JP3052186B2 - 液体油の固形化方法 - Google Patents

液体油の固形化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体油の固形化方
法に関し、更に詳しくは使用済みの廃食用油、車の廃エ
ンジンオイル等の廃油を加熱することなく、迅速かつ簡
便に固形化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、下水道、河川、湖水等の水質汚濁
が環境面から大きな社会問題となっているが、中でも油
分による汚染は一般家庭からの使用済み食用油の下水中
への廃棄が大きな原因の一つといわれている。従来、使
用済みの廃食用油は、少量の場合新聞紙、布切れ等に吸
着させてから可燃性のゴミとして廃棄されていた。しか
し、廃油量が多い場合には吸着方法で処理することは難
しいので、最近ではゲル化剤で廃油を固形化処理する方
法が各種提案され、その一部は既に実用化されている
(下記の(2)の方法)が、固形化するまでの時間が長
い、油火災の危険性のあること等の問題が解決されてい
ないこともあり、まだ充分には普及していない。ゲル化
剤を用いて処理する方法としては、(1)天然ろう、合
成ろう、固体の高級脂肪酸、固体の高級アルコールまた
は融点150℃以下の樹脂を主成分とする固形化処理剤
及び固形化処理方法(特開昭54−112385号公
報)、(2)12−ヒドロキシステアリン酸を廃食用油
に添加し、加熱溶解後に冷却して廃食用油を固形化する
方法(特開昭55−106298号公報)、(3)12
−ヒドロキシステアリン酸と、少量の炭素数16〜24
の高級脂肪酸もしくはジベンジリデンソルビトールおよ
びその核置換体との併用物を有効成分とする廃食用油の
固形化廃棄用処理剤(特開昭61−19681号公
報)、(4)12−ヒドロキシステアリン酸をジメチル
スルホオキサイド、N−メチルピロリドン、エチルアル
コールなどの極性溶剤に溶解した溶液を廃食用油に添加
して混合し、該混合物を水と接触させる廃食用油の固形
化方法(特開昭63−90599号公報)、(5)水酸
基を有する水溶性高分子及び水を添加して乳化させた
後、ホウ酸又はホウ酸塩を添加して液体油をゲル化させ
る方法(特開平4−122796号公報)等が知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)〜(3)の方法はいずれも廃油を少なくとも80
℃以上に加熱してゲル化剤を溶解させてから冷却するこ
とによって固形化するものであり、廃油の加熱と冷却に
多大のエネルギーと時間を要するので不経済的かつ非能
率的である。さらに、これらの方法は、処理作業中加熱
された高温の廃油が転倒すれば火傷を負う危険性がある
こと、廃油の加熱し過ぎによる油火災発生の恐れがある
こと、加熱中品質劣化した廃油に由来する悪臭が発生す
ること等問題点が多い。特に、車の廃エンジンオイルの
ように油量がおよそ4Lと一般家庭で発生する廃食用油
の数倍以上も多い場合には、火傷、火災の危険性はさら
に増大するので、一般家庭で廃エンジンオイルを(1)
〜(3)の方法で廃油の固形化処理(以下単に廃油処理
と略す)を行うことは安全面から推奨できない。(4)
の方法は(1)〜(3)の方法と異なり廃油を加熱しな
いで廃油処理できる利点は認められるが、引火性の高い
溶剤に溶解したゲル化剤を使用するので、火災発生の潜
在的な危険性は(1)〜(3)の方法よりも高くて安全
面で問題がある。さらに溶剤と油の混じった廃水が新た
に発生し、その処理作業も厄介であり、非能率的であ
る。したがって、(4)の方法は化学知識の乏しい一般
家庭や、レストラン、ファーストフード店、給食センタ
ーなどの事業所での廃油処理方法としては適していな
い。(5)の方法は水を固形化させると同時に油を含水
ゲル化物中に閉じこめようとするものであり、(1)〜
(4)の方法とは技術的に異なる。(5)の方法は、油
と同量に近い水を必要とするので廃棄物の処理量が増大
するなど非能率的であり、また固形化物は大量の水を含
有しているのでこれを焼却処分する場合(1)〜(4)
の方法よりも燃えにくいという欠点がある。上記のよう
に(1)〜(5)の方法は何れも廃油処理の能率性、安
全性等に難点があり、特に一般家庭での廃食用油の処理
方法に適しているとは言えない。さらに、一般家庭にお
いては、料理直前になって使用しようとする食用油の色
相、粘性等の品質劣化に気付くことが多く、料理を中断
してまで(1)〜(3)の方法のように廃食用油の処理
(加熱と冷却)に30分以上もの時間をかけられないか
らである。また、一般家庭で発生する廃食用油の量はい
つも同じでないので、廃油を処理するたびごとに固形化
物の硬さが変わる(場合によっては流動する)こと、廃
油の加熱処理後20分以上(約40℃に冷却されるまで
の時間)経過しないと固形化物の硬さが判らないなどの
技術的に不安な面も普及を遅らせている原因と推測され
る。このような事情から、廃食用油を加熱しないで短時
間で確実に固形化処理できる、簡便かつ安全な固形化処
理方法の出現が待望されていた。
【0004】廃食用油等を加熱せずに固形化する方法と
して、特開平7−26246号公報に、12−ヒドロキ
システアリン酸などの油性ゲル化剤(第1成分)と、電
磁エネルギーを付与することにより発熱する低揮発性成
分であって、該ゲル化剤の油中への溶解を促進する成分
(第2成分)とを含む廃油処理用組成物を予め単独で、
あるいは廃油と接触させた後、電磁エネルギーを付与し
て加温、融解させ、廃油中に溶解せしめたのち放置する
方法(6)が開示されている。第2成分としては2価お
よび3価のポリオール、カルビトール、ブチルカルビト
ール等があげられ、特にプロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレ
ングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類が
好ましい例として記載され、さらにプロピレングリコー
ルが食品安全性上より最も好ましい例として記載されて
いる。しかしながら、上記例示されている化合物はすべ
て、例えば「新版溶剤ポケットブック」〔(社)有機合
成化学協会編、1994年6月(株)オーム社発行〕に
リストアップされているように何れの化合物も溶剤の範
疇に入るものばかりであり、その引火点はポリエチレン
グリコールを除き78〜140℃の範囲(最も好ましい
例のプロピレングリコールで引火点99℃)にあり、方
法(4)で使用されている溶剤(ジメチルスルホキシ
ド、N−メチルピロリドン、エチルアルコール)よりも
沸点が高くて引火性は低いけれども、引火の危険性は常
に内在している。したがって、常にガスなどの火の気の
ある厨房内で廃油処理を行うことを想定した場合、直接
ガス火で廃油処理用組成物を加熱、融解させなくても、
別の加熱手段で加熱、融解させた高温の廃油処理用組成
物に引火して、油火災へと発展する危険性がある。特
に、誤って廃油処理用組成物を加熱し過ぎた場合に火災
発生の危険性は更に高くなる。また、第2成分として上
記例示されている化合物は、溶剤としての性質が強いの
で、油性ゲル化剤(第1成分)を溶解する能力に優れて
いて使いやすいが、廃油処理後も油性ゲル化剤の一部を
溶解しているため、ゲル強度の比較的小さい固形化物し
か得られないという欠点がある。ゲル強度の大きい固形
化物を得ようとすると油性ゲル化剤(第2成分)を多め
に使用しなければならず、コストアップとなる。ポリエ
チレングリコールについては、分子中に疎水基を有して
いないので廃油処理用組成物が廃油中に均一に分散せ
ず、系がママコとなって均一な固形化物は得られない。
廃油処理用組成物の製造方法の関しては、単に混合する
とだけ記載されているだけであり、廃油処理用組成物の
加熱、融解方法に関しては、上記の引火の問題を避ける
ためかどうかは明らかでないが、電磁エネルギーを付与
して内部加熱することが記載されており、具体的には廃
油に添加する直前に電子レンジで加熱する(方法6A)
か、添加後に廃油と共に電子レンジで加熱する(方法6
B)と記載されている。方法6Aの電子レンジによる加
熱は操作が簡便であるが、加熱し過ぎると前記の火災発
生の危険性だけでなく思わぬ火傷を負ったり、第2成分
の劣化や臭気が発生する。逆に、加熱不足だと固形化不
良を招来する。従って、廃油処理を安全かつ確実に行う
ためには、処理すべき廃油の量と温度に応じて廃油処理
組成物の使用量と電子レンジの加熱時間をその時々で変
える必要があり、このような面倒な作業は化学知識の乏
しい一般家庭の主婦には到底望むべくもない。また、方
法6Bは従来の方法(1)〜(3)よりも、加熱手段に
電子レンジを使用して加熱に要するエネルギー消費量が
少ない点は認められるが、廃油を加熱処理するという点
では従来の方法(1)〜(3)と軌を一にするものであ
る。本発明は以上のような背景に基づいてなされたもの
であって、その目的は廃油を加熱することなく、短時間
で安全かつ確実に固形化できる方法とこれに用いる広範
囲の組成からなる固形化剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は常温(約20
℃)の液体油を短時間に且つ確実に固形化させる原理に
ついて鋭意研究を行い、加熱溶融した油中ゲル形成物質
(油中ゲル化剤とも称せられ、以下ゲル形成物質と略
す。)を単に常温の液体油に添加、混合しても系全体が
均一に固形化せずに局部的な固形化(いわゆるママコ状
態)の現象が見られるだけであるが、混合後ゲル形成物
質が液体油中に均一に微分散するまでの短い時間(数秒
〜数分)、ゲル形成物質を液体油と接触しないように一
時的に保護すれば、一時保護物質に覆われた溶融状態の
ゲル形成物質は、保護物質から離れて液体油中へ均一に
拡散(溶解)し、引き続いて起こるゲル形成物質の液相
から固相への急激な相転移現象(結晶化)により系全体
が均一に且つ強固に固形化されることを見い出した。更
に、本発明者は一般家庭の主婦でも廃食用油を短時間
に、簡単で、しかも安全かつ確実に固形化処理できる方
法について研究を重ねた結果、特定の固形化剤を耐熱容
器中に密封した状態で加熱、溶融すれば、固形化剤に引
火せず前記の火災の危険性が避けられ、更に均一な固形
化物が得られることを見い出し、本発明に到達した。す
なわち、本発明は、耐熱容器中に密封された、油中ゲル
形成物質(I)と該ゲル形成物質(I)の一時保護物質
(II)とからなる液体油固形化剤(Z)を容器ごと加
熱した後、溶融した該液体油固形化剤(Z)の全部もし
くはその一部を液体油と混合して液体油を加熱せずに固
形化する方法において、前記一時保護物質(II)が溶
融状態で油中ゲル形成物質(I)と混和性を有し、分子
中に疎水基と親水基を有する180℃よりも高い沸点を
有する有機化合物であり、前記液体油固形化剤(Z)の
溶融温度が60〜180℃であることを特徴とする液体
油の固形化方法である。
【0006】
【発明の実施形態】本発明の固形化剤(Z)において、
油中ゲル化剤成分であるゲル形成物質(I)としては、
例えば3−ヒドロキシミリスチン酸、10−ヒドロキシ
ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、8,1
0−ジヒドロキシオクタデカン酸などの炭素数16〜3
0のヒドロキシ脂肪酸(Ia)、ジベンジリデンソルビ
トール及びその誘導体(Ib)、ラウロイルグルタミン
酸ジブチルアミド、ジカプロイルリジンラウリルアミド
などのN−アシルアミノ酸誘導体(Ic)等が挙げられ
る。これらの化合物は2種以上併用してよい。これらの
中では、ヒドロキシ脂肪酸(Ia)が好ましく、特に1
2−ヒドロキシステアリン酸(a)が融点約75℃と低
くて取り扱いが容易であることおよび比較的安価である
点から最も好ましい。本発明において、ゲル形成物質
(I)の一時保護物質(II)の役割は、前記したよう
にゲル形成物質(I)と液体油との分子レベルでの接触
を両者がほぼ完全に混じり合うまでの間一時的に遅延さ
せることであり、別の表現ではゲル形成物質の液相から
固相への相転移を一時的に遅延させることである。この
ような役割を担う(II)としては、溶融状態で(I)
と混和性を有し、固形化の対象である液体油よりもゲル
形成物質との親和性が大きくて、更に液体油よりも親水
性の大きい化合物、特に分子中に水酸基、カルボキシル
基、オキシエチレン基などの親水基から選ばれる1種以
上を有する化合物が挙げられる。また、本発明の固形化
剤(Z)は、後記するように耐熱容器に密封された状態
で、一時保護物質(II)の沸点よりも低い、もちろん
ゲル形成物質(I)の沸点よりも低い温度、例えば60
〜180℃に加熱、溶融されて液体油の固形化に使用さ
れる。したがって、加熱中耐熱容器が破裂しない限り引
火の危険性はないが、耐熱容器が破裂しないよう固形化
剤(Z)の構成成分である一時保護物質(II)の沸点
は、例えば180℃よりも高いことが重要である。この
ような化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げら
れる。
【0007】(IIa)水酸基含有化合物 (A)1価アルコール オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコ
ール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミ
リスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチル
アルコールなどの炭素数8〜16の脂肪族アルコール
(A−1);ベンジルアルコール、シンナミルアルコー
ルなどの炭素数7〜20の芳香環含有アルコール(A−
2);2−イソプロピル−4−ヒドロキシメチル−1,
3−ジオキソランなどの炭素数8〜20の複素環式アル
コール(A−3)など。
【0008】(B)多価アルコール プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタ
ンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘ
プタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、
デカンジオール、ピナコールなどの炭素数3〜16のア
ルキレングリコール(B−1);シクロペンタンジオー
ル、シクロヘキサンジオールなどの炭素数5〜16の脂
環式グリコール(B−2);ヒドロベンゾインなどの炭
素数8〜20の芳香環含有グリコール(B−3);トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサン
トリオールおよび1,2,3,6−ヘキサンテトロール
などの脂肪族多価アルコール(B−4)など。
【0009】(C)フェノール化合物 フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピル
フェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、
ノニルフェノール、ノニルクレゾール、イソプロペニル
フェノール、スチレン化フェノール、キシレノール、ジ
ノニルフェノールなどの炭素数6〜30の1価フェノー
ル(C−1);ビスフェノールA、ビスフェノールFな
どの2価フェノール(C−2)など。
【0010】(D)アルキレンオキシド付加物 分子中に水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COO
H)、一級アミノ基(−NH2)、二級アミノ基(=N
H)、アミド基(−CONH2)などの官能基を少なく
とも一個以上有する活性水素含有化合物(出発物質)1
モルに対し、エチレンオキシド(以下EOと略称す
る)、プロピレンオキシド(以下POと略称する)、ブ
チレンオキシドなどのアルキレン(炭素数2〜4)オキ
シドの1種以上を少なくとも1モル付加させた化合物
で、分子中に1個の水酸基を有する化合物(D−1)、
2個の水酸基を有する化合物(D−2)、3個以上の水
酸基を有する化合物(D−3)など。上記出発物質とし
ては、例えば下記の化合物が挙げられる。
【0011】(i)1価アルコール メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコ
ール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシル
アルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコー
ル、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルア
ルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコー
ル、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ステ
アリルアルコールなどの炭素数1〜25の脂肪族アルコ
ール;ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなど
の炭素数7〜20の芳香環含有アルコール;フルフリル
アルコール、2−イソプロピル−4−ヒドロキシメチル
−1,3−ジオキソランなどの炭素数5〜20の複素環
式アルコールなど。
【0012】(ii)多価アルコール 前記(B)多価アルコールおよびジグリセリン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトール、グルコース、マンニッ
ト、キシリット、シュークローズなどの3〜8価の脂肪
族アルコールなど。
【0013】(iii)フェノール 前記フェノール化合物(C)およびノボラック樹脂、レ
ゾール樹脂などの多価フェノールなど。
【0014】(iv)1価カルボン酸 酢酸、プロピオン酸および前記カルボン酸化合物(D)
など。
【0015】(v)ポリカルボン酸 マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの炭
素数3〜12の脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸などの炭素数4〜12の脂肪族不
飽和ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸など炭
素数8〜15の芳香族ポリカルボン酸など。
【0016】(vi)モノアミン プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキ
シルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ペンタデ
シルアミン、ステアリルアミンなどの炭素数3〜25の
アルキルアミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシ
ルアミンなどの炭素数5〜10の脂環式アミン;アニリ
ン、トルイジン、ベンジルアミンなどの炭素数6〜12
の芳香族アミンなど。
【0017】(vii)ポリアミン エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの炭素数
2〜10の脂肪族ポリアミン:フェニレンジアミン、ト
リレンジアミン、メチレンジアニリンなどの炭素数6〜
20の芳香族ポリアミンなど。
【0018】(viii)その他の出発物質 水、アンモニア、アルカノールアミン、尿素、メラミ
ン、ひまし油、硬化ひまし油、アミノ酸化合物など。な
お、本発明においては、ポリエチレングリコール型界面
活性剤、プルロニック型界面活性剤などの非イオン界面
活性剤については、下記の(F)界面活性剤ではなく、
(D)ポリオキシアルキレン付加物のグループに分類し
た。
【0019】(IIb)カルボキシル基含有化合物 (E)カルボン酸化合物 カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、
ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸などの炭素数6〜1
6の飽和脂肪酸(E−1);ウンデシレン酸、オレイン
酸、エライジン酸、セトレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、ステアロール酸などの炭素数11〜25の不飽和
脂肪酸(E−2);不飽和脂肪酸のダイマー酸(E−
3);牛脂などの天然油脂から得られる脂肪酸(E−
4)など。
【0020】(IIc)親水基を有するその他の化合物 親水基として水酸基とカルボキシル基の両方を有する化
合物、オキシエチレン基、その他の親水基を有する化合
物、及び(IIa)、(IIb)に分類できない下記の
化合物など。
【0021】(F)界面活性剤 グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソ
ルビタン、ショ糖などの多価アルコールの脂肪酸(炭素
数6〜24)エステル(F−1a)、多価アルコールの
アルキル(炭素数6〜24)エーテル(F−1b)、ジ
エタノールアミンなどのアルカノールアミンの脂肪酸
(炭素数6〜24)アミド(F−1c)、ポリオキシエ
チレン多価アルコール脂肪酸エステル(F−1d)等の
非イオン界面活性剤(F−1);アミン塩型、第4級ア
ンモニウム型などの陽イオン界面活性剤(F−2);金
属石けん、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスル
ホン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸
塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルス
ルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル−スルホフェ
ニルエーテル塩などのスルホン酸塩、硫酸化ひまし油、
脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩、アルキル
りん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルりん酸エステル塩などのりん酸エステル塩
等の陰イオン界面活性剤(F−3);カルボキシベタイ
ン型、スルホベタイン型などのベタイン型、アミノカル
ボン酸型、アミノ硫酸エステル型、イミダゾリン型等の
両性界面活性剤(F−4)など。
【0022】(G)ポリエステル化合物 上記(A)、(B)および(D)などのアルコール性水
酸基を有する化合物と上記(iv)および(v)などの
カルボキシル基を有する化合物との縮合反応物で分子中
に水酸基および/またはカルボキシル基を1個以上有す
る化合物など。
【0023】(H)その他の化合物 例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジ
オールモノイソブチレートなどの上記(A)〜(G)を
変性(エーテル化、エステル化、ウレタン化またはハロ
ゲン化)した化合物、ポリエーテル変性シリコーン化合
物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに代表さ
れる液状エポキシ樹脂、ひまし油などの油脂化合物な
ど。
【0024】以上に例示した化合物は2種以上併用する
ことができる。上記化合物の中では、(IIa)水酸基
含有化合物および(IIb)カルボキシル基含有化合物
が、ゲル強度の大きい固形化物が得られる点で好まし
く、さらに(A)、(C),(D)および(E)の化合
物が固形化速度が早い点でより好ましく、(D)の化合
物が臭気が少ない点で最も好ましい。
【0025】(A)の中では、炭素数8〜16の脂肪族
アルコール(A−1)が比較的安価である点で好まし
く、(A−1)の中では炭素数8〜10の脂肪族アルコ
ールがゲル強度の大きい固形物が得られる点で更に好ま
しい。
【0026】(C)の中では、炭素数8〜30の1価フ
ェノール(C−1)がゲル形成物質(I)との混和性に
すぐれている点で好ましく、(C−1)の中ではオクチ
ルフェノール、ノニルフェノールおよびノニルクレゾー
ルなどの炭素数12〜18の1価フェノールがゲル強度
の大きい固形物が得られる点で好ましい。
【0027】(D)の中では、炭素数4〜25の1価ア
ルコール、前記のフェノール化合物、炭素数8〜25の
モノカルボン酸化合物、炭素数8〜25のアルキルアミ
ン化合物等のアルキレンオキシド(とくにEO単独もし
くはEO/PO混成)付加物などのポリエチレングリコ
ール型非イオン界面活性剤、ポリプロピレングリコー
ル、ポリ(プロピレン−エチレン)グリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリ(ブチレン−エチレン)
グリコール、ポリプロピレンポリオール(官能基数3〜
8)、ポリ(プロピレン−エチレン)ポリオール(官能
基数3〜8)がゲル強度の大きい固形化物が得られる点
で好ましい。分子全体が親水基(オキシエチレン基)で
あるポリエチレングリコール、ポリエチレンポリオール
(官能基数3〜8)は、固形化時間が長いだけでなく均
一な固形化物が得られにくい点で好ましくない。(D)
の分子量は通常約200〜50,000であり、好まし
くは約250〜10,000であり、更に好ましくは約
350〜6000である。分子量が200未満では引火
性が高くなり、50,000を超えるとゲル形成物質と
の混和性が悪くなって、ゲル強度の大きい固形化物が得
られ難い。
【0028】(E)の中では、炭素数6〜16の飽和脂
肪酸(E−1)および炭素数11〜25の不飽和脂肪酸
(E−2)が好ましく、(E−1)の中では炭素数8〜
12の飽和脂肪酸が、(E−2)の中では炭素数11〜
18の不飽和脂肪酸が、液体油固形化剤(以下単に固形
化剤と略す)(Z)の融点を低くして、取り扱いやすい
点で更に好ましい。
【0029】本発明においては、固形化剤(Z)は、耐
熱容器に密封された状態で加熱されて液体油と混合され
て使用される。固形化剤(Z)の加熱処理および液体油
の固形化処理をより安全に行うためには、保護物質(I
I)の引火点は固形化剤(Z)の加熱温度よりも低い方
が望ましい。後記するように、本発明においては固形化
剤(Z)の好ましい加熱手段としては、湯浴(約100
℃)または電子レンジ(約80〜140℃)による方法
が有利に適用できる。したがって、湯浴加熱の場合に使
用する保護物質(II)としては、引火点が100℃よ
り高いものが好ましく、電子レンジ加熱の場合に使用す
る保護物質(II)としては、引火点が140℃よりも
高いものが好ましい。上記(A)〜(H)の化合物で引
火点が100℃を超えるものと、140℃を超えるもの
を表1に例示する。なお、表1では化合物の特定は炭素
数または分子量で行った。また、上記に例示した(A)
〜(H)の化合物の中では、常温(約20℃)で液状の
化合物が固形化剤(Z)の融点を低くして取り扱いが容
易である点で好ましい。
【0030】
【表1】
【0031】本発明の固形化剤(Z)は、油中ゲル形成
物質(I)を一時保護物質(II)(以下、「保護物
質」と略す)と共に加熱溶融して均一に混合し、低沸点
物質を実質的に除去したのち冷却して得られる。(I)
の使用量は、通常処理する液体油100重量部に対し約
1重量部以上であり、好ましくは2〜20重量部、更に
好ましくは2.5〜10重量部である。(I)の使用量
が約1重量部未満では固形化し難くなり、固形化しても
固形化物から油がブリードしやすくなる。
【0032】本発明においては、保護物質(II)はゲ
ル形成物質(I)と特定の比率で使用される。すなわち
(II)/(I)の混合比率(重量比)は、通常0.5
〜50であり、好ましくは1〜20、更に好ましくは1
〜10である。(II)/(I)の比率が、0.5未満
では均一な固形物が得られ難く、50を超えると液体油
を固形化処理するのに必要なゲル形成物質(I)の使用
量が多くなって不経済である。
【0033】本発明においては、上記(I)、(II)
に加え、必要により添加剤(III)が使用できる。添
加剤(III)としては、例えばステアリン酸ナトリウ
ム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリア
クリル酸ナトリウム塩、炭酸ナトリウム、水酸化カルシ
ウムなどの公知の増強剤、着色剤、抗酸化剤、紫外線吸
収剤等が挙げられる。また、本発明においては、固形化
剤(Z)の溶融温度を正しく把握するために、必要によ
り特定の温度で色相が変化する示温剤を固形化剤に加え
ることができる。示温剤としては、例えば感熱紙または
感圧紙に用いられている染料(とくにロイコ染料)と顕
色剤(例えば前記のフェノール化合物(C))との組み
合わせが挙げられる。とくに、染料をマイクロカプセル
化し、特定の温度でマイクロカプセルの壁材が崩壊する
ように設計すれば、染料と顕色剤との接触に基ずく色相
変化を観察するだけで、固形化剤を所望温度まで容易に
加熱溶融することができる。
【0034】本発明においては、固形化剤(Z)は通常
ゲル形成物質(I)、保護物質(II)、及び必要によ
り添加剤(III)を混合して製造されるが、好ましく
はこれらの三成分を加熱して溶融し、均一に混合して製
造され、更に好ましくは混合後さらに減圧脱気などの慣
用手段で水分などの沸点が150℃未満の低沸点物質を
除去後、冷却して製造される。液体油の固形化処理に先
だって、(I)、(II)及び必要により(III)の
成分を予め溶融して均一に混合する理由は、固形化剤
(Z)の融点がゲル形成物質(I)の融点よりも低くな
って、固形化剤(Z)が素早く液体油中に均一に分散し
てゲル強度の大きい固形化物が得られるからである。ま
た、固形化剤(Z)から低沸点物質を除去する理由は、
後述するように、例えばレトルト容器等の耐熱容器に密
封した固形化剤(Z)を電子レンジ(マイクロ波照射加
熱)で溶融する場合に、耐熱容器の膨張、さらには破裂
事故を引き起こさないためにも重要である(尚、レトル
ト食品の場合には水分が多量に含まれているので、破裂
事故防止のため電子レンジでの加熱は推奨されていな
い)。また、低沸点物質を除くことによって、固形化剤
(Z)を加熱、溶融する際に発生する臭気を抑えると共
に引火点を低くできるので、廃油処理作業をより安全に
行うことができる。こうして製造される固形化剤(Z)
の外観は、常温(約20℃)ではペーストないし固状で
ある。引火点は、固形化剤(Z)を構成する保護物質
(II)またはゲル形成物質(I)と同じかそれよりも
高く、通常80℃を超え、好ましくは100℃を超え、
更に好ましくは140℃を超え、最も好ましくは180
℃を超える。また、融点(凝固点)はゲル形成物質
(I)および保護物質(II)の種類により異なるが、
通常約35℃以上であり、特に保護物質(II)が常温
で液状の化合物の場合では、ゲル形成物質(I)の融点
よりも少なくとも約5℃程度低くなる。固形化剤(Z)
の融点は低いほど、その取り扱いが容易で望ましい。し
かしながら、固形化剤(Z)の融点と液体油の固形化処
理の容易さとの間には必ずしも相関がなく、固形化処理
の容易さは前記のように主として保護物質(II)の化
学的性質に依存している。本発明において固形化剤
(Z)の使用量は、通常液体油100重量部に対して
1.5重量部以上、好ましくは3〜30重量部、更に好
ましくは4.5〜20重量部でる。1.5重量部未満で
は液体油が固形化し難くなる。
【0035】本発明の方法においては、上記のように製
造された固形化剤(Z)は耐熱容器中に密封され、容器
ごと加熱されて使用される。耐熱容器としては、例えば
ガラス、アルミニウム、紙、プラスチックおよびこれら
の複合系素材から製造されるボトル、フィルムを貼り合
わせた袋状容器およびチューブが挙げられる。これらの
中ではプラスチックおよびプラスチック複合系の耐熱容
器が、価格、加工性およびシール性等の性能が優れてい
ることにより好ましく、その具体例を次に例示する。 (1)ボトル ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、結晶
化ポリプロピレン(CPP)、タルク強化ポリプロピレ
ン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、結晶化ポリエチレンテレフタレート(C−PE
T)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(P
C)、ポリメチルペンテン(TPX)等のポリマーをプ
ラスチック加工したもの。
【0036】(2)袋状容器 PE、PP、CPP、塩化ビニリデン(PVDC)、P
ET、C−PET、PAなどのプラスチック単独フィル
ム(L1)、これらプラスチックの真空蒸着フィルム
(L2)、複数のプラスチックフィルムを貼り合わせ積
層したラミネートフィルム(L3)、プラスチックフィ
ルムと紙、アルミ箔(AL)、セラミックなどの素材と
を貼り合わせ積層したラミネートフィルム(L4)等が
挙げられる。L2としては、例えばアルミ蒸着PET、
アルミ蒸着PP、珪素酸化物(SiO)蒸着PETなど
が挙げられる。L3としては、例えばPVDC/PP、
PA/PE、PET/PE、PA/PP、PA/PVD
C/PP、PET/PA/PPなどが挙げられる。L4
としては、例えばPET/紙、PA/AL/PE、PE
T/AL/PE、PET/AL/PP、PET/PA/
AL/PPなどが挙げられる。
【0037】(3)チューブ PE、PP、CPP、PVDC、PET、C−PETお
よびエチレン−酢ビ共重合体けん化物などのプラスチッ
クチューブ(押出、ブロー)、および(2)のプラスチ
ックフィルムとアルミ箔、紙等の素材とを組み合わせて
成形したラミネートチューブなど。(1)〜(3)の耐
熱容器の中では、レトルト容器用素材として食品包装に
使用されている、例えばPP,CPP、PET、C−P
ET、PAなどのプラスチック単独フィルム、PA/P
P、PET/PA/PP、PET/AL/PP、PET
/PA/AL/PP、PET/紙などのラミネートフィ
ルム、および珪素酸化物(SiO)蒸着PETなどから
作られる袋状容器(2)、チューブ(3)が好ましい。
ただし、アルミニウムなどの金属を素材に含む耐熱容器
は、後述のマイクロ波照射で加熱する場合には、容器が
焦げたり、放電したりする恐れがあるので使用できな
い。
【0038】本発明の方法において、固形化の対象とな
る液体油としては常温で液状の、植物油、動物油などの
食用油および使用済みの廃食用油;自動車、船舶等のエ
ンジンオイル、トランスミッションオイル、ギアオイル
等の機械油およびその廃油;原油、重油、軽油、灯油等
の石油およびその関連製品が挙げられる。
【0039】本発明においては、耐熱容器に密封された
固形化剤(Z)は容器ごと一時保護物質(II)の沸点
よりも低い、もちろんゲル形成物質(I)の沸点よりも
低い温度、好ましくは(II)の引火点よりも低い、予
め決められた温度まで加熱、溶融された後、液体油と混
合され、その後しばらくの間(5秒〜10分、特に5〜
120秒程度)静置すると液体油は固形化する。本発明
の方法において、液体油の処理温度はとくに限定されな
いが、安全面での観点より液体油は加熱されない方が好
ましく、通常5℃以上、好ましくは10〜40℃程度で
ある。液体油と固形化剤(Z)の混合方法としては、液
体油中に溶融した固形化剤(Z)を加えてもよく、反対
に溶融した固形化剤(Z)中に液体油を加えてもよい
が、最初の方法の方が固形化剤(Z)が液体油中に均一
に分散して、均一な固形化物が得られやすい点から好ま
しい。固形化剤(Z)を加熱、溶融する手段としては特
に限定されないが、例えば沸騰した湯浴中で加熱する方
法、大気圧〜加圧下でスチーム浴中で加熱する方法、ホ
ットプレートで加熱する方法、更にはマイクロ波(約9
00〜25000MHz)照射による加熱等の方法が挙
げられる。上記の加熱手段を用いて本発明の固形化剤
(Z)を容器ごと加熱して溶融する温度は、固形化剤
(Z)の構成成分である一時保護物質(II)の沸点よ
り低い温度で、固形化剤(Z)または保護物質(II)
の引火点を考慮して決めればよく、通常は60〜180
℃、好ましくは80〜160℃、更に好ましくは80〜
140℃、最も好ましくは約100℃である。60℃未
満では液体油が均一に固形化し難く、180℃を超える
と混合後の液体油の温度上昇が無視できなくなり、その
結果として固形化(液相から固相への相転移)する時間
が長くなるなど不必要な時間とエネルギーの浪費であり
好ましくない。加熱手段が湯浴の場合の加熱温度は約8
0〜100℃、好ましくは約100℃であり、スチーム
浴の場合は約100〜120℃、好ましくは約100℃
であり、電子レンジ加熱の場合は約80〜160℃、好
ましくは80〜140℃、更に好ましくは80〜120
℃である。特に一般家庭、レストランなどで廃油を処理
する場合には、固形化剤(Z)を容器(とくにレトルト
容器)ごと湯浴、または家庭用蒸し器や圧力鍋を用いて
のスチーム浴中で加熱する方法と、例えば家庭用電子レ
ンジを用いてマイクロ波照射による加熱の方法が、熱効
率および簡便性の点から好ましいが、両者の長所と短所
の下記の比較から湯浴またはスチーム浴中で加熱する方
法が更に好ましい。電子レンジ加熱の方法は、操作が簡
便である反面、液体油をいつも同じように確実に固形化
処理するためには、個々のケースにより加熱時間をこま
めに変える必要があるなど意外に面倒である。また、加
熱容量が限定されるので、固形化剤(Z)の量が多い、
すなわち廃油処理量の多い業務用途には不向きである。
一方、湯浴またはスチーム浴中で加熱する方法は、熱効
率で劣るものの、加熱操作は簡便でいつも一定温度(大
気圧下においては約100℃)に加熱できるので、固形
化剤(Z)の量が多くても安全かつ確実に廃油の固形化
処理が可能で、一般家庭および業務用途の双方に適して
おり、中でも湯浴中で固形化剤(Z)を加熱する方法
が、スチーム浴加熱の方法よりも熱効率がよいので最も
優れている。
【0040】(湯浴またはスチーム浴中で加熱する方
法) 1.長所 ・加熱操作が簡便である。 ・着火など火災の発生する不安がない。 ・加熱し過ぎることなく、固形化剤(Z)をいつも一定
温度(例えば約100℃)に調整できる。 ・加熱終了後も固形化剤(Z)は冷め難く、液体油の固
形化処理に時間的余裕がある。 ・固形化剤(Z)が直接手に触れないので安全である。 ・固形化剤(Z)の量が多い場合の加熱にも適してい
る。 ・特にレストラン等の業務店では厨房には熱湯は常備さ
れているので、固形化剤(Z)の実加熱時間は短い。 2.短所 ・水を加熱するエネルギー、時間が余分に必要である。 ・加熱温度が100℃近辺に限定される。
【0041】(マイクロ波照射による加熱方法) 1.長所 ・加熱操作が簡便である。 ・加熱効率が良い。 2.短所 ・家庭用の電子レンジとしては、出力が500Wと60
0Wのタイプが流通しており、使用するタイプにより加
熱時間が違うので、使用者が加熱時間を間違えて液体油
の固形化処理に手こずる原因になることが想定される。 ・固形化剤(Z)の量によって加熱時間を変える必要が
あり、ノウハウあるいは操作に習熟する必要がある。 ・季節、気温などで固形化剤(Z)の温度は変わるの
で、同量の固形化剤(Z) を同じ時間加熱しても、
固形化剤(Z)の溶融温度はその日によって変動す
る。 ・加熱後は冷えやすいので、加熱後は直ちに固形化処理
する必要があり、時間的な余裕がない。 ・多量の固形化剤(Z)を加熱、溶融するには不向き
で、業務用途には適していない。 ・通常ガラス、陶器などの容器中で、固形化剤(Z)を
加熱するので、液体油の固形化処理後は容器の洗浄が必
要である。 ・加熱時間を間違えるなどして加熱し過ぎると、触った
時に火傷を負う危険性があり、更に密閉状態で加熱し過
ぎると耐熱容器が変形、破裂する場合がある。 ・開放状態で加熱すると、電子レンジ内が揮発成分で汚
染される恐れがある。
【0042】本発明においては、固形化剤(Z)の加熱
手段として特に電子レンジを用いる場合、想定される上
記のいくつかの短所を避けるために、予め示温剤(温度
変化で色相が変化する薬剤)を固形化剤(Z)に溶解さ
せるか、あるいは下記の表示の少なくとも1つを耐熱容
器に刻印するか、温度表示ラベルなどを耐熱容器に施す
ことが好ましい。 1.内容量表示 耐熱容器(とくにプラスチックボトル、チューブの場合
で多数回の固形化処理に使用を想定)に残量を示す大ま
かな標線を容器の上下に表示する。添加すべき固形化剤
(Z)の量を標線から容易に判断できる。 2.加熱時間表示 固形化剤(Z)を所望の温度に加熱するためには、固形
化剤(Z)の残量で加熱時間を変える必要があり、1.
の場合と同様に耐熱容器に必要な加熱時間の大まかな標
線を容器に表示する(出力500W、600Wの2つの
標線を設けるのが望ましい)。 3.温度表示 50〜200℃の任意の温度で可逆または非可逆的に色
相が変化するクレオン、ペイントあるいは示温ラベルを
耐熱容器の表面に施す。色変化を観察しながら加熱し
て、決められた色変化を示した時点で電子レンジのスイ
ッチを切ればよい。
【0043】以上説明してきたように、本発明の方法で
液体油を固形化した場合に得られる固形化物のゲル強度
は、液体油の種類、固形化剤の使用量、固形化条件等に
より異なるが、通常30〜1000g/cm2程度であ
る。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。なお部および%はそれぞれ重量部および重量%を表
す。先ずはじめに、実施例及び比較例に使用した原料の
略称と組成を以下に示す。 1.ゲル形成物質(I) (1)12−HS :12−ヒドロキシステアリン酸
(引火点235℃) 2.一時保護物質(II) (1)DCA :n−デカノール(引火点82℃) (2)NPH :ノニルフェノール(引火点155
℃) (3)BP−A :ビスフェノールA(引火点227
℃) (4)E−HA :2−エチルヘキサン酸(引火点1
20℃) (5)OLA :オレイン酸(引火点189℃) (6)ポリエーテルA:ポリプロピレングリコール(水
酸基価 125)のEO約10%付加物(引火点230
℃、水酸基価 112) (7)ポリエーテルB:ポリプロピレングリコール(引
火点183℃、水酸基価280) (8)ポリエーテルC:トリエタノールアミンのPO付
加物(引火点215℃、水酸基価 420) (9)ポリエーテルD:ペンタエリスリトールにPOと
EOの混合物(モル比:4/1)を付加(水酸基価 7
5)し、さらにEOを付加させたもの(引火点240
℃、水酸基価 55) (10)ノニオンA:オクチルフェノールのEO5モル
付加物(引火点215℃) (11)ノニオンB:ラウリルアルコールのEO8モル
付加物(引火点220℃) (12)ノニオンC:ソルビタンモノオレイン酸エステ
ルのEO20モル付加物(引火点245℃) (13)CAS :ヒマシ油(引火点229℃) 3.添加剤 (1)CMC :和光純薬(株)製カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム塩 4.示温剤 :クリスタルバイオレットラクトン
1部、ターシャリー・ブチルカテコール1部、n−ドコ
シルアルコール3部の混合物で、約100℃で青から無
色に変色する。 5.示温ラベル (1)サーモラベルA:サーモラベルLI−150(日
油技研工業(株)の商品名、完全不可逆性) (2)サーモラベルB:サーモラベルミニNo.120
(日油技研工業(株)の商品名、完全不可逆性) (3)サーモラベルC:サーモラベル3E−160(日
油技研工業(株)の商品名、完全不可逆性) 6.液体油 (1)食用油 :味の素(株)製サラダ油(菜種油
と大豆油の混合物) (2)廃食用油 :上記食用油を揚げ物に5回使用し
た後の熱劣化(粘度と色相の上昇)した廃油 (3)廃エンジン油:トヨタキヤッスルモーターオイル
クリーンSG10W−30でエンジンオイル交換して
約3,500Km走行後に回収した廃ガソリンエンジン
オイル (4)灯油 :白灯油
【0045】次に実施例及び比較例に使用した原料、お
よび得られた液体油の固形化物の性質の測定法を示す。 1.水酸基価 JIS K0070に規定の方法。 ポリヒドロキシ化合物の場合、水酸基価から分子量(数
平均分子量)が求められる。すなわち、数平均分子量=
平均官能基数X56100/水酸基価。 2.融点(凝固点) 柳本製作所(株)製微量融点測定機。 3.硬化時間 液体油に固形化剤を投入後、攪拌開始から液体油がほと
んど流動性を示さなくなるまでの時間。 4.ゲル強度 200mlのプラスチック容器中で固形化させた液体油
100gの固形化物試料を15℃の雰囲気で15時間保
存した後、インストロン型測定機を用いて直径25mm
のロッドで圧縮試験(20mm/分の速度で1分圧縮)
を行い、得られた最大荷重から求める。単位はg/cm
2である。
【0046】製造例1(固形化剤Z1の製造) NPH400g及び12−HS400gを1Lのガラス
製コルベン中に計量後、80〜90℃で加熱混合し、さ
らに減圧法で低揮発分を除いて固形化剤Z1(融点約5
0℃)を得た。その内の52gを耐熱フィルムPET/
AL/CPPの袋状レトルト容器(レトルトパウチ食品
用のものと同様のもの)に密封した(固形化剤Z1は食
品ではないので、密封後加圧高温殺菌は必要でない)。 製造例2(固形化剤Z2の製造) ポリエーテルA750gと12−HS150gを用いて
製造例1と同様の方法で固形化剤Z2(約47℃)を
得、その内の92gをPET/AL/PEのレトルト容
器に密封した。 製造例3(固形化剤Z3の製造) CAS500gと12−HS250gを1Lのガラス製
コルベン中に計量後、80〜90℃で加熱混合して固形
化剤Z3(融点約60℃)を得、取っ手付きで内容量の
標線表示のあるPETボトルに密封した。 製造例4(固形化剤Z4の製造) E−HA300gと12−HS300g及び示温剤0.
5gを用いて実施例1と同じ方法で青色の固形化剤Z4
(融点約45℃)を得、内容量の標線および電子レンジ
加熱時間標線(500Wおよび600W)が刻印された
PPボトルに密封した。
【0047】実施例1 食用油(約25℃)500gを1Lのプラスチック容器
中に入れ、次にレトルト容器に密封された製造例1の固
形化剤Z1(52g)を約100℃の湯浴中で5分間加
熱して溶融後、素早く全量を食用油に添加して攪拌した
ところ、食用油が約6秒で固形化し、系の流動性は完全
に無くなった。 比較例1 加熱、溶融した実施例1と同量の12−HS(約100
℃)26gを固形化剤Z1の代わりに添加して、実施例
1と同じ方法を繰り返したが、食用油は部分的に固形化
するだけ(いわゆるママコ状態)で流動性があり、系を
均一に固形化することが出来なかった。 実施例2 レトルト容器に密封された製造例2の固形化剤Z2(9
2g)を湯浴中で約5分間煮沸してから、その全量を廃
食用油500g中に添加し、30秒間混合した。混合開
始から約120秒後には系全体が均一に固形化した。 比較例2 実施例2と同じ廃食用油500gをフライパン中で約1
00℃まで加熱した後、12−HS15gを添加して均
一に攪拌、混合した。そのままの状態で室内に放置した
ところ約20分してようやく系は均一に固形化した。 実施例3 製造例3の固形化剤Z3の容器にサーモラベルA(15
0℃で白から黒に不可逆的に変色する)を貼った後、、
電子レンジ(出力600kw、発振周波数2450MH
z、以下同様)で加熱し、サーモラベルAが黒色に変色
した時に電子レンジのスイッチを切った。次に、廃食用
油500gの入った廃牛乳紙パック中に、この内の約7
5gをすばやく添加して2本の攪拌棒で約20秒間激し
く混合したところ、約25秒後に系全体が均一に固形化
した。 実施例4 約4Lのプラスチック容器中にポリエチレン製のフィル
ム状袋(ショッピングバッグ)を内装して、自動車のエ
ンジンから抜き取った廃エンジン油の半分の量の200
0g(約35℃)を入れた。次に、製造例1と同じ固形
化剤Z1が300g密封されたシリカ蒸着PETフィル
ムのレトルト容器にサーモラベルB(120℃で不可逆
的に白から黒へ変色)を貼った後、電子レンジでサーモ
ラベルBが変色するまで加熱した。次に、これを素早く
廃エンジン油中に注いだ後、2本の攪拌棒で約10秒間
激しく混合した。混合開始から約15秒後には系全体が
均一に固形化した。同様にして残りの廃エンジンオイル
約2000gを同様に固形化処理した。 実施例5 製造例4で作成した固形化剤Z4の色相が青から無色に
変化(約100℃)するまで電子レンジで加熱し、その
中の9gを使用済みの牛乳紙パックに入った廃食用油5
00g中に投入して30秒間攪拌し、更に90秒程静置
したがまだ流動性があり、充分に固形化しなかった。そ
れで、同様の方法で約100℃に加熱した固形化剤Z4
を更に26g追加して攪拌、混合したところ、約30秒
後に系は均一に固形化した。 実施例6 食用油の代わりに灯油を同量用いて実施例1と同じ方法
を繰り返した。約20秒で系は均一に固形化した。
【0048】表2に実施例1〜6及び比較例1、2の硬
化時間および得られた固形化物のゲル強度の測定結果を
示す。
【0049】
【表2】
【0050】実施例7〜15 表3および4に記載の加熱手段を用いて加熱、溶融混合
し、所定温度に調整した固形化剤を廃食用油500部
(約20℃)の入ったポリプロピレン容器中に加え、直
ちに10秒間激しく混合した後静置して、固形化物を得
た。それぞれの例の硬化時間およびゲル強度を表3およ
び表4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】ゲル形成物質だけを加熱溶融して、常温
(約20℃)の食用油に添加してもママコ状態になって
均一な固形化物が得られない(比較例1)が、同量のゲ
ル形成物質とこれの一時保護物質からなる固形化剤を用
いて、本発明の方法に従い液体油の固形化処理を行うと
即座に(約6秒)にゲル強度の大きい固形化物が得られ
た(実施例1)。比較例2に示したように前記の従来技
術(1)〜(3)の液体油加熱法で廃食用油を固形化処
理させると硬化させるまでに約20分間かかるのに対
し、同量のゲル形成物質を含む本発明の固形化剤を用い
て固形化処理すると、従来の方法の約10分の1の時間
で液体油を均一に硬化させることができた(実施例
2)。実施例1〜15から明らかなように、固形化剤
(Z)の加熱、溶融手段として、湯浴、スチーム浴、マ
イクロウェーブ照射加熱装置(電子レンジ)およびホッ
トプレートを用いることができる。これらの加熱用の調
理器具、装置はいずれも一般家庭、レストラン等で日常
的に使用されているものである。特に電子レンジ加熱の
場合、固形化剤(Z)の耐熱容器に内容量を示す標線の
表示部、内容量で変化する加熱時間の標線の表示部、可
逆または不可逆の色相変化に基づく表示部を少なくとも
1つ設けること、あるいは予め示温剤を固形化剤に添加
しておくことで、固形化剤(Z)の溶融温度をほぼ一定
に調整できるので、廃食用油および廃エンジンオイルな
どの液体油の固形化処理を湯浴またはスチーム浴加熱法
と同様に簡単かつ確実に行うことができる。従来技術の
液体油加熱法では、ゲル形成物質が不足して硬化不良し
た場合、液体油を再度高温(ゲル形成物質の融点以上)
に加熱して、この中にゲル形成物質を追加投入する必要
があったが、実施例5に示したように本発明の方法にお
いては、液体油を加熱する必要はなく、加熱、溶融させ
た少量の固形化剤を油の中に追加投入するだけで良い。
また、実施例3、5において、ゲル形成物質(I)の一
時保護物質(II)として用いられているものは、それ
ぞれ天然油脂、高級脂肪酸であり、得られた固形物を粉
石鹸(高級脂肪酸のアルカリ金属塩)として再生利用す
る場合の障害とならない。実施例6は、食用油、エンジ
ンオイル等よりも粘度の低い灯油の場合でも、固形化で
きることを示したものである。このことは、本発明の固
形化剤が、食用油、エンジンオイルのほか原油、重油、
軽油、石油等の石油関連製品の固形化剤としても有用で
あることを示している。実施例7〜15(表3および表
4参照)は、ゲル形成物質(I)の一時保護剤(II)
として広範囲の化合物が使用できることを示したもので
あり、本発明においては、液体油の種類、用途等その目
的に応じて固形化処理方法を幅広く種々選択できること
を意味しており、産業界における有用性が高い。
【0054】
【発明の効果】本発明の方法は、液体油を固形化させる
際、液体油を加熱する必要がないだけでなく、非常に短
時間にしかも安全に液体油を固形化処理できるので、下
記の効果が発揮される。 (1)本発明においては、液体油を加熱する必要がない
ので、省エネルギーであり、油火災の起きる可能性が極
めて低く、また廃油加熱による煙、悪臭の発生がない。
固形化剤の加熱、溶解は耐熱容器中に密封して容器ごと
行うので、加熱中に固形化剤に引火する恐れがないだけ
でなく、臭気も外部に漏れない。さらに、液体油の固形
化処理はプラスチック容器や例えば使用済みの牛乳紙パ
ックなどの紙製容器でも行うことができ、廃油処理後は
容器ごと可燃性ゴミとして廃棄処分できる。 (2)廃食用油の固形化処理の際、液体油を加熱するた
めのフライパンなどの調理具を使用する必要がないの
で、フライパンなどを通じてゲル形成物質が食品に混入
する心配がなく安全である。さらに油火災発生の危険性
がないので、廃油量の多い廃エンジンオイルの固形化処
理を一般家庭で行うことも可能である。 (3)従来の方法である液体油加熱法は液体油が固形化
するまでに20〜50分程度かかるので、食事の準備に
追われて忙しい折には、発生した廃食用油の一部は固形
化処理されずに家庭から下水に流されて河川を汚染する
ケースが多々あるものと推測される。本発明によれ
ば、、最短では5秒程度の短い時間に、液体油を能率的
に固形化させることが出来るので、前記の理由からの廃
食用油の下水への流入量が減り、河川の水質浄化に貢献
できる。 (4)液体油に対し固形化剤の量が不足して液体油が充
分に固形化しない場合、従来の液体油加熱法では液体油
を再度加熱する必要があるが、本発明においては液体油
を加熱する必要がなく、少量の溶融した固形化剤を追加
してさらに混合すればよく、固形化の手直しを容易にか
つ短時間に行うことが出来る。 (5)本発明の方法においては、固形化剤は別の容器に
移し変える必要がなく、耐熱容器に入ったままの状態で
加熱されて使用されるので、使用後の容器の洗浄は不要
である。 (6)また、耐熱容器として例えば食品包装に使用され
ているレトルト容器(プラスチックフィルムの袋状容
器)、耐熱プラスチックボトルやチューブが使用でき
る。従って耐熱容器に密封された固形化剤の加熱、溶融
する手段として、容器ごと湯浴またはスチーム浴中で煮
沸する方法、もしくはマイクロウェーブ照射加熱(電子
レンジ)による方法が適用できるので、家庭の主婦でも
液体油を簡単且つ安全に、しかもスピーディーに固形化
処理できる。 (7)さらに、耐熱容器に内容量を示す標線の表示部、
内容量によって変える必要のある電子レンジ加熱時間の
標線の表示部、可逆または不可逆の色相変化に基づく表
示部を少なくとも1つ設けること、あるいは予め示温剤
を固形化剤に添加しておくことで、加熱時間の調整など
ノウハウの必要な電子レンジ加熱においても湯浴または
スチーム浴加熱法と同様に確実に液体油の固形化処理を
行うことができる。 (8)本発明の方法は、液体油の硬化時間、得られる固
形化物のゲル強度等を広範囲に変化させられるので、廃
食用油、廃エンジンオイル等の単なる廃油の固形化処理
としての用途だけでなく、例えば固形燃料の製造など他
の用途にも有用である。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱容器中に密封された、油中ゲル形成
    物質(I)と該ゲル形成物質(I)の一時保護物質(I
    I)とからなる液体油固形化剤(Z)を容器ごと加熱し
    た後、溶融した該液体油固形化剤(Z)の全部もしくは
    その一部を液体油と混合して液体油を加熱せずに固形化
    する方法において、前記一時保護物質(II)が溶融状
    態で油中ゲル形成物質(I)と混和性を有し、分子中に
    疎水基と親水基を有する180℃よりも高い沸点を有す
    る有機化合物であり、前記液体油固形化剤(Z)の溶融
    温度が60〜180℃であることを特徴とする液体油の
    固形化方法。
  2. 【請求項2】 前記油中ゲル形成物質(I)が12−ヒ
    ドロキシステアリン酸(a)であり、前記一時保護物質
    (II)の親水基が水酸基、カルボキシル基、オキシエ
    チレン基の群から選ばれる1種以上である請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記一時保護物質(II)が炭素数7〜
    20の1価アルコール、炭素数6〜30のフェノール化
    合物、炭素数6〜25のカルボン酸化合物およびアルキ
    レン(炭素数2〜4)オキシド付加物よりなる群から選
    ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記アルキレン(炭素数2〜4)オキシ
    ド付加物が、分子中に水酸基(−OH)、カルボキシル
    基(−COOH)、一級アミノ基(−NH2)、二級ア
    ミノ基(=NH)、アミド基(−CONH2)から選ば
    れる官能基を少なくとも一個有する活性水素含有化合物
    にアルキレン(炭素数2〜4)オキシドを付加させた化
    合物である請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記アルキレン(炭素数2〜4)オキシ
    ド付加物が、ポリエチレングリコール型非イオン界面活
    性剤、ポリプロピレングリコール、ポリ(プロピレン−
    エチレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコー
    ル、ポリ(ブチレン−エチレン)グリコール、ポリプロ
    ピレンポリオール(官能基数3〜8)、ポリ(プロピレ
    ン−エチレン)ポリオール(官能基数3〜8)からなる
    群より選ばれる分子量200〜50,000の化合物で
    ある請求項1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 (II)/(I)の混合比率(重量比)
    が、0.5〜50である請求項1〜5の何れかに記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 溶融した80〜180℃の液体油固形化
    剤(Z)3〜50重量部と液体油100重量部とを混合
    して液体油を固形化する請求項1〜6の何れかに記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 レトルト容器、耐熱プラスチックボトル
    または耐熱プラスチックチューブの何れかの耐熱容器に
    密封された液体油固形化剤(Z)が湯浴またはスチーム
    浴で容器ごと加熱溶融後、液体油と混合される請求項1
    〜7の何れかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 温度変化により可逆または不可逆の色相
    変化を起こす示温剤を含む液体油固形化剤(Z)がマイ
    クロウェーブ照射により加熱溶融後、液体油と混合され
    る請求項1〜7の何れかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 温度変化により可逆または不可逆の色
    相変化を起こす示温部を容器表面に有するレトルト容
    器、耐熱プラスチックボトルまたは耐熱プラスチックチ
    ューブの何れかの耐熱容器に密封された液体油固形化剤
    (Z)がマイクロウェーブ照射により加熱溶融後、液体
    油と混合される請求項1〜7の何れかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 液体油の処理温度が10〜40℃であ
    る請求項1〜10の何れかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 液体油が廃食用油である請求項1〜1
    1の何れかに記載の方法。
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