JP3053325B2 - 腐食電位のシミュレーション方法および原子炉プラントの運転監視装置 - Google Patents

腐食電位のシミュレーション方法および原子炉プラントの運転監視装置

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JP3053325B2 JP5320517A JP32051793A JP3053325B2 JP 3053325 B2 JP3053325 B2 JP 3053325B2 JP 5320517 A JP5320517 A JP 5320517A JP 32051793 A JP32051793 A JP 32051793A JP 3053325 B2 JP3053325 B2 JP 3053325B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力プラント等にお
ける腐食環境を示すパラメ−タの一つである腐食電位
を、理論的な計算を利用して検出するとともに、この結
果を用いて、プラントの水質改善効果を検討することの
できる、プラント運転監視システムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】原子力プラントにおいては、冷却水中
に、該冷却水の放射線分解生成物である、酸素、過酸化
水素等が存在する。この酸素、過酸化水素等が構成する
酸化還元系は、酸化還元電位が高い。一方、ステンレス
等の金属構造材、水の放射線分解生成物である水素は、
電位が低い。そのため、ステンレス等の金属構造材が腐
食されるという問題がある(注:一般に、腐食電位が高
くなるほど、金属は強い酸化環境に置かれていることに
なる)。そのため、現在では、水素注入を行うことによ
って、該腐食、応力腐食割れ等による炉内構造材の損傷
を抑制している。なお、水素注入とは、原子炉内冷却水
中に水素を注入し、該水素と原子炉冷却水中の酸化剤
(酸素、過酸化水素、中間体ラジカル等)とを反応させ
ることによって、これら酸化剤の濃度を減少させ、炉内
腐食環境を緩和させる技術である。
【0003】ところで、このような腐食の進み具合は、
腐食電位と密接な関係がある。例えば、腐食電位が、標
準水素電極基準で約−200mV前後に応力腐食割れの
敷居値がある。従って、水素注入条件を決定するために
は、腐食電位の実測が不可欠である。
【0004】しかし、現在のプラントでは、腐食電位セ
ンサを装着可能な個所は限られており、監視対象部分の
すべてについて腐食電位を実測することは不可能であ
る。そのため、腐食電位を理論的にシミュレーションす
ることが必要となってくる。
【0005】また、水素注入等による水質改善の効果を
予測・評価するためには、腐食電位を、冷却水の実際の
化学成分等と対応づけて解析することも必要である。そ
のためにも、腐食電位を理論的にシミュレ−ションする
技術が必要になる。
【0006】このような電位のシミュレーション自体
は、従来から行われている。
【0007】例えば、特開平5−100087号には、
原子力プラント系での腐食電位計算のための論理フロ−
チャート、基本的な電子移動反応速度論に基づく単一電
子移動反応の基本速度式が示されている(以下”従来技
術A”という)。
【0008】また、コロ−ジョン、48、3(199
2):ペ−ジ194から205(Corrosion,
48,3(1992):pp194−205)には、腐
食電位を計算で推測する方法について記載されている。
また、原子力プラント系の腐食環境緩和の効果が議論さ
れている(以下、”従来技術B”という)。
【0009】コロ−ジョン、48、1(1992):ペ
−ジ16から28(Corrosion,48,1(1
992):pp16−28)においても同様に、腐食電
位についての議論がある(以下、従来技術Cという)。
【0010】コロ−ジョン、49、1(1993):ペ
−ジ8から16(Corrosion,49,1(19
93):pp8−16)には、原子力プラント系の水質
環境下での腐食電位の議論がなされ、電位の計算結果に
ついても紹介されている(以下、従来技術Dという)。
【0011】なお、電気化学的な混成電位論で示される
腐食電位は、基本的には、方程式ia−ic=0を解
き、ia=icとなる電位を求めることによって得られ
る。ここで、icは、電子を奪う反応系の反応速度、i
aは電子を放出する側(腐食される側)の反応速度であ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】電気化学的混成電位論
によれば、腐食電位とは、金属の腐食反応を構成するあ
る酸化還元系において、電子放出の酸化反応と、電子獲
得の還元反応と、のそれぞれの反応速度が等しくなって
いる状態(動的平衡状態)における、混成電位であると
解釈される(注:電位の低い側に金属が関係する場合、
これらの系の混成電位を、通常、”腐食電位”と呼
ぶ。)混成電位とは、酸化還元電位(平衡電位)の高い
酸化還元反応が、酸化還元電位の低い酸化還元反応系か
ら電子を奪う速度と、酸化還元電位の低い酸化還元反応
系が電子を出す速度と、によって決定されるものであ
る。
【0013】単独な系それぞれについての酸化還元反応
の平衡電位は、ネルンスト式で代表される熱力学的な取
扱によって、理論的に求めることができる。しかし、2
つ以上の酸化還元系が混在した系においては、ネルンス
トの式を単純に適用するだけでは、もはや、系の平衡電
位は求められない。
【0014】酸化還元反応の反応速度は、全反応式だけ
で判るものでは無く、それぞれの反応の素反応プロセス
の律速段階までの情報があって、はじめて、反応速度を
決めることができる。従って、現実の腐食反応の腐食電
位をシミュレ−ションするためには、腐食反応に関与す
る電子移動反応の速度を、数式で、正確に表現すること
が重要になる。また、実際の反応の律速過程等、反応速
度を決定する素過程の理論的な速度論的取扱いが、欠か
せないものである。
【0015】しかし、上記従来技術で述べられている腐
食電位の計算の論理フロ−チャート、計算内容は、いず
れも単一の電子移動反応に関する電子移動反応速度式を
用いたものであった。例えば、上記従来技術Bの中で扱
われた計算は電子移動反応速度理論に立脚した扱いには
なっておらず、あくまでも経験的な取扱いである。即ち
多電子移動反応であるにもかかわらず、単一反応での反
応速度式の取扱いがなされており、反応機構に立脚した
シミュレ−ションが必要である腐食電位計算には、理論
的に問題が残されたままになっていた。また、従来技術
Cでは、電子移動反応速度理論的な取扱いによる、腐食
電位シミュレ−ションについてなんら記載されていな
い。
【0016】つまり、上記従来技術では、酸素、過酸化
水素、水素等の電子移動反応速度を求める際の取扱い
が、電子移動反応機構に立脚した取扱になっているとは
言い難かった。以下、この点についてさらに詳細に述べ
る。
【0017】酸素の還元反応の全反応は、化1で示され
る。
【0018】
【化1】
【0019】この4電子反応は、1段で進行するのは困
難であるため、その電子移動反応機構は、化2に示され
るように、中間体として、過酸化水素を経由した、連続
的なものである。
【0020】
【化2】
【0021】化2において、中間体として、生成した過
酸化水素の一部は、下記化3の反応によって、溶液内、
または、材料表面で分解し酸素に戻る。
【0022】
【化3】
【0023】この分解で生成した酸素は、再び構造材か
ら電子を奪い、化2によって、水まで還元される。
【0024】これらの反応は、独立に取り扱えるもので
はなく、それぞれの反応プロセスは、互いに密接に関係
しあっている。
【0025】にもかかわらず、従来技術は、酸素、過酸
化水素等の電子移動反応の速度が、互いの反応速度に影
響しないとの仮定のもとでの取扱を行っていた。つま
り、上記化2を、下記化4、化5の各ステップに分割
し、酸素、過酸化水素それぞれの濃度に対応する電子移
動反応速度を求めていた。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】化4、化5に含まれる、過酸化水素には区
別が無く、化4、化5の過酸化水素は両反応に平等に作
用すると考えられる。化4、化5は互いに独立ではあり
えず、酸素の還元反応は、化2のごとく、連続した電子
移動反応機構として取り扱う必要がある。すなわち、中
間体に過酸化水素を含む化2は、正逆両方向の複雑な電
子移動反応機構から成立ち、中間体である過酸化水素の
一部は、分解し酸素となって、再び、化2で反応に関与
する。さらに、過酸化水素の分解により生成する酸素の
濃度は、化2の各電子移動反応ステップの正逆両方向の
反応速度により影響を受ける。このことからも、酸素、
過酸化水素の電子移動反応を独立に取り扱うことは不可
能である。
【0029】このように、従来行われてきた電位シミュ
レ−ションでは、素反応レベルでの解析に基づく電子移
動反応速度式や、電子移動反応の律速段階等の情報が、
用いられていなかった。少なくとも、現実の現象とは異
なるモデルで検討されてきた。また、経験式について
も、その場のその条件でのみ実験結果を説明するための
一手段にすぎない。広く一般に認められた、パラメ−タ
での取扱いがなされていない以上、異なる環境条件に対
しては、全く適用できない場合が多い。
【0030】原子力プラントでは、酸素、過酸化水素、
水素、ステンレス等の金属構造材、等を含んだ、複数種
類の電気化学反応系が混在している。このように複数種
類の電気化学反応系が混在した反応系全体の、正味の電
子移動反応速度を、素反応モデルから解析し、計算で求
めた例は今日までない。
【0031】本発明は、電気化学的な混成電位論、電子
移動反応速度理論を基に、構造材等の腐食速度と密接に
関係する腐食電位を、理論的に求める方法を提供するこ
とを目的とする。特に、腐食反応の素反応解析を、多段
の電子移動反応レベルで行うことによって、腐食電位を
理論的により高精度で取扱う技術を一般化し、提供する
ことを目的とする。
【0032】本発明は、実際の原子力プラントを中心に
した、プラント構造材の腐食電位を理論的にシミュレ−
ションすることによって、プラント構造材の予防保全、
水質管理を助けるプラントの運転監視装置を提供するこ
とを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記問題解決するために
は、シミュレ−ションの基礎となる、素反応解析レベル
での速度理論を議論することが必要である。そして、そ
のためには、反応モデルを提案して行くことが必要であ
る。本発明は、このような観点をも含めてなされたもの
である。
【0034】本発明は、上記目的を達成するためになさ
れたもので、その第1の態様としては、プラントを監視
するプラント監視システムにおいて、上記プラントは、
プラント内に存在する1または2種類以上のある特定物
質の濃度を検出する検出装置を備え、上記プラント監視
システムは、上記プラント内において上記特定物質が関
与した少なくとも一段以上の電気化学反応を含む反応プ
ロセスモデルについての反応速度式に基づいて導きださ
れる計算式、および、上記プラントの構造材について生
じている反応の反応速度に関する情報を、記憶する記憶
装置と、上記記憶手段に格納されている、上記反応速度
式に基づいて導きだされる計算式、上記プラントの構造
材について生じている反応の反応速度に関する情報、お
よび、上記検出装置の検出した上記特定物質の濃度を用
いて、上記構造材の電位を計算する演算制御装置と、上
記演算制御装置の求めた上記構造材の電位を出力する出
力装置と、を有することを特徴とするプラント監視シス
テムが提供される。
【0035】この場合、上記演算制御装置は、上記構造
材の電位を計算する際に用いた、上記特定物質の濃度を
もとに、上記プラント内におけるある特定の環境要因の
状態を示す環境指数を求める機能をさらに有し、上記出
力装置は、さらに、上記環境指数を出力するものであっ
てもよい。さらには、上記出力装置は、上記演算制御手
段が求めた構造材の電位と、上記環境指数との対応関係
を示す出力態様で、上記構造材の電位および上記環境指
数を出力するものであることが好ましい。上記出力装置
は、構造材の電位と、上記環境指数とを軸とするグラフ
としてして、上記出力を行うものであってもよい。
【0036】上記プラントは、上記環境指数に影響を与
えうるある特定操作を行う操作装置を備え、上記出力装
置は、上記特定操作の操作量と上記演算制御装置の求め
た上記構造材の電位との対応関係を示す出力態様で、上
記操作量および上記演算制御装置の求めた上記構造材の
電位を出力するものであってもよい。
【0037】上記プラントは、冷却水を用いて原子炉を
冷却している原子力プラントであり、かつ、該プラント
の状態を検出する検出手段を備え、上記検出手段は、上
記プラントの構造材の電位を検出する電位検出装置と、
冷却水中の溶存酸素の濃度を検出する溶存酸素検出装置
と、上記冷却水中の過酸化水素の濃度を検出する過酸化
水素検出装置と、上記冷却水のPHを検出するPH検出
装置と、上記冷却水の導電率を検出する導電率検出装置
と、上記冷却水中の不活性金属の電位を検出する電位検
出装置と、上記冷却水が気化して発生した蒸気中の放射
性窒素を検出する放射性窒素検出装置と、上記プラント
の構造材の亀裂進展状況を検出する亀裂進展検出装置
と、上記冷却水が気化した発生した蒸気中の放射線線量
率を検出する放射線線量率検出装置と、の内の少なくと
も一つを含んで構成され、上記出力装置は、上記検出手
段の検出結果のうちの少なくとも一つを、上記演算制御
手段が求めた構造材の電位とともに出力するものであっ
てもよい。
【0038】上記特定物質は、酸素、過酸化水素および
水素であってもよい。
【0039】上記プラントの構造材について生じている
であろう反応についての反応速度に関する情報とは、当
該反応についての電流と電位の関係を示す情報であって
もよい。
【0040】上記環境指数とは、上記プラント内におけ
る酸化剤の濃度を示すものであってもよい。
【0041】上記ある特定操作とは、水素の注入であっ
てもよい。
【0042】上記反応プロセスモデルは、反応中間体と
して、過酸化水素を含むものであってもよい。
【0043】上記反応プロセスは、過酸化水素が2段以
上の連続した電気化学素反応プロセスと化学反応プロセ
スモデルにより、分解および/または生成する反応を、
含むものであってもよい。
【0044】上記プラント構造材の応力腐食割れの進展
速度と当該材料の電位との関係を示す実測のデータを予
め備え、上記演算制御装置は、上記求めた構造材の電位
と上記環境指数との対応関係、および、上記実測のデー
タを用いて、上記応力腐食割れの進展速度と上記環境指
数との対応関係を求める機能を有し、上記出力装置は、
上記応力腐食割れの進展速度と上記環境指数との対応関
係を示す出力態様で、上記応力腐食割れの進展速度およ
び上記環境指数を出力するものであってもよい。
【0045】本発明の第2の態様としては、プラントを
監視するプラント監視システムにおいて、上記プラント
内に存在する1または2種類以上のある特定物質の濃度
を検出する検出装置と、上記プラント内において上記特
定物質が関与して生じている少なくとも一段以上の電気
化学反応を含む反応プロセスモデルについての反応速度
式に基づいて導きだされる計算式、および、上記プラン
トの構造材について生じている反応についての反応速度
に関する情報を、記憶する記憶装置と、上記記憶手段に
格納されている反応速度式、及び、反応速度に関する情
報、上記検出装置の検出した上記特定物質の濃度を用い
て、上記構造材の電位を計算する演算制御装置と、上記
演算制御装置の求めた上記構造材の電位を出力する出力
装置と、を有することを特徴とするプラント監視システ
ムが提供される。
【0046】本発明の第3の態様としては、なんらかの
反応を行わせる容器と、上記容器内の環境下に存在する
1または2種類以上のある特定物質の濃度を検出する検
出装置と、上記環境下において上記特定物質が関与して
生じていると思われる少なくとも一段以上の反応プロセ
スモデルについての反応速度式を反映した式、および、
上記容器の構造材について生じているであろう反応につ
いての反応速度に関する情報を、記憶する記憶装置と、
上記記憶手段に格納されている、上記反応速度式を反映
した式、および、反応速度に関する情報、上記検出装置
の検出した上記特定物質の濃度を用いて、上記構造材の
電位を計算する演算制御装置と、上記演算制御装置の求
めた上記構造材の電位を出力する出力装置と、を有する
ことを特徴とするプラントシステムが提供される。
【0047】本発明の第4の態様としては、ある材料に
おいて生じる電気化学的反応を含んだ反応プロセスの反
応速度の電位特性シミュレ−ション方法において、上記
反応プロセスの、ある状態における、上記反応物質に関
与する物質の濃度および上記材料の電位を実測し、上記
反応プロセスモデルに従って導き出される反応速度式を
反映した式に、実測した上記物質の濃度及び上記材料の
電位を代入することによって、上記反応速度と上記材料
の電位との関係を求めること、を特徴とする反応速度の
電位特性シミュレーション方法が提供される。
【0048】上記反応速度は、電流値として表現される
ことが好ましい。
【0049】上記反応プロセスは、下記イ、ロ、ハ、
ニ、ホ、の反応を含むものであることが好ましい。
【0050】 イ) O2 + 2H+ + 2 - → H22 ロ) H22 → O2 + 2H+ + 2 - ハ) H22 + 2H+ + 2 - 2H 2 ニ) H22 → (1/2)O2+ H2O (溶液中分解) ホ) H22 → (1/2)O2+ H2O (材料表面接触分解) 本発明の第5の態様としては、プラントの構造材料の腐
食電位計算方法において、少なくとも一段以上の反応プ
ロセスで示された腐食反応の反応モデルについての反応
速度式から導きだされる計算式と、上記構造材料の腐食
反応についての反応速度情報と、上記腐食反応に関与す
る物質の濃度と、を用いて、電気化学的な混成電位論を
基に、上記腐食反応に含まれるアノ−ド反応とカソ−ド
反応の反応速度が等しくなる電位を数値計算で求め、該
求めた電位を腐食電位とすること、を特徴とする腐食電
位検出方法が提供される。
【0051】上記プラントは原子力プラントである場合
において、上記反応プロセスについての反応速度式の一
つは、上記材料界面における、酸素および過酸化水素の
濃度を含む電子移動反応速度式であることが好ましい。
【0052】上記プラントは原子力プラントである場合
において、上記反応プロセスについての反応速度式の一
つは、上記材料界面における水素の濃度と、上記材料界
面におけるプロトンの濃度と、上記材料への吸着原子状
水素の濃度とを含んだ電子移動反応速度式であることが
好ましい。
【0053】上記材料は、純金属、または、合金であっ
てもよい。
【0054】上記合金は、ステンレス鋼、ニッケル基合
金、炭素鋼のいずれかであってもよい。
【0055】
【作用】第1、第2、第3の態様について説明する。
【0056】演算制御装置は、上記記憶手段に格納され
ている、上記反応速度式に基づいて導きだされる計算
式、上記プラントの構造材について生じている反応の反
応速度に関する情報、および、検出装置の検出した上記
特定物質の濃度を用いて、上記構造材の電位を計算す
る。出力装置は、求めた上記構造材の電位を出力する。
【0057】腐食電位の計算方法の具体的内容は、以下
のとおりである。
【0058】冷却水と材料界面での酸化還元反応を、1
段以上の多段階で進行する電子移動反応プロセスとして
反応モデル化し、これらの反応モデルに関して、理論的
な全電子移動反応速度を求める。この取扱いを、酸化反
応、還元反応両反応に対して行う。そして、これらを、
電気化学的な混成電位理論に基づく方程式(即ち、前述
のia−ic=0)に代入した上で、電位について解
く。このようにして、腐食電位を計算でもとめることが
できる。なお、反応のモデル化が困難な場合は、実測デ
−タに基づく回帰式を求め、この回帰式を混成電位理論
に適用すればよい。 また、演算制御装置は、特定物質
の濃度をもとに、環境指数(例えば、酸化剤濃度)を求
める。出力装置は、これを、求めた電位との対応関係を
示すような出力態様で(例えば、構造材の電位と、上記
環境指数とを軸とするグラフとして)出力する。
【0059】さらには、出力装置は、特定操作(例え
ば、水素注入)の操作量と上記演算制御装置の求めた上
記構造材の電位との対応関係を示す出力態様で、操作量
および構造材の電位を出力する。
【0060】プラントが、冷却水を用いて原子炉を冷却
している原子力プラントである場合には、出力装置は、
腐食電位、冷却水中の溶存酸素濃度、過酸化水素濃度、
PH、導電率、冷却水中の不活性金属の電位、冷却水が
気化して発生した蒸気中の放射性窒素、構造材の亀裂進
展状況、蒸気中の放射線線量率、のうちの少なくとも一
つを併せて出力することで、運転状態の把握が容易とな
る。
【0061】さらに、演算制御装置は、求めた構造材の
電位と上記環境指数との対応関係、および、実測のデー
タを用いて、上記応力腐食割れの進展速度と上記環境指
数との対応関係を求める。出力装置は、上記応力腐食割
れの進展速度と上記環境指数との対応関係を示す出力態
様で、上記応力腐食割れの進展速度および上記環境指数
を出力する。
【0062】本発明の第4の態様について説明する。
【0063】反応プロセスの、ある状態(例えば、平衡
状態)における、上記反応物質に関与する物質の濃度、
および、この状態における上記材料の電位の実測値を、
反応プロセスモデルに従って導き出される反応速度式に
代入する。これによって、上記反応速度(電流値)と上
記材料の電位との関係を求めることができる。
【0064】本発明の第5の態様について説明する。
【0065】少なくとも一段以上の反応プロセスで示さ
れた腐食反応の反応モデルに従って導き出される反応速
度式と、上記材料の腐食反応についての反応速度情報
と、上記腐食反応に関与する物質の濃度と、を用いて、
電気化学的な混成電位論を基に、上記腐食反応に含まれ
るアノ−ド反応とカソ−ド反応の反応速度が等しくなる
電位を数値計算で求める。
【0066】
【実施例】本発明の一実施例であるプラント監視システ
ムを図面を用いて説明する。
【0067】本実施例のプラント監視システム、およ
び、本実施例の適用の対象となる原子炉プラント自体に
ついて簡単に説明する。
【0068】原子炉プラントは、燃料を反応させるため
の原子炉圧力容器8と、給水系9と、冷却水再循環系1
0と、冷却水を浄化する炉水浄化系11とを含んで構成
される。なお、本実施例が適用対象とする原子炉圧力容
器8は、ステンレス鋼(SUS304系)でできてい
る。
【0069】給水系9は、冷却水が、原子炉圧力容器8
内で加熱された結果発生する蒸気を、冷却し、再び、原
子炉圧力容器8内に戻すものである。該給水系9の途中
には、発電用のタービン系12、復水器92、水素注入
装置50、ポンプ90が設けられている。蒸気で該ター
ビン系12を作動させることによって、発電が行なわれ
る。タービンを回した後の蒸気は、該復水器92によっ
て液体に戻される。
【0070】水素注入装置5は、冷却水中に、水素を注
入することによって、腐食環境を緩和するためのもので
ある。該水素注入装置5は、後述する制御室4からの指
示に従って、所定濃度となるように水素を給水系9に注
入する。水素の注入量は、後述するコンピュータシステ
ム3によるシミュレーション結果等を用いて、応力腐食
割れなどを防ぐに必要な十分な値として決定されてい
る。なお、給水系9における実際の水素濃度と、注入水
素量との関係は予め測定されており、該水素注入装置5
への指示は、水素濃度を、例えば、15ppbにせよと
いった形で行われる。
【0071】冷却水再循環系10は、原子炉圧力容器8
内の冷却水を循環させることによって、温度分布、腐食
環境(例えば、冷却水中における酸化剤濃度)の均質化
を図るためのものである。
【0072】炉水浄化系11は、原子炉冷却水を浄化す
るためのものである。該炉水浄化系11は、冷却水再循
環系10の途中から水を取り込んで、浄化した後、給水
系9を通じて、原子炉圧力容器8内に該冷却水を戻す。
該炉水浄化系11には、ボトムドレインライン12を通
じて、圧力容器8の底部にある冷却水も流入している。
【0073】なお給水系9、冷却水再循環系10、炉水
浄化系11は、それぞれ専用のポンプ90,100,1
10を備えている。
【0074】原子炉圧力容器8、給水系9、冷却水再循
環系10、炉水浄化系11には、これらを構成する構造
材および冷却水の状況を検出するための各種センサ、測
定装置が取り付けられている。
【0075】基準電極1および電位測定装置2は、原子
炉圧力容器8内における構造部材のある特定の測定対象
部分における腐食電位を測定するためのものである。
【0076】基準電極1は、電位測定の基準となる電位
を発生させるためのものである。本実施例においては、
白金電極を用いているが、銀/塩化銀電極を用いても良
い。本実施例においては、該基準電極1を、中性子計装
管7に取り付けている。
【0077】電位測定装置2は、基準電極1の電位を基
準として、測定対象部分の電位を、求めるためのもので
ある。電位測定装置2は、基準電極1からの電位信号ケ
−ブル20と、原子炉の構造材と電気的に短絡している
原子炉圧力容器8につながった電位信号ケ−ブル21
と、を入力としている。本実施例においては、電位を、
水素電極基準(SHE)で求めるようにしている。な
お、電位測定装置2としては、入力インピーダンスが十
分に高いものを使用することは言うまでもない。
【0078】この他、原子炉圧力容器8、炉水浄化系1
1には、溶存酸素検出装置150、過酸化水素検出装置
151、PH検出装置152、導電率検出装置153、
主蒸気中放射性窒素検出装置154、亀裂進展センサ1
55、主蒸気系放射線線量率検出装置156、等が設け
られている。これらセンサとしては、様々なタイプのも
のが実用化、あるいは、提案されているが、本実施例に
おいては、どのようなタイプのセンサであっても構わな
い。また、これら検出装置の取付け位置も、この図に示
した位置に限定されるものではない。
【0079】コンピュ−タシステム3は、電位測定装置
2をはじめとする各種検出センサの検出結果を処理する
ためのものである。該コンピュータシステム3自体は、
図2に示すとおり、プロセッサ30、ROM31、RA
M32、外部記憶装置33、表示制御回路34、表示装
置35、入出力インタフェース36、プリンタ37、お
よび、これら各部をつなぐバス38等のハードウエア資
源と、これらの外部記憶装置33、RAM32、ROM
31等に記憶され、プロセッサ30が実行するプログラ
ムとによって、主に構成されている。なお、プロセッサ
30による処理結果は、文字あるいはグラフィックとし
て、表示回路34を通じて表示装置35に、あるいは、
プリンタ37に出力される。さらには、制御室4内のホ
ストコンピュータ、表示装置等にも出力されている。
【0080】本実施例のコンピュータシステム3の外部
記憶装置33、RAM32,ROM31には、監視対象
部の予想水質デ−タ、サンプリング水の水分析デ−タ等
に基づいて、腐食電位をシミュレートするプログラムが
予め格納されている。該コンピュータシステム3のプロ
セッサ30は、このプログラムを実行することによっ
て、腐食電位に関する情報を求める機能を備えている。
この他、以下において詳述する各種機能を実現する上で
必要となるデータなどは、予め外部記憶装置33などに
格納されている。また、その処理結果を、表示回路34
を通じて、表示装置35に表示させる。これらの機能が
本実施例の最大の特徴であるため、後ほど詳細に説明す
る。この他、該コンピュータシステム3は、溶存酸素濃
度に基づいて、原子炉内における酸化剤濃度(O2*)
を求めるプログラムも有している。
【0081】制御室4は、運転者が、実際に運転の監視
を行う部屋である。該制御室4には、コンピュ−タシス
テム3からデ−タをとりこむホストコンピュ−タ40、
表示装置42、プリンタ44、および各種操作装置等が
設けられている。表示装置42等には、各種測定データ
(例えば、in-situデ−タ、水質分析デ−タ、腐食電位
実測デ−タ)、予め設定されたデ−タ基準値等とととも
に、コンピュータシステム3が求めた腐食電位計算結果
が表示される構成となっている。運転者は、これらを見
ることによって、原子炉の運転状態を監視することがで
きる。また、その結果によっては、操作装置を用いて原
子炉の運転状況を変更などさせる。
【0082】次に、本実施例のコンピュータシステム3
による腐食電位計算の詳細を説明する。
【0083】腐食電位は、下記数1の方程式を電位につ
いて解くことによって得られる。つまり、数1に含まれ
る3つの項(i,ih,is)のうち、i,ihには、
後述する反応モデル(図3、図4)についての反応速度
式から導き出される計算式を、また、isには、実測し
た電流電位曲線を定式化したもの(図5)を、代入する
ことによって、該数1を、腐食電位、酸素濃度、過酸化
水素濃度、水素濃度、流速、を変数として含む方程式と
する。さらに、該方程式に、入力データとして、酸素濃
度、過酸化水素濃度、水素濃度、流速を与えることによ
って、腐食電位のみを変数とする方程式とすることがで
きる。そして、最終的には、この腐食電位のみを変数と
する方程式を解くことによって、腐食電位を得ることが
できる。
【0084】本実施例のコンピュ−タシステム3のプロ
グラムには、予め、上述の5つの変数(腐食電位、酸素
濃度、過酸化水素濃度、水素濃度、流速)を含んだ方程
式が格納されている。そして、酸素、過酸化水素、水素
濃度(ppb)、流速(cm/s)、4つを入力デ−タ
として、コンピュータシステム3に与え、得られた方程
式を解くことによって腐食電位を求める。なお、方程式
の解法は数値計算しかない。本実施例では、ニュ−トン
法によって該方程式を解いた。
【0085】
【数1】
【0086】ここで、iは、冷却水中の酸素、過酸化水
素系が、ある腐食電位において電子を奪う速度を電流で
示したものである。この電流iは、外部から測定される
全電流に相当するものである。ihは、冷却水中の水素
がある腐食電位で電子を供与する速度を、電流で示した
ものである。isは、ある腐食電位における、ステンレ
ス鋼の電子供与速度を、電流で示したものである。
【0087】数1の詳細は、腐食反応の内容を反映した
ものとなる。従って、反応モデルとして、どのようなモ
デルを使用したかが、算出された腐食電位の信憑性を高
める上で、決定的に重要となる。従って、前提となる反
応モデルについても説明する。
【0088】以下、電位計算に用いたi,ih,isの
内容、理論式、理論式導出手順等を詳細に説明する。
【0089】まず、iについて述べる。
【0090】腐食反応に関係している、酸素および過酸
化水素の、電子移動反応、化学反応は、以下の化6,化
7,化8,化9,化10に示す過程を含んでいるものと
仮定した。シミュレ−ションにおいては、化6〜化10
に示した個々の過程を素反応として扱った。
【0091】
【化6】
【0092】
【化7】
【0093】
【化8】
【0094】
【化9】
【0095】
【化10】
【0096】化6〜化10の相互関係を示したのが図3
である。図3においては、化学式の一部を省略し、簡略
化して示している。化3の逆反応等が存在することも考
えられるが、本実施例ではそのような逆反応は、考慮し
なかった。
【0097】なお、化6は、酸素の連続電子授受による
還元反応、および、酸素の電気化学的還元反応中間体と
しての過酸化水素の生成を示すものである。化7は、酸
素の電気化学的還元反応中間体としての過酸化水素の消
費過程、および、電気化学的な過酸化水素の分解反応過
程を示すものである。化8は、酸素の電気化学的還元反
応中間体としての過酸化水素の消費過程、および、酸素
の連続電子授受による還元反応、を示すものである。化
9は、酸素還元反応中間体過酸化水素の拡散過程での分
解反応である。化10は、構造材表面での過酸化水素の
接触分解反応過程を示すものである。
【0098】全反応の速度は、全電流密度i(A/cm2)で
表される。ここで示した5つの過程(化6〜化10)
は、同時に進行するため、全電流密度iは、下記数2で
示される。
【0099】
【数2】
【0100】数2における、i1、i2、i3、i4は、図
3中に示したi1、i2、i3、i4と対応したものであ
る。数3においては、カソ−ド反応(電子を受け取る反
応)を正とした。
【0101】従って、全電流密度iを全反応速度式を用
いて表すと、下記数3のようになる。
【0102】
【数3】
【0103】数3中の、Fはファラデー定数である。k
1、k2、k3、k2’は、後述する数8、数9、数10、
数11で示されるものである。
【0104】数3には、酸素の界面濃度CAs、過酸化水
素の界面濃度CBs、および、電位が含まれている。酸
素、過酸化水素の界面濃度CAs、CBsは、実測すること
ができない。しかし、これらは、拡散についての微分方
程式を解くこととで、酸素のバルクにおける濃度CA、
過酸化水素のバルクにおける濃度CB、の式として表現
することができる。
【0105】以下において、酸素、過酸化水素の界面濃
度CAs、CBsを、バルクにおける濃度CA、CBで表すた
めの方法を述べる。
【0106】構造材界面近傍における拡散は、線形拡散
である仮定すると、酸素、過酸化水素の拡散プロセス
は、数4、数5で表される。なお、xは、構造材界面か
らの距離であり、x=0は構造材界面の位置に相当す
る。
【0107】
【数4】
【0108】
【数5】
【0109】ここに、Aは酸素(O2)、Bは過酸化水
素(H22)、Cjはj化学種の濃度(mol/c
3)、Djはj化学種の拡散係数(cm2/s)、k5は拡
散過程における過酸化水素の分解速度定数(1/s)であ
る。
【0110】また、構造材界面での物質収支(境界条
件)は、下記数6、数7で表される。数6、数7中に含
まれる文字式の詳細を、数8、数9、数10、数11に
示した。
【0111】
【数6】
【0112】
【数7】
【0113】
【数8】
【0114】
【数9】
【0115】
【数10】
【0116】
【数11】
【0117】k4は、材料表面での過酸化水素の分解速
度定数(cm/s)である。α1,α2,α3は、各反応ステッ
プ還元方向の遷移係数である。プロトン濃度は、水の解
離平衡で決まる定数として取扱上問題はない。k1
[H+4 (cm/s),k2゜[H+2(cm/s),k2゜’(cm/
s),k3゜[H+2 (cm/s)は、各反応ステップの速度に
関する定数項である。Eは、基準電極に対する構造材の
電位(V)である。E゜,E1゜,E2゜は、各反応ステ
ップの標準電極電位(V)である。F,R,Tは、それぞ
れファラデ−定数、気体定数(8.32)、絶対温度である。
【0118】腐食電位が時間的に定常状態レベルの情報
であることを勘案すれば、全反応速度式の導出は、定常
状態での取扱で充分であると考えられる。そのため、境
界条件として、以下の数12〜数16を採用することが
できる。
【0119】
【数12】
【0120】
【数13】
【0121】
【数14】
【0122】
【数15】
【0123】
【数16】
【0124】ここで、δjはj化学種の拡散層厚(cm)。
Cjsはj化学種の材料界面(表面)濃度(mol/cm
3)。Cj*はj化学種の冷却水沖合平衡濃度(mol/c
3)である。
【0125】以上の数4〜数16から得られる連立方程
式を解くこととで、酸素、過酸化水素の界面濃度CAs、
CBsを、酸素、過酸化水素のバルク濃度CA、CBで書き
表すことができる。
【0126】数4〜数16を用いて求めたCAs、CBs
を、上記数3に代入した結果を、簡略化して表現したの
が、数17である。
【0127】
【数17】
【0128】該数17中に含まれる文字、式の詳細は、
下記数18〜数28に示すとおりである。なお、Ξ1
Ξ2は、濃度の次元を持つ項である(数21,22参
照)。
【0129】
【数18】
【0130】
【数19】
【0131】
【数20】
【0132】
【数21】
【0133】
【数22】
【0134】下記数23〜数28は、数18〜数22に
含まれる文字、式の詳細を示したものである。
【0135】
【数23】
【0136】
【数24】
【0137】
【数25】
【0138】
【数26】
【0139】
【数27】
【0140】
【数28】
【0141】また、上記式中に含まれるk1は、数8で
定義されたものである。k2は数9で定義されたもので
ある。k2'は、数10で定義されたものである。k
3は、数11で定義されたものである。
【0142】次に、数1に含まれるihについて述べ
る。
【0143】腐食反応に関係する水素の電子移動反応、
化学反応は、以下の化11〜化18で示される過程(素
反応)を含んで進行すると仮定した。ここでは、化11
〜化18に示した個々の過程を素反応として扱った。
【0144】
【化11】
【0145】
【化12】
【0146】
【化13】
【0147】
【化14】
【0148】
【化15】
【0149】
【化16】
【0150】
【化17】
【0151】
【化18】
【0152】化11〜化18の相互関係を示したのが図
4である。
【0153】これらの過程は、1電子反応の連続した機
構である。吸着水素原子は、中間体として反応に関与し
ている。水の解離平衡反応は、H3+イオンの構造材料
界面の初期濃度、冷却水沖合濃度に関係する。なお、水
の解離平衡定数Kwは、Kw=2.5×10-12(mo
l/l)2である。H3+イオンとOH-の反応速度は、
均一系2次反応の反応速度としては最も早い系である。
そのため、構造材界面での電子移動反応の速度に比べれ
ば、平衡反応であると考えて取扱上問題無い。図4に示
した電流密度ihn(A/cm2)(n=1,2,3,
4)は、各反応ステップの反応速度に相当する。khn
(n=1,2,3,4)は、各反応ステップの電子移動
反応の速度定数(cm/s)である。図4中、Mは構造材であ
る。
【0154】なお、図3(化6〜化10)、図4(化1
1〜化18)に示した過程が、真に、素反応であるとは
限らない。しかし、後ほど示すシミュレーション結果と
実際の腐食電位の実測値との一致性から見ても、本実施
例で用いた反応モデルは、少なくとも腐食環境の監視と
いう目的にとっては、十分有効なものであった。
【0155】図3、図4に示した反応モデルは、従来提
案されていた反応モデルのいずれとも異なり、今回、本
願発明者が新たに提案するものである。
【0156】ihも、iと同様な手順で求めることがで
きる。水素とプロトンとの間の電子移動反応の全反応速
度を示す電流ihは、数29の通りとなる。
【0157】
【数29】
【0158】ここでは、水素が電子を放出しプロトンに
酸化されるプロセス、即ちアノ−ド反応を正とする。数
29中、Cjsはj化学種の構造材表面濃度(mol/c
3)である。添字(j)のCは水素、Dは中間体、Eはプ
ロトンを示す。、数29に含まれる、Ccs、CEs、CDs
は、カソ-ド反応系と同様な取扱で、求めることができ
る。その結果が、数30、数31、数32である。
【0159】
【数30】
【0160】
【数31】
【0161】
【数32】
【0162】数30、数31、数32に含まれている文
字、式の詳細を、数33〜数37に示す。
【0163】
【数33】
【0164】
【数34】
【0165】
【数35】
【0166】
【数36】
【0167】
【数37】
【0168】β1,β2は、水素/プロトン電子移動反応
系各反応ステップ酸化方向の遷移係数である。kh1゜(c
m/s),kh2゜(cm/s)は、水素/プロトン電子移動反応系
各反応ステップの標準速度定数である。Eは、基準電極
に対する電位(V)である。Eh1゜,Eh2゜は、水素/プ
ロトン電子移動反応系各反応ステップの標準電極電位
(V)である。Djは、j化学種の拡散係数(cm2/s)で
ある。F,R,Tはそれぞれ通常の定数である。
【0169】次に、数1に含まれるisについて述べ
る。
【0170】構造材(本実施例では、ステンレス鋼)の
全電子移動反応速度を示すisは、実測の電流電位曲線
を、電位の9次関数として最小二乗法近似し、回帰曲線
として求めた。その結果が、数38である。
【0171】
【数38】
【0172】図5は、ステンレス鋼についての電流電位
曲線の理論曲線である。実測デ−タ(の近似曲線(数3
8式))と、該理論曲線との相関係数は、0.9996
である。
【0173】以上求めた、i(数17)、ih(数2
9)、is(数38)、およびこれらの式の詳細を示す
式(数18〜数28、数30〜数37)を、数1に代入
し、方程式を電位Eについて解くことによって、腐食電
位Eを求めることができる。既に述べたとおり、本実施
例においては、ニュートン法を用いて、該方程式を解い
ている。
【0174】本発明に関する腐食電位計算プログラム
は、以上の演算処理に関する内容が中心になる。計算式
中に含まれる遷移係数、速度定数、拡散係数、標準電極
電位等の電気化学パラメ−タは、予めプログラム中に定
数として書き込んである。
【0175】拡散層厚δj(cm)は、流速に応じて変
化するものである。Holserらの検討結果(R.A.Holser et
al., Corrosion, 46, 9,pp.764-769(1990))を基に、拡
散層厚δjと流速との関係は、数39で与えられること
が確かめられている。本実施例においては、数17、数
29中に含まれる拡散層厚δjとして、数39を用いて
いる。これにより、流速が腐食電位に及ぼす影響をも検
討することができるようになっている。
【0176】
【数39】
【0177】ここに、vは流速(cm/s),Dは拡散係数
(cm2/s),νは動粘性係数(cm2/s),dは流体部径(c
m),jは各化学種である。
【0178】本実施例の運転監視システムによって、腐
食電位のシミュレ−ションを実際に行った。
【0179】シミュレーションを行うのに必要な入力デ
ータ(酸素濃度、過酸化水素、水素濃度、流速)として
は、ここでは以下のものを使用した。
【0180】冷却水の停滞部分(すなわち、炉底部の中
心部)を模擬することとし、流速停滞部における流速は
ゼロとした。本計算プログラムでは、拡散層成長限界
を、δj=0.05mmとしている(注:これは、予め
プログラムに書き込んでおくものである。)。流速を変
えてその影響を検討する必要が無いような場合(例え
ば、シミュレ−ションの対象となる部分での流速が常に
一定でほとんど変化することが無いような場合)には、
流速についても入力デ−タから外し、プログラム中に、
ある特定の値を書き込んでおくようにしても良い。
【0181】酸素濃度、過酸化水素濃度、水素濃度とし
ては、原子炉各部に設置した酸素濃度検出装置150、
過酸化水素濃度検出装置151、水素濃度検出装置15
2の検出結果と、水の放射線分解計算とを基にして得ら
れた、炉底部における、酸素濃度、過酸化水素濃度、水
素濃度を用いた。
【0182】コンピュータシステム3は、これらを入力
データとして、上述のプログラムを実行する。これによ
って、その時の酸化剤濃度における腐食電位を得ること
ができる。これを、酸化剤濃度を変えて、繰返し実行す
ることによって、全濃度域にわたって、[酸化剤濃度−
−腐食電位]の関係を得ることができる。
【0183】シミュレーション結果を、図6に示す。な
お、図6には、得られたプロット点(酸化剤濃度,腐食
電位)を、つないで曲線として描いている。図6の横軸
は、炉底部冷却水中の酸化剤濃度(O2*)(ppb)
である。ここで言う酸化剤濃度(O2*)とは、(酸素
濃度+(過酸化水素濃度)/2)(ppb)で定義され
るものである。この場合の酸素濃度、過酸化水素濃度と
しては、腐食電位のシミュレーションにおいて入力デー
タとして用いたものを使用していることは言うまでもな
い。
【0184】酸化剤濃度(O2*)は、給水系9を流れ
る冷却水中における水素濃度に応じて変化する。
【0185】図6を見ると、水素注入装置5からの水素
注入に対応し、原子炉炉底部の酸化剤濃度が減少し、そ
れにともない、炉底部の腐食電位が低下することがわか
る。
【0186】原子炉の構造材として使用されるステンレ
ス材の応力腐食割れの敷居値は、標準水素電極電位基準
で−200mV前後にある。この点を考慮すると、腐食
環境緩和策としては、炉底部の酸化剤濃度(O2*)が
15ppb前後となるように、給水系9に水素を注入す
れば良いことになる。
【0187】さらに、酸化剤濃度(O2*)と、水素の
注入量との関係が、予めわかっていれば、図6を、より
直接的に、注入水素濃度と腐食電位との関係として表す
ことができる。本実施例のコンピュータシステム3は、
予め注入水素濃度と、酸化剤濃度との関係を示す情報を
備えている。そのため、この酸化剤濃度と注入水素濃度
との関係を用いれば、シミュレーション結果を、注入水
素濃度を横軸とし、腐食電位を縦軸とした、グラフで表
示することができる。図7は、コンピュ−タシステム
3、制御室4の表示装置42の表示画面に、シミュレー
ション結果が描きだされている様子を示したものであ
る。この図7をみると、腐食環境緩和対策としての水素
連続注入条件は、”給水系9の注入水素濃度を300p
pbとすること”となることがわかる。従って、運転者
(あるいは、自動制御装置)は、該条件に従って水素注
入装置5を作動させることになる。
【0188】このようにすれば、運転者にとってより直
接的で理解しやすい。また、シミュレーション結果(図
7中、理論曲線として、実線で示した)と、測定値と
を、重ね合わせて出力しているため、互いの信頼性等を
確認するうえで有効である。さらには、目標値(ここで
は、−200mv)も明確に表示することで、誤判断を
無くすことができる。なお、図7の横軸として示した注
入水素濃度は、水素注入装置5の設定値であって、実測
した水素濃度ではない。但し、逐次、水素濃度を検出、
確認しつつ、水素の注入量を制御するような場合には、
実測した水素濃度を横軸として使用するようにしても良
い。
【0189】図7と同様の内容を、コンピュータシステ
ム3あるいは制御室4のプリンタ44から出力するよう
にしても良い。
【0190】なお、注入水素濃度と酸化剤濃度との関係
は、注入水素濃度を変えて、逐次、冷却水中の酸素濃
度、過酸化水素濃度を測定することによって得られる。
あるいは、酸素濃度のみを検出し、所定の計算を行うこ
とによって求めるようにしても良い。この計算方法につ
いては、既に実用化され広く使用されているため、ここ
では特に説明はしないが。例えば、特開平5−1000
87号に記載されている方法を使用することができる。
【0191】本発明の第2の実施例を説明する。
【0192】上記実施例は、酸化剤濃度(最終的には、
注入水素濃度)と、腐食電位との関係を、シミュレーシ
ョンによって求めるものであった。本実施例では、これ
をさらに押し進め、[酸化剤濃度(O2*)−−腐食電
位(シミュレーション結果)−−応力腐食割れ進展速度
(da/dt、実測値)]の関係を明らかにすることを
可能としたものである。この一連の関係を明らかにする
ことによって、水素注入による、応力腐食割れの緩和効
果を検討することができる。さらには、酸化剤濃度、す
なわち、注入水素濃度の調整によって、応力腐食割れの
進展速度を制御(抑制)することが可能となる。
【0193】本実施例の基本的な構成は上記第1の実施
例と同様である。
【0194】本実施例のコンピュータシステム3は、上
記第1の実施例で示した機能に加え、さらに、腐食電位
と、応力腐食割れ(SCC)の進展速度(da/dt)
との関係を導きだすための機能を備えている。該機能
は、主として、コンピュータシステム3に、格納された
プログラムを実行することによって実現されている。
【0195】処理手順の概要を、図8に示す。
【0196】まず、ある濃度で水素を注入するとともに
(ステップ800)、酸素濃度検出装置150等の検出
値、及び、これを用いた所定の演算処理によって、この
時の酸化剤濃度(O2*)を求める(ステップ80
2)。
【0197】そして、上記第1の実施例と同様の手法に
よるシミュレーションを実行し、この時の酸化剤濃度
(O2*)における、腐食電位を求める(ステップ80
4)。
【0198】次に、腐食電位と、応力腐食割れの進展速
度(da/dt)との関係を、実験によって求めるとと
もに、その関係を数式化した実験式を求める(ステップ
806)。なお、この場合に必要となる実験データは、
別途準備しておき、コンピュータシステム3の外部記憶
装置33中に含めておく。あるいは、実験式を別途決定
しておき、該実験式のみをプログラム中に含めておくよ
うにしても良い。
【0199】この後、ステップ804で求めた[腐食電
位−−応力腐食割れ進展速度]の関係を示す実験式に、
ステップ802で求めた[酸化剤濃度−−腐食電位]の
関係を代入する(ステップ807)。これによって、あ
る酸化剤濃度(O2*)における、応力腐食割れ進展速
度を知ることができる。
【0200】また、この時の酸化剤濃度(O2*)に対
応する注入水素濃度はわかっているため(ステップ80
2参照)、この対応関係を代入すれば、この時の注入水
素濃度に対応する応力腐食割れ進展速度を知ることがで
きる(ステップ808)。
【0201】以上の処理を繰返し行うことによって、
[酸化剤濃度−−応力腐食割れ進展速度]の対応関係
を、酸化剤の全濃度域に渡って得ることができる。
【0202】腐食電位と酸化剤濃度(O2*)とは一定
の関係があるため、酸化剤濃度(O2*)vs.応力腐
食割れ進展速度(da/dt)は、該腐食電位vs.応
力腐食割れ進展速度(da/dt)と、等価である。
【0203】このような手順で求められた[酸化剤濃度
(O2*)−−応力腐食割れ進展速度(da/d
t)]、あるいは、[注入水素濃度−−応力腐食割れ進
展速度(da/dt)]の関係は、表示装置35、表示
装置42等に表示される。該表示の一例として、[酸化
剤濃度(O2*)−−応力腐食割れ進展速度(da/d
t)]の関係を表示させた様子を図9に示す。ここで
は、原子炉圧力容器8の炉底部における酸化剤濃度との
関係を求めている。酸化剤濃度(O2*)=約160p
pbが、炉内への水素注入を行っていない状態に相当す
る。そして、これよりも酸化剤濃度が低いほど、注入水
素濃度が高いことに相当する。なお、図9では、上述し
た処理によって得られたプロット点を結んで、曲線とし
て描いている。
【0204】図9からわかるように、酸化剤濃度(O2
*)が約80ppb以下の領域においては、酸化剤濃度
(O2*)が低いほど、応力腐食の進展速度(da/d
t)も低くなっている。そして、酸化剤濃度(O2*)
が20ppb前後においては、応力腐食割れの進展速度
(da/dt)は、酸化剤濃度(O2*)が約160p
pbの状態(水素注入を行っていない状態)に較べて、
2オ−ダ−レベルまで低くなっていることがわかる。
【0205】既に述べたとおり、原子炉圧力容器8の底
部における酸化剤濃度(O2*)と、注入水素濃度との
関係は、予めわかっている。この例の場合には、炉底部
における酸化剤濃度(O2*)が20ppb前後となる
のは、給水系9における注入水素濃度が250ppbレ
ベルの場合である。従って、給水系9における注入水素
濃度を250ppbレベルとするように制御すれば、炉
底部の応力腐食割れに対する腐食環境緩和効果は充分期
待できることがわかる。表示装置42等に、ステップ6
08で求めた[注入水素濃度−−応力腐食割れ進展速度
(da/dt)]の関係を表示させれば、注入水素濃度
を基準とした効果の検討を、より直接的に行うことがで
き便利である。
【0206】本発明の第3の実施例を説明する。
【0207】上記第1の実施例は、数1に含まれる3つ
の項(i,ih,is)のうち、i,ihには、反応モ
デルに基づいて導き出される式を、また、isには、実
測データを定式化したもの(図4)を、代入することに
よって、該数1を、5つの変数(電位、酸素濃度、過酸
化水素濃度、水素濃度、流速)を含む方程式としてい
た。そして、該方程式に、入力データとして、酸素濃
度、過酸化水素濃度、水素濃度、流速を与えることによ
って、電位を求めるものであった。
【0208】これに対し、該第3の実施例は、実測デー
タとして得られる[酸素濃度等−−腐食電位]の関係
を、上記数1のi,ihに代入することによって、数1
を、酸素濃度、過酸化水素濃度、水素濃度、流速、電流
is、腐食電位を変数とする方程式にする。そして、該
方程式に、入力データとして、酸素濃度、過酸化水素濃
度、水素濃度、流速を与えることによって、電流isと
腐食電位との関係を求めようとしたものである。
【0209】本実施例の運転監視装置は、コンピュータ
システム3が実行する処理内容を変更することによって
実現可能である。運転監視装置のハードウエア構成は、
上記第1の実施例と同様である。従って、以下において
は、コンピュータシステム3の処理内容を中心として説
明を行う。
【0210】以下、具体的に処理手順を図10を用いて
説明する。
【0211】ここでは、説明を単純化するため、水質を
示すパラメータとして、溶存酸素濃度のみを用いた。こ
の場合には、水素、過酸化水素が存在しないため、腐食
電位に関する関係式は、数40で表される。
【0212】
【数40】i=is 予め、酸素濃度と腐食電位との関係を実測しておく(ス
テップ1002)。
【0213】次に、数40のi(注:ここでは酸素濃度
のみをパラメータとしているため、この場合のiは、数
3のCAsを含む項のみに相当する。)に、ステップ10
02において求めた実測データを代入すれば、腐食電位
と電流isとの関係を得ることができる(ステップ10
04)。この場合のiは、過酸化水素の初期濃度=0と
し、計算機に入力する。
【0214】続いて、ステップ1004において得られ
た腐食電位と電流isとの関係を、グラフ上にプロット
する(ステップ1006)。さらに、このプロットデー
タを、近似式として表すための回帰曲線を求める。ここ
では、最小二乗法を用いた。本実施例では、回帰式決定
条件を、相関係数で0.998以上とした。(ステップ
1008〜ステップ1014)。
【0215】実際には、コンピュータシステム3によっ
て、上記処理を行う。
【0216】水素、過酸化水素等が混在する場合にも、
基本的には、同一の手順で、電流−電位曲線を求めるこ
とができる。
【0217】以上の手順によって得られたステンレス鋼
の電流電位曲線は、表示装置42等に表示される。この
一例を図11に示す。
【0218】図11に示した電流電位曲線を求める際
に、数40に代入した実測データは、200ppbレベ
ルの溶存酸素、288℃条件下で、長期間皮膜形成され
た試験片についてのものである。
【0219】該図11の電流電位曲線の回帰式is’
は、数41のようなものとして得られた。
【0220】
【数41】 is’= [5.7494 + 92.165E^1 + 697.80E^2 -33.766E^3 - 27695E^4-98538E^5 + 281450E^6 + 2.4101*10∧6E^7 + 5.2267*10∧6E^8 + 3.8441*10∧6E^9]/10∧6 (A/cm2) 数41と電流電位計算デ−タとの相関係数は0.999
9である。
【0221】該第3の実施例に示した方法で得られる電
流電位曲線(図11、数41)と、実施例1で示した実
測の電流電位曲線(図5、数38)とは、異なってい
る。これは、そもそも、対象とした試験片が異なってい
るからである。つまり、図5の電流電位曲線は、表面酸
化皮膜は充分成長していない試験片についての実測デ−
タを基にして得られたものである。一方、図11の電流
電位曲線は、上述したとおり、長期間皮膜形成された試
験片についてデータに基づいて得られたものである。
【0222】腐食電位シミュレーションにおける入力デ
ータとして、どのような試験片についての電流電位曲線
用いるべきかは、シミュレーションの対象となる材料
の表面状態等により判断する必要がある。例えば、実機
にステンレス鋼の試験片を挿入し、水素注入等による腐
食環境緩和効果を検討する場合は、充分酸化皮膜が育成
されていない試験片についての電流電位曲線を、入力デ
ータとすることが好ましい。一方、実機材料の腐食電位
そのものが議論の対象になる場合は、充分育成前処理さ
れた酸化皮膜を有する材料についての電流電位曲線を、
入力データとすることが好ましい。
【0223】電流電位曲線を実測するためには、電流を
実際に流さなければならず、これを正確に測定すること
は困難である。そのため、本実施例のごとく、電流を流
していない状態で得られる実験データに基づいて、電流
電位曲線を求めること、すなわち、平衡状態でのデータ
を用いて、非平衡状態を示す情報(電流電位曲線)を導
き出すことは、極めて有意義である。本実施例の手法を
用いて得た電流電位曲線を、上記第1の実施例で行った
腐食電位をシミュレーションで求める際の入力データと
して使用することもできる。
【0224】上記第1の実施例の有効性を示すデータの
一例を、図12、図13に示す。
【0225】図12は、腐食電位の6か月間の経時変化
を、冷却水のPHの経時変化とともに表示したものであ
る。腐食電位は、給水系9の水素濃度を300ppbに
保持した場合の、ボトムドレイン配管12中に設置され
たステンレス鋼の腐食電位の実測値を太い実線で、ま
た、該条件下におけるシミュレーション結果を、点線で
示した。ここで表示されているPHは、PH検出装置1
52による測定結果である。尚、該測定は、サンプリン
グ後、室温付近まで冷却して測定したものである。ま
た、図13は、腐食電位の6か月間の経時変化を、冷却
水の導電率の経時変化とともに表示したものである。表
示されている腐食電位は、図12と同じものである。
【0226】図12、図13を見ると計算によって求め
た腐食電位と、実測した腐食電位とは、実用上十分なレ
ベルで一致しており、本発明の有効性を確認することが
できた。また、同時に表示されているPH、電導度の変
化を見ることによって、この間の、水質、水素の注入状
態が一定に保たれていたことが確認できる。
【0227】このように、表示装置42に、他の情報を
も併せて表示することにより、運転状態を総合的に監視
することができる。また、ベースとなる制御が確実に行
われていたか否かを同時に知ることができるため、腐食
電位に異常が見られた場合の原因追及が容易となる。さ
らに、画面の表示を更新しなくても、様々な情報を一度
に得られるため、運転状態の監視が容易となる。表示す
る他の情報としては、原子力プラントにおいては、例え
ば、不活性金属(白金)の実測電位、主蒸気中放射性窒
素、亀裂進展センサ情報、主蒸気系放射線線量率等が挙
げられる。
【0228】上記実施例において、特許請求の範囲にお
いて言う”特定物質”とは、酸素、過酸化水素、水素に
相当する。”環境指数”とは、酸化剤濃度(O2*)に
相当する。”特定操作”とは、水素の注入に相当する。
【0229】また、特許請求の範囲において言う”出力
装置”とは、上記実施例におけるコンピュータシステム
3および制御室4の表示装置(40)、プリンタに相当
するものである。”演算制御装置”とは、コンピュータ
システム3のCPUなどに相当する。”記憶装置”と
は、外部記憶装置33等に相当する。但し、これらは互
いに密接に連携して機能を発揮するものであり、個々で
述べた対応は厳密なものではない。
【0230】本発明の適用対象は、原子力プラントに限
られるものではなく、他のプラント等についても広く適
用可能である。また、電位計算の対象となる材料も、純
金属、合金(例えば、ステンレス鋼、ニッケル基合金、
炭素鋼)を問わない。
【0231】以上説明した各実施例においては、各酸
化、還元反応の反応速度を決定する律速段階までの情報
を、電子移動反応を1または2以上の素反応レベルまで
分けてモデル化したことによって、実際の腐食反応機構
を背景にした腐食電位の計算が可能になった。そのた
め、得られた腐食電位の信憑性が高い。
【0232】本発明によれば、実測の腐食電位デ−タを
用いて、材料の腐食反応の速度を電流と電位の関係に置
き換えることができるようになった。一般に電流電位曲
線の実測は多量の支持電解質が必要であり、実際の腐食
環境と異なる条件での測定を余儀なくされがちである。
腐食電位測定は平衡状態での測定であり、実際の環境で
の実測が通常行われてきた。本発明により、生の腐食電
位情報から、その場環境の腐食速度を電流電位の関係で
表わすことも可能になった。
【0233】本発明によれば、実際のプラント水質管理
上必要な腐食電位を中心にした理論的な評価が可能にな
った。これにより、プラントの運転管理システムの、高
精度化、高信頼性化が可能となる。例えば、プラントへ
の水素注入等の注入効果を検討することによって注入量
を決定する場合等において、必要不可欠な技術情報を得
ることができる。
【0234】
【発明の効果】本発明によれば、実際の反応に側した取
扱に基づく、腐食電位のシミュレーションが可能にな
る。また、実測不可能な部分についても、シミュレーシ
ョンによって腐食電位を知ることができる。従って、水
素注入等による、腐食環境緩和効果、応力腐食割れの進
展速度の変化等を、腐食電位に基づいて理論的に検討す
ることが可能になる。つまり、プラントの運転条件を、
腐食環境緩和という観点から、理論的に検討した上で決
定することができる。そのため、高精度、高信頼性のプ
ラント運転が可能となる。
【0235】さらに、実測困難な腐食反応の電流電位曲
線(反応速度の電位特性)を計算によって求めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である原子炉運転状態監視シ
ステムおよび原子炉の概要を示す図である。
【図2】コンピュータシステム3のハードウエア構成を
示すブロック図である。
【図3】軽水炉系の酸素/過酸化水素の多段階の電子移
動、化学素反応モデルである。
【図4】軽水炉系の水素の多段階電子移動、化学素反応
モデルである。
【図5】ステンレス鋼についての実測電流電位曲線の近
似曲線である。
【図6】軽水炉圧力容器底部の酸化剤濃度と、シミュレ
ーションによって得られた腐食電位との関係を示すグラ
フである。
【図7】制御室4の表示装置上における表示の一例を示
す図である。
【図8】本発明の第2実施例における、応力腐食割れに
対する水素注入効果の評価手順を示すフローチャートで
ある。
【図9】軽水炉圧力容器8の底部における、酸化剤濃度
と応力腐食の進展速度との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第3実施例における、実測腐食電位
デ−タから材料の電流電位曲線を決定する処理手順を示
すフローチャートである。
【図11】腐食電位の実測データを用いて、計算によっ
て求めた、ステンレス鋼の電流電位曲線を示すグラフで
ある。
【図12】腐食電位およびPHの経時変化を表示した様
子を示す図である。
【図13】腐食電位および冷却水の電導度の経時変化を
表示した様子を示す図である。
【符号の説明】
1…腐食電位センサあるいは白金電極、2…電位測定装
置、3…コンピュ−タシステム、4…制御室、5…水素
注入装置、7…中性子計装管、8…原子炉圧力容器、9
…給水系、10…再循環系、11…炉水浄化系、12…
タ−ビン系、13…炉底部、20…信号ケーブル、21
…信号ケーブル、30…CPU、31…ROM、32…
RAM、33…外部記憶装置、34…表示回路、35…
表示装置、36…入力インタフェース、37…プリン
タ、38…バス、40…ホストコンピュータ、42…表
示装置、90…ポンプ、92…復水器、100…ポン
プ、110…ポンプ、150…溶存酸素検出装置、15
1…過酸化水素検出装置、152…PH検出装置、15
3…導電率検出装置、154…主蒸気中放射性窒素検出
装置、155…亀裂進展センサ、156…主蒸気系放射
線線量率検出装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山内 博史 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 Sakai M,et al.,”C orrosion Potential Monitoring and It s Simulation in BW R Conditions.”,AD Rep.(1993)p.4060−4068 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 17/02 G21D 1/00 G21D 3/08 G01N 29/30 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉プラント構造材の腐食電位のシミュ
    レーション方法であって、 前記構造材が電子を供与する速度isと電位との関係を
    求める第1のステップと、 前記第1のステップで求めたisと電位との関係と、予
    め求めておいた、前記原子炉プラントの冷却水中の酸化
    剤が電子を奪う速度iと電位との関係と、予め求めてお
    いた、前記冷却水中の還元剤が電子を供与する速度ih
    と電位との関係と、下式 i−ih−is=0 とから、この式を満たす前記電位を求め、この電位を腐
    食電位とする第2のステップとを有し、 前記第1のステップは、前記冷却水中の酸化剤濃度と腐
    食電位との関係を実測し、この実測結果から前記冷却水
    中の酸化剤が電子を奪う速度i’と前記腐食電位との関
    係を求め、これを i’−is’=0 に代入することにより、速度is’と腐食電位との関係
    を求め、この速度is’と腐食電位との関係を前記速度
    isの前記電位との関係として用いることを特徴とす
    原子炉プラント構造材の腐食電位のシミュレーショ
    ン方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の原子炉プラント構造材の
    腐食電位のシミュレーション方法において、 前記速度is、速度i、速度ih、速度i’、速度i
    s’を電流値として表し、前記第1のステップでは、前
    記速度isと電位との関係を電流−電位曲線として求め
    ることを特徴とする原子炉プラント構造材の腐食電位
    のシミュレーション方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の原子炉プラント構造材の
    腐食電位のシミュレーション方法において、 前記第2のステップにおいて、前記冷却水中の酸化剤が
    電子を奪う速度iとして、前記冷却水中の酸素および過
    酸化水素が電子を奪う速度を用い、および、前記冷却水
    中の還元剤が電子を供与する速度ihとして、前記冷却
    水中の水素が電子を供与する速度を用いることを特徴と
    する原子炉プラント構造材の腐食電位のシミュレーシ
    ョン方法。
  4. 【請求項4】請求項記載の原子炉プラント構造材の
    腐食電位のシミュレーション方法において、 前記速度iおよび前記速度ihとして、理論的に導いた
    反応速度を用いることを特徴とする原子炉プラント構
    造材の腐食電位のシミュレーション方法。
  5. 【請求項5】原子炉プラントの冷却水の腐食電位を検出
    する検出部と、 前記原子炉プラントの構造材の腐食電位を演算する演算
    部とを有し、 前記演算部は、前記検出部の検出した腐食電位を用い
    て、前記冷却水中の酸化剤濃度と腐食電位との関係を求
    め、この関係から前記冷却水中の酸化剤が電子を奪う速
    度i’と前記腐食電位との関係を求め、該関係と下式 i’−is’=0 とから、速度is’と腐食電位との関係を求め、求めた
    is’と、予め求めておいた、前記冷却水中の酸化剤が
    電子を奪う速度iと電位との関係と、予め求めておい
    た、前記冷却水中の還元剤が電子を供与する速度ihと
    電位との関係と、下式 i−ih−is’=0 とにより、この式を満たす前記電位を求め、この電位を
    腐食電位とすることを特徴とする原子炉プラントの運
    転監視装置。
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