JP3046235U - マウスパッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 要求された機能を確保しつつ生産性に優れ、
かつ、多品種少量生産を容易にするマウスパットを提供
すること。 【解決手段】 基材２の表面に、フィラーを含有しかつ
吸水性を有するコーティング層３を積層してマウスパッ
ド１を形成する。コーティング層３にフィラーが含有さ
れているので、マウスの操作性を向上できる。基材２に
直接コーティング層３を印刷できるため、生産性も向上
できる。さらに、コーティング層３は吸水性を有するた
め、筆記受理性が高められ、コーティング層３にインク
ジェットプリンター等を用いて直接印刷でき、種々のデ
ザインを容易に得ることができるため他品種少量生産に
も容易に対応できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、コンピュータに接続されたマウスの操作性を高めるために用いられ るマウスパッドに関する。

【０００２】

【背景技術】

近年、コンピュータの操作にマウスを用いることが多くなっているが、このマ ウスは、マウス本体の内部に回動自在にかつ前記マウス本体の下部に一部が露出 した状態で装着されたボールを操作面に接触させておき、前記マウス本体を前記 操作面に沿って移動させて前記ボールを回転させるとともに、このボールの回転 方向や回転量を検出することにより、前記コンピュータのディスプレイ上に表示 されているマウスポインタの移動方向や移動量を制御するようにしている。

【０００３】 ところで、このようなマウスにおいては、マウス本体を滑らせる際のタッチ感 が良好であることや、その移動量に対するマウスポインタの追従性が良好である こと、すなわち、操作性が良好であることが望まれている。 そのために、マウスが接触させられる操作面には、適度なクッションが要求さ れ、また、マウス本体を移動させた際のボールの滑りを抑制して、このボールを マウス本体の移動量に応じて回転させるような機能が要求される。 しかしながら、前記操作面の状況はコンピュータの設置場所によって異なり、 常に前述した機能が満足されるとは限らない。

【０００４】 そのために、従来では、マウスパッドと称される操作板を用いることにより、 コンピュータの設置場所に拘わらず、前述したタッチ感や操作性が安定して得ら れる操作面を確保することが行なわれている。 そして、このようなマウスパッドとして、図３及び図４に示す構造のものが知 られている。 このマウスパッド３１は、マウスパッド３１の設置面との滑りを抑制するため に設けられたスリップ防止材３２と、このスリップ防止材３２の上面に積層され る柔軟性を有するクッション材３３と、このクッション材３３の上面に積層され 、表面に微少な凹凸が形成された表面材３４とからなり、これらのスリップ防止 材３２、クッション材３３及び表面材３４を、それぞれ個別に所定形状に形成し た後に、接着剤等を用いて図４に示すように一体に積層して構成されている。 このような従来のマウスパッド３１においては、前記表面材３４の微少な凹凸 によって前記マウスのボールの滑りを抑制し、かつ、前記クッション材３３によ ってマウス使用時のクッション性を確保するようにしている。 また、前記スリップ防止材３２を柔軟性を有する材料によって形成することに より、前記クッション材３３を省略して２層構造としたものも提案されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このような従来のマウスパッド３１においては、つぎのような問題 点が残されている。 すなわち、マウスパッド３１を製造する際に、各スリップ防止材３２、クッシ ョン材３３、及び、表面材３４をそれぞれ個別に製作した後に、接着剤等によっ て積層するようにしていることから、その製造工程が多工程となり煩雑であると いった問題点である。 また、マウスパッド３１には近年ファッション性も求められており、使用者は 、前記表面材３４の表面の模様や図柄と全体の形状との組み合わせを、好みに応 じて選択して購入することが殆どであり、このために、多品種少量生産を余儀な くされているが、前述した従来のマウスパッド３１において、表面の模様や図柄 を変更するには、前記表面材３４自体を取り替えなければならないから、多品種 少量生産には適しないといった問題点もある。

【０００６】 本考案は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、要求された機能 を確保しつつ生産性に優れ、かつ、多品種少量生産を容易にするマウスパッドを 提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の請求項１に係わるマウスパッドは、基材と、この基材の表面に積層さ れたコーティング層とを備え、前記コーティング層は、フィラーを含有しかつ吸 水性を有することを特徴とする。 前記基材は、生産効率を考慮して、クッション性とスリップ防止性を兼ね備え た樹脂シートが好適に用いられるが、その具体例としては、例えば、ポリ塩化ビ ニルやポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィンエラスト マー等の単層樹脂シート、あるいは、各樹脂の混合体やポリ塩化ビニルとポリエ ステルクロスを張り合わせたターポリン等の複合材料が用いられる。また、この 基材には必要に応じて、フィラーが配合される。

【０００８】 前記コーティング層は、前記基材に対して、ナイフコーター、コンマコーター 、グラビアコーター、キスコーター、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビ ア印刷、あるいは、タコ印刷といった一般的なコーティング技術によって形成さ れ、したがって、接着等の手段を用いて積層する工程が省かれて製造工程が簡素 化される。

【０００９】 また、前記コーティング層を吸水性とすることにより、その筆記受理性が高め られ、この結果、このコーティング層にインクジェットプリンター等を用いた直 接印刷を施すことが可能となって、種々のデザインを容易に得ることができ、ま た、ユーザー自身で自由な装飾が可能となる。 さらに、用いるフィラーの材質や形状等を適宜選択することにより、コーティ ング層の光透過性が調整可能で、このコーティング層が形成される前記基材表面 の状態が前記コーティング層を通して視認可能とすることもでき、これによって 、前記基材表面模様をデザインとして用いることも可能となり、マウスパッドの デザインの多様化が容易に図られる。 なお、必要に応じて表面層にフィルムをラミネートし、表面層の耐久性を向上 させたり、印刷層の耐久性を向上させたり、マウスの滑り性を調節したりするこ ともできる。

【００１０】 本考案の請求項２に係わるマウスパッドは、請求項１において、前記フィラー が、前記コーティング層を形成する塗膜固形分中に２５重量％以上配合されてい ることを特徴としている。 さらに、請求項３に係わるマウスパッドは、前記フィラーが、前記コーティン グ層を形成する塗膜固形分中に５０重量％以上配合されていることを特徴として いる。 このフィラーの配合量が２５重量％未満であると、形成されるコーティング層 の粗さ（凹凸の数）を十分に確保することができず、この結果マウスのボールの 回転が不安定となってしまうことから、このフィラーの配合量は２５重量％以上 が好ましく、さらに５０重量％以上配合することが望ましい。

【００１１】 本考案の請求項４〜６に係わるマウスパッドは、前記各フィラーの平均粒径が ２０μｍ以下であることを特徴としている。 このフィラーの平均粒径が２０μｍを越えるとマウスパッドの表面の粗さが粗 くなり過ぎてタッチ感が悪くなるとともに、使用時の表面の磨耗が大きくなる傾 向があることから、フィラーの平均粒径は２０μｍ以下が好適である。

【００１２】 本考案の請求項７に係わるマウスパッドは、前記フィラーが有機フィラーであ ることを特徴としている。この有機フィラーは、コラーゲン、シルク、ウール、 卵殻膜粉砕物等のタンパク質、キチン、キトサン、及び、セルロースから選ばれ た少なくとも１種であること、つまり単独のフィラーか又は２種以上の混合物で ある。 また、前記フィラーとしては、シリカや酸化チタン等の無機フィラーを用いて もよいし、さらには、有機フィラーと無機フィラーを混合したものを用いてもよ い。これらのフィラーは、コーティング層の隠蔽性（透明性）などを考慮して適 宜選択配合すればよい。 そして、これらのフィラーは適当な樹脂バインダーを用いて固定されるが、こ の樹脂バインダーとしては、溶剤タイプ、水溶性タイプ、エマルジョンタイプ、 紫外線硬化タイプ等が使用され、樹脂の種類としては、特に制限されるものでは ないが、アクリル、ウレタン、塩化ビニル、ポリエステル、塩化ビニル―酢酸ビ ニル共重合体等が挙げられ、強度や耐久性、密着性等を考慮して選択される。

【００１３】 なお、本考案のコーティング層は、印刷で形成することもでき、この場合、基 材表面に模様等を付けるための印刷と、コーティング層の印刷とを連続して１ラ インで行うこともでき、コーティング層を用いることは、生産効率上非常に有効 である。

【００１４】

【考案の実施の形態】

以下に、具体的な実施例を示して本考案を詳細に説明する。 〔実施例１〕 ポリカ系ポリウレタンエマルジョン１３重量部、コラーゲンパウダー（平均粒 径５μｍ）２８重量部、水５９重量部からなるコーティング剤を作製し、図１に 示すように、このコーティング剤を、易接着アンカーコートを施した厚さ０．５ ｍｍの軟質ＰＰシート（商品名ピュアソフティ；出光石油化学株式会社製）から なる基材２の表面に、乾燥膜厚が４０μｍとなるように、ナイフコーティングに よってコーティングし、温度８０℃で乾燥させて、図２に示すようなコーティン グ層３が形成されたマウスパッド１を作製した。

【００１５】 〔実施例２〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーをシルクパウダー（平均粒径６μｍ）に 代えてマウスパッドを作製した。

【００１６】 〔実施例３〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーをウールパウダー（平均粒径７μｍ）に 代えてマウスパッドを作製した。

【００１７】 〔実施例４〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーを卵殻膜粉砕パウダー（平均粒径５μｍ ）に代えてマウスパッドを作製した。

【００１８】 〔実施例５〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーをキチンパウダー（平均粒径７μｍ）に 代えてマウスパッドを作製した。

【００１９】 〔実施例６〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーをキトサンパウダー（平均粒径７μｍ） に代えてマウスパッドを作製した。

【００２０】 〔実施例７〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーをセルロースパウダー（平均粒径６μｍ ）に代えてマウスパッドを作製した。

【００２１】 〔実施例８〕 実施例１におけるコラーゲンパウダーをシリカ（平均粒径３μｍ）に代えてマ ウスパッドを作製した。

【００２２】 〔実施例９〕 実施例１において、酸化チタン（平均粒径５μｍ）を１０重量部添加してマウ スパッドを作製した。

【００２３】 〔実施例１０〕 実施例１において、ポリプロピレン製の基材２をポリ塩化ビニルターポリン製 の基材に代えてマウスパッドを作製した。

【００２４】 〔実施例１１〕 実施例１において、住友ＴＰＥ（商品名；住友化学工業製）をＴダイにより０ ．５ｍｍの厚さとしたシートを作製し、このシートの表面に易接着処理を施した ものを基材としてマウスパッドを作製した。

【００２５】 〔実施例１２〕 実施例１０において、基材に花柄の印刷を施した後に、連続してセルロースパ ウダーを３０重量部配合したＵＶ硬化インキ（クリアー色）を凸版オフセット印 刷にて印刷し、マウスパッドを作製した。

【００２６】 〔比較例１〕 また、比較例として、実施例１において、コラーゲンパウダーを配合せずにマ ウスパッドを作製した。

【００２７】 〔比較例２〕 さらに、比較例として、実施例１におけるコラーゲンパウダーとして、平均粒 径３０μｍのものを用いてマウスパッドを作製した。

【００２８】 〔特性の評価〕 前記実施例１〜１２および比較例１〜２に対して、タッチ感と操作性からなる マウスパッド適性、鮮明性や乾燥性からなる印刷受理適性、鮮明性からなる基材 印刷の各項目について評価した。それらの結果を表１に示す。

【００２９】 なお、評価方法は、マウスパッド適性についてはモニター１０名による官能評 価であり、タッチ感および操作性に関して、良好（◎）、普通（○）、悪い（× ）の３段階によって評価した。 また、印刷受理性については、マウスパッドのコーティング層に、インクジェ ットプリンター（セイコーエプソン製；ＭＪー３０００Ｃ）を用いて、７２０ｄ ｐｉで印刷を行ない、印刷面の乾燥性および鮮明性について評価を行なった。 そして、鮮明性に対しては、良好（◎）、普通（○）、悪い（×）の３段階評 価を行ない、乾燥性に対しては、印刷後１分で乾燥（◎）、印刷後５分で乾燥（ ○）、乾燥せず（×）の３段階評価を行なった。 さらに、基材印刷の鮮明性に対して、基材印刷が表面から見える（◎）、基材 印刷が全く見えない（×）の２段階評価を行った。なお、評価未実施（―）は、 基材印刷の評価を行わなかったものである。

【００３０】

【表１】

【００３１】 表１より本考案の実施例１ないし実施例１１に係わるマウスパッドにおいては 、マウスパッド適性および印刷受理適性の何れの項目においても良好な結果が得 らたことがわかる。 なお、これらの実施例１ないし実施例１１において基材印刷における鮮明性の 評価を省略したのは、コーティング層３へ印刷処理を施したことにより、基材印 刷を施す必要がなく、したがって、この鮮明性の確認が不要であるからである。

【００３２】 そして、実施例９においては、酸化チタンを添加したことにより、コーティン グ層３の隠蔽性が高められて、意図的に基材印刷を隠蔽することが可能であるこ とが分かる。 さらに、実施例１２においては、マウスパッド適性や印刷受理性を普通つまり 実用上問題のない程度に確保しつつ、コーティング層３の透明度を高めて、基材 印刷の視認性を高めることが可能であることが分かる。

【００３３】 一方、比較例１に係わるマウスパッドにおいては、フィラーを含んでいないこ とから、基材印刷に対する視認性は確保できるものの、マウスパッド適正や印刷 受理性が不良である。 また、比較例２に係わるマウスパッドにおいては、配合するフィラーの平均粒 径が３０μｍと大きいことにより、比較例１と同様に、基材印刷に対する視認性 は確保できるものの、マウスパッド適正や印刷受理性が不良である。

【００３４】 以上の実験結果からも明らかなように、本考案のマウスパッドによれば、マウ スの操作性に優れ、生産上も従来のように接着工程（ラミ工程）を省略すること ができて生産性を高めることができる。さらに、マウスパッド表面にインクジェ ットプリンタ等で印刷することができ、他品種少量生産にも容易に対応できる。 また、本考案のマウスパッドでは、コーティング層の隠蔽性を調整することで、 基材の印刷模様等を利用することも、基材の模様を隠すことも可能であり、様々 なデザインのマウスパッドを形成することができる。

【００３５】

【考案の効果】

本考案によれば、基材の表面に通常のコーティング技術によってコーティング 層を形成するといった簡素な工程によってマウスパッドを製造することができ、 また、マウスの操作性を確保しつつ、コーティング層の印刷受理性あるいは透過 性を確保して、デザインの変更の自由度が高いマウスパッドを得ることができ、 この結果、他品種少量生産に適したマウスパッドを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施形態に係わるマウスパッドを製
造するための工程説明図である。

【図２】本考案の一実施形態に係わるマウスパッドを示
す外観斜視図である。

【図３】従来のマウスパッドを製造するための工程説明
図である。

【図４】従来のマウスパッドを示す外観斜視図である。

【符号の説明】

１ マウスパッド ２ 基材 ３ コーティング層

Claims (10)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材と、この基材の表面に積層されたコ
   ーティング層とを備え、前記コーティング層は、フィラ
   ーを含有し、かつ、吸水性を有することを特徴とするマ
   ウスパッド。
2. 【請求項２】 前記フィラーは、前記コーティング層を
   形成する塗膜固形分中に２５重量％以上配合されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のマウスパッド。
3. 【請求項３】 前記フィラーは、前記コーティング層を
   形成する塗膜固形分中に５０重量％以上配合されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のマウスパッド。
4. 【請求項４】 前記フィラーの平均粒径が２０μｍ以下
   であることを特徴とする請求項１に記載のマウスパッ
   ド。
5. 【請求項５】 前記フィラーの平均粒径が２０μｍ以下
   であることを特徴とする請求項２に記載のマウスパッ
   ド。
6. 【請求項６】 前記フィラーの平均粒径が２０μｍ以下
   であることを特徴とする請求項３に記載のマウスパッ
   ド。
7. 【請求項７】 前記フィラーが、有機フィラーであるこ
   とを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載のマウス
   パッド。
8. 【請求項８】 前記有機フィラーが、コラーゲン、シル
   ク、ウール、タンパク質、キチン、キトサン及びセルロ
   ースから選ばれた少なくとも１種であることを特徴とす
   る請求項７に記載のマウスパッド。
9. 【請求項９】 前記フィラーが、無機フィラーであるこ
   とを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載のマウス
   パッド。
10. 【請求項１０】 前記フィラーが、有機フィラーおよび
    無機フィラーであることを特徴とする請求項１〜６のい
    ずれかに記載のマウスパッド。