JP3051496U - コンテナの自動車積込み構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体を前後に傾斜した状態でコンテナ内に固
定保持する自動車の積込み構造において、ワイヤによる
吊下げ位置調整が容易にでき、積込み時の作業性の向上
を図るとともに、輸送中の振動等に対し位置ずれを起こ
すことなく確実にコンテナ内に固定保持し、積込みの信
頼性を高めたコンテナの自動車積込み構造を提供する。 【解決手段】 床３上に設けた台５上に前輪４を載せて
車体の前側をこの台５上に搭載支持し、車体の後側を持
上げてコンテナ１上部の掛け具１５からワイヤを用いて
吊下げ支持したコンテナの自動車積込み構造であって、
前記ワイヤはエンドレスワイヤ１３からなり、このワイ
ヤ１３を後輪のタイヤホイル１２に係合させるととも
に、このエンドレスワイヤ１３と前記掛け具１５の間に
ターンバックル１４を介装した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、コンテナの自動車積込み構造に関し、特に車体の前側又は後側をワ イヤを用いて吊下げることにより車体を前後方向に傾斜させて支持した自動車の 積込み構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車をコンテナにより陸上あるいは海上輸送する場合、コンテナ内容積を有 効に積荷空間として使用するため、自動車を一定の方向に傾けて前後に詰めるこ とにより複数台の車両をコンテナ内に積み込んでいる。

【０００３】 このように自動車を傾斜させて積み込む場合、ワイヤを用いて、コンテナの内 壁上部あるいは天井面に固定されたＵ字状やリング状あるいはフック状の掛け具 にワイヤを通して車体後部を持ち上げて吊下げ支持している。このようなワイヤ により車体後部を吊下げ支持する場合、まず車体後部をフォークリフトで持ち上 げる。この状態で、適当な長さの一本のワイヤを車体後部のフレームあるいは後 輪または車軸等に巻掛けこれをコンテナ側の掛け具に通してワイヤ両端同士を結 ぶ。左右両側でそれぞれワイヤを結んだ後、フォークリフトを下げて車体後部を 左右両側のワイヤで吊下げ支持する。このとき車体の重みでワイヤの結び目が締 り吊下げ位置が下がったり、左右の吊下げ高さがずれた場合には、再びフォーク リフトで車体を持ち上げてワイヤを結び直して高さ調整が行われる。その後、左 右方向の揺れや上方への跳ね上がりを防止するため、左右車体フレームからそれ ぞれ反対方向のコンテナ側壁下部の掛け具にワイヤをＸ字状に掛けわたして車体 を固定している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来のコンテナの自動車積込み構造においては、自動車の 左右それぞれで、一本のワイヤを用いてその両端を結ぶことによりワイヤの長さ を調整して車体を吊下げるため、積込み時に、フォークリフトを外したときに吊 下げ高さが重みで下がったときや左右の長さが異なって水平のバランスが崩れた ときにワイヤを結び直さなければならず調整作業が面倒であった。また、一旦適 正な傾斜角度で吊下げ支持した後、輸送中に振動や重みでワイヤの結びが締って 吊下げ位置が下がることもある。このように輸送中に吊下げ位置が下がると、そ の下側に積まれた車両前部に接触するおそれも出てくる。

【０００５】 本考案は、上記従来の問題に対処したものであって、自動車の前側または後側 をワイヤで吊下げて車体を前後に傾斜した状態でコンテナ内に固定保持する自動 車の積込み構造において、ワイヤによる吊下げ位置調整が容易にでき、積込み時 の作業性の向上を図るとともに、輸送中の振動等に対し位置ずれを起こすことな く確実にコンテナ内に固定保持し、積込みの信頼性を高めたコンテナの自動車積 込み構造の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、本考案では、床上に設けた台上に前輪または後輪を 載せて車体の前側または後側の一方をこの台上に搭載支持し、車体の他方の側を 持上げてコンテナ上部の掛け具からワイヤを用いて吊下げ支持したコンテナの自 動車積込み構造であって、前記ワイヤはエンドレスワイヤからなり、このワイヤ を車体側に係合させるとともに、このワイヤと前記掛け具の間にターンバックル を介装したことを特徴とするコンテナの自動車積込み構造を提供する。

【０００７】 この構成によれば、予め一定長さに定められた輪状のエンドレスワイヤを用い て後輪等を吊下げ、その高さ調整はターンバックルにより行われるため、ワイヤ の結び直し等の面倒な調整作業がなくなり、作業性が向上する。また、エンドレ スワイヤを用いるため常に一定の長さに維持され、従来のように輸送中にワイヤ の結び目状態が変化して長さが変り吊下げ位置が変化することはなく、車体は輸 送中一定の姿勢に保持され積込みの信頼性が向上する。

【０００８】

【考案の実施の形態】

図１は本考案の実施の形態に係るコンテナの自動車積込み構造を側面からみた 構成説明図であり、図２はその後面からみた構成説明図である。 コンテナ１は、天井１ａと左右側壁１ｂと底板１ｃとからなる箱体形状であり 、後端部に扉（図示しない）を有する入口１ｄが開口する。底板１ｃ上には木製 の床板３が設けられる。このコンテナ１内に４台の自動車２が積み込まれる。前 側の３台の自動車２は傾斜して収容され、後の１台は水平に収容される。

【０００９】 傾斜して収容された前３台の自動車２はそれぞれ、前輪４を床板３上に設けた コンクリートブロック５上に載せ、ロープ８により前輪４のタイヤホイル１０と コンテナ側壁１ｂの下端部の掛け具９を結んで車体前部をこのコンクリートブロ ック５上に固定保持する。各コンクリートブロック５はその前後に配置した木製 の角材６を床板３に釘等で固定することにより前輪位置の床上に固定される。

【００１０】 このように前輪４を床板３上に突出するコンクリートブロック５上に載せるこ とにより、車体後部を持上げて車体を傾斜させたとき、車体前端部がコンクリー トブロック５の上面より下がって、傾斜角度を大きくすることができる。これに より、コンテナ１の高さに応じて最大限まで自動車を傾け、コンテナ容積を有効 に利用して自動車を効率的に積み込むことができる。

【００１１】 前３台の自動車２の後輪１１のタイヤホイル１２に本考案のエンドレスワイヤ １３が後述のように通されて係合し、ターンバックル１４を介して車体後部をコ ンテナ側壁１ｂの上端部の掛け具１５から吊下げ支持する。

【００１２】 各自動車２の車体左右両側とコンテナ側壁１ｂとの間にはエアバッグ１６が介 装される。このエアバッグ１６は、クッション作用を有し輸送中の車体の左右の 横揺れや振動を吸収して車体が左右の側壁１ｂに接触することを防止し、左右方 向の位置を緩衝しつつ固定する。さらにこのエアバッグ１６は、車体側面の凹凸 形状に倣って密着するため車体の上下方向の動きを抑制し、上下方向についても 緩衝機能および位置固定機能を有する。

【００１３】 また車体後部上面とコンテナの天井１ａとの間にも上記車体側面と同様のエア バッグ１７が介装される。この車体後部上側のエアバッグ１７は、輸送中の振動 により車体後部がコンテナの天井１ａに当接することを防止し緩衝作用を有する とともに、車体後部を吊下げるワイヤ１３に対し常に適度な張力を付与して車体 を安定して固定保持する機能を有する。

【００１４】 このようにエアバッグを用いて車体を固定保持することにより、従来のように ロープを用いた面倒な固定作業が簡略化され、積み込み作業が短時間で効率的に 行われる。

【００１５】 最後尾４台目の水平に収容された自動車２は前輪後輪ともその前後を角材６で 位置固定され、さらにロープ８により、前記傾斜した自動車の前輪４と同様に、 タイヤホイルがコンテナ側壁の掛け具に固定される。

【００１６】 図３は、本考案に係る自動車積込み構造を構成する部品の一例を示す。図４は その使用状態の斜視図である。 吊り下げ支持する自動車の左右それぞれの吊下げ部について、図３に示すよう に、所定周長のエンドレスワイヤ１３とターンバックル１４と２個のシャックル １８が片側１セット１９として用いられる。図４に示すように、エンドレスワイ ヤ１３をタイヤホイル１２のスポーク部１２ａを通して半分づつ折返し両端部１ ３ａ同士をシャックル１８ａに挿通する。このシャックル１８ａをターンバック ル１４の一方のアイ１４ａに連結する。ターンバックル１４の他方のアイ１４ｂ にシャックル１８ｂを連結し、このシャックル１８ｂをコンテナの天井１ａ（ま たは側壁１ｂ）に固定された掛け具１５を通してこれに連結する。

【００１７】 以下、上記構造に係る自動車の積込み手順について説明する。 まず、地上あるいは車上に設置されたコンテナ１内に入口１ｄから自動車２を 運転して進入させ、前輪４をコンクリートブロック５上に載せる。この場合、コ ンクリートブロック５の自動車進行方向手前側にブロック高さに対応した傾斜板 （図示しない）を置き、この傾斜板を介して前輪をコンクリートブロック５上に 乗り上げ、その後傾斜板を外して代りに角材６を置きこれを床板３に固定する。 これにより、前輪４を円滑にコンクリートブロック５上に乗り上げることができ る。 続いて、このコンクリートブロック５上の前輪４のタイヤホイル１０にロープ ８を掛けてこの前輪４をコンテナ１の側壁１ｂの下部の掛け具９に固定する。

【００１８】 次に、コンテナ１の入口１ｄからフォークリフト（図示しない）を進入させ、 車体後部をフォークで所定の高さまで持上げる。この状態で、後輪１１のタイヤ ホイル１２に、図４に示したように、エンドレスワイヤ１３を係合させ、シャッ クル１８ａ、ターンバックル１４およびシャックル１８ｂを順次連結し、端部の シャックル１８ｂをコンテナ側の掛け具１５に装着する。

【００１９】 この後、ターンバックル１４を廻してエンドレスワイヤ１３が緩みなく張られ るように長さを調整する。左右両側のターンバックル１４の長さ調整が終了した ら、フォークリフトを下げて車体後部をエンドレスワイヤ１３等により吊下げ支 持する。このとき、車体が所定の高さより下がった場合や左右の高さがずれた場 合には、フォークリフトで車体を持上げて、あるいはフォークリフトを用いずに そのままターンバックル１４を廻して長さを再調整し、車体の角度や左右のバラ ンス等の姿勢を直すことができる。

【００２０】 次に、車体左右および後部にエアバッグ１６，１７を配設しこれにエアを吹込 んで車体周囲にクッション性を持たせて固定保持する。 続いて後続の自動車を前の自動車の持上げられた車体後部の下側に入り込むよ うにして進入させ、前述と同様にして後部を持上げて吊下げ支持する。このよう にして、３台の自動車２を順次傾斜させて積込み、４台目の自動車を前述のよう に水平に積込んでコンテナへの積込み作業を終了する。

【００２１】 なお、上記実施の形態においては、自動車の後部を持上げて傾斜支持したが、 逆に後輪をコンクリートブロック上に搭載支持し、前輪側を持上げて吊下げ支持 してもよい。またコンクリートブロックに代えて、木材その他の適当な材料から なる台を用いてもよい。

【００２２】 また、エンドレスワイヤ１３を掛ける位置はタイヤホイルに限らず、車軸その 他の車体フレームの適当な位置に掛けてもよい。 ターンバックルやシャックルは図示した例に限らず各種の形状や形式のものが 使用可能であり、図示したリング状のアイ形状のターンバックルに代えてフック 状のターンバックルやシャックルと一体形式のターンバックルその他公知の形式 のものを適宜選定して用いることにより本考案を実施することができる。またシ ャックルを用いずにターンバックルを直接エンドレスワイヤあるいはコンテナ側 の掛け具に連結することもできる。

【００２３】 また、コンテナ側の掛け具は、図示したＵ字状に限らず、リング状やフック状 等の形状であっても本考案は適用可能である。

【００２４】 また、前記実施形態ではワイヤで吊下げた車体の横揺れや縦揺れを抑えるため に、持上げられた側の車体の両側面および上部にエアバッグを装着していたが、 このようなエアバッグに代えて或いはエアバッグとともに、ワイヤまたはロープ により車体をコンテナ内の掛け具に結び付けて固定してもよい。この場合、例え ば、持上げられた側の左右のタイヤ近くの車軸または車体フレームと、それぞれ 反対側のコンテナ側壁下部の掛け具とを結んで、Ｘ状にワイヤまたはロープを張 りわたすことが望ましい。

【００２５】 これにより、本考案のエンドレスワイヤにより持上げられた側の車体の左右両 側は、それぞれ反対方向にコンテナ側壁から離れる方向の斜め下方に引張り力を 受けるため、左右の揺れや上方への跳ね上がりが効果的に抑制される。また、こ のようなＸ状のワイヤまたはロープにより、車体を上方から吊下げるエンドレス ワイヤに対し常に下方に引張る張力が付与されるため、車体が振動したり跳ね上 がろうとしてもエンドレスワイヤは緩むことなく車体を常に安定して保持するこ とができる。

【００２６】 なお、このようなＸ状にワイヤまたはロープをかけわたす方法に代えて、左右 の車軸又は車体フレームに結びつけたワイヤ又はロープをそのまま下に降ろして コンテナ下部の掛け具に結び付けて固定してもよい。このように左右のワイヤ又 はロープをＸ状に交差することなく左右それぞれほぼ垂直に張りわたすことによ り、車体下部の中央部分が開放されワイヤ又はロープに邪魔されることなく、持 ち上げた車体の下に後から次ぎの車両を進入させることが可能となってコンテナ 内に車両を効率的に詰めて積み込むことができる。

【００２７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案では、予め一定長さに定められた輪状のエンドレ スワイヤを用いて後輪等を吊下げ、その高さ調整はターンバックルにより行われ るため、従来のようにワイヤを結んで長さ調整をする必要がなくワイヤの結び直 し等の面倒な調整作業がなくなり、作業性が向上して短時間で効率よく自動車を 積み込むことができる。この場合、エンドレスワイヤであるため、結んだワイヤ が解けるということはなく作業時の安全性が確保される。

【００２８】 また、エンドレスワイヤを用いるためワイヤは常に一定の長さに維持され、従 来のように輸送中にワイヤの結び目状態が変化して長さが変り吊下げ位置が変化 するようなことはなく、車体は輸送中一定の姿勢に保持され積込みの信頼性が向 上する。

【００２９】 また、傾斜下方側の前輪（または後輪）を床から突出した台上に搭載して支持 することにより、傾斜角度を大きくすることができ、コンテナの高さに対応して 自動車を充分傾斜させて収容し、コンテナ容積を有効に利用して自動車を効率的 に積み込むことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るコンテナの自動車積込み構造を
側面からみた構成図。

【図２】 図１の構造を後面からみた構成図。

【図３】 本考案の積込み構造で用いる構成部品の説明
図。

【図４】 図３の部品の使用状態の斜視図。

【符号の説明】

１：コンテナ、１ａ：天井、１ｂ：側壁、１ｃ：底板、
１ｄ：入口、２：自動車、３：床板、４：前輪、５：コ
ンクリートブロック、６：角材、８：ロープ、９，１
５：掛け具、１０，１２：タイヤホイル、１１：後輪、
１３：エンドレスワイヤ、１４：ターンバックル、１
６，１７：エアバッグ、１８ａ，１８ｂ：シャックル。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】床上に設けた台上に前輪または後輪を載せ
   て車体の前側または後側の一方をこの台上に搭載支持
   し、 車体の他方の側を持上げてコンテナ上部の掛け具からワ
   イヤを用いて吊下げ支持したコンテナの自動車積込み構
   造であって、 前記ワイヤはエンドレスワイヤからなり、このワイヤを
   車体側に係合させるとともに、このワイヤと前記掛け具
   の間にターンバックルを介装したことを特徴とするコン
   テナの自動車積込み構造。
2. 【請求項２】前記ターンバックルは、シャックルを介し
   て前記ワイヤ及び／又は掛け具に連結されたことを特徴
   とする請求項１に記載のコンテナの自動車積込み構造。
3. 【請求項３】前記車体側面とコンテナの内壁面との間に
   エアバッグを装着したことを特徴とする請求項１又は２
   に記載のコンテナの自動車積込み構造。
4. 【請求項４】前記ワイヤは、タイヤホイルを通して車体
   側に係合されたことを特徴とする請求項１、２又は３に
   記載のコンテナの自動車積込み構造。