JP3051616U - 焼き調理器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 調理板の全面を均等に加熱でき且つ異臭や不
快な煙を発生させることもない新規な焼き調理器の提
供。 【解決手段】 その凹部略中心位置に中空通孔を有する
円筒部を植立させてなる鍋状乃至は深皿状の受け具と、
その裏面側の略中心位置に受熱板を連設してなる調理板
とからなり、当該調理板を前記受け具の開口に装着若し
くは載置して受熱板の開放面と円筒部の上端開口を対向
位置せしめるよう構成した焼き調理器。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は焼き調理器、さらに詳しくはコンロ類に載置し加熱して焼き調理すべ き調理板を有する焼き調理器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

魚肉や野菜などを食材とする焼き調理は主要な調理方法の一つであり、この焼 き調理に供すべき焼き調理器も従来から種々提案・提供されてきた。 鉄板焼き・陶板焼き・石板焼きのように、調理板を用いてその表面側の調理面 に食材を載置しコンロ類の炎で裏面側を加熱する形式の焼き調理器もその一つで あるが、次の点がこの種従来の焼き調理器に伴う問題として指摘されてきた。

【０００３】 即ち、この種の調理板を用いる従来の焼き調理器では、コンロ類の炎が調理板 裏面の特定位置のみを加熱するため、調理面の加熱温度が均等にならず調理時の 焼き斑を避けることが難しい。特に、アルコール系固形燃料やガスボンベを用い る携帯用コンロなど熱量の低いコンロ類を用いる場合には、調理上の大きな支障 となっている。勿論、調理前に長時間の加熱を継続して調理板全面の均等な温度 を得ること自体は可能だが、調理面の温度が過剰に上昇して食材を焦がすなど、 却って良好な焼き調理を阻害する上に、熱量の低い携帯用コンロ類でこれを実施 するなどは望むべくもない。

【０００４】 また、この種従来の焼き調理器では、調理対象である食材から生じる液汁や油 脂分が調理板の調理面に過剰に滞留するため、これが調理を阻害し或いは飛散す ることも避けられなかった。

【０００５】 これに対して調理板に液汁や油脂分を滴下させるための透孔状の切り溝や通孔 を穿設することも提案されているが、これだけでは調理板による焼き調理と言う 固有な調理方法を捨て去って網焼き調理化させているに過ぎない。この提案によ る調理器乃至調理方法では、焼き斑を助長する点で調理面全面の均等加熱を求め る声に応え得ないばかりか逆行さえしている。しかも、調理面の切り溝や通孔を 介して食材や液汁・油脂分とコンロ類の炎が接触し異臭や不快な煙を発生せざる を得ない点で、網焼き調理同様の問題を新たにもたらしてしまっている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、調理板を用いた焼き調理器と焼き網を用いた焼き調理器のそれぞれ が不可避的に抱えていた問題の全てを根絶・解決せんとするものであり、調理板 の全面が均等に加熱されて焼き斑を生じさせないとともに、食材や食材から生じ る液汁・油脂分などがコンロ類の炎と接触して異臭や不快な煙を発生させること もない、新規な焼き調理器を提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、その凹部略中心位置に中空通孔を有する円筒部を植立させてなる鍋 状乃至は深皿状の受け具と、その裏面側の略中心位置に受熱板を連設してなる調 理板とからなり、当該調理板を前記受け具の開口に装着若しくは載置して受熱板 の開放面と円筒部の上端開口を対向位置せしめるよう構成した焼き調理器を提供 するものであり、これによりこの課題を解決する。

【０００８】

【考案の実施の形態】

本考案に係る焼き調理器は、その凹部略中心位置に中空通孔を有する円筒部を 開口方向へ植立させてなる鍋状乃至は深皿状の受け具と、表面側に切り溝若しく は通孔を穿設した調理面を有するとともに裏面側の略中心位置に受熱板を連設し てなる調理板とからなり、当該調理板を前記受け具の開口に装着若しくは載置し て受熱板の開放面と円筒部の上端開口を対向位置せしめるよう構成してなるもの である。 本考案に係る焼き調理器は以上の構成を有してなるから、これをガスコンロ、 携帯用コンロなどのコンロ類に載置して加熱調理する場合、コンロ類からの炎が 円筒部の中空通孔内を立ち上がって対向位置する受熱板を直接加熱し、受熱板か らの熱伝導によって連設された調理面の全面を好適な調理温度に至らせる。

【０００９】 このように、本考案に係る焼き調理器では受熱板を介した熱伝導によって調理 板の調理面を加熱しているから、調理面の全面を所望の調理温度に均等に加熱で き、調理面に載置された食材の載置位置の如何で焼き斑を生ずることがない。

【００１０】 また、加熱調理時のコンロ類の炎が受け具の円筒部に包まれるように護られ受 熱板だけを加熱するから、調理板の調理面に載置された食材と炎が触れて食材を 焦がしたり異臭や不快な煙を生じさせたりすることがない。

【００１１】 さらに、調理中の食材から生じ調理面の切り溝や通孔を通って滴下する液汁や 油脂分なども受熱板に遮られて円筒部に護られた炎に触れることはなく、受け具 外周の内壁と円筒部の外壁が形成する溜部に滴下するので、調理面に滞留して調 理を妨げたり飛散を生ずることがないとともに、この点でも異臭や不快な煙を発 生させることがない。これら液汁や油脂分などは、異臭や煙をもたらす上に、コ ンロ類の不完全燃焼をも惹き起こすから、上記構成によって食材や油脂分などと 炎との接触を断つことは、快適で安定した調理の実現に資するばかりでなく、調 理の安全をも確保することとなる。

【００１２】 加えて、コンロ類の炎を受け具の円筒部内に立ち上げ調理板の受熱板を直接加 熱するため、ガスボンベやアルコール系固形燃料を用いる携帯用コンロ類など熱 量の弱いコンロ類でも好適な焼き調理を確保することができる。

【００１３】 ここで、コンロ類の炎と食材やその液汁・油脂分とが直接接触することを確実 に防ぐためには、円筒部内を立ち上がって受熱板を加熱する炎が受熱板から大き くはみ出してはならず、受熱板の開放面の面積を対向位置する円筒部の上端開口 面積より大きく構成することが望ましい。

【００１４】 また、コンロ類の炎を円筒部の中空通孔を通して受熱板まで立ち上げるために は、対向位置する受熱板の開放面と円筒部の上端の間に間隙を介在させなければ ならないが、炎を円筒部内に吸引し効果的に立ち上げて受熱板だけを効率的に加 熱させるためにも、調理中の食材や食材から滴下する液汁・油脂分などと炎との 接触を確実に避けるためにも、この間隙は不完全燃焼を来さない限度で僅かな距 離に抑えることが望ましい。

【００１５】 尚、調理板表面側の調理面には切り溝や通孔を設けるものとするが、その大き さ・形状・数に特段の制限はなく、例えば通孔を極大化した焼き網状の形態であ ることを妨げずこれを含むものとする。

【００１６】 また、調理板の表面側外周部に溜溝を設けておけば、調理中の食材から生じる 油脂分を調理面の切り溝や通孔から滴下させるだけでなく、調理面からプレート 外周部の溜溝へ導いて溜めておくことができ、調理中に生じる油脂分が調理面に 過剰に滞留したり油脂沫が飛散することをより確実に防ぐことができる。

【００１７】

【実施例】

図１は本考案に係る焼き調理器の一実施例を示してなるものであり、図２はそ の実施の状態を示すものである。 当該実施例に於いて、受け具２には鍋状の容器形態を与え、その開口外周上縁 に調理板を着脱自在に装着するための縁部２ｂを設けるとともに、凹部中心位置 に中空通孔を有する円筒部２ａを開口方向へ植立させて外周部内壁と円筒部外壁 の間に溜部２ｃの空積が形成されよう構成してなる。

【００１８】 また、調理板１は前記受け具２の開口外周上縁に設けた縁部２ｂの内径に照応 する外径を有する平板状の円形鉄板であって、調理対象である食材３を載置すべ き表面側の調理面に透孔状の切り溝１ｂを穿設するとともに、その裏面側の中心 位置に平板円盤状の受熱板１ａを付設し、外周縁には円環状の溜溝１ｃを設けて なる。

【００１９】 ここで、調理板１は受け具２の開口外周上縁に設けた縁部２ｂに嵌め込み装着 して利用に供されるが、装着時に対向位置する調理板裏面側に連設された受熱板 １ａの開放面と受け具の円筒部２ａの相互の関係について種々の実験を重ねた結 果、受熱板１ａの開放面が対向する円筒部２ａの上端開口より大なる外径面積を 有し、且つ受熱板１ａの開放面と円筒部２ａの上端開口が６ｍｍ乃至１２ｍｍ（ 最も好適には９ｍｍ）と言う僅かな間隙を以て対向位置するよう構成した場合に 、最も好適な調理が確保されることを見出した。

【００２０】 この場合、コンロ類４の炎４ａは受け具２の円筒部内２ａを効果的に立ち上が るとともに、受熱板１ａから殆どはみ出すことなくこれを集中的に加熱し続け、 熱伝導によって調理板１の調理面全面を均等な調理温度に熱することができた。 この結果、食材３を調理面のどの位置に置いても所望の焼き調理を確保できた上 に、食材３は勿論のこと食材から生じた液汁や油脂分も炎と一切触れることがな く、これら液汁・油脂分は受け具２の溜部２ｃに滴下するとともに調理板１外周 部の溜溝１ｃに速やかに流れ、調理面からの飛散や異臭・煙を発生させるところ はなかった。

【００２１】 さらに、本実施例では受け具２外周の内壁と円筒部の外壁が形成する溜部２ｃ に適量の水５を張って加熱調理を行ったところ、滴下した食材の液汁・油脂分が 速やかに冷却されて溜部で生じる微量の異臭や煙までもが抑止された上に、溜め 部２ｃの水５から発生する微量の蒸気が焼き調理中の食材３を包んで水分を補給 し好適な調理を実現することができた。

【００２２】 尚、本実施例では、調理板１を着脱自在に装着する手段として受け具２の開口 外周上縁に縁部２ｂを設けたが、装着手段を限定するものではなく、公知の全ゆ る装着手段を選択することができる。

【００２３】 また、受け具２に調理板１の装着手段を設けること自体が必須ではなく、受け 具２の円筒部２ａの開口上に受熱板１ａが位置するように合わせて調理板１を載 置することも妨げない。

【００２４】

【考案の効果】

本考案に係る焼き調理器によれば、調理板の調理面全面を均等に加熱できると ともに、食材やその液汁・油脂分などと炎との接触によって生じる異臭や不快な 煙を根絶でき、しかも調理面に滞留する過剰な液汁・油脂分などがもたらす調理 阻害やその飛散をも効果的に防止することができる。 特に、受熱板の開放面が円筒部の上端開口より大なる面積を有するとともに、 受熱板の開放面と円筒部の上端開口が６ｍｍ乃至１２ｍｍの間隙を以て対向位置 するよう構成する場合、コンロ類の炎が円筒部内に吸引されて効果的に立ち上が るとともに、円筒部開口と対向位置する受熱板に収斂しこれからはみ出すことな く集中的に加熱を図ることができるから、前記効果を最も良好に奏することがで きる。 また、受け具の開口周縁に調理板を着脱自在に装着すべき装着手段を設けるこ とで、調理板を受け具に確りと装着することができ、安定的で快適な調理に資す ることができる。 加えて、調理板の表面側外周部に溜溝を設けておけば、食材から生じる液汁・ 油脂分などを調理面から除去することができ、調理面に滞留した過剰な液汁・油 脂分などに起因する調理阻害やその飛散をさらに防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る焼き調理器の一実施例をを示す
斜視図である。

【図２】 本考案に係る焼き調理器の実施状態を示す部
分断面図である。

【符号の説明】

１ 調理板 １ａ 受熱板 １ｂ 切り溝 １ｃ 溜溝 ２ 受け具 ２ａ 円筒部 ２ｂ 縁部 ２ｃ 溜部 ３ 食材 ４ コンロ ４ａ 炎 ５ 水

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 その凹部略中心位置に中空通孔を有する
   円筒部２ａを植立させてなる鍋状乃至は深皿状の受け具
   ２と、表面側に切り溝１ｂ若しくは通孔を穿設した調理
   面を有するとともに裏面側の略中心位置に受熱板１ａを
   連設してなる調理板１とからなり、当該調理板１を前記
   受け具２の開口に装着若しくは載置して受熱板１ａの開
   放面と円筒部２ａの上端開口を対向位置せしめるよう構
   成してなることを特徴とする焼き調理器。
2. 【請求項２】 受熱板１ａの開放面が円筒部２ａの上端
   開口より大なる面積を有するとともに、受熱板１ａの開
   放面と円筒部２ａの上端開口が６ｍｍ乃至１２ｍｍの間
   隙を以て対向位置するよう構成してなることを特徴とす
   る請求項１に記載の焼き調理器。
3. 【請求項３】 受け具２の開口周縁に調理板１を着脱自
   在に装着すべき装着手段２ｂを設けてなることを特徴と
   する請求項１又は請求項２に記載の焼き調理器。
4. 【請求項４】 調理板１の表面側外周部に溜溝１ｃを設
   けてなることを特徴とする請求項１から請求項３のいず
   れかに記載の焼き調理器。