JP3053060U - メタルウッド型ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空本体と重量パッドとを含む特大寸法のメ
タルウッド型ゴルフクラブヘッドに関する。 【解決】 中空本体は、ソール部分と、打撃面と、ヒー
ル部分と、トウ部分と、該ヒール部分を該トウ部分に連
結するための後面部分と、上記打撃面と、上記トウ部
分、上記ヒール部分、および上記後面部分を接続するた
めのクラウン部分とにより囲まれる内凹部を含む。ヒー
ル部分はクラブシャフトを導入し、かつ接続するための
開口を含む。この開口がシャフト軸を画成する。ゴルフ
クラブヘッドの重心が、打撃面の中心の直下で、かつト
ウ部分よりもヒール部分により近い箇所に配置されるよ
う、重量パッドをソール部分に沿って本体の内凹部に配
置する。この金属製へツドの寸法と形状は、該へツド
が、中心を外れたストロークに際して、水平方向の回転
に対し抵抗を増加させるよう、重心を通過する鉛直軸Ｙ
の回りに高い慣性モーメントを有することが望ましい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 本考案は、メタルウッド型ゴルフクラブヘッドに関し、より詳しくは特大寸法 のメタルウッド型ヘッドに関する。

【０００２】 大多数のプレイヤーにとって、ボールをより遠くへとばすためにメタルヘッド （特にスチールヘッド）を有するゴルフクラブを使用することが通例になってい る。これら従来のヘッドは、ドライバーについては一般に190cc以下の体積であ る。しかしながら、著しく増加した体積を有しているが、重量と耐久力が或る一 定のパラメータ内にあるヘッドを設計することが一般的な傾向になっている。重 量および耐久力は、チタンまたはチタン系合金のような材料を使用することによ り制限される。ヘッドの体積を増加させることの主な効果は、クラブの打撃面（ 特に「スイートスポット」）拡大することにある。

【０００３】 しかしながら、本出願人は、ヘッド体積の増加には、それに比例してクラブヘ ッドの重心の移動を典型的に伴うと結論した。特に、クラブヘッドの体積が増加 すると、重心は上方へ、そしてシャフト軸から離れるように移動する傾向がある 。

【０００４】 重心が高過ぎると、（特に重心が打撃面の中心よりも高い位置にあると）、バ ックスピンが増加すると本出願人は結論した。特に、バックスピン速度は典型的 には3,500〜4,000回転／分程度である。このバックスピンの増加により、好まし くないボールの軌道変化が起こる。具体的には、ボールはより急激に上昇して、 移動距離が短くなる傾向があるが、これは「バルーン（気球）軌道」と呼ばれ、 非常に好ましくない。残念ながら、ヘッドを拡大したゴルフクラブのほとんどは 、重心の鉛直位置が不適当である（すなわち、重心の位置決めが面の中心に対し て高過ぎる）ために、バルーン軌道を生じる。

【０００５】 クラブヘッドの設計に関する第二のパラメータは、シャフト軸に対する重心の 位置である。クラブヘッドの体積が増加すると、重心はシャフト軸から離れ去る 傾向にある。このような結果を克服するためにクラブを修正しない場合、シャフ ト軸に対する慣性モーメントが大幅に増大し、スイング運動の際にヘッドを枢動 させにくくする。その結果、打撃面は、インパクト時にスイング面に対して十分 に垂直な位置に戻らない。この結果、スライス効果が生じ、右利き用クラブでは 右に、左利き用クラブでは左にボールがそれる。

【０００６】 したがって、ゴルフボールのバルーン軌道を避け、かつ打球時にゴルフクラブ ヘッドを垂直位置に容易に戻せるように配置した重心をもつ、改良されたゴルフ クラブヘッドが必要となる。この改良されたゴルフクラブヘッドは、クラブの打 撃面を拡大するという利点を達成するために、特大寸法のゴルフクラブヘッドと 、より大きなスイートスポットとを含むのが有利である。ヘッドの体積は250cc またはそれ以上が好ましい。

【０００７】 メタルウッド型の改良されたゴルフクラブヘッドを開発するための先行的な努 力は、米国特許第5,310,186号明細書（Karsten）に開示されている。この米国特 許明細書は、ヘッドのソールとクラウン部分との間で側壁に沿って配設された重 心パッドを使用するメタルウッド型のヘッドを開示している。特に、重量パッド は側壁のヒール部分に位置する。該米国特許明細書は、ヘッドの打撃面がスイー トスポットの中心から横方向に外れた点でゴルフボールを打つとき、重量パッド が、重心を通って伸びる鉛直軸を中心とする水平方向の回転または捩れに対して 、増加した抵抗をクラブヘッドに与えることを教示している。しかしながら、質 量をこの区域に配置することは、打撃面に対して十分に低い重心を達成すること を妨げ、また、この特許に開示されているように、重心を鉛直面Ａに対して後方 へ移動させ過ぎるので、メタルウッド型のヘッドにとっては好ましくない。これ らの欠点は、無論、従来のヘッドよりもヘッド全体が拡大していることにより、 さらに大きくなる。米国特許第5,310,186号は、スイートスポットが打撃面の中 心と一線整列しているとの仮定に立ち、さらに、スイートスポットと重心とが一 線整列しているので、ゴルフボールがスイートスポットの中心で打たれるとき、 クラブヘッドの回転は起こらないと教示している。以下に説明するように、これ は好ましくないと考えられる。

【０００８】 日本国公開特許出願第７−１７５０４９号明細書（Kobayashi Kenji）は、チタ ン合金から成る外側シェルを有し、その体積が240cc以上のゴルフクラブヘッド を開示している。このヘッドには、シェルの後側下部に埋め込んだチタン合金か ら成る10ｇあるいはそれ以上の錘が差し込まれている。しかしながら、この錘は 適切に配置されていないので、該ヘッドに、上記米国特許に開示されているヘッ ドと同じ欠点をもたせることとなる。

【０００９】 本出願人は、ゴルフクラブヘッドの重心を通る鉛直軸の回りで慣性モーメント を最大にすることが重要であると結論した。以下、本出願において、重心を通る 鉛直軸の回りの慣性モーメントを「Ｉｙ」とする。本出願人は、低い慣性モーメ ントの値が、目標とする軌道に対してボールを側方にそらせ、また、打撃面の中 心から側方にずれている区域で打撃が起こると、飛距離が著しく減少すると結論 した。この飛距離の減少は、主として、打撃が打撃面の中央ではなく、むしろ中 央から外れた区域で起こるとき、ボールに伝わるエネルギーが低くなるためであ る。

【００１０】 米国特許第4,432,549号明細書（Zebelean）は、トルクおよび／または偏りを 減少させるように質量が配分される総金属製のドライバーを開示している。その 質量は、上側からソール側へ向けて、またヒールからトウへ向けて増加するよう に配分される。この質量配分は重心を比較的ソール／ヒール位置に置く傾向があ り、かつ、シャフト軸を中心とする慣性モーメントを著しく増加させるので、特 大ヘッドには不適当である。その結果、ヘッドはスイング運動の際に回転がより 難しくなり、その結果シャフトにかかる応力がシャフトを破損する可能性がある 。

【００１１】 したがって、望ましくない気球（バルーン）効果を生じることなしに、十分に 直線的な軌道（すなわち「ボーリング（boring）」軌道）、打撃の瞬間における 面の適切な位置決め、およびストロークが中心を外れた場合の高い寛容度を達成 するように、重心の位置決めと慣性値Ｉｙとの適切な組合せを達成する特大ヘッ ドが必要とされる。

【００１２】 本考案の一面は、改良されたメタルウッド型ゴルフクラブヘッドである。この ヘッドは、拡大した体積を有し、一貫した長い「ボーリング」軌道を付与するよ う重心を十分低い位置に配置させ、かつスイング面に対する打撃面の適切な通常 の垂直位置を達成するよう重心をシャフト軸の近くに配置させるのが望ましい。

【００１３】 本考案の一面は、中空本体および重量パッドを含む、拡大したメタルウッド型 ゴルフクラブヘッドである。この中空本体は、ソール部分と、打撃面と、ヒール 部分と、トウ部分と、ヒール部分をトウ部分に接続する後面部分と、打撃面、ト ウ部分、ヒール部分および後面部分を接続するクラウン部分とにより取り囲まれ た内側キャビティ（内凹部）を含む。ヒール部分は、シャフトを導入して接続す るための開口を含む。開口は軸を画定する。重量パッドは本体のキャビティ内で ソール部分に沿って配置されているので、ゴルフクラブヘッドの重心は打撃面の 中心下で、かつトウ部分よりもヒール部分の近くに位置している。

【００１４】 重量パッドはソール部分の区域内に位置し、該区域の平均長は、ヒール部分の 近くから、打撃面の中心を通って伸びる垂直中央面に、またはその近傍に位置す る線まで伸びるのが有利である。さらに、重量パッドの平均幅は、打撃面の近傍 からソール部分の全幅の一部だけに沿って伸びるのが好ましい。

【００１５】 本考案の別の一面は、ストロークが中心から外れた場合にヘッドが水平方向の 回転に対して増大した抵抗を有するよう、該ヘッドが、重心を通る垂直軸Ｙの回 りで高い慣性モーメント（すなわち高いＩｙ）を有するような寸法と形状を有す るメタルへツドである。

【００１６】 好ましくは、該ヘッドは、重心を通る鉛直軸の回りに300Kg・mm²またはそれ以 上の慣性モーメントＩｙを有する。好ましくは、該ヘッドは、重心を通る鉛直軸 の回りで320Kg・mm²またはそれ以上の慣性モーメントを有する。

【００１７】 本考案のメタルヘッドは、体積の大きなメタルウッド型ゴルフクラブヘッドに 使用するのに特に適する。上記のパラメータ間の相互関係の重要性は先行技術で は認識されていなかったと考えられる。しかしながら、本考案の教示により、よ り高い性能とより広い寛容度の両方を提供する特大ゴルフクラブヘッドの製造が 可能になる。

【００１８】 本考案のさらに別の一面は、ヘッドの重心が、シャフト軸を含み、かつ打撃面 に対し接線関係にあり、かつ該打撃面の中心を通って延在する水平な線に平行な 面から、或る一定の距離だけ後方に位置し、それによって或る一定の動的ロフト を与えるゴルフクラブヘッドである。このロフトはボールを引き上げ、かつ大多 数のプレイヤーによって好まれるように、ボールの左側への僅かな自然の偏りを 促進する（右利きのクラブおよびその反対のクラブについて；すなわち、左利き のクラブについては左に偏る）のが望ましい。重心と平面の間隔は11〜17mmであ るのが望ましい。好ましくは、この間隔は13〜17mmである。本出願人は、この間 隔が17mmを超えると、重心は、打撃面に対して接触関係にある垂直平行面から後 過ぎることになり、右に偏るという顕著な傾向が生じると結論した。そのように して、位置決めには矯正的な効果はなく、クラブの設計に大きな欠点をもたらす 。

【００１９】 以下に、本考案の好ましい実施態様を示す添付の図面を参照しながら、本考案 の他の特徴および利点を詳細に説明する。

【００２０】 本考案のメタルウッドヘッドの好ましい実施態様を示す図面を参照すると、ヘ ッドはソール表面10と、打撃面11と、ヒール部分12をトウ部分13に接続する後面 部分14と、このトウ部分13、ヒール部分12および後面部分14を連結するクラウン 部分15とによって画定される内側キャビティ（内凹部）４を含む体積の大きな中 空本体から成る。ヒール部分12は、上方へ突出し、かつ軸Ｉ−Ｉ’を有する管状 開口121を含むホーゼル120を備え、この管状開口内にシャフト（図示せず）を挿 入することができる。図１に示すように、打撃面は前縁部16に沿ってソール部分 10と交差し、この前縁部は底点160を有する曲線を実質的に描き、かつそれぞれ ヒールおよびトウで隆起した側方部分を有する。断面図で見た場合、この前縁部 は僅かに丸くなった縁部を含むのが好ましい。

【００２１】 図１および図２に示すように、ヘッドは重心２を有する。これらの図では、重 心の位置を打撃面の中心およびシャフト軸に関連して示す。特に、重心は本体の キャビティ内部にあるが、図１に示す重心２は打撃面11の表面上に該重心を投影 したものであり、また図２における重心２の位置はヘッドのクラウン部分15上に 該重心を投影したものである。

【００２２】 図１を参照すると、重心２は打撃面の中心を通る水平面Ｐ１の真下に位置する 。常套的に、打撃面の中心110は、底点160から出発して打撃面の上端部の接合点 170で終わる、打撃面に従う線分111の中間点と見なされる。

【００２３】 ゴルフボールのバックスピン速度を妥当な限度内に維持するよう、面Ｐ１と重 心２間の距離ａは0.5〜10mmにするのが有利である。妥当なバックスピン速度の 限度は2,700〜3,200回転／分であると考えられる。好ましくは、距離ａは0.5〜4 mmである。重心の位置が高過ぎる場合、例えば米国特許第5,310,186号明細書に 教示されているように面の中心と同一レベルにあるか、または打撃面の中心より 上にある場合、ボールに過度のバックスピンが掛かる。具体的には、ボールは約 3,500〜4,000回転／分のバックスピンを有することになる。上述したように、図 10に破線で示すような気球軌道をゴルフボールに与える傾向がある。反対に、重 心が望ましい限度内にある場合、得られる軌道はより低い角度を有し、より長く 飛び、したがって、より長いショットを打つうえで望ましい。この望ましい軌道 を図10に実線で示す。

【００２４】 ヘッド設計上のもう一つ重要なパラメータは、重心とシャフト軸Ｉ−Ｉ’との 間隔を含む成分△２である。この間隔は、ゴルフボールを打つ瞬間における打撃 面の位置合わせを決定する。特に、好ましい実施態様において、従来の特大ヘッ ドと比較して、重心はシャフト軸Ｉ−Ｉ’により近く、それによってシャフト軸 Ｉ−Ｉ’の回りで慣性モーメントを低減させている。この慣性モーメントの低下 によって、スイング運動の際にヘッドの回転がより容易となり、かつ目標とする 軌道に対してヘッドを適宜な垂直方向の位置に益々合わせ易くする。ここで、「 重心とシャフト軸の間隔」と呼ばれる成分△２は、実際にはシャフト軸Ｉ−Ｉ’ と、重心を面Ｐ２上に直角に投影することによって得られる点２００との間隔で ある。面Ｐ２は、シャフト軸Ｉ−Ｉ’を含み、かつ打撃面と接線関係にあって該 打撃面の中心110を通る水平な線Ｌと平行な面である。重心とシャフト軸との間 隔△２はシャフトＩ−Ｉ’から27mmあるいはそれ以上、33mmあるいはそれ以下で ある（すなわち、27mm≦△２≦33mm）のが有利である。好ましくは、重心は30〜 33mmの距離△２に位置する。

【００２５】 重心の位置決めをヘッドの前部と後部の間で行うこともまた、ゴルフボールの 軌道に対して重要な役割を果たす。特に、この前後の位置決めは、ギヤー効果を 調整するうえで、ゴルフボールの側方軌道にとり極めて重要である。特に、ギヤ ー効果は、クラブの打撃面によってボールに掛けられるサイドスピンである。目 標とする軌道にボールを引き戻すには、或る程度のサイドスピンが望ましいが、 過剰のサイドスピンは好ましくない。重心は、図２に示すように、面Ｐ２に対し て後方に或る一定の距離△１の所に位置するのが望ましい。面Ｐ２を重心から分 離するこの間隔△１は、好ましくは13〜17mmである。この範囲内に重心を位置決 めすることにより、クラブヘッドは顕著なギヤー効果を発揮し、このギヤー効果 によって、打撃面がボールをスイートスポットから側方に間隔を置いて外れた地 点で打つとき、ボールを目標とする軌道に引き戻す。しかしながら、距離が17mm を超えると、このギヤー効果は顕著になり過ぎてボールの軌道を適切に制御でき なくなる。

【００２６】 上述のように、本考案の好ましい実施態様は、スイートスポット区域を拡大し 、かつ高水準の慣性、特に重心を通る垂直軸Ｙの回りで高水準の慣性を提供する よう、体積が250cm³またはそれ以上、好ましくは265cm³またはそれ以上である特 大メタルウッド型クラブヘッドである。メタルウッド型ヘッドの寸法は、該ヘッ ドを水または他の液体に入れたときにヘッド（ホーゼルを含む）が排除する体積 により測定することに着目されたい。一般に、クラブヘッドは標準寸法、中間寸 法および特大寸法の三種類に分類される。本考案は、体積が250ccまたは250ccを 超える特大寸法または超特大寸法のヘッドの対象とする。これらの特徴を達成す るのに好ましい材料は、密度が4.5ｇ／cm³に近いチタンまたはチタン系合金であ る。降伏強度が120,000psi程度のTi-6A1-4Vまたは降伏強度が90,000psi程度のTi -3A1-2.5Vが好ましい。しかしながら、同様な機械的特性を有する他の材料も十 分に使用できる。例えば、アルミニウムマトリックスまたはアルミニウム系合金 との複合材料も使用できる。このようなアルミニウムマトリックス材料は密度が 2.6ｇ／cm³またはそれ以下であり、したがって、より大量の錘を適宜な箇所に再 配分可能にする。

【００２７】 特大メタルウッドヘッドに関して先に定義した重心の適宜な位置決めを達成す るためには、キャビティ内に重量パッドをソール部分10に沿って、かつヒール部 分12の近くに配置するのが望ましい。好ましくは、該重量パッド３は、ソール部 分10の区域に配置され、かつヒール部分から打撃面の中心を通る中央鉛直面の境 界またはその近傍に位置する線まで延在する平均長Ｌ１を有する。同様に、重量 パッド３は、打撃面に近い（または隣接する）線から、ソール部分の全幅の一部 のみに沿って延在する平均幅11を有するのが望ましい。図３は重量パッド３の境 界を太い破線で示し、ソール部分10の輪郭を細い破線で示す。

【００２８】 重量パッド３は、平均長Ｌ１が1.1〜2.75インチ（27.94mm〜69.85mm）で、平 均長Ｌが0.2〜2.0インチ（5.08mm〜50.8mm）である。ソール部分と重量パッド３ とによって形成される組立体の平均厚さｅ１は好ましくは0.07〜0.4インチ（1.7 78mm〜10.16mm）である。したがって、重量パッドにより覆われる区域は、該重 量パッドにより覆われる区域の外側のソール部分の平均厚さｅより大きな平均厚 さｅ１を有する。好ましくは、重量パッドが覆っている区域の外側のソール部分 の厚さｅは0.045インチ（1.143mm）あるいはそれ以上、0.055インチ（1.397mm） あるいはそれ以下（すなわち、0.055インチ≧ｅ≧0.045インチ）であり、それに よってヘッドを重くすることなく、必要な機械的耐久性を与える。好ましくは、 クラウン部分の厚さｅ３は0.045インチあるいはそれ以上、0.055インチあるいは それ以下（すなわち、0.055インチ≧ｅ３≧0.045インチ）である。

【００２９】 望ましくは、重量パッドは厚さｅよりも厚くした領域または部分を形成し、こ の領域は純粋なチタンまたはチタン系合金ヘッドの場合、５〜15ｇの付加質量と 成る。ヘッド本体が非常に軽く、かつ強い複合材料（例えば、アルミニウムマト リックス材料や密度が約2.5ｇ／cm³あるいはそれ以下のセラミック）から成る場 合、付加質量は約10ｇから約50ｇと成る。キャビティ中に追加される錘の体積を 制限するために、重量パッドには高密度の材料を選択するのが好ましい。そのよ うなヘッドでは、タングステンまたはタングステン系の材料が望ましい。

【００３０】 図３、図４および図５は、本考案の好ましい一実施態様を示し、ソール部分10 と重量パッド３とを鋳造作業によって、金属製の均質な単一ブロック集合体に成 形する。チタン系材料に関しては、ロストワックス技法を使用すると有利である 。図４に示すように、重量パッドとソール部分とで局所的に厚くした区域を形成 し、その厚さｅ１が最大厚の中央地点から離れるにつれて下方へ向けて徐々に減 少するようにするのが好ましい。この形態の質量分布により、ソールプレートの 金属供給ゲートを最大厚区域に配置させることが可能となり、鋳造作業の際、ソ ール壁の膨らんだ区域全体に金属の流れを容易にすることができる。図３に、注 入ゲートを矢印Ｄで示す。

【００３１】 重心の位置を打撃面の中心点の下に合わせ易くするために、該打撃面の厚さｅ ４は、ソール部分10からの距離が増加するにつれて減少するのが好ましい。具体 的には、打撃面11の厚さｅ４は、該打撃面とソール部分10間の接合線（前縁部） 16から、該打撃面とクラウン部分間の接合線17まで全体的に減少するのが望まし い。この厚さの減少は、打球の際に均質な変形挙動を付与するよう徐々に行うの が好ましい。他方、所望の挙動特性を与えるために、この打撃面には局部的に補 強部材を含めてもよい。

【００３２】 図６および図７は、トウ部分13近傍における打撃面の平均的な厚さｅ４を示す 。この平均厚さｅ４は、重心の位置決めをヘッドのヒール部分へ向けて行えるよ う、該ヒール部分近傍における該打撃面の厚さｅ４よりも小さい。

【００３３】 図８および図９に本考案の別の実施態様を示す。この態様によれば、重量パッ ドおよびソール部分が、接続手段によって一つに接続される２の別個の金属製部 材を形成する。ソール部分は、チタンまたはチタン系合金から成る金属板を熱間 プレスして形成するのが望ましい。この熱間プレス作業により、特定の凹形をし たソールに賦形する。この作業の際、凸状区域100、101および102を同時に形成 することができる。重量パッドを熱間プレスして相補的な形状を賦与し、ソール 上に確保した区域と完全に合致させてもよい。次いで、この重量パッドを溶接部 210によりソール部分に固定することができる。あるいは、ねじ留め、密着、接 着、等、その他の技術により、重量パッドを固定することもできよう。重量パッ ドは、組立の際に起こり得る非相容性の問題、あるいは早期腐食の問題を防止す るために、ヘッド本体と同じ材料で製造するのが好ましい。他方、この重量パッ ドは、鉛、タングステン系材料、銅−ベリリウム合金、鋼等、本体を形成する材 料よりも高密度の材料で製造することもできよう。

【００３４】 図11は、前縁部を面取りするか、あるいは丸めるときの、打撃面の中心を決定 する方法を示す。点160を、打撃面の延長線とソールの延長線とが交差する点と 考える。同様に、接続点170を、該打撃面の延長線とクラウンの延長線とが交差 する点と考える。打撃面の中心は、点160と点170間の線分上にある中間点と考え る。

【００３５】 下記の表１は、市販されている９種類のメタルウッド型ヘッド（例１〜例９） と、本考案による３種類のメタルウッド型ヘッド（例10〜例12）の測定結果を示 す。

【表１】

【００３６】 例１および例８のような、重心を本考案の記載に従って位置決めさせる先行技 術のヘッドは全て、体積が250ccまたはそれ以下であり、したがって特大ヘッド とは見なし得ない。先行技術の特大ヘッド（すなわち、例５および例６で指定さ れるもの）は、体積が265ccであり、かつ慣性値は高いが、重心の位置が非常に 高く、打撃面の中心の上にある。上記したように、特大ヘッドは典型的に重心が 過度に高い。他方、例10〜例12のヘッドは8.5゜、9.5゜および10.5゜の３種類の 異なるロフト角を有するヘッドに適合していると考えられる重心および慣性のパ ラメータを与える。

【００３７】 本考案は、その精神または必須の特徴から逸脱することなしに、他の形態で具 現化することができる。したがって、好ましい実施態様の説明は、冒頭の実用新 案登録請求の範囲によって示される本考案の範囲を限定するものではなく、例示 のためと考えるべきであり、それゆえ同等の意味および範囲に入る変形はすべて 本考案に包摂される。

【図面の簡単な説明】

【図１】メタルウッド型ゴルフクラブヘッドの好ましい
一実施態様の正面図である。

【図２】図１のヘッドの上面図である。

【図３】図１のヘッドの底面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線に沿って見た部分断面図であ
る。

【図５】図４のＢ−Ｂ線に沿って見た断面図である。

【図６】ヘッドのトウ部に近接する図４のＣ−Ｃ線に沿
って見た断面図である。

【図７】ヘッドのヒール部に近接する図４のＤ−Ｄ線に
沿って見た断面図である。

【図８】本考案の別の実施態様による、図５に類似の断
面図である。

【図９】図８のヘッドのソールパターンの界面を示す図
である。

【図１０】ボールの軌道を概略的に示す図で、同一地点
から出発して、従来の大型メタルウッドへツドを含むク
ラブを破線で示し、かつ本考案の特大ヘッドの好ましい
実施態様を含むクラブのボール軌道を実線で示す。

【図１１】クラブヘッドの打撃面の中心を測定する方法
を示す簡素化した断面図である。

【符号の説明】

２ 重心 ３ 重量パッド ４ 内凹部 １０ ソール表面 １１ 打撃面 １２ ヒール部分 １３ トウ部分 １４ 後面部分 １５ クラウン部分 １６ 前縁部 １７ 接合線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 リチャード エス．ウォーリン アメリカ合衆国．92129 カリフォルニア, サン ディエゴ，バックウィート 9099 (72)考案者 デヴィッド エル．ローズ アメリカ合衆国．92007 カリフォルニア, カーディフ，オックスフォード アヴェニ ュー 2446

Claims (33)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ソール部分と、打撃面と、シャフトを導
   入するための軸用開口を含むヒール部分と、トウ部分
   と、前記ヒール部分を前記トウ部分に連結するための後
   面部分と、前記打撃面、前記トウ部分、前記ヒール部
   分、および前記後面部分を接続するためのクラウン部分
   とによって囲まれる内凹部を有する中空本体から成る体
   積の大きなメタルウッド型ゴルフクラブヘッドにおい
   て、 重量パッド（３）を前記ソール部分に沿って前記内凹部
   に配置し、前記ヘッドが、前記打撃面の中心の直下に位
   置するとともに、全体として前記トウ部分よりも前記ヒ
   ール部分の近くに位置する重心（２）を有するようにす
   ることを特徴とする体積の大きなメタルウッド型ゴルフ
   クラブヘッド。
2. 【請求項２】 前記重量パッドが前記ソール部分の区域
   に位置し、かつ前記ヒール部分の近傍から前記打撃面の
   中心を通って延在する垂直中央面の箇所あるいはその近
   くに位置する線まで延在する平均長を有し、かつ前記ソ
   ール部分の全幅の一部分のみに沿って前記打撃面の箇所
   あるいはその近くに位置する線から延在する平均幅を有
   することを特徴とする請求項１のゴルフクラブヘッド。
3. 【請求項３】 前記重量パッドの平均長が1.1in.〜2.75
   in.（27.94mm〜69.85mm）、平均幅が0.2in.〜2.0in.
   （5.08mm〜50.8mm）であり、かつ前記ソール部分の残余
   部分の平均厚さより大である0.07in.〜0.4in.（1.778mm
   〜10.16mm）の平均厚さを該ソール部分と形成すること
   を特徴とする請求項１のゴルフクラブヘッド。
4. 【請求項４】 前記重量パッドが前記中空本体と同一の
   材料で作られることを特徴とする請求項３のゴルフクラ
   ブヘッド。
5. 【請求項５】 前記中空本体がチタンあるいはチタン系
   合金で作られることを特徴とする請求項３のゴルフクラ
   ブヘッド。
6. 【請求項６】 前記重量パッドの質量が５ｇないし１５
   ｇであることを特徴とする請求項５のゴルフクラブヘッ
   ド。
7. 【請求項７】 前記ソール部分と前記重量パッドが、鋳
   造成形作業によって得られる金属製の単一ブロック集合
   体を形成することを特徴とする請求項１のゴルフクラブ
   ヘッド。
8. 【請求項８】 前記ソール部分と前記重量パッドが、連
   結手段によって連結される２の別個の金属部材であるこ
   とを特徴とする請求項１のゴルフクラブヘッド。
9. 【請求項９】 前記ソール部分が金属板のホットプレス
   作業の間に形成され、かつ前記重量パッドが溶接によっ
   て前記ソール部分に連結されることを特徴とする請求項
   ８のゴルフクラブヘッド。
10. 【請求項１０】 ヘッドの体積が少なくとも２５０ccで
    あることを特徴とする請求項１のゴルフクラブヘッド。
11. 【請求項１１】 ヘッドの体積が少なくとも２６５ccで
    あることを特徴とする請求項１のゴルフクラブへツド。
12. 【請求項１２】 前記重量パッドが中空本体より密度の
    高い材料で作られることを特徴とする請求項１のゴルフ
    クラブヘッド。
13. 【請求項１３】 前記中空本体が密度2.6ｇ／cm³または
    それ以下の金属製複合材料で作られることを特徴とする
    請求項１のゴルフクラブヘッド。
14. 【請求項１４】 前記重量パッドの質量が10ｇないし50
    ｇであることを特徴とする請求項１２のゴルフクラブヘ
    ッド。
15. 【請求項１５】 前記重量パッドの質量が５ｇないし15
    ｇであることを特徴とする請求項１２のゴルフクラブヘ
    ッド。
16. 【請求項１６】 該ヘッドの重心が、0.5mmないし10mm
    の距離を置いて前記打撃面の中心を通って延在する水平
    面の下方に位置することを特徴とする請求項１のゴルフ
    クラブヘッド。
17. 【請求項１７】 該ヘッドの重心が、0.5mmないし４mm
    の距離を置いて前記打撃面の中心を通って延在する水平
    面下に位置することを特徴とする請求項１のゴルフクラ
    ブヘッド。
18. 【請求項１８】 該ヘッドの重心が、シャフト軸から27
    mmないし33mmの箇所に位置することを特徴とする請求項
    １のゴルフクラブヘッド。
19. 【請求項１９】 該ヘッドの重心が、シャフト軸から30
    mmないし33mmの箇所に位置することを特徴とする請求項
    １のゴルフクラブヘッド。
20. 【請求項２０】 該ヘッドの重心が、シャフト軸を含
    み、かつ前記打撃面に対して接線関係にある水平な線に
    平行で、かつ該打撃面の中心を通って延在する平面から
    11mmないし17mmの箇所に位置することを特徴とする請求
    項１のゴルフクラブヘッド。
21. 【請求項２１】 該ヘッドの重心が、シャフト軸を含む
    とともに前記打撃面に対して接線関係にある水平な線に
    平行で、かつ該打撃面の中心を通って延在する平面から
    13mmないし17mmの箇所に位置することを特徴とする請求
    項１のゴルフクラブヘッド。
22. 【請求項２２】 該ヘッドが、重心を通って延在する鉛
    直軸に対して慣性モーメントを有し、該慣性モーメント
    は300kg・mm²あるいはそれ以上であることを特徴とする
    請求項１のゴルフクラブヘッド。
23. 【請求項２３】 該ヘッドが、重心を通って延在する鉛
    直軸に対して慣性モーメントを有し、該慣性モーメント
    は320kg・mm²あるいはそれ以上であることを特徴とする
    請求項１のゴルフクラブヘッド。
24. 【請求項２４】 前記打撃面の厚さが、全体として、該
    打撃面とクラウン部分間の接合線から該打撃面とソール
    部分間の接合線まで、垂直方向に減少することを特徴と
    する請求項１のゴルフクラブヘッド。
25. 【請求項２５】 前記ヒール部分の直近における前記打
    撃面の厚さが、前記トウ部分の直近における該打撃面の
    厚さより厚いことを特徴とする請求項２４のゴルフクラ
    ブヘッド。
26. 【請求項２６】 前記打撃面の厚さが、前記トウ部分の
    直近で0.125in.（3.175mm）あるいはそれ以下の最小値
    と、前記ヒール部分の直近で0.135in.（3.429mm）ある
    いはそれ以上の最大値との間で変化することを特徴とす
    る請求項２５のゴルフクラブヘッド。
27. 【請求項２７】 前記重量パッドが重なり合う区域外
    で、前記ソール部分の厚さが、0.055in.（1.397mm）あ
    るいはそれ以下、また0.045in.（1.143mm）あるいはそ
    れ以下であることを特徴とする請求項１のゴルフクラブ
    ヘッド。
28. 【請求項２８】 前記クラウン部分の厚さが、0.055in.
    （1.397mm）あるいはそれ以下、また0.045in.（1.143m
    m）あるいはそれ以上であることを特徴とする請求項１
    のゴルフクラブヘッド。
29. 【請求項２９】 ソール部分と、中心を有する打撃面
    と、シャフトを導入するための軸を画成する開口を有す
    るヒール部分と、トウ部分と、後面部分と、前記打撃
    面、前記トウ部分、前記ヒール部分、および前記後面部
    分を連結するためのクラウン部分とによって画定される
    内凹部を有する中空本体を含む特大寸法のメタルウッド
    型ゴルフクラブヘッドにおいて、 前記ヘッドが、前記打撃面の中心を通り、かつ前記軸線
    から30mmないし33mmの距離を隔てる水平な面の直下に位
    置する重心を有すること、および前記ヘッドの総体積が
    265ccあるいはそれ以上であることを特徴とする特大寸
    法のメタルウッド型ゴルフクラブヘッド。
30. 【請求項３０】 前記ヘッドの重心が、シャフト軸を含
    み、かつ前記打撃面に対して接線関係にある水平な線に
    平行な面から13mmないし17mmの距離を隔てた箇所に位置
    することを特徴とする請求項２９のゴルフクラブヘッ
    ド。
31. 【請求項３１】 前記ヒール部分直近の前記ソール部分
    に沿って、前記内凹部に付加重量部分を配置することを
    特徴とする請求項２９のゴルフクラブヘッド。
32. 【請求項３２】 該ヘッドが、重心を通って延在する鉛
    直軸に対して慣性モーメントを有し、該慣性モーメント
    は300kg・mm²あるいはそれ以上であることを特徴とする
    請求項２９のゴルフクラブヘッド。
33. 【請求項３３】 該ヘッドが、重心を通って延在する鉛
    直軸に対して慣性モーメントを有し、該慣性モーメント
    は320kg・mm²あるいはそれ以上であることを特徴とする
    請求項２９のゴルフクラブヘッド。