JP3045395B2 - 炭化珪素含有アルミニウム合金の製造方法 - Google Patents

炭化珪素含有アルミニウム合金の製造方法

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JP3045395B2 JP01225072A JP22507289A JP3045395B2 JP 3045395 B2 JP3045395 B2 JP 3045395B2 JP 01225072 A JP01225072 A JP 01225072A JP 22507289 A JP22507289 A JP 22507289A JP 3045395 B2 JP3045395 B2 JP 3045395B2
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英俊 山内
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はセラミックス含有合金の製造方法に関し、特
に炭化珪素含有アルミニウム合金の製造方法に関するも
のである。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 従来、各種のセラミックス粒子を各種の金属中に分散
させて優れた特性を有する金属化合物を合成する試みが
なされている。例えば、炭化珪素粒子を溶融状態のアル
ミニウム−シリコン合金に分散させることが試みられて
おり、こうして得た炭化珪素含有アルミニウム合金にお
いては、アルミニウム−シリコン合金が本来有する良好
な鋳造性、溶接性、軽量性等に加えて、更に強度に優れ
た合金となることが期待され、自動車のエンジンの構成
材料等として有望視されている。
ところが、炭化珪素粒子は極めて凝集し易く、凝集し
たままの炭化珪素粒子を溶融状態のアルミニウム−シリ
コン合金中に分散させると、添加した炭化珪素の一部が
不均一な凝集状態のまま混在する炭化珪素含有アルミニ
ウム合金となってしまい、理論的に期待される強度の向
上率に比べて、僅かな強度しか向上させることができな
いという問題があり、未だ実用化されていない。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その
目的は、炭化珪素粉末を凝集させることなく極めて微粒
な状態で簡便かつ均一に金属中に分散させることの可能
な炭化珪素含有アルミニウム合金の製造方法を提供する
ことにある。
[課題を解決するための手段及び作用] 上記課題を解決するために本発明は、炭化珪素粉末の
凝集部分を粉砕によって凝集前の状態に復元した後、こ
れを溶融状態の金属としてのアルミニウム又はアルミニ
ウム合金(以下、溶融金属Mという)中に分散させた。
炭化珪素粉末は金属中に分散される直前に、粉砕により
凝集状態を解かれて一次粒子に復元されるため、溶融状
態の金属中に十分に分散され、均一な炭化珪素含有アル
ミニウム合金が得られる。
前記炭化珪素粉末としてはα型及びβ型のいずれの炭
化珪素をも用いることができる。炭化珪素の配合割合
は、アルミニウム100重量部に対して、1〜30重量部の
範囲である。配合割合が1重量部未満では、得られる炭
化珪素含有アルミニウム合金の強度の向上が望めず、30
重量部を超えると、炭化珪素のアルミニウムへの均一な
分散が困難となる。
前記金属としては、アルミニウムの他、アルミニウム
−シリコン合金、マグネシウム合金等の二種以上の金属
の合金があげられる。
炭化珪素粉末の粉砕には、気流粉砕と機械粉砕とがあ
り、気流粉砕は、乱流を発生させ、これにより粒子を互
いに衝突させて凝集状態の粗大粒子を一次粒子化する気
流粉砕機等によってなされる。この気流粉砕によって、
炭化珪素粉末の凝集部分が一次粒子に復元される。この
方法は、一次粒子の平均粒径が1.0μm以下の微粉にお
いても極めて効率良く一次粒子に分散でき、これを気体
と共に所定の金属溶湯中にバブリングすることが可能で
ある。
また、機械粉砕は、粒子の凝集体を機械的媒体との接
触によって一次粒子化するCFミル、ボールミル、乾式ア
トライター等の機械粉砕機によってなされる。この方法
は、機械粉砕機の容器内で一次粒子化し、その状態で浮
遊している一次粒子を気体により容器外に移動させる。
その際の気体量は、気流粉砕と比べて少量で可能であ
り、一般に0.2〜50Nl/minのガス量である。従って、気
体が少ないことが好ましい場合に適している。本発明に
よれば、一次粒子の平均粒径が1.0μm以下の場合に特
に作用が高い。それは、平均粒径が1.0μmより小さい
と、一次粒子が極めて凝集し易くなり、本発明の粉砕工
程を用いることで十分に一次粒子となり得るからであ
る。
一次粒子化された炭化珪素は不活性ガスと共に運ば
れ、溶融状態の金属中にバブリングされる。そして、炭
化珪素微粒子は溶融金属中に取り込まれ、不活性ガスは
溶融金属中から外部へ放散される。
溶融金属中に炭化珪素微粒子及び不活性ガスをバブリ
ングする際に、溶融金属を高周波攪拌することが好まし
く、これにより添加された炭化珪素微粒子が溶融金属中
に均一に分散される。
炭化珪素微粒子を溶融金属中に均一に分散した後、溶
融金属を冷却することにより、目的とする炭化珪素含有
アルミニウム合金が得られる。
[実施例1並びに比較例1及び比較例2] 以下に本発明を具体化した実施例1並びに比較例1及
び比較例2について説明する。
まず、第1図に示す本発明の実施に使用する装置につ
いて説明すると、金属を溶融する分散容器1の周囲に
は、加熱装置2と、溶融金属M中に添加された炭化珪素
を分散させるための高周波攪拌機3とが配設されてお
り、分散容器1の一側には気流粉砕機4が配設されてい
る。
この気流粉砕機4は原料供給部4aと粉砕部4bとからな
り、原料粉末Pは不活性ガスであるキャリヤガスによっ
て原料供給部4aから粉砕部4bに移送され、原料粉末P中
の凝集部分が粉砕部4bにおける気流により一次粒子に復
元される。一次粒子化された原料粉末Pはキャリヤガス
と共に気流粉砕機4内から導入管5を介して分散容器1
内の溶融金属M中に導入される。
尚、本実施例では、気流粉砕機としてセイシン企業社
製の「コンパクトジェットミル」を使用した。また、分
散容器1は不活性雰囲気中に配置されている。
(実施例1) 前記分散容器1内において、純度99.9重量%のアルミ
ニウム80重量部と、金属カルシウム0.05重量部とを1000
℃に加熱して溶融させた。そして、平均粒径が0.2〜0.3
μmのβ型炭化珪素粉末を気流粉砕機4によってキャリ
ヤガスとしてのアルゴンガス(7kg/cm2)と共に処理し
て、分散容器1内の溶融金属M中に1時間バブリングす
ることにより、20重量部のβ型炭化珪素粉末を溶融金属
M中に混合した。バブリング中及びバブリング終了後の
1時間、溶融金属Mを高周波攪拌機3にて攪拌した後、
冷却して炭化珪素含有アルミニウム合金を得た。
その強度をJISB7771号に基づく常温における引張り試
験によって測定した。その結果を表−1に示す。
(比較例1) 前記分散容器1内において、純度99.9重量%のアルミ
ニウム80重量部と、金属カルシウム0.05重量部とを1000
℃に加熱して溶融させ、この溶融金属中に平均粒径が0.
2〜0.3μmのβ型炭化珪素粉末を気流粉砕機4を介さず
に、凝集部分を含有した状態でアルゴンガスと共に1時
間かけてバブリングすることにより、20重量部のβ型炭
化珪素粉末を溶融金属中に混合し、実施例1と同様にし
て炭化珪素含有アルミニウム合金を得た。
その強度測定結果を前記表−1に示す。
(比較例2) 前記分散容器1内において、炭化珪素粉末を混合しな
い前記実施例1と同様のアルミニウム、金属カルシウム
配合のアルミニウム合金を得た。
その強度測定結果を前記表−1に示す。
前記表−1から明らかなように、実施例1は、炭化珪
素を添加していない比較例2の約1.4倍に強度が向上し
ており、また、気流粉砕機4を使用せずに炭化珪素粉末
を添加した比較例1と比べても、約19%の強度が向上し
ていることがわかる。
[実施例2並びに比較例3及び比較例4] 以下に本発明を具体化した実施例2並びに比較例3及
び比較例4について説明する。
まず、第2図に示す本発明の実施に使用する装置につ
いて説明すると、金属を溶融する分散容器1の周囲に
は、加熱装置2と、溶融金属M中に添加された炭化珪素
を分散させるための高周波攪拌機3とが配設されてお
り、分散容器1の一側には機械粉砕機6が配設されてい
る。この機械粉砕機6は原料供給部6aと粉砕部6bとから
なり、原料粉末Pはキャリヤガスによって原料供給部6a
から粉砕部6bに移送され、原料粉末P中の凝集部分が粉
砕部6bにおける機械的媒体との接触により一次粒子に復
元される。一次粒子化された原料粉末Pはキャリヤガス
と共に機械粉砕機6内から導入管5を介して分散容器1
内の溶融金属M中に導入される。
尚、本実施例では、機械粉砕機6として三井三池化工
機(株)製の「乾式アトライター」を使用した。前記乾
式アトライターの使用にあたっては下記の条件で行っ
た。
タンク容量40、ボール投入量36(ボールは炭化珪
素製で粒径3〜5mm)、連続原料投入量20。
機械粉砕機6としては、この「乾式アトライター」の
他に、宇部興産(株)製の「CFミル」等を使用すること
もできる。また、分散容器1は不活性雰囲気中に配置さ
れている。
(実施例2) 前記分散容器1内において、純度99.9重量%のアルミ
ニウム80重量部と、金属カルシウム0.05重量部とを1000
℃に加熱して溶融させた。そして、平均粒径が0.2〜0.3
μmのβ型炭化珪素粉末を機械粉砕機6によってキャリ
ヤガスとしてのアルゴンガス(1/min)と共に処理し
て、分散容器1内の溶融金属M中に1時間バブリングす
ることにより、20重量部のβ型炭化珪素粉末を溶融金属
M中に混合した。バブリング中及びバブリング終了後の
1時間、溶融金属Mを高周波攪拌機3にて攪拌した後、
冷却して炭化珪素含有アルミニウム合金を得た。
その強度をJISB7771号に基づく常温における引張り試
験によって測定した。その結果を表−2に示す。
(比較例3) 前記分散容器1内において、純度99.9重量%のアルミ
ニウム80重量部と、金属カルシウム0.05重量部とを1000
℃に加熱して溶融させ、この溶融金属中に平均粒径が0.
2〜0.3μmのβ型炭化珪素粉末を機械粉砕機6を介さず
に、凝集部分を含有した状態でアルゴンガスと共に1時
間かけてバブリングすることにより、20重量部のβ型炭
化珪素粉末を溶融金属中に混合し、実施例2と同様にし
て炭化珪素含有アルミニウム合金を得た。
その強度測定結果を前記表−2に示す。
(比較例4) 前記分散容器1内において、炭化珪素粉末を混合しな
い前記実施例2と同様のアルミニウム、金属カルシウム
配合のアルミニウム合金を得た。
その強度測定結果を前記表−2に示す。
前記表−2から明らかなように、実施例2は、炭化珪
素を添加していない比較例4の約1.48倍に強度が向上し
ており、また、機械粉砕機6を使用せずに炭化珪素粉末
を添加した比較例3と比べても、約30%の強度が向上し
ていることがわかる。
更に、実施例2では、粉砕部6bにおける凝集部分の粉
砕が機械的媒体との接触による粉砕であるため、前記実
施例1の粉砕部4bにおけるキャリヤガスによる攪拌とは
異なり、キャリヤガスの供給量を非常に少なくすること
ができる。このため、粉砕部6bにて粉砕されて一次粒子
化された炭化珪素粉末が分散容器1内の溶融金属M中で
バブリングされる際に、キャリヤガスと共に系外へ放出
される炭化珪素粉末を非常に少なくすることができ、溶
融金属M中に捕集される炭化珪素粉末の割合を増加させ
ることができる。つまり、溶融金属Mへの炭化珪素粉末
の供給能力を向上させることができる。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、炭化珪素粉末を
凝集させることなく極めて微粒な状態で簡便かつ均一に
アルミニウム合金中に分散させることができ、炭化珪素
含有アルミニウム合金の強度を向上させることができる
という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施に使用する装置の説明図、第2図
は同じく本発明の別の実施に使用する装置の説明図であ
る。 M……溶融金属、P……原料粉末(炭化珪素粉末)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/10 C22C 21/00 B22D 19/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化珪素粉末(P)の凝集部分を粉砕によ
    って凝集前の状態に復元した後、溶融状態のアルミニウ
    ム又はアルミニウム合金中に、アルミニウム100重量部
    に対して1〜30重量部の配合割合で前記炭化珪素粉末
    (P)を分散させることを特徴とする炭化珪素含有アル
    ミニウム合金の製造方法。
  2. 【請求項2】凝集前の炭化珪素一次粒子の平均粒径は、
    1.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    炭化珪素含有アルミニウム合金の製造方法。
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KR102327519B1 (ko) * 2019-10-29 2021-11-17 주식회사 알토 조명 장치
JP2022511617A (ja) * 2018-10-24 2022-02-01 オートモーティブ コンポーネンツ フロビー アーベー 流動化槽を含むアルミニウム溶融物を調製するシステム

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