JPH0658903A - 亀裂先端電位測定方法及び水質制御方法 - Google Patents

亀裂先端電位測定方法及び水質制御方法

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JPH0658903A
JPH0658903A JP4209046A JP20904692A JPH0658903A JP H0658903 A JPH0658903 A JP H0658903A JP 4209046 A JP4209046 A JP 4209046A JP 20904692 A JP20904692 A JP 20904692A JP H0658903 A JPH0658903 A JP H0658903A
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JP4209046A
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Katsumi Mabuchi
勝美 馬渕
Masanori Sakai
政則 酒井
Takuya Takahashi
卓也 高橋
Hiroshi Yamauchi
博史 山内
Hideya Anzai
英哉 安斉
Jiro Kuniya
治郎 国谷
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • G01N33/38Concrete; Lime; Mortar; Gypsum; Bricks; Ceramics; Glass
    • G01N33/388Ceramics
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    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
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  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水中での材料の応力腐食割れの解析に不可欠
な新生面での亀裂先端電位を求め、さらに亀裂進展速度
を求める方法を提供する。 【構成】 予め形成した亀裂とその先端に対向する隙間
を有する試験片と、その隙間に設けられた参照電極と、
亀裂に負荷をかける手段とからなる亀裂先端電位測定装
置を、腐食環境水中に浸漬し、負荷手段により亀裂先端
を進展させて隙間に亀裂先端が露出した時に参照電極に
より亀裂先端の新生面の電位を求め、その新生面の電位
と、試験片の亀裂先端以外の部位で測定した電位と、水
質センサにより検出する水質により決められるカソード
分極曲線とを境界条件として、数値解析により隙間先端
で起るアノード反応の分極曲線を求め、そのアノード反
応の分極曲線から亀裂先端に流れる電流密度を算出し、
その電流密度を基にファラデーの法則により腐食環境水
中での亀裂の進展速度を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腐食環境にさらされて
いる構造材の健全性向上に係り、とくにその応力腐食割
れなどに関与する新生面が出ている亀裂先端の電位測
定、亀裂進展速度の測定及び水質制御システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】亀裂先端又は隙間先端の電位を測定する
手法としては、プロシィーディングオブ ザ セカンド
インターナショナル アトミック エネルギー エー
ジェンシー スペシャリスト ミーティング オン サ
ブクリテカル クラック グロース vol.2, 21
9 (1985)(Proceedings of the Second Interna
tional Atomic Energy Agency Specialists' Meeting o
n Subcritical CrackGrowth vol.2, 219 (1985))に記載
されているように、測定対象物に穴を開け、その穴に外
部参照電極のテフロンキャピラリーを挿入し、隙間内の
電位を測定することでその隙間の先端部に位置する亀裂
先端の電位を測定していることとしている。
【0003】亀裂先端の電位をシミュレーションする手
法としては、コロージョン サイエンス vol.29 1149 (1
989) (Corrosion Science,vol.29,1149 (1989))に記載
されている。すなわち隙間先端でアノード反応が生じ、
一方、バルクの表面でカソード反応が生じると仮定し、
それぞれの反応の分極曲線を予め求めておき、それを境
界条件として有限要素法を用いて亀裂先端の電位を求め
るものである。
【0004】亀裂の進展速度を直接測定する手法として
は、インターナショナル ジャーナル オブ プレッシ
ャー ベッセル アンド パイピング 34 3 (1
988)(Int. J. Pres. Ves. & Piping 34 3 (1988)
や特開平3−189538号公報に記載されているよう
に、材料に電流を流し、ポテンシャルドロップ測定する
方法がある。これを利用したセンサとして、DCBセン
サ、CAVSセンサ、PCMセンサ等(総称 亀裂進展
センサ)がある。これらのセンサは、亀裂を有する試験
片に電流を流し抵抗を測定することにより亀裂長さを求
めるものである。従ってある程度の時間測定することに
より、その時間に進展した亀裂量を時間で割ることによ
り亀裂進展速度を求めることができる。
【0005】また電位の測定値を用いて、応力腐食割れ
を防止する目的で原子力プラントに注入する水素量をコ
ントロールする方法がある。現在の海外のBWRで実施
されている電位測定によるモニタリングシステムには、
エプリ エヌ ピー 3521、 メイ、1984(EP
RI NP-3521 May,1984),エプリ エヌ ピー 351
7、 メイ、1984(EPRI NP-3517 May,1984),コロ
ージョン ’83 ペーパーナンバー 122(Corrosi
on ’83 PAPER NUMBER 122)、及びコロージョン’83
ペーパーナンバー 129(Corrosion ’83 PAPER NU
MBER 129)に記載されているように一次冷却材中におけ
るステンレス鋼の腐食電位を測定するものがある。一次
冷却水中の酸素濃度を規制して応力腐食われを防ぐ対策
が講じられている。これは、ステンレス鋼SUS304
の電位が−230mV以下であれば、応力腐食割れ(S
CC)を起こさない事に起因している。これに関しては
特開昭57−3086号公報に記載されている。これ
は、一次冷却水中のステンレス鋼の腐食電位、溶存酸素
濃度及び溶存水素濃度を測定し、腐食電位が−250〜
−600mV,溶存酸素濃度10〜50ppb,溶存水
素濃度150ppb以下になるように溶存水素量をコン
トロールすることを特徴とするシステムと成っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の亀裂先端の電位
の検出法では、応力腐食割れに関与する新生面の出てい
る亀裂先端の電位を測定することは出来ない。実際の応
力腐食割れが生じている亀裂先端部は活性溶解が起きて
おり裸の金属の表面が出ているのに対して、隙間内に参
照電極のキャピラリーを挿入することで亀裂先端の電位
の測定の代用とする手法では亀裂先端部は不働態化して
いるため、亀裂進展速度に関与する亀裂先端の電位に関
する真の情報すなわち新生面が出ている亀裂先端の電位
を得ることは出来ない。さらにキャピラリーにテトラフ
ルオロエチレンを使用しているためにγ線下ではテトラ
フルオロエチレンの劣化によりこの手法を使用すること
は出来ない。
【0007】亀裂先端の電位を求めるのにラプラスの方
程式をある境界条件の基で解く手法があるが、この手法
ではアノード及びカソード分極曲線の情報が必要であ
る。これらの分極曲線は環境が変われば変化するため
に、環境がバルクのそれとは異なる隙間内におけるアノ
ード分極曲線の情報を得ることは困難である。そればか
りかアノード分極曲線の情報は今回得ようとしている亀
裂先端の情報の一つであるために、この手法は亀裂先端
の情報を得るには適切ではない。
【0008】亀裂進展センサを用いた亀裂進展速度を求
める方法では、前述したようにある程度亀裂が進展しな
いとその検出ができないために、数日程度の時間を要す
る。
【0009】電位、溶存酸素濃度および溶存水素濃度を
測定することより水素注入量をコントロールするシステ
ムにおいて、測定している電位はあくまでバルクの電位
であり応力腐食割れが進行している新生面が露出してい
る亀裂先端電位を測定しているものではないために、適
切な条件になるように水素量をコントロールできなくな
る可能性がある。
【0010】本発明の目的は、第1に材料における応力
腐食割れの解析に不可欠な新生面の出ている亀裂先端の
電位を求める方法を、第2にその亀裂先端の電位及び材
料のバルクの電位から亀裂の進展速度を求める方法を、
第3にこの手法を用いて求めた亀裂進展速度の情報をも
とにプラントにおける水質コントロールを行う方法を与
えることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に以下に述べる手段を用いる。上記第1の目的を達成す
るために、本発明の亀裂先端電位測定方法は、予め形成
した亀裂とその亀裂の先端に対向して形成された穴ある
いは隙間を有する試験片と、穴あるいは隙間に挿入され
先端に微小穴を設けた絶縁性の筒内に設けられた参照電
極と、亀裂を開く方向に負荷をかける負荷手段とからな
る亀裂先端電位測定装置を、腐食環境水中に浸漬し、負
荷手段により亀裂先端に負荷をかけ、亀裂先端を進展さ
せて穴あるいは隙間に亀裂先端の新生面を露出させ、そ
の新生面の電位を参照電極により測定すること特徴とし
ている。
【0012】そして穴あるいは隙間への亀裂先端の新生
面の露出は、参照電極により測定する電位を、新生面の
露出後に不働体化された亀裂先端面について予め求めた
電位と比較して所定以上の差を生じたことをもって検知
するのがよい。
【0013】また、上記第2の目的を達成するために、
本発明の第1の亀裂進展速度測定方法は、上記亀裂先端
電位測定装置を用いて測定する新生面の電位と、試験片
の隙間以外の部位に設けた別の参照電極で測定した部位
の電位と、試験片の近傍に設置した水質センサにより検
出する溶存酸素濃度、溶存水素濃度で代表される水質に
より決められるカソード分極曲線と、を境界条件とし
て、境界要素法、有限要素法および差分法で代表される
数値解析を用いてラプラスの方程式を解くことにより隙
間先端で起るアノード反応の分極曲線を求め、その分極
曲線と新生面の電位とから新生面に流れる電流密度を求
め、その電流密度を基にファラデーの法則により、亀裂
の進展速度を求めることを特徴としている。
【0014】さらに連続的に亀裂進展速度を求めるため
に、本発明の第2の亀裂進展速度測定方法は、上記亀裂
先端電位測定装置により測定した新生面の電位と、試験
片の穴あるいは隙間の底面以外の部位に設けた別の参照
電極で測定した部位の電位と、試験片の近傍に設置した
水質センサにより検出する溶存酸素濃度、溶存水素濃度
で代表される水質から決められるカソード分極曲線と、
を境界条件として、境界要素法、有限要素法および差分
法で代表される数値解析を用いてラプラスの方程式を解
くことにより隙間先端で起るアノード反応の分極曲線を
各種腐食環境水について求め、その各種腐食環境水中で
の新生面の電位、試験片の隙間先端以外の部位の電位、
及び隙間先端で起るアノード反応の分極曲線をデータベ
ース化しておき、亀裂先端電位測定装置と同一の大きさ
で、同一の穴あるいは隙間を有する別の試験片とその別
の試験片に前記試験片と同一の部位に設けた参照電極と
からなる試験片電位測定装置をある腐食環境水中に浸漬
し、その試験片電位測定装置により求めた亀裂先端以外
の部位の電位と、別の試験片の近傍に設置した水質セン
サにより検出する溶存酸素濃度、溶存水素濃度で代表さ
れる水質と、前記データベース化した、新生面の電位、
隙間以外の部位の電位及びアノード反応の分極曲線のデ
ータと、を基に亀裂先端に流れる電流密度を算出し、そ
の算出した電流密度を基にファラデーの法則により、あ
る腐食環境水中での亀裂の進展速度を求めることを特徴
とする。
【0015】また、上記第3の目的を達成するために、
本発明の水質制御方法は、上記第2の亀裂進展速度測定
方法により、プラント内の給水中での構造材料の亀裂進
展速度を算出し、その算出した亀裂進展速度が所定値以
下になるように給水の水質を制御することを特徴とす
る。その水質の制御は、プラント内の給水中にNOx注
入、酸素注入及び水素注入で代表される手法により行
う。この水質の制御は原子力プラントにおいて特に有効
であり、この方法で求めた亀裂進展速度がプラントの健
全性を保つのに必要な値になるようにプラントの水質を
コントロールすることでプラントの適切な運転が可能と
なる。
【0016】
【作用】亀裂先端部に新生面を出すために、隙間内部に
参照電極を挿入し、それとは別の方向から亀裂を進展さ
せ、その亀裂が隙間先端部に達した瞬間に隙間先端部に
新生面が現れるために、新生面の出ている隙間先端の電
位を測定することが可能となる。さらにそのまま電位測
定を継続することにより、材料の不働態化挙動も追うこ
とができる。亀裂を進展させる方法としては、亀裂の先
端に応力を負荷させるための金属片をかませることによ
る。
【0017】亀裂進展センサを使用せず亀裂進展速度を
求める手段としては、以下に述べる手法がある。新生面
の出ている亀裂先端の電位及びそれから離れた点におけ
る電位及びバルクの電位、水質(DO,DH等)を測定
する。水質条件から起こっているカソード反応を決定す
る。これは予め水質が既知の溶液内でカソード分極曲線
を種々測定しておき、それと得られた水質情報とを照合
することで得られる。ラプラスの方程式を用いて、電位
情報と境界条件の一つであるカソード反応の分極曲線
(近似式)から亀裂先端で起こっているアノード反応の
分極曲線を求める。それより亀裂先端におけるアノード
電流密度を求めることにより亀裂先端の電位を求めるこ
とが出来る。ここでは、境界要素法、有限要素法、差分
法等の数値解析の手法を用いることで達せられる。
【0018】
【実施例】
〔実施例1〕本発明に関する一実施例を図1及び図2を
用いて説明する。図1は腐食環境にある材料に生ずる亀
裂の先端の電位を測定するための亀裂先端電位測定装置
である。この装置は特に亀裂先端に現われる、未だ酸化
皮膜が生じていない新生面をとらえて、その新生面の電
位をγ線環境下においても測定できるものである。その
亀裂先端電位測定装置は、概して予め予備亀裂4を形成
した亀裂先端電位測定用試験片1(以下試験片1とい
う)と、予備亀裂4の先端に対向するように試験片1に
形成した小穴2に挿入した絶縁性の筒3内に設けた参照
電極5と、予備亀裂4の先端が進展するように予備亀裂
4を開く方向に荷重をかけているボルト7とから構成さ
れている。
【0019】試験片1は一般的には腐食環境にある測定
対象の構造材料と同一の材質からなる。試験片1に形成
した小穴2は直径数mmで、それに挿入された絶縁性の筒
3の先端(図1の下端)には電位検出液絡用の数十ミク
ロンの小孔6を空けており、他方の元端(図1の上端)
は亀裂先端電位測定用内部参照電極5が挿入できる内径
となっている。前記絶縁性の筒3は、Al2O3,ZrO2などの
セラミックスやポリイミドなどで形成されている。尤も
筒3の材料はγ線、高温水に耐える高耐食性、高絶縁性
のものであれば良い。これにより測定対象の亀裂先端電
位測定用試験片1にあけた孔の周方向における電位に及
ぼす影響を除去することが出来る。ボルト7をねじこむ
ことによって亀裂に応力を負荷した状態で亀裂4が進展
している間は、亀裂先端部では常に亀裂先端電位測定用
試験片1の溶出反応が生じているために、常に酸化皮膜
が存在しない新生面が露出している。そのために亀裂4
が進展し内部参照電極が挿入してある穴2の先端部に亀
裂が到達した瞬間の電位が、酸化皮膜が存在しない新生
面が出ている亀裂先端部の電位値として測定される。
図2は、107R/hのγ線、288℃の高温水、導電
率が0.07μS/cmの環境下において、亀裂先端電
位測定装置が測定した結果で、新生面が出ている亀裂先
端部の電位がバルク(隙間外)における溶存酸素濃度の
変化によってどのように変化するかを示している。バル
クの溶存酸素濃度が上昇しても、新生面が出ている亀裂
先端部の電位は約−650mVとほとんど一定であるこ
とが分かる。
【0020】〔実施例2〕次に、本発明の他の実施例を
図3、図4、図5、図6及び図7を用いて説明する。本
実施例の亀裂先端電位測定装置は、隙間内の新生面が出
ている亀裂先端部の電位及び隙間外の電位の測定値、お
よびバルクの水質の測定値より、亀裂先端部におけるア
ノード分極曲線を境界要素法を用いて求め、それより亀
裂進展速度を求めるために用いるものである。
【0021】図3は、図1で示した亀裂先端電位測定装
置に、測定対象の試験片1の新生面が出ている亀裂先端
の電位のほかにバルクの電位が測定できるように隙間2
の外部にバルク電位測定用内部参照電極8と、さらに水
質を測定する酸素、水素および過酸化水素等を測定する
ことのできる水質センサ9とを設置させた別の亀裂先端
電位測定装置ものである。バルク電位測定用内部参照電
極8は亀裂先端電位測定用内部参照電極5と同じ構造を
している。試験片には8本のリード線がつながってお
り、その内試験片2の端面で亀裂のある面に接続され、
電流を流すためのリード線10aであり、残りが試験片
2内の予備亀裂4の面を両側面から挾むように接続され
た電位差測定用リード線10bである。
【0022】この装置を使用した場合、亀裂進展速度を
求めるには2つの方法がある。一つは公知例にある抵抗
を用いたもので、他の一つは本発明によるものである。
公知例にある抵抗を用いる場合は、リード線10aを通
じて試験片に電流を流し、電位測定用リード線10bを
用いて電位を測定し、オームの法則を用いて抵抗を求め
る。電流は亀裂先端と小穴2の底間の部分を流れるため
に、亀裂が進展していくとその距離が短くなり、抵抗が
増大する。そのために抵抗の変化の度合いを測定するこ
とにより亀裂進展速度を測定できる。
【0023】一方、本発明のかかる方法によれば、水質
センサ9の情報より水質が関与した酸化還元反応の分極
曲線を得る。測定系に酸素のみが存在する場合、酸化還
元反応は次の(1)式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】この反応の分極曲線は次のバトラーボルマ
ーの式で表現される。
【0026】
【数2】
【0027】この拡散限界電流は次の(3)式で計算さ
れる。
【0028】
【数3】
【0029】さらに交換電流密度は次の(4)式で表さ
れる。
【0030】
【数4】
【0031】バルクの濃度は水質センサ9で測定するこ
とができる。Re,Sc,dは構造で決定される因子で
ある。標準交換電流密度及び移動係数は反応に固有であ
るために、予め既知の濃度で測定して求めておく。水質
センサによって系には溶存酸素濃度が200ppb存在
していることが分かれば(2)式によって、その分極曲
線は図4で与えられる。一般に腐食反応(この場合は亀
裂の進展)が生じている場合は、アノード側は試験片の
溶出反応に支配され、水質因子はカソード反応となるた
めここでは(1)式に関してカソード側のみ記述してい
る。
【0032】一般には亀裂内及び亀裂外の試験片周辺の
電位分布はラプラスの方程式を用いて求められる。
【0033】
【数5】
【0034】境界条件としてアノード及びカソード反応
の分極曲線を近似した式を用いる。この場合は、亀裂の
先端部をアノードとして亀裂外の部分をカソードの領域
とする。すなわち基本境界条件として(6)式を用いる
【0035】
【数6】
【0036】また自然境界条件として(7)式を用い
る。
【0037】
【数7】
【0038】ここでinは境界における法線方向の電流
密度であり、アノード及びカソード反応の分極特性で与
えられ、
【0039】
【数8】
【0040】(8),(9)式の様に表現される。ここ
では基本境界条件の(6)式も未知であるために、これ
に替わる条件としてアノード及びカソードから電場に出
入りする電流の総和が0になる次式を境界条件に加え
る。
【0041】
【数9】
【0042】この境界条件を使用してラプラスの方程式
(5)を解くことにより電位分布を求めることができ
る。このラプラスの方程式(5)を解く手法として境界
要素法、有限要素法、差分法等がある。これらの手法は
実際には電気防食等の評価に使用されている。
【0043】本発明は従来の方法とは異なり、測定した
亀裂先端の電位、バルクの電位(電位分布(6)の基本
境界条件に相当する)及び水質センサで測定したカソー
ド反応の分極曲線(たとえば図4)を境界条件として、
ラプラス方程式(5)を解くことにより、アノード分極
曲線(8)式を求めることになる。この場合においても
ラプラスの方程式を解く方法として数値解析法である境
界要素法、有限要素法、差分法等が使用できる。従来の
手法は実際には電気防食等の評価に使用されている。本
方式は従来の方法のいわば逆の手法であり、従来の方法
では境界条件は分極曲線であり答えが電位分布であるの
に対して、本方式では境界条件が電位分布であり答えが
分極曲線となる。即ち方程式は(5)式、境界条件は図
4のカソード分極曲線(9)式、(6)式(電位分布で
あり亀裂先端の電位やバルクの電位に対応する)、及び
(7)式であり、(8)式を得ることを目的としてい
る。これらの方程式解くことは煩雑な作業である。現在
においては、上記数値解析法に関してプログラムが開発
されており、形状が複雑な場合においても方程式および
境界条件を入れてやれば解を得ることができる。
【0044】この場合、実測の亀裂先端の電位、バルク
の電位等の実測の電位分布の情報が多いほど精度が高く
なる。従って、図5に示すように多くの参照電極を隙間
内に挿入し、また隙間外に設置すれば良い。図5におい
ては、図1の場合とは異なり隙間2と交差する横方向に
絶縁性の筒を通す穴を開けてあるが、基本的な構造には
差はない。図6は、図5の装置により得たデータを用い
て求めたアノード分極曲線である。求まるアノード分極
曲線の電流はmA/cm2の単位である。電位の実測値
と比較することにより、亀裂先端におけるアノード電流
密度を求めることができる。例えば、亀裂先端で皮膜が
存在しない新生面の電位が−580mVであった場合、
亀裂先端の(アノード)電流密度は図6から0.3mA
/cm2であることが求められ、この電流密度とファラ
デーの法則により次式にように亀裂進展速度を求めるこ
とができる。(亀裂進展速度=アノード電流/ファラデ
ー定数・材料の分子量・材料の密度)
【0045】
【数10】
【0046】ここで96500c/molはファラデー
定数、56g/moleは試験片(鉄)の分子量、7g
/cm3は比重である。1000はmAをAになおす換
算係数である。図5の装置を用いて求めた亀裂進展速度
は、2.5×10~8cm/sであり、抵抗測定によって
求めた値は3.2×10~8cm/sであり、7×10~9
cm/sの範囲でこれらのデ−タは良い一致を示す。こ
の測定条件は、溶存酸素濃度が150ppbの場合であ
る。本実施例に示したように亀裂内外の電位及び水質を
測定することにより亀裂の進展速度を求めることができ
る。
【0047】図5に示した装置では、公知例による方法
では常時亀裂進展速度を求めることができるが、本発明
による方法では亀裂先端が隙間先端に達した瞬間に時点
における亀裂進展速度しか求めることができない。しか
し、図2に示すように溶液中に溶存酸素のみが存在する
場合、新生面が出ている亀裂先端の電位は約−580m
Vと一定であるために、亀裂先端の電位を測定しなくと
も図7に示すように亀裂先端の電位を除く電位分布と水
質センサによる水質とを測定することにより亀裂進展速
度を求めることができる。溶液中に溶存酸素以外のもの
が共存(たとえば水素とか過酸化水素)する場合におい
ても、図1に示す装置で種々の環境中で予め亀裂先端の
電位を測定しデータベースを作成しておけば、水質セン
サで測定した水質における亀裂先端の電位をデータベー
スから呼び込むことにより、図7に示す装置により得る
データを用いて亀裂進展速度を評価することができる。
この手法は瞬時に亀裂進展速度を求めることができると
いう利点を持つ。亀裂進展速度を求める場合に要する時
間はコンピュータの演算時間のみである。公知例による
方法は抵抗の変化で測定した亀裂の進展量を時間で割る
ことで亀裂進展速度を測定するが、この方法では亀裂が
ある程度進展しないと値を求めることができず測定に時
間がかかるだけでなく、測定感度も非常に悪い。しかし
バックアップの意味で本発明の装置にリード線10a,
bを付け抵抗変化で亀裂進展速度を求めることには意義
がある。
【0048】〔実施例3〕前記実施例の亀裂進展速度評
価装置(図7)を原子力プラントに適用した例を図8,
9を用いて説明する。
【0049】原子力プラントの一次系等の水が関与した
系統には再循環系12、PLR系13、給水系14及び
原子炉内15等があるが、本実施例に関しては原子力プ
ラントの中でも一番腐食環境の厳しい原子炉炉心部16
に本発明における亀裂進展速度を求める装置17を設置
した。炉心部に装着する場合センサは小型でかつ耐久性
があること必要である。また常時モニタをすることを考
慮して図7に示した装置を使用した。図7に示す装置
は、中性子計装管18を通して炉心部16に挿入されて
いる。複数の隙間内電位測定用内部参照電極11及び複
数のバルク電位測定用内部参照電極を用いて炉心部の1
6の電位分布が、それと同時に水質センサ9を用いて炉
心部の水質が測定システムによって測定される。測定シ
ステムで測定された電位及び水質情報はコンピュータ演
算システム20におくられ、亀裂先端電位データベース
システム21からおくられた測定された水質での亀裂先
端の電位情報と合わせて亀裂進展速度が実施例2で示す
手法で計算される。計算結果は表示システム22に表示
される。表示システム22では亀裂進展速度/時間、亀
裂進展速度/亀裂先端電位、亀裂進展速度/水質、亀裂
先端電位/時間、水質/時間等任意の表示をすることが
できる。その表示例を亀裂進展速度/時間に関して図9
に示す。測定開始後400時間後より亀裂進展速度が上
昇しているのがわかる。
【0050】〔実施例4〕本実施例の水質コントロール
システムは、実施例3のシステムに水質コントロ−ル機
能25を付加させたものである。図10及び図11を用
いて説明する。
【0051】図10はそのシステムを示す。炉内に挿入
した亀裂進展速度を求める装置17(図7)の構成要素
である複数の隙間内の電位を測定する内部参照電極11
及び複数のバルク電位を測定用する内部参照電極8から
の測定値及び亀裂先端電位データベースシステム21か
らの電位情報をコンピュ-タ演算システム20によって
解析され亀裂進展速度に変換される。その結果をもとに
水質コントロール機能によって水質コントロールがなさ
れる。水質コントロールはガス系では水素、酸素等が注
入される。また液体もしくは固体系では鉄イオン、鉄ク
ラッド、亜硝酸イオン、酸素等が注入される。
【0052】図11は本実施例の水質コントロールシス
テムにより制御されて、給水中に水素が注入された例を
示している。実施例2で示した手法を用いて求めた亀裂
進展速度は、500時間以降で上昇し始めている。ここ
で1000時間が経過した時点で危険値を超えたために
給水系へ水素注入の指令が発せられている。この水素注
入によって炉内の腐食環境が緩和され、ただちに亀裂進
展速度が減少し始めていることがわかる。
【0053】図12は前記各実施例で使用した参照電極
の構造を示す。参照電極は、リ−ド部C−D、圧力境界
部B−D及びセンサー部A−Bから成る。リード線C−
Dには熱電対で使用されているMIケーブル(Mineral I
nsulated Cable)を使用している。圧力境界部B−Dに
は、サファイアを使用したセラミックス端子30を使用
しており、これによってリード部C−Dとセンサー部と
A−Bを絶縁している。センサーとしてAg/AgCl電極を
使用しており、これは銀線29の周りに塩化銀28が着
いている構成となっといる。AgClから溶出するCl~イオ
ンを一定濃度に保つためにAg/AgCl電極はセンサーシー
ス27内に置かれている。液絡26のためにセンサシー
スの先端に直径0.05mmの穴が複数個あけられてい
る。この穴の径は、拡散によるCl~イオンの流出を極力
抑制するために、イオンの移動が可能な範囲でできるだ
け小さい方がよい。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、亀裂先端電位測定方法
を、予め形成した亀裂とその先端に対向する穴あるいは
隙間を有する試験片と、その穴あるいは隙間設けられた
参照電極と、亀裂に負荷をかける手段とからなる亀裂先
端電位測定装置を、腐食環境水中に浸漬し、負荷手段に
より負荷をかけ、亀裂先端を進展させて穴あるいは隙間
に亀裂先端が露出した時に参照電極により亀裂先端の電
位を測定するものとしたので、亀裂先端の新生面の電位
を測定でき、その新生面の電位を用いて応力腐食割れの
機構の解明を行なうことが出来る。
【0055】また、本発明の第1の亀裂進展速度測定方
法によれば、上記亀裂先端電位測定装置を用いて測定す
る新生面の電位と、試験片の隙間以外の部位で測定した
電位と、水質センサにより検出する水質により決められ
るカソード分極曲線と、を境界条件として、数値解析を
用いてラプラスの方程式を解くことにより隙間先端で起
るアノード反応の分極曲線を求め、その分極曲線と新生
面の電位とから新生面に流れる電流密度を求め、その電
流密度を基にファラデーの法則により、亀裂の進展速度
を求めることができる。
【0056】さらに本発明の第2の亀裂進展速度測定方
法によれば、上記第1の亀裂進展速度測定方法により求
めた新生面の電位、試験片の隙間先端以外の部位の電
位、及び隙間先端で起るアノード反応の分極曲線をデー
タベース化しておき、亀裂進展速度を求める際に、上記
亀裂先端電位測定装置と同一の大きさで、同一の穴ある
いは隙間を有する別の試験片とその別の試験片に前記試
験片と同一の部位に設けた参照電極とからなる試験片電
位測定装置をある腐食環境水中に浸漬し、その試験片電
位測定装置により求めた亀裂先端以外の部位の電位と、
水質センサにより検出する水質と、前記データベース化
した各データと、を基に亀裂先端に流れる電流密度を算
出し、その算出した電流密度を基にファラデーの法則に
より、ある腐食環境水中での亀裂の進展速度を求めるの
で、亀裂進展速度をその亀裂が伸びるのを待つことなし
に求めることができ、即座にプラント構成材料の健全性
評価が可能となる。
【0057】また、本発明の水質制御方法によれば、上
記第2の亀裂進展速度測定方法により、プラント内の給
水中での試験片の亀裂進展速度を算出でき、その算出し
た亀裂進展速度がを基に、プラント内の給水中にNOx
注入、酸素注入及び水素注入等により水質を制御できる
ので、常にプラントを最適条件で運転することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】亀裂先端電位測定装置を示す図である。
【図2】亀裂先端電位のバルクの溶存酸素濃度依存性を
示す図である。
【図3】亀裂進展速度を測定するための装置を示す図で
ある。
【図4】水質情報から得られたカソード分極曲線を示す
図である。
【図5】亀裂進展速度を測定価するための別の装置の構
成図である。
【図6】隙間内及び隙間外の電位から求めた亀裂先端部
のアノード分極曲線を示す図である。
【図7】亀裂先端電位を測定するまた別の装置の構成を
示す説明図である。
【図8】原子力プラント内亀裂進展速度評価システムを
示す図である。
【図9】原子炉内における亀裂進展速度の時間変化を示
す図である。
【図10】亀裂進展速度評価システムと水質コントロー
ルシステムを示す図である。
【図11】亀裂進展速度と水素注入との相関を示す図で
ある。
【図12】亀裂進展速度の測定に用いる参照電極の断面
図である。
【符号の説明】
1 亀裂先端電位測定用試験片 2 小穴 3 絶縁性の穴 4 予備亀裂 5 亀裂先端電位測定用内部参照電極 6 電位検出用小穴 7 応力負荷用ボ
ルト 8 バルク電位測定用内部参照電極 9 水質センサ 10a、10b
リード線 11 隙間内電位測定用内部参照電極 12 再循環系 13 PLR系 14 給水系 15 原子炉 16 原子炉炉心 17 亀裂進展速
度を求める装置 18 中性子計装管 19 測定システ
ム 20 コンピュータ演算システム 21 亀裂先端電位データベースシステム 22 測定システム 23 タービン 24 復水器 25 水質コント
ロール機能 26 液絡部 27 センサシー
ス 28 AgCl 29 Ag 30 絶縁材 31 センサアダ
プタ 32 MIケーブル
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 17/02 G21D 3/08 GDB G 7808−2G (72)発明者 山内 博史 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 安斉 英哉 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 国谷 治郎 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め形成した亀裂と該亀裂の先端に対向
    して形成された穴あるいは隙間を有する試験片と、前記
    穴あるいは隙間の底面に先端の微小穴を向けて挿入され
    た絶縁性の筒内に設けられた参照電極と、前記亀裂を開
    く方向に負荷をかける負荷手段とからなる亀裂先端電位
    測定装置を、腐食環境水中に浸漬し、前記負荷手段によ
    り亀裂先端に負荷をかけ、亀裂先端を進展させて前記穴
    あるいは隙間に該亀裂先端の新生面を露出させ、該新生
    面の電位を前記参照電極により測定すること特徴とする
    亀裂先端電位測定方法。
  2. 【請求項2】 前記穴あるいは隙間への亀裂先端の新生
    面の露出は、前記参照電極により測定する電位が、前記
    亀裂先端電位測定装置と同種の亀裂先端電位測定装置を
    用いて新生面の露出後に不働体化された亀裂先端面につ
    いて予め求めた電位より所定以上の差を生じたことをも
    って検知することを特徴とする請求項1記載の亀裂先端
    電位測定方法。
  3. 【請求項3】 予め形成した亀裂と該亀裂の先端に対向
    して形成された穴あるいは隙間を有する試験片と、前記
    穴あるいは隙間の底面に先端の微小穴を向けて挿入され
    た絶縁性の筒内に設けられた参照電極と、前記亀裂を開
    く方向に負荷をかける負荷手段とからなる亀裂先端電位
    測定装置を、腐食環境水中に浸漬し、前記負荷手段によ
    り亀裂先端に負荷をかけ、亀裂先端を進展させて前記穴
    あるいは隙間に該亀裂先端に新生面の露出させ、前記参
    照電極により測定する該新生面の電位と;前記試験片の
    隙間以外の部位に設けた別の参照電極で測定した該部位
    の電位と;前記試験片の近傍に設置した水質センサによ
    り検出する溶存酸素濃度、溶存水素濃度で代表される水
    質により決められるカソード分極曲線と;を境界条件と
    して、境界要素法、有限要素法および差分法で代表され
    る数値解析を用いてラプラスの方程式を解くことにより
    前記隙間先端で起るアノード反応の分極曲線を求め、該
    分極曲線と前記新生面の電位とから該新生面に流れる電
    流密度を求め、該電流密度を基にファラデーの法則によ
    り、前記亀裂の進展速度を求めることを特徴とする亀裂
    進展速度測定方法。
  4. 【請求項4】 予め形成した亀裂と該亀裂の先端に対向
    して形成された穴あるいは隙間を有する試験片と、前記
    穴あるいは隙間の底面に先端の微小穴を向けて挿入され
    た絶縁性の筒内に設けられた参照電極と、前記亀裂を開
    く方向に負荷をかける負荷手段とからなる亀裂先端電位
    測定装置を、各種腐食環境水中にそれぞれ浸漬し、前記
    負荷手段により亀裂先端に負荷をかけ、亀裂先端を進展
    させて前記穴あるいは隙間に該亀裂先端に新生面を露出
    させ、前記参照電極により測定する該新生面の電位と;
    前記試験片の穴あるいは隙間の底面以外の部位に設けた
    別の参照電極で測定した該部位の電位と;前記試験片の
    近傍に設置した水質センサにより検出する溶存酸素濃
    度、溶存水素濃度で代表される水質から決められるカソ
    ード分極曲線と;を境界条件として、境界要素法、有限
    要素法および差分法で代表される数値解析を用いてラプ
    ラスの方程式を解くことにより前記隙間先端で起るアノ
    ード反応の分極曲線を前記各種環境について求め、該各
    種腐食環境水中での前記新生面の電位、前記試験片の隙
    間以外の部位の電位、及び前記隙間先端で起るアノード
    反応の分極曲線をデータベース化しておき、前記亀裂先
    端電位測定装置と同一の大きさで、同一の穴あるいは隙
    間を有する別の試験片と該別の試験片に前記試験片と同
    一の部位に設けた参照電極とからなる試験片電位測定装
    置をある腐食環境水中に浸漬し、該試験片電位測定装置
    により求めた亀裂先端以外の部位の電位と、該別の試験
    片の近傍に設置した水質センサにより検出する溶存酸素
    濃度、溶存水素濃度で代表される水質と、前記データベ
    ース化した、新生面の電位、隙間以外の部位の電位及び
    アノード反応の分極曲線のデータと、を基に亀裂先端に
    流れる電流密度を算出し、該算出した電流密度を基にフ
    ァラデーの法則により、ある腐食環境水中での亀裂の進
    展速度を求めることを特徴とする亀裂進展速度測定方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の亀裂進展速度測定方法に
    より、前記ある腐食環境水をプラント内の給水として、
    該給水中での亀裂進展速度を求め、該亀裂進展速度が所
    定値以下になるように前記給水の水質を制御することを
    特徴とする水質制御方法。
  6. 【請求項6】 前記水質の制御は、前記プラント内に含
    まれる水中にNOx注入、酸素注入及び水素注入で代表
    される手法により行うことを特徴とする請求項5記載の
    水質制御方法。
  7. 【請求項7】 前記プラントは原子力プラントであるこ
    とを特徴とする請求項5又は6に記載の水質制御方法。
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