JP3051263U - ドライクリーニング用カートリッジフィルターエレメント及び溶剤濾過装置並びにドライクリーニング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライクリーニング中の溶剤濾過を簡便且つ
効率良く行い、とりわけフィルターに付着するスラッジ
が他の溶剤液に悪影響を及ぼさないよう工夫したカート
リッジフィルターエレメント及び溶剤濾過装置並びにド
ライクリーニング装置の提供。 【解決手段】 カートリッジフィルターエレメントは、
筒状となした不織布フィルターを多孔状円筒形ホルダー
の内側へ脱着自在に装着し、ドライクリーニング洗浄時
の汚れた溶剤をフィルター内側から外方へ通過させる構
成となし、一方溶剤濾過装置は上記構成のカートリッジ
フィルターエレメントの複数本を円筒状のカートリッジ
タンク内へ並設し、ドライクリーニング洗浄時の汚れた
溶剤をカートリッジタンク内の一端から上記各カートリ
ッジフィルターエレメントの内側へ導入させ、汚れた溶
剤を一度にフィルターエレメントの内側から外方へ向け
て通過させる構成となし、他方ドライクリーニング装置
は上記構成の溶剤濾過装置を備えたものとなす。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ドライクリーニング用カートリッジフィルター及び溶剤濾過装置並 びにドライクリーニング装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ドライクリーニング装置の構成は、洗浄溶剤をベースタンク、溶剤循環ポンプ 、溶剤濾過フィルター及び該濾過フィルターを内蔵する溶剤濾過装置、カーボン タンク、衣類洗浄ドラム、ボタントラップ、ベースタンクなどからなり、これら 機器の配置により連続的に溶剤を溶剤濾過装置で濾過しながら循環させて衣類を 洗浄させるものである。

【０００３】 このさい、溶剤濾過装置に於ける一つの方式は、金網などで作ったスクリーン に、珪藻土（穴が無数にあいた土）を濾過材として付着させ、濾過層を形成して 汚れた溶剤を該濾過層を通過させる方式で、このものでは濾過層の上に付着した 汚れが一定量に達すると溶剤が通過しなくなるため、溶剤の循環を停止させると 共にスクリーンを揺すり、スクリーン上の濾過材をふるい落すことにより汚れも 一緒に落とし、再度新しい珪藻土の濾過層をスクリーン上に形成させて再び溶剤 を濾過するようになす。

【０００４】 もう一つの方式は、エレメントにより溶剤を濾過するカートリッジフィルター 方式で、衣類洗浄時に出る繊維屑や汚れによるスラッジはエレメントの濾紙外に 溜まり、溜まった汚れが一定量に達すると溶剤が通過しなくなるため、溶剤の循 環を停止させ、エレメントを新しいものと交換しながら溶剤を濾過する方式であ る。

【０００５】 前者の方式である珪藻土を使用するフィルターは、ランニングコストがかから ないため、ドライクリーニング機が出来始めた初期の機械に搭載されていた方式 であるが、取り扱いが面倒で、フィルターを掃除したときに出る、汚れを含んだ 珪藻土がベトベトで、汚れによる異臭がすることなどから、現在ではほとんど使 用されなくなっている。 後者の方式であるカートリッジフィルター方式は、ランニングコストは高くつ くが、取り扱いが簡単なため、現在のドライクリーニング機械の濾過フィルター の主流を占めている。

【０００６】 図７は後者のカートリッジフィルター方式の溶剤濾過装置を示す模式断面説明 図であって、エレメント１’はこれより少し大きい金属で作られた横に長い円筒 形のケース２’（以下、カートリッジケースと云う）の中に装着されるのである 。 このさい、３’はカートリッジケース２内への溶剤流入口、４’はエレメント１ の中心部に設けた溶剤の取出し管であって周面には多数の透孔ｐが穿設されたも のとなっており、汚れた溶剤が溶剤流入口３’から入りエレメント１’の濾紙を 通過して中心部の取出し管４’から取出されるものとなる。なお、図面で５’は エレメント１の取り替え時にあける蓋、６は自動エアー抜き弁、７は溶剤排出バ ルブである。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

上記した後者の方式に於いて、濾過された汚れ８（繊維屑や汚れによるスラッ ジ）はエレメント１’の濾紙の外周面に溜まり、汚れが一定量付着すると溶剤の 通過が悪くなるため、エレメント１’の交換の必要が生ずるのであり、この時カ ートリッジケース２’内の溶剤を抜かないと、エレメント１’の交換が出来ない ため、カートリッジケース２’内の最下部に設けられた溶剤排出バルブ７を開け て、カートリッジケース２’内の溶剤を図８の如く設置されたドライクリーニン グ機のベースタンク１０（溶剤を溜めておくタンク）に落とす。このさいエレメ ント１’の外周部に付着したスラッジ８の一部が溶剤とともにベースタンクに流 れ込む現象が起きるのであり、何度もエレメントの交換を行ううちに、このスラ ッジ８がベースタンク１０の底に堆積して腐敗臭を発生させたり、ベースタンク １０の溶剤を殊更に汚すこととなるのである。なお、本図で１１は溶剤汲上げポ ンプ、１２はカーボンタンク、１３は衣類洗浄ドラム、１４はボタントラップ、 １５は給液切替弁、１６は排液弁である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記問題点を解決するための手段として、濾紙の代わりに筒状となし た不織布フィルターを使用し、これを多孔状円筒形ホルダーの内側へ脱着自在に 装着し、ドライクリーニング洗浄時の汚れた溶剤をフィルター内側から外方へ通 過させるようにしたカートリッジフィルターのエレメントを構成するのであり、 また上記構成のエレメントの複数本を円筒状のカートリッジタンク内へ並設し、 ドライクリーニング洗浄時の汚れた溶剤をカートリッジタンク内の一端から上記 各エレメントの内側へ導入させ、汚れた溶剤を一度にフィルター内側から外方へ 通過させる溶剤濾過装置となすのであり、又該溶剤濾過装置を備えたドライクリ ーニング装置の構成を特徴とする。

【０００９】

【考案の実施の形態】

図１は不織布フィルターを支持する円筒形ホルダーの断面図、図２は上記ホル ダーの両端縁部に嵌着させる止め具断面図、図３は図１の円筒形ホルダーに対し 図２の止め具を使用して不織布フィルターを取付けた端縁部の部分断面説明図で あって、具体的には次の構成となされる。

【００１０】 １は筒体周面に多数の透孔ｐを穿設した金属製円筒形ホルダーである。２は上 記円筒形ホルダーの左右端縁部に対し、次述する不織布フィルターを挟み込んで 嵌着させる合成樹脂製の止め具であって、ホルダー端縁部に嵌入されるコ字状の 溝２ａとホルダー内面側へ挿入して弾撥的な押圧作用を可能とする脚足２ｂ及び 内部中央箇所で後述する支柱を挿入支持する枝杆２ｃとからなり、且つホルダー 外周面には後述する蓋閉めのさいに溶剤の洩出を防止するためのパッキン２ｄが 止着されてなる。

【００１１】 ３は筒状となした不織布製のフィルターであって上記円筒形ホルダー１の筒長 より少し大なる丈長寸法に作成されてなり、図３に示す通り円筒形ホルダー１の 内部から挿入して突出する両端縁部を外方へ折り曲げしめ、該部分に対し上記止 め具２を嵌入して止着させるのである。このさい、止め具２の脚足２ｂは不織布 フィルター３の内面側を円筒形ホルダー側へ弾撥的に押圧するようになすのであ る。 なお、２ｃは次述するタンク内支杆の挿入される中央に透孔ｋを備えた枝杆、２ ｄは弾性パッキンである。斯くして、本考案のカートリッジフィルターエレメン トＡが構成される。

【００１２】 図４は本考案で使用されるカートリッジタンク４の断面図であって、４ａは汚 れた溶剤の流入口、４ｂは該流入口箇所から一定寸法離れた位置に設けてある隔 壁板であって、該板面には前記構成のカートリッジフィルターエレメントＡの複 数箇を当接して汚れた溶剤がその筒状不織布フィルター内へ流入するための円孔 ｍが穿設してある。

【００１３】 ４ｃは上記した各円孔ｍの中心を通るようにして溶剤流入口側の溶剤タンクの 片端壁板へ固着させた支杆であり、前記カートリッジフィルターエレメントの止 め具２の枝杆２ｃの中央透孔ｋへ挿通させてこれを保持するようになす。なお、 ４ｄは蓋板、４ｅはタンク周壁面に設けた濾過溶剤の流出口である。

【００１４】 図５はカートリッジタンク４内へカートリッジフィルターエレメントＡを装着 した構成を示す断面説明図であって、即ち蓋板４ｄを開放した状態でカートリッ ジフィルターエレメントＡの止め具２の枝杆２ｃの中央透孔ｋに対し、支杆４ｃ を挿通させ、これを保持するようになさしめると共に蓋板４ｄを閉塞するのであ り、該閉塞によりカートリッジフィルターエレメントＡはタンク内隔壁板４ｂと 蓋板４ｄの内壁板４ｄ’との間で押圧挟持される。

【００１５】 しかして、汚れた溶剤は溶剤流入口４ａから入り隔壁板４ｂの透孔ｍから各カ ートリッジフィルターエレメントＡ内へ流入し、不織布フィルターを通過してホ ルダー外からタンク内流出口４ｅへ集められて送出されるものとなる。

【００１６】 図６は上記構成の溶剤濾過装置Ｂをドライクリーニング装置に取付けて運転す る状態の模式図であって、１０はベースタンク、１１は溶剤汲上げポンプ、１２ はカーボンタンク、１３は衣類洗浄ドラム、１４はボタントラップ、１５は給液 切替弁、１６は排出弁である。

【００１７】 上記に於ける使用状態を説明すると、初めに洗浄する衣類をドラム内に入れ、 運転スイッチをオンにすると溶剤汲上げポンプ１１が駆動されてベースタンク１ ０より溶剤を汲み上げ、溶剤濾過装置のカートリッジフィルターエレメントＡで 溶剤を濾過し、カーボンタンク１２にて更に脱臭、脱色を行ったのち衣類洗浄ド ラム１３に入り、衣類と共にドラム内で回転しながら洗浄がされたのち、ボタン トラップ１４にて大きなゴミを取り除き、ベースタンク１０に戻入する。

【００１８】 しかして、ベースタンク１０内へ戻入する溶剤は再び溶剤汲上げポンプ１１に より汲み上げられ、溶剤濾過装置内のカートリッジフィルターエレメントＡで濾 過されることの繰返しとなるのであり、一定時間の運転でカートリッジフィルタ ーエレメントＡの取り替えの必要が生じたさい、従来のものではフィルターの外 周部に付着したゴミやスラッジ８が溶剤と共に排出されることになるが、本考案 の如く構成したものではゴミやスラッジ８がカートリッジフィルターエレメント Ａ内側に付着しているため、溶剤の排出時に溶剤の中に混入することがなくなる 。従って、ベースタンク１０内にカートリッジフィルターエレメントＡのゴミや スラッジが落ちる危険性は全く無くなる。なお、スラッジ８の排出は蓋５を開放 することにより、該部から及びエレメントＡと共に取出すようになすのである。

【００１９】

【考案の効果】

本考案は以上の通り構成するものであって、特殊な構成のカートリッジフィル ターエレメントの使用で簡便且つ効率良くゴミやスラッジなどが溶剤濾過装置の 外部へ排出されたりすることを防止できるものとなる。 而して、ベースタンク内にゴミやスラッジなどが混入したりすることがないた め、悪臭や溶剤の汚れが激減する優れた効果がある。又、ランニングコストも非 常に安くなる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案で使用する円筒形ホルダーの断面図であ
る。

【図２】上記で使用する止め具断面図である。

【図３】カートリッジフィルターエレメント端縁部の部
分断面図である。

【図４】カートリッジタンクの断面図である。

【図５】溶剤濾過装置の断面図である。

【図６】ドライクリーニング装置の運転状態説明図であ
る。

【図７】従来の溶剤濾過装置の断面図である。

【図８】従来に於けるドライクリーニング装置の運転状
態説明図である。

【符号の説明】

１ 円筒形ホルダー ２ 止め具 ３ 不織布フィルター ４ カートリッジタンク ６ エアー抜き弁 ７ 溶剤排出バルブ ８ スラッジ １０ ベースタンク １１ 溶剤汲上げポンプ １２ カーボンタンク １３ 衣類洗浄ドラム １４ ボタントラップ １５ 給液切替弁 １６ 排液弁 Ａ カートリッジフィルターエレメント Ｂ 溶剤濾過装置

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【手続補正書】

【提出日】平成１０年２月２６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項３

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状となした不織布フィルターを多孔状
   円筒形ホルダーの内側へ脱着自在に装着し、ドライクリ
   ーニング洗浄時の汚れた溶剤をフィルター内側から外方
   へ通過させる構成となしたことを特徴とするドライクリ
   ーニング用カートリッジフィルターエレメント。
2. 【請求項２】 請求項１記載のカートリッジフィルター
   エレメントの複数本を円筒状のカートリッジタンク内へ
   並設し、ドライクリーニング洗浄時の汚れた溶剤をカー
   トリッジタンク内の一端から上記各カートリッジフィル
   ターエレメントの内側へ導入させ、汚れた溶剤を一度に
   フィルターエレメントの内側から外方へ向けて通過させ
   る構成となしたことを特徴とする溶剤濾過装置。
3. 【請求項３】 衣類洗浄用の溶剤を溜めるベースタン
   ク、溶剤を循環させるポンプ、溶剤濾過装置、カーボン
   タンク、及び衣類を洗浄する回転ドラムなどを備えてな
   るドライクリーニング装置に於いて、溶剤濾過装置を請
   求項１記載の構成になしたことを特徴とするドライクリ
   ーニング装置。