むら模様は圧着負荷(ロールギャ
ップを通過する凝固シエルにロール表面から加わる圧
力)が大きいほど著しくなり,冷延板等における光沢む
らも顕著となる。この冷却むら模様は圧着負荷を小さく
していくことによって,軽微になることがこれまでの検
討の結果明らかとなった。この知見に基づき圧着負荷を
制御して(圧着負荷はロールの回転速度で制御できる)
冷却むらの防止を試みたが,冷延板に発生する光沢むら
を完全に防止するためには,圧着負荷を非常に小さい値
にまで制御しなければならないことがわかった。しかし
圧着負荷を非常に小さい値にまで制御が可能であったと
しても,この場合には,板厚中心部に未凝固溶湯を多量
に残したままでロールギャップを通過する状態となるの
で,板が膨れたりブレイクアウトするというトラブルが
生ずるという問題が起こる。このことが,圧着負荷のみ
を管理指標としてロール回転速度を制御する方法の欠点
である。
【0005 】圧着負荷をゼロ近くまで下げていった場合
に板のエッジがブレイクアウトするという問題の解決策
としては,鋳造する薄板の両端部の厚さを中央部の厚さ
よりも薄くする方法がある。この方法は,板エッジのブ
レイクアウトの抑制に効果があるが,圧着負荷が小さい
場合にその圧着負荷が板の両端部にのみかかるようにな
るので,制御にとって重要な薄板中央部の圧着負荷を正
確に検出することが困難となるという問題がある。本発
明は双ロール式薄板連鋳法におけるこの問題の解決を目
的としたものである。
【0006 】
【課題を解決するための手段】互いに反対方向に回転す
る一対の内部冷却ロールの上方に形成される湯溜り部に
溶融金属を供給し,該湯溜りの湯を該ロール対の間隙を
経て薄板に連続鋳造する薄板連鋳法において,前記の課
題を解決すべく,本発明は,(1) 該ロール対の間隙から
連続的に出てくる薄板の表面温度分布を該間隙から所定
の位置においてロール軸と平行方向に計測し,この表面
温度分布が設定範囲内となるようにロール回転速度を制
御すること,(2) 薄板が両ロールから受ける圧着負荷を
計測すると同時に,該間隙から所定の位置においてロー
ル対の間隙から連続的に出てくる薄板の表面温度分布を
該間隙から所定の位置においてロール軸と平行方向に計
測し,鋳造開始直後は圧着負荷が所定の値以下となるよ
うにロールの回転速度を制御し,圧着負荷が所定の値以
下になった後,表面温度分布が設定範囲内となるように
ロール回転速度を制御すること,更には,(3) 薄板が両
ロールから受ける圧着負荷を計測すると同時に,該間隙
から所定の位置においてロール対の間隙から連続的に出
てくる薄板の表面温度分布を該間隙から所定の位置にお
いてロール軸と平行方向に計測し,薄板表面の最高温度
が所定値以下で且つ圧着負荷が設定値近傍となるように
ロールの回転速度を制御すること,を特徴とする。
【0007】(1)と(2)の場合において,薄板両端部の厚
さを薄板中央部の厚さよりも薄く連続鋳造することがで
きる。また(3)の場合において,圧着負荷の設定値とは
薄板を冷延した後で冷延板に光沢むらを生じないような
圧着負荷の値を意味する。
【0008】[発明の詳述]本発明者らは,双ロール連鋳
機において鋳造中の板にかかる圧着負荷を変えて鋼の鋳
造を行い,種々のレベルの冷却むら模様を有する板を
得,この鋳造ままの板の冷却むら模様のレベルを,圧着
負荷が大きく冷却むら模様が鮮明な順にA,B,C,D
に分類した。そして,各冷却むら模様のレベルの薄板を
実験室的に焼鈍酸洗後,冷間圧延した。冷延後の板の表
面に観察される光沢むらと鋳造ままの薄板で観察された
冷却むら模様のA〜Dレベルとの関係を調査した結果,
冷却むら模様のレベルをDにすれば,冷延板において光
沢むらが発生しないことを確認した。
【0009】一方,ロールから連続的に出てくる薄板の
表面温度をロールギャップから所定の距離のところでサ
ーモグラフィーを用いて測定し,この表面温度分布と鋳
造後の薄板表面に観察される冷却むら模様との関係を調
査した。その結果, 冷却むら模様の程度は薄板表面温度
のむらに良好に対応していることがわかった。そして鋳
造中の圧着負荷が大きいと薄板の表面温度は全体に低く
なると同時に,その表面温度の分布が変動し(むらが著
しくなり)冷却むら模様が鮮明になることがわかった。
【0010】図1は,後述実施例の双ロール式連鋳機で
SUS304のステンレス鋼の薄板を鋳造したさいに,ロール
ギヤップから320mm下の位置で板幅方向の最高温度と最
低温度を測定し続け,この温度差が薄板の冷却むら模様
とどのような関係にあるかを調査した結果を示したもの
である。図1から,温度差が小さいほど冷却むら模様は
軽微となり,また最低温度が1270℃以上において前述の
レベルD(冷延後に光沢むらとならない冷却むら模様)
が得られた。しかし最高温度が1400℃を越えると鋳造後
の板表面に割れや膨れが認められた。これは板表面温度
が脆化域まで上昇したために割れや膨れが発生したもの
と考えられる。この結果は,SUS304の場合, ロールギヤ
ップから320mm下の表面温度を最低温度が1270℃以上で
かつ最高温度が1400℃以下の範囲となるように鋳造条件
を制御すれば, 割れや膨れなどの欠陥がなく, かつ冷却
むら模様が光沢むらとならない軽微なレベルの板を得る
ことができることを示している。
【0011】他の鋼種についても同様にして適正な制御
温度範囲,すなわち,割れや膨れが生じない最高温度
と,冷延後に冷却むら模様に起因した光沢むらが生じな
い最低温度を知ることができる。例えば前述の測定条件
においてSUS309Sでは最高温度が1350℃であり,最低温
度が1250℃であった。
【0012】以上のように,ロールギヤップ通過時の圧
着時の温度の影響をそのまま残しているロールギヤップ
直下での薄板の表面温度(温度差)を制御因子としてこ
の表面温度差が所定の範囲となるように鋳造条件を操作
すれば,冷却むら模様および割れや膨れなどの欠陥のな
い板を安定して得られるという知見を得た。この検出温
度を制御因子とした鋳造条件の制御操作は具体的には次
のようにして行なうことができる。
【0013】ロールギャップ通過直後の所定の位置にお
いて薄板幅方向の表面温度を複数点計測して温度分布を
求めると,その温度分布から薄板とロールとの密着の不
均一性を判断できる。この場合, 板幅方向の温度の不均
一性は各測定点の温度分布から, また板の長手方向の不
均一性は各測定点の時間変化から検知できる。すなわ
ち,板の二次元的温度分布を読み取ることができる。こ
の温度分布の変動をオンラインで検出し,その変動が設
定温度範囲を逸脱した場合に,これが設定温度範囲に復
帰するように鋳造条件を操作するという自動制御を実施
する。鋳造条件の操作因子は前述のごとくロールの回転
速度を採用すればよい。ロールの回転速度と圧着負荷と
の間には相関があり,圧着負荷と薄板の表面温度との間
には相関があるからである。例えば, 薄板表面に冷却が
不十分な箇所が生じ, その箇所の温度が所定の温度以上
になった場合,ロールの回転速度を遅くする方向に制御
して温度分布を正常値に復帰させる。逆に冷却が強すぎ
て最低温度が所定の温度以下になった場合には,ロール
の回転速度を速くする方向に制御して温度分布を正常値
に回復させる。
【0014】また,鋳造されている板の厚さが比較的厚
くなるとブレイクアウトを起こし易くなるため,板の両
端部の厚さを中心部の厚さよりも薄く鋳造してブレイク
アウトを抑止する手段がとられるが, このような場合に
は板両端部の厚さの薄い部分を除いた残りの領域におい
て前述の制御を行うことにより, 表面性状の良好な薄板
を製造することができる。
【0015】一方, 鋳造開始直後においては薄板表面の
温度が急激に変化すること,また表面温度の計測位置が
ロールギャップ点よりも下方に位置するために,薄板表
面温度の情報は実際の冷却時点よりも少し遅れたものと
なる。したがって,鋳造開始直後の非定常の場合, 最初
から表面温度の計測値のみで制御すると薄板表面の冷却
むらの変化に対応する制御が遅れ, また不適正となるこ
とからロールの回転速度が安定せず定常鋳造への移行が
円滑にならないという問題がある。そこで鋳造開始直後
のように非定常な状態では,ロールギャップ点における
リアルタイムの情報である圧着負荷を検出し,この圧着
負荷が所定値の範囲となるように制御を行い, ある程度
圧着負荷が低くなり定常状態に移行した後, すなわち圧
着負荷が所定値よりも小さくなった時点において圧着負
荷を制御因子とする制御から薄板表面温度を制御因子と
する制御へと切り替える方が冷却むら模様の発生しない
鋳造状態へ早く移行することができる。圧着負荷の検出
はロール間に加わる圧力の測定,具体的にはロードセル
によって行なうことができる。
【0016】なお,圧着負荷の所定値とは次の基準によ
り求めることができる。圧着負荷が過大の場合, 薄板の
冷却が過多となり冷却むら模様が発生する。一方, 圧着
負荷が過少の場合, 薄板の冷却が不足しロールから離脱
直後の復熱により薄板の表面温度がZSTよりも高くなり,
割れが発生する。ここでZSTとは薄板の強度がゼロにな
る温度(Zero Strength Temperature) を意味する。これ
ら両方の現象が発生しない圧着負荷を所定値として設定
する。すなわち, 実際の制御においては所望の鋼種につ
いて高温引張試験あるいはグリーブル試験などによって
ZSTをあらかじめ求めておき,復熱による薄板の表面温
度がZST以上とならないように圧着負荷を制御する。
【0017】鋳造開始直後の非定常状態から定常鋳造状
態までのロール回転速度の制御パターン, すなわち鋳造
開始直後から圧着負荷が所定値よりも小さくなった時点
において,圧着負荷による制御から薄板表面温度による
制御へと切り替える過程までに対応したロールの適正回
転速度を予めその鋼種について求めておいて,これをプ
ログラム化して制御することもできる。
【0018】また,温度の計測値と圧着負荷の計測値と
を組み合わせてロール回転速度を制御してもよい。この
場合, 薄板表面の最高温度を所定値以下とし,かつ圧着
負荷が薄板を冷延した後光沢むらを生じないことを要件
とする設定値近傍となるように制御することによっても
冷却むらのない鋳造板を得ることができる。
【0019】
【実施例】図2は,本発明法を適用する双ロール式連鋳
機の例を示しものであり,軸を平行にして対向配置され
た互いに反対方向に回転する同径の一対の内部冷却ロー
ル1a,1bの円周面に接して金属溶湯の湯溜り2を形成
し,この湯溜り2内の溶湯がロール対1a,1bの円周面で
冷却され,両円周面上に形成される凝固シエルがロール
ギャップ6を経て薄板3に連続鋳造される。4a,4bはロ
ール対1a,1bの円周面上に湯溜り2を形成するためのサ
イドダムを示している。図例ではロール対1a,1bの両端
部は中央よりも径大の段差部5を有しており,したがっ
て鋳造される薄板3は,両端縁Yは中央部Xより薄くな
るように鋳造される。なお,この段差部のない双ロール
式連鋳機に対しても本発明法は適用できる。
【0020】本発明においては,かような双ロール式薄
板連鋳において,サーモグラフィー装置のカメラ8をロ
ールギャップ6になるべく近くなるように設置して,連
続的に鋳造される薄板からの放射熱をサーモグラフィー
装置のカメラ8内のセンサー(InSb) が連続的に受光
し,起電力信号に変換する。
【0021】図3は,図1の双ロール式連鋳機を,ロー
ル支持機構を含めて側面から見た略図,また図4は同じ
く平面的に見た略図である。これらの図において,10a,
10bはロール軸であり,このロール軸10a,10bはフレーム
枠11内において平行移動可能に配置されたロールチョッ
ク12a,12b に受けられている。ロールチョック12a,12b
の間には,ロールギヤップ調節器13が介装されると共
に, ロードセル14が介装されている。図例では一方のロ
ール1bの側から他方のロール1aの側にシリンダー15によ
って押圧を加えるようになっている。17はこのシリンダ
ー15によってロール対全体に係る背圧を検出するロード
セルである。各ロール軸10はモータ18から回転動力を付
与される。
【0022】前記のように薄板の表面温度をカメラ8に
よって検出し続けるが,このカメラ8からの信号はサー
モグラフィー装置の信号処理部9において温度のデジタ
ル信号に変換され,オンラインでカラーデイスプレイ20
に二次元で表示され, 薄板表面の温度むらを直接監視す
ることができる。このデイスプレー20に表示される薄板
表面温度を直接監視しながら, 薄板表面温度が設定値の
範囲にはいるように,ロールの駆動源であるモーター18
の回転速度をマニュアルで操作することができる。また
以下のようにして自動制御することもできる。なお,図
3および4において19はモータ速度パターン発生装置を
示している。
【0023】自動制御にさいしては,サーモグラフイー
装置からの温度のデジタル信号を制御回路21に入力す
る。制御回路21において該入力値を最高温度設定値及び
最低温度設定値と比較し,設定値の範囲から高い方の温
度にずれる場合には,モーターの速度制御装置22へモー
ターの回転速度を遅くするように出力信号を与え, 逆に
設定値から低い方の温度にずれる場合には先と逆の信号
を与える。
【0024】この表面温度制御に加えて圧着負荷制御を
併用し,前述のように鋳造開始直後の非定常状態から定
常状態にかけて,ロール回転速度の制御を圧着負荷管理
から薄板表面温度管理に切り替えるのが好ましいが,こ
の場合の論理回路のフローチャートを図5に示した。こ
の態様では,薄板の表面温度をサーモグラフイー装置の
カメラ8によって連続的に計測すると同時に,図4に示
したロードセル14,14'と17,17'による圧着負荷の直接的
な計測を行い, ロードセル17,17'から得られる検出値P
1と,ロードセル14,14'から得られる検出値P2とを圧着
負荷演算機24に入力し, (P1−P2=P3)の計算を逐次
実行し,薄板が受ける圧着負荷P3を求める。このP3
レコーダー25等に外部から確認可能なように出力させる
ことができる。湯面が未だ所定の高さまで達していない
非定常な鋳造開始時の場合, 鋳造開始運転者は圧着負荷
値P3を監視し,P3が圧着負荷の所定値P0以下となる
ようにロールの回転速度を制御する。そして,P3をP0
以下に制御して鋳造が定常状態に移行した後, 圧着負荷
と同時に測定していた薄板表面温度をデイスプレイ20の
画面にして監視し,薄板表面温度を所定の温度範囲には
いるようにロールの回転速度を制御する方法をとる。
【0025】さらに本発明の一態様として,薄板表面温
度の最高温度と冷延板に光沢むらの生じない圧着負荷値
Dの両者をロール回転速度制御の管理値に用いてもよ
い。ここで, 冷延板に光沢むらを生じない圧着負荷値P
Dは,圧着負荷の所定値P0以下の種々の圧着負荷値で鋳
造した薄板を焼鈍酸洗後冷延した板において, 光沢むら
発生の程度を調査して鋳造対象鋼種毎に予め求めてお
く。
【0026】図6は,ロール回転速度の制御を,鋳造開
始直後の非定常時は圧着負荷値のみにて行い,定常状態
に移行後は薄板表面温度の最高温度と冷延板に光沢むら
を生じない圧着負荷値にて行う場合のフローチャートを
示した。
【0027】なお,図1に示したように,板の両端部の
厚さを中心部の厚さよりも薄く鋳造してブレイクアウト
を抑止する鋳造方法に対して本発明の制御を行なう場合
には板両端部の厚さの薄い部分(X領域)を除いた残り
の領域(Y領域)において前述の制御を行う。
【0028】〔本発明法の稼働例1〕400mmφ×300mmW
の銅合金製内部冷却ロールからなる双ロール式連鋳機
(ただし,図1に示したロール表面の段差部5を持たな
い等径の平坦なロールからなる連鋳機)で,SUS304溶鋼
を500kg鋳造した。鋳造板厚は2.0mmであり, 定常状態で
の平均鋳造速度は30m/minであった。ロールギャップか
ら320mm出たところの板の幅方向表面温度をサーモグラ
フイーにより測定した。幅方向温度分布から10点の指示
値を抽出し,これらを管理指標として用いた。薄板表面
温度の管理範囲は最高温度1370℃ (1400℃を越えるとブ
レイクアウトが起こるため余裕を30℃とった),最低温度
を1270℃とした。
【0029】サーモグラフイー出力のデイスプレイを監
視しながら,表面温度分布が管理温度範囲を満足させる
ようにロール駆動用モーター電圧を増減し,ロールの回
転速度を制御した。その結果, 鋳造された薄板は,先端
から10mまでを除いて冷却むら模様のレベルはD以下で
あった。また未凝固による板の膨れ(バルジング)や割
れもなく表面性状の良好な薄板が得られた。また得られ
た薄板のうち先端から10mまでを除いた薄板を焼鈍酸洗
後冷延した結果,光沢むらのない均一な表面状態の冷延
板が得られた。
【0030】〔本発明法の稼働例2〕本例では鋳造開始
直後のロール回転速度の制御は図4に示したようにロー
ドセルからの検出値による圧着負荷値を管理指標として
行った。すなわち鋳造開始直後の非定常状態において
は,圧着負荷を2.5kgf/mmW以下になるようにロール回転
速度を制御し,圧着負荷2.5kgf/mmW以下が達成されて定
常状態になった時点以降はサーモグラフイーからの検出
信号による薄板表面温度を管理指標としたロール回転速
度制御に切り替えた。その他の条件は前例1と同一とし
た。
【0031】その結果,例1の場合よりも早く板幅方向
の表面温度分布の最低温度を1270℃以上1370℃以下の範
囲におさめることができた。その結果, 薄板先端からの
不良部はわずか3m生じたにすぎなかった。得られた薄
板のうち先端から3mまでを除いた薄板を焼鈍酸洗後冷
延した結果,光沢むらのない均一な表面状態の薄板が得
られた。
【0032】〔本発明の稼働例3〕本例では図1に示し
たように両端部に段差部5をもつロールを用いて薄板の
両端部を中央部よりも薄くする鋳造法をとった。この時
の鋳造板厚は3.0mmで定常状態における鋳造時の平均ロ
ール回転速度は20m/minであった。また,表面温度測定
の幅方向の範囲は鋳造板の板厚の薄い両端部(10mm/片
側) を除く220mmとした。その他の条件は例1と同一と
した。また,ロール回転速度の制御は例2と同様に鋳造
開始直後の非定常状態においては圧着負荷を2.5kgf/mmW
以下とするべくロール回転速度を制御し,圧着負荷2.5k
gf/mmW以下が達成された後は薄板の表面温度を管理値と
してロール回転速度を制御した。
【0033】その結果, 得られた板厚が3mmと比較的厚
いにもかかわらず,板のエッジからのブレイクアウトも
なく,板先端から3mを除いて冷却むら模様レベルはD
以下で未凝固による板の膨れや割れもなく表面性状の良
好な薄板が得られた。得られた板のうち先端から3mま
でを除いた薄板を焼鈍酸洗後冷延した結果,光沢むらの
ない均一な表面状態の冷延板が得られた。
【0034】〔本発明法の稼働例4〕例1と同様の双ロ
ール式連鋳機で,SUS304溶鋼を500kg鋳造した。鋳造板
厚は2.0mmであり, 定常状態での平均鋳造速度は30m/min
であった。薄板表面温度分布の測定条件も例1と同様と
した。定常状態移行後の薄板表面温度の管理目標値は最
高温度を1370℃とした。一方, 圧着負荷値の管理目標値
は1.0±0.2kgf/mmWとした。サーモグラフイー出力のデ
イスプレイ及び演算器を通じたロードセルの圧着負荷検
出値を監視しながら, 表面温度分布の最高温度及び圧着
負荷値が設定条件を満足するようにロール回転速度を制
御した。
【0035】その結果, 鋳造された薄板は,先端から10
mまでを除いて冷却むら模様のレベルはD以下であっ
た。また,未凝固による板の膨れ(バルジング)や割れ
もなく表面性状の良好な薄板が得られた。得られた薄板
のうち先端から10mまでを除いた薄板を焼鈍酸洗後冷延
した結果,光沢むらのない均一な表面状態の冷延板が得
られた。
【0036】〔比較例1〕例1と同様の双ロール式連鋳
機で,SUS304溶鋼を500kg鋳造した。鋳造板厚は2.0mmで
あり, 定常状態での平均鋳造速度は30m/minであった
が,ロールの回転速度の制御は圧着負荷値のみを管理指
標として行った。すなわち,鋳造開始から鋳造終了まで
一貫して圧着負荷値が2.5kgf/mmW以下となるようにロー
ル回転速度を制御し,薄板表面温度を管理指標とするロ
ール回転速度の制御は一切行わなかった。
【0037】その結果, 圧着負荷値のみの管理では薄板
表面温度が往々にして1270℃以下となり, 薄板の冷却む
ら模様レベルはCもしくはBであった。得られた薄板の
先端から3mを除いて焼鈍酸洗後冷延した結果,冷延板
には光沢むらが発生した。
【0038】〔比較例2〕比較例1と同様の双ロール式
連鋳機でSUS304溶鋼を500kg鋳造した。鋳造板厚は2.0mm
であり, 定常状態での平均鋳造速度は35m/minであっ
た。薄板表面温度分布の測定条件は例1と同様とした。
ただし,鋳造前半においては薄板表面の最高温度のみを
指標値としてロール回転速度を制御し,鋳造後半におい
ては薄板表面化の最低温度のみを指標値としてロール回
転速度を制御した。すなわち,鋳造前半においては薄板
表面の最高温度が1370℃を越えた場合にロールの回転速
度を減少させる制御を行ったが,薄板の表面温度が低下
してもロールの回転速度を調整しなかった。その結果,
薄板には冷却むら模様が発生した。
【0039】一方, 鋳造後半においては薄板表面の最低
温度が1270℃を下回った場合にロールの回転速度を増加
させる制御を行ったが,薄板の表面温度が上昇してもロ
ールの回転速度を調整しなかった。その結果, ブレイク
アウトを生じ最後まで鋳造することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 薄板表面温度と冷却むら模様との関係を示す
図である。
【図2】 本発明法を適用する双ロール式連続鋳造装置
の例を示す全体斜視図である。
【図3】 本発明法を適用する双ロール式連続鋳造装置
の例を示す略側面図である。
【図4】 本発明法を適用する双ロール式連続鋳造装置
の例を示す略平面図である。
【図5】 本発明に係るロール回転速度の制御のための
論理回路のフローチャートである。
【図6】 本発明に係るロール回転速度の制御のための
論理回路のフローチャートである。
【符号の説明】
1a,1b 内部冷却ロール 2 湯溜り 3 鋳造される薄板 4a,4b サイドダム 6 ロールギヤップ 8 サーモグラフイーのカメラ 9 サーモグラフイーの信号処理部 10 ロール軸 12 ロールチヨック 13 ロールギャップ調節器 14 ロードセル 17 ロードセル 18 モータ 19 モーター速度パターン発生装置 20 デイスプレイ 21 制御回路 22 モータ回転数制御装置 24 圧着負荷演算装置 25 レコーダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山内 隆 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新 製鋼株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 木村 智明 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 西野 忠 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 平野 聡 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平1−237055(JP,A) 特開 昭61−195764(JP,A) 特開 昭63−290654(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 330

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに反対方向に回転する一対の内部冷
    却ロールの上方に形成される湯溜り部に溶融金属を供給
    し,該湯溜りの湯を該ロール対の間隙を経て薄板に連続
    鋳造する双ロール式薄板連鋳法において,該ロール対の
    間隙から連続的に出てくる薄板の表面温度分布を該間隙
    から所定の位置においてロール軸と平行方向に計測し,
    この表面温度分布が設定範囲内となるようにロール回転
    速度を制御することを特徴とする薄板連鋳法。
  2. 【請求項2】 互いに反対方向に回転する一対の内部冷
    却ロールの上方に形成される湯溜り部に溶融金属を供給
    し,該湯溜りの湯を該ロール対の間隙を経て薄板に連続
    鋳造する双ロール式薄板連鋳法において,薄板が両ロー
    ルから受ける圧着負荷を計測すると同時に,該間隙から
    所定の位置においてロール対の間隙から連続的に出てく
    る薄板の表面温度分布をロール軸と平行方向に計測し,
    鋳造開始直後は圧着負荷が所定の値以下となるようにロ
    ールの回転速度を制御し,圧着負荷が所定の値以下にな
    った後,該表面温度分布が設定範囲内となるようにロー
    ル回転速度を制御することを特徴とする薄板連鋳法。
  3. 【請求項3】 薄板は,その両端部の厚さが薄板中央部
    の厚さよりも薄く鋳造される請求項1または2に記載の
    薄板連鋳法。
  4. 【請求項4】 互いに反対方向に回転する一対の内部冷
    却ロールの上方に形成される湯溜り部に溶融金属を供給
    し,該湯溜りの湯を該ロール対の間隙を経て薄板に連続
    鋳造する双ロール式薄板連鋳法において,薄板が両ロー
    ルから受ける圧着負荷を計測すると同時に, 該間隙から
    所定の位置においてロール対の間隙から連続的に出てく
    る薄板の表面温度分布をロール軸と平行方向に計測し,
    薄板表面の最高温度が所定値以下であって且つ圧着負荷
    が設定値近傍となるようにロールの回転速度を制御する
    ことを特徴とする薄板連鋳法。
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