JP3049337B2 - パルスアーク溶接方法およびこの方法を用いたパルスアーク溶接装置 - Google Patents

パルスアーク溶接方法およびこの方法を用いたパルスアーク溶接装置

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JP3049337B2 JP2160778A JP16077890A JP3049337B2 JP 3049337 B2 JP3049337 B2 JP 3049337B2 JP 2160778 A JP2160778 A JP 2160778A JP 16077890 A JP16077890 A JP 16077890A JP 3049337 B2 JP3049337 B2 JP 3049337B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、パルスアーク溶接方法およびこの方法を用
いたパルスアーク溶接装置に関する。
[従来の技術] この種のパルスアーク溶接は、溶滴の移行に必要なピ
ーク電流Ipとベース電流Ibとを溶接ワイヤに交互に通電
し、ピーク電流Ipの通電によって溶接ワイヤをピンチ効
果で溶滴離脱させて溶接を行うものであるが、設定すべ
きファクターが多いことから、一般には、溶接条件に応
じて溶接平均電流Ia(ワイヤ送給速度)、ピーク電流レ
ベルIpとその通電期間tp、ベース電流Ib、溶接平均電圧
Eaを設定し、通電周期Tを可変制御することによって
(ピーク電流通電期間tpが設定されているので、通電周
期Tを可変制御することはベース電流通電期間tbを可変
制御することに相当する)溶接平均電圧Eaが規定レベル
になるようにアーク電圧制御を行っているのが通例であ
る。
しかしながら、このような方法では、溶接ワイヤや溶
接母材による種々の溶接条件に応じてピーク電流を可変
設定すると、その都度ピーク電流通電期間tpを再調整し
直さなければならず、調整が難しく手間がかかるために
改善が望まれていた。
そこで、本発明者は、先の出願(平成2年6月8日付
出願)において、ピーク電流を可変設定すると1パルス
1溶滴移行に最適なピーク電流通電期間が自動的に制御
されるようにした新規なパルスアーク溶接方法を提案し
たが、本発明はその先願を更に改良したものである。
[発明が解決しようとする課題] すなわち本発明は、ピーク電流を可変設定できるよう
にし、設定されたピーク電流に応じて1パルス1溶滴移
行のための最適なピーク電流通電期間を自動制御するよ
うにした溶接条件に応じたきめ細かい制御を行うことの
できる溶接方法を提供することを目的としており、特
に、先に出願された発明に対比させた改良点は、ベース
電流通電期間の制御系における制御の時間遅れや制御系
の不安定要素をなくして溶接平均電圧を安定して所定値
に自動制御することにある。
また、同時に提案される本発明は、この溶接方法を実
現するパルスアーク溶接装置を提供することを目的とし
ている。
[課題を解決するための手段] ピーク電流とベース電流とを溶接ワイヤと溶接母材と
の間に交互に通電して行うパルスアーク溶接方法におい
て、ベース電流通電時には、検知したベース電流に所定
の演算処理、つまりIbをB乗した算出値を積分し、(こ
こに、Ibはベース電流値、Bは任意の正数)、引き続く
ピーク電流通電時には、検知したピーク電流にも所定の
演算処理、つまりIpをA乗した算出値を積分し、(ここ
に、Ipはピーク電流値、Aは任意の正数)、これらの積
分値の和が予め定められた所定レベルに達したときに、
ピーク電流の通電を停止させてベース電流の通電に切り
換える一方、ピーク電流通電開始時から検知した溶接電
圧を予め定められた溶接平均電圧基準値と比較して、そ
の差分の積分を開始し、引き続くベース電流通電時にお
いて、この積分出力レベルが積分開始時のレベルと一致
したときには、ベース電流の通電を停止させて、ピーク
電流の通電に切換えるようにしたことを特徴としてい
る。
また、請求項2に記載の本発明によれば、ピーク電流
とベース電流とを溶接ワイヤと溶接母材との間に交互に
通電するようにしたパルスアーク溶接装置において、ピ
ーク電流通電期間を制御するために、検知したベース電
流に上記ベース電流通電時と上記ピーク電流通電時とに
おいて各々予め定められた所定の演算処理、つまりベー
ス電流通電時には、IbをB乗し、(ここに、Ibはベース
電流値、Bは任意の正数)、ピーク電流通電時には、Ip
をA乗する(ここに、Ipはピーク電流値、Aは任意の正
数)演算回路と、ベース電流通電時には、上記演算回路
から出力されるベース電流について上記所定の演算処理
を施した値を積分し、かつピーク電流通電時には、上記
演算回路から出力されるピーク電流について上記所定の
演算処理を施した値を積分する電流積分回路と、上記ベ
ース電流通電時に、上記電流積分回路によって積分され
たベース電流に上記所定の演算処理を行って算出した算
出値についての積分値と、上記ピーク電流通電時に、上
記電流積分回路によって積分されたピーク電流に上記演
算処理を行って算出した算出値についての積分値との和
が予め定められた所定レベルに達したときにはピーク電
流通電終了信号を出力するとともに上記電流積分回路を
リセットさせる電流積分レベル判別部とを含んで成るピ
ーク期間制御手段と、溶接平均電圧が溶接平均電圧基準
値と一致するようにベース電流通電期間を制御するため
に、上記ピーク電流通電開始時から上記ベース電流通電
時に亘って検知した溶接電圧を予め定められた溶接平均
電圧基準値と比較して、その差分を積分する溶接電圧誤
差積分回路と、該溶接電圧誤差積分回路の積分出力レベ
ルが積分開始時のレベルと一致したときにベース電流通
電終了信号を出力する電圧積分レベル判別部とを含んで
成るベース期間制御手段とを備えたことを特徴としてい
る。
このような本発明におけるベース期間制御手段の一例
としては、溶接電圧誤差積分回路において、ピーク電流
通電開始時から検知した溶接電圧を溶接平均電圧基準値
と比較してその差分の積分をゼロレベルから開始し、引
き続くベース電流通電時において、その積分出力レベル
がゼロレベルになったときにゼロクロス検出回路で成る
電圧積分レベル判別部で判別してベース電流通電終了信
号を出力させる構成があげられる。
[作用] 請求項1に記載の本発明では、ベース電流通電時に
は、検知したベース電流に所定の演算処理を施した後に
積分し、引き続くピーク電流通電時には、検知したピー
ク電流にも所定の演算処理を施した後に積分し、これら
の積分レベルの和が予め定められた所定レベルに達した
ときには、ピーク電流の通電を停止させてベース電流の
通電に切り換え、これによって、ピーク電流通電期間を
自動制御する。一方、ピーク電流通電開始時から検知し
た溶接電圧を予め定められた溶接平均電圧基準値と比較
して、その差分の積分を開始し、引き続くベース電流通
電時において、この積分出力レベルが積分開始時のレベ
ルと一致したときには、ベース電流の通電を停止させ
て、ピーク電流の通電に切換え、これによって、溶接平
均電圧が溶接平均基準値と一致するようにベース電流通
電期間を自動制御する。この結果、ピーク電流とベース
電流とが交互に切換通電されて溶接が行われる。
請求項2に記載の本発明装置では、ピーク期間制御手
段において、ベース電流通電開始時から検知したベース
電流(瞬時値)に演算回路で所定の演算処理を施した後
に電流積分回路で積分し、引き続くピーク電流通電時に
は検知したピーク電流(瞬時値)に演算回路で予め定め
られた所定の演算処理を施した後に電流積分回路で積分
し、電流積分回路におけるこれらの積分レベルの和が予
め定められた所定レベルに達したときには電流積分レベ
ル判別部からピーク電流通電終了信号を出力してベース
電流の通電に切換えるとともに電流積分回路をリセット
し、これによって、ピーク電流通電期間を制御する。
一方、ベース期間制御手段においては、ピーク電流通
電開始時から検知した溶接電圧(ピーク電圧及びベース
電圧の瞬時値)を溶接電圧誤差積分回路において予め定
められた溶接平均電圧基準値と比較してその差分の積分
を開始し、引き続くベース電流通電時において、この積
分出力レベルが積分開始時のレベルと一致したときには
電圧積分レベル判別部からベース電流通電終了信号を出
力してピーク電流の通電に切り換え、これによって、溶
接平均電圧が溶接平均電圧基準値と一致するようにベー
ス電流通電期間を制御する。
[実施例] 以下に、添付図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。
第1図は、請求項1に記載の本発明のパルスアーク溶
接方法を実施する溶接装置の要部構成をブロック図をも
って示したものである。
本発明は、ピーク電流Ipを手動で可変設定できるよう
になっており、同時に溶接平均電流、ベース電流および
溶接平均電圧の各基準値を各々手動設定すれば、溶接平
均電圧Eaが溶接平均電圧基準値Erに一致するようにベー
ス電流通電期間tbを自動制御しながら、1パルス1溶滴
移行を行わせるための最適なピーク電流通電期間tpを制
御するものである。
第1図において、1はピーク電流通電期間tpを制御す
るためのピーク期間制御手段、2はベース電流通電期間
tbを制御するためのベース期間制御手段、3はベース電
流通電信号あるいはピーク電流通電信号を切り換えて保
持出力する通電切換部、4は溶接平均電圧基準値Erを設
定する溶接電圧設定部である。
尚、図では、通電切換部3から出力されるピーク電流
通電信号あるいはベース電流通電信号に応じて溶接電流
の通電制御を行う電流制御手段を省略しており(後述す
る)、この電流制御手段によって設定されたピーク電流
Ipあるいはベース電流Ibが安定して通電されるように負
帰還制御が行われる。
ピーク期間制御手段1はピーク電流Ipの通電を終了さ
せるタイミング信号を出力するものであり、このため
に、通電切換部3からベース電流通電信号を受けている
期間には溶接電流I(ベース電流Ib)の瞬時値に所定の
演算処理(ベース電流IbをB乗する演算)を施す一方、
通電切換部3からピーク電流通電信号を受けている期間
には溶接電流I(ピーク電流Ip)の瞬時値に所定の演算
処理(ピーク電流IpをA乗する演算)を施す演算回路10
と、演算回路10から出力される演算処理結果を積分する
電流積分回路11と、電流積分回路11の積分値が予め定め
られた所定レベルLに達したときにピーク電流通電終了
信号を出力するとともに電流積分回路11をリセットして
積分レベルをクリアする電流積分レベル判別部12とを備
えている。
一方、ベース期間制御手段2は、ピーク電流通電開始
時から溶接ワイヤと溶接母材との間の溶接電圧E(ピー
ク電圧Ep)の瞬時値を溶接電圧設定部4で設定された溶
接平均電圧基準値Erと比較してその差分信号の積分を開
始し、引き続くベース電流通電時においても同様に溶接
電圧E(ベース電圧)の瞬時値を溶接平均電圧基準値Er
と比較してその差分信号を積分する溶接電圧誤差積分回
路20と、溶接電圧誤差積分回路20の積分出力レベルがピ
ーク電流通電開始時における出力レベルと一致したとき
にベース電流通電終了信号を出力する電圧積分レベル判
別部21とを備えている。尚、本構成では、溶接電圧誤差
積分回路20では、ピーク電流通電開始時からベース電流
通電時に渡ってゼロレベルから差分信号を積分し、この
積分出力レベルがゼロレベル(以下)になったときに、
ゼロクロス検出回路で成る電圧積分レベル判別部21(以
下、ゼロクロス検出回路と記載)で判別してベース電流
通電終了信号を出力するようにしている。
すなわち、ベース期間制御手段2では、ピーク電流通
電期間tpにおけるピーク電圧Epと溶接平均電圧基準値Er
との差分の積分レベルが、ベース電流通電期間tbにおけ
るベース電圧Ebと溶接平均電圧基準値Erとの差分の積分
レベルと一致したときにベース電流Ibの通電を停止して
ピーク電流Ipの通電に切り換える動作を行っているの
で、溶接平均電圧Eaを溶接平均電圧基準値Erに完全に一
致させるようにベース電流通電期間tbが制御され、しか
も、負帰還制御系ではないので制御の時間遅れやハンチ
ングが生じないようになっている。
このような構成によって実施される本発明の溶接方法
を第2図(a)〜(i)の波形図を参照して説明する。
尚、第1図の対応した部分には対応した(a)〜(i)
の符号を付している。
溶接条件に応じて、溶接平均電流Ia、ピーク電流Ip、
ベース電流Ibおよび溶接平均電圧Eaを設定する。
ピーク期間制御手段1から出力するピーク電流通電終
了信号によって、通電切換部3からベース電流通電信号
が出力されると、ピーク期間制御手段1の演算回路10で
は、検知した溶接電流I(ベース電流Ib(瞬時値))に
所定の演算処理(ベース電流IbをB乗する演算)を施し
て電流積分回路11に出力し、電流積分回路11ではこの演
算処理の施された信号を積分する。
引き続いて、ベース期間制御手段2から出力されるベ
ース電流通電終了信号によって、通電切換部3からピー
ク電流通電信号が出力されると、演算回路10では、検知
した溶接電流I(ピーク電流Ip(瞬時値))に所定の演
算処理(ピーク電流IpをA乗する演算)を施して電流積
分回路11に出力し、電流積分回路11ではこの演算処理の
施された信号を積分する。
電流積分レベル判別部12では、電流積分回路11の積分
出力レベルを監視しており、このレベルが予め定められ
た所定レベルLに達したときには、通電切換部3にピー
ク電流通電終了信号を出力するとともに、電流積分回路
11をリセットして積分レベルをクリアする。
通電切換部3では、ピーク電流通電終了信号を受け
て、ピーク電流通電信号の出力を停止し、代わってベー
ス電流通電信号を保持出力する。これによって演算回路
10の演算乗数がBに切り換えられて再びの動作に戻
る。
ピーク期間制御手段1では上記〜の動作を繰り返
して行うことにより、ピーク電流通電終了信号を出力す
る。
一方ベース期間制御手段2は次の動作を行う。
ベース期間制御手段2から出力するベース電流通電終
了信号によって、通電切換部3からピーク電流通電信号
が出力されると、溶接電圧誤差積分回路20では、検知さ
れた溶接電圧E(ピーク電圧Epの瞬時値)を溶接電圧設
定部4で設定された溶接平均電圧基準値Erと比較して差
分信号の積分を開始する。
引き続いて、ピーク期間制御手段1から出力されるピ
ーク電流通電終了信号によって通電切換部3からベース
電流通電信号が出力されると、溶接電圧誤差積分回路20
では、検知された溶接電圧E(ベース電圧Ebの瞬時値)
を溶接電圧設定部4で設定された溶接平均電圧基準値Er
と比較して差分信号を積分する。
一方、ゼロクロス検出回路21では溶接電圧誤差積分回
路20の積分出力レベルを監視しており、ピーク電流通電
開始時からベース電流通電時に渡る差分信号の積分出力
レベルがゼロレベル(以下)になると通電切換部3にベ
ース電流通電終了信号を出力し、通電切換部3はピーク
電流通電信号を保持出力して再びの動作に戻る。
ベース期間制御手段2では、上記〜の動作を繰り
返して行うことによってベース電流通電終了信号を出力
する。
すなわち、ピーク期間制御手段1では、ピーク電流Ip
の通電を終了させるタイミング信号を出力し、ベース期
間制御手段2は、ベース電流Ibの通電を終了させるタイ
ミング信号を出力して、通電切換部3でこれらのタイミ
ング信号を受けてベース電流通電信号あるいはピーク電
流通電信号を保持出力してベース電流Ibとピーク電流Ip
とを交互に切り換えて通電を行っている。
第3図(a)〜(d)は、ピーク期間制御手段1およ
びベース期間制御手段2の動作原理を説明するための波
形を示したものである。
ベース期間制御手段2では、第3図(c),(d)に
示したように、ピーク電流通電期間tpの開始時からピー
ク電圧Epと溶接平均電圧基準値Erとの差分(Ep−Er)を
ゼロレベルから積分(同図(c)の斜視部αに対応)し
て差分に応じた傾斜で積分出力レベルは上昇し、引き続
いてベース電流通電時においては、ベース電圧Ebと溶接
平均電圧基準値Erとの差分(Eb−Er)を積分(同図
(c)斜視部βに対応)して差分に応じた傾斜で積分出
力レベルは下降する。そして、積分出力レベルがゼロレ
ベル(α=β)になったときにベース電流Ibの通電を終
了させている。従ってこの制御によれば、例えば、溶接
平均電圧Eaが低く設定され、ベース電流通電期間tb中に
おける溶滴離脱時に短絡が発生して(第3図(c)参
照)溶接電圧が低下した場合でも、溶接電圧誤差積分回
路20の積分出力の下降が急峻になって自動的にベース電
流通電期間tbをtb1まで減少させて溶接平均電圧Eaが溶
接平均電圧基準値Erに一致するように制御が行われる。
また、溶接中にアーク長が増加してベース電圧EbがEb1
まで増加した場合でも、溶接電圧誤差積分回路20の積分
出力の下降が緩やかになって自動的にベース電流通電期
間をtb2まで増加させて溶接平均電圧Eaを溶接平均電圧
基準値Erに一致させることが可能となる。更に、上記し
た以外の溶接中の過渡的な変動要因によって溶接電圧E
(ピーク電圧Epおよびベース電圧Eb)が変動した場合で
あっても、ベース電流通電期間tbを制御することによっ
て溶接平均電圧Eaが溶接平均電圧基準値Erに完全に一致
するように制御が行われる。
一方、ピーク期間制御手段1では、第3図(a),
(b)に示したように、ベース電流通電期間tb中におけ
る溶滴離脱時に短絡が発生してベース電流通電期間がtb
1に減少した場合には、ベース電流Ibの演算処理、積分
による積分出力レベルが低いため、ピーク電流Ipの演算
処理、積分レベルが所定値Lに達する時間が増加し、こ
れによってピーク電流通電期間tpはtp1まで増加して溶
滴離脱に最適な通電エネルギーを確保するように制御が
行われる。また、アーク長の増加によってベース電圧Eb
が増加した場合には、ベース期間制御手段2の制御によ
ってベース電流通電期間がtb2まで増加してベース電流I
bの演算処理、積分による出力レベルが増加するため、
ピーク電流Ipの演算処理、積分出力レベルが所定値に達
する時間が減少し、これによってピーク電流通期間tpは
tp2まで減少して通電エネルギーを最適値に制御してい
る。
このように、ベース期間制御手段2では、溶接平均電
圧Eaが低く設定されてベース電流通電期間tb中に短絡が
発生する場合や、アーク長の増加に伴ってベース電圧Eb
が増加したような場合でも、溶接平均電圧Eaが溶接平均
電圧基準値Erと完全に一致するようにベース電流通電期
間tbを制御することができ、しかも負帰還制御系ではな
いので制御の時間遅れやハンチングが発生することがな
くなり、溶接平均電圧の安定度を著しく向上させること
ができる。
他方のピーク期間制御手段1では、ピーク電流Ipある
いはベース電流Ibが可変設定された場合であっても、溶
接ワイヤに加えられる全エネルギー量が1パルス1溶滴
移行のための最適値になった時点でピーク電流Ipの通電
を停止させてベース電流Ibの通電に切換制御しているの
で、溶滴離脱がピーク電流通電期間tp内で発生すること
を有効に防止することが可能となり、溶接平均電圧Eaが
低く溶滴離脱時に短絡が発生する場合でもスパッタの発
生量を低減した良好なパルスアーク溶接を行うことがで
き、ピーク電流Ipを低く設定すれば、アーク音がソフト
になり、作業者の負担を軽減できる。また、ピーク電流
通電期間tpが溶接ワイヤへ供給されるエネルギー量によ
って制御されているので、例えば、1次側の電源電圧が
低下した場合や2次側溶接ケーブルが長くケーブルイン
ダクタンスによって通電電流波形がなまるような場合で
も、一定量のエネルギーが溶接ワイヤに加えられるよう
に自動的にピーク電流通電期間tpが長くなるように制御
されるので、安定したパルスアーク溶接を行うことが可
能となる。
次に、本発明の技術的背景を説明する。
第4図は、1.2mmφの軟鋼溶接ワイヤを使用し、シー
ルドガスとしてアルゴンガスを用いた場合において、1
パルス1溶滴移行を生じさせるために必要なピーク電流
通電期間tpの値をピーク電流Ipを変化させて実測したグ
ラフであり、ベース電流Ibを50Aに固定して溶接平均電
流Iaを変化させた場合のデータと、溶接平均電流Iaを20
0Aに固定してベース電流Ibを変化させた場合のデータと
をプロットしている。このグラフによれば、溶接平均電
流Iaが同一のときには、ベース電流Ibが大きいほど1パ
ルス1溶滴を生じさせるために必要なピーク電流通電期
間tpが減少し、また、ベース電流Ibが同一のときには、
溶接平均電流Iaが大きいほど溶滴離脱を生じさせるため
に必要なピーク電流通電期間tpが減少することが分か
る。
本発明では、このグラフにおいて、1パルス1溶滴移
行に必要なピーク電流通電期間tpが、ベース電流通電期
間tbとピーク電流通電期間tpとにおける通電エネルギー
の和に依存して変動していることと、その通電エネルギ
ーがベース電流Ibおよびピーク電流Ipを各々所定乗数で
演算したものを積分することによってほぼ等価的に求め
られることを利用し、ピーク期間制御手段1において、
このようにして等価的に求めた積分値(エネルギー量)
によって最適なピーク電流通電期間tpの制御を行ってお
り、これによって安定した溶接を実現している。
第5図は、本発明のパルスアーク溶接方法において、
溶接電流Iの時間変化に対する溶滴離脱の進行状況を示
したもので、ピーク電流通電期間tpでは溶接ワイヤWに
ピーク電流Ipを通電することによって溶接ワイヤW先端
部を通電電流によるピンチ効果によってくびれさせて溶
滴Waを離脱直前状態にし、ピーク電流通電期間tpからベ
ース電流通電期間tbに切り換わってから溶滴Waを母材M
側に移行させており、このように制御することによって
溶接平均電圧Eaが低く溶滴離脱時に短絡が発生する場合
でもスパッタの発生量を低減した良好な溶接を行うこと
が可能なる。
第6図(a),(b)は、パルスアーク溶接におい
て、ピーク電流Ip、ピーク電流通電期間tp、ベース電流
Ibの大小に応じて、溶滴の離脱周期の変化する様子を示
したものである。すなわち、第4図より溶接平均電流Ia
=200A(溶接ワイヤ送給速度=7.3m/min)のときに、1.
2mmφの軟鋼ワイヤにピーク電流Ip1=450A、ベース電流
Ib=50Aを通電すると、1パルス1溶滴移行に要する最
小のピーク電流通電期間tP1は約1.7msになることが分か
る(このとき、通電周期T1=4.53msとなる。第6図
(a)参照)。また、ピーク電流Ip2=350A、ベース電
流Ib=50Aを通電すると、1パルス1溶滴移行に要する
最少のピーク電流通電期間tP2は約3.25msになることが
分かる(このとき、通電周期T1=6.5msとなる。第6図
(b)参照)。つまり、溶接平均電流Ia(ワイヤ送給速
度)、ベース電流Ibが一定のときには、ピーク電流Ipが
増加すれば1パルスによって離脱する溶滴量が減少して
通電周期Tが短くなり、逆に、ピーク電流Ipが減少すれ
ば1パルスによって離脱する溶滴量が増加して通電周期
Tが長くなることが分かる。
本発明では、ピーク期間制御手段1において、ベース
電流Ibおよびピーク電流Ipを各々演算処理した後に積分
しているが、上記データによれば、 (Ip1A×tp1)+(Ib1B×tb1) =(Ip2A×tp2)+(Ib2B×tb2) を満足するように乗数A,Bを定めれば、ピーク電流Ip、
ベース電流Ibを変化させた場合でも溶接ワイヤへ供給さ
れるエネルギー量を等価的に求めることができ、求めた
エネルギー量が1パルス1溶滴移行のための最適値にな
るようにピーク電流通電期間tpを自動制御することが可
能になる。
第7図(a),(b)は、パルスアーク溶接におい
て、溶接平均電流Ia、ピーク電流Ipが一定のときに、ベ
ース電流Ibの大小に応じて1パルス1溶滴移行のための
ピーク電流通電期間tpの最適値(溶滴離脱直前状態にな
るまでの期間)が変化する様子を示したものである。す
なわち、ベース電流Ibが低い場合には、同図(a)に示
したように、ベース電流Ib1によって溶滴離脱に寄与す
るエネルギーが低いので、溶接ワイヤに充分なくびれを
生じさせるためにピーク電流通電期間tp3を長くする必
要があり、逆に、ベース電流Ibが高い場合には、同図
(b)に示したようにベース電流Ib2による溶接ワイヤ
への通電エネルギーが大きいために、ピーク電流通電期
間tp4中に溶滴が離脱しないようにピーク電流通電期間t
pを短くしなければならないことが分かるが、本発明で
は、このようにベース電流Ibによる通電エネルギーを加
味した制御をピーク期間制御手段1によって行なわせて
いる。
第8図は、上述した本発明のパルスアーク溶接方法を
実施するパルスアーク溶接装置の構成例をブロック図を
もって示したものである(請求項2に対応)。
図において、1はピーク期間制御手段、2はベース期
間制御手段、3は通電切換部、4は溶接電圧設定部であ
り、これらは第1図と同一であるので同一の符号を付し
ている。5は通電切換部3の切換信号に応じてピーク電
流Ip及びベース電流Ibを切り換えて通電するための通電
制御信号を出力する電流制御手段、6は溶接装置の起動
時にアークの発生及び伸張を促すための補償信号を出力
する起動制御部である。AMP1は溶接電流を増幅する溶接
電流増幅回路、AMP2は溶接電圧を増幅する(本実施例で
は、増幅度を1未満に設定)溶接電圧増幅回路であり、
7は電流制御手段5から出力される通電制御信号に応じ
て、インバータINVから出力するスイッチング電圧のデ
ューティーを制御するパルス幅制御部、8は溶接ワイヤ
Wの送給制御を行うワイヤ送給制御部である。また、RE
Cは三相交流電圧を整流する整流回路部、Tはインバー
タINVから出力されるスイッチング電圧を絶縁変圧する
トランス、D1,D2はトランスTから出力される電源を全
波整流するダイオード、Sは溶接電流レベルを対応した
電圧レベルとして取り出すためのシャント抵抗、Lはリ
アクトル、Mは溶接母材を示している。
ピーク期間制御手段1は、演算回路10と電流積分回路
11とは第1図と同一であるので同一の符号を付して説明
を省略する。電流積分レベル判別部12は、電流積分回路
11の積分レベルが予め定められた所定レベルL(溶接ワ
イヤに加えられるエネルギーが1パルス1溶滴移行に要
する最適値になる時点でピーク電流通電終了信号を出力
するように定められる)に達したときにピーク電流通電
終了信号を出力するコンパレータ12aと、コンパレータ1
2aから出力されるピーク電流通電終了信号を受けて所定
の時間幅Tmを有したパルス信号を出力するワンショット
マルチバイブレータ(以下、ワンショットMVと記載)12
bを有している。また、電流積分回路11はワンショットM
V12bとから出力されるパルス幅Tmのピーク電流通電終了
信号を受けて積分レベルがリセットされてゼロレベルに
戻るようになっている。
ベース期間制御手段2は、溶接電圧誤差積分回路20と
ゼロクロス検出回路で成る電圧積分レベル判別部21とは
第1図の場合と同一であるので同一の符号を付して説明
を省略する。アナログスイッチSW20は、アークが発生す
るまでの期間は開成して溶接電圧増幅回路AMP2で増幅さ
れた無負荷電圧が溶接電圧誤差積分回路20に加わること
を禁止しており、これによって、アークが発生するまで
の無負荷電圧(アーク発生後の溶接電圧よりも高い)に
よってゼロクロス検出回路21から出力されるベース電流
通電終了信号の出力タイミングが遅れることを防止し、
ベース電流通電期間tbを最短に制御してアークの伸張を
促している。尚、本構成では、ピーク期間制御手段1か
らパルス幅Tmのピーク電流通電終了信号が出力されてい
る期間は、ベース期間制御手段2からベース電流通電終
了信号が出力されている場合であっても、ベース電流Ib
が優先して通電されるようにしている。
電流制御手段5は、溶接平均電流基準値Irを設定する
溶接電流設定部50と、ピーク電流基準値Iprを設定する
ピーク電流設定部51と、ベース電流基準値Ibrを設定す
るベース電流設定部52と、これらの各設定部で設定され
た基準レベルを通電切換部3から出力されるピーク電流
通電信号あるいはベース電流通電信号に応じて切換選択
するアナログスイッチSW50,SW51と、ピーク電流基準値I
prあるいはベース電流基準値Ibrと溶接電流増幅回路AMP
1から出力される溶接電流Iとの誤差を出力する溶接電
流誤差増幅回路53とを備えている。尚、ピーク電流設定
部51は溶接電流設定部50と連動するようになっており、
ピーク電流基準値Iprを最小に設定した場合であっても
溶接平均電流基準値Irよりも低い値にならないよううに
されている。また、溶接電流設定部50で設定された溶接
平均電流基準値Irは、ワイヤ送給制御部8に出力され
て、溶接平均電流基準値Irに比例した速度で溶接ワイヤ
の送給が行れる。
パルス幅制御部7は、PWM制御回路71で電流制御手段
5から伝送された誤差信号に応じたパルス幅制御信号を
生成し、ドライブ回路70を通じてインバータINVに伝送
してスイッチング電圧のデューティーを変化させ、これ
によって溶接電流I(ピーク電流Ip及びベース電流Ib)
が常に電流制御手段5の設定レベルに一致するように帰
還制御が行われる。
起動制御部6は、アークが発生してから所定の時間t1
だけ、電流制御手段5の溶接電流誤差増幅回路53に起動
電流基準信号Isを送出するとともに、アークが発生する
までの期間は通電周期制御手段2のアナログスイッチSW
20を開成する動作を行う。
次に、このような構成のパルスアーク溶接装置の動作
を第9図(a)〜(m)の波形図を参照して説明する。
尚、第8図の対応した部分には対応した(a)〜(m)
の符号を付している。
1.溶接開始時の動作。
トーチスイッチ(不図示)を操作すると溶接ワイヤW
と母材Mとの間に無負荷電圧が加えられる。
無負荷電圧が加えられてからアークが発生するまでの
期間は、起動制御部6によってベース期間制御手段2の
アナログスイッチSW20が開成しているので、無負荷電圧
が溶接電圧誤差積分回路20に入力されず、溶接電圧誤差
積分回路20はゼロレベルの溶接電圧と溶接平均電圧基準
値Erとの差分(−Er)を積分するので出力レベルがゼロ
となり、ゼロクロス検出回路21から通電切換部3にベー
ス電流通電終了信号が継続して出力されている。
溶接ワイヤWが母材Mに接触するとアークが発生し、
アークが発生してから所定の時間t1が経過するまでの期
間は、起動制御部6から電流制御手段5の溶接電流誤差
増幅回路53に起動電流基準信号Isを送出して溶接電流I
を最大値に制御し、アーク長の増加を促進させる。
一方、ベース期間制御手段2から出力されるベース電
流通電終了信号によって通電切換部3からピーク電流通
電信号が保持出力されると、ピーク期間制御手段では、
演算回路10の演算乗数がAに切換設定され、溶接電流増
幅回路AMP1で検知された溶接電流I(起動電流Is)を演
算回路10において演算処理(起動電流IsをA乗する演
算)し、演算処理された信号を電流積分回路11で積分す
る。
電流積分回路11の積分出力レベルが電流積分レベル判
別部12のコンパレータ12aで予め定められた所定レベル
Lに達すると、ワンショットMV12bにピーク電流通電終
了信号を出力し、ワンショットMV12bはこのピーク電流
通電終了信号を受けて所定のパルス幅tmの信号を通電切
換部3に出力するとともに、電流積分回路11をリセット
する(パルス幅tmは、電流積分回路11をリセットさせる
ために必要な時間に設定される)。
通電切換部3では、ワンショットMV12bから出力され
るピーク電流通電終了信号を受けてベース電流通電信号
を保持出力し、これによって、演算回路10の演算乗数を
乗数Bに切り換えるとともに、溶接電流制御手段5のア
ナログスイッチSW51を閉成して溶接電流Iをベース電流
Ibに切り換える。
一方、ベース期間制御手段2では、アークが発生する
とアナログスイッチSW20を閉成し、溶接電圧誤差積分回
路20に溶接電圧Eが加えられて差分の積分が始まり、溶
接電圧Eの上昇に伴ってベース電流通電終了信号の出力
タイミングを遅らせ、これによってベース電流通電期間
tbを増加させていく。
(溶接初期はベース電流通電期間tbが最小になるので、
ピーク期間制御手段1のワンショットMV12bから出力さ
れるパルス幅tmのピーク電流通電期間終了信号が停止す
ると同時に再びピーク電流通電期間tpに復帰する。) このように、溶接初期には、ベース期間制御手段2に
よってベース電流通電期間tbを最短にするとともに、時
間t1が経過するまでは起動制御部6によって起動電流Is
を通電し、溶接ワイヤの溶融を促進してアーク長が速や
かに所定値に達するように制御を行い、この後、溶接電
圧の増加(アーク長の増大)に伴ってベース期間制御手
段2ではベース電流通電期間tbを漸次増加させ、これに
よって、溶接平均電圧Eaを溶接平均電圧基準値Erに安定
させて所定のアーク長を持続させる制御を行っている。
2.定常溶接時の動作。
上記溶接初期の動作を経て定常溶接状態に入ると、第
1図において説明した動作によって通電切換部3からピ
ーク電流通電信号、ベース電流通電信号が交互に出力さ
れ、電流制御手段5では、これらの通電信号を受けてピ
ーク電流Ipあるいはベース電流Ibを交互に通電して溶接
を行う。尚、溶接平均電圧が低く設定されてベース電流
通電期間tb中の溶滴離脱時に短絡が発生する場合の動作
やアーク長が増加してベース電圧Ebが増加した場合の動
作などについては、上記第3図において述べたものと同
一であるので省略する。
このように、本発明のパルスアーク溶接装置では、ベ
ース期間制御手段2において、溶接平均電圧Eaが溶接平
均電圧基準値Erと完全に一致するようにベース電流通電
期間tbを制御し、しかも負帰還制御系を使用していない
ので、V/F変換回路などを使用して負帰還回路を構成し
たものに比べて制御の時間遅れやハンチングが生じず、
溶接平均電圧Eaの安定度を著しく向上させることが可能
になる。
また、ベース電流Ibおよびピーク電流Ipによる溶接ワ
イヤへの通電エネルギー量に基づいてピーク電流通電期
間tbを自動制御しているので、ピーク電流Ip、ベース電
流Ibを可変設定した場合でも、1パルス1溶滴移行に必
要な最適時間だけピーク電流Ipが通電され、ピーク電流
通電期間tbに溶滴離脱が生じることを有効に防止するこ
とができ、溶接平均電圧Eaが低く溶滴離脱時に短絡が発
生する場合でもスパッタの発生量を低減させた溶接を行
うことが可能となる。
第10図は、本発明のパルスアーク溶接装置の具体的な
回路例を示したもので、第8図と対応した部分には対応
した符号を付しており、また、第9図(a)〜(m)の
波形図と対応した部分には対応した(a)〜(m)の符
号を付している。
図において、ピーク期間制御手段1の演算回路10は、
自乗演算回路10aと反転増幅回路10bとを組み合わせて構
成され、通電切換部3からベース電流通電信号を受けた
ときには、アナログスイッチ10cを閉成して溶接電流I
をB乗する演算処理を行う一方、通電切換部3からピー
ク電流通電信号を受けたときには、アナログスイッチ10
dを閉成して溶接電流IをA乗する演算処理を行うよう
になっている。電流積分回路11は演算増幅器11bを使用
した積分回路によって構成されており、ワンショットMV
12bから伝送されるピーク電流通電終了信号を受けてア
ナログスイッチ11aを閉成して積分コンデンサ11cの電荷
を強制的に放電(リセット動作)するようになってい
る。通電切換部3はNANDゲート3a、RSフリップフロップ
3およびNOTゲート3cを組み合わせた構成とされてお
り、ピーク電流通電終了信号がリセット端子Rに加えら
れている期間は、ベース電流通電終了信号がNOTゲート3
cを介してNANDゲート3aに加えられている場合であって
もベース電流通電信号を優先して出力するようになって
いる。
ベース期間制御手段2の溶接電圧誤差積分回路20は、
演算増幅器20aを用いた積分回路の反転入力端子側に、
溶接電圧増幅回路AMP2から出力される反転増幅された負
レベルの溶接電圧Eと溶接電圧設定部4で設定された正
レベルの溶接平均電圧基準値Erとを加え、これらの和を
求めて積分することによって等価的に溶接電圧Eと溶接
平均電圧基準値Erとの差分を積分している。ダイオード
20b(ショットキーバリアダイオードを使用)は演算増
幅器20aの出力レベルがゼロレベル(実際には、ダイオ
ードの順方向電圧だけゼロレベルよりも低下するため、
約−0.2ボルトになる)よりも低下させないようにし
て、ピーク電流通電期間tpに切り換えられた時点でゼロ
レベルから直ちに積分出力を立ち上げるためのクランプ
ダイオードである。また、ゼロクロス検出回路21は基準
電圧をゼロレベルに設定したコンパレータ21aで構成さ
れ、反転入力端子側にゼロレベルよりも低い積分信号が
入力されている期間は「H」レベルのベース電流通電終
了信号を出力するようになっている。
尚、本実施例では、ゼロクロス検出回路21のコンパレ
ータ21aを、正負の直流電源を供給して動作させている
が、正電圧のみの直流電源によって作動させることも可
能であり、その場合には、コンパレータ21aの反転入力
端子側に過大な負電圧が加えられて誤動作が生じること
を防ぐために、溶接電圧誤差積分回路20のダイオード20
bによって積分出力レベルを−0.2ボルトにクランプさせ
て誤動作防止を兼ねさせている。
また、本構成では、ベース期間制御手段2の溶接電圧
誤差積分回路20の積分出力レベルがピーク電流通電時に
はゼロレベルから上昇し、ベース電流通電時には下降さ
せてゼロレベルになったときに電圧積分レベル判別部
(ゼロクロス検出回路)21で検出する構成としている
が、このような構成に限らず、例えば、溶接電圧誤差積
分回路20において、ピーク電流通電開始時には所定レベ
ルから下降する方向に積分を行い、ベース電流通電時に
は上昇する方向に積分を行って、この積分出力レベルが
積分開始時のレベルに一致したときに電圧積分レベル判
別部21で検出するなどの構成を採ることが可能である。
第11図は、第8図に示した本発明の溶接装置におい
て、ピーク期間制御手段1、ベース期間制御手段2、通
電切換部3及び起動制御部6をCPUで成る信号処理部9
に置き換えた場合の構成例を示したもので、信号処理部
9には処理プログラム、データなどの格納されたROM9a
と、一時的に処理データなどを記憶するRAM9bとが接続
されている。
このような構成の溶接装置では、ピーク期間制御手段
1で行われていた演算処理、積分処理及び積分レベル判
別処理をROM9aに格納されたプログラムに従って信号処
理部9で集中して行っており、また、ベース期間制御手
段2で行われていた溶接電圧誤差積分処理及びゼロクロ
ス検出処理をも同様にして信号処理部9で集中して行う
ようになっており、部品点数を削減することができると
ともに、ROM9aに格納されたプログラムを修正するだけ
で処理内容を容易に変更することが可能となり、設計が
容易で信頼性を向上させることができる。
尚、図では、ピーク電流通電期間制御手段1、通電周
期制御手段2及び起動制御部6の機能を信号処理部9で
行わせる構成としているが、これ以外の機能を信号処理
部9で集中して行わせる構成とすることも可能である。
また、上記説明では、ROM9aに格納されたプログラムに
従って信号処理部9で各部の信号処理を行う構成として
いるが、処理速度の向上を図るために、信号処理部9内
にマイクロプログラム(ハードによって構成されプログ
ラムと同等の処理を行うもの)を一体的に内蔵させて処
理する構成とすることも可能である。
[発明の効果] 請求項1に記載した本発明のパルスアーク溶接方法に
よれば、溶接平均電圧が低く溶滴離脱時に短絡が発生す
る場合や、手振れなどの要因によってアーク長が瞬間的
に変動し溶接電圧が変化したような場合でも、溶接平均
電圧を基準値に完全に一致させるようにベース電流通電
期間の制御が行われ、しかも、制御の時間遅れやハンチ
ングが生じないので、溶接平均電圧の安定度を著しく向
上させることができアーク長を安定させた溶接を行うこ
とが可能となる。また、ピーク電流、ベース電流を可変
設定することができ、しかも、設定された値に応じて1
パルス1溶滴移行のための最適なピーク電流通電期間を
自動的に制御しているので、溶接条件に応じたきめ細か
い制御を行うことができる。
請求項2に記載した本発明によれば、請求項1に記載
の溶接方法を実現できるパルスアーク溶接装置を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は請求項1に記載のパルスアーク溶接方法を実施
する溶接装置の要部構成図、第2図(a)〜(i)はそ
の各部の波形図、第3図(a)〜(d)はピーク期間制
御手段およびベース期間制御手段の制御原理を説明する
波形図、第4図は1パルス1溶滴移行に要するピーク電
流通電期間の最小値を示したグラフ、第5図は溶接電流
に対して溶滴離脱の進行状況を示した説明図、第6図
(a),(b)はピーク電流の変化による溶滴移行周期
の変化する様子を示した説明図、第7図(a),(b)
はベース電流の変化によるピーク電流通電期間の変化す
る様子を示した説明図、第8図は請求項2に記載の本発
明のパルスアーク溶接装置のブロック構成例図、第9図
(a)〜(m)はその各部の波形図、第10図はその詳細
な回路例図、第11図は本発明のパルスアーク溶接装置を
CPUを用いて構成した場合の構成例図である。 [符号の説明] 1……ピーク期間制御手段 10……演算回路 11……電流積分回路 12……電流積分レベル判別部 2……ベース期間制御手段 20……溶接電圧誤差積分回路 21……電圧積分レベル判別部 (ゼロクロス検出回路) 3……通電切換部 4……溶接電圧設定部 E……溶接電圧 Er……溶接平均電圧基準値 Ip……ピーク電流 Ib……ベース電流 M……溶接母材 tb……ベース電流通電期間 tp……ピーク電流通電期間 W……溶接ワイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−20172(JP,A) 特開 昭57−190776(JP,A) 特開 昭58−20377(JP,A) 特開 昭64−40178(JP,A) 特開 昭58−23571(JP,A) 実開 昭63−184671(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/09

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピーク電流とベース電流とを溶接ワイヤと
    溶接母材との間に交互に通電して行うパルスアーク溶接
    方法において、 ベース電流通電時には、検知したベース電流に所定の演
    算処理:IbB(ここに、Ibはベース電流値、Bは任意の正
    数)を行って、その算出値を積分し、引き続くピーク電
    流通電時には、検知したピーク電流にも所定の演算処
    理:IpA(ここに、Ipはピーク電流値、Aは任意の正数)
    を行った後に、その算出値を積分し、それらの積分値の
    和が予め定められた所定レベルに達したときに、ピーク
    電流の通電を停止させてベース電流の通電に切り換える
    一方、 ピーク電流通電開始時から検知した溶接電圧を予め定め
    られた溶接平均電圧基準値と比較して、その差分の積分
    を開始し、引き続くベース電流通電時において、この積
    分出力レベルが積分開始時のレベルと一致したときに
    は、ベース電流の通電を停止させて、ピーク電流の通電
    に切換えるようにしたこを特徴とするパルスアーク溶接
    方法。
  2. 【請求項2】ピーク電流とベース電流とを溶接ワイヤと
    溶接母材との間に交互に通電するようにしたパルスアー
    ク溶接装置において、 ピーク電流通電期間を制御するために、検知したベース
    電流に上記ベース電流通電時と上記ピーク電流通電時と
    において各々予め定められた所定の演算処理:つまり、
    ベース電流通電時には、IbB(ここに、Ibはベース電流
    値、Bは任意の正数)を算出し、ピーク電流通電時に
    は、IpA(ここに、Ipはピーク電流値、Aは任意の正
    数)を算出する演算回路と、 ベース電流通電時には、上記演算回路から出力されるベ
    ース電流について上記所定の演算処理を施した値を積分
    し、かつピーク電流通電時には、上記演算回路から出力
    されるピーク電流について上記所定の演算処理を施した
    値を積分する電流積分回路と、 上記ベース電流通電時に、上記電流積分回路によって積
    分されたベース電流に上記所定の演算処理を行って算出
    した算出値についての積分値と、上記ピーク電流通電時
    に、上記電流積分回路によって積分されたピーク電流に
    上記演算処理を行って算出した算出値についての積分値
    との和が予め定められた所定レベルに達したときにはピ
    ーク電流通電終了信号を出力するとともに上記電流積分
    回路をリセットさせる電流積分レベル判別部とを含んで
    成るピーク期間制御手段と、 溶接平均電圧が溶接平均電圧基準値と一致するようにベ
    ース電流通電期間を制御するために、上記ピーク電流通
    電開始時から上記ベース電流通電時に亘って検知した溶
    接電圧を予め定められた溶接平均電圧基準値と比較し
    て、その差分を積分する溶接電圧誤差積分回路と、該溶
    接電圧誤差積分回路の積分出力レベルが積分開始時のレ
    ベルと一致したときにベース電流通電終了信号を出力す
    る電圧積分レベル判別部とを含んで成るベース期間制御
    手段とを備えたことを特徴とするパルスアーク溶接装
    置。
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