JP3054905B2 - 柱と柱の接合構造 - Google Patents

柱と柱の接合構造

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JP3054905B2 JP5179478A JP17947893A JP3054905B2 JP 3054905 B2 JP3054905 B2 JP 3054905B2 JP 5179478 A JP5179478 A JP 5179478A JP 17947893 A JP17947893 A JP 17947893A JP 3054905 B2 JP3054905 B2 JP 3054905B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柱と柱の接合構造に関
するものであり、より詳しくは、角形鋼管柱や丸形鋼管
柱等のいわゆる端部が接合時に閉鎖型断面となる柱と柱
の接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、角形鋼管柱同士或いは丸型鋼管
柱同士の接合手段としては、現場溶接を行うか、又はボ
ルトでの接合方法が採用される。現場溶接では、各柱の
それぞれの接合端部に予めボルト孔を設けたガセットプ
レートを溶接しておき、これらのプレートを別のプレー
トを介して現場でボルトにより仮止めし、この状態で柱
の端部同士を溶接した後、前記ガセットプレートを切断
するものである。また、従来のボルト接合方法は、図7
に示す如く角形鋼管柱2の端部に接合プレート70を溶
接し、各接合プレート70を合わせ、接合プレート70
のボルト孔にボルト72を通し、ナット等で締結するも
のである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
柱と柱の接合構造では、現場での溶接を行うため、下準
備としてガセットプレートを溶接し、現場でボルトを締
めて、柱の溶接後にボルトを外し、そのガセットプレー
トを取り除くという大変な手間がかる。また、鋼管の端
部における接合部は比較的強度が弱く、変形し易いとい
う欠点がある。更に、現場溶接は品質管理が難しく、火
気使用等による安全面からも、現場溶接を行わないのが
時代の趨勢となっている。一方、ボルト接合の場合、接
合プレート70が柱2から突出し、その突出部分70A
は、その後の施工或いは意匠上の邪魔物となる。従っ
て、本発明は、現場溶接等が不要で、且つ柱外壁に意匠
上又は施工上の邪魔になるような突出物を生じず、その
接合部で変形等が生じない柱と柱の接合構造を提供する
ことを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、互いに接合す
るそれぞれの鋼管柱の端部に予め溶接接合され、且つ内
壁に接合用の突出し係合部、及び突き出し補強リブを有
した接合ピース同士をジョイントすることにより上記鋼
管柱同士を接合する柱と柱の接合構造であって、上記接
合ピース同士の接合時に上記係合部同士が組合わさり、
該組合わさる係合部同士を把持し、且つ上記接合ピース
内壁に向けて引き付けられたときに、上記係合部同士を
緊結し、該緊結により上記接合ピース同士を締結する締
結材、及び該締結材を接合ピース内壁に向けて引き付け
る引付手段を設け、該引き付け移動方向の締結材の両側
を上記補強リブに嵌合させたことを特徴とする柱と柱の
接合構造を提供することにより上記目的を達成したもの
である。
【0005】
【作用】接合ピースは予め鋼管柱に溶接接合されてお
り、下階にある鋼管柱の上端と上階にある鋼管柱の下端
を接合したとき、それぞれの接合ピース内部の接合用係
合部同士も組合わさる。また、接合ピース同士の接合に
よりその接合面に引付手段としての引付ボルト等の挿通
孔を容易に形成して、外側から引付手段により上記締結
材を接合ピース内壁に向けて引き付けることができる。
このため、接合鋼管柱の閉鎖型内部に収まている締結材
によって、接合ピースの接合用係合部同士をその把持部
で緊結することができる。この場合、接合ピースの変形
を防止するための補強リブ(ダイアフラムの強度向上
等。)が締結材に嵌合し、その接合部で強度が更に高め
られる。これにより、鋼管柱同士が確実に接合し、ま
た、鋼管柱の外部には、接合プレートの突出部分といっ
たものが生じず、意匠上及び施工上に問題が生じない。
【0006】
【実施例】以下、本発明に係る柱と柱の接合構造の実施
例を図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る
柱と柱の接合構造の接合ピース同士の接合状態を示す斜
視図であり、図2は、接合ピースの内壁面を示す断面
図、図3(a) 及び(b) は、接合ピースの内壁面図及び外
壁面図、図4(a) 及び(b) は締結材の側面図である。
【0007】図1に示す如く、本実施例に係る柱と柱の
接合構造10は、互いに接合するそれぞれの角型鋼管柱
2、2の端部に予め溶接接合され、且つ内壁に接合用の
突出し係合部3A、及び突き出し補強リブ3B、3B・
・(煽り止めバットレス)を有した接合ピース3、3同
士をジョイントすることにより角型鋼管柱2、2同士を
接合する柱と柱の接合構造10である。そして、接合ピ
ース3、3同士の接合時に係合部3A、3A同士が組合
わさり、該組合わさる係合部3A、3A同士を把持し、
且つ接合ピース3内壁に向けて引き付けられたときに、
係合部3A、3A同士を緊結し、この緊結により接合ピ
ース3、3同士を締結する締結材5(又はコッター)、
及び締結材5を接合ピース3内壁に向けて引き付ける引
付ボルト7を設け、該引き付け移動方向の締結材5の両
側を補強リブ3B、3Bに嵌合させるものである。
【0008】本実施例の柱と柱の接合構造10を更に説
明すると、図1及び図2に示す如く、上階の角形鋼管柱
2の下端、及び下階の角形鋼管柱2の上端に各接合ピー
ス3が予め工場内等で溶接される。接合ピース3は角形
鋼管柱2の径に合わせて角形筒に鋳鋼又は鍛鋼で成形さ
れ、内壁に突き出し係合部3A、及び補強リブ3B、3
B、・・が形成される。接合ピース3、3同士の接合面
3aには接合ピース3、3同士が組合わさって、引付ボ
ルト7の挿通孔8を形成する凹部8Aがそれぞれに形成
される。一方、図3に示す如く、接合面3aと成らない
係合部3Aの反対面はテーパ面3bに形成される。更
に、接合面3aの所定の位置には、接合ピース3同士の
ずれを防止し、且つ位置決めを容易にする凹凸部11が
形成される。図3(b) に示す如く、接合ピース3の外壁
の凹部8Aが形成され部分は、切欠部12になってお
り、引付ボルト7のナットが位置するようになってい
る。
【0009】図4(a) 及び(b) に示す如く、締結材5
は、側断面が略コの字形状に形成され、その凹部6で、
接合ピース3の互いに合わさった係合部3A、3Aを把
持する。締結材5には引付ボルト7の取付孔13が形成
され、引付ボルト7は取付孔13に挿通した時にボルト
頭7Aで締結材5に係止される。凹部6は締結材5の略
中央部で形成されておらず、取付孔13を長くして強度
を強めるための取付孔の補強部5Aが代わりに形成され
る。この補強部5Aは接合ピース3の係合部3Aを一部
切り欠いた嵌合部14に嵌合する。また、締結材5自体
の両側は、接合ピース3に形成された補強リブ3B、3
B間に嵌合する。
【0010】このような柱と柱の接合構造10では、先
ず、締結材5が引付ボルト7よって接合ピース3の内壁
に引き付けられることにより、接合ピース3の係合部3
A、3A同士は、締結材5の把持凹部6に嵌合し、テー
パ面3bを介して互いに緊結される。また、接合ピース
3は、係合部3Aだけでなく補強リブ3Bによっても軸
方向及び径方向の変形が防止されており、締結材5が補
強リブ3Bに嵌合する。更に、締結材5の補強部5Aは
取付孔13の強度を高め、且つ接合ピース3の内壁で締
結材5がズレないように嵌合部14に嵌合する。このた
め、接合ピース3及び締結材5は一体となり、接合ピー
ス3、3同士が強固に接合され、この結果、角型鋼管柱
2、2同士が強力に接合する。また、接合ピース3の外
壁ではナット9が切欠部12に位置し、ナット9は引付
ボルト7と螺合し、外部より引付ボルト7を引き付けて
いる。このため、ナット9及び引付ボルト7は接合ピー
ス3の外壁から余り突出せず、意匠上及び施工上の問題
にもならない。
【0011】従って、このような構成において、角形鋼
管柱2の外部にある引付ボルト7の螺合部7Bにナット
9を螺合し、引付ボルト7を引付けることにより締結材
5の緊結が可能となり、角形鋼管柱2同士の端部が接合
時に閉鎖型断面となり、柱と柱の接合が現場溶接を必要
とせずに確実にできる。
【0012】上記実施例では、締結材5と引付ボルト7
を別体としたが、これを必要により一体形成してもよ
い。また、ナット9の収める位置を切欠部12とした
が、ナット9の収まりが良好であれば、凹部その他の形
状であっもよい。更に、上記実施例では、角形鋼管柱に
ついて説明したが、これに限るものではなく、鋼管柱で
ある限り、本実施例に適用することができ、例えば、丸
型の鋼管柱或いは多角形の鋼管柱でもよい。
【0013】次に、本実施例の別の実施例を図5及び図
6にしたがって説明する。図5及び図6は、別の実施例
に係る柱と柱の接合構造の縦断面図、及び接合ピース同
士の接合状態を示す斜視図である。本実施例に係る柱と
柱の接合構造20は、図1に示す実施例とほぼ同様に構
成されており、図1に示す実施例における部材と同様な
部材については図5及び図6において同一符号を付して
その詳しい説明を省略するが、図1の実施例と相違する
ところは、下階の角形鋼管柱2は梁接合用の角形筒部材
22及び接合ピース3を介して接合される。梁接合用角
形筒部材22の外側壁面には、H鋼梁23のエンドプレ
ート24が当接される。エンドプレート24には、外側
壁面のボルト孔25に対応する挿通孔26が形成されて
いる。
【0014】このような構成において、先ず、角形筒部
材22の上端に溶接した接合ピース3の開口を介してボ
ルト27を内側からそれぞれの挿通孔25、26に挿通
し、外側からナット28で梁23を取り付ける。次に、
上記開放口を上階の角形鋼管柱2及び接合ピース3と合
わせ、閉鎖型としたのち、上記実施例と同様に引付ボル
ト7のナット9を締結し、角形鋼管柱2との接合も完了
する。従って、このような構造では、梁23の固定及び
柱2との固定が全て外側から可能となる。
【0015】また、図5及び図6に示す如く、上記接合
ピース3と角形筒部材22又は角形鋼管柱2の溶接接合
に際しては裏当て環状材40が用いられる。接合ピース
3と裏当て環状材40との間には、図6に示す如く締結
材を仮保持する仮止め部材41が設けられ固定される。
仮止め部材41は矩形に形成された環状の線材からな
り、接合ピース3の内壁又は補強リブ3B面に一部当接
され、仮止め部材41は補強リブ3B、3B間に架橋さ
れた状態になっている。従って、上記接合ピース3、3
同士の接合の際に、締結材5は仮止め部材41に保持さ
れた状態になっており、その組合せが容易になる。尚、
上記仮止め部材41は、接合ピース3の内壁又は補強リ
ブ3B面に一部当接させたが、積極的に溶接固定しても
良い。
【0016】
【発明の効果】本発明に係る柱と柱の接合構造は、現場
溶接等が不要で、且つ柱外壁に意匠上又は施工上の邪魔
になるような突出物を生じず、その接合部で変形等が生
じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る柱と柱の接合構造の接合ピース
同士の接合状態を示す斜視図である。
【図2】接合ピースの内壁面を示す断面図である。
【図3】(a) 及び(b) は、接合ピースの内壁面図及び外
壁面図である。
【図4】(a) 及び(b) は締結材の側面図である。
【図5】本実施例に係る別の柱と柱の接合構造の縦断面
図である。
【図6】本実施例に係る別の柱と柱の接合構造の接合ピ
ース同士の接合状態を示す斜視図である。
【図7】従来の柱と柱の接合構造の斜視図である。
【符号の説明】
2 角形鋼管柱 3 接合ピース 3A 係合部 3B 補強リブ 5 締結材 6 凹部 7 引付ボルト 8 挿通孔 9 ナット 10、20 柱と柱の接合構造 13 取付孔 14 嵌合部 40 裏当て環状材 41 仮止め部材

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに接合するそれぞれの鋼管柱の端部
    に予め溶接接合され、且つ内壁に接合用の突出し係合
    部、及び突出し補強リブを有した接合ピース同士をジョ
    イントすることにより上記鋼管柱同士を接合する柱と柱
    の接合構造であって、 上記接合ピース同士の接合時に上記係合部同士が組合わ
    さり、該組合わさる係合部同士を把持し、且つ上記接合
    ピース内壁に向けて引き付けられたときに、上記係合部
    同士を緊結し、該緊結により上記接合ピース同士を締結
    する締結材、及び該締結材を接合ピース内壁に向けて引
    き付ける引付手段を設け、該引き付け移動方向の締結材
    の両側を上記補強リブに嵌合させたことを特徴とする柱
    と柱の接合構造。
  2. 【請求項2】 上記引付手段は、上記接合ピース同士の
    接合面により形成される挿通孔に挿通して一端が上記締
    結材の取付孔に取付けられ且つ他端の螺合部が上記接合
    ピースの外側に配せられる引付ボルトと、上記引付ボル
    トの螺合部に螺合するナットとからなり、 上記締結材の取付孔を長くして補強する補強部を形成す
    ると共に、上記接合ピースの係合部の一部を切り欠いて
    該補強部が嵌合する嵌合部を形成することを特徴とする
    請求項1記載の柱と柱の接合構造。
  3. 【請求項3】 上記接合ピースの外壁に、上記ナットが
    収まる切欠或いは凹部が形成されていることを特徴とす
    る請求項3記載の柱と柱の接合構造。
  4. 【請求項4】 上記鋼管柱同士の少なくとも一方は、梁
    が接合される梁接合用鋼管であることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載の柱と柱の接合構造。
  5. 【請求項5】 上記締結材を仮保持する仮止め部材を設
    けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の柱と柱の接合構造。
  6. 【請求項6】 上記仮止め部材は、上記接合ピースの内
    壁又は補強リブ面に当接され、且つ該補強リブ間に架橋
    される線材からなり、上記接合ピースと鋼管柱との溶接
    の際の裏当て金具と上記補強リブ面との間に固定される
    ことを特徴とする請求項5記載の柱と柱の接合構造。
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