JP3052629B2 - 密閉型鉛蓄電池 - Google Patents

密閉型鉛蓄電池

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康彦 鈴井
和吉 米津
宣行 高見
勝弘 ▲高▼橋
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、密閉型鉛蓄電池の、と
くにその格子体の耳部と、これらを接続する溶接棚(ス
トラップ)との溶接部分の耐食性および機械的強度の改
善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】密閉型鉛蓄電池の正,負極の格子体に
は、電解液の減少を抑制することができ、メンテナンス
フリー化に有効である鉛−カルシウム−錫(Pb−Ca
−Sn)合金が広く用いられている。そして、このPb
−Ca−Sn合金を格子体に用いることにより、電池と
しての自己放電を防止して保存特性を向上させるととも
に、充電時における負極からの水素ガスの発生を抑制し
ている。また、この合金を用いた格子体の作製時には、
冷間圧延して作製したPb−Ca−Sn合金の合金シー
トをエキスパンド加工して、生産性および作業の連続性
に優れたエキスパンド格子体を作製している。
【0003】ここで格子体の耳部を接続するストラップ
には、特公平3−25895号公報に開示されているよ
うに、アンチモン(Sb)を含まない純鉛または鉛合金
が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的
にPb−Ca−Sn合金を用いたエキスパンド格子体で
は、格子体あるいは極板としての機械的強度を向上させ
るため、Caが約0.07〜0.12重量%含まれてい
る。そして、このCaは酸化腐食されやすいため、格子
体中のCaの含有量が多くなると、格子体の耳部とスト
ラップとの溶接部分の耐食性が低下するという問題が生
じていた。
【0005】また、エキスパンド格子体を構成するPb
−Ca−Sn合金の合金組成に対して、ストラップを構
成するSbを含まない鉛合金の合金組成を適切に選ばな
いと、前記各合金間の溶接性が低下し、格子体の耳部と
ストラップとの溶接部分の機械的強度が低下することが
あった。
【0006】本発明は、このような課題を解決するもの
であり、Pb−Ca−Sn合金からなる格子体の耳部
に、ストラップ形成用の鉛合金を加えて形成したストラ
ップの、とくに、その格子体の耳部とストラップとの溶
接部分における耐食性および機械的強度を向上させて、
耐食性と強度に優れたストラップをもつ密閉型鉛蓄電池
を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の密閉型鉛蓄電池は、カルシウム(Ca)
を0.030〜0.065重量%、錫(Sn)を0.5
〜1.0重量%含み、残部が鉛(Pb)からなる鉛−カ
ルシウム−錫(Pb−Ca−Sn)合金からなる格子体
の耳部を、錫(Sn)を1.0〜5.0重量%含み、残
部が鉛(Pb)からなる鉛−錫(Pb−Sn)合金で形
成したストラップで接続したものである。
【0008】
【作用】本構成では、Pb−Ca−Sn合金からなる格
子体に含まれるCaの量を0.030〜0.065重量
%とするとともに、Snの量を0.5〜1.0重量%と
している。
【0009】また、前記格子体の耳部を接続するストラ
ップには、Snを1.0〜5.0重量%含むPb−Sn
合金を用いている。
【0010】これによって、ストラップ、とくに格子体
の耳部との溶接部分におけるCaの量は相対的に微量と
なるので、Caが酸化されることによるストラップ部分
の腐食を大幅に抑制することができる。
【0011】また、格子体に含まれるSnの量とストラ
ップに含まれるSnの量を上記の範囲にすることによ
り、格子体の耳部とストラップとの溶接時にはそれぞれ
に含まれるSnがこれらの溶接部分において、良好に接
合される。
【0012】これによって、格子体の耳部とストラップ
との溶接性を向上させることができ、これらの溶接部分
の機械的強度を向上させることができる。
【0013】そして、ストラップにはSnが適当量含ま
れているので、ストラップの耐食性を向上させることが
できる。
【0014】また、Snのもつ特性からCaの量を低減
したことによる格子体耳部とストラップの機械的強度の
低下を防止することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0016】CaとSnの量を(表1)のように変化さ
せたPb−Ca−Sn合金を用いて所定の冷間圧延シー
トを作製し、これをエキスパンド加工して所定の格子体
を作製した。
【0017】
【表1】
【0018】ついで、これらの格子体を用いた複数枚の
極板の耳部に、Snの量を(表1)のように変化させた
Pb−Sn合金からなるストラップ形成用足し鉛を加
え、これらをガスバーナーで溶融してストラップを形成
し、極板群を作製した。
【0019】そして、これらの極板群を用いて、公称仕
様12V24Ah(5時間率)の自動車用密閉型鉛蓄電
池を構成した。
【0020】次に、これらの密閉型鉛蓄電池を40℃に
おいて18ヶ月間保存し、ストラップ、とくに、格子体
の耳部とストラップとの溶接部分の腐食状態を調べた。
【0021】この結果を(表1)に示す。また、この腐
食状態の結果とともに、格子体の耳部の機械的強度の結
果も(表1)に示す。
【0022】(表1)に示したようにエキスパンド格子
体に含まれるCaの量を0.03重量%以上0.065
重量%以下にすると、格子体の耳部とストラップとの溶
接部分において腐食が見られなくなった。
【0023】さらに、この格子体に含まれるSnの量を
0.5重量%以上1.0重量%以下にすることにより、
より腐食を抑制することができた。
【0024】また、この格子体の耳部の機械的強度につ
いては、格子体に含まれるCaの量が低減するにしたが
って、強度が低下したが、Snの量を増加することによ
り、この強度の低下を防止することができ、Caの量が
低減したことによる強度の低下を補うことができた。
【0025】しかしながら、格子体に含まれるCaの量
を0.02重量%まで低減すると、Snによる上記の効
果は期待できなかった。
【0026】さらにストラップ形成用のPb−Sn合金
に含まれるSnの量を1.0重量%以上5.0重量%以
下にすると、ストラップにSnが適当量含まれることに
よりストラップの耐食性が向上した。
【0027】また、これらのPb−Sn合金を用いるこ
とにより、上記のPb−Ca−Sn合金からなる格子体
の耳部とストラップとの溶接性が向上して、ストラップ
の機械的強度を向上させることができた。
【0028】なお、本実施例では、冷間圧延によって作
製したPb−Ca−Sn合金のシートをエキスパンド加
工した格子体を用いたが、同合金組成の鋳造格子に対し
てもCaの量が0.065重量%以下であるならば、こ
の格子体の耳部を接続したストラップにおける腐食の発
生を防止できることが確認できた。
【0029】ただし、鋳造格子の場合には格子体に含ま
れるSnの量を多くしてもその機械的強度の低下はエキ
スパンド格子体の場合より大きかった。
【0030】また本実施例では、ストラップの形成をバ
ーナー溶接によって行ったが、この他にストラップの形
状をした鋳造型にストラップ形成用の足し鉛を流し込
み、ついで格子体の耳部を下向きにして前記鋳型の中に
挿入しストラップを形成する、いわゆるキャストオン溶
接によっても同様の効果が得られた。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明の密閉型鉛蓄電池
では、Caを0.030〜0.065重量%、Snを
0.5〜1.0重量%含むPb−Ca−Sn合金を用い
た格子体の耳部を、Snを1.0〜5.0重量%含む、
Pb−Sn合金で溶接して形成したストラップを備えて
おり、前記Pb−Ca−Sn合金中のCaの量を従来よ
り低減することによってCaに起因したストラップの腐
食を防止するとともに、ストラップにSnの量が適当量
含まれることによってストラップの耐食性と機械的強度
を向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高見 宣行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 ▲高▼橋 勝弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−141864(JP,A) 特開 昭63−190250(JP,A) 特開 昭60−151960(JP,A) 特開 昭63−237354(JP,A) 特開 平5−251074(JP,A) 特開 平6−52845(JP,A) 特開 平5−307951(JP,A) 特開 平5−275074(JP,A) 特開 平5−13065(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/20 - 2/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルシウム(Ca)を0.030〜0.0
    65重量%、錫(Sn)を0.5〜1.0重量%含み、
    残部が鉛(Pb)からなる鉛−カルシウム−錫(Pb−
    Ca−Sn)合金からなる格子体の耳部を、 錫(Sn)を1.0〜5.0重量%含み、残部が鉛(P
    b)からなる鉛−錫(Pb−Sn)合金で形成したスト
    ラップで接続した密閉型鉛蓄電池。
  2. 【請求項2】鉛−カルシウム−錫(Pb−Ca−Sn)
    合金からなる格子体は、冷間圧延した同組成の鉛合金シ
    ートをエキスパンド加工して作製したものである請求項
    1記載の密閉型鉛蓄電池。
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