JP3055389B2 - 軽量セメント建材 - Google Patents

軽量セメント建材

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JP3055389B2
JP3055389B2 JP3358694A JP3358694A JP3055389B2 JP 3055389 B2 JP3055389 B2 JP 3055389B2 JP 3358694 A JP3358694 A JP 3358694A JP 3358694 A JP3358694 A JP 3358694A JP 3055389 B2 JP3055389 B2 JP 3055389B2
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absorbing polymer
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冨二夫 片平
一樹 田鍋
純一 水野
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Nippon Steel Corp
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Nichiha Corp
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窯業系のオートクレー
ブ養生軽量セメント建材、特に、押出成形した窯業系オ
ートクレーブ養生軽量押出セメント建材に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料として用いる軽量セメント製
品、即ち軽量セメント建材を押出成形で製造するには、
水硬性バインダであるセメントに骨材や補強繊維を配合
するとともに、軽量骨材を配合して、これを水と混練し
た材料を押出成形機に通すことによって行うことができ
る。
【0003】この軽量骨材としてはパーライトやシラス
バルーン等の無機質発泡体を用いることが一般的である
が、これらの無機質発泡体は混練や押出成形時に破壊さ
れ易いため十分な軽量化効果が発揮されない。
【0004】軽量骨材として発泡ポリスチレンや発泡ポ
リ塩化ビニリデン等の熱可塑性樹脂発泡体を用いること
も提案されている (特公昭63−1276号公報、特公平4−
27196 号公報参照) 。しかし、発泡ポリスチレンを用い
た場合、発泡ポリスチレンの粒径が大きいため、成形後
に発泡ポリスチレンがスプリングバック現象を起こして
材料表面に現われるため表面肌が悪くなる。一方、発泡
ポリ塩化ビニリデンは一般に発泡後の粒径が100 μm以
下と小さいため表面肌の良好な軽量セメント製品が得ら
れるが、この発泡ポリ塩化ビニリデンは高価であり、経
済性が大きな問題である。
【0005】本発明者らは、吸水後も粒径を保持する吸
水性ポリマー粒子を軽量骨材として用いることを提案し
た (特開昭2−133356号公報参照) 。この技術は、予め
吸水させた吸水性ポリマー粒子を骨材として混入してお
き、養生および乾燥工程の加熱処理によりポリマー中の
水を蒸発させて空孔をつくることにより軽量化を達成す
るものである。この吸水性ポリマーは、発泡ポリスチレ
ンよりも粒径が小さいため、押出成形後の成品表面の凹
凸がなく良好な表面肌が得られる。また、発泡塩化ビニ
リデンよりも経済的に大幅に優れている。
【0006】しかしながら、吸水性ポリマーは、混練お
よび押出工程で受ける外力で損傷を受け易いため、初期
の粒径よりも小さくなる、あるいは空孔粒径の分布が広
くなる等の問題があった。このような広い空孔粒径の分
布は、軽量性の点からは特に問題とはならないが、住宅
あるいは工場建屋に施工される外装材はビスあるいは釘
で直接留めることが多く、この釘打性に広い粒径分布が
悪影響を及ぼす。
【0007】釘打性を良くするためには釘が材料中に進
入した際の体積増分を吸収できる空隙を存在させること
がポイントとなり、そのため空孔の寸法にも適正範囲が
ある。すなわち、ある粒径範囲の空孔が多いほど釘打性
が良くなることになる。しかし、上述の場合にそのよう
な空孔を安定して確保するには多量の吸水性ポリマーを
混入する必要があり、この多量混入に伴い、多量の水を
使用するため、製造上重要なセメント硬化性が遅くな
る、つまり早期強度が低いという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の欠点を解消した優れた軽量セメント建材を
提供することである。さらに、本発明の目的は、具体的
には、軽量化とともに釘打性にも優れ、かつ、表面性状
が良好で、製造工程上極めて重要な早期強度の高い軽量
セメント建材を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは吸水性ポリ
マーを混入した軽量セメント建材について、さらに検討
した結果、前述の問題を解決するには、発泡倍率が50〜
200 倍と高倍率であっても、発泡後の粒径が0.05〜0.2
mmと小粒径である熱可塑性樹脂発泡体を吸水性ポリマー
と併用すること、あるいは、発泡倍率が10〜50倍で発泡
後の粒径が0.2〜1.5 mmの熱可塑性樹脂発泡体を吸水性
ポリマーと併用することが有効であることを知り、本発
明を完成した。
【0010】すでに述べたように、軽量化材として吸水
性ポリマーのみを使用して釘打性を安定化させるには、
混入量を多くする必要があるため、セメントの硬化性を
遅らせるという問題がある。また、軽量化材として発泡
ポリ塩化ビニリデンのような粒径の小さい熱可塑性樹脂
発泡体のみの使用で軽量化を達成しようとすると多量混
入が必要であり、またコストが高くなるという問題があ
り、さらに、発泡ポリスチレンのような低価格である
が、粒径の大きな熱可塑性樹脂発泡体のみの使用で軽量
化を達成しようとすると成形体の表面肌が悪化するとい
う問題がある。
【0011】この点、本発明ではそれぞれ発泡ポリ塩化
ビニリデンあるいは発泡ポリスチレンと前述の吸水ポリ
マーとを併用して相乗効果を利用することにより問題を
解決するものである。
【0012】ここに、本発明の要旨は、水硬性バインダ
と骨材とからなる無機質窯業系粉体100 重量部に対し、
吸水性ポリマー粒子0.2 〜1.0 重量部、発泡倍率が50〜
200倍で発泡後の粒径が0.05〜0.2 mmの熱可塑性樹脂発
泡体0.1 〜0.5 重量部、および1種もしくは複数種の混
和材とからなる、独立気泡を有するオートクレーブ養生
軽量セメント建材である。
【0013】また、別の面からは、本発明は、水硬性バ
インダと骨材とからなる無機質窯業系粉体100 重量部に
対し、吸水性ポリマー粒子0.05〜0.2 重量部、発泡倍率
が10〜50倍で発泡後の粒径が0.2 〜1.5 mmの熱可塑性樹
脂発泡体0.4 〜1.5 重量部、および1種もしくは複数種
の混和材とからなる、独立気泡を有するオートクレーブ
養生軽量セメント建材である。
【0014】
【作用】次に、本発明において配合材とその割合とを上
述のように限定する理由を説明する。なお、以下におい
て重量部は特にことわりがない限り、水硬性バインダと
骨材とから成る無機質窯業系粉体を100 重量部としたと
きのものである。
【0015】まず、第一予備試験として、吸水性ポリマ
ー混入量と釘打性、材料の表面性状および所定時間養生
後の曲げ強度との関係を実験的に求めた。これらの結果
は図1〜図3にグラフで示すが、これらのデータは次の
ようにして求めた。
【0016】すなわち、水硬性バインダとしての普通ポ
ルトランドセメント50重量部、骨材としての硅砂50重量
部、混和材としてのセルロース繊維5重量部、同じく混
和材としての増粘剤メチルセルロース1重量部に、予め
30重量倍に吸水させた吸水性ポリマー (例: 住友化学製
スミカゲル) を混入し、適量の水と混練して押出成形
(幅100 mm、厚み10mm) し、50℃×10Hrの蒸気養生の後
に、180 ℃×6Hrのオートクレーブ養生を実施した。
【0017】生強度は、蒸気養生後の材料を長さ120 mm
×幅50mm×厚さ10mmの供試体に切断し、スパン100 mmの
中央集中載荷方式で曲げ強度(kg/cm2)を求めて得た。ま
た、表面肌は、オートクレーブ養生後の材料の表面性状
を目視観察することにより評価し、表面の最大凹凸差が
0.5 mm以下を○、0.5 mm超1mm以下を△、1mmを超える
ものを×とした。
【0018】さらに、材料を100 mm×100 mmに切断し、
それぞれの端面より30mm×30mmの位置に直径が2.5 mmの
釘を直接打ち、クラックが全く発生しないものを○、半
数以上クラックが発生しないものを△、それ以外を×と
評価した。
【0019】図1に生強度、図2に表面肌、図3に釘打
性に及ぼす吸水性ポリマー混合量の影響をそれぞれグラ
フで示す。なお、吸水性ポリマーの重量部は吸水前のポ
リマー粒子の重量に基づく。以下、本明細書において同
じ。
【0020】これらの結果から、吸水性ポリマーを増や
すほど釘打性が良好となっていくが、生強度は逆に低下
し、また表面肌も悪くなることが分かる。また、0.2 重
量部以下であれば生強度への影響はほとんどない。
【0021】吸水性ポリマーを軽量骨材として使用する
場合、混入量は通常 0.3〜0.6 重量部程度であり、この
範囲では生強度は高いが釘打性に劣る。釘打性の良好な
軽量セメント建材を得るには吸水性ポリマーを1重量部
以上混入することが必要となり、生強度が低下する。結
局、吸水性ポリマーだけでは生強度および釘打性の両方
を満足する領域は存在しない。
【0022】(1) 高発泡倍率、小粒径の熱可塑性樹脂発
泡体を用いる場合 第二予備試験として、上述の吸水性ポリマーに代えて、
ポリ塩化ビニリデンカプセル (原粒径0.01〜0.03mm) 発
泡品を混入した場合の混入量と生強度、表面肌および釘
打性との関係を求め、結果をそれぞれ図4、図5および
図6に示す。また、得られた材料の比重と釘打性との関
係を図7に示す。評価基準は図1〜図3の場合を通じて
同じであった。なお、ポリ塩化ビニリデンカプセルは30
倍発泡品(粒径0.03〜0.09mm) と100 倍発泡品 (粒径0.0
5〜0.14mm) を用いた。配合および製造条件は吸水性ポ
リマーの場合と同様であった。図中、「○」は発泡率10
0倍の場合を、「△」は発泡率30倍の場合をそれぞれ示
す。
【0023】粒径が0.03〜0.09mmと非常に小さいため
に、30倍発泡のポリ塩化ビニリデンカプセルを使用した
場合、釘打性が悪くなり、釘打性を良好にするには、混
入量をかなり多くすることが必要となりコスト的に不利
である。一方、同じ細粒であっても、100 倍発泡のポリ
塩化ビニリデンカプセルを使用すれば、30倍発泡品と比
較して、同一の釘打性を得るための混入量は約1/4 とな
り、十分実用性が期待される。
【0024】また、ほぼ同一の釘打性となるときの比重
は100 倍発泡の方が大きいことが判明した。これは、釘
打性には気孔の大きさが影響しており、特に粒径0.05mm
以上では釘打性がより効果が高いことを示している。
【0025】従って、発泡後の粒径が小さい発泡体を使
用する場合は、高発泡品の方が釘打性でもまた経済性の
点でも優れている。しかし、釘打性にすぐれた軽量セメ
ント建材を得るには、高発泡品を用いても 0.5重量部よ
り多量に必要であり、コスト的に不利である。
【0026】そこで、前述の吸水性ポリマーを0.5 重量
部混入し、さらに100 倍発泡のポリ塩化ビニリデンカプ
セルの混入量を変化させ、同様の評価を実施したとこ
ろ、図8〜図10の結果を得た。
【0027】すなわち、これらの結果によれば予想外に
も、0.5 重量部以下と少量の発泡品の併用で、吸水性ポ
リマーあるいは発泡ポリ塩化ビニリデンカプセルの単独
使用では得られなかったところの生強度、釘打性とも良
好で、経済性にも優れたセメント材が得られることが判
明した。
【0028】さらに、相乗的効果として、吸水性ポリマ
ーおよび発泡ポリ塩化ビニリデンによる気孔径が安定し
て形成されていることが判明した。これは、吸水性ポリ
マーあるいは発泡ポリ塩化ビニリデンの単独使用の場
合、固い粉体により成形時に損傷を受けるが、併用によ
り、それぞれが互いの緩衝材となり、損傷が減少したと
考えられる。
【0029】そこで、原粒径と発泡倍率を種々変化させ
た発泡ポリ塩化ビニリデンカプセルと吸水性ポリマーの
それぞれの混入量を変えて性能を調査した結果、水硬性
バインダと骨材とからなる無機質窯業系粉体100 重量部
に対して、吸水性ポリマー0.2 〜1.0 重量部と、発泡倍
率が50〜200 倍で発泡後の粒径が0.05〜0.2 mmの熱可塑
性樹脂発泡体0.1 〜0.5 重量部とを混和材とともに配合
することにより、軽量化と共に釘打性および生強度の優
れた軽量セメント建材を経済的に有利に得られることが
判明した。
【0030】本発明において使用する吸水性ポリマー粒
子は、吸水状態でも粒状を維持するものであれば特に制
限はないが、pHが12〜13の強アルカリ下でも吸水倍率が
20倍(重量) 以上であるのが好ましい。吸水倍率を好ま
しくは20倍以上とするのは、これ未満では軽量化の効果
が小さくなるためである。使用しうる吸水性ポリマーと
しては、アクリル酸ビニルアルコール共重合体の化学組
成を有する住友化学製スミカゲル (商品名) が好適であ
る。
【0031】この吸水性ポリマーの混入量は無機質窯業
系粉体100 重量部に対して、0.2 〜1.0 重量部とするの
は、0.2 重量部未満では軽量化効果が小さく、また1.0
重量部を越えるとセメント硬化反応を阻害するからであ
る。好ましくは、0.3 〜0.6重量部である。上記吸水性
ポリマー粒子の粒径は特に制限されないが、一般には0.
1 〜0.5 mm程度であれば良い。
【0032】熱可塑性樹脂発泡体としては、発泡倍率が
50〜200 倍で発泡後の粒径が0.05〜0.2 mmのものであれ
ば特に制限されないが、0.05〜0.2 mmの小粒径が製造で
きるポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂等が好まし
い。
【0033】発泡倍率が50倍未満では不経済であると同
時に、釘打に有効な0.05mm以上の気孔形成が不十分とな
る。また、200 倍を越えると、発泡体の膜厚が薄くなり
成形時に破壊され易く、気孔形成が十分に達成できな
い。好ましくは、発泡倍率は、70〜100 倍である。
【0034】発泡後の粒径は0.05〜0.2 mmである。この
場合粒径とは平均粒径を意味し、平均粒径がこの範囲内
外では釘打性および経済性の点で不十分である。熱可塑
性樹脂発泡体の混入量は0.1 〜0.5 重量部である。0.1
重量部未満では軽量化および釘打性の効果が小さく、0.
5 重量部超では強度低下を生じる。好ましくは、0.2 〜
0.4 重量部である。
【0035】(2) 低発泡倍率、大粒径の熱可塑性樹脂発
泡体を用いる場合 第三予備試験として、前述の第一予備試験における吸水
性ポリマーに代えて、発泡ポリスチレンビーズ (原粒径
0.3〜0.5 mm) を混入し、そのときの混入量と生強度、
表面肌、釘打性との関係をそれぞれ求め、その結果を図
11、図12および図13に示す。評価基準は図1〜図3の場
合に同じであった。なお、発泡ポリスチレンビーズは50
倍発泡品 (粒径 1.1〜1.8mm)と20倍発泡品 (粒径 0.8〜
1.4 mm)を用いた。配合および製造条件は吸水性ポリマ
ーを用いた第一予備試験の場合と同様であった。図中、
「○」は50倍発泡品を、「△」は20倍発泡品をそれぞれ
示す。
【0036】50倍発泡のポリスチレンビーズを使用する
と、ビーズの粒径が最大1.8 mmと大きいため、添加量を
増加させると表面肌が低下し、0.2 重量部を越えると、
△〜×の評価となった。また、釘打性は0.6 重量部以下
の添加量で評価が△〜×となった。したがって、両性能
とも○の評価となる範囲は存在しない。また20倍発泡の
ポリスチレンビーズを使用した場合も、同様に、表面肌
と釘打性を両立する添加量の範囲が存在しないことがわ
かる。
【0037】さらに、発泡ポリスチレンビーズを添加し
た場合、吸水性ポリマー添加では認められなかった脱水
現象が認められた。これは、原料中の混練水が押出時の
圧力により固形分と分離してしみ出したものである。
【0038】この対策としては、通常、保水性のある原
料、例えばメチルセルロースあるいはエチルセルロース
等の増粘剤を増やすことが行われるが、この増粘剤が高
価であることから、経済性が悪い。
【0039】一方、吸水性ポリマー添加の場合に脱水現
象が認められなかった理由は、原料中に添加した水は一
部が吸水性ポリマーに吸水されており、原料中で自由に
移動できる自由水が少ないことと、原料中からしみ出し
た水が吸水性ポリマーに吸水され、分離しにくくなるこ
とが考えられる。
【0040】以上の知見をまとめると、以下のようにな
る。 発泡ポリスチレンビーズは、20倍発泡品 (粒径 0.8〜
1.4 mm) であれば、1重量部以下の添加で、50倍発泡品
(粒径 1.1〜1.8 mm) であれば、0.2 重量部以下の添加
で表面肌は良好であるが、それぞれ釘打性が悪い。 発泡ポリマースチレンビーズのみでは押出時の圧力に
より、脱水現象が起こり、表面肌を悪化させる。
【0041】次に、吸水性ポリマーと発泡ポリスチレン
ビーズとの併用について試みた。すなわち、吸水性ポリ
マーは単独添加では生強度低下をほとんど生じさせない
0.1 重量部とし、20倍発泡ポリスチレンビーズの混入量
を変化させ、同様の評価を行った。結果を図14〜図16に
示す。評価基準は図1〜図3の場合のそれに同じであっ
た。
【0042】これらの結果より、予想外にも、発泡体を
1.5 重量部以下使用することにより、吸水性ポリマーあ
るいは発泡ポリスチレンビーズの単独使用では得られな
かったところの生強度の低下がなく、表面肌、釘打性と
も評価が○となる条件が得られた。また、発泡ポリスチ
レンビーズの単独使用のときに認められた脱水現象もな
いことが判明した。
【0043】そこで、原粒径と発泡倍率を種々変化させ
た発泡ポリスチレンビーズと吸水性ポリマーのそれぞれ
の混入量を変えて、成形体の性能を調査した結果、水硬
性バインダと骨材とからなる無機質窯業系粉体100 重量
部に対し、吸水性ポリマー粒子0.05〜0.2 重量部と、発
泡倍率が10〜50倍で発泡後の粒径が0.2 〜1.5 mmの熱可
塑性樹脂発泡体0.4 〜1.5 重量部とを混和材とともに配
合することにより、軽量化と共に釘打性および生強度の
すぐれた軽量セメント建材を経済的に有利に得られるこ
とが判明した。
【0044】本発明において使用する吸水性ポリマー粒
子は、前述の通りである。本発明の上記態様にあって、
この吸水性ポリマーの混入量は無機質窯業系粉体100 重
量部に対して、0.05〜0.2 重量部とするのは、0.2 重量
部を越えるとセメント硬化反応阻害の影響が現れるため
で、0.05重量部未満では、軽量化効果および成形時の圧
力による脱水防止効果が小さいからである。好ましく
は、0.1 〜0.15重量部である。
【0045】同じく、熱可塑性樹脂発泡体としては、ポ
リスチレン、ポリエチレン、アクリル等があるが、発泡
倍率が10〜50倍、好ましくは20〜40倍で、発泡後の粒径
は0.2 〜1.5 mmが良い。また混入量は0.4 〜1.5 重量部
である。
【0046】発泡倍率が10倍未満では軽量化効率が小さ
いため不経済となり、50倍を越えると粒径が1.5 mm以下
の発泡品を得るのが困難となる。粒径を0.2 〜1.5 mmと
したのは、0.2 mm未満の発泡熱可塑性樹脂を得ることが
困難であり、また1.5 mmを越えると成形体の表面の凹凸
が大きくなるからである。また、混入量が0.4 重量部未
満では軽量化効果が小さく、1.5 重量部を越えると表面
性状の悪化が顕著となる。好ましくは、0.6 〜1.0 重量
部である。
【0047】ここに、本発明によれば、高発泡倍率、小
粒径の熱可塑性樹脂発泡体を用いる場合にあっても、ま
た低発泡倍率、大粒径の熱可塑性樹脂発泡体を用いる場
合にあっても、さらに、無機質窯業系粉末および混和材
が配合される。
【0048】ここに、無機窯業系粉体は水硬性バインダ
と骨材とから構成され、その配合比は特に制限されない
が、一般には水硬性バインダを30〜50重量部、骨材を70
〜50重量部で全体を100 重量部として、それに対して上
述の吸水性ポリマーや熱可塑性樹脂発泡体を配合する。
【0049】水硬性バインダとしては早強ポルトランド
セメント、普通ポルトランドセメント、高炉セメント等
が一般的である。また、骨材は硅砂粉末、フライアッシ
ュ、珪そう土、シリカフューム等の微粉末骨材が一般的
であるが、その種類については限定されない。
【0050】その他、本発明にあっては1種もしくは複
数種の混和材を配合するが、混和材としては繊維および
増粘剤がある。かかる混和材は一般には無機窯業系粉体
100重量部に対し3〜10重量部配合すれば十分である
が、この範囲に限定されない。繊維としては、炭素繊
維、ポリプロピレン繊維、セルロース繊維等がある。増
粘剤としてはメチルセルロース、エチルセルロース等が
挙げられる。
【0051】このようにして配合した原料は適量の水と
混練した後に押出成形する。その際の押出圧力により、
吸水性ポリマーが一部粉化し脱水したり、高発泡倍率の
熱可塑性樹脂発泡体の一部がつぶれる等の現象が生じる
が、それぞれ単独使用に比較して、吸水性ポリマーおよ
び樹脂発泡体の損傷は大幅に低減することが気孔分布状
況から観察された。すなわち、ポリマー、樹脂発泡体と
も併用により、一層安定した空隙形成効果を発揮できる
のである。さらに、樹脂発泡体単独使用の場合に発生し
易い押出圧力による脱水現象も認められず、表面性状の
向上と成形性の向上が発揮される。
【0052】押出成形後に室温〜80℃の条件で蒸気養生
を行い、次いでオートクレーブ養生を行う。このときの
オートクレーブ養生は硬化反応に主眼をおくため、一般
に行われているように120 〜180 ℃で行えば良い。オー
トクレーブ養生後の軽量セメント建材では、吸水性ポリ
マーと熱可塑性樹脂発泡体の跡が独立気泡となる。本発
明の軽量セメント建材は、軽量化が実現され、釘打性お
よび経済性にすぐれ、実用上最も重要な早期強度の点で
もほぼ従来品と同等かそれ以上を示す。
【0053】
【実施例】次に、実施例によって本発明の作用効果をさ
らに具体的に説明する。 実施例1〜3 吸水性ポリマーとして、住友化学製スミカゲルS−100
(30重量倍吸水、粒径0.2 mm) を、熱可塑製樹脂発泡体
として、ポリ塩化ビニリデンを用い、さらに、水硬性バ
インダとして普通ポルトランドセメント、骨材として微
粉硅砂 (粒径約0.05mm) 、混和材としてメチルセルロー
スおよびセルロース繊維を用い、それぞれ表1に示す配
合割合とした。
【0054】これらに適量の水を加え、混合、混練後に
押出成形機で幅100 mmで厚み10mmの平板を成形した。こ
れを50℃×10H の蒸気養生をかけ、そのときの曲げ強度
をスパン100 mmの中央集中載荷の条件で求め、生強度と
した。生強度が30kg/cm2を超えれば○、15〜30kg/cm2
△、15kg/cm2未満を×として早期強度を評価した。
【0055】また、蒸気養生後に180 ℃×6H のオート
クレーブ養生を実施し、100 mm×100 mmの平板に切り出
した。このようにして得られた平板の両側面から30mm×
30mmの位置に直径2.5 mmの釘を打ち、クラッ
クの発生を観察した。全くクラックの発生しないものを
○、打ち込み箇所の半分以上にクラックの発生がないも
のを△、半分より多くクラックが発生したものを×とし
て釘打性を評価した。実施例1〜3はいずれも早期強
度、釘打性および表面肌とも良好であった。
【0056】しかし、比較例1はポリ塩化ビニリデンカ
プセルの混入量が少ないため、釘打性が△となった。比
較例2はポリ塩化ビニリデンカプセルが多いため、比重
低下を生じ生強度が低く、同時に表面肌があれた。比較
例3は発泡ポリ塩化ビニリデンカプセルの発泡倍率が高
すぎ発泡後粒径も大きいため、カプセルの膜厚が薄くこ
われやすくなり、押出材の流れも不安定で釘打性も△で
あった。比較例4は吸水性ポリマーの混入量が少ないた
め、比重が高く、釘打性が不良となった。比較例5は逆
に吸水性ポリマー混入量が多いため硬化遅延が生じ、生
強度が低く、表面肌も不良であった。
【0057】
【表1】
【0058】実施例4〜6 本例では、吸水性ポリマーとして、住友化学製スミカゲ
ルS−100(30重量倍吸水、粒径0.2 mm) を、熱可塑製樹
脂発泡体として、発泡ポリスチレンビーズを用い、さら
に、水硬性バインダとして普通ポルトランドセメント、
骨材として微粉硅砂 (粒径約0.05mm) 、混和材としてメ
チルセルロースおよびセルロース繊維を用い、それぞれ
表2に示す配合割合とした。
【0059】これらに適量の水を加え、混合、混練後に
押出成形機で幅100 mmで厚み10mmの平板を成形した。こ
れを50℃×10H の蒸気養生をかけ、そのときの曲げ強度
をスパン100 mmの中央集中載荷の条件で求め、生強度と
した。生強度が40kg/cm2を超えれば○、40〜20kg/cm2
△、20kg/cm2未満を×として早期強度を評価した。
【0060】また、蒸気養生後に180 ℃×6H のオート
クレーブ養生を実施し、100 mm×100 mmの平板に切り出
した。このようにして得られた平板の両側面から30mm×
30mmの位置に直径2.5 mmの釘を打ち、クラックの発生を
観察した。全くクラックの発生しないものを○、打ち込
み箇所の半分以上にクラックの発生がないものを△、半
分より多くクラックが発生したものを×として釘打性を
評価した。
【0061】実施例4〜6はいずれの性能も良好となっ
た。
【0062】比較例6は発泡ポリスチレンビーズが少な
いため、釘打性が×となった。比較例7は発泡ポリスチ
レンビーズが多過ぎたため、比重低下を生じ生強度が低
くなったと同時に表面肌が大幅に悪化した。比較例8は
発泡倍率が高いため、発泡ポリスチレンビーズの粒径が
大きくなり、表面肌が悪化した。
【0063】比較例9は吸水性ポリマー (スミカゲル)
の添加量が少ないため、釘打性が悪く、また成形時の脱
水現象が現れ、表面肌を悪化させた。比較例10はスミカ
ゲルの添加量が多いため、生強度の発現に悪影響が出
た。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明は、以上詳述したように構成され
ているからセメントの強アルカリ下でも20倍以上の吸水
能力をもち、かつ吸水状態で粒状を維持する吸水性ポリ
マーと発泡倍率が50〜200 倍で発泡後粒径が0.05〜2.0
mmの熱可塑性樹脂発泡体、あるいは発泡倍率が10〜50倍
で発泡後粒径が0.2 〜1.5 mmの熱可塑性樹脂発泡体を併
用することにより、釘打性と表面肌に優れ、かつ製造工
程の強度発現効率が良い建材が得られるという効果が奏
され、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸水性ポリマー混入量と成形体の生強度との関
係を示したグラフである。
【図2】吸水性ポリマー混入量と表面肌との関係を示す
グラフである。
【図3】吸水性ポリマー混入量と釘打性との関係を示す
グラフである。
【図4】発泡ポリ塩化ビニリデン混入量と成形体の生強
度との関係を示すグラフである。
【図5】発泡ポリ塩化ビニリデン混入量と成形体の表面
肌との関係を示すグラフである。
【図6】発泡ポリ塩化ビニリデン混入量と成形体の釘打
性との関係を示すグラフである。
【図7】絶乾比重と釘打性との関係を示すグラフであ
る。
【図8】吸水性ポリマーを0.5 重量部混入した配合系
で、発泡ポリ塩化ビニリデン混入量と成形体の生強度と
の関係を示すグラフである。
【図9】吸水性ポリマーを0.5 重量部混入した配合系
で、発泡ポリ塩化ビニリデン混入量と成形体の表面肌と
の関係を示すグラフである。
【図10】吸水性ポリマーを0.5 重量部混入した配合系
で、発泡ポリ塩化ビニリデン混入量と成形体の釘打性と
の関係を示すグラフである。
【図11】発泡ポリスチレンビーズ混入量と成形体の生強
度との関係を示すグラフである。
【図12】発泡ポリスチレンビーズ混入量と成形体の表面
肌との関係を示すグラフである。
【図13】発泡ポリスチレンビーズ混入量と成形体の釘打
性との関係を示すグラフである。
【図14】吸水性ポリマーを0.1 重量部混入した配合系
で、発泡ポリスチレンビーズ混入量と成形体の生強度と
の関係を示すグラフである。
【図15】吸水性ポリマーを0.1 重量部混入した配合系
で、発泡ポリスチレンビーズ混入量と成形体の表面肌と
の関係を示すグラフである。
【図16】吸水性ポリマーを0.1 重量部混入した配合系
で、発泡ポリスチレンビーズ混入量と成形体の釘打性と
の関係を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 14:06 14:38 16:02 16:04 24:38) (72)発明者 水野 純一 名古屋市港区汐止町12番地 ニチハ株式 会社内 (56)参考文献 特開 昭62−167267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00 - 38/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性バインダと骨材とからなる無機質
    窯業系粉体100 重量部に対し、吸水性ポリマー粒子0.2
    〜1.0 重量部、発泡倍率が50〜200 倍で発泡後の粒径が
    0.05〜0.2 mmの熱可塑性樹脂発泡体0.1 〜0.5 重量部、
    および1種もしくは複数種の混和材とからなる、独立気
    泡を有するオートクレーブ養生軽量セメント建材。
  2. 【請求項2】 水硬性バインダと骨材とからなる無機質
    窯業系粉体100 重量部に対し、吸水性ポリマー粒子0.05
    〜0.2 重量部、発泡倍率が10〜50倍で発泡後の粒径が0.
    2 〜1.5 mmの熱可塑性樹脂発泡体0.4 〜1.5 重量部、お
    よび1種もしくは複数種の混和材とからなる、独立気泡
    を有するオートクレーブ養生軽量セメント建材。
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