JP3047188B2 - 吸光度原点標準器 - Google Patents

吸光度原点標準器

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JP3047188B2
JP3047188B2 JP2199860A JP19986090A JP3047188B2 JP 3047188 B2 JP3047188 B2 JP 3047188B2 JP 2199860 A JP2199860 A JP 2199860A JP 19986090 A JP19986090 A JP 19986090A JP 3047188 B2 JP3047188 B2 JP 3047188B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は光を用いて生体内の代謝を測定する装置にお
いて、吸光度の原点を定めるのに用いる装置に関するも
のである。
(従来の技術) 700〜1000nmの光は他の波長の光に比べて生体内を比
較的通りやすいので、この波長域に吸収帯をもつヘモグ
ロビン、酸化ヘモグロビン、チトクロームaa3を無侵襲
で測定することが試みられている(例えば、特公昭61−
11614号公報、「Pediatrics」75,217〜225(1985)、
「人工臓器」19,535〜538(1990)参照)。
例えば、引例の「人工臓器」19,535〜538(1990)に
おいては、波長780、805、830nmの3種類の半導体レー
ザを用い、それらの3波長を順次ライトガイドを介して
組織に照射し、反射光又は透過光を光ファイバで受光し
て各波長での吸光度変化ΔA780,ΔA805,ΔA830に基づい
て次の測定演算式により酸化ヘモグロビン変動Δ[Hb
O2]、還元ヘモグロビン変動Δ[Hb]及び全ヘモグロビ
ン量変動Δ[Hb]tを求める。
Δ[HbO2]=−3ΔA805+3ΔA830 ……(1) Δ[Hb] =1.6ΔA780−2.8ΔA805+1.2ΔA830 ……(2) Δ[Hb]t =1.6ΔA780−5.8ΔA805+4.2ΔA830 ……(3) (発明が解決しようとする課題) 上記の式においては原データとして用いられるのは3
波長の吸光度変化であり、求められるものは酸化ヘモグ
ロビン変動量などであり、全て変化量である。引例の
「Pediatrics」75,217〜225(1985)においては、ベー
スラインを患者の正常値にとり、これからの変化量を個
々の患者ごとの測定期間内ごとに求めることができる旨
の記載がある。
このように、従来の装置では吸光度測定の基準は患者
に装置を装着した時点でのレベル又は個々の患者の正常
値などであり、得られるのはそれ以降の変化量である。
装置を患者に装着する時点で患者がどういう状態である
かという情報は全く得ることはできない。
すなわち原点の較正方法が提案される必要がある。測
定対象が生体試料でなく化学物質の場合、その透過分光
測定には測定成分を全く含まない液体(例えば蒸留水)
を吸光度0の原点にすることや、布や印刷物の測定用
に、反射率100%の基準として硫酸バリウム粉末を用い
ることはよく知られている。しかし、本発明の対象であ
る、生体試料の一部分より光を照射し、別の部分より出
てくる光を検出する装置に適用するのに適当な吸光度の
原点基準は知られていない。このためには生物体と同じ
ように散乱性の透過特性を有し、目的の試料と同様の光
の減衰率(例えば10-3〜10-7、吸光度で3〜7)を有
し、経時変化が少ないという条件を満たす基準が望まし
い。
本発明は、上記基準に合い、患者によらない吸光度測
定の原点を求めることのできる吸光度原点標準器を提供
することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の吸光度原点標準器は、生体試料の一部より光
を照射し、別の部分から出てくる光を受光する装置の吸
光度測定の原点を求める吸光度原点標準器において、生
体試料に光を照射する送光部を取り付ける、光散乱体か
らなる光入力部と、生体試料の別の部分から出てくる光
を受光する受光部を取り付ける、光散乱体からなる光出
力部と、光入出力部を結び減光機能を有する結合部とを
備えたことを特徴とする。
(作用) 光測定装置で患者に照射される光は平行光ではなく、
光ファイバで導かれた光のように拡がり角を有するうえ
に、角度分布も均一でないのが一般的である。しかし、
この原点標準器の光入力部と光出力部がそれぞれ光散乱
体であるため、不均一な角度分布を有する照射光も平均
化されて所定の減光度となって、出力部より受光側に送
光される。
結合部の減光用穴は実測試料に近い減光度を得るため
のものであり、生体試料の場合1/103〜1/107の減光率に
なるように結合部を調節する。減光度の大きさはその結
合部の穴の大きさや数などで調整することができる。
また、特に試料に近い波長特性をもたせる必要があれ
ば、結合部にフィルタを設ければよい。
(実施例) 第1図は一実施例を表わす。
2は光入力部であり、直径が約20mmの球体の内部が硫
酸バリウムなどで白色塗装されたものである。光入力部
2は光入射用の開口を有し、その開口には光ファイバな
どの送光側ライトガイド4の送光部4aが取りつけられて
光が照射される。その照射光6は拡散性であり、光入力
部2の球体内面で散乱する。8は光出力部であり、光入
力部2と同じ大きさの球体であり、その内部も硫酸バリ
ウムなどで白色塗装されている。光出力部8には光を取
り出すための出口開口が設けられており、その出口開口
には光ファイバなどの受光側ライトガイド10の受光部10
aが取りつけられる。光出力部8で散乱した拡散光12は
受光側ライトガイド10に入射する。
光入力部2と光出力部8の間には円筒状の結合部14が
設けられており、結合部14には減光用仕切板16,18が差
し込まれている。仕切板16,18には減光度を調節するた
めの穴があけられており、その穴の大きさと数は10-4
10-7(Abs4〜7)の手頃な減光度が得られるように設定
されている。
第2図(A),(B)は仕切板16,18の例を表わした
ものであり、穴20の大きさと数により減光度を調節して
いる。
次に、本実施例の使用方法について説明する。
まず、この標準器の検定(値付け)方法を示す。検出
器としては第3図(A)に示されるように、積分球22と
シリコンフォトダイオード24を組み合わせた積分球型検
出器を用いる。この積分球型検出器に送光側ライトガイ
ド4の出力光を直接受光したときを出力をio(λ)とす
る。
次に、同図(B)に示されるように、送光側ライトガ
イド4を実施例の吸光度原点標準器1の光入力部2に取
りつけ、光出力部8には積分球型検出器を取りつける。
この吸光度原点標準器1を介して受光したときの出力を
i(λ)とする。(A)での出力io(λ)と(B)での
出力i(λ)の比T(λ)がこの吸光度原点標準器によ
る減光率であり、 T(λ)=i(λ)/io(λ) である。減光率T(λ)は波長λによって多少変わる可
能性があるので、波長λの関数として表わされている。
吸光度値は −logT(λ) である。
このようにして検定された結果、例えば6.2Abs(780n
m)、6.1Abs(805nm)、5.9Abs(830nm)というように
求まる。通常、吸光度原点標準器作成時にこの値付け作
業を行なっておき、検出値を用いて測定を行なう。
次に、この実施例を用いて吸光度原点較正を行ない、
実測を行なう場合の例を第4図と第5図により説明す
る。
第4図は較正を表わしたものである。
26は測定装置であり、測定対象物に光を送るための送
光用ライトガイド4と測定対象物からの光を受光するた
めの受光用ライトガイド10が設けられ、送光用ライトガ
イド4の先端には対象物に光照射を行なう送光部4aが設
けられ、受光用ライトガイド10の先端には対象物からの
光を受ける受光部10aが設けられている。較正を行なう
ために、本実施例の吸光度原点標準器1の光入力部に送
光用ライトガイド4の先端の送光部4aを取りつけ、光出
力部に受光用ライトガイド10の先端の受光部10aを取り
つける。28は測定装置26の操作キー、30は表示用液晶パ
ネルである。
ライトガイド4と10の間に吸光度原点標準器1を装着
した状態で、測定装置26の各波長の吸光度出力が0にな
るように較正を行なう。
次に、第5図に示されるように測定対象の患者に対し
て送光用ライトガイド4の送光部4aと受光用ライトガイ
ド10の受光部10aとを装着し、例えば780nm、805nm及び8
30nmの3波長で吸光度を測定する。32はレコーダであ
る。そのときの3波長の吸光度出力をa1,a2,a3とする
と、本来の吸光度は吸光度原点標準器1による値付け値
を加算して、 ΔA780=6.2+a1 ΔA805=6.1+a2 ΔA830=5.9+a3 のように求めることができる。
このようにして求めた3波長での吸光度を用いて前述
の(1)〜(3)式を用いて酸化ヘモグロビン変動Δ
[HbO2]、還元ヘモグロビン変動Δ[Hb]及び全ヘモグ
ロビン量変動Δ[Hb]tを求めることができる。この場
合、ヘモグロビンだけでなく、組織の吸光度の波長特性
の影響を受け、患者ごとのバラツキはでるかも知れない
が、個々の患者にかかわらない吸光度原点標準器で規格
化しているので、患者ごとの差を見るためのアプローチ
が可能となる。
第4図及び第5図に示されるような測定装置を用いる
場合は、送光部4aと受光部10aは別体になっているの
で、第1図の実施例では光入力部2と光出力部8の間隔
は特に厳密に定める必要はない。それに対し、第6図に
示されるように送光部34と受光部38が使いやすいように
一体化されたものが考えられる。送光部34には光源とし
て半導体レーザやLEDなどの発光素子36が設けられてい
る。受光部には受光素子40として例えばシリコンフォト
ダイオードが設けられ、その検出信号を増幅するために
プリアンプ42が設けられている。送光部34と受光部38が
一体となり、発光素子36と受光素子40の間隔lが固定さ
れているので、この場合の吸光度原点標準器1aはその光
入力部2と光出力部8の間隔も送光部36と受光部40の間
隔lに等しくなるように設定される。間隔lは例えば4c
mである。
第7図はさらに他の実施例を表わしている。
この場合、送光部34が1個で送光部34の発光素子36か
らの間隔の異なる2個所にそれぞれ受光部38a,38bが設
けられ、それぞれにシリコンフォトダイオードなどの受
光素子40a,40bが設けられている。光源36から第1の受
光素子40aまでの間隔はl1であり、第2の受光素子40bま
での間隔はl1+l2である。l1,l2はそれぞれ例えば3cmで
ある。送光部34と2つの受光部38a,38bは一体化されて
おり、間隔l1,l2は固定されている。このような送光部3
4と受光部38,38bに対応するように、吸光度原点標準器1
bは1個の光入力部2と2個の光出力部8a,8bを備え、光
入力部2と第1の光出力部8aの間は結合部14aで連結さ
れ、第1の光出力部8aと第2の光出力部8bの間は結合部
14bで連結され、各結合部14a,14bにそれぞれ減光用仕切
板42a,42bが設けられている。
第6図又は第7図では測定装置の送光部に光源が直接
設けられ、受光部に光検出器が直接設けられているが、
一方又は両方がライトガイドを介して測定装置内に設け
られた光源や光検出器と結合されているものであっても
よい。
実施例の吸光度原点標準器は測定装置とは別に構成さ
れているが、測定装置の一部として組み込まれていても
よい。
上記の実施例の結合部に設けられている減光用仕切板
は単に穴があけられているだけであるので、波長依存性
をもっていない。それに対し、試料に近い波長特性にす
るために、仕切板の穴にフィルタを取りつけて所望の波
長特性をもたせることができる。また、仕切板に複数の
穴を設け、それらの穴に異なる特性のフィルタを設ける
ことにより波長特性を調節することができる。
本発明の吸光度原点標準器は実施例に示された形状の
ものに限定されるものではなく、例えば光入力部と光出
力部を独立した球体とするのではなく、1つの球体を仕
切板で仕切り、その仕切板に減光用の穴を設けたもので
あってもよい。
また減光用の穴のかわりにメッシュフィルタなど減光
率を自在に規定できる減光素子を用いてもよい。
(発明の効果) 本発明は光入力部と光出力部をそれぞれ光散乱体で構
成し、両部を連結する結合部に減光用の穴を設けた吸光
度原点標準器であるので、これを用いると、従来は試料
に装置を取りつけた後の吸光度変化のみを問題にしてい
たのに対し、本発明では異なる試料間の差や生体組織が
どれだけの光を吸収するかの評価をすることができるよ
うになる。
光入力部と光出力部にそれぞれ光散乱体を用いている
ので、実際に測定を行なう生体などの試料に光を照射し
受光する条件との近似度が大きくなる。
光の透過率の大きすぎる(十分な減光率をもたない)
減光度原点標準器で較正を行なうと、測定器に受光され
る光が強すぎて測定器が飽和するので、目的とする試料
と同程度の減光率の標準器が必要であるが、結合部の減
光用の穴の大きさや数などによって必要な減光度を自在
に選ぶことができる。
結合部にフィルタを設けることにより所望の波長特性
をもたせることができ、さらに、複数の場所に異種のフ
ィルタを設ければ波長特性の自由度が上がる。
【図面の簡単な説明】
第1図は一実施例を示す断面図、第2図は同実施例で用
いられる減光用仕切板の例を示す平面図、第3図は同実
施例の検定を説明する図であり、(A)は検出器に直接
光入射させた場合を示す断面図、(B)は実施例にその
検出器を装着した状態を示す断面図、第4図は本実施例
の較正方法を示す斜視図、第5図は測定装置による実測
方法を示す斜視図、第6図及び第7図はそれぞれ他の実
施例を示す断面図である。 1,1a,1b……吸光度原点標準器、2……光入力部、8,8a,
8b……光出力部、14,14a,14b……結合部、16,18,42a,42
b……減光用仕切板、20……仕切板の穴。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江田 英雄 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所三条工場内 (56)参考文献 特開 昭51−108876(JP,A) 特許120002(JP,C2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体試料の一部より光を照射し、別の部分
    から出てくる光を受光する装置の吸光度測定の原点を求
    める吸光度原点標準器において、生体試料に光を照射す
    る送光部を取り付ける、光散乱体からなる光入力部と、
    生体試料の別の部分から出てくる光を受光する受光部を
    取り付ける、光散乱体からなる光出力部と、光入出力部
    を結び減光機能を有する結合部とを備えた吸光度原点標
    準器。
JP2199860A 1990-07-27 1990-07-27 吸光度原点標準器 Expired - Lifetime JP3047188B2 (ja)

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JP2586278B2 (ja) * 1992-03-30 1997-02-26 株式会社島津製作所 光測定装置の吸光度原点標準器
WO2004019780A1 (ja) * 2002-08-28 2004-03-11 Akiyasu Fukumura 近赤外線を使用した生体内酸素飽和度測定方法とその装置、並びに該装置に用いるセンサー感度基準較正器
JP4161742B2 (ja) 2003-03-03 2008-10-08 株式会社デンソー トルク伝達装置
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