JP3056705B2 - グリオキシル酸エステル類の精製方法、およびグリオキシル酸エステル類の精製用蒸留装置 - Google Patents

グリオキシル酸エステル類の精製方法、およびグリオキシル酸エステル類の精製用蒸留装置

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JP3056705B2 JP9238601A JP23860197A JP3056705B2 JP 3056705 B2 JP3056705 B2 JP 3056705B2 JP 9238601 A JP9238601 A JP 9238601A JP 23860197 A JP23860197 A JP 23860197A JP 3056705 B2 JP3056705 B2 JP 3056705B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリオキシル酸エ
ステル類の精製方法、およびグリオキシル酸エステル類
の精製用蒸留装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、グリオキシル酸エステル類は、各
種中間体、例えば界面活性剤のビルダー成分として有効
なポリグリオキシル酸ナトリウムを合成するための原料
モノマーとして好適に用いられる。
【0003】該グリオキシル酸エステル類を重合用原料
として用いる場合、該グリオキシル酸エステル類が不純
物、特に、水、アルコール類、カルボン酸類等のプロト
ン性化合物を含むと、重合体の分子量の低下をもたらす
虞れがある。このため、該グリオキシル酸エステル類を
重合用原料として用いる場合、該グリオキシル酸エステ
ル類からこのような不純物を除去する必要がある。
【0004】しかしながら、上記のグリオキシル酸エス
テル類は、特に水、アルコール類とは可逆的に化学結合
して水和物あるいはヘミアセタール等を形成するため、
その精製は必ずしも容易ではない。
【0005】これまで、グリオキシル酸エステル類の精
製方法としては、例えば、 グリオキシル酸エステル類を含む原料に無水リン酸を
添加して蒸留を行う方法、 グリオキシル酸エステル類を含む原料に沸点 180℃以
上の高級アルコールを添加し、 800mmHgを越えない圧で
蒸留する方法(特開昭62-178541 号公報) 、 グリオキシル酸エステル類、グリコール酸エステル
類、水、アルコール等を含む混合物を減圧で蒸留するこ
とにより水およびアルコールの含有量を1重量%未満と
なるように低下させた後、グリオキシル酸エステル類に
対するグリコール酸エステル類のモル比が1〜1.4 とな
るように調節して蒸留を行う方法(特公平5-28694 号公
報、特開昭60-97936号公報) 、 グリオキシル酸エステル類を、相当するグリコール酸
エステルから気相での酸化的脱水素で製造する場合に、
この酸化的脱水素で生じたガス状反応混合物に、塩化メ
チレン、クロロホルム、n-ペンタン、シクロヘキサン、
ノナン、ジイソプロピルエーテル、メチルエチルケト
ン、ベンゼン、トルエン等の共沸剤を添加し、蒸留塔に
導入する方法( 特開昭60-23345号公報) 、 グリオキシル酸1モルに対し、0.5 モル〜2モルの低
級アルコールを、ベンゼン、ジクロルエタン等の共沸剤
の存在下で反応させてエステル化を行い、系中の水およ
びアルコール濃度が生成グリオキシル酸エステル類に対
し、何れも10重量%以下となった後、蒸留を行う方法
(特開昭61-50941号公報、特公平4-66856号公報) 、 グリコール酸エステル類を酸化脱水素して得られる反
応生成物を減圧処理した後、この反応生成物を、メチレ
ンジクロリド、1,1,1-トリクロロエタン、ベンゼン等の
共沸剤を塔頂付近に濃縮保持させた多段蒸留塔に供給
し、供給部と塔頂部の間の側抜きよりグリオキシル酸エ
ステル類を得る方法( 特公平 7-42252号公報、特開平 2
-73040号公報、特公平 7-45435号公報、特開平1-254643
号公報、特公平 5-28694号公報 )等が提案されている。
【0006】これら従来の各方法においては、共沸によ
り水を除去する精製工程の前に、その精製を効率よく行
うため、粗グリオキシル酸エステル類中のグリオキシル
酸エステル類の濃度を予め高める粗蒸留が、蒸留塔を用
いて行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では、粗蒸留の際に蒸留塔を用いているため
に、粗グリオキシル酸エステル類中のグリオキシル酸エ
ステル類が長時間加熱されて加水分解するので、精製に
よって得られたグリオキシル酸エステル類の収率が低下
し、高純度のグリオキシル酸エステル類を効率よく製造
することができないという問題点が生じている。
【0008】その上、上記従来の方法では、加水分解に
より生じたグリオキシル酸が、その後の蒸留工程でさら
に分解して副生物を生じ、目的とするグリオキシル酸エ
ステルの純度がさらに低下して、高純度のグリオキシル
酸エステル類を効率よく製造することができないという
問題点も生じている。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的は、高純度のグリオキシル酸エステル
類を効率良く、簡便かつ安価に得ることができるグリオ
キシル酸エステル類の精製方法、およびグリオキシル酸
エステル類の精製用蒸留装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、水が共存する粗グリ
オキシル酸エステル類を、共沸により蒸留する工程の前
に、粗グリオキシル酸エステル類を、薄膜蒸発器を用い
膜状にして連続的に粗蒸留することにより、高純度の
グリオキシル酸エステル類を効率良く、簡便に得ること
ができることを見い出して、本発明を完成させるに至っ
た。
【0011】即ち、本発明に係る請求項1記載のグリオ
キシル酸エステル類の精製方法は、上記の問題点を解決
するために、少なくとも水が共存する粗グリオキシル酸
エステル類を蒸留により精製するグリオキシル酸エステ
ル類の精製方法において、上記粗グリオキシル酸エステ
ル類を、薄膜蒸発器を用いて膜状にて連続的に粗蒸留す
る粗蒸留工程と、該粗蒸留工程で得られた、グリオキシ
ル酸エステル類を含む粗精製液を、さらに蒸留する本蒸
留工程とを含むことを特徴としている。
【0012】上記方法によれば、粗グリオキシル酸エス
テル類において、グリオキシル酸エステル類よりも低沸
点となる水などの低沸点成分を粗蒸留によって低減する
ことができる。その上、上記方法では、粗グリオキシル
酸エステル類を、例えば上昇液膜型、流下液膜型および
強制撹拌液膜型等の薄膜蒸留器、好ましくは流下液膜型
もしくは強制撹拌液膜型の薄膜蒸留器を用いて、膜状に
て連続的に粗蒸留することにより、粗グリオキシル酸エ
ステル類に対する粗蒸留時の加熱時間を、従来の蒸留塔
を用いた場合と比べて短縮できるので、粗蒸留時におけ
るグリオキシル酸エステル類の加水分解を抑制でき、収
率よく高純度のグリオキシル酸エステル類を得ることが
できる。
【0013】上記方法においては、上記本蒸留工程が、
共沸剤の存在下で蒸留を行う共沸蒸留工程を含むことが
好ましい。または、上記方法では、上記本蒸留工程が、
共沸剤の存在下で蒸留を行う共沸蒸留工程と、該共沸蒸
留工程で得られた、グリオキシル酸エステル類を含む共
沸精製液を、さらに蒸留する精留工程とを含むことが好
ましい。さらに、上記共沸剤が、脂肪酸エステル類であ
ることが望ましい。
【0014】上記方法によれば、水が共存する粗グリオ
キシル酸エステル類を、共沸剤として、好ましくは脂肪
酸エステル類の存在下で蒸留することにより、粗グリオ
キシル酸エステル類の粗精製液から水を容易に共沸脱水
することができる。
【0015】これにより、上記方法は、重合用原料とし
て好適に用いることができる高純度のグリオキシル酸エ
ステル類を効率良く、簡便かつ安価に得ることができ、
さらに、従来のように、共沸剤として毒性の強い化合物
を用いないので、安全性や取り扱い性等にも優れてい
る。
【0016】本発明のグリオキシル酸エステル類の精製
用蒸留装置は、少なくとも水が共存する粗グリオキシル
酸エステル類を蒸留により精製するための液膜式蒸発装
置の蒸気出口に、蒸気に含まれるグリオキシル酸エステ
ル類を回収するための、蒸留段を有するカラムが設けら
れていることを特徴としている。
【0017】上記構成によれば、蒸気状態となっている
グリオキシル酸エステル類に対する加熱時間を抑制しな
がら、蒸留段によって、少なくとも水が共存する粗グリ
オキシル酸エステル類の蒸気から、効率よくグリオキシ
ル酸エステル類を回収することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態につ
いて詳しく説明する。本発明において処理されるグリオ
キシル酸エステル類としては、例えば、下記一般式
(1)
【0019】
【化1】
【0020】(式中、R3 は有機残基を表す)で表され
る化合物が挙げられる。
【0021】上記一般式(1)中、R3 で表される置換
基は、有機残基であれば特に限定されるものではない
が、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、
イソプロピル基、n-ブチル基、 sec−ブチル基、tert−
ブチル基等の炭化水素基等が挙げられる。
【0022】つまり、上記グリオキシル酸エステル類と
しては、特に限定されるものではないが、具体的には、
例えば、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチ
ル、グリオキシル酸n-プロピル、グリオキシル酸イソプ
ロピル、グリオキシル酸n-ブチル、グリオキシル酸 sec
−ブチル、グリオキシル酸tert−ブチル等が挙げられ
る。本発明の精製方法は、これらグリオキシル酸エステ
ル類のなかでも、グリオキシル酸メチルに特に有効であ
る。
【0023】本発明において処理されるグリオキシル酸
エステル類は、各種中間体、例えば界面活性剤のビルダ
ー成分として有効なポリグリオキシル酸ナトリウムを合
成するための原料モノマーとして好適に用いられる化合
物である。
【0024】該グリオキシル酸エステル類を製造する方
法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の
方法を用いることができる。例えば、グリオキザールお
よび/またはグリコールアルデヒドと、アルコールまた
はオレフィンとを、酸素および触媒の存在下で気相酸化
させることによって、容易に所望するグリオキシル酸エ
ステル類を得ることができる。また、該グリオキシル酸
エステル類の製造条件、即ち、反応温度や反応時間等の
反応条件は、特に限定されるものではなく、上記反応が
完了するように、適宜設定すればよい。
【0025】反応終了後のグリオキシル酸エステル類、
即ち、未精製の粗グリオキシル酸エステル類は、反応時
の副生成物として、グリオキシル酸エステル類よりも低
沸点成分などの複数の不純物を含んでいる。
【0026】該粗グリオキシル酸エステル類は、そのま
ま用いることもできるが、重合用原料として用いる場合
には、随伴する不純物、特に、水、アルコール類、カル
ボン酸類等のプロトン性化合物が十分に少ない方が望ま
しい。
【0027】ところが、上記のグリオキシル酸エステル
類は、上記不純物のなかでも特に水、アルコール類とは
可逆的に化学結合して水和物あるいはヘミアセタール等
を形成するため、その精製は必ずしも容易ではない。
【0028】本発明では、このような精製をより効率よ
く行うために、共沸脱水により精製する共沸蒸留工程の
前に、後述する薄膜蒸発器等を用いて、粗グリオキシル
酸エステル類を膜状にて連続的に粗蒸留する粗蒸留工程
を有している。
【0029】上記方法によれば、粗グリオキシル酸エス
テル類において、グリオキシル酸エステル類よりも低沸
点成分を粗蒸留によって低減することができる。その
上、上記方法では、粗グリオキシル酸エステル類を膜状
にて連続的に粗蒸留することにより、粗グリオキシル酸
エステル類に対する粗蒸留時の滞留時間、すなわち加熱
時間を、従来の蒸留塔を用いた場合と比べて短縮できる
ので、粗蒸留時におけるグリオキシル酸エステル類の加
水分解を抑制でき、収率よく高純度のグリオキシル酸エ
ステル類を得ることができる。
【0030】続いて、水が共存する粗グリオキシル酸エ
ステル類を含む粗精製液を、上記粗精製液に対して、例
えば0.5倍〜4倍容量の共沸剤としての、例えば脂肪
酸エステル類を添加して共沸脱水することにより、容易
にグリオキシル酸エステル類を精製することができる。
【0031】上記脂肪酸エステル類が共沸剤として有効
である正確な理由は未だ不明であるが、上記脂肪酸エス
テル類がグリオキシル酸エステル類と充分な相溶性を有
し、かつ、水との相溶性が小さいことに関係があると推
察される。
【0032】本発明において共沸剤として用いられる上
記脂肪酸エステル類としては、特に限定されるものでは
ないが、具体的には、例えば、一般式(2) R1 COOR2 …(2) (式中、R1 は水素、メチル基またはエチル基を表し、
2 は炭素数1〜4のアルキル基を表す)で表される化
合物が挙げられる。そして、これら脂肪酸エステル類の
なかでも、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピルが特に好
ましい。
【0033】該脂肪酸エステル類は、何れも、グリオキ
シル酸エステル類よりも充分に低い共沸点を有する、水
との低沸点共沸混合物を形成する。しかも、水との相溶
性が低く、重力分離により容易に水と分離可能であるこ
とから、特に必要であれば、別途精製して再利用するこ
とができる。
【0034】上記粗グリオキシル酸エステル類に対する
脂肪酸エステル類の添加量は、特に限定されるものでは
なく、また、処理系の温度や圧力、処理時間(蒸留塔段
数)等の処理条件も特に限定されるものではない。但
し、系内の温度は、上記グリオキシル酸エステル類と化
学的に結合した形態で存在している水の遊離、除去を促
進するために、副反応が起こらない範囲内で高い方が望
ましい。
【0035】該脂肪酸エステル類の添加方法は、特に限
定されるものではなく、従来公知の種々の添加方法を採
用することができる。そのなかでも、予め粗グリオキシ
ル酸エステル類に所定量の脂肪酸エステル類を添加、混
合し、蒸留塔の例えば中段に、連続的に供給する方法が
好ましく、予め粗グリオキシル酸エステル類を蒸留塔に
供給し、粗蒸留操作により水その他の低沸点成分の大部
分を留去した後、残った缶出液に所定量の脂肪酸エステ
ル類を添加、混合し、蒸留塔の例えば中段に、連続的に
供給する方法がさらに好ましい。
【0036】本発明によれば、共沸剤として上記の脂肪
酸エステル類を用いることで、粗グリオキシル酸エステ
ル類から水を容易に共沸脱水により、軽減・除去するこ
とができる。これにより、重合用原料として好適に用い
ることができる高純度のグリオキシル酸エステル類を効
率良く、簡便かつ安価に得ることができる。さらに、本
発明の精製方法によれば、従来のように、共沸剤として
毒性の強い化合物を用いないので、安全性や取り扱い性
等にも優れている。
【0037】次に、本発明のグリオキシル酸エステル類
の具体的な精製方法、つまり、上記共沸脱水を含む一連
の蒸留操作について、図1に基づいて以下に説明する。
本発明の共沸脱水を含む一連の蒸留操作は、水その他の
低沸点成分を含む粗グリオキシル酸エステル類である処
理液から、上記低沸点成分の大部分を留去した粗精製液
を得る粗蒸留工程、上記粗精製液を、さらに蒸留により
精製する本蒸留工程の順で行うことができる。
【0038】また、上記本蒸留工程は、上記粗精製液か
ら残存水分を共沸・脱水によって除去した共沸精製液を
得る共沸脱水工程、上記共沸精製液から目的とするグリ
オキシル酸エステル類を精留によって取得する精留工程
とを含むものである。
【0039】上記各工程においては、従来用いられてい
る各種の蒸留装置を用いて回分式あるいは連続式の何れ
の方式でも行うことができる。以下、粗蒸留工程、共沸
脱水工程、精留工程からなる一連の操作を、それぞれ連
続で行う場合を例に挙げて説明する。
【0040】先ず、粗蒸留工程では、グリオキシル酸エ
ステル類および水を含む原料混合物、即ち、粗グリオキ
シル酸エステル類を、膜状にて連続的に粗蒸留するため
の薄膜蒸発器1内に供給し、粗グリオキシル酸エステル
類に含まれる水およびその他の低沸点成分の多くを、薄
膜蒸発器1を用いて、粗グリオキシル酸エステル類から
留去することが好ましい。
【0041】尚、このときの温度、圧力、原料供給速度
等の操作条件は、原料混合物の組成に応じて適宜決定す
ればよいが、操作の際の熱履歴を小さくするという観点
からできるだけ低圧で操作し、缶出温度を低くする方が
望ましい。一方、極度に低圧であれば、留出蒸気を回収
するための凝縮器の必要能力が過大となり、経済的に不
利となる。そこで、好適な圧力範囲としては、30mmHg−
760mmHg(4 kPa-101 kPa) の範囲内が好ましく、 200mm
Hg− 500mmHg(27 kPa-67 kPa) の範囲内がさらに好まし
い。
【0042】また、粗蒸留工程における、粗グリオキシ
ル酸エステル類の滞留時間としては、操作の際の熱履歴
を抑制するという観点から、できるだけ均一な液膜が形
成される範囲で短い方が望ましく、一方、粗蒸留工程で
の精製効率を向上させるためには滞留時間が長い方が好
ましいことから、具体的には 0.1〜20分の範囲内が好ま
しく、 0.1〜10分の範囲内がさらに好ましい。
【0043】粗蒸留工程における液膜としては、均一に
形成される範囲内で薄いほうが望ましく、具体的には
0.1〜3mmの範囲内が好ましく、 0.1〜2mmの範囲内が
さらに好ましく、 0.1〜1mmの範囲内が特に好ましい。
【0044】そして、薄膜蒸発器1からの缶出液、つま
り、薄膜蒸発器1の例えば塔底からの缶出液は、次の共
沸脱水工程の原料として用いられる。上記共沸脱水工程
では、原料として、前記の粗蒸留操作(粗蒸留工程)で
得た缶出液である粗精製液に、所定量の脂肪酸エステル
類等の共沸剤を添加したものが用いられる。そして、こ
の原料は、図示しない原料供給管を介して連続的に、共
沸脱水塔(蒸留塔)2の塔頂と塔底との間に設けられた
原料供給段へと供給される。
【0045】尚、共沸脱水塔2における原料供給管の配
設位置、つまり、原料供給段の位置は、特に限定される
ものではない。また、該共沸脱水工程における処理液
は、図示しない抜き出し管並びに留出管を介して連続的
に処理系外、即ち、共沸脱水塔2外に、缶出液並びに留
出液として取り出される。
【0046】このとき、上記共沸脱水塔2における抜き
出し管の配設位置は、例えば共沸脱水塔2の塔底(最下
段)とすればよく、留出管の配設位置は、例えば共沸脱
水塔2の塔頂(最上段)とすればよいが、特に限定され
るものではない。
【0047】これにより、共沸脱水塔2の留出管(塔
頂)からは、共沸剤である脂肪酸エステルと、水および
少量のその他の低沸点成分とからなる留出液が得られ、
抜き出し管(塔底)からは、グリオキシル酸エステル類
や、グリオキシル酸エステル類とグリコール酸エステル
類およびエチレングリコール等を含むアルコール類との
ヘミアセタール並びにその他の高沸点の不純物からなる
缶出液が得られる。
【0048】該共沸脱水工程における処理条件、即ち、
上記共沸脱水塔2の塔段数、温度、圧力、原料供給量
(供給速度)等の諸条件は、原料の組成に応じて実験的
もしくは計算によって適宜決定され、特に限定されるも
のではない。但し、得られた缶出液中の水および共沸剤
の残存量はそれぞれ0.2 重量%以下、0.5 重量%以下に
なるように操作することが望ましい。
【0049】そして、この缶出液は、次の精留工程に原
料として供される。尚、上記留出液中の脂肪酸エステル
類は、水と重力分離した後、そのまま再利用してもよい
し、別途精製して再利用してもよい。また、このような
共沸脱水工程は、脱水効果をより高めるために、必要に
応じて複数回繰り返してもよい。
【0050】次いで、精留工程では、原料として、前記
の共沸脱水操作(工程)で得た缶出液を、精留蒸留塔
(蒸留塔)3の塔頂と塔底との間に設けた供給段へと連
続的に供給する。これにより、精留蒸留塔3の例えば塔
頂からは、留出液として高純度のグリオキシル酸エステ
ル類を得ることができ、精留蒸留塔3における例えば塔
底からは、グリオキシル酸エステル類残分、グリオキシ
ル酸エステル類とアルコール類とのヘミアセタールおよ
びその他の高沸点の不純物からなる缶出液が得られる。
【0051】また、経済的観点からは、上記精留蒸留塔
3からの缶出液を、一部パージするか、または、さらに
別の蒸留塔に供給して高沸点残留物を分離し、残ったグ
リオキシル酸エステル類、および、グリオキシル酸エス
テル類のへミアセタールを再度共沸脱水工程に戻すこと
がさらに好ましい。
【0052】前述の粗蒸留工程において用いられる薄膜
蒸発器(液膜式蒸留装置)1としては、公知の各種液膜
型蒸発装置を用いることができる。上記の液膜型蒸発装
置とは、処理液を薄膜状にして加熱面と接触させる形式
の蒸発器であり、上昇液膜型、流下液膜型、および強制
撹拌液膜型等の形態がある。中でも、本発明において好
ましいものは上記の内の流下液膜型もしくは強制撹拌液
膜型蒸発器である。
【0053】上記強制撹拌液膜型蒸発器の薄膜蒸発器1
としては、例えば図2ないし図4に示すものが挙げら
れ、流下液膜型の内部に、処理液を撹拌すると共に液膜
の厚さを制御する回転翼を設けたものである。
【0054】上記薄膜蒸発器1は、上部より順に、モー
タ等の駆動装置部11、駆動装置部11により覆われた
円筒状の蒸発・凝縮部12、および、蒸発・凝縮部12
に連結された有底筒状の受液部13を有している。
【0055】上記蒸発・凝縮部12内には、駆動装置部
11により回転駆動される円筒状のロータ14が、蒸発
・凝縮部12と同軸上に回転自在となるように設置され
ている。よって、ロータ14の外周面は、蒸発・凝縮部
12の内周面である蒸発面すなわち加熱壁面12aに対
し、ほぼ等間隔となっている。蒸発・凝縮部12には、
上記加熱壁面12aの温度を温水等の通過により制御す
るためのジャケット12bが、加熱壁面12aの外周面
を覆うように設けられている。
【0056】また、ロータ14の外周面には、蒸発・凝
縮部12の内周面を摺動する長方形板状のワイパ15
が、ワイパ15の長手方向がロータ14の軸方向に沿っ
てロータ14の径方向に出没自在となるように設けられ
ている。このことから、ロータ14の外周面には、ワイ
パ15を出没自在に保持する溝状のワイパ支持部16が
ロータ14の軸方向に沿って、ロータ14の周方向に複
数、互いに等間隔となるように設けられている。
【0057】また、ワイパ15の摺動面には溝15a
が、複数、摺動方向に対し、前端側が流下する処理液の
上流側となる一方、後端側が処理液の下流側となる斜め
となるように、かつ、互いにほぼ平行となるように併設
されている。
【0058】ロータ14の頂部には、ロータ14と一体
的に回転する円盤状の液分配盤17が設けられている。
液分配盤17は、原料入口11aから蒸発・凝縮部12
内に投入された、粗グリオキシル酸エステル類となる処
理液を加熱壁面12aに対して、遠心力により一様に分
配するための切欠ノズル(図示せず)を、液分配盤17
の外周部に複数有している。
【0059】前記の駆動装置部11では、蒸発・凝縮部
12の大きさ等に応じて、ロータ14に対して、その外
周面での周速度が4〜5m/sと適正な回転数となるよ
うに設定されている。また、駆動装置部11の軸封部
(図示せず)には、メカニカルシールが取り付けられて
おり、10-4Torr(0.013 Pa)の高真空でも容易にシールす
ることができる。
【0060】前記の受液部13には、残留液を外部に缶
出液(粗精製液)として取り出す、濃縮液取出口13a
が設けられている。また、ロータ14の下部に、高粘度
となった残留液を加熱壁面12aの下部から受液部13
に押し出すスクレーパ(図示せず)を設けてもよい。
【0061】さらに、ロータ14の外周面上において
は、飛散した処理液を蒸気から分離して処理液に戻すた
めのミストセパレータ(図示せず)を隣り合う各ワイパ
15間に取り付けておいてもよい。
【0062】その上、薄膜蒸発器1の蒸気出口11bに
対し、蒸気に含有されるグリオキシル酸エステル類を塔
底部から回収するための、少なくとも1段以上で、必要
最小限の蒸留段数を有する回収用カラム18を設けても
よい。該蒸留段数および充填長は、蒸留液組成、操作条
件、充填物の種類などによって適宜決定される。また、
上記回収用カラム18の塔頂部からの蒸気に含まれる有
機溶媒等の有害成分を回収するためのコンデンサ19
を、上記回収用カラム18に接続してもよい。上記薄膜
蒸発器1は、例えば、上記コンデンサ19を介して吸引
されることによって、上記薄膜蒸発器1の減圧状態が維
持されている。
【0063】次に、上記薄膜蒸発器1の動作について説
明すると、まず、原料入口11aから仕込まれた処理液
は、液分配盤17の各切欠ノズルから遠心力によって一
様に加熱壁面12aに対し分配される。このように処理
液が分配された加熱壁面12aでは、ロータ14の回転
による径方向外向きの遠心力によって、各ワイパ15が
加熱壁面12aを押圧しながら摺動する。したがって、
各ワイパ15は、加熱壁面12a上に処理液の均一な薄
膜( 0.1〜3mm)を形成すると同時に、処理液の表面を
常に新しい面に更新する。
【0064】また、ワイパ15の各溝15aによって、
各ワイパ15での処理液の飛散を防止すると共に、各溝
15aが摺動方向に対し斜めにそれぞれ形成されている
ことにより、処理液を流下方向に積極的に押し下げる。
【0065】このとき、加熱壁面12aを流下する処理
液(粗グリオキシル酸エステル類)からの蒸気を、薄膜
蒸発器1の塔頂部に設けた蒸気出口11bから吸引する
一方、ジャケット12bの下部の熱媒体入口12dから
熱媒体(熱水や加圧蒸気など)を送入すると共に、ジャ
ケット12bの上部の熱媒体出口12cから熱媒体を取
り出す。
【0066】このような熱媒体の送入方向により、加熱
壁面12aの温度を制御するためのジャケット12bに
対して、加熱壁面12aにおける処理液の移動方向に対
して逆方向に、加熱壁面12a上での温度が順次低下す
る温度勾配を生じさせることができる。このような蒸気
の吸引方向と、熱媒体の送入方向とによって、処理液
(粗グリオキシル酸エステル類)の粗蒸留を効率よく行
うことができる。
【0067】このように上記方法では、処理液を、流下
させながら、均一な膜厚を維持して、連続的に、常圧下
または減圧下にて、処理液中から、水を含む低沸点成分
を処理液から多く蒸発させて留去することができる。
【0068】これにより、上記方法では、処理液を膜状
にて連続的に処理することにより、上記処理液に対する
伝熱効率を大きくできて、処理液中の低沸点成分を迅速
に留去できるから、処理液の加熱壁面12a上での滞留
時間つまり加熱時間を20分以下、より好ましい10分以下
と、従来の蒸留塔を用いた場合と比べて、より低減でき
る。
【0069】このことから、上記方法では、粗蒸留工程
において、加熱時間が長くなることに起因する、処理液
中のグリオキシル酸エステル類の加水分解を抑制でき、
粗蒸留工程により得られた粗グリオキシル酸エステル類
中のグリオキシル酸エステル類の含有量を効率よく高め
ることができると共に、加水分解に伴う不純物となるグ
リオキシル酸の生成が回避できる。
【0070】よって、上記方法は、グリオキシル酸エス
テル類の精製を効率よく行うことが、簡便な操作にて可
能となる。その上、上記方法では、処理液を膜状にて連
続的に処理することによって、排出される蒸気の組成を
ほぼ一定にできるから、蒸気出口11bに回収用カラム
を設けた場合でも、その回収用カラムでの回収条件をほ
ぼ一定としても、回収効率の低下を回避できるから、高
収率でのグリオキシル酸エステル類の精製を簡素化でき
る。
【0071】以上のように、本発明のグリオキシル酸エ
ステル類の精製方法は、水が共存する粗グリオキシル酸
エステル類を共沸により精製する共沸脱水工程の前に、
上記粗グリオキシル酸エステル類を、膜状にて連続的に
予め粗蒸留する粗蒸留工程を含むことを特徴としてい
る。
【0072】上記精製方法では、水が共存する粗グリオ
キシル酸エステル類を共沸剤の存在下で共沸脱水させて
グリオキシル酸エステルを精製する方法において、上記
共沸剤として、脂肪酸エステル類を用いることが好まし
い。
【0073】また、上記脂肪酸エステル類は、前記一般
式(2)で表される化合物であることが好ましく、酢酸
n-プロピルまたは酢酸イソプロピルであることがさらに
好ましい。該精製方法によって精製されたグリオキシル
酸エステル類は、高い品質を有し、上述した用途に好適
に用いることができる。
【0074】なお、上記方法では、粗蒸留工程におい
て、流下型の薄膜蒸発器1を用いた例を挙げたが、他の
薄膜蒸発器としては、液膜上昇式の蒸発器を用いること
も可能である。
【0075】このような液膜上昇式の蒸発器は、縦型の
長管の内部に処理液を沸騰させることによって、処理液
の残液は、発生蒸気の上昇に伴って上昇し、上部に上昇
するにしたがい沸騰して、長管内の上部側での蒸気の量
が順次増加する。このため、上記蒸発器では、長管内で
の泡が大きくなり、さらに上部に達すると蒸気の泡が長
管の中心を急速に上昇し、その上昇に伴って残液は長管
の管壁に沿って膜状に上昇するので、このように膜状に
上昇する残液から低沸点成分が効率よく留去される。
【0076】
〔実施例1〕
(1) 粗蒸留工程 メタノール35.8重量%、水24.7重量%、ホルムアルデヒ
ド 6.4重量%、グリオキシル酸エステル類であるグリオ
キシル酸メチル28.8重量%、およびグリコール酸エステ
ル類であるグリコール酸メチル 4.3重量%を含む出発原
料(粗グリオキシル酸エステル類)を、450cm2の伝熱面
積を有する強制撹拌型の薄膜蒸発器に対し、毎時 0.2Kg
/hの速度で供給した。
【0077】このとき、薄膜蒸発器における、伝熱面の
温度90℃に、内部の圧力350mmHg (47 kPa)にそれぞれ
維持した。薄膜蒸発器の頂部よりメタノール54.7重量
%、水36.7重量%、ホルムアルデヒド 6.4重量%、グリ
オキシル酸メチル 2.2重量%を含む留出液が得られ、底
部よりメタノール22.7重量%、水16.5重量%、ホルムア
ルデヒド 6.4重量%、グリオキシル酸メチル47.2重量
%、およびグリコール酸メチル 7.3重量%からなる缶出
液を得た。
【0078】このとき、グリオキシル酸メチルの加水分
解によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工
程を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量
%であった。
【0079】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に共沸剤としての酢酸n-プロピル
を添加し、メタノール10.3重量%、水 7.4重量%、ホル
ムアルデヒド 2.9重量%、グリオキシル酸メチル21.3重
量%、グリコール酸メチル 3.3重量%および酢酸n-プロ
ピル54.8重量%からなる混合液を得た。
【0080】次いで、この混合液を、濃縮部30段、回収
部20段、内径30mmの棚段塔である共沸脱水塔2に0.25kg
/hの速度で供給し、共沸蒸留を行った。このときの系
内の圧力は大気圧に、還流比は 0.2にそれぞれ保ち、原
料供給段、塔底、塔頂の温度はそれぞれ 116℃、 157
℃、85℃であった。
【0081】この結果、塔底からはメタノール 4.0重量
%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチル83.0重量%、
グリコール酸メチル12.8重量%および酢酸n-プロピル
0.1重量%からなる缶出液を、塔頂からはメタノール12.
4重量%、水10.0重量%、ホルムアルデヒド 3.9重量%
および酢酸n-プロピル73.7重量%からなる留出液をそれ
ぞれ得た。以上の操作の前後のグリオキシル酸メチルの
物質収支は 100重量%であった。
【0082】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を、濃縮部
50段、回収部20段、内径24mmの精留蒸留塔に対し、0.13
kg/hの速度で供給し、グリオキシル酸メチルの精留を行
った。このときの系内の圧力は、600 mmHg(80 kPa)、
還流比は3にそれぞれ保ち、原料供給段、塔底、塔頂の
温度は、それぞれ 124℃、 165℃、 113℃であった。
【0083】この結果、塔頂からは純度99.7%のグリオ
キシル酸メチルが得られ、この留分にはメタノール 0.1
重量%、水 0.1重量%、および酢酸n-プロピル 0.1重量
%が不純物として含まれていた。また、塔底からはメタ
ノール 5.3重量%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチ
ル77.4重量%およびグリコール酸メチル17.0重量%から
なる缶出液を得た。以上の精留操作の前後のグリオキシ
ル酸メチルの物質収支は 100重量%であった。
【0084】〔実施例2〕 (1) 粗蒸留工程 メタノール35.4重量%、水25.4重量%、ホルムアルデヒ
ド 3.4重量%、グリオキシル酸メチル30.5重量%、およ
びグリコール酸メチル 5.3重量%を含む出発原料(粗グ
リオキシル酸エステル類)を用い、伝熱面の温度を 120
℃とした以外は上記実施例1と同様の方法で粗蒸留を行
った。薄膜蒸発器の頂部よりメタノール52.3重量%、水
35.8重量%、ホルムアルデヒド 4.0重量%、グリオキシ
ル酸メチル 6.5重量%を含む留出液が得られ、底部より
メタノール15.7重量%、水12.9重量%、ホルムアルデヒ
ド 2.7重量%、グリオキシル酸メチル58.8重量%、およ
びグリコール酸メチル 9.9重量%からなる缶出液を得
た。
【0085】このとき、グリオキシル酸メチルの加水分
解によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工
程を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量
%であった。
【0086】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に共沸剤としての酢酸n-プロピル
を添加して得た、メタノール 8.1重量%、水 6.6重量
%、ホルムアルデヒド 1.4重量%、グリオキシル酸メチ
ル30.1重量%、グリコール酸メチル 5.1重量%および酢
酸n-プロピル48.7重量%からなる混合液を用いた以外は
実施例1と同様に共沸脱水操作を行った。
【0087】この結果、塔底からはメタノール 2.2重量
%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチル83.5重量%、
グリコール酸メチル14.0重量%および酢酸n-プロピル
0.1重量%からなる缶出液を、塔頂からはメタノール11.
3重量%、水10.3重量%、ホルムアルデヒド 2.2重量%
および酢酸n-プロピル76.2重量%からなる留出液をそれ
ぞれ得た。以上の操作の前後のグリオキシル酸メチルの
物質収支は 100重量%であった。
【0088】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を用いて実
施例1と同様に精留操作を行った。この結果、塔頂から
は純度99.8%のグリオキシル酸メチルが得られ、この留
分には水 0.1重量%、および酢酸n-プロピル 0.1重量%
が不純物として含まれていた。また、塔底からはメタノ
ール 2.9重量%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチル
78.1重量%およびグリコール酸メチル18.8重量%からな
る缶出液を得た。以上の精留操作の前後のグリオキシル
酸メチルの物質収支は 100重量%であった。
【0089】〔実施例3〕 (1) 粗蒸留工程 メタノール37.0重量%、水26.1重量%、ホルムアルデヒ
ド 3.5重量%、グリオキシル酸メチル28.4重量%、およ
びグリコール酸メチル 5.0重量%を含む出発原料(粗グ
リオキシル酸エステル類)を用い、薄膜蒸発器の蒸気出
口に、グリオキシル酸メチルの回収用の、充填長150mmL
で、蒸留段数3段相当の充填カラムを接続し、還流比0.
2 に設定した以外は実施例2と同様の方法で粗蒸留を行
った。
【0090】薄膜蒸発器の頂部よりメタノール56.5重量
%、水38.2重量%、ホルムアルデヒド 5.3重量%を含む
留出液が得られ、底部よりメタノール12.2重量%、水1
0.7重量%、ホルムアルデヒド 1.2重量%、グリオキシ
ル酸メチル64.5重量%、およびグリコール酸メチル11.4
重量%からなる缶出液を得た。
【0091】このとき、グリオキシル酸メチルの加水分
解によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工
程を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量
%であった。
【0092】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に共沸剤としての酢酸n-プロピル
を添加して得た、メタノール 6.8重量%、水 6.0重量
%、ホルムアルデヒド 0.7重量%、グリオキシル酸メチ
ル36.1重量%、グリコール酸メチル 6.4重量%および酢
酸n-プロピル44.1重量%からなる混合液を用いた以外は
実施例1と同様に共沸脱水操作を行った。
【0093】この結果、塔底からはメタノール 1.6重量
%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチル83.5重量%、
グリコール酸メチル14.8重量%および酢酸n-プロピル
0.1重量%からなる缶出液を、塔頂からはメタノール10.
8重量%、水10.5重量%、ホルムアルデヒド 1.2重量%
および酢酸n-プロピル77.6重量%からなる留出液をそれ
ぞれ得た。以上の操作の前後のグリオキシル酸メチルの
物質収支は 100重量%であった。
【0094】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を用いて実
施例1と同様に精留操作を行った。この結果、塔頂から
は純度99.8%のグリオキシル酸メチルが得られ、この留
分には水 0.1重量%、および酢酸n-プロピル 0.1重量%
が不純物として含まれていた。また、塔底からはメタノ
ール 2.1重量%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチル
78.1重量%およびグリコール酸メチル19.7重量%からな
る缶出液を得た。以上の精留操作の前後のグリオキシル
酸メチルの物質収支は 100重量%であった。
【0095】〔実施例4〕 (1) 粗蒸留工程 メタノール35.8重量%、水24.7重量%、ホルムアルデヒ
ド 6.4重量%、グリオキシル酸メチル28.8重量%、およ
びグリコール酸メチル 4.3重量%を含む出発原料(粗グ
リオキシル酸エステル類)を用いた以外は前記実施例1
と同様の方法で粗蒸留を行った。
【0096】薄膜蒸発器の頂部よりメタノール54.7重量
%、水36.7重量%、ホルムアルデヒド 6.4重量%、グリ
オキシル酸メチル 2.2重量%を含む留出液が得られ、底
部よりメタノール22.7重量%、水16.5重量%、ホルムア
ルデヒド 6.4重量%、グリオキシル酸メチル47.2重量
%、およびグリコール酸メチル 7.3重量%からなる缶出
液を得た。このとき、グリオキシル酸メチルの加水分解
によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工程
を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量%
であった。
【0097】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に共沸剤としてのシクロヘキサン
を添加して得た、メタノール 7.2重量%、水 5.2重量
%、ホルムアルデヒド 2.0重量%、グリオキシル酸メチ
ル15.0重量%、グリコール酸メチル 2.3重量%およびシ
クロヘキサン68.3重量%からなる混合液を用いた以外は
実施例1と同様に共沸脱水操作を行った。
【0098】この結果、塔底からはメタノール 4.0重量
%、水 1.3重量%、グリオキシル酸メチル82.1重量%、
グリコール酸メチル12.6重量%および微量のシクロヘキ
サンからなる缶出液を、塔頂からはメタノール 7.9重量
%、水 6.1重量%、ホルムアルデヒド 2.5重量%および
シクロヘキサン83.5重量%からなる留出液をそれぞれ得
た。以上の操作の前後のグリオキシル酸メチルの物質収
支は 100重量%であった。
【0099】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を用いて実
施例1と同様に精留操作を行った。この結果、塔頂から
は純度98.9%のグリオキシル酸メチルが得られ、この留
分にはメタノール 0.1重量%、水 1.1重量%、および微
量なシクロヘキサンが不純物として含まれていた。ま
た、塔底からはメタノール 5.2重量%、水1.4重量%、
グリオキシル酸メチル76.2重量%およびグリコール酸メ
チル16.8重量%からなる缶出液を得た。以上の精留操作
の前後のグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量%
であった。
【0100】〔従来例1〕 (1) 粗蒸留工程 実施例lと同じ出発原料(粗グリオキシル酸エステル
類)を、10段の棚段式蒸留塔に対し、毎時0.2 Kg/hの速
度で供給した。このとき、棚段式蒸留塔の系内の圧力は
350 mmHg(47 kPa)に保ち、原料供給段、塔底、塔頂の
温度はそれぞれ70℃、75℃、62℃であった。塔頂からは
メタノール61.8重量%、水31.7重量%、ホルムアルデヒ
ド 6.5重量%からなる留出液が得られ、塔底からはメタ
ノール 9.7重量%、水14.5重量%、ホルムアルデヒド
6.4重量%、グリオキシル酸メチル52.3重量%、グリコ
ール酸メチル 9.2重量%およびグリオキシル酸 7.9重量
%からなる缶出液を得た。
【0101】このとき、粗蒸留工程のための蒸留操作を
通じて、粗蒸留工程を通じたグリオキシル酸メチルの物
質収支は約85重量%であり、残りの15重量%はグリオキ
シル酸メチルの加水分解によるグリオキシル酸の生成に
より失われた。
【0102】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に共沸剤としてのシクロヘキサン
を添加して得た、メタノール 3.4重量%、水 5.0重量
%、ホルムアルデヒド 2.2重量%、グリオキシル酸メチ
ル18.1重量%、グリコール酸メチル 3.2重量%、グリオ
キシル酸 2.7重量%、およびシクロヘキサン65.5重量%
からなる混合液を用いた以外は実施例1と同様に共沸脱
水操作を行った。
【0103】この結果、塔底からはメタノール 1.4重量
%、水 1.1重量%、グリオキシル酸メチル73.5重量%、
グリコール酸メチル13.0重量%、不明成分11.2重量%、
および微量のシクロヘキサンからなる缶出液を、塔頂か
らはメタノール 4.0重量%、水 6.3重量%、ホルムアル
デヒド 2.9重量%およびシクロヘキサン86.8重量%から
なる留出液をそれぞれ得た。
【0104】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を用いて実
施例1と同様に精留操作を行った。この結果、塔頂から
は純度98.8%のグリオキシル酸メチルが得られ、この留
分にはメタノール 0.1重量%、水 1.1重量%、および微
量なシクロヘキサンが不純物として含まれていた。ま
た、塔底からはメタノール 1.8重量%、水1.1重量%、
グリオキシル酸メチル65.0重量%、グリコール酸メチル
17.2重量%、グリコール酸メチル17.2重量%および不明
成分14.8重量%からなる缶出液を得た。
【0105】このように従来例1では、前述の各実施例
と比べて、不明成分が多く生成しており、目的物質であ
るグリオキシル酸エステル類としてのグリオキシル酸メ
チルの精製効率が低下していることが判る。
【0106】〔実施例5〕 (1) 粗蒸留工程 メタノール35.8重量%、水24.7重量%、ホルムアルデヒ
ド 6.4重量%、グリオキシル酸メチル28.8重量%、およ
びグリコール酸メチル 4.3重量%を出発原料(粗グリオ
キシル酸エステル類)として、低沸点物蒸留装置へ供給
し、水を含む低沸点成分を留去した。これにより、メタ
ノール22.7重量%、水16.5重量%、ホルムアルデヒド
6.4重量%、グリオキシル酸メチル47.2重量%、および
グリコール酸メチル 7.2重量%からなる缶出液を得た。
【0107】このとき、グリオキシル酸メチルの加水分
解によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工
程を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量
%であった。
【0108】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に共沸剤としての酢酸n-プロピル
を添加し、メタノール10.3重量%、水 7.4重量%、ホル
ムアルデヒド 2.9重量%、グリオキシル酸メチル21.3重
量%、グリコール酸メチル 3.3重量%および酢酸n-プロ
ピル54.8重量%からなる混合液を得た。
【0109】次いで、この混合液を、濃縮部30段、回収
部20段、内径30mmの棚段塔(共沸脱水塔)に0.25kg/hの
速度で供給し、共沸蒸留を行った。このときの系内の圧
力は大気圧に、還流比は 0.3にそれぞれ保ち、原料供給
段、塔底、塔頂の温度はそれぞれ 116℃、 157℃、85℃
であった。
【0110】この結果、塔底からはメタノール 4.0重量
%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチル83.0重量%、
グリコール酸メチル12.8重量%および酢酸n-プロピル
0.1重量%からなる缶出液を、塔頂からはメタノール12.
4重量%、水10.0重量%、ホルムアルデヒド 3.9重量%
および酢酸n-プロピル73.7重量%からなる留出液をそれ
ぞれ得た。以上の操作の前後のグリオキシル酸メチルの
物質収支は 100重量%であった。
【0111】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を、濃縮部
50段、回収部20段、内径30mmの精留蒸留用の充填塔に0.
2 kg/hの速度で供給し、グリオキシル酸メチルの精留を
行った。このときの系内の圧力は600 mmHg(80 kPa)、
還流比は3にそれぞれ保ち、原料供給段、塔底、塔頂の
温度は、それぞれ 124℃、 165℃、 113℃であった。
【0112】この結果、塔頂からは純度99.7%のグリオ
キシル酸メチルが得られ、この留分にはメタノール 0.1
重量%、水 0.1重量%、および酢酸n-プロピル 0.1重量
%が不純物として含まれていた。また、塔底からはメタ
ノール 5.3重量%、水 0.1重量%、グリオキシル酸メチ
ル77.4重量%およびグリコール酸メチル17.0重量%から
なる缶出液を得た。以上の精留操作における前後のグリ
オキシル酸メチルの物質収支は 100重量%であった。
【0113】〔実施例6〕 (1) 粗蒸留工程 上記実施例5に記載の方法と同様に粗蒸留工程を行っ
て、メタノール22.7重量%、水16.5重量%、ホルムアル
デヒド 6.4重量%、グリオキシル酸メチル47.2重量%、
およびグリコール酸メチル 7.2重量%からなる缶出液を
得た。
【0114】このとき、グリオキシル酸メチルの加水分
解によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工
程を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量
%であった。
【0115】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に、前記実施例5に記載の精留工
程で得られた缶出液を加え、さらに共沸剤としての酢酸
n-プロピルを添加して得た、メタノール 7.6重量%、水
3.6重量%、ホルムアルデヒド 1.4重量%、グリオキシ
ル酸メチル50.2重量%、グリコール酸メチル10.4重量%
および酢酸n-プロピル26.2重量%からなる混合液を得
た。
【0116】次いで、この混合液を、前記実施例5に記
載の方法と同様に共沸脱水操作を行った。この結果、塔
底からはメタノール 5.5重量%、水 0.1重量%、グリオ
キシル酸メチル81.3重量%、グリコール酸メチル16.8重
量%および酢酸n-プロピル 0.1重量%からなる缶出液
を、塔頂からはメタノール10.9重量%、水 9.1重量%、
ホルムアルデヒド 3.6重量%および酢酸n-プロピル68.4
重量%からなる留出液をそれぞれ得た。以上の操作の前
後のグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量%であ
った。
【0117】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた缶出液を、前記実
施例5に記載と同様に精留操作を行った。この結果、塔
頂からは純度99.5%のグリオキシル酸メチルが得られ、
この留分には水 0.1重量%、および酢酸n-プロピル 0.4
重量%が不純物として含まれていた。また、塔底からは
メタノール 6.9重量%、水 0.1重量%、グリオキシル酸
メチル73.8重量%およびグリコール酸メチル21.0重量%
からなる缶出液を得た。以上の精留操作における前後の
グリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量%であっ
た。
【0118】〔実施例7〕 (1) 粗蒸留工程 上記実施例5に記載の方法と同様に粗蒸留工程を行っ
て、メタノール22.7重量%、水16.5重量%、ホルムアル
デヒド 6.4重量%、グリオキシル酸メチル47.2重量%、
およびグリコール酸メチル 7.2重量%からなる缶出液を
得た。
【0119】このとき、グリオキシル酸メチルの加水分
解によるグリオキシル酸の生成は認められず、粗蒸留工
程を通じたグリオキシル酸メチルの物質収支は 100重量
%であった。
【0120】(2) 共沸脱水工程 上記で得られた缶出液に、酢酸イソプロピルを添加して
得た、メタノール 6.5重量%、水 4.7重量%、ホルムア
ルデヒド 1.8重量%、グリオキシル酸メチル13.6重量
%、グリコール酸メチル 2.1重量%および酢酸イソプロ
ピル71.2重量%からなる混合液を得た。
【0121】次いで、この混合液を、まず、前記実施例
5に記載の共沸脱水塔に対し、0.3kg/hの速度で供給
し、塔底からはメタノール 1.9重量%、水 0.2重量%、
グリオキシル酸メチル64.4重量%、グリコール酸メチル
9.9重量%および酢酸イソプロピル23.6重量%からなる
缶出液を、塔頂からはメタノール 7.8重量%、水 6.0重
量%、ホルムアルデヒド 2.3重量%および酢酸イソプロ
ピル83.9重量%からなる留出液をそれぞれ得た。
【0122】続いて、得られた缶出液を、再度、同じ共
沸脱水塔に対し、0.2 kg/hの速度で供給し、塔底からは
メタノール 1.6重量%、水 0.1重量%、グリオキシル酸
メチル85.2重量%、グリコール酸メチル13.1重量%およ
び微量の酢酸イソプロピルからなる缶出液を、塔頂から
はメタノール 2.8重量%、水 0.4重量%、および酢酸イ
ソプロピル96.8重量%からなる留出液をそれぞれ得た。
以上の操作の前後のグリオキシル酸メチルの物質収支は
100重量%であった。
【0123】(3) 精留工程 次いで、上記共沸脱水工程で得られた、最後の缶出液
を、前記実施例5に記載と同様に精留操作を行った。こ
の結果、塔頂からは純度99.5%のグリオキシル酸メチル
が得られ、この留分には水 0.1重量%、および酢酸イソ
プロピル 0.1重量%が不純物として含まれていた。ま
た、塔底からはメタノール 2.0重量%、水 0.1重量%、
グリオキシル酸メチル80.9重量%およびグリコール酸メ
チル17.0重量%からなる缶出液を得た。以上の精留操作
における前後のグリオキシル酸メチルの物質収支は 100
重量%であった。
【0124】
【発明の効果】本発明に係るグリオキシル酸エステルの
精製方法は、以上のように、水が共存する粗グリオキシ
ル酸エステル類を精製する際に上記粗グリオキシル酸エ
ステル類を、薄膜蒸発器を用いて膜状にて連続的に予め
粗蒸留する粗蒸留工程を含む方法である。
【0125】それゆえ、上記方法では、粗グリオキシル
酸エステル類において、グリオキシル酸エステル類より
も低沸点成分を粗蒸留によって低減することができる。
また、上記方法では、薄膜蒸発器を用いて粗グリオキシ
ル酸エステル類を膜状にて連続的に粗蒸留することによ
り、粗グリオキシル酸エステル類に対する粗蒸留時の加
熱時間を、従来の蒸留塔を用いた場合と比べて短縮でき
るので、粗蒸留時におけるグリオキシル酸エステル類の
加水分解を抑制でき、高純度のグリオキシル酸エステル
類を収率よく得ることができるという効果を奏する。
【0126】上記方法では、脂肪酸エステル類などの共
沸剤の存在下で蒸留を行う共沸蒸留工程を含んでいても
よい。上記方法では、上記共沸蒸留工程により、重合用
原料として好適に用いることができる高純度のグリオキ
シル酸エステル類を効率よく、簡便かつ安価に得ること
ができる。さらに、上記によれば、従来のように、共沸
剤として人体に有害な化合物を用いないので、安全性や
取り扱い性等にも優れているという効果を奏する。
【0127】本発明に係るグリオキシル酸エステル類の
精製用蒸留装置は、少なくとも水が共存する粗グリオキ
シル酸エステル類を蒸留により精製するための液膜式蒸
発装置の蒸気出口に、蒸気に含まれるグリオキシル酸エ
ステル類を回収するための、蒸留段を有するカラムが設
けられている構成である。
【0128】それゆえ、上記構成では、蒸気状態となっ
ているグリオキシル酸エステル類に対する加熱時間を抑
制しながら、蒸留段によって、少なくとも水が共存する
粗グリオキシル酸エステル類の蒸気から、効率よくグリ
オキシル酸エステル類を回収することができるから、グ
リオキシル酸エステル類の精製効率を改善できるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるグリオキシル酸エステル類の精
製に用いられる各蒸留装置の構成を示す概略図である。
【図2】上記各蒸留装置における粗蒸留工程に用いられ
る強制撹拌型の薄膜蒸発器の縦断面の概略図である。
【図3】上記薄膜蒸発器の横断面の概略図である。
【図4】上記薄膜蒸発器におけるワイパおよびワイパ支
持部の斜視図である。
【符号の説明】
1 薄膜蒸発器(液膜式蒸発装置) 2 共沸脱水塔 3 精留蒸留塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 昇 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平1−254643(JP,A) 特開 平2−73040(JP,A) 特開 昭60−23345(JP,A) 特開 昭62−286501(JP,A) 特開 平3−101633(JP,A) SEPARATION SCIENC E AND TECHNOLOGY,25 [13−15](1990),1981−1991. (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/716 C07C 67/54 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも水が共存する粗グリオキシル酸
    エステル類を蒸留により精製するグリオキシル酸エステ
    ル類の精製方法において、 上記粗グリオキシル酸エステル類を、薄膜蒸発器を用い
    膜状にて連続的に粗蒸留する粗蒸留工程と、 該粗蒸留工程で得られた、グリオキシル酸エステル類を
    含む粗精製液を、さらに蒸留する本蒸留工程とを含むこ
    とを特徴とするグリオキシル酸エステル類の精製方法。
  2. 【請求項2】上記薄膜蒸発器が、流下液膜型もしくは強
    制撹拌液膜型蒸発器であることを特徴とする請求項1記
    載のグリオキシル酸エステル類の精製方法。
  3. 【請求項3】上記本蒸留工程が、共沸剤の存在下で蒸留
    を行う共沸蒸留工程を含むことを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のグリオキシル酸エステル類の精製方法。
  4. 【請求項4】上記本蒸留工程が、共沸剤の存在下で蒸留
    を行う共沸蒸留工程と、 該共沸蒸留工程で得られた、グリオキシル酸エステル類
    を含む共沸精製液を、さらに蒸留する精留工程とを含む
    ことを特徴とする請求項1または2記載のグリオキシル
    酸エステル類の精製方法。
  5. 【請求項5】上記共沸剤が、脂肪酸エステル類であるこ
    とを特徴とする請求項3または4記載のグリオキシル酸
    エステル類の精製方法。
  6. 【請求項6】少なくとも水が共存する粗グリオキシル酸
    エステル類を蒸留により精製するための液膜式蒸発装置
    の蒸気出口に、蒸気に含まれるグリオキシル酸エステル
    類を回収するための、蒸留段を有するカラムが設けられ
    ていることを特徴とするグリオキシル酸エステル類の精
    製用蒸留装置。
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