JP3056558B2 - ガス放電管およびその駆動方法 - Google Patents

ガス放電管およびその駆動方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極にトンネル効果型
の電子放出素子を用いたガス放電管およびその陰極の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特公昭43−3041号公報等に開示さ
れている従来のトンネル効果型電子放出素子は主として
真空管用のもので、図9に示すようなサンドイッチ構造
になっている。すなわち、ガラス基板1の表面上に金属
ベース膜2、膜厚約100の誘電体薄膜3および膜厚
80〜300の表面金属膜4を順次に積層したM−
I−M構造のもので、表面金属膜4の中央部に電子放出
領域5を有している。
【0003】真空にされた気密バルブ内に陽極と対向し
て配置されたかかる電子放出素子の金属ベース膜2と表
面金属膜4との間に後者が正となる極性に直流電圧Vd
が印加されると、層間でのエネルギーバンドは図10に
模式的に示すようなものとなる。ただし、φA,φB,φ
Mはポテンシャル障壁、eVdは直流電圧Vdによるポテ
ンシャルエネルギー(eは電気素量)を示す。
【0004】ポテンシャルエネルギーeVdが表面金属
膜4の仕事関数よりも大きいとき、金属ベース膜2から
放射された電子はポテンシャル障壁φAをトンネル効果
で透過し、その一部は表面金属膜4を通り抜けて真空空
間に放出され、陽極に流入する。ただし、表面金属膜4
から真空空間への電子放出は、ポテンシャルエネルギー
eVdがポテンシャル障壁φMよりも大きいときにかぎら
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで問題となるの
は、金属ベース膜2から表面金属膜4へ流入してしまう
ダイオード電流Idが非常に大きく、電子放出領域5か
らの電子電流Ieとの比(I e/Id=放出効率α)がき
わめて小さい値となることである。図11はかかるM−
I−M構造の電子放出素子をAl−Al23−Auの材
料で構成した場合の表面金属膜膜厚Dに対する放出効率
αの変化を例示したもので、放出効率αは膜厚Dととも
に指数関数的に減少する。このように、ホットエレクト
ロンが表面金属膜4中の電子と衝突することによるエネ
ルギー損失は大きく、衝突確率は膜厚とともに指数関数
的に増加する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のガス放電管は、
ガスを満たした放電空間を介して陽極と導体基板上に誘
電体薄膜を形成した陰極とが向き合い、前記陽極と陰極
との間に直流の電圧を印加する電圧印加手段を備え、
記陽極と陰極との間に直流の電圧を印加して放電するガ
ス放電管において、前記導体基板上の誘電体薄膜を前記
導体基板から供給された電子がトンネル効果とホットエ
レクトロンの状態とを得る厚みに形成する。また、本発
明のガス放電管の駆動方法は、ガスを満たした放電空間
を介して陽極と導体基板上に誘電体薄膜を形成した陰極
とが向き合い、前記陽極と陰極との間に直流の電圧を印
加する電圧印加手段を備え、前記陽極と陰極との間に直
流の電圧を印加して前記ガスを電離することにより放電
するガス放電管の駆動方法において、前記導体基板上に
誘電体薄膜を所定の厚みに形成して、前記ガスの電離さ
れた陽イオンを前記誘電体薄膜上に付着させることによ
り前記導体基板から供給された電子がトンネル効果とホ
ットエレクトロンの状態とを得る。
【0007】
【作用】かかるガス放電管およびその駆動方法の構成で
は、放出電子に対してエネルギー損失を与える表面金属
膜が存在しないM−I構造となる。I層たる誘電体薄膜
の露出表面には、ガスの電離で生じた陽イオンが付着し
てイオンの原子層が生成される。この原子層と前記導電
体基板との間の電位差はほぼVdとなるので、在来のM
−I−M構造におけると同様の強電界を与えることがで
き、トンネル効果による電子放出作用を得ることができ
る。表面金属膜を有しないので、ホットエレクトロンが
金属電子と衝突することによるエネルギー損失はなく、
誘電体薄膜の表面に達したホットエレクトロンは、図2
に示すように、ほぼeVdのエネルギーでポテンシャル
障壁φMを越え、陽イオンの隙間からガス雰囲気中へ放
出される。
【0008】この内の一部の放出電子は誘電体薄膜の表
面で陽イオンと中和し、中性ガス分子となって誘電体薄
膜の表面から離脱するが、一方、気密バルブ内を浮遊す
る中性ガス分子の一部は放出電子と衝突して二次電子を
放出し、放出電子の量を補うと同時に陽イオン化し、誘
電体薄膜の表面に捕えられる。
【0009】このようにして、誘電体薄膜表面での陽イ
オンの補給と消滅とが平衡状態を保ち、一定量の陽イオ
ンの原子層が保持されるので、安定した電子放出動作を
持続させ得るのであり、導電体基板に供給される電子の
すべてが放出電子となるので、放出効率αを1に近いも
のとなし得る。
【0010】
【実施例】図1は本発明を実施したガス放電管の基本的
構成を示すもので、6,7はガラス基板、8はガラス基
板6の表面上に蒸着形成された金属ベース膜たる導電体
基板、9は導電体基板8上に蒸着によって形成された誘
電体薄膜、10はガラス基板7の表面上に設けられて導
電体基板8に対し正の電位Vdが与えられる陽極、11
は気密バルブ12内に封入された稀ガス、13は導電体
基板8のリード端子、14は陽極10のリード端子、1
5は陰極・陽極間の電位差Vdを表示する電圧計、16
はVsなる直流電圧を与える電圧印加手段である電圧可
変電源、17は可変抵抗、18は放電開始後に誘電体薄
膜9の露出表面にチャージされたガスの陽イオンを示
す。
【0011】電圧Vsが放電開始電圧を越えると、誘電
体薄膜9と陽極10との間で過渡的に放電現象が起こ
り、この放電で電離したガスの陽イオン18が誘電体薄
膜9の露出表面にチャージされる。このチャージによる
電荷(初期値は導電体基板に対してほぼVs)と導電体
基板8の電位とによって誘電体薄膜9に強電界が与えら
れる。このため、トンネル効果による電子放出が開始さ
れ、導電体基板8から誘電体薄膜9を透過したホットエ
レクトロンが陽極10側へ放射される。定常状態に達す
ると電子放出動作が安定化し、この状態が持続される。
このとき電圧計15は初期値VS(放電開始電圧)より
も遙かに低い値Vd(放電維持電圧)を示す。放出電流
Ieは可変抵抗17によって制御できる。なお、前記ホ
ットエレクトロンとは、導電体基板8から供給された電
子が誘電体薄膜9の厚み方向の一部をトンネルした後
に、誘電体薄膜9の厚み方向の直流電界により誘電体薄
膜9の厚み方向の残りの部分の伝導帯をほとんどのエネ
ルギーを失わずに走行して加速された電子をいう。以
下、このような電子をホットエレクトロンという。
【0012】エネルギーバンドを図2に模式的に示す。
導電体基板8からの電子は膜厚dの誘電体薄膜9を通り
抜けて稀ガス11中に達するが、その過程では図中にd
1で示す部分がトンネル効果で透過し、d2で示す部分が
誘電体薄膜9の伝導体中を走行して露出表面に達する。
稀ガス11と陽イオン18の原子層との界面を真空と考
えると、ポテンシャル障壁φCはポテンシャル障壁φDよ
りも小さい。誘電体薄膜9の露出表面に達した電子はホ
ットエレクトロンで、ポテンシャル障壁φDよりも大き
いエネルギーeVd′を有するので、ポテンシャル障壁
φDを越えてガス雰囲気中へ飛び出す。このとき、誘電
体薄膜9の露出表面から放出される一部の放出電子は陽
イオン原子と中和し、他の放出電子はエネルギーeVK
によって与えられる平均初速度υ=(2eVK/me)
(ただしmeは電子質量)でガス分子と衝突し、ガスを
電離する。衝突によってエネルギーを失った電子は、ガ
ス中のわずかな電位差VGによって陽極10に到達す
る。一方、電離した陽イオンの一部は誘電体薄膜9の露
出表面に捕らえられる。このような電子放出と電離とが
平衡状態を保つには、放出電子の加速電圧eVKがガス
の第1電離電圧eVi1(ガス分子の最外殻の電子が離れ
て1価の陽イオンとなる最小エネルギー)よりも大きく
ならなければならない。したがって、
【0013】
【数1】
【0014】の条件が満たされた状態で安定する。
【0015】図1の構成において、導電体基板8を膜厚
5μmのAlで、誘電体薄膜9を膜厚500のMgO
で、そして、陽極10を膜厚2000のITO膜(透
明導電膜)でそれぞれ形成し、各電極を直径16mmの円
盤状となすとともに、誘電体薄膜9と陽極10との距離
を0.3mmとなし、稀ガス11としてNeを用いた(2
50Torr)ところ、電源電圧Vs=125Vにおける放
電電流Ieと放電維持電圧Vdとの関係は図3のaに示す
ものとなった。
【0016】同図のbは誘電体薄膜9として、数%のM
nO2をドープしたMgOを用いた実施例の放出電流Ie
と放電維持電圧Vdとの関係を示す特性図である。
【0017】これらの特性図から分かるように、在来の
トンネル効果型電子放出素子に比べてきわめて大きい放
出電流が得られ、電流値を変化させてもかなり広い範囲
で安定に動作する。二極放電管であるので、電源のマイ
ナス側から供給された電子はすべて放出電子の過程を経
て電源のプラス側へ戻ってくる。つまり、放出効率α≒
1である。また、従来の放電管と比べると、放電維持電
圧Vdが極めて低いといえる。(数1)において、ポテ
ンシャル障壁φM=2eV、ガス中の電位差VG=1Vと
すると、Neの第1電離電圧eVi1=21.56eVで
あるので、放電維持電圧Vd>24.56Vであればよ
く、図3のaではVd=27V、図3のbではVd=25
Vとなっており、いずれも(数1)を満たす。
【0018】図4のaは、前述の条件において電流Ie
=2mAに固定し、稀ガス11の圧力を変化させた場合
のガス圧Pと放電維持電圧Vdとの関係を示している。
また、同図のcは、同図のaの条件における稀ガス11
を、He,Kr,Xeの88:10:2のモル比の混合
ガスとし、電源電圧Vs=185Vとした実施例の特性
を示している。これらの特性図から、混合ガスを用いた
りガス圧を変えても、かなり広い範囲で40V以下の放
電維持電圧Vdで動作させ得ることが分かる。
【0019】下表は、図3のaの条件での稀ガス11の
種類を変えた場合の、ガスの共振電圧eVr、第1電離
電圧eVi1に対する放電維持電圧Vdの実測値を示すも
のである。これらから、He,Ne,Ar,Kr,Xe
を用いても、各ガスの第1電離電圧eVi1に対する放電
維持電圧Vdの値は、(数1)をほぼ満たすことが分か
る。
【0020】
【表1】
【0021】ここでガス共振電圧eVrとは、光量子h
νを放出して、より低い励起または基底状態に移ること
が可能な励起エネルギーのことである。同表に示すよう
に第1電離電圧eVi1>共振電圧eVrであるので、い
ずれのガスも電子放出中は電流値に比例する輝度で励起
発光する。この場合の放電維持電圧Vdは、在来の放電
管の放電維持電圧の数分の1程度である。したがって、
発光効率は数倍になる。たとえばNeの場合の発光効率
は0.8ルーメン/Wとなり、これは放電発光素子とし
てはきわめて高い値である。
【0022】図5に示す陰極は、ガラス基板6の表面上
にAlの蒸着膜たる膜厚5μmの導電体基板18が設け
られており、この導電体基板18の表面上に膜厚約50
のMgを主成分とする導電性の中間層19が蒸着に
よって設けられている。そして、この中間層19の表面
上にMgOを主成分とする膜厚1000の誘電体薄膜
20が設けられており、この誘電体薄膜20は陽極と向
き合いかつ管内ガスに接触する露出表面20aを有して
いる。
【0023】このように構成された陰極を用いたガス放
電管では、トンネル現象の特性を左右する接合部が、中
間層19とMgOを主成分とする誘電体薄膜20との界
面に生成されるので、異種金属によって生成される接合
面に比べて安定したトンネル現象を得ることができ、陰
極製造上の再現性を高め得る。すなわち、かかる陰極を
用いて製造したガス放電管の放電維持電圧(ただしVm
=27V)の変動値(ばらつき)は、中間層を有しない
場合の最大20V(ただしVm=47V)に対し最大7
V(ただしVm=34V)に抑え得るのであり、製造歩
留を著しく改善できる。
【0024】前述の実施例では、誘電体薄膜20を蒸着
によって形成したが、下記の製造方法によると安定性の
一層すぐれた陰極を能率よく形成できる。この場合は図
6に示すように、Alの蒸着膜からなる導電体基板18
の表面上に、まず、Mg(純度99.99%)の薄膜2
1を真空蒸着によって形成する。次いで真空中での加熱
(450℃,3時間)処理により、導電体基板18のA
lを薄膜21の一部分に拡散させる。この熱拡散によっ
て図7に示すようにMgにAlを含んだ導電性の中間層
22が生成されるので、次に、薄膜21の残余部分(表
面領域)を空気中450℃に3時間保持して酸化させる
のであり、この領域を誘電体薄膜ならしめる。
【0025】中間層22は図7に示すようにMg薄膜2
1の一部分に形成される。酸化処理後における中間層1
9と誘電体薄膜20との境界は、図5に示すようなはっ
きりしたものではないが、おおむねこのような分布とな
る。その理由は、拡散時におけるAlはMgの表面まで
いったん拡散されるが、酸化処理時におけるAlはMg
の表面からAlベース側へ押し戻されるからと推察され
る。
【0026】このような製造方法によって製造された陰
極を組み込んだガス放電管では、トンネル効果による電
子放出能がより安定化し、放電維持電圧の変動値を1V
以下に低減せしめ得て、製造歩留を格段に改善できる。
【0027】前述の実施例では、導電体基板8として膜
厚5μmのAl膜を、誘電体薄膜9として膜厚500
のMgOまたはMgOに数%のMnO2をドープした膜
を、そして、陽極10として膜厚2000のITO
(透明導電膜)をそれぞれ用い、各電極の大きさを直径
16mmの円盤状となし、誘電体薄膜9と陽極10との距
離を0.3mmとし、気密バルブ12内に封入する稀ガス
11としてNeまたはHe,Kr,Xeの88:10:
2のモル比の混合ガス(1Torr〜450Torrの範囲)を
用い、電源電圧Vsは125Vと185Vとの二値を用
いた。しかし、これら以外の条件でも本発明を実施する
ことは可能で、導電体基板8としてAuを用いた場合も
良い結果が得られた。しかし、CrやFeを使用すると
酸化処理時の酸化が激しく、Cr2O3やFe2O3などの
酸化被膜を生じて、誘電体膜との接合状態を乱し、トン
ネル効果が得られない。また、変形も著しい。膜厚は特
性に無関係であるので、ガラス基板を用いない単体の金
属板であってもよい。ただし、材料の種類によって誘電
体薄膜9との界面の状態が異なるので、導電体基板8と
誘電体薄膜9との組み合わせが電子放出時のエネルギー
損失を左右する。ソーダガラスの使用は、アルカリ成分
が薄いAl膜を透過して、Alおよび誘電体薄膜に大き
な影響を与えるので好ましくない。低アルカリやノンア
ルカリのガラスを用いるのが好ましく、Alの厚さは1
μm以上が好ましい。
【0028】誘電体薄膜9は、電気絶縁性の薄膜であれ
ばよく、Eu2O3,CeO2,La2O3などの単体また
は混合物を使用することができる。また、誘電体薄膜の
ドーパントとしてMnO2以外に前述のような酸化物誘
電体を用いてもよい。しかし、MgOを主成分としたも
のが、仕事関数,二次電子放出率,エネルギー損失およ
び耐イオン衝撃等の面でもっとも実用的であることが、
実験の結果判明した。また、ドーパント以外の不純物は
極力排除した方が、エネルギー損失は小さくできる。ま
た、結晶性は必ずしもトンネル現象に影響しないが、充
填率が低くなるとトンネル現象が起こりにくくなる。製
作方法に関しては、真空蒸着以外にもスパッタやEB等
が考えられる。MgOにMnO2をドープする場合に
は、CVDを用いることができる。膜厚は5000
下とりわけ300〜3000が適当で、図8に示す
ように1μmを越えるとトンネル効果が生じなくなる。
誘電体薄膜9と陽極10との間隔を0.3mmから変化さ
せると電子放出面積および電流密度は変化するものの、
電子放出の動作態様は基本的に同様である。
【0029】前述の実施例では、MgOを主成分とする
誘電体薄膜9に対し、当該金属たるMgを主成分とする
材料で中間層19を形成したが、誘電体薄膜9が他の金
属酸化物を主成分とする場合は、当該金属を主成分とす
る材料で中間層19を形成すればよい。
【0030】稀ガス11は、稀ガス以外のガスでもよ
い。ただし、酸素や窒素などの活性ガスを用いると、他
の物質を酸化させたり窒化させたりして、放電条件が変
化する可能性がある。また、ガスの封入圧は、電流密度
によって動作可能な圧力の下限が異なるが、実験的には
ほぼ1Torr以下になると、安定に動作しなくなる。
【0031】
【発明の効果】本発明は前述のように構成されるので、
ガス雰囲気中でのトンネル効果型電子放出素子の電子放
出効率を1に近いものとでき、ガスの第1電離電圧に数
V程度加えた低い放電維持電圧(在来の放電管の数分の
1)で放電および発光を得ることができ、発光効率は従
来の放電管の数倍となり、放電素子としての低電力化や
高輝度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したガス放電管の基本的構成を示
す側断面図
【図2】同放電管のエネルギーバンドを模式的に示す図
【図3】同放電管の放出電子Ieと放電維持電圧Vdとの
関係を例示する特性図
【図4】同放電管のガス圧Pと放電維持電圧Vdとの関
係を例示する特性図
【図5】本発明の他の実施例の陰極の断面図
【図6】本発明の他の実施例の陰極の製造段階における
側断面図
【図7】同陰極の側断面図
【図8】誘電体薄膜の膜厚に対する放電維持電圧の関係
を示す実験データ
【図9】従来のトンネル効果型電子放出素子の側断面図
【図10】同素子を真空中で動作させた場合の層間エネ
ルギーバンドを模式的に示す図
【図11】同素子をAl−Al23−Auの材料で構成
した場合の表面金属膜膜厚Dと放出効率αとの関係を示
す特性図
【符号の説明】
6,7 ガラス基板 8,18 導電体基板 9,20 誘電体薄膜 10 陽極 19 拡散膜 21 Mgの薄膜 22 MgにAlを含んだ導電性中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 17/06 H01J 1/30 H01J 9/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスを満たした放電空間を介して陽極と
    導体基板上に誘電体薄膜を形成した陰極とが向き合い、
    前記陽極と陰極との間に直流の電圧を印加する電圧印加
    手段を備え、前記陽極と陰極との間に直流の電圧を印加
    して放電するガス放電管において、前記導体基板上の誘
    電体薄膜を前記導体基板から供給された電子がトンネル
    効果とホットエレクトロンの状態とを得る厚みに形成す
    ることを特徴とするガス放電管。
  2. 【請求項2】 前記誘電体薄膜は、MgOを主成分とし
    かつその膜の厚さを100Å〜1μmとしたことを特徴
    とする請求項1記載のガス放電管。
  3. 【請求項3】 前記誘電体薄膜と前記導電体基板との界
    面に導電性の中間層が設けられてなることを特徴とする
    請求項1記載のガス放電管。
  4. 【請求項4】 前記誘電体薄膜がMgOを主成分とする
    物質からなり、中間層がMgを主成分とする物質からな
    ることを特徴とする請求項3記載のガス放電管。
  5. 【請求項5】 ガスを満たした放電空間を介して陽極と
    導体基板上に誘電体薄膜を形成した陰極とが向き合い、
    前記陽極と陰極との間に直流の電圧を印加する電圧印加
    手段を備え、前記陽極と陰極との間に直流の電圧を印加
    して前記ガスを電離することにより放電するガス放電管
    の駆動方法において、前記導体基板上に誘電体薄膜を所
    定の厚みに形成して、前記ガスの電離された陽イオンを
    前記誘電体薄膜上に付着させることにより前記導体基板
    から供給された電子がトンネル効果とホットエレクトロ
    ンの状態とを得ることを特徴とするガス放電管の駆動方
    法。
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