JP3048278B2 - 溶接部の疲労特性が優れた高強度熱延原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

溶接部の疲労特性が優れた高強度熱延原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車足廻り部品など
の溶接構造物に用いて、厳しい腐食環境下で優れた疲労
特性を発揮し得る高強度熱延原板合金化溶融亜鉛めっき
鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ロアア
ーム、サスペンションメンバなどの自動車部品は、特に
融雪塩を大量に使用する北米においては厳しい腐食環境
下で十分な耐久性が求められる重要保安部品であり、防
錆能向上の観点から、従来、厚膜塗装、Znめっき処理
などが施されている。これら処理は、部材の平滑部では
効果が大きいが、部品の合せ目、溶接部では塗料の流入
や密着性が悪く、更に溶接部では熱によるめっき剥がれ
などを生じ、防錆能が著しく低下する問題が指摘されて
いる。めっきが剥離した溶接部は長期にわたる自動車走
行過程で塩水浸漬、湿潤、乾燥などの厳しい腐食環境に
曝される結果、局所的に板厚減少が激しくなり、保安特
性の一つである疲労強度が大幅に低下する。
【0003】アーク溶接継手の疲労強度向上策として
は、溶接ビードの形状面(ビード止端半径、ビード接線
角など)からの研究報告が多くなされているが、上記の
腐食環境下での疲労強度の低下を防止するには十分とは
いえない。最近、自動車業界では、車体の軽量化による
燃費向上の見地から、足廻り部品の板厚も薄肉化する傾
向にあり、厳しい腐食環境下での溶接継手の疲労特性改
善は緊急課題となっている。
【0004】ロアアームなどには、現在、板厚2.6〜
3.8mm、引張強さ(TS)38〜50kgf/mm2の範囲の
熱延鋼板及び熱延原板めっき鋼板が多く使われている
が、前述の薄肉高強度化の見地から、より薄肉の高強度
鋼板(TS≧50kgf/mm2)への切換えが検討されてい
る。
【0005】これに対処するためには、より高強度であ
りながら、従来鋼板と同等のプレス加工性、溶接性、化
成処理性などを具備する必要があり、種々の材料が研究
開発されている。しかし、これらの殆どは強度とプレス
加工性のバランス改善にウェイトをおいたものであり、
高強度になるほど大きくなる溶接熱影響部の軟化、腐食
量、疲労に対する切欠感受性などの観点からの材料研究
は比較的新しいテーマであり、これまで総括的な研究が
なされていないのが現状である。特に薄肉化が顕著にな
るTS≧70kgf/mm2の分野ではより深刻な問題であ
る。
【0006】本発明は、かゝる状況のもとでなされたも
のであって、自動車足廻り部品などの溶接構造物に用い
て、厳しい腐食環境下で優れた疲労特性を発揮し得る高
強度熱延原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供し、また
その製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するべく種々検討した結果、高強度熱延鋼板溶接部
の耐食性を高めて、なお優れた疲労強度を確保するため
には比較的低C量の鋼にNb、Ti、Vなどのミクロアロ
イ並びにP、Cu、Cr、Moなどの元素を適正量にて添
加することが有効であることを見出し、ここに本発明を
完成したものである。
【0008】すなわち、本発明は、C:0.02〜0.1
5%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜2.5%、P:
0.04〜0.15%、S:0.010%以下、Cr及びM
oの1種又は2種:0.1〜0.5%、Al:0.01〜0.
10%、Ni:1.2%以下、Cu:0.6〜1.6%、T
i:0.05〜0.20%、Nb及びVの1種又は2種:
0.08%以下を含有し、かつ、P/(Ti+0.1Mn):
0.15〜0.5、P+0.1Cu−0.33(Cr+Mo)≧
0%を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなる
ことを特徴とする溶接部の疲労特性が優れた高強度熱延
原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板を要旨とするものであ
る。
【0009】また、その製造方法は、上記化学成分を有
する鋼の熱間圧延において、仕上圧延後の平均冷却速度
10℃/s以上、巻取温度700℃以下とし、主として
ベイナイト組織を生成させ、この熱延板を均熱温度70
0℃以下で合金化溶融亜鉛めっき処理することを特徴と
している。
【0010】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0011】
【作用】
【0012】まず、本発明をなすに至った基礎実験につ
いて説明する。
【0013】
【表1】 に示す鋼No.1〜No.11を実験室にて真空溶解した
後、皮削り、鍛造を実施し、30mm厚の熱間圧延用スラ
ブとした。これら鋼はTS≧50kgf/mm2を満足し、プ
レス加工性、溶接性などの観点から自動車足廻り部品へ
の適用を考慮した上で鋼の強化方法、添加元素を種々変
化させたものである。熱間圧延はスラブ加熱温度120
0℃、仕上温度860℃として3.4mm厚に圧延した
後、シャワー冷却(平均冷却速度20〜40℃/s)を経
て450℃でコイル巻取りした。
【0014】これらの鋼板を酸洗した後、重ね合せすみ
肉アーク溶接を実施した。試験板の組合せは、常に4mm
厚の80kgf/mm2級鋼板との溶接とすることにより、
3.4mm厚試片の側が疲労破壊するように調整してい
る。アーク溶接条件を
【表2】 に示す。溶接板はその後、
【表3】 に示す条件にて塩水による厳しい腐食を想定した腐食試
験に供し、90サイクル後の溶接板より疲労試験片を加
工した。
【0015】疲労試験は、両面平面曲げの正弦波負荷に
て実施し、107サイクル時点での限界モーメントを耐
久限とした。耐久限を公称応力の代わりに負荷モーメン
トとしたのは、部品の薄肉高強度化に伴う耐久性の変化
をより明確に評価するためである。
【0016】供試材の機械的性質及び腐食試験後の耐久
性を
【表4】 に示す。供試材のTSは58〜85kgf/mm2の範囲で変
化しており、腐食試験後の疲労限モーメントは8〜32
kgf-cmの範囲で変化している。TSと疲労限モーメント
との間に相関は認められない。これらの結果をP量(0.
04%より多い、少ない)、Cr+Moの総和、Cu量、及
びP+0.1Cu−0.33(Cr+Mo)量でグループ分けするこ
とによって疲労限の優劣を区分けできることがわかっ
た。すなわち、前述の本発明範囲の条件を満足する化学
成分の鋼が比較的優れた疲労限モーメントを有している
ことがわかった。区分けの一例を図1に示す。化学成分
に関する前述の種々の規定のうち、P+0.1Cu−0.33
(Cr+Mo)が一つの大きな因子であることがわかる。
【0017】鋼板の疲労特性がこのよう条件を満足する
範囲で向上する理由は十分明らかではないが、溶接部近
傍の腐食挙動及び材料強度が関係しているものと考えら
れる。すなわち、溶接構造物は必然的に疲労に対して亀
裂発生サイトとなる何らかの欠陥を多く含んでいる上、
溶接熱影響による鋼板材質変質部を合わせ持っている。
欠陥部及び材質変質部は鋼板が高強度になるほど腐食及
び疲労に関する特性劣化が大きくなるが、本発明範囲内
の条件を満足する領域では溶接軟化などの材質異常が比
較的少なく、腐食に対しても強い抵抗を有している上
に、材料そのものの疲労特性が優れている結果、部品製
造時の溶接部の欠陥形状によらず、腐食がある程度進展
した実際の使用環境下での疲労特性が従来の鋼板に比べ
て一段と向上したものと考えられる。
【0018】この熱延鋼板は、それ自体で疲労強度が優
れていると共に、溶接熱影響部の耐食性及び硬さ向上と
によって、厳しい腐食環境下での溶接継手の熱影響部か
らの疲労破壊に対し疲労特性を顕著に改善することがで
きる。
【0019】しかしながら、熱延鋼板アーク溶接部と熱
延原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板アーク溶接部とでは、
めっき剥離部の腐食の様相は同様であり、腐食試験後の
疲労強度の優劣も前述の実験結果の考え方が適用できる
ことを確認しているが、前述の実験結果を合金化溶融亜
鉛めっき鋼板に適用する上での課題は、鋼板のめっき密
着性の確保であった。すなわち、比較的多量のMn、C
u、Niに加えてP、Ti、Cr、Moなどの元素を含有す
る鋼板の溶融亜鉛めっき層の合金化挙動、めっき密着性
に関する報告は見られないため、新たな検討が必要にな
り、その検討結果に基づいて本発明を完成したものであ
る。
【0020】以下に本発明における鋼の化学成分並びに
製造条件の限定理由を示す。
【0021】C:0.02〜0.15% 本発明鋼は冷間加工性を重視するミクロアロイ系高強度
鋼であり、Cが0.02%未満では十分な強度が達成で
きない。一方、0.15%を超えると鋼炭化物増大によ
る加工性低下が大きく、溶接性も劣化する。よって、C
量は0.02〜0.15%の範囲とする。
【0022】Si:0.5%以下 Siは鋼の強化に有効な元素であるが、過度の添加は合
金化溶融亜鉛めっきの密着性を劣化させて支障を来たす
ので、0.5%を上限とする。
【0023】Mn:1.0〜2.5% Mnは鋼の変態組織強化に有効であり、耐食性にも特に
害を及ぼさない。しかし、1.0%未満ではポリゴナル
フェライトの生成が促進されて鋼の強化が十分図れない
ことがある。また2.5%を超えると熱間圧延時の割れ
感受性が高まるので好ましくない。よって、Mn量は1.
0〜2.5%の範囲とする。
【0024】P:0.04〜0.15% Pは耐食性の付与に重要な元素であり、その効果は0.
04%以上で顕著になる。しかし、過多の添加は鋼の粒
界強度を低下させるので、0.15%を上限とする。
【0025】S:0.010%以下 本発明鋼は冷間加工性が優れていることが重要である。
Sは鋼中の非金属介在物を増大させるほか、Mnと結合
して圧延方向に伸展する結果、伸びフランジ性を著しく
損なう。このため並びに耐食性の点からも、0.010
%以下に抑制する。
【0026】Cr、Moの1種又は2種:0.1〜0.5% Cr、Moは、比較的微量の添加で腐食環境下の溶接継手
の耐食性を改善する効果がある。この効果のためにはC
r、Moの1種又は2種を合計で0.1%以上を添加す
る。しかし、0.5%を超える多量の添加は溶接部の腐
食を促進させることになる。よって、Cr、Mo量はその
1種又は2種を合計で0.1〜0.5%の範囲とする。
【0027】Al:0.01〜0.10% Alはアルミキルド鋼として0.01%は必要であるが、
過多の添加は加工性を劣化させるので、0.10%を上
限とする。
【0028】Ni:1.2%以下 Niの添加は、基本的にはCu添加による表面疵を抑制す
るのが主目的である。低温変態組織の生成にも有効であ
る。しかし、コスト高であることを勘案して、1.2%
以下とする。
【0029】Cu:0.6〜1.6% CuはPとの複合添加によって耐食性改善が期待できる
ほか、疲労特性にとっても有効である。腐食試験後の溶
接継手耐久性は0.6%未満では劣化が大きく、一方、
1.6%を超えると耐久性向上の効果が飽和してくるほ
か、合わせて添加するNi量増大によるコスト上昇を招
くので好ましくない。よって、Cu量は0.6〜1.6%
の範囲とする。
【0030】Ti:0.05〜0.20% Tiは鋼のミクロ組織の微細化に不可欠であるが、0.0
5%未満では安定した強化が図れない。一方、0.20
%を超えて足りように添加しても大幅な強化はきたいで
きない。よって、Ti量は0.05〜0.20の範囲とす
る。
【0031】Nb、Vの1種又は2種:0.08%以下 Nb、Vは鋼の強化に及ぼす影響はTiの場合と同様であ
る。これらの1種又は2種の合計で0.08%を超えて
多量に添加しても大幅な強化が見込めない。よって、N
b、V量はその1種又は2種の合計で0.08%以下とす
る。
【0032】但し、P/(Ti+0.1Mn)を0.15〜
0.5の範囲に規制する必要がある。本発明鋼のように
種々の元素を含有する鋼板の合金化溶融亜鉛めっきでの
めっき密着性改善には、この規定が不可欠である。上式
の値が0.15未満では、亜鉛めっき層中のFe濃度が過
度になり、自動車部品のプレス加工においてめっき剥離
が生じ易くなるほか、部品平滑部の耐食性が著しく劣化
する。また、0.5を超えると、めっき層の合金化不足
となって部品平滑部の耐食性が劣化する。なお、めっき
層の合金化挙動には、このほか、めっき浴Al濃度、合
金化温度なども大きく影響することは周知である。
【0033】また、P+0.1Cu−0.33(Cu+Mo)
≧0%の関係満足する必要がある。図1に関連して説明
したように、P+0.1Cu−0.33(Cu+Mo)の関係
式は溶接継手の疲労特性向上に大きく寄与する因子であ
り、この式の値が0%以上の場合にその効果が得られ
る。
【0034】なお、以上の元素を必須成分とするが、微
量のB、Ca、Zr、REMなどを必要に応じて添加して
もよい。Bは鋼の焼入れ性を高める元素として知られて
おり、0.003%以下の範囲であれば耐食性への弊害
もない。Ca、Zr、REMは非金属介在物の球状化によ
って鋼板の加工性を改善させるほか、特にCaは鋼の耐
食性にとっても好ましい元素である。添加量は鋼の清浄
度を高く保つ意味からそれぞれ0.03%以下が望まし
い。
【0035】本発明の効果は上述の化学成分の規定によ
り得られるが、本発明の効果をより一層発揮させるため
には、以下の製造条件により製造するのが好ましい。
【0036】上記化学成分の鋼板の製造では、スラブは
連鋳法或いは造塊法のいずれで製造してもよい。熱延は
スラブ加熱方式でも直接圧延方式のいずれでもよいが、
Cu添加鋼の表面性状を美麗にする観点からは直接圧延
方式が望ましい。粗圧延及び仕上圧延は常法に従って実
施すればよい。鋼の組織微細化などでの1100℃程度
のスラブ低温加熱、γ−α域高温でのγ未再結晶域圧延
を施しても本発明の効果は損なわれない。
【0037】但し、仕上圧延後の鋼板は、平均冷却速度
10℃/s以上で冷却した後、700℃以下でコイル巻
取する。これにより、主としてベイナイトからなる微細
組織とすることができる。このような微細組織は腐食環
境下で溶接部の局部電池の形成を抑制する働きが期待で
きる。
【0038】仕上圧延後の冷却方法は、一様に連続冷却
しても中間で徐冷を挿入するステップ冷却を行ってもよ
いが、冷却速度が10℃/s未満では鋼種によってパー
ライト、マルテンサイトなどのような粗大な第2相組織
を生じることがあり、腐食後の疲労強度を劣化させる。
なお、冷却速度の上限は特に規定しないが、鋼板の形
状、材質の安定性などの観点から約100℃/sが望ま
しい。
【0039】また、コイル巻取温度が700℃を超える
と、前述の粗大組織が生成し易くなるほか、ミクロアロ
イによる鋼の析出強化能が低下する弊害がある。なお、
コイル巻取温度の下限は特に規定しないが、板形状など
を考慮すると300℃程度が望ましい。
【0040】熱延板は酸洗した後、常法に従って合金化
溶融亜鉛めっき処理される。熱延鋼板の溶融亜鉛めっき
処理は、その過程で再結晶が起こる冷延鋼板の場合と異
なって比較的低い均熱温度で処理されるのが一般的であ
り、このような処理では合金化処理を含めても熱延の段
階で生成した組織が大きく変化することがないため、鋼
板の優れた加工性、耐食性を維持することができる。一
般的には、めっきラインでの最高温度を700℃以下と
して処理するのが好ましい。処理温度の下限は特に限定
しないが、鋼板表面の汚れ除去とめっき性の観点から決
定され、通常500℃程度である。
【0041】なお、最近、船舶関係でも溶接構造物の腐
食が問題となつているが、本発明鋼はこのような分野を
含む塩水が関連した腐食の問題に対し、効果を発揮する
ことができる。
【0042】次に本発明の実施例を示す。
【0043】
【実施例】
【表5】 に示す化学成分を有する鋼を実験室にて真空溶解した
後、皮削り、鍛造を実施し、30mm厚の熱間圧延用スラ
ブとした。熱間圧延はスラブ加熱温度1200℃、仕上
温度860℃として3.4mm厚に圧延した後、シャワー
冷却(平均冷却速度20〜40℃/s)を経て450℃、
710℃でコイル巻取りした。
【0044】これらの鋼板を酸洗した後、目付60g/m
2の合金化溶融亜鉛めっき処理した。めっき処理での均
熱温度は630℃とした。これらを供試材としてアーク
溶接継手を作製し、複合腐食試験に供した。90サイク
ルの腐食試験後、疲労試験片を作製し、疲労特性を調査
した。溶接の方法、腐食試験条件、疲労試験の方法は前
述の基礎実権の場合と同様である。
【0045】供試材の機械的性質及び腐食試験後の耐久
性を
【表6】 に示す。表6に示す結果をめっき鋼板のTSと耐久性
(疲労限モーメント)との関係を整理して図2に示す。図
2より、本発明鋼はいずれも優れた耐久性を有している
ことがわかる。なお、No.2は本発明範囲内の化学成分
を有しているが、熱延板組織がやや粗大であり、No.1
に比べて疲労特性がやや劣化しているものの、比較鋼よ
り優れた疲労特性を示している。比較鋼No.5及びNo.
6はいずれもめっき鋼板であるにも拘らず溶接部の腐食
が進行した結果、疲労特性が劣化している。
【0046】なお、めっき鋼板のめっき密着性をV型ポ
ンチ曲げ試験によって調査した結果を
【表7】 に示す。本発明鋼No.1〜No.4はいずれも優れためっ
き密着性を有しているが、比較鋼のNo.5は合金化不
足、No.6は合金化が過多のためにめっき密着性が劣化
している。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
熱延鋼板そのものが優れた疲労特性を有し、更に特に厳
しい腐食環境下での溶接部の疲労特性を著しく改善し得
る高強度熱延原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供でき
る。自動車足廻り部品などの溶接構造物の材料として好
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学成分の異なる熱延鋼板重ね合せすみ肉アー
ク溶接継手の複合腐食試験後平面曲げ耐久性と式P+
0.1Cu−0.33(Cr+Mo)の量との関係を示す図で
ある。
【図2】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のTSと複合腐食試
験後平面曲げ耐久性(疲労限モーメント)との関係を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 2/06 C23C 2/06 (72)発明者 松本正人 兵庫県加古川市金沢町1番地株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 野村伸吾 兵庫県加古川市金沢町1番地株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (56)参考文献 特開 平3−146640(JP,A) 特開 平3−232953(JP,A) 特開 平5−331591(JP,A) 特開 平5−148582(JP,A) 特開 平5−25584(JP,A) 特開 平5−271759(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 8/02 C21D 9/46 C22C 38/58 C23C 2/02 C23C 2/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.02
    〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜
    2.5%、P:0.04〜0.15%、S:0.010
    %以下、Cr及びMoの1種または2種:0.1〜0.
    5%、Al:0.01〜0.10%、Ni:1.2%以
    下、Cu:0.6〜1.6%、Ti:0.05〜0.2
    0%、Nb及びVの1種又は2種:0.08%以下を含
    有し、かつ、P/(Ti+0.1Mn):0.15〜
    0.5、P+0.1Cu−0.33(Cr+Mo)≧0
    %を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなるこ
    とを特徴とする溶接部の疲労特性が優れた高強度熱延原
    板合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 ベイナイト組織を有している請求項1に
    記載の溶接部の疲労特性が優れた高強度熱延原板合金化
    溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 強度がTS≧70kgf/mm2である
    請求項1に記載の溶接部の疲労特性が優れた高強度熱延
    原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化学成分を有する鋼の
    熱間圧延において、仕上圧延後の平均冷却速度10℃/
    s以上、巻取温度700℃以下とし、ベイナイト組織を
    生成させ、この熱延板を均熱温度700℃以下で合金化
    溶融亜鉛めっき処理することを特徴とする溶接部の疲労
    特性が優れた高強度熱延原板合金化溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 強度がTS≧70kgf/mm2である
    請求項4に記載の方法。
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