JP3048329U - 組立式浴槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な作業で分解できるだけでなく、水密性
や耐久性に富み、簡潔な構成でコスト安に製作できる組
立式浴槽を提供する。 【解決手段】 前後２つの浴槽片２，３に分解可能な移
動用の浴槽１であって、各浴槽片２，３の接続部に形成
されたフランジ４，５と、両フランジ４，５の接合部に
位置するシール部材６とを有し、かつ、前記フランジ
４，５上の３ヵ所以上の位置において、一方のフランジ
４から突設したＬ字状の折曲部１３ａを有する鉤型部材
１３と、他方のフランジ５の前記鉤型部材１３に対応す
る位置に開設した取付孔１４と、同フランジ５に回動自
在に設けられた操作レバー１５ａおよびカム１５ｂから
なる締付け治具１５とを設け、前記カム１５ｂが取付孔
１４を貫通した鉤型部材１３の折曲部１３ａに嵌合する
ことにより両フランジ４，５を強圧する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は介護を要する人のための組立式浴槽に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、寝たきり老人や病人など介護を要する人を入浴させる場合、介護者が被 介護者をベッドから浴室まで担いでいかなければならなかった。

【０００３】 このような煩わしさを解消するために、移動浴用車による入浴サービスがおこ なわれるようになった。この場合、浴槽を移動浴用車に搭載して訪問先でその浴 槽を室内に搬入し、ホースを介してその移動浴用車から浴槽内に温湯を供給する ようにしていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、浴槽を移動浴用車から室内まで搬入するのは容易なことではな く、かつ入浴終了後に室内から移動浴用車まで浴槽を搬出するのも同様に容易な ことではなかった。

【０００５】 特に、大きな浴槽をそのまま積載できるような移動浴用車は大型の車にならざ るを得ず、大型の車は細い道を通ることができなかった。その結果、小路地に面 する家に浴槽を運ぶ場合には、車を通りに置いた状態で介護者が大きな浴槽を車 から家まで運搬する必要があり、この搬出搬入作業は極めて煩わしかった。さら に、大型の移動浴用車は高価であるだけでなく、燃料費も高くつくことはさけら れなかった。

【０００６】 これに対して、浴槽を折り畳み自在に設けた場合には、コンパクトに折り畳む ことができる反面、耐久性が低下することや安定性が悪くなることは避けられな かった。加えて、浴槽を二つに分離する場合には水漏れの問題を解決するのが難 しく、たとえ解決できたとしても、水密性を保つには組み立て作業に多大の時間 と手間をかける必要があった。さらに、水密性を確保した分離可能な浴槽は、製 造にコストがかかり、高価にならざるを得なかった。

【０００７】 本考案はこのような実情を考慮に入れてなされたものであって、簡単な作業で 分解できるだけでなく、水密性や耐久性に富み、簡潔な構成でコスト安に製作で きる組立式浴槽を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の組立式浴槽は、上述の課題を解決するために、各浴槽片の接続部に形 成されたフランジと、両フランジの接合部に位置するシール部材とを有し、かつ 、前記フランジ上の３ヵ所以上の位置において、一方のフランジから突設したＬ 字状の折曲部を有する鉤型部材と、他方のフランジの前記鉤型部材に対応する位 置に開設した取付孔と、同フランジに回動自在に設けられた操作レバーおよびカ ムからなる締付け治具とを設け、前記カムが取付孔を貫通した鉤型部材の折曲部 に嵌合することにより両フランジを強圧することを特徴としている。

【０００９】 前記締付け治具によるフランジ同士の強圧は操作レバーの回動操作によって行 われるので、介護者は浴槽を接続または分離する作業を極めて容易に、かつ、迅 速に行うことができる。また、介護者は操作レバーをできるところまで回動する ことにより、最も力を加えた状態で両浴槽を接続できるので、シール部材は両フ ランジの間で最大限に変形して水漏れの発生を効果的に防止する。さらに、一方 のフランジに固定的に突設した３個以上の鉤型部材が、他方のフランジに開設し た対応する取付孔に嵌入されることにより、フランジ同士の接合位置を確定する ことができ、両浴槽片をより正確かつ安定して接続することができる。

【００１０】 また、前記浴槽片のそれぞれに３点以上の接地部を有する脚を設けてもよい。 この場合、本考案の組立式浴槽の分離作業や接続作業を行うときに、各浴槽片を それぞれ安定して載置できるので、この分離接続作業を容易に行うことができる 。さらに、各浴槽片がそれぞれ安定しているので接続後に各浴槽片の接続部分に 不要な力が加わることがなく、接続部分の歪みによる水漏れや破損の発生を防止 できる。

【００１１】 これに加えて、一方の浴槽片の脚を傾倒自在に設けた場合には、一方の浴槽片 を他方の浴槽片に重ねて載せることができ、浴槽の運搬作業を簡略化できる。ま た、浴槽片を重ねた状態では組立式浴槽の占領体積をより小さくできるので、こ の浴槽をより小型の車に搭載できる。

【００１２】 前記シール部材がフランジとほぼ同じ平面形状で、前記取付孔に相当する位置 に貫通孔を有する板体と、この板体の内側端部を覆うように取り付けられた断面 ほぼＵ字状の弾性体とからなる場合には、フランジの形状に合わせたシール部材 を容易にフランジに重ねて取り付けることができる。また、フランジに加工を施 すことなく水漏れを確実に防止できるので、水密性をコスト安に確保できる。さ らに、弾性体が劣化した場合にはこの弾性体だけを板体から外して取り替えるこ とも容易に行える。

【００１３】

【考案の実施の形態】

以下に本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 図１は本考案の組立式浴槽１の実施例を示す縦断面である。この組立式浴槽１ は図２および図３に示すように、前後２つの浴槽片２，３に分離可能であり、各 浴槽片２，３の接続部にはそれぞれフランジ４，５を形成し、両フランジ４，５ がシール部材６を挟んで重ね合うように接続することにより、両浴槽片２，３を 接続して一体化し、組立式浴槽１を形成することができる。

【００１４】 各浴槽片２，３はそれぞれ４点で接地する脚７，８を有しており、その分離状 態においても各々が安定して載置できるようにしている。なお、本例では各浴槽 片２，３を４点の接地部を有する脚７，８によって支える例を示しているが、本 考案はこれに限られるものではなく、少なくとも３点以上の接地部を有する脚で あれば、どのようなものを設けてもよい。

【００１５】 ９は浴槽片２のそれぞれの排水口２ａ，２ｂと連通する配水管、１０は浴槽片 ３の排水口３ａと連通するホース、１１は両配水管９，１０をワンタッチの操作 によって接続する簡易接続部である。したがって、両浴槽片２，３を接続すると きや分離するときは前記簡易接続部１１を着脱することにより排水の配管を完了 するすることができる。

【００１６】 また、１２は両フランジ４，５上の４点に設けた締付け機構である。なお、こ の締付け機構１２はフランジ４，５上の４点に設けることに限るものではなく、 フランジ４，５上の３点以上の位置に設けてもよい。

【００１７】 図４は前記フランジ４，５同士の接続部および前記シール部材６の形状を拡大 して示す斜視図である。図に示すように、シール部材６は、平面形状がフランジ ４，５の平面形状とほぼ同じである板体６ａと、この板体１６の内側端部を覆う ように取り付けられた断面ほぼＵ字状の弾性体６ｂとからなる。

【００１８】 また、１３は一方のフランジ４に固定的に突設したＬ字状の折曲部１３ａを有 する鉤型部材、１４は他方のフランジ５の前記鉤型部材１３に対応する位置に開 設した取付孔、１５は同フランジ５に回動自在に設けられた操作レバー１５ａお よびカム１５ｂからなる締付け治具である。

【００１９】 一方、前記板体６ａ上の取付け孔１４に対応する位置には、貫通孔６ｃを設け ている。したがって、この貫通孔６ｃに前記鉤型部材１３が入るように位置をあ わせてシール部材６をフランジ４に沿わせることにより、シール部材６の弾性体 ６ｂをフランジ４の内側端部に沿うように極めて容易に配置できる。

【００２０】 シール部材６を上述のように構成することにより、フランジ４，５に対して水 密性を向上するためのパッキンを埋設する必要がなく、加工が容易になるので、 それだけ製造コストを削減することができる。また、前記弾性体６ｂが劣化した 場合はこれを板体６ａから取り外して新しい弾性体６ｂに取り替えることにより 、組立式浴槽１の水密性を保つことができる。

【００２１】 そして、前記シール部材６を取り付けた状態で前記鉤型部材１３がフランジ５ の取付孔１４に貫通するように位置を合わせてフランジ５をフランジ４に沿わせ ることにより、フランジ４に対するフランジ５の位置決めを行うことができる。 さらに、本例では上二つの鉤型部材１３の折曲部１３ａが下方向に向いており、 下二つの鉤型部材１３の折曲部１３ａが互いに反対の横方向に向いているので、 フランジ４に対するシール部材６およびフランジ５の位置決めをより確実に行う ことができる。

【００２２】 加えて、本考案の組立式浴槽１は、各浴槽片２，３のそれぞれに安定して接地 できる脚７，８を備えているので、その接続時や分解時には、図２，３に図示し ているように、各浴槽片２，３を載置した状態で作業をおこなうことができ、極 めて扱いやすい。

【００２３】 図５は、前記締付け機構１２の構成を示す拡大斜視図である。前記フランジ４ ，５は金属板４ａ，５ａによって強化されており、この金属板５ａに締付け治具 １５を回動自在に支持すると共に、金属板４ａに対して鉤型部材１３を固定して いる。カム１５ｂの形状は締付け治具１５の軸芯１５ｃを中心に円弧を描き、操 作レバー１５ａを矢印Ｘの方向に回動したときに、カム１５ｂの高さが徐々に高 くなるように傾斜部を形成している。

【００２４】 したがって、前記鉤型部材１３が取付孔１４を貫通するようにした状態で、前 記操作レバー１５ａを矢印Ｘの方向に回動することにより、カム１５ｂが折曲部 １３ａとフランジ５との間に入って、その間隔を徐々に広くするように力を加え ることができる。すなわち、操作レバー１５ａの締付けにより、フランジ４とフ ランジ５を強圧することができ、間に挟んでいるシール部材６を十分の力で圧縮 できる。逆に、操作レバー１５ａを矢印Ｘと逆の方向に回動することにより、フ ランジ４，５の接続を解除することも可能となる。

【００２５】 上述のように、本考案の組立式浴槽１の組み立ておよび分解作業は操作レバー １５ａの操作は極めて簡潔な回動操作で行うことができ、その組み立ておよび分 解作業を容易かつ迅速に行うことができる。しかも、前記操作レバー１５ａの回 動によって加えられる力の大きさは操作レバー１５ａの長さに比例して大きくし たり、カム１５ｂの傾斜を緩やかにすることにより大きくすることができる。

【００２６】 したがって、操作レバー１５ａを回動する簡単な操作でありながら十分の力で 両フランジ４，５を強圧できる。加えて、組立式浴槽１の組付時に操作レバー１ ５ａをできる所まで締めつけることにより、前記弾性体６ｂを最大限に変形させ た状態で保持できるので、浴槽片２，３の間からの水漏れなどの心配を可及的に 抑えることができる。

【００２７】 なお、上述した締付け治具１５による締付け機構１２に替えて、クランプによ る取付けを行う方法も考えられるが、この場合フランジは最大限に締めつけられ た時点を越えて、少し緩んだ状態で安定するので、本例に比べて水密性の点で劣 ってしまう。つまり、本考案の組立式浴槽１は回動自在に設けられた操作レバー １５ａとカム１５ｂによる締付けを行なうことにより、これらの問題を解決する ことができる。

【００２８】 さらに、本考案の組立式浴槽１は各浴槽片２，３がそれぞれ３点以上の接地部 を有する脚７，８を持っているので、両方の浴槽片２，３を組み付けた状態でも 前記脚７，８が安定的に接地できる。したがって、組付後の組立式浴槽１に水を 張ったり被介護者を入れても、上述のフランジ４，５同士の接続部分に大きなス トレスが生じなくなる。したがって、このような歪みの力に起因する水漏れなど が生じることがない。つまり、分解可能であるにもかかわらず、組立式浴槽１を より安定したものとすることができる。

【００２９】 図６は一方の浴槽片３の脚８の構成を示す拡大斜視図である。この図に示すよ うに、脚８は、固定的に設けた固定脚８ａと、回動可能に保持された可動脚８ｂ と、この可動脚８ｂに回動自在に連結されるとともに固定脚８ａに摺動可能に連 結される連結部８ｃとからなっている。

【００３０】 したがって、この脚８は実線に示すように可動脚８ｂを立てた状態と、２点鎖 線に示すように可動脚８を傾倒した状態をとることができ、この可動脚８ｂを傾 倒させた状態で、図７に示すように、浴槽片３を浴槽片２の上に搭載することが できる。

【００３１】 このように浴槽片２，３を重ね合わせることにより、組立式浴槽１をよりコン パクトに収納でき、その占領体積を小さくできる。つまり、それだけ運搬作業も 行いやすく、移動浴用車も小型にすることができる。また、移動浴用車を小型に する事ができれば、それだけ介護者が被介護者の家の近くまで移動浴用車を乗り 入れることができ、組立式浴槽１を運ぶ労力を少なくすることができる。

【００３２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の組立式浴槽によれば、フランジ同士の強圧を操 作レバーの回動操作によって行うことができ、介護者が浴槽を接続または分離す る作業を容易かつ迅速に行うことができる。また、介護者は操作レバーをできる ところまで回動することにより、最も力を加えた状態で両浴槽を接続でき、シー ル部材を最大限に変形させることで水漏れの発生を防止できる。

【００３３】 また、前記浴槽片のそれぞれに３点以上の接地部を有する脚を設けてた場合に は、本考案の組立式浴槽の分離作業や接続作業を行うときに、各浴槽片をそれぞ れ安定して載置できるので、この分離接続作業を容易に行える。さらに、接続後 に接続部分に不要な力を加えることがなく、フランジ部分の歪みによる水漏れの 発生を防止できる。

【００３４】 これに加えて、一方の浴槽片の脚を傾倒自在に設けた場合には、一方の浴槽片 を他方の浴槽片に重ねて載せることができ、浴槽の運搬作業を簡略化できる。ま た、浴槽片を重ねた状態では組立式浴槽の占領体積をより小さくできるので、よ り小型の車にも搭載できる。

【００３５】 前記シール部材がフランジとほぼ同じ平面形状で、前記取付孔に相当する位置 に貫通孔を有する板体と、この板体の内側端部を覆うように取り付けられた断面 ほぼＵ字状の弾性体とからなる場合には、フランジの形状に合わせたシール部材 を容易にフランジに重ねて取り付けられるだけでなく、フランジの形状に合わせ たシール部材を安価にて製造することができる。さらに、弾性体が劣化した場合 にはこの弾性体だけを取り替えることも容易にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の組立式浴槽の一実施例を示す縦断面図
である。

【図２】前記組立式浴槽を分解した状態を示す側面図で
ある。

【図３】前記組立式浴槽を分解した状態を示す平面図で
ある。

【図４】前記組立式浴槽を分解した状態の接続部分の拡
大斜視図である。

【図５】前記接続部分の締付け機構を示す斜視図であ
る。

【図６】前記組立式浴槽の脚の構成を示す斜視図であ
る。

【図７】前記組立式浴槽を分解して重ね合わせる方法を
示した説明図である。

【符号の説明】

１…組立式浴槽、２，３…浴槽片、４，５…フランジ、
６…シール部材、６ａ…板体、６ｂ…弾性体、６ｃ…貫
通孔、７，８…脚、１３…鉤型部材、１３ａ…折曲部、
１４…取付孔、１５…締付け治具、１５ａ…操作レバ
ー、１５ｂ…カム。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後２つの浴槽片に分解可能な移動用の
   浴槽であって、各浴槽片の接続部に形成されたフランジ
   と、両フランジの接合部に位置するシール部材とを有
   し、かつ、前記フランジ上の３ヵ所以上の位置におい
   て、一方のフランジから突設したＬ字状の折曲部を有す
   る鉤型部材と、他方のフランジの前記鉤型部材に対応す
   る位置に開設した取付孔と、同フランジに回動自在に設
   けられた操作レバーおよびカムからなる締付け治具とを
   設け、前記カムが取付孔を貫通した鉤型部材の折曲部に
   嵌合することにより両フランジを強圧することを特徴と
   する組立式浴槽。
2. 【請求項２】 前記浴槽片のそれぞれに３点以上の接地
   部を有する脚を設けた請求項１に記載の組立式浴槽。
3. 【請求項３】 一方の浴槽片の脚を傾倒自在に設けた請
   求項２に記載の組立式浴槽。
4. 【請求項４】 前記シール部材がフランジとほぼ同じ平
   面形状で、前記取付孔に相当する位置に貫通孔を有する
   板体と、この板体の内側端部を覆うように取り付けられ
   た断面ほぼＵ字状の弾性体とからなる請求項１〜３の何
   れかに記載の組立式浴槽。