JP3051119B1 - 殺菌消毒剤組成物 - Google Patents

殺菌消毒剤組成物

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JP3051119B1 JP11082248A JP8224899A JP3051119B1 JP 3051119 B1 JP3051119 B1 JP 3051119B1 JP 11082248 A JP11082248 A JP 11082248A JP 8224899 A JP8224899 A JP 8224899A JP 3051119 B1 JP3051119 B1 JP 3051119B1
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Abstract

【要約】 【課題】皮膚保護用添加物を提供する。 【解決課題】 殺菌消毒剤および/または化粧品の使用
に際に、経表皮性水分喪失(TEWL)を抑制し、および/ま
たは表皮角質水分含有量を保持する皮膚保護用添加物を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌消毒剤の使用
に際し、経表皮性水分喪失(TEWL)を抑制し、および/ま
たは表皮角質水分含有量を保持することが可能な皮膚保
護用添加物を含んでなる殺菌消毒剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用の殺菌消毒剤は殺菌成分を単独の
水溶液製剤もしくはアルコール製剤として手指や皮膚の
消毒に使用されている。これらの殺菌消毒剤には皮膚や
粘膜に対し、脱脂作用、タンパク変性作用、経皮吸収作
用などがあり、この結果として皮膚刺激、皮膚炎、皮膚
感作、アレルギー反応などが誘発されることがあること
が知られている。また、化粧品の使用においては化粧か
ぶれなどが誘発されことも知られいてる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの皮
膚障害に対して有効な、特に第4級アンモニウム塩型や
両性型の消毒薬による甚だしい手荒れ等の皮膚障害に対
して有効な保護作用を示す皮膚保護用添加物を含んでな
る殺菌消毒剤組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記皮膚
障害に対して有効な皮膚保護用添加物を見いだすために
鋭意研究し、(1)殺菌消毒剤等による皮膚障害の客観的
な評価方法を確立することに成功し、さらに、(2)かか
る評価方法を用いて、多種類の植物抽出物をスクリーニ
ングし、殺菌消毒剤に基づく皮膚障害に対する有効な皮
膚保護用添加物を見いだすことに成功し、本発明を完成
した。
【0006】すなわち、本発明は、その前提として、殺
菌消毒剤の使用に際し、皮膚障害の程度を客観的に評価
する方法として、ヘアレスマウスを用いた皮膚障害マウ
スを確立した。さらに、該マウスを用いて、特定の殺菌
消毒剤と被検物質を別々にまたは同時に塗布し、経表皮
性水分喪失(TEWL)量および/または表皮角質水分含有量
の変化量を測定することにより被検物質の皮膚保護性を
評価するものである。本発明の殺菌消毒剤組成物は、
(1)殺菌消毒剤と、(2)菊花、大黄、乳香、附子、
大棗、荊芥、黄柏、霍香、蔓荊子、アロエ、卑解および
側柏葉からなる群から選択される少なくとも1つの抽出
物からなる、経表皮性水分喪失(TEWL)を抑制するおよび
/または表皮角質水分含有量を保持する皮膚保護用添加
物と、を含有することを特徴とするものである。
【0007】さらに、本発明は、前記殺菌消毒剤が特に
カチオン系および/または両性系殺菌消毒剤である場合
において有効な皮膚保護性を発揮する殺菌消毒剤組成物
に関する。
【0008】さらに、本発明は、前記抽出物が、菊花、
大黄、乳香、附子、大棗、荊芥、黄柏および霍香からな
る群から選択される少なくとも1つの抽出物であること
を特徴とする殺菌消毒剤組成物に関する。
【0009】また、本発明は、前記抽出物が、菊花、大
黄、乳香、附子および大棗からなる群から選択される少
なくとも1つの抽出物であることを特徴とする殺菌消毒
剤組成物に関する。
【0010】以下本発明を発明の実施の形態に即して詳
細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】1.皮膚障害モデルの作成 塩化ベンザルコニウムを用いて皮膚障害モデルを以下の
ように作成した。すなわち、塩化ベンザルコニウムは、
優れた殺菌作用を有するカチオン(陽イオン)性界面活
性剤であり、エタノール溶液として院内感染起因菌、例
えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含むグラ
ム陽性菌(6株)やグラム陰性菌(8株)に対して優れ
た殺菌効果を示すことから、医療施設で医師、看護婦等
の医療従事者の手指消毒薬として頻用されている。一
方、副作用的な極めて弱い皮膚、粘膜刺激性があり、そ
の性質によると考えられる過敏症に関する報告もなされ
ている(例えば、日本大衆薬工業協会編;1996〜1997大
衆薬辞典一般用医薬品集添付文書要約第5版;薬巣時報
社、日本医薬情報センター編;1996.10医療薬日本医薬
品集;薬業時報社、小澤光、丹野慶紀、池田實、菅原和
伸;薬物療法の実際第3版第2編 薬のまとめ;アサヒメ
ディカル参照)ため、使用に際しては注意を要するとさ
れている。また、塩化ベンザルコニウムによる過敏症状
は、その「角質溶解作用」による角質細胞間脂質の破壊
のため、すなわち角質細胞の積み重なりがこの化合物に
よって乱れ、物質透過性が上昇し、バリア機能が低下す
るために生ずると考えられ、塩化ベンザルコニウムによ
る皮膚障害モデルが好ましいと考えられる。
【0012】尚、モデル作成は以下のことを前提とす
る。既に述べたように医療機関では塩化ベンザルコニウ
ムの0.01〜0.2%エタノール溶液が頻用され、この際に
肌荒れなどの副作用が起きていることを前提に、このも
のの皮膚への適用濃度を決定する。
【0013】また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム(SDS)による肌荒れモデルにおいて皮膚の状態は
角質層のバリア機能の指標として汗腺を通らずに直接角
質層から蒸発する水分量を表す経表皮性水分喪失(Tran
sepidermal water loss、以下TEWLと略す。)(例え
ば、田上八朗;皮膚のバリアとしての角質;日皮会誌10
8(5)713〜727、1998、Journal of Lipid Reseach Vol
ume28、1987、Experimental Denmatology 1997,3,36-4
0、石橋康正;皮膚の健康科学;南山堂、西岡清;アト
ピー性皮膚炎、病態と治療;医薬ジャーナル社参照)で
評価され、さらに洗剤のラウリル硫酸ナトリウム(SL
S)塗布により誘発された皮膚炎の炎症部の角層は水分
保持機能に欠け、角層表層の水分含有量が減少する(例
えば、田上八朗;皮膚のバリアとしての角質;日皮会誌
108(5)713〜727、19984))ことから、塩化ベンザル
コニウムの皮膚への影響をTEWL及び表皮角質水分含有量
を測定することで評価することが好ましい。
【0014】以下、実施例に従い、より具体的な方法及
び結果について説明する。
【0015】(実施例1) (1) 本評価方法に用いた器機及び試料は、以下に示し
た。Tewameter(Courage+Kharazaka社)、表皮角質層
水分測定装置SKICOS301(株式会社アミックグルー
プ)。「濃塩化ベンザルコニウム液50」は日華化学
(株)社製、菊花は山本薬品工業(株)製を用いた。
【0016】(2) 8、11及び18週令の雌性Skh−1ヘアレ
スマウス(日本エスエルシー(株))を実験に用いた。
また、実験期間中、空調(温度26.5±1℃、湿度55.4±3
%)管理下、12時間隔の明暗スケジュールで維持された
動物室内で、各動物を1ケージ(225×338×140mm)あた
り5匹飼で、普通飼料(MF、オリエンタル酵母)と水を
自由摂取させた。
【0017】(3) 塗布方法としては、塩化ベンザルコニ
ウムの(0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.7、
0.8、1.0%)エタノール溶液100μlをマイクロピペット
(200μl)にとり、チップの先を使いマウスの背部に実
験期間中一日一回、均一に塗布した。
【0018】尚、対照群(Control)としては、同一容
量の100%エタノールのみを塗布した。
【0019】(4) TEWLの測定は、マウスを固定後、Tew
ameterを用い1分30秒間TEWLを測定した。表皮角質水分
含有量の測定は、水分量測定用ブロープを装置したSKIC
OS301を用いて、表皮角質水分含有量を3回測定し、その
値を求めた。得られた値は、有意差検定をFisher'sPLSD
により統計処理した。
【0020】(5) 塗布量とTEWLの関係 8及び18週令の動物を用い、各濃度の塩化ベンザルコニ
ウムエタノール溶液を塗布した動物の皮膚のTEWLを測定
し、その結果を表1,2に示した。
【0021】表1 塩化ベンザルコニウムのTEWLに対す
る効果
【表1】 (平均±S.D.(n=5) 雌ヘアレスマウス;18週令。コン
トロール(0日)からの有意差、*;p<0.05、**;
p<0.01、***p<0.001)。
【0022】表2 塩化ベンザルコニウムのTEWLに対す
る効果
【表2】 (平均±S.D.(n=5) 雌ヘアレスマウス;8週令。コン
トロール(0日)からの有意差、*;p<0.05、**;
p<0.01、***p<0.001)
【0023】0.5%以上の塗布量では、塩化ベンザルコ
ニウムによる皮膚障害が肉眼で明確に観察された。
【0024】実験動物が18週令の場合、EtOHのみを塗布
した群(Control群)のTEWL値は測定期間中一定であっ
た。0.1%以下の塩化ベンザルコニウム エタノール溶
液を塗布した場合ではControl群と同様にほとんど変化
しなかった。0.5及び1.0%量の塗布でその値の上昇は顕
著かつ持続的であった(表1)。
【0025】一方、その週令が8週令では、Control群の
TEWL値は低下し、塗布開始後5と7日目の変化量は有意で
あった。0.2%の塗布では塗布開始後3、5と7日目でその
値が有意に低下したが、その低下率はControl群より小
さかった。0.4%では減少する傾向にとどまった。以上
の場合と異なり、0.6%以上で、その値は有意に上昇し
た。0.8%以上では、その状態が持続した。尚、検討し
た全ての濃度でTEWL値は塗布1日目に上昇し、一定とな
った後、5日目以降は低下する傾向が認められた(表
2)。
【0026】(6) 塗布量と表皮角質水分量 8週令の動物を用い、各濃度の塩化ベンザルコニウム
エタノール溶液を塗布した動物の皮膚の表皮角質水分含
有量を測定した結果を表3に示した。
【表3】 表3 塩化ベンザルコニウムのヘアレスマウスの表皮角
質水分量 (平均±S.D.(n=5) 雌ヘアレスマウス;8週令。コン
トロール(0日)からの有意差、*;p<0.05、**;
p<0.01、***p<0.001)
【0027】Control群の表皮角質水分含有量は、塗布
開始後3と7日日に有意に低下したが、その変化量は僅か
であった。一方、0.7%以上の塩化ベンザルコニウム
エタノール溶液を塗布した場合に、確かな減少が認めら
れた。0.8%の場合でその値は有意に低下し、その変化
量はControl群のより大きかった(表3)。
【0028】(7) マウスの週令とTEWL 8、11、及び18週令のヘアレスマウスに、1.0%塩化ベン
ザルコニウム エタノール溶液を塗布した後、TEWL値を
経時的に測定した。その結果を表4に示した。
【0029】表4 塩化ベンザルコニウムのヘアレスマ
ウスのTEWLへの効果
【表4】 (平均±S.D.(n=5)。コントロール(0日)からの有意
差、*;p<0.05、**;p<0.01、***p<0.00
1)
【0030】週令によって僅かに塗布前のTEWL値に差が
認められた。いずれの場合も1.0%塩化ベンザルコニウ
ム エタノール溶液の塗布によりTEWL値の有意な上昇が
持続した。特に18週令の場合、実験期間を通してその変
化量は顕著であった。一方、8週令の場合、5日日以降の
値に大きなばらつきが認められた。
【0031】(8) 以上の結果から、0.5%以上の塩化ベ
ンザルコニウム エタノール溶液を塗布したマウスに肉
眼的に観察が可能な皮膚障害が誘発され、この塩化ベン
ザルコニウム エタノール溶液の塗布によるTEWL値の上
昇は濃度依存的であることが分かった。また、0.5%以
上でその上昇は有意であり、0.8%以上でその変化は顕
著かつ持続的であった。検討した全ての濃度でTEWL値は
塗布1日目に上昇し、5日目以降は低下する傾向が認めら
れた。
【0032】また、マウスの週令が異なる場合において
も、1.0%塩化ベンザルコニウムエタノール溶液により
同様の皮膚障害が認められた。ただし、8週令においてT
EWL値にばらつきが認められた。その傾向は週令が増す
につれて減少した。特に18週令の場合、実験期間を通し
てその変化量は顕著であった。
【0033】表皮角質水分含有量は、EtOHを塗布した
(Control群)で僅かに減少した。塩化ベンザルコニウ
ムを塗布した群でもその値は低下し、その変化の割合は
塩化ベンザルコニウムを塗布した群の方が大きかった。
【0034】以上の結果に基づき、本発明において用い
る皮膚障害モデルは、0.8%塩化ベンザルコニウム エ
タノール溶液を9〜16週令のマウスの背部に7日間連日塗
布して作成する。さらに、その皮膚障害の状態は、TEWL
値を検体塗布開始後1日置きで7日間測定し、その値の変
化量をもって評価する。
【0035】2.皮膚障害モデルの有用性 1.で説明した本発明において確立した皮膚障害モデル
の有用性を、ストレス負荷モデルに対する確かな皮膚障
害抑制作用が認められ抗炎症を目的に使用されている
「菊花」のエキスを用いて検討した。以下実施例に従い
説明する。
【0036】(実施例2) (1) 使用した器機及び試料等は上の1.と同様とした。
菊花は山本薬品工業(株)製を用いた。また、動物は、
16週令の雌性Skh-1ヘアレスマウス(日本エスエルシー
(株))を用いた。
【0037】(2) 菊花(10g)を粉砕後、MeOH(100ml)
で還流下2時間抽出した。抽出液を減圧濃縮し、得たメ
タノールエキスの一定量をエタノールに溶解することに
より調整した。
【0038】(3) モデル化前の塗布として、まず2%菊
花エタノール溶液(100μl/1匹)を7日間連日塗布し、
その後0.8%塩化ベンザルコニウム エタノール溶液(1
00μl/1匹)を3日間塗布した。
【0039】(4) モデル化時の塗布として、0.8%塩化
ベンザルコニウム エタノール溶液に2%量の菊花メタ
ノールエキスを溶解して混合し、その一定量(100μl/
1匹)7日間連日塗布した。
【0040】(5) TEWLの測定及び表皮角質水分含有量
の測定、統計処理は1.と同様に行った。
【0041】(6) モデル作成前の塗布の場合のTEWLに及
ぼす影響 2%菊花を7日間連日塗布後、0.8%塩化ベンザルコニウ
ムを3日間連日塗布し、TEWL値を測定した結果を表5に
示した。
【0042】
【表5】 表5 塩化ベンザルコニウム処理したヘアレスマウスに
対する菊花の効果 (平均±S.D.(n=5)。16週令ヘアレスマウス。コントロ
ール(0日)からの有意差、*;p<0.05)
【0043】EtOHのみ塗布した(Normal群)のTEWL値は
有意に低下した。一方、0.8%塩化ベンザルコニウム
エタノール溶液のみを塗布した(Control群)のTEWL値
は上昇したが、有意ではなかった。2%菊花のエタノー
ル溶液を前塗布した群ではTEWL値は低下したが、その変
化量は僅かであった。
【0044】(7) モデル作成前の塗布の場合の表皮角質
水分含有量に及ぼす影響 上述した同条件下で表皮角質水分含有量を測定し、その
結果を表6に示した。
【0045】表6 塩化ベンザルコニウム処理したヘア
レスマウスに対する菊花の効果
【表6】 (平均±S.D.(n=5)。16週令ヘアレスマウス。コントロ
ール(0日)からの有意差、*;p<0.05、**;p<
0.01、***;p<0.001)
【0046】Normal血群で有意な表皮角質水分量の低下
が認められた。Control群において更にその値は2と3日
目で有意に低下した。その変化量はNormal群のよりも大
きかった。一方、2%菊花を前塗布した群で、その値は1
と3日目で有意に低下した。その変化量はNormal群の場
合とほぼ同じであった。
【0047】(8) モデル化時の塗布の場合のTEWLに及ぼ
す影響 0.8%塩化ベンザルコニウム エタノール溶液に菊花MeO
H抽出物を2%加えたものを連日塗布した。被検物質塗布
開始後、TEWL値を1日置きに7日間測定し、その結果を表
7に示した。
【0048】表7 塩化ベンザルコニウム処理ヘアレス
マウスのTEWLへの菊花の効果
【表7】 (平均±S.D.(n=5)。コントロール(0日)からの有意
差、*;p<0.05、**;p<0.01)
【0049】Normal群のTEWL値はほとんど変化しなかっ
た。一方、Control群のTEWL値は有意に上昇した。2%菊
花を添加した場合のTEWL値はNormal群と同様に実験期間
中ほぼ一定であった。
【0050】(9) モデル化時の塗布の場合の表皮角質水
分含有量に及ぼす影響 被検物質塗布開始後、表皮角質水分含有量を1日置きに7
日間測定し、その結果を表8に示した。
【0051】表8 塩化ベンザルコニウム処理ヘアレス
マウスのTEWLへの菊花の効果
【表8】 (平均±S.D.(n=5)。コントロール(0日)からの有意
差、*;p<0.05、**;p<0.01)
【0052】Normal群の表皮角質水分量は、塗布後1、3
と7日目に有意に上昇した。Control群において更にその
値は5日目で有意に低下した。2%菊花を添加した場合、
その値は1日目に低下し7日目に回復した。実験期間中を
通じてのその変化量はControl群のとほぼ同じであっ
た。
【0053】(10) 以上の結果、塩化ベンザルコニウム
による皮膚障害モデル化前の菊花の塗布では、その皮膚
障害の程度が軽減される傾向が認められた。しかし、モ
デル化の際に菊花を同時に塗布すると確かな皮膚障害の
抑制が認められた。
【0054】また、両塗布方法での各検体塗布群の表皮
角質水分量は、Control群の場合と同様に有意に減少し
た。モデル化の前の菊花の塗布では、その変化量はNorm
al群のとほぼ同じであったのに対し、モデル化時の塗布
では、Control群とほぼ同じであった。
【0055】すなわち、モデル化の際に各被検体を塗布
することで各被検体の塩化ベンザルコニウムによる皮膚
障害モデルに対する効果を評価することが可能となるこ
とが示された。
【0056】3.皮膚保護剤のスクリーニング 上の1.および2.で確立した本発明の皮膚障害評価方
法に基づいて種々の生薬をスクリーニングし、塩化ベン
ザルコニウムによる皮膚障害モデルに対する保護作用有
するものを選択した。
【0057】(1) 生薬のスクリーニング 塩化ベンザルコニウムによる皮膚障害を抑制する物質の
探索を行うにあたり、検討候補生薬を選定した。その際
に、肌荒れを改善あるいは予防するために、血行を促進
させたり、抗炎症剤や保湿剤の塗布が有効であること
(ポーラ化粧品;Beauty Guide12)、また、塩化ベンザ
ルコニウムを塗布したマウスの皮膚を観察したところ、
皮膚は炎症を起こしている可能性が高かったので、その
ような効能が期待される生薬を選ぶこととした他、具体
的には、抗炎症作用や抗アレルギー作用を有すると記載
のあるもの、抗ストレス皮膚障害作用が認められたもの
(例えば、神戸中医薬研究会;漠薬の臨床応用;中山医
学院、赤松金芳;新訂和漢薬;医歯共出版株式会社、漢
方医学大辞典編集委員会;漢方医学大辞典1,2;人民衛
生出版社、株式会社雄渾社参照)及び皮膚の毛再生抑制
作用を示し強い抗炎症作用が期待される「大黄、乳香」
などの生薬を選んだ(稲岡靖規;生薬中の毛再生促進物
質に関する研究;博士論文))。
【0058】以下実施例に従い説明する。
【0059】(実施例3) (1) 機器及び試料は、2.と同様とした。動物は、9及
び12週令の雌性Skh−1ヘアレスマウス(日本エスエルシ
ー(株))を用いた。 (2) 塗布方法は、上の2.と同様とした。 (3) 生薬の抽出は、各生薬(10g)を粉砕後、MeOH(100
ml)で還流下2時間抽出、減圧濃縮してメタノールエキ
スを得た。 (4)TEWL及び表皮角質水分含有量の測定、統計処理は
2.と同様に行った。
【0060】表9 選択した生薬
【表9】
【0061】表10 各生薬のメタノールエキスの収率
【表10】
【0062】(5)生薬抽出物の塗布量とTEWLに対する作
用 選択した生薬の塩化ベンザルコニウムによる皮膚障害モ
デルに対する作用を検討した。
【0063】菊花、大黄、乳香及び附子のメタノール抽
出物を2、4及び6%量溶解した0.8%塩化ベンザルコニウ
ム エタノール溶液塗布群のTEWL値を測定し、その結果
を表11に示した。
【0064】表11 塩化ベンザルコニウム処理ヘアレ
スマウスのTEWLへの生薬の効果
【表11】
【0065】EtOHを塗布した(Normal群)のTEWL値は実
験期間中ほぼ一定であった。一方、0.8%塩化ベンザル
コニウム エタノール溶液を塗布した(Control群)のT
EWL値は有意に上昇した。
【0066】菊花と大黄は、全ての濃度で皮膚障害モデ
ルのTEWL値の上昇を有意に抑制し、その効果はほぼ同じ
程度であった。特に大黄の2%量の場合、その効果は顕
著であった。
【0067】一方、乳香は、2及び4%量を塗布した場合
TEWL値の上昇は有意に抑制された.しかし、6%量を塗
布した場合、塗布開始初期ではTEWL値の上昇を抑制した
が、塗布を繰り返すことでその値が上昇した。
【0068】附子は、全ての濃度で皮膚障害モデルのTE
WL値の上昇を有意に抑制し、塗布回数を重ねることでそ
の値を更に低下する傾向を示した。
【0069】(6) 生薬抽出物の塗布量と表皮角質水分含
有量に対する作用 TEWL同様に表皮角質水分含有量を測定した結果を表12
に示した。
【0070】
【表12】
【0071】Normal群の表皮角質水分量は減少したが、
その変化量は僅かであった。一方、Control群のその値
は塗布を重ねるごとに有意に減少し、その変化量はNoma
l群のより大きかった。
【0072】菊花は、全ての含有量においてモデル化に
おける表皮角質水分量の有意な減少が認められたが、そ
の程度はControl群のより小さかった。
【0073】大黄は、全ての含有量でその値の減少を顕
著に抑制し、2%量でその作用は持続した。
【0074】乳香と附子は、2%量の塗布においてその
値の減少を有意に抑制し、その作用は持続した。共に4
及び6%量を塗布した場合、その値の減少を抑制する傾
向を示すにとどまった。
【0075】(7)他の生薬抽出物の塗布量とTEWLに対
する作用 荊芥、蔓荊子、黄柏、竹葉、アロエ、卑解、霍香、桃
仁、側柏葉、大棗、当帰およびセンブリのメタノール抽
出物を2%量溶解した0.8%塩化ベンザルコニウムエタノ
ール溶液塗布群のTEWL値を測定し、その結果を表13に
示した。
【0076】
【表13】
【0077】EtOHを塗布した(Normal群)のTEWL値はほ
とんど変化しなかった。一方、0.8%塩化ベンザルコニ
ウムエタノール溶液を塗布した(Control群)のTEWL値
は上昇する傾向を示すにとどまった。
【0078】荊芥、黄柏、霍香と大棗の塗布によって、
TEWL値は顕著に低下した。蔓荊子、アロエと卑解の塗布
では、その値を有意に低下した。竹葉、桃仁、側柏葉、
当帰およびセンブリの塗布では、実験期間を通してTEWL
値はほとんど変化しなかった。
【0079】(8) 他の生薬抽出物の塗布量と表皮角質水
分含有量に対する作用 TEWL同様に表皮角質水分含有量を測定した結果を表14
に示した。
【0080】
【表14】
【0081】Normal群の表皮角質水分量は有意に減少し
た。また、Control群のその値は塗布を重ねるごとに有
意な減少を示し、その変化量はNormal群より大きかっ
た。
【0082】蔓荊子、側柏葉及び大棗では、表皮角質水
分量は有意に減少したが、その割合はNormal群と同程度
であった。
【0083】蔓荊子、側柏葉及び大棗以外の生薬を塗布
した場合、その値の低下量はControl群よりも大きく、
特に挑仁、当帰及びセンブリでは、顕著であった。
【0084】(9) 以上、これまで経験的に皮膚障害の治
療に使用されている生薬や抗炎症作用や抗アレルギー作
用のあるまたはそのような作用が期待される生薬の塩化
ベンザルコニウムによる皮膚障害モデルに対する作用を
検討した結果を以下にまとめた。
【0085】(i) 菊花、大黄、乳香及び附子について
は、メタノールエキスを調整し、塗布量と皮膚障害モデ
ルのTEWL及び表皮角質水分含有量への作用との関係を検
討した結果、2%量において4種全ての生薬に塩化ベンザ
ルコニウムによる皮膚障害モデルのTEWL値の上昇を抑制
する作用が認められた。
【0086】菊花と大黄は、全ての濃度で皮膚障害モデ
ルのTEWL値の上昇を有意に抑制し、その効果はほぼ同じ
程度であった。特に大黄の2%量の場合、その効果は顕
著であった。
【0087】乳香は、モデルの皮膚障害を2及び4%量で
有意に抑制したが、6%量では、塗布開始5日後にその効
果が消失した。
【0088】附子は、全ての濃度で皮膚障害モデルのTE
WL値の上昇を有意に抑制し、塗布回数を重ねることでそ
の値を更に低下する傾向を示した。
【0089】さらに、荊芥、蔓荊子、黄柏、竹葉、アロ
エ、卑解、霍香、桃仁、側柏葉、大棗、当帰とセンブリ
について検討した結果を以下にまとめた。
【0090】荊芥、黄柏、霍香と大棗の塗布によって、
TEWL値は顕著に低下し、蔓荊子、アロエと卑解の塗布で
は、その値を有意に低下した。また、竹葉、桃仁、側柏
葉、当帰およびセンブリの塗布では、EtOHを塗布した
(Normal群)と同様に実験期間中ほぼ一定であった。
尚、この試験では各群の検体塗布前のTEWL値が高く、0.
8%塩化ベンザルコニウム エタノール溶液を塗布した
(Control群)のTEWL値に有意な上昇が認められなかっ
た。
【0091】(ii) 表皮角質水分含有量は、全ての群に
おいてばらつきが大きかったが、測定期間を通して塩化
ベンザルコニウムによる有意な減少が認められた。
【0092】菊花、大黄、乳香、附子、蔓荊子、側柏葉
および大棗では、その変化量はNormal群のと同程度であ
った。特に大黄と乳香は塩化ベンザルコニウムによるそ
の値の減少を効果的に抑制した。このほかの9生薬を塗
布した場合、その値の低下の程度はControl群よりも大
きく、特に桃仁、当帰およびセンブリでは、顕著であっ
た。
【0093】4.殺菌消毒剤組成物 本発明の殺菌消毒剤組成物は、上記皮膚保護剤と殺菌消
毒剤とを含んでなるものである。その例を以下に示す。
【0094】(1)処方例 殺菌消毒剤組成物 塩化ベンザルコニウム 0.2% 局方エタノール 80% 植物抽出エキス 2.0% 精製水 残余 各成分を均一に混合して得ることができる。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、殺菌消毒剤による皮膚
障害の客観的な評価方法を用いた多種類の植物抽出物の
スクリーニングを通じて、殺菌消毒剤に基づく皮膚障害
に対して経表皮性水分喪失(TEWL)を抑制するおよび/ま
たは表皮角質水分含有量を保持することが可能な殺菌消
毒剤組成物を得ることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−157281(JP,A) 特開 平9−30931(JP,A) 特開 平9−249576(JP,A) 特開 平6−24954(JP,A) 特開 平7−25746(JP,A) 特開 平7−157412(JP,A) 特開 平1−132515(JP,A) 特開 平6−279268(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/46,7/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 殺菌消毒剤と、 菊花、大黄、乳香、附子、大棗、荊芥、黄柏、霍香、蔓
    荊子、アロエ、卑解および側柏葉からなる群から選択さ
    れる少なくとも1つの抽出物からなる、経表皮性水分喪
    失(TEWL)を抑制するおよび/または表皮角質水分含有量
    を保持する皮膚保護用添加物と、 を含有することを特徴とする殺菌消毒剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記殺菌消毒剤がカチオン系および/ま
    たは両性系殺菌消毒剤であることを特徴とする、請求項
    1に記載の殺菌消毒剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記抽出物が、菊花、大黄、乳香、附
    子、大棗、荊芥、黄柏および霍香からなる群から選択さ
    れる少なくとも1つの抽出物であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の殺菌消毒剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記抽出物が、菊花、大黄、乳香、附子
    および大棗からなる群から選択される少なくとも1つの
    抽出物であることを特徴とする、請求項1または2に記
    載の殺菌消毒剤組成物。
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