JP3048224B2 - グラウトの充填性評価方法 - Google Patents

グラウトの充填性評価方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポストテンショニ
ング方式のプレストレストコンクリート部材におけるP
C鋼材が配置されるダクト内のグラウト、及びアースア
ンカー又はロックボルトにおけるPC鋼材の挿通孔内の
グラウトが完全に充填されているか否かを評価するため
に用いるグラウトの充填性評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プレストレストコンクリ−ト(PC)部
材を製作する方法として従来から一般に用いられている
ものの一つにポストテンショニング方式がある。この方
式は、PC鋼材を筒状のシ−ス(鞘)で被覆し、型枠内
の所定の位置に配設してコンクリ−トを打設する。そし
て、コンクリートの硬化後にPC鋼材をジャッキで緊張
する。このとき、PC鋼材はシースによって被覆されて
いるのでコンクリートに拘束されることがなく、全長に
わたって引張力が導入される。引張力が導入されたPC
鋼材は、端部がアンカープレートを介してコンクリート
に定着され、コンクリートに圧縮力(プレストレス)が
導入される。
【0003】このようにしてプレストレスが与えられた
後は、シ−ス内にセメントを主材とするグラウトを圧入
し、その硬化によってコンクリ−トとPC鋼材とを一体
化するとともに、シース内に侵入した水分などに起因す
る錆などからPC鋼材を保護する。上記グラウトにはセ
メントの他、アルミニウム粉末等を混入して硬化時にグ
ラウトを適当量膨張させ、付着強度の向上を図るととも
に、グラウトの収縮による間隙の発生を防止して、凍結
融解に対する耐久性の向上等が図られている。
【0004】しかし、上記シ−ス内に注入するグラウト
は完全に充填されずに、図5(a)、(b)に示すよう
に、PC鋼材とシースとの間に空隙が残ることがある。
一般にシース101とPC鋼材102との間に存在する
空隙はわずかであり、未硬化のグラウト材の流動性が低
下した場合等には、グラウト103がシース101内の
全域に行き渡らず、シ−ス101内でグラウト103の
未充填部分が局部的に発生してしまう。
【0005】このような未充填部分がシ−ス内に存在す
ると、高張力を受けるPC鋼棒やPC鋼より線などのP
C鋼材の耐久性を著しく低下させる。このため、グラウ
ト充填工事を施工した後に、PC鋼材周囲のグラウトの
充填状況を検査して、グラウトの未充填部分の有無や大
きさなどの確認、補修をすることが望まれる。
【0006】また、PC鋼材はロックボルト、アースア
ンカー等として用いられ、岩盤又は地盤に穿孔を行なっ
てPC鋼材を挿入し、その周囲にグラウトが注入され
る。このグラウトの硬化によってPC鋼材を岩盤又は地
盤と強固に一体化する。したがってこのような場合には
PC鋼材の防錆等を図るだけでなく、グラウトの充填状
態が直接にロックボルト又はアースアンカーの信頼性に
影響することから、グラウトの充填性を検査する意義は
大きい。
【0007】このような要請から、PC鋼材周囲のグラ
ウトの充填状況を非破壊的に評価する方法がいくつか提
案されており、従来から知られているものに、ファイ
バ−スコ−プを用いて目視する方法、X線を利用する
方法、土木学会論文集第402号(1989.2)に開示さ
れるようにPC鋼材を伝播するAEエネルギーの減少量
から評価する方法、特開平4−182568号や特開
平3−255953号に開示されているようにPC鋼材
中を伝播する弾性波の減衰特性を利用する方法などがあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来から知られている評価方法には、次のような
問題点がある。上記のファイバ−スコ−プを用いて目視
する方法やX線を利用する方法は、グラウトの充填状況
を直接的に観察できることから最も確実ではあるが、こ
れらの方法は比較的に大規模で高価な装置が必要とされ
ること、調査できる箇所が限定されること、また調査に
かかる費用が高額となることなどのため、広範囲な調査
を行う場合には実用的でない。またAEエネルギーの計
測によって評価する方法やPC鋼材中を伝播する弾性波
の減衰特性を利用する方法は、比較的簡便な評価方法で
あり、単にグラウトの充填状態の大まかな推定をするに
は有効であるが、グラウトの充填されていない部分の位
置や大きさ(長さ)を的確に特定できないという欠点が
ある。
【0009】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたものであって、その目的とするところは、プレス
トレストコンクリ−ト構造物におけるシース内のグラウ
トの充填状態や、ロックボルト・アースアンカーのグラ
ウトの充填状態を、充填されていない部分の位置及び大
きさ(長さ)を含めて、比較的簡便にまた精度良く非破
壊的に推定することができる評価方法を提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、 岩盤・地盤又はコン
クリート部材内にPC鋼材の挿通孔を設け、この挿通孔
内に配設されたPC鋼材の周囲にグラウトを充填したと
きの充填状態を評価する方法であって、 露出されたP
C鋼材の端部に衝撃弾性波を入力し、 この弾性波の、
グラウトの充填部分と未充填部分との境界における反射
波を検出し、 前記弾性波の入力から前記反射波の検出
までの時間とPC鋼材内を伝播する弾性波速度とから、
グラウトの充填部分と未充填部分との境界位置を算出
し、 グラウトの未充填部分の範囲を推定することを特
徴とするグラウトの充填性評価方法を提供する。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、 岩盤・
地盤又はコンクリート部材内にPC鋼材の挿通孔を設
け、この挿通孔内に配設されたPC鋼材の周囲にグラウ
トを充填したときの充填状態を評価する方法であって、
PC鋼材内を伝播し、PC鋼材の端部及びグラウトの
充填部と未充填部との境界で反射した弾性波を検出し、
この検出波形をスペクトルに変換し、 該スペクトルか
ら卓越周波数の出現間隔を読み取り、 この卓越周波数
の出現間隔とPC鋼材内を伝播する弾性波速度とからグ
ラウトの未充填部の範囲を推定することを特徴とするグ
ラウトの充填性評価方法を提供する。
【0012】さらに、請求項3に記載の発明は、 岩盤
・地盤又はコンクリート部材内にPC鋼材の挿通孔を設
け、この挿通孔内に配設されたPC鋼材の周囲にグラウ
トを充填したときの充填状態を評価する方法であって、
露出されたPC鋼材の端部に弾性波として正弦波を入
力し、 PC鋼材内を伝播し、PC鋼材の端部及びグラ
ウトの充填部と未充填部との境界で反射した弾性波を、
前記正弦波の周波数を変化させながら検出し、 得られ
た応答のスペクトルから卓越周波数の出現間隔を読み取
り、 この卓越周波数の出現間隔とPC鋼材内を伝播し
する弾性波速度とからグラウトの未充填部の範囲を推定
することを特徴とするグラウトの充填性評価方法を提供
する。
【0013】次に、本願発明に係るグラウトの充填性評
価方法の原理について説明する。コンクリート又は地盤
・岩盤内に配置され緊張力が導入されたPC鋼材を伝播
する弾性波の速度は、このPC鋼材とコンクリート等と
の間にグラウトが充填され一体化されているときと、グ
ラウトが充填されていいないときとで異なる。つまり、
PC鋼材の機械的インピーダンス(Z=A・E/V,
A:断面積、E:ヤング係数、V:波動の伝播速度)
が、グラウトの充填されている部分と充填されていない
部分とで異なることになる。これはPC鋼材の周囲の境
界条件が、グラウトの充填されている部分と充填されて
いない部分とで相違していることに起因するものであ
る。したがって、コンクリート又は地盤・岩盤内に配置
されたPC鋼材の周囲にグラウトが完全に注入されず、
充填されている部分と充填されていない部分とがある
と、その境界で機械的なインピーダンスがZi からZ
i+1 に変化し、PC鋼材中を伝播する弾性波は、この部
分で機械的インピーダンスの比(Zi /Zi+i )に応じ
た比率で反射波と透過波とに分配される。
【0014】本願発明に係るグラウトの充填性評価方法
はこの性質を利用したものであり、請求項1に記載のグ
ラウトの充填性評価方法では、PC鋼材の一端に衝撃的
な力を加え、これによって生じた弾性波がPC鋼材中を
伝播し、グラウトが充填されている部分と充填されてい
ない部分との境界において反射した波を観測する。そし
て、衝撃的な力の入力から反射波が観測されるまでの時
間tを計測する。一方、PC鋼材中を伝播する弾性波の
速度Vは、グラウトが充填されている場合、充填されて
いない場合とについて、別途に測定しておき、この弾性
波速度と上記衝撃的な力の入力から反射波の観測までの
時間から、弾性波が反射した境界部分の位置を計算す
る。つまり、衝撃の入力から反射波が観測されるまでに
弾性波が伝播した距離Lは、 L=V・t で示される。そして、反射波の観測を衝撃力の入力位置
で行なうと、弾性波が反射した位置すなわちグラウトが
充填されている部分と充填されていない部分との境界ま
での距離Pは、 P=V・t/2 で示され、グラウトの充填されている部分及び充填され
ていない部分を推定することが可能となる。
【0015】請求項2に記載のグラウトの充填性評価方
法でも、上記請求項1に記載の評価方法と同様にPC鋼
材の一端に衝撃的な力を加える。これによって生じる弾
性波はPC鋼材中を伝播し、グラウトが充填されている
部分と充填されていない部分との境界又はPC鋼材の端
部で反射する。このような弾性波の反射が繰り返される
ことによって共振が起こり、この共振周波数が一定の周
波数間隔で出現する。つまり、1次のモード、2次のモ
ード、3次のモード・・・・、 が一定の周波数毎に現われ、
この周波数の間隔fdが、弾性波の伝播速度V及び弾性
波が反射している位置間の距離Pに対応するものであ
り、その関係は P=V/(2f) で示される。したがって、PC鋼材中を伝播する弾性波
の波形を記録し、これをスペクトルに変換して卓越周期
の出現間隔を抽出する。そして、上式により弾性波が反
射する位置を推定することができ、グラウトが充填され
れている部分と充填されていない部分との境界の位置を
知ることが可能となる。これにより、グラウトの充填さ
れていない部分の存在及びその範囲を推定することがで
きる。
【0016】請求項3に記載のグラウトの充填性評価方
法では、PC鋼材の端部に弾性波として正弦波を入力
し、その周波数を変化させる。このときにPC鋼材中を
伝播する弾性波を観測することによって、応答スペクト
ルを得ることができる。このスぺクトルに基づき、請求
項2と同様に卓越周波数の出現間隔を抽出し、グラウト
が充填されている部分と充填されていない部分との境界
の位置を知ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本願に係る発明の実施の形
態を図に基づいて説明する。図1は、本願発明に係るグ
ラウトの充填性評価方法を実施するときに用いることが
できる計測システムの一例を示す概略構成図である。こ
の計測システムは、プレストレストコンクリート部材1
に配置されたPC鋼棒2の周囲のグラウト3について、
その充填性を評価するものであり、弾性波を生じさせる
手段として、振り子状に吊してPC鋼棒2の端部に衝突
させる鋼球4が設けられている。また、PC鋼棒2中を
伝播する弾性波は、該PC鋼棒の両端部に取り付けられ
た圧電型の加速度計5,6によって検知されるようにな
っており、この加速度計5,6で検出された時系列の加
速度記録を増幅するチャージアンプ7、時系列の加速度
データをデジタル化し一時的に記憶する波形記憶装置
8、デジタル化した加速度データを保存し、反射波の到
達時間を演算したり、高速フーリエ変換によってフーリ
エスペクトルを得ることができる記録演算手段9を備え
ている。
【0018】上記弾性波を生じさせる手段は、鋼球4に
代えてハンマー等を打ち付けてもよい。また、請求項3
に記載の評価方法のように弾性波として正弦波を入力す
るときには、機械的な加振装置や電気的に振動を生じさ
せる装置を用いることができる。電気的に振動を生じさ
せる装置は、例えばファンクションジェネレータを用い
て圧電素子に正弦波状の電圧を印加することによって振
動を発生させるもの等がある。上記加速度計5,6は、
圧電型のものに限らず、ゲージを用いたもの等他のタイ
プのものを用いることもできる。そして、この加速度計
は、弾性波を入力する側の端部のみに設けてもよいし、
PC鋼材の両端に設けてもよい。
【0019】
【実施例】次に上記のような計測システムを用い、本願
発明に係るグラウトの充填性評価方法を実施した例につ
いて説明する。ここで説明する実施例は、作為的にグラ
ウトの充填状態に欠陥を生じさせたプレストレストコン
クリート供試体を製作し、この供試体について請求項1
から請求項3までに記載の評価方法のそれぞれを実施し
たものである。
【0020】(請求項1に記載の評価方法の実施例)図
2は、この実施例に使用される供試体を示す概略断面図
であり、この供試体11は厚さ270mm、幅1800
mm、長さ4800mmのプレストレストコンクリート
部材であり、その長辺方向にシースで被覆された5本の
PC鋼棒12が配置されている。このPC鋼棒は長さが
5.0mのB種2号鋼棒が用いられており、ジャッキに
より緊張力が導入され、その引張応力度が706N/m
2 となる状態でコンクリートに定着されている。
【0021】また、上記5本のPC鋼棒を被覆するシ−
ス内のグラウトの充填状態は、それぞれ異なっており、
第1の鋼棒(図2中にで示す)は全長にわたって完全
に充填されている。そして、第2の鋼棒(で示す)、
第3の鋼棒(で示す)、第4の鋼棒(で示す)に
は、それぞれ一端から0.5m,1.0m,2.5mの
範囲でグラウトが充填されておらず、第5の鋼棒(で
示す)は全くグラウトが施されていない。従って、上記
第2の鋼棒から第4の鋼棒については、シースの内部
で、グラウトが充填された部分13と充填されていない
部分14とが作為的に形成されている。
【0022】このような供試体の、グラウトが充填され
ている側の端部12aに鋼球4を衝突させてPC鋼棒1
2に弾性波を入力し、同じ側の端部に取り付けた加速度
計5でPC鋼棒中を伝播する弾性波を観測する。図3
は、上記のようにして、第4の鋼棒(グラウトの未充填
部分長:2.5m)について得られた時系列の加速度波
形を示すものである。
【0023】この図において、最初に観測された波動
(図3中に符号aで示す)は、衝撃的な外力によって生
じた弾性波であって時間の経過と共に減衰曲線に従って
次第に減衰している。その後に観測される大きな振幅の
波動は反射波が到達したことによるものと考えられ、最
初の反射波(図3中に符号bで示す)はグラウトの充填
部分13と未充填部分14との境界部15で反射して上
記加速度計を設置した観測位置に到達した波動と考えら
れる。また、2番目に観測された反射波(図3中に符号
cで示す)は、PC鋼棒12の他端12bで反射して入
力端に戻ってきた波動である。そして、図3より、反射
波が到達するまでの時間(t)は、それぞれ1080μ
s及び2090μsと読み取ることができる。
【0024】一方、上記第1の鋼棒及び第5の鋼棒を用
いて、鋼棒中を伝播する弾性波の速度を測定する。この
測定は一端に鋼球を衝突させ、入力端に設けられた加速
度計5で観測された波形と他端に取り付けられた加速度
計6で観測された波形とを比較し、波動の遅れから伝播
速度を計算する。この実験の結果から得られた、グラウ
トの未充填部分及び充填部分の弾性波速度(V)は、そ
れぞれ4400m/s、及び5200m/sとなる。
【0025】したがって、前記した各々の到達時間
(t)と充填部分および未充填部分の弾性波の速度
(V)とから、弾性波が反射した位置までの距離Pは、 P=V・t/2 によって示され、PC鋼棒12の一方の端部12aから
弾性波が反射するそれぞれの境界部の位置までの距離
(P)は、2.4m、及び5.0mと求められる。これ
により、グラウトの充填部分13と未充填部分14との
境界15はPC鋼棒12の入力側の端部より約2.4m
の位置とされ、予め実際に設定された境界の位置と極め
て良く一致していることがわかる。
【0026】(請求項2に記載の評価方法の実施例)こ
の実施例は、上記請求項1に記載の評価方法の実施例と
同様に、図2に示す供試体を用いて、そのグラウトの充
填性を評価したものである。この実施例では、上記供試
体のグラウトが充填されている側の端部12aに鋼球4
を衝突させてPC鋼棒に弾性波を入力し、同じ側の端部
に取り付けた加速度計5でPC鋼棒中を伝播する弾性波
を観測する。そして、得られた時系列の加速度データを
チャージアンプ7で増幅した後、波形記憶装置8でデジ
タルデータに変換し、記録演算手段9(計算機)を用い
て高速フーリエ変換を行なう。得られたフーリエスペク
トルを図4に示す。
【0027】図4(a),(b),(c)はそれぞれ、
第2の鋼棒、第3の鋼棒、第4の鋼棒について得られた
ものであり、いずれも約460Hz間隔の卓越周波数成
分を含んでいる。これは、長さが5mのPC鋼棒が縦振
動するときの一次共振周波数(450Hz)にほぼ一致
しており、一端から入力された衝撃力がPC鋼棒を伝播
し、両端で反射することによって生じる共振の周波数が
卓越したものと考えられる。
【0028】また、上記図4(a)、(b)、(c)に
示すフーリエスペクトルは、約460Hz間隔の卓越周
波数の他に、鋼棒毎に異なる間隔で現われる卓越周波数
成分を含んである。これらは、第2の鋼棒(グラウトの
未充填部分の長さ:0.5m)では 4100Hz、第
3の鋼棒(グラウトの未充填部分の長さ:1.0m)で
は 2260Hz、第4の鋼棒(グラウトの未充填部分
の長さ:2.5m)では 960Hzとなっている。こ
れらの卓越周波数は、グラウトが充填されている部分と
充填されていない部分との境界で弾性波が反射すること
によって生じる共振の周波数が卓越したものと考えるこ
とができ、弾性波の反射している範囲Pを、 P=V/(2f) により計算すると、それぞれ約0.55m、1.0m、
2.3mとなり、この範囲でグラウトが充填されていな
いと推定することができる。そして、この値は供試体の
実際の未充填長である0.5m、1.0m、2.5mと
よく一致している。なお、弾性波の速度Vは、別途の実
験等により得られるものであり、本実施例では4500
m/sであった。
【0029】(請求項3に記載の評価方法の実施例)こ
の実施例も、図2に示す供試体を用いたものであるが、
PC鋼棒の一端12aに作用させる外力を周波数が連続
掃引により変化する正弦波としている。そして、外力を
入力する側の端部に取り付けられた加速度計5で、正弦
波加振による定常応答波を測定する。この応答値は周波
数の変動にともなって変化し、得られる応答スぺクトル
には、図4に示すフーリエスぺクトルと同様なほぼ一定
間隔の卓越周波数が現われる。この卓越周波数の出現間
隔を抽出することにより、上記請求項2に記載の発明の
実施例と同様に弾性波が反射する範囲を特定することが
でき、グラウトの未充填長を評価することができる。
【0030】なお、上記実施例は、プレストレストコン
クリート部材中に配置されたPC鋼材を被覆するシース
内のグラウトについて充填性を評価したものであるが、
岩盤又は地盤内に挿入されたロックボルト又はアースア
ンカーのグラウトについても同様に評価することができ
る。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本願に係るグラウ
トの充填性評価方法によれば、コンクリート又は岩盤・
地盤内に配置されたPC鋼材の周囲にグラウトを施し、
これが硬化した後にその充填性を非破壊的に評価するに
あたり、大規模で高価な装置を必要とせず、また調査で
きる場所が限定されたり調査費用が高額になるようなこ
ともなく、しかも比較的簡便な方法でグラウトの充填さ
れていない部分の位置や大きさを詳細にまた精度良く推
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るグラウトの充填性評価方法に用
いられる計測システムを示す概略構成図である。
【図2】本願発明の効果を確認するために行なった実施
例に使用したプレストレストコンクリート供試体の概略
断面図である。
【図3】請求項1に記載の発明の実施例において観測さ
れた時系列の加速度記録の一例を示す図である。
【図4】請求項2に記載の発明の実施例において得られ
たフーリエスペクトルの例を示す図である。
【図5】プレストレストコンクリート部材のシ−ス内に
発生したグラウトの充填されていない部分を例示する概
略断面図である。
【符号の説明】
1 プレストレストコンクリート部材 2 PC鋼棒 3 グラウト 4 鋼球 5 加速度計 6 加速度計 7 チャ−ジアンプ 8 波形記憶装置 9 記録演算手段(計算機) 11 供試体 12 PC鋼棒 13 グラウトの充填されている部分 14 グラウトの充填されていない部分 15 グラウトの充填されている部分と充填されてい
ない部分との境界
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒野 幸弘 愛知県幡豆郡吉良町大字荻原字埋畑26 (56)参考文献 特開 平4−182568(JP,A) 特開 平5−255927(JP,A) 特開 平3−255953(JP,A) 特開 平4−32762(JP,A) 特開 平10−54140(JP,A) 特開 平3−65608(JP,A) 特開 昭54−116286(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28 E02D 5/80 E04G 21/12 104

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 岩盤・地盤又はコンクリート部材内に
    PC鋼材の挿通孔を設け、この挿通孔内に配設されたP
    C鋼材の周囲にグラウトを充填したときの充填状態を評
    価する方法であって、 露出されたPC鋼材の端部に衝撃弾性波を入力し、 この弾性波の、グラウトの充填部分と未充填部分との境
    界における反射波を検出し、 前記弾性波の入力から前記反射波の検出までの時間とP
    C鋼材内を伝播する弾性波速度とから、グラウトの充填
    部分と未充填部分との境界位置を算出し、 グラウトの未充填部分の範囲を推定することを特徴とす
    るグラウトの充填性評価方法。
  2. 【請求項2】 岩盤・地盤又はコンクリート部材内に
    PC鋼材の挿通孔を設け、この挿通孔内に配設されたP
    C鋼材の周囲にグラウトを充填したときの充填状態を評
    価する方法であって、 PC鋼材内を伝播し、PC鋼材の端部及びグラウトの充
    填部と未充填部との境界で反射した弾性波を検出し、 この検出波形をスペクトルに変換し、 該スペクトルから卓越周波数の出現間隔を読み取り、 この卓越周波数の出現間隔とPC鋼材内を伝播しする弾
    性波速度とからグラウトの未充填部の範囲を推定するこ
    とを特徴とするグラウトの充填性評価方法。
  3. 【請求項3】 岩盤・地盤又はコンクリート部材内に
    PC鋼材の挿通孔を設け、この挿通孔内に配設されたP
    C鋼材の周囲にグラウトを充填したときの充填状態を評
    価する方法であって、 露出されたPC鋼材の端部に弾性波として正弦波を入力
    し、 PC鋼材内を伝播し、PC鋼材の端部及びグラウトの充
    填部と未充填部との境界で反射した弾性波を、前記正弦
    波の周波数を変化させながら検出し、 得られた応答スペクトルから卓越周波数の出現間隔を読
    み取り、 この卓越周波数の出現間隔とPC鋼材内を伝播する弾性
    波速度とからグラウトの未充填部の範囲を推定すること
    を特徴とするグラウトの充填性評価方法。
JP8297889A 1996-10-23 1996-10-23 グラウトの充填性評価方法 Expired - Fee Related JP3048224B2 (ja)

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