JP2985552B2 - 消耗電極式パルスアーク溶接装置 - Google Patents

消耗電極式パルスアーク溶接装置

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JP2985552B2
JP2985552B2 JP5006219A JP621993A JP2985552B2 JP 2985552 B2 JP2985552 B2 JP 2985552B2 JP 5006219 A JP5006219 A JP 5006219A JP 621993 A JP621993 A JP 621993A JP 2985552 B2 JP2985552 B2 JP 2985552B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は消耗電極式パルスアーク
溶接装置に係り、特に条件の異なる複数箇所の溶接を行
うのに適したパルスアーク式溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、消耗電極と被溶接物との間に
アーク放電を形成し、そのアーク電流を所定周期のパル
ス電流とベース電流とを重畳させた電流値に制御してア
ーク溶接を行う消耗電極式パルスアーク溶接装置が知ら
れている。
【0003】このようなパルスアーク溶接装置において
消耗電極と被溶接物との間にパルス電流が流通する際に
は、電流によって発生する磁界と電流との相互作用によ
って、電流通路を絞り込む方向に強い電磁力が発生する
いわゆる電磁ピンチ力が発生する。そして、この電磁ピ
ンチ力がアーク放電の熱によって溶融した消耗電極の先
端部に作用すると、溶融部が絞り込まれて溶滴化し、被
溶接物側に溶滴として移行することになる。
【0004】従って、この消耗電極式パルスアーク溶接
装置において、アーク電流のピーク電流Ip及びパルス
時間幅Tp、ベース電流Ib及びベース時間幅Tbを適
当に設定すれば、パルス電流毎に消耗電極が溶滴として
被溶接物に移行させることができ、外観の美麗な溶接が
実現することが可能となる。
【0005】ところで、このような溶接装置において
は、消耗電極の送給量とその消耗量とは平衡状態にある
必要がある。例えば、消耗電極の送給量が消耗量に勝る
場合、徐々にアーク放電の長さ(以下、アーク長と称
す)が短くなり、遂には両者が短絡してスパッタを引き
起こし、また消耗電極の送給量が不足している場合は、
アーク長が伸びるに伴って所望のアーク電流が得られな
くなり、十分な溶け込みの得られない溶接となる場合が
あるからである。
【0006】このため、一般に消耗電極式パルスアーク
溶接装置には、消耗電極の送給量と消耗量とを平衡状態
に保つ機構が装備されている。このような機構として
は、アーク溶接を行う際にアーク電圧を監視し、アーク
電圧が一定の値となるようにアーク放電の平均電流Iav
をフィードバック制御する機構が知られている。アーク
電圧が消耗電極の先端と被溶接物との間の距離に応じた
値となり、また消耗電極の消耗量がアーク放電の平均電
流Iavに応じた値となることに着目したものである。
【0007】ここで、従来の消耗電極式パルスアーク溶
接装置においては、溶接開始時における条件設定で、ベ
ース電流値Ibは所望のアーク長において安定したアー
ク放電を維持し得る値に、またパルス電流値Ipはパル
ス毎に一溶滴の移行が安定して実現される値にそれぞれ
設定する構成である。
【0008】このため、消耗電極の消耗量制御のためア
ーク放電の平均電流Iavを増減する方法としては、一般
にパルス時間Tp若しくはベース時間Tb又はこれら両
者を変更して、単位時間当たりにパルス電流の占める割
合、すなわちパルス電流のデューティー比を変更する方
法が採用されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、消耗電極式
パルスアーク溶接装置で溶接を行う場合、被溶接物には
アーク電流の電磁圧力が加わることが知られている。こ
の電磁圧力はアーク力と呼ばれ、アークが消耗電極から
被溶接物に近づくにつれて大径となるに従ってピンチ力
が小さくなることにより、アーク電流内に消耗電極側か
ら被溶接物へ向けて圧力勾配が生じることに起因するも
のである。
【0010】従って、板厚の薄い被溶接物(薄板)の溶
接を行う場合は、薄板が裏側まで溶けて穴が明いてしま
うのを防止するためアーク力を小さく抑える必要があ
り、上記従来の消耗電極式パルスアーク溶接装置により
薄板の溶接を行う場合は、厚板を溶接する場合に比べて
ピーク電流値Ipを小さく設定するか、パルス電流のデ
ューティー比を低下させる必要があった。
【0011】しかし、上記従来の装置においては、アー
ク放電のピーク電流値Ipは上記したように溶接開始前
に設定される構成である。また、アーク放電はその特性
として、アーク電流が低く設定されるほど放電が不安定
となることが知られている。
【0012】このため、上記従来の装置においてアーク
電流を比較的低く設定した場合は、放電に不安定化に伴
ってアーク放電の長さ(以下、アーク長と称す)が不安
定化し、アンダカットやハンピング等の溶接ビード外観
不良やスパッタ等の不良が発生し易い状況となる。
【0013】このような理由から、従来の装置において
板厚の厚い箇所と板厚の薄い箇所が混在する被溶接物の
溶接を行う場合は、アーク電流を比較的高く設定し、パ
ルス電流のデューティ比を変化させることによりアーク
力を調整する方法が広く用いられていた。
【0014】ところが、このように板厚の薄い箇所にお
いてパルス電流のデューティ比を低下させて溶接を行う
場合は、アーク放電の平均電流Iavが所望の値を維持で
きずに、適切な量の溶滴が被溶接物側に移行できなくな
り、溶融部の肉厚不足による継ぎ手強度の低下を招くと
いう弊害を有していた。
【0015】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、適切な継ぎ手強度を確保するために要求される平
均電流に基づいて、一つのパルス電流により一つの溶滴
を移行させ得る最小限のピーク電流値Ipとパルス時間
Tpとの組み合わせを算出して、上記の課題を解決し得
る消耗電極式パルスアーク溶接装置を提供することを目
的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の目的を達
成する消耗電極式パルスアーク溶接装置の原理図を示
す。
【0017】消耗電極M1と被溶接物M2との間には、
電源M3から所望波形の電流が供給される。アーク電流
波形設定手段M4は、ピーク電流パルス時間幅算出手段
M5により算出されたアーク電流のピーク電流及びパル
ス時間幅に基づいて、電源M3に供給すべきアーク電流
の波形を設定する。
【0018】ピーク電流パルス時間幅算出手段M5は、
被溶接物M2の適切な継ぎ手強度を確保すべく平均電流
設定手段M6により設定された平均電流を実現し、かつ
アーク放電の一パルス毎に一の溶滴を消耗電極M1から
被溶接物M2へ移行させ得る必要最小限の前記ピーク電
流値Ipと前記パルス時間Tpとの組み合わせを算出す
る。
【0019】
【作用】本発明に係る消耗電極式パルスアーク溶接装置
において、平均電流設定手段M6は、被溶接物M2の溶
接箇所毎に、良好な外観と適切な継ぎ手強度を確保し得
るアーク放電の平均電流をピーク電流パルス時間幅算出
手段M5に指示する。ピーク電流パルス時間幅算出手段
M5は、被溶接物M2の溶接箇所毎に指示された平均電
流に基づいて、一パルス毎に一の溶滴を移行させ得る必
要最小限のピーク電流とパルス時間とを算出する。
【0020】従って、消耗電極M1と被溶接物M2との
間には常に、溶接箇所毎に要求される平均電流に対応し
た適切なパルス電流を伴うアーク放電が形成され、被溶
接物M2の板厚等が変化した場合も良好な外観と適切な
継ぎ手強度を有する溶接が実行される。
【0021】
【実施例】図2は、本発明に係る消耗電極式パルスアー
ク溶接装置の一実施例の構成を表すブロック図を示す。
同図中、符号1は一次側入力の整流回路を示す。この整
流回路1の出力端子は平滑回路2に接続され、次いで、
インバータ回路3に接続される。インバータ回路3は、
後述の電流波形指令部21の出力信号に基づいて、所望
の電流を発生する回路である。
【0022】また、インバータ回路3の出力端子は高周
波トランス4と接続されている。トランス4は整流回路
5に接続され、整流回路5の出力端子のうち正極は、リ
アクトル6を有するパワーケーブル8を介してコンタク
トチップ10に、また整流回路5の負極はシャント7を
有するパワーケーブル9を介して被溶接物11に接続さ
れている。
【0023】コンタクトチップ10には、その中心軸に
沿って、ワイヤリール12から供給されるワイヤ13が
挿入されている。このワイヤ13は溶接トーチ10内で
パワーケーブル8と電気的に導通しており、パワーケー
ブル8を介して必要な電力の供給を受けている。
【0024】またワイヤ13は本実施例装置でアーク溶
接を行う際の消耗電極に相当し、1対のローラからなる
ワイヤ供給ローラ14により所定の速度で送給される。
尚、ワイヤ供給ローラ14には、モータ制御部15の出
力端子が接続されており、ワイヤ13の送給速度は、モ
ータ制御部15の指令値により定められる。
【0025】以上の構成は、公知の消耗電極式パルスア
ーク溶接装置において広く用いられている構成である。
以下、簡単にその動作について説明する。
【0026】本実施例の消耗電極式パルスアーク溶接装
置の一次側に供給された3相交流は、整流回路1で整流
され、次いで平滑回路2で平滑された後直流電源として
インバータ回路3に供給される。インバータ回路3は、
後述の電流波形指令部21から供給される駆動信号に基
づいて所望の周期の信号を出力する。そして、インバー
タ回路3から出力された電流は高周波トランス4で変圧
され、整流回路5で整流されることにより直流のベース
電流と所望のパルス電流とが重畳した状態となり、ワイ
ヤ13及びワーク11に供給される。
【0027】従って、ワイヤ13と被溶接物11との間
には、所望周期でパルス電流が繰り返されるアーク放電
が形成される。ところで、本実施例装置においてワイヤ
13と被溶接物11との間に上記のアーク放電が形成さ
れると、ワイヤ13の先端部はアーク放電の熱により加
熱されて溶融状態となる。そして、その溶融が進行する
と共にアーク電流のピンチ力が作用してワイヤ13先端
部が溶滴化し、被溶接物11上に移行する。モータ制御
回路15は、ワイヤ供給モータ14を所定の速度で回転
させて、この溶滴移行によるワイヤ13の消耗分の補給
を行う。
【0028】尚、本実施例装置においては、ワイヤ13
と被溶接物11との間に形成されるアーク放電の電流・
電圧値はフィードバック制御されており、これにより安
定したアーク長の維持を可能ならしめている。以下、本
実施例装置のフィードバック系について説明する。
【0029】図3中、符号16は電圧検出器を示す。電
圧検出器16はパワーケーブル8,9間の電位差を検出
して、その検出値を電圧比較器17に供給している。電
圧比較器17には、上記の電圧検出器16の他、パワー
ケーブル8,9間に発生すべき所定の電圧値を設定する
平均電圧設定部18の出力端子が接続されている。
【0030】尚、パワーケーブル8,9間に発生すべき
電圧の設定に際して、平均電圧設定部18を用いている
のは、ワイヤ13の溶滴移行前後では必ずアーク長が変
動し、電圧検出器16で検出される実測電圧値が厳密に
は一定の値とならないため、実測電圧値と設定電圧値と
は平均電圧で比較する必要があるからである。
【0031】ここでパワーケーブル8,9間に発生する
電位差は、ワイヤ13の先端と被溶接物11との間に生
じるアーク電圧であり、その値はワイヤ13の先端と被
溶接物11との間隔に応じた値を示す。従って、この電
位差を一定に保持することができれば、アーク長をほぼ
一定の長さに保持できることになる。
【0032】そこで、電圧比較器17における実測電圧
値と設定電圧値との比較結果を、ベース電流を流すべき
時間(ベース時間幅Tb)を演算するベース時間幅設定
部19に供給し、実測電圧値が設定電圧値付近に維持さ
れるようにベース時間幅Tbを設定する構成としてい
る。
【0033】また、パワーケーブル9のシャント7に
は、電流検出器20が接続されている。この電流検出器
20は、ワイヤ13から被溶接物11へ放電されている
電流、すなわちアーク電流を検出しており、その検出値
を電流波形指令部21に出力する。
【0034】電流波形指令部21は、上記ベース時間幅
設定部19で設定されたベース時間幅Tbと、ピーク電
流パルス時間幅設定部22で設定されたピーク電流Ip
及びパルス時間幅Tpと、ベース電流設定部23で設定
されたベース電流Ib0 とで定まるアーク電流波形と、
電流検出器20から供給される実測の電流値とを比較す
る。そして、電流検出器20で検出される実測の電流値
がベース時間幅設定部19,ピーク電流パルス時間幅設
定部22,ベース電流設定部23で設定された電流に沿
うようにインバータ回路3を駆動する。
【0035】つまり、例えばワイヤ13の先端が被溶接
物11に近すぎる場合は実測電圧値が設定電圧値より低
く検出され、ベース時間幅設定部19においてベース時
間幅Tbが狭められる。この結果、電流波形指令部21
における指令電流の平均値が増加してワイヤ13の消耗
が促進されることとなり、アーク長が伸びる方向に制御
される。また、逆にアーク長が長すぎる場合はベース時
間幅Tbが広げられ、指令電流の平均値が減少し、アー
ク長が縮む方向に制御されることとなる。
【0036】尚、ベース電流設定部23で設定されるベ
ース電流Ib0 は、アーク放電を維持するために最低限
必要な電流として設定された値であり、ワイヤ13の材
質やシールドガスとの関係から決定される固定値であ
る。
【0037】ところで、ピーク電流Ip及びパルス時間
幅Tpは、アーク放電が適切なピンチ力を発揮してパル
ス毎に一溶滴がワイヤ13から被溶接物11へ移行する
ような値に設定する必要があり、従来の装置においては
溶接開始前に適切な値に設定していた。
【0038】一方、パルスアーク溶接装置で薄板の溶接
を行う場合は、アーク力により薄板が裏側まで溶けて穴
が明いてしまうのを防止する必要があり、厚板を溶接す
る場合に比べてピーク電流Ipを小さく設定するか、パ
ルス電流のデューティー比を低下させる必要がある。こ
のため、従来の装置で厚板部と薄板部とが混在する被溶
接物11を溶接する場合は、例えばベース時間幅Tbを
広げてパルス電流のデューティ比を低下させることによ
りアーク力を低下させる方法が採られていた。
【0039】しかし、このように薄板部において単位時
間当たりのパルス数を減少させる手段を採った場合は、
当然にアーク放電の平均電流Iavが低下し、ワイヤ13
の溶融不足による肉厚不足が生じ、継ぎ手強度が低下す
ることになる。
【0040】そこで、本実施例においては、前記した平
均電流算出手段に相当するワイヤ送給速度設定部24で
設定された平均電流Iavに基づいて、平均電流Iavを維
持しながら適切なアーク力を実現し得るピーク電流Ip
及びパルス時間幅Tpを算出するピーク電流パルス時間
幅算出部25を設けた。
【0041】ここで、平均電流算出手段をワイヤ送給速
度設定部24で構成しているのは、平均電流Iavはワイ
ヤ13の消費速度を決定するパラメータであり、アーク
長を一定に維持するためには、平均電流Iavをワイヤの
送給速度と同期させる必要があるからである。
【0042】このピーク電流パルス時間幅算出部25
は、前記したパルス電流算出手段に相当し、後述のよう
に必要最小限のピーク電流Ipと、そのピーク電流Ip
で所望の一パルス一つの溶滴移行を確保し得るパルス時
間幅Tpとを算出するブロックである。つまり、本実施
例によれば、ピーク電流Ipは被溶接物11を良好に溶
接し得る値として予め設定された平均電流Iavを、常に
必要最小限のピーク電流Ipで、しかも一パルス一つの
溶滴移行を確保しつつ確保することができ、良好な外観
と所望の継ぎ手強度を両立した溶接を実行することがで
きる。
【0043】ところで、パルスアーク溶接装置において
は、上記したようにパルス電流毎に一溶滴がワイヤ13
から被溶接物11に移行するようにアーク電流波形を設
定する必要がある。このため、従来の装置においては図
3(A)に示すようにパルス毎に一溶滴が移行するよう
にアーク電流波形が設定されていた。
【0044】しかし、本実施例装置におけるピーク電流
Ipは、原則として所望の平均電流Iavを確保し得る必
要最小限の値に設定される構成である。この場合におい
て、仮に何らの拘束もなければ、ベース時間幅Tbをで
きる限り狭めてパルス時間幅Tpを広げるほど、ピーク
電流Ipを下げることが可能となる。ところが、ベース
時間幅Tbが不当に狭められると、図3(B)に示すよ
うに溶滴の移行がベース時間幅Tb中に行われない事態
が生じる。
【0045】そこで、本実施例装置においては図2に示
すように、確実に溶滴移行を行い得る最小ベース時間幅
Tb0 を設定する最小ベース時間幅設定部26を設け、
ベース時間幅Tbを最小ベース時間幅Tb0 に設定して
いる。このため、平均電流Iavの大きさに関わらず、常
に最小限ベース時間幅Tb0 が確保できることとなり、
従来の装置と異なり比較的平均電流Iavが大きい領域に
おいても、一パルス一溶滴を確実に維持することができ
る。
【0046】一方、平均電流Iavが比較的小さい場合、
従来の装置では例えば図4(A)に示すようにベース時
間幅Tbを広げて単位時間当たりのパルス電流の数を減
らし、かつパルス毎に一溶滴の移行を確保している。と
ころが、本実施例装置においては上記したようにベース
時間幅Tbは、最小ベース時間幅Tb0 に固定されてお
り、そのTb0 に対して必要最小限のピーク電流Ipが
設定される構成である。
【0047】この場合に、なんらの拘束もないとすれ
ば、パルス時間幅Tpを広くするほどピーク電流Ipの
値を低く設定できることになる。しかし、パルス時間幅
Tpを不当に広げてピーク電流Ipを低下させた場合、
パルス電流時において溶滴を絞り取るのに十分なピンチ
力が発生せず、図4(B)に示すように一パルス一溶滴
が維持できない事態が発生する。
【0048】そこで、本実施例装置においては、図2に
示すように、ピーク電流Ipが所望のピンチ力を発揮で
きる値(臨界ピーク電流Ipcr )を設定する臨界ピーク
電流Ipcr 設定部27を設け、ピーク電流Ipが臨界ピ
ーク電流Ipcr を下回ることがないようにしている。そ
して、平均電流Iavが所定の値より小さい領域では、ピ
ーク電流Ipを臨界ピーク電流Ipcr に固定し、これに
対応して一パルス一つの溶滴移行となるパルス時間幅T
pを設定し、かつベース時間幅Tbを調整することによ
り所望の平均電流Iavを確保することとしている。
【0049】以下、図5〜図8を参照して、かかる構成
の消耗電極式パルスアーク溶接装置におけるピーク電流
パルス時間幅算出部25の動作について説明する。
【0050】図5は、ピーク電流パルス時間幅算出部2
5が、ベース時間幅設定部19に対して、及びピーク電
流パルス時間幅設定部22に対して適切なベース時間幅
Tb,ピーク電流Ip,パルス時間幅Tpの算出値を出
力するために実行するルーチン処理のフローチャートを
示す。
【0051】本ルーチンが起動すると、まずステップ1
01において所望の平均電流Iav,最小ベース時間幅T
0 ,臨界ピーク電流Ipcr を、それぞれワイヤ送給速
度設定部24,最小ベース時間幅設定部26,臨界ピー
ク電流設定部27から読み込み、ステップ102へ進
む。
【0052】ステップ102では、読み込んだ平均電流
Iavを実現し得る必要最小限のピーク電流Ip及びその
Ipに対応するパルス時間Tpを算出する。以下、この
算出方法を詳細に説明する。
【0053】図6は、ピーク電流パルス時間幅算出部2
5で算出すべきアーク電流波形を示している。同図にお
ける平均電流Iavは、以下の式で表すことができる。
【0054】 Iav=k・f(Ip・Tp+Ib0 ・Tb0 ) ・・・(1) 尚、式中kは定数、fはパルス周波数を示す。また、ベ
ース電流Ib0 は上記したようにアーク放電を維持する
ために必要な最小限の電流であり、本実施例装置におい
ては50Aとしている。また、最小ベース時間幅Tb0
は、ワイヤ13の材質等で決まる値であり、本実施例装
置において例えば外径1.2mmの鋼ワイヤを使用した場
合は、0.5msec程度に設定している。
【0055】ところで、一パルス一溶滴が円滑に実行さ
れるためには、ピーク電流Ipとパルス時間幅Tpとの
間には、以下に示す関係が要求されることが知られてい
る。
【0056】 Ipa ・Tp=const ・・・(2) ここで、指数aは実験的に求められた値で、1.5〜
2.0程度の値となり、図7に、この(2)式の関係を
示す。
【0057】一方、周波数fは、その定義から以下のよ
うに表すことができる。 f=1/(Tp+Tb0 ) ・・・(3) 従って、上記(1)式、(2)式、(3)式に、ワイヤ
送給速度設定部24から供給される平均電流Iavを与え
れば、ピーク電流Ip、パルス時間幅Tp及び周波数f
が算出されることになる。
【0058】図5中、ステップ102においてこのよう
な演算を行いピーク電流Ip及びパルス幅Tpを算出し
たら、ステップ103へ進み算出したピーク電流Ipが
臨界ピーク電流Ipcr 以上であるか否かを判別する。こ
こで、仮にIp<Ipcr であると判別された場合は、I
pをその値で設定すると上記したようにピンチ力不足に
より一パルス一溶滴が維持できないことになる。
【0059】そこで、ステップ103においてIp<I
pcr であると判別された場合はステップ104へ進み、
ピーク電流Ipを臨界ピーク電流Ipcr に設定する。そ
して、続くステップ105においてIpcr に設定された
ピーク電流Ipに対して上記(1)〜(3)式を満足さ
せるパルス時間幅Tp、及びベース時間幅Tb0 を算出
してステップ106へ進む。
【0060】つまり、ステップ103でIp<Ipcr と
判別される程度に要求される平均電流Iavが小さい場合
は、ピーク電流IpをIpcr に固定すると共に、パルス
時間幅Tpを、ピーク電流Ip=Ipcr に対して上記図
7の関係を満たす値に固定し、ベース時間幅Tb0 を調
整することにより所望の平均電流Iavを確保する構成で
ある。
【0061】一方、上記ステップ103においてIp≧
Ipcr と判別された場合は、ステップ102において算
出されたピーク電流及びパルス時間Tpを用いて一パル
ス一溶滴が実現できるため、その後何らの処理も行わず
ステップ106へ進む。
【0062】そして、ステップ106において、算出さ
れたピーク電流Ip及びパルス時間幅Tpをピーク電流
パルス時間幅設定部22に出力し、読み込んだ最小ベー
ス時間幅Tb0 をベース時間幅設定部19へ出力して今
回の処理を終了する。
【0063】尚、図8は、上記図5に示すルーチン処理
において平均電流Iavに基づいて、ピーク電流Ip及び
パルス時間幅Tpを求める関数をグラフ化したものであ
る。同図において第1象限は、上記図7に示すピーク電
流Ipとパルス時間幅Tpとの関係を表すグラフを示
し、また、第2象限はピーク電流Ipと平均電流Iavと
の関係を示している。
【0064】すなわち、図8において平均電流IavをI
av1 として指令した場合、第2象限に示す関係からピー
ク電流IpがIp1 となることが判る。そして、第1象
限に示す関係をそのピーク電流の値Ip1 で参照する
と、一パルス一溶滴が実現されるパルス時間幅Tpの値
がTp1 であることが判る。また、図8は平均電流Iav
の指令値がIav0 より小さい場合は、ピーク電流Ipが
Ipcr に固定されることをも示している(第2象限に示
す関係)。
【0065】このように本実施例装置によれば、ワイヤ
送給速度設定部24から供給される平均電流Iavを表す
信号、最小ベース時間幅Tb0 及び臨界ピーク電流Ipc
r に基づいて、必要最小限のピーク電流Ipにより常に
一パルス一溶滴を維持し得るアーク電流波形を算出する
ことができる。
【0066】このため、被溶接物11の板厚等が溶接途
中で変化する場合にも、その板厚変化のデータを予め設
定しておくことにより、常に最適な溶接条件を維持して
溶接を実行することが可能となり、薄板部においても良
好な外観と適切な継ぎ手強度を確保することが可能とな
る。
【0067】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、被溶接物の
溶接箇所毎に適切な溶接が実行されるべく設定された平
均電流が維持されると共に、アーク放電のピーク電流が
必要最小限の値に設定される。このため、被溶接物の板
厚が薄い箇所においては所望の平均電流を維持したまま
アーク力が適切な値に抑制され、従来の装置と異なり溶
接の外観不良や継ぎ手強度不良が発生することはない。
このように、本発明に係る消耗電極式パルスアーク溶接
装置は、条件の異なる複数箇所において安定した溶接品
質を維持できるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る消耗電極式パルスアーク式溶接装
置の原理図である。
【図2】本発明に係る消耗電極式パルスアーク式溶接装
置の一実施例の構成を表すブロック図である。
【図3】本実施例装置において最小ベース時間幅Tb0
を設定する必要性を説明するための図である。
【図4】本実施例装置において臨界ピーク電流Ipcr を
設定する必要性を説明するための図である。
【図5】本実施例装置のピーク電流パルス時間幅算出部
において実行される処理のフローチャートである。
【図6】パルスアーク溶接装置におけるアーク電流波形
を表す図である。
【図7】本実施例装置において一パルス一溶滴を実現し
得るピーク電流Ipとパルス時間Tpとの関係を表すグ
ラフである。
【図8】本実施例装置において所望の平均電流を実現
し、かつ一パルス一溶滴を実現し得る必要最小限のピー
ク電流と、パルス時間Tpとを求める関数を図表化した
グラフである。
【符号の説明】
M1 消耗電極 M2,11 被溶接物 M3 電源 M4 アーク電流波形設定手段 M5 ピーク電流パルス時間幅算出手段 M6 平均電流設定手段 1 整流回路 2 平滑回路 3 インバータ回路 4 高周波トランス 5 整流回路 13 ワイヤ 19 ベース電流時間幅設定部 21 電流波形指令部 22 ピーク電流パルス時間幅設定部 23 ベース電流設定部 24 ワイヤ送給速度設定部 25 ピーク電流パルス時間幅算出部 26 最小時間幅設定部 27 臨界ピーク電流設定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/09 B23K 9/095 B23K 9/173

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の速度で送給される消耗電極と被溶
    接物との間に所定周期のパルス電流と直流特性のベース
    電流とが重畳してなるアーク放電を形成し、該アーク放
    電の熱により溶融した前記消耗電極の先端部を、前記消
    耗電極の送給速度と同期した消耗速度で前記被溶接物へ
    溶滴として移行させることにより溶接を行う消耗電極式
    パルスアーク溶接装置において、 適切な継ぎ手強度が確保されるべく、被溶接物の溶接箇
    所毎に設定されたアーク電流の平均電流に基づいて、
    ーク放電の一パルス毎に一つの溶滴を消耗電極から被溶
    接物へと移行させ得る必要最小限の前記ピーク電流値I
    pと前記パルス時間Tpとの組み合わせを算出するピー
    ク電流パルス時間幅算出手段を備えることを特徴とする
    消耗電極式パルスアーク溶接装置。
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