JP3054061B2 - 複合多層フィルム - Google Patents
複合多層フィルムInfo
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Description
樹脂フィルムとヒートシール可能で、温水中で加熱殺菌
処理を行っても透明性を維持し、開封口を確保するだけ
の耐熱性を有し、流通過程における密封性に優れ、且つ
開封時には容易に剥離できることを目的とした食品包装
用複合多層フィルムに関するものである。
且つ開封時には容易に開封できる特性(以下イージーピ
ール性)を持った包装材料が広く使用されている。プラ
スチック包装材料を用いて、イージーピール性を得るた
めの方法は、大きく分けて次の三つの方法がある。第1
の方法は、相手側のシール層とヒートシールする層を予
めある程度薄くしておき、開封時にこの層を相手シール
層に剥離させることによって開封する方法である。次
に、第2の方法として、シール層を異樹脂からなる混合
物とし、相手側のシール層とのシール強度を適度に制御
する方法である。最後に、第3の方法として、シールす
べき材料を別々の樹脂とし、ヒートシールにより疑似的
に密着させて、開封時にその界面から開封する方法であ
る。しかし、第3の方法は密封性が十分得られない場合
が多かった。
で手軽に調理できる調理済み食品が広く普及し始めてい
る。これらの食品は、真空パックした包装物を温水中で
加熱殺菌或いは加熱調理した上で、販売される。これら
の食品は、小売店でのディスプレイ効果や消費者が予め
内容食品を確認できるように、加熱処理後のフィルムの
透明性は大変重要である。又包装材料が易開封性をもっ
ているにも拘わらず、開封口が温水に曝されたことによ
り融着していては、折角のイージーピール機能が無意味
なものとなってしまう。従って、開封口が融着しないだ
けの耐熱性も併せて必要である。又、食品包装の場合に
は、単にイージーピール性があるというだけでは不十分
であり、開封した時に剥離面に繊維状になったシール層
が残っている(以下ヒゲの現象という)と、商品価値を
落とすことになり良くない。更には、ハンバーグ等の食
品においては、中身やタレに油脂分が多く含まれている
が、この油脂分によってシール層が侵され、輸送途中等
に破袋するようであってはいけない。この意味で、シー
ル層材料には充分な耐油性も必要とされる。
合、内容物やそれに付随する各種の油脂分により薄くし
たシール層が侵されデラミネーションを生じ、シールの
信頼性に欠ける。又、相手シール層も単一樹脂に限定さ
れることが多く、汎用性にも欠ける。次に、第2の方法
の場合も、多くの場合混合系の配合が良くないと、加熱
処理の前段階から透明性が良くなかったり、温水加熱処
理時の水分や油分により、シール層が白濁するという欠
点があった。
殺菌処理を行う際に使用される食品包装フィルムにおけ
る易開封性シール層の問題点である透明性、耐油性及び
耐熱性の不足を同時に解決するために種々の検討の結果
なされたもので、その目的とするところは、ヒートシー
ルすべき相手材料として汎用のポリオレフィン系樹脂群
から幅広く選択出来、温水中での加熱殺菌処理後も優れ
たイージーピール性と透明性を保持し、且つ流通過程に
おける密封性を併せ持つシール層を与える複合多層フイ
ルムを提供することにある。
エチレン系アイオノマー樹脂100重量部に対し、融点
が170℃以上の結晶性ポリアミド樹脂5〜100重量
部及びポリプロピレン樹脂5〜130重量部からなる組
成物であることを特徴とする複合多層フィルムであり、
好ましくは結晶性ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイ
ロン66及びこれらの共重合体であり、エチレン系アイ
オノマー樹脂が、α、β不飽和カルボン酸含有量6〜1
5モル%、遷移金属陽イオンによる中和度が20〜10
0%のエチレン系アイオノマー樹脂であり、結晶性ポリ
アミド樹脂とポリプロピレン樹脂の部数の合計が200
重量部以下であり、シール層の厚みが、2〜200μm
であり、シール層を含めたフィルム全体の厚みが、10
〜1000μmであり、共押出し方式で製造される複合
多層フィルムである。
しては、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の一部が
金属陽イオンによって中和されたエチレン系アイオノマ
ー樹脂を用いることが好ましい。更に好ましくは、アイ
オノマーのベースとなる共重合体を構成する不飽和カル
ボン酸の酸含量としては6〜15モル%の範囲のもの
が、結晶性ポリアミド樹脂との相溶性の点で好ましく、
金属陽イオンとしては亜鉛、マンガン、コバルト等の遷
移金属陽イオン、中でも亜鉛が最も好ましく、中和度と
しては20%以上であることが、耐熱性の点で最も好ま
しい。
としては、170℃以上の融点を持つ結晶性ポリアミド
樹脂を用いることができる。このようなポリアミドとし
て、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン1
2、ナイロン46、MXD6ナイロン、及びこれらの共
重合体や混合体である。本発明における結晶性ポリアミ
ド樹脂は、混合のし易さという点から、25℃における
98%硫酸での比粘度が0.5〜10程度のものを用い
るのが適当である。耐熱性を効率良く改善するために
は、融点が200℃以上の結晶性ポリアミド樹脂を用い
るのが良く、ナイロン6、ナイロン66及びこれらの共
重合が特に好ましく用いられる。本発明におけるポリア
ミド樹脂の配合比率としては、エチレン系アイオノマー
樹脂100重量部に対し、ポリアミド樹脂が5重量部未
満では耐熱性改良の効果が希薄であり、逆に100重量
部より多いとアイオノマー本来の性質が失われ、相手材
のエチレン系シーラントとのシールが困難となるため、
5〜100重量部、好ましくは20〜80重量部の割合
で用いるのが好適である。
としては、ポリプロピレンのホモポリマー及びエチレン
・プロピレン共重合体が含まれる。プロピレンのホモポ
リマーは共重合体に比較し、やや透明性は落ちるが、逆
にイージーピール性を付与する効果は大きい。ポリプロ
ピレンとしてエチレン・プロピレン共重合体を採用する
場合はエチレン含量は少ない方がよく、1〜5重量%程
度が好ましい。エチレンの含量が多くなるとシールすべ
き相手のフィルムがアイオノマーの場合は比較的影響を
受けないが、ポリエチレンやエチレン酢酸ビニル共重合
体の場合イージーピール性を損なうことになる。ポリプ
ロピレンの230℃におけるMFRは0.1〜10g/
10分程度と低い方が好ましい。ポリプロピレンのMF
Rを高くすると、フィルムの透明性は向上するが、剥離
時のヒゲの現象が発生し易くなり、実用的ではない。本
発明におけるポリプロピレンの配合比率としては、使用
目的によっても異なるが、アイオノマー100重量部に
対し、ポリプロピレンが5重量部未満では易開封性の効
果があまり認められず、逆に130重量部より多いとア
イオノマー本来の性質が失われ、相手材のエチレン系シ
ーラントとのシールが困難となるため、5〜130重量
部、好ましくは15〜120重量部の割合が好適であ
る。
びポリプロピレン樹脂の配合量は注意して選ぶ必要があ
る。これは、ポリアミド及びポリプロピレンの両樹脂が
エチレン系シーラントに対してヒートシール性を有しな
いためでる。この点から、これらの樹脂を合わせた配合
割合が、エチレン系アイオノマー樹脂100重量部に対
し、200重量部を超えないことが好ましい。本発明に
よるシール層にはフィルムのブロッキング防止を目的と
して、粒子径0.1〜2.0μmの酸化珪素、珪酸マグ
ネシウム、あるいは珪酸アルミニウムから選ばれる無機
充填剤を、本熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して
0.1〜5.0重量部添加しても良い。包装する食品の
種類及び形態により求められるシール強度は変わってく
るので、流通過程における密閉性と開封時のイージーピ
ール性のバランスを考え、シール強度を調整する必要が
あるが、本発明で示した範囲内であれば、各成分のMF
R及び構成比率を調整することにより、目的を達成する
ことができる。
ピール可能なシール層を有する複合多層フィルムとして
は、従来加熱処理を行う場合の食品包装に用いられてき
た層構成を採用する事ができる。例えば、最外層(A)
としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィ
ン系樹脂、或いは6ナイロン、12ナイロン、66ナイ
ロン又はこれらの共重合体等のポリアミド樹脂、中間層
としてエチレン・ビニルアルコール共重合体やポリ塩化
ビニリデン等のガスバリアー層(B)、耐ピンホール性
付与層(C)としてポリアミド樹脂樹脂、及び本発明に
よるシール層(D)を、必要に応じて接着性樹脂層
(E)を設けて積層させて使用することができる。具体
的な層構成としては例えば、A/E/C/E/D、A/
E/C/B/E/D、A/E/B/C/E/D、A/E
/B/E/D、A/E/C/B/C/E/D、A/E/
B/C/B/E/D、又は最外層からエチレン・ビニル
アルコール共重合体層(ガスバリアー性付与層)、接着
性樹脂層、ポリアミド樹脂層、接着層及び本発明による
シール層からなる5層共押出しフィルム等の外層に、反
りの防止や印刷の目的でポリプロピレンをドライラミネ
ートした複合多層フィルム等々を採用し、実用に供する
事ができる。
ムに適する相手方のシール層の樹脂としては低密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、エチレ
ンメタクリル酸メチル共重合体、エチレン系アイオノマ
ー、エチレンプロピレン共重合体等が使用される。勿論
本シール層同志をシールして使用しても構わない。最後
に、本シール層を有する複合多層フィルムの製造方法と
しては、上述の様に複雑な多層構成を必要とすることに
よる生産性や深絞り成形性等の観点から、共押出し法に
よるのが望ましい。
用い常法により複合多層フィルムを作成した。各層の構
成は最外層に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
30μm、以下順次接着性樹脂(AD層)15μm、
ポリアミド樹脂(6Ny)15μm、エチレン・ビニル
アルコール共重合体(EVOH)15μm、接着性樹脂
(AD層)15μm、及び本発明によるシール層60
μm或いは本発明によらないシール層60μmを配し
た。得られたフィルムの総厚みは150μmである。シ
ール層に配合した熱可塑性樹脂は次の通りである。エチ
レン系アイオノマーとしては、メタクリル酸含量が10
モル%で、亜鉛イオンによる中和度が40%のもの(I
ON)を用い、結晶性ポリアミド樹脂としては比粘度
1.2のナイロン6(DSC法による融点220℃)、
ポリプロピレン樹脂としてはエチレン含量3重量%で、
230℃におけるMFRが1.2g/10分のもの(P
P)を用いた。
通りである。 ・LLDPE:三井石油化学工業(株)製 ウルトゼックス 3520L ・AD層 :三井石油化学工業(株)製 アドマー NF500 ・6Ny :宇部興産(株)製 宇部ナイロン 1030B ・EVOH :(株)クラレ製 エバール EP-E154B ・AD層 :三井石油化学工業(株)製 アドマー NF550
り圧空成形し、内容物としてハンバーグを充填し、外層
からポリプロピレン、ビニリデンコートポリエステル及
びシール層として直鎖状低密度ポリエチレンの3層で合
計80μmの蓋材で真空シールを行った。この際、包装
体の1つのコーナー部分を意図的にシールしないで、開
封口に相当する場所を作成した。更にこの包装体を沸騰
水中で30分間加熱処理した。こうして得られたサンプ
ルについて、透明性、耐熱性、耐油性及びシール性につ
いて調べた。尚、透明性等のこれらの特性は、次に記載
する方法で調べた。 (イ)透明性:サンプルから内容物を取り出し、台所用
中性洗剤とぬるま湯で洗浄した成形フィルムについて、
ヘイズを測定した。 (ロ)耐熱性:サンプルの隅に意図的に作成した未シー
ル部が、加熱殺菌処理により融着していないかどうかを
調べた。 (ハ)耐油性:得られたサンプルを各々20個ずつ段ボ
ールケースに入れ、1mの高さからコンクリート上に段
ボールケースの6面についてそれぞれ5回落下させて、
段ボールケースを開封し破袋しているものの個数を調べ
た。 (ニ)シール強度:オートグラフを用い、テストピース
幅15mm、剥離速度200mm/分で行った。
表中実施例1〜5は本発明による4元熱可塑性樹脂組成
物をシール層としたものであり、透明性、耐熱性、耐油
性及びイージーピール性の何れにも優れており、大変バ
ランスがとれている事を示している。比較例1、2はボ
イル処理後の透明性が悪く、耐熱性も十分ではない。比
較例3はシール強度が強すぎ、開封が困難である。比較
例4はポリプロピレンの添加量が多すぎるため、シール
強度も弱いため破袋が発生している。比較例5はポリア
ミドの添加量が多すぎるため、透明性が悪くなり、シー
ル強度も十分でないため破袋が発生している。
15mm未満である。 × シール強度が100gf/15mm未満又は500gf/15mm以
上である。
ィルムを用いると、真空包装後加熱殺菌処理を行う包装
体においても、イージーピール性や透明性を損なうこと
無く、従来の欠陥である耐熱性や耐油性を補えるため、
定形のもののみならず、不定形で塊状の内容物を深絞り
や袋で真空包装を行う用途において好適に使用できる。
Claims (7)
- 【請求項1】 シール層が、エチレン系アイオノマー樹
脂100重量部に対し、融点が170℃以上の結晶性ポ
リアミド樹脂5〜100重量部、及びポリプロピレン樹
脂5〜130重量部からなる組成物であることを特徴と
する複合多層フィルム。 - 【請求項2】 結晶性ポリアミド樹脂が、ナイロン6、
ナイロン66及びこれらの共重合体である請求項1記載
の複合多層フィルム。 - 【請求項3】 エチレン系アイオノマー樹脂が、α、β
不飽和カルボン酸含有量6〜15モル%、遷移金属陽イ
オンによる中和度が20〜100%のエチレン系アイオ
ノマー樹脂である請求項1又は2記載の複合多層フィル
ム。 - 【請求項4】 結晶性ポリアミド樹脂とポリプロピレン
樹脂の部数の合計が200重量部以下である請求項1、
2又は3記載の複合多層フィルム。 - 【請求項5】 シール層の厚みが、2〜200μmであ
る請求項1、2、3又は4記載の複合多層フィルム。 - 【請求項6】 シール層を含めたフィルム全体の厚み
が、10〜1000μmである請求項1、2、3、4又
は5記載の複合多層フィルム。 - 【請求項7】 共押出し方式で製造される請求項1、
2、3、4、5又は6記載の複合多層フィルム。
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JP7141454A JP3054061B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 複合多層フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP7141454A JP3054061B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 複合多層フィルム |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08332700A JPH08332700A (ja) | 1996-12-17 |
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JP7141454A Expired - Fee Related JP3054061B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 複合多層フィルム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101662836B1 (ko) * | 2014-12-23 | 2016-10-05 | 연세대학교 산학협력단 | 종이 부착장치 및 이를 운용하는 방법 |
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---|---|---|---|---|
JP2000296587A (ja) * | 1999-02-12 | 2000-10-24 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 積層体及び密封容器 |
-
1995
- 1995-06-08 JP JP7141454A patent/JP3054061B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR101662836B1 (ko) * | 2014-12-23 | 2016-10-05 | 연세대학교 산학협력단 | 종이 부착장치 및 이를 운용하는 방법 |
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