JP3051550B2 - 電池用電極の製造法 - Google Patents

電池用電極の製造法

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JP3051550B2
JP3051550B2 JP4046990A JP4699092A JP3051550B2 JP 3051550 B2 JP3051550 B2 JP 3051550B2 JP 4046990 A JP4046990 A JP 4046990A JP 4699092 A JP4699092 A JP 4699092A JP 3051550 B2 JP3051550 B2 JP 3051550B2
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電池用電極の製造法に関
するものであり、特に導電性高分子とアニオン性高分子
電解質との複合体よりなる電池用電極の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、正極活物質として導電性高分子を
用いた電池としては、リチウムを負極活物質に用いたリ
チウム二次電池がよく知られている。該電池において
は、導電性高分子を用いた正極では充電時に支持電解質
陰イオンが取り込まれ、放電時に該支持電解質陰イオン
が放出される。また、リチウム負極では充電時にリチウ
ムが還元析出し、放電時にリチウムイオンを溶出する。
従って、該電池の放電に伴って両極間の電解液中に該支
持電解質が蓄積されるため、該電解液は該電池の容量に
対し当量以上の該支持電解質を溶解し得る能力が必要で
ある。例えば、支持電解質陰イオンが一価の場合、電池
容量1Ahに対して37mmol以上、また、支持電解
質陰イオンが二価の場合、19mmol以上の支持電解
質が必要になる。しかしながら、該支持電解質の溶解に
用いられる有機溶媒は一般に電解質を溶解する能力に劣
るため、支持電解質の溶解には多量の有機溶媒が必要で
ある。しかも、該支持電解質を溶解した電解液は電気抵
抗が大きいため、多量の電解液を用いることによる電池
の内部抵抗の増加は避けられない。以上の原因から、導
電性高分子を正極活物質として使用するリチウム二次電
池において、軽量かつ大容量で、取り出し電流を大きく
とれる電池をえることは困難であった。このような、正
極活物質として導電性高分子を用いたリチウム二次電池
の有する上記問題点を解決する手段としては、特開昭6
3−285864号公報に記載されるように、正極とし
て導電性高分子とアニオン性高分子電解質よりなる複合
体を用いる方法が知られている。この方法は、導電性高
分子とアニオン性高分子電解質よりなる複合体が、充電
・放電に伴ってカチオンの放出・取り込みを行なう性質
に着目したもので、リチウム二次電池において、該複合
体を多隙性導電体に担持せしめて正極として用いると、
放電によって負極より生じるリチウムイオンが該複合体
中に取り込まれるため、電解液中に支持電解質は蓄積せ
ず、従来の電池に比して、軽量かつ大容量で、取り出し
電流を大きくとれる電池を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】導電性高分子とアニオ
ン性高分子電解質との複合体よりなる電極の製造方法と
しては、電極基板を導電性高分子のモノマーおよびアニ
オン性高分子電解質を含む水溶液に浸漬して電解重合を
行う方法や、導電性高分子のモノマーおよびアニオン性
高分子電解質を含む水溶液に酸化剤を導入して化学重合
を行なう方法が知られている。これらの方法では、導電
性高分子のモノマーが重合する際、アニオン性高分子電
解質がドーパントとして取り込まれ、導電性高分子とア
ニオン性高分子電解質の複合体が形成される。しかしな
がら上記のごとき製造方法によれば、得られた複合体
は、重合した導電性高分子の容量に対し、当量を上回る
過剰量のアニオン性高分子電解質が取り込まれるため、
過剰に取り込まれたアニオン性高分子電解質が電池重量
増加の原因となり、軽量かつ大容量の電池とするために
は好ましくない。さらに、該複合体は過剰のアニオン性
高分子電解質取り込みによって緻密になり、電解液の浸
透性に劣るため、該複合体を厚膜化した場合には該厚膜
内部の複合体が電極として充分に働かず、電池容量およ
び取り出し電流の低下を招くという新たな問題点が生じ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は導電性高分子と
アニオン性高分子電解質との複合体よりなる電池用電極
の製造法において、導電性高分子にアニオン性高分子電
解質となるモノマーを導電性高分子容量に対する当量だ
ドーピングした後、取り込まれた該モノマーを重合せ
しめて高分子化することを特徴とする。即ち、本発明は
導電性高分子をまず重合しておき、これに、アニオン性
高分子電解質ではなく、該アニオン性高分子電解質とな
るモノマーの所期量をドーパントとすることにより、導
電性高分子に取り込むアニオン基数を導電性高分子容量
の当量に制限し、その後該モノマーを重合することによ
り、必要最小量のアニオン性高分子電解質との複合体を
製造するものであり、従来の導電性高分子とアニオン性
高分子との複合体からなる電池用正極材の問題点を解決
するものである。
【0005】
【作用】本発明者等は、前記した従来の導電性高分子モ
ノマーとアニオン性高分子電解質を含む溶液を重合する
方法において、重合した導電性高分子の容量と取り込ま
れたドーパントのアニオン基総数について、種々のドー
パントを用いて検討を行った結果、分子内に多数のアニ
オン基を有するアニオン性高分子電解質をドーパントと
して用いた場合には、分子内のアニオン基数が多くなる
ほど過剰に取り込まれるアニオン基数も増加することを
見出した。これは、導電性高分子にアニオン性高分子電
解質中の一アニオン基がドーピングしただけでもドーピ
ングしていない他アニオン基を含む一つの分子として
り込まれることや、ドーピングに関与していない高分子
多価アニンオンにおいても、そのかさ高さのために他の
高分子多価アニオンが導電性高分子に取り込まれる際に
同時に取り込まれることが原因であると推定され、した
がって、従来の製造方法におけるかかる問題点を解決す
るためには、導電性高分子の重合時に取り込まれるドー
パントの分子量および分子内アニオン数を少なくする
必要があることを見出し、研究を重ねた結果本発明の
方法に到達した。本発明では、アニオン性高分子電解質
となるべきモノマーを導電性高分子容量に対する当量だ
ドーピングした後重合させるので、過剰にアニオン
高分子電解質が取り込まれることはない。また、本発明
に係る製法によれば、導電性高分子を所定の構造に構成
した後にアニオン性高分子電解質と複合することができ
るので、厚膜化しても厚膜内部への電解液の浸透性を損
なうことなく、電極全体を充分に働かせることができ
る。
【0006】本発明において、導電性高分子とは、その
主鎖がπ共役系からなる電子導電性を発現する高分子で
あり、例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ
ピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフ
ェニレンビニレン、ポリアセンおよびそれらの誘導体な
どが挙げられる。この中でも特にポリピロール、ポリア
ニリンおよびそれらの誘導体が好ましい。なお、一般に
導電性高分子の重合方法としては電解重合と化学重合に
大別されるが、本発明においては導電性高分子の重合方
法を限定するものではなく、どちらの重合方法において
製造された導電性高分子とも使用できる。本発明におけ
る該導電性高分子の分子量範囲は特に限定されるもので
はないが、通常数百〜数十万程度である。
【0007】本発明においてアニオン性高分子電解質と
はイオン解離により陰イオンとなる高分子であり、例え
ばポリアクリル酸アニオン、ポリメタクリル酸アニオ
ン、ポリスチレンカルボン酸アニオン、ポリビニルスル
ホン酸アニオン、ポリスチレンスルホン酸アニオン、ポ
リビニル硫酸アニオンなどが挙げられ、そのモノマーと
してはそれぞれアクリル酸アニオン、メタクリル酸アニ
オン、スチレンカルボン酸アニオン、ビニルスルホン酸
アニオン、ビニル硫酸アニオンなどが挙げられる。中で
も特に好ましいアニオン性高分子電解質はポリスチレン
スルホン酸アニオン、ポリビニルスルホン酸アニオンで
あり、そのモノマーとしてはそれぞれスチレンスルホン
酸アニオン、ビニルスルホン酸アニオンが用いられる。
【0008】本発明において、導電性高分子に対するア
ニオン性高分子電解質モノマーをドーピングする方法
は、製造しようとする正極の種類、構造に応じて適宜選
択できる。具体的手段としては後記する実施例に示され
るように、正極の導電性高分子をアニオン性高分子電解
質となるモノマーを含有する液中に浸漬して、一定電流
を正極が所定の陽極電圧となるまで流してドーピングす
る方法がある。その外のドーピング法としては、所定の
電位を導電性高分子に印加し、電流が流れなくなるまで
ドーピングする等の方法がある。
【0009】導電性高分子に取り込まれたアニオン性高
分子電解質となるモノマーを重合してアニオン性高分子
電解質とするには、例えば該導電性高分子と該モノマー
との複合体を重合開始剤含有溶液に浸漬する、該導電性
高分子と該モノマーとの複合体を加熱する、該導電性高
分子と該モノマーとの複合体に紫外線を照射するなどの
方法があり、該モノマーの反応性に応じた適切な方法を
選択すればよい。本発明におけるアニオン性高分子電解
質の分子量は特に限定されるものではないが、通常数十
〜数千程度である。
【0010】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 陽極および陰極としてそれぞれ白金メッキチタン板(2
cm×6cm、厚さ0.2cm、但し接液部分2cm×
2cm)を用い、1M−アニリン+2M−HClO4
溶液200ml中で4mAの一定電流で17分間電解
し、ポリアニリンを陽極電極基板上に析出させた。該ポ
リアニリンは過塩素酸アニオンをドーパントとして取り
込んでいるので電流の方向を反転して脱ドーピングを行
った。次に、該ポリアニリン電極を陽極として1M−ス
チレンスルホン酸リチウム水溶液200ml中に浸漬
し、陽極電位が0.8VvsSCEになるまで0.4m
Aの一定電流を流してスチレンスルホン酸アニオンをド
ーピングした。次に該ポリアニリン電極を取り出し、1
重量%−ペルオクソ二硫酸アンモニウム水溶液100m
l中に浸漬して該ポリアニリン電極に取り込まれている
スチレンスルホン酸アニオンを重合して、ポリアニリン
とポリスチレンスルホン酸アニオンの複合体とした。該
複合体を100℃で3時間真空乾燥させ、目的の電池用
電極を得た。該複合体の重量は3.7mgであった。な
お、元素分析による窒素原子に対する硫黄原子の比S/
Nは約0.5であり、該ポリアニリン電極の容量に等し
いアニオン性高分子電解質が複合していることを確認し
た。
【0011】該複合体を正極とし、SUSネット上に金
属リチウムを圧着したものを負極とし、1M−LiCl
4 のプロピレンカーボネート溶液を電解液としてアル
ゴンガス雰囲気下で電池を構成した。なお、該電池には
参照電極としてリチウム電極を組み入れた。該電池を充
放電電流0.1mA、上端電位3.9V、下端電位2.
0Vで充放電を繰り返したところ、サイクル寿命500
サイクル以上、クーロン効率100%、放電容量70A
h/kgという性能を示した。
【0012】また、同様に作製した複合体を用いて上記
と同様に電池を構成し、該電池において上端電位3.9
V、下端電位2.0Vで、充放電電流を0.1mA,
0.2mA,0.4mAと変化させた時の放電容量はそ
れぞれ71Ah/kg,70Ah/kg、70Ah/k
gとほぼ一定値を示した。
【0013】実施例2 実施例1と同様にして、1M−アニリン+2M−HCl
4 水溶液200ml中で4mAの一定電流で4時間電
解し、ポリアニリンを陽極電極基板上に析出させた。そ
の後、電流の方向を反転して過塩素酸アニオンの脱ドー
ピングを行った。次に、該ポリアニリン電極を陽極とし
て1M−スチレンスルホン酸リチウム水溶液200ml
中に浸漬し、陽極電位が0.8VvsSCEになるまで
4mAの一定電流を流してスチレンスルホン酸アニオン
をドーピングした。該ポリアニリン電極を取り出し、1
重量%−ペルオクソ二硫酸アンモニウム水溶液100m
l中に浸漬してスチレンスルホン酸アニオンを重合して
ポリアニリンとポリスチレンスルホン酸アニオンの複合
体とした。該複合体を100℃、10時間真空乾燥さ
せ、目的の電池用電極を得た。該複合体の重量は51m
gであり、S/Nは約0.5であった。実施例1と同様
にして電池を構成した。この電池は実施例1のものより
厚膜である。該電池を充放電電流1.2mA、上端電位
3.9V、下端電位2.0Vで充放電を繰り返したとこ
ろ、サイクル寿命500サイクル以上、クーロン効率1
00%、放電容量69Ah/kgという、実施例1にお
ける薄膜電極と同様の性能を示した。
【0014】
【発明の効果】本発明の電池用電極の製造方法により製
造した導電性高分子とアニオン性高分子電解質との複合
体は、酸化還元に伴いカチオンの放出あるいは取り込み
を行なう機能を有し、また、従来の製造方法に比較し
て、過剰のアニオン性高分子電解質の取り込みがないた
め、電池重量が低減し、かつ、該複合体への電解液の浸
透性が向上するため、該複合体を厚膜化した場合の電池
容量および取り出し電流の低下を抑制することが可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/02 - 4/04 H01M 4/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性高分子とアニオン性高分子電解質
    との複合体よりなる電池用電極の製造法において、導電
    性高分子にアニオン性高分子電解質となるモノマーを
    電性高分子容量に対する当量だけドーピングした後、該
    導電性高分子に取り込まれた該モノマーを重合せしめて
    高分子化することを特徴とする上記製造法。
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