JPH079113A - 複合材の製造方法 - Google Patents
複合材の製造方法Info
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- JPH079113A JPH079113A JP17358893A JP17358893A JPH079113A JP H079113 A JPH079113 A JP H079113A JP 17358893 A JP17358893 A JP 17358893A JP 17358893 A JP17358893 A JP 17358893A JP H079113 A JPH079113 A JP H079113A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 半凝固法により分散強化型金属基複合材を製
造するにあたって、分散強化材が極微細であっても分散
強化材が均一に分散したガスの巻き込みによる欠陥の少
ない良好な品質の分散強化型金属基複合材を得る。 【構成】 減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを分散媒
とし、この分散散中に分散強化材を添加・混入して複合
スラリーとし、減圧のまま該複合スラリーの攪拌を、分
散強化材が均一分散に至るまで継続する、又は、さらに
減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒とした金属の液相
線以上の温度に昇温する。
造するにあたって、分散強化材が極微細であっても分散
強化材が均一に分散したガスの巻き込みによる欠陥の少
ない良好な品質の分散強化型金属基複合材を得る。 【構成】 減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを分散媒
とし、この分散散中に分散強化材を添加・混入して複合
スラリーとし、減圧のまま該複合スラリーの攪拌を、分
散強化材が均一分散に至るまで継続する、又は、さらに
減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒とした金属の液相
線以上の温度に昇温する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属、金属化合物又
はセラミックス粒子あるいはウィスカー等の分散強化材
が金属分散媒(マトリックス)中に均一に分散してなる
分散強化型金属基複合材(以下単に複合材という)の好
適な製造方法を提案するものである。
はセラミックス粒子あるいはウィスカー等の分散強化材
が金属分散媒(マトリックス)中に均一に分散してなる
分散強化型金属基複合材(以下単に複合材という)の好
適な製造方法を提案するものである。
【0002】近年、部材の強度などその品質特性の向上
がはかれる複合材が注目され、実用化が進められてい
る。この複合材の製造にあたっては、安価であることの
ほか、良好な品質を得るために、分散媒中に分散強化材
を均一に分散させること、ガスの巻き込みによる内部欠
陥を減少させることなどが重要である。
がはかれる複合材が注目され、実用化が進められてい
る。この複合材の製造にあたっては、安価であることの
ほか、良好な品質を得るために、分散媒中に分散強化材
を均一に分散させること、ガスの巻き込みによる内部欠
陥を減少させることなどが重要である。
【0003】
【従来の技術】これまでの複合材の製造方法としては、
それぞれ以下に述べる方法が知られている。
それぞれ以下に述べる方法が知られている。
【0004】高圧鋳造法:分散強化材のプリフォームを
作り、これに分散媒とする合金溶湯を加圧含浸凝固させ
ることにより複合材を製造する。
作り、これに分散媒とする合金溶湯を加圧含浸凝固させ
ることにより複合材を製造する。
【0005】粉末加工法:分散媒とする合金を粉末化
し、この合金粉末と分散強化材とを混合し、加圧、押し
出し等により合金粉末同志を接合させることにより複合
材を製造する。
し、この合金粉末と分散強化材とを混合し、加圧、押し
出し等により合金粉末同志を接合させることにより複合
材を製造する。
【0006】メカニカルアロイング法:分散媒とする合
金を粉末化し、この合金粉末と分散強化材とを混合して
機械的に練り合わせることにより複合材を製造する。
金を粉末化し、この合金粉末と分散強化材とを混合して
機械的に練り合わせることにより複合材を製造する。
【0007】溶湯法:分散媒とする合金溶湯に分散強化
材を添加・攪拌し混入することにより複合材を製造す
る。
材を添加・攪拌し混入することにより複合材を製造す
る。
【0008】半凝固法(半溶融の場合も含む):分散媒
とする合金を液固混相スラリー状にして、これに分散強
化材を添加・攪拌して混入することにより複合材を製造
する。
とする合金を液固混相スラリー状にして、これに分散強
化材を添加・攪拌して混入することにより複合材を製造
する。
【0009】これらの従来法のうち、分散強化材のプリ
フォームを作る高圧鋳造法や、合金粉末を使用する粉末
加工法及びメカニカルアロイング法などでは、その製造
工程が複雑でかつ多く好ましくない。また、これらの製
造法では大型の複合材を製造することが困難である。
フォームを作る高圧鋳造法や、合金粉末を使用する粉末
加工法及びメカニカルアロイング法などでは、その製造
工程が複雑でかつ多く好ましくない。また、これらの製
造法では大型の複合材を製造することが困難である。
【0010】一方、溶湯法や半凝固法はその製造工程が
単純でかつ少なく、しかも大型の複合材を作り易いとい
う利点を有している。しかしながら、溶湯法では分散強
化材を均一に混入分散させることが困難であり、品質の
優れた複合材が得られない。
単純でかつ少なく、しかも大型の複合材を作り易いとい
う利点を有している。しかしながら、溶湯法では分散強
化材を均一に混入分散させることが困難であり、品質の
優れた複合材が得られない。
【0011】また、半凝固法では分散強化材の均一分散
化すなわち良好な複合化は得られ易いが以下に述べる問
題がある。分散媒とする液固混相スラリー中に分散強化
材を添加・混入する際、分散媒と分散強化材の表面付着
物が反応してガス(水素ガスである場合が多い)が発生
し、この反応により分散強化材の表面付着物が消滅する
ことにより分散強化材の液固混相スラリーに対してぬれ
易くなりぬれが十分となって良好な複合状態になる。
化すなわち良好な複合化は得られ易いが以下に述べる問
題がある。分散媒とする液固混相スラリー中に分散強化
材を添加・混入する際、分散媒と分散強化材の表面付着
物が反応してガス(水素ガスである場合が多い)が発生
し、この反応により分散強化材の表面付着物が消滅する
ことにより分散強化材の液固混相スラリーに対してぬれ
易くなりぬれが十分となって良好な複合状態になる。
【0012】ところが、ぬれが不十分であることによる
複合化欠陥及び液固混相スラリーは粘度が高いことから
発生した反応ガスが浮上しにくく、そのまま複合材中に
残留してガスの巻き込みによる欠陥などが生じるという
問題がある。特に、分散強化材が微細になるほど、その
表面積が増加(分散強化材の粒径に反比例してその表面
積は増大する)、すなわち分散強化材表面全面を分散媒
にぬらすためのぬれ面積は増大し、しかも分散強化材が
微細になるほど塊になり易く、この状態で液固混相スラ
リー中に添加・混合されることになるため、ぬれが不十
分な複合化欠陥が発生する。また、分散強化材の表面積
の増加とともに表面付着物も増加し、これにともなって
反応ガスの発生量が増大すること、分散強化材が塊で添
加・混入されることにより雰囲気ガスをスラリー中へ持
ち込むこと、液固混相スラリーと分散強化材との複合ス
ラリーの粘度の上昇が分散強化材が微細になればなるほ
ど顕著になり、ガスが浮上しにくくなることなどから、
ガスの巻き込みによる欠陥が発生し易くなる。以上よ
り、ぬれが不十分な複合化欠陥及びガスの巻き込みによ
る欠陥が増加し良好な複合材が得られなくなるという問
題があった。
複合化欠陥及び液固混相スラリーは粘度が高いことから
発生した反応ガスが浮上しにくく、そのまま複合材中に
残留してガスの巻き込みによる欠陥などが生じるという
問題がある。特に、分散強化材が微細になるほど、その
表面積が増加(分散強化材の粒径に反比例してその表面
積は増大する)、すなわち分散強化材表面全面を分散媒
にぬらすためのぬれ面積は増大し、しかも分散強化材が
微細になるほど塊になり易く、この状態で液固混相スラ
リー中に添加・混合されることになるため、ぬれが不十
分な複合化欠陥が発生する。また、分散強化材の表面積
の増加とともに表面付着物も増加し、これにともなって
反応ガスの発生量が増大すること、分散強化材が塊で添
加・混入されることにより雰囲気ガスをスラリー中へ持
ち込むこと、液固混相スラリーと分散強化材との複合ス
ラリーの粘度の上昇が分散強化材が微細になればなるほ
ど顕著になり、ガスが浮上しにくくなることなどから、
ガスの巻き込みによる欠陥が発生し易くなる。以上よ
り、ぬれが不十分な複合化欠陥及びガスの巻き込みによ
る欠陥が増加し良好な複合材が得られなくなるという問
題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記事情
に鑑み、半凝固法により、分散強化材の均一分散化はも
とより、特に極微細な分散強化材を用いる場合でもガス
の巻き込みによる欠陥のない品質の良好な複合材が得ら
れる製造方法を提案することを目的とする。
に鑑み、半凝固法により、分散強化材の均一分散化はも
とより、特に極微細な分散強化材を用いる場合でもガス
の巻き込みによる欠陥のない品質の良好な複合材が得ら
れる製造方法を提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨は以下の
通りである。
通りである。
【0015】 減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを
分散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入
して複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの
攪拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続すること
を特徴とする複合材の製造方法である。
分散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入
して複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの
攪拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続すること
を特徴とする複合材の製造方法である。
【0016】 減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを
分散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入
して複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの
攪拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続したの
ち、さらに減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒とした
金属の液相線以上の温度に昇温して脱ガスする過熱・溶
解処理を施すことを特徴とする複合材の製造方法であ
る。
分散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入
して複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの
攪拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続したの
ち、さらに減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒とした
金属の液相線以上の温度に昇温して脱ガスする過熱・溶
解処理を施すことを特徴とする複合材の製造方法であ
る。
【0017】 又は項において、減圧下の雰囲気
を不活性ガスとするものである。 ,又は項において、減圧度を100Torr〜1
×10-4Torrの範囲とするものである。 ,又は項において、減圧度を極微細な分散強
化材に対し、1Torr〜1×10-4Torrの範囲とするもの
である。
を不活性ガスとするものである。 ,又は項において、減圧度を100Torr〜1
×10-4Torrの範囲とするものである。 ,又は項において、減圧度を極微細な分散強
化材に対し、1Torr〜1×10-4Torrの範囲とするもの
である。
【0018】ここに、極微細な分散強化材とは、たとえ
ばSiC粒子において、その粒径が1μm以下のもの、
及びこれと同等の微細なものをいう。
ばSiC粒子において、その粒径が1μm以下のもの、
及びこれと同等の微細なものをいう。
【0019】
【作用】この発明の作用をさらに詳しく以下に述べる。
半凝固法により複合材を製造する場合、分散強化材が微
細になるほど良好な品質の複合材の製造が困難になるの
は、
半凝固法により複合材を製造する場合、分散強化材が微
細になるほど良好な品質の複合材の製造が困難になるの
は、
【0020】分散強化材は微細になればなるほど塊にな
り易く、その塊のまま固液混相スラリー中に添加・混入
されると、液固混相スラリー中での反応ガスの発生量が
多くなること及び該スラリー中に雰囲気ガスを持込むこ
と、
り易く、その塊のまま固液混相スラリー中に添加・混入
されると、液固混相スラリー中での反応ガスの発生量が
多くなること及び該スラリー中に雰囲気ガスを持込むこ
と、
【0021】分散強化材が微細になるにしたがって、そ
の総表面積が増大するとともにその全面をぬらすぬれ面
積及び表面付着物も増加し、これに伴って分散媒とする
液固混相スラリー中に分散強化材を添加・混入した時の
分散強化材の全表面をぬらすための仕事量及び分散媒と
分散強化材の表面付着物との反応ガスの発生量が多くな
ること、
の総表面積が増大するとともにその全面をぬらすぬれ面
積及び表面付着物も増加し、これに伴って分散媒とする
液固混相スラリー中に分散強化材を添加・混入した時の
分散強化材の全表面をぬらすための仕事量及び分散媒と
分散強化材の表面付着物との反応ガスの発生量が多くな
ること、
【0022】液固混相スラリー及びこれへ分散強化材を
添加・混入した複合スラリーの粘度が高いので、スラリ
ー内で発生した反応ガスが浮上しにくくスラリー表面上
へ放散されにくいこと、などのためである。
添加・混入した複合スラリーの粘度が高いので、スラリ
ー内で発生した反応ガスが浮上しにくくスラリー表面上
へ放散されにくいこと、などのためである。
【0023】したがって、この発明は種々実験検討の結
果、半凝固法により分散強化材の均一分散化をはかると
ともに、分散強化材が極微細であっても欠陥のない良好
な品質の複合材が得られる製造方法を確立したものであ
る。
果、半凝固法により分散強化材の均一分散化をはかると
ともに、分散強化材が極微細であっても欠陥のない良好
な品質の複合材が得られる製造方法を確立したものであ
る。
【0024】すなわちこの発明は、まず、減圧下で攪拌
中の液固混相スラリーを分散媒として、この分散媒中に
分散強化材の添加・混入を行なう。かくすることによ
り、減圧下のため分散媒は酸化されにくく、分散強化材
が塊で分散媒中に混入されても、分散強化材の周囲及び
塊の中には雰囲気ガスが少ないために分散媒と分散強化
材表面付着物との反応が促進され分散媒に対する分散強
化材のぬれが促進さる。また、該スラリーの粘度が高い
こと、その塊が分散媒金属の固相と衝突することによっ
て、分散強化材の塊の周囲からその表面のぬれが促進さ
れるため、塊の周囲から順次ぬれてその塊からの分離が
進行し、分散強化材の均一分散化が進む。しかし、分散
強化材がより微細になると、分散強化材の塊を完全に分
離消滅させることが難しくなる。
中の液固混相スラリーを分散媒として、この分散媒中に
分散強化材の添加・混入を行なう。かくすることによ
り、減圧下のため分散媒は酸化されにくく、分散強化材
が塊で分散媒中に混入されても、分散強化材の周囲及び
塊の中には雰囲気ガスが少ないために分散媒と分散強化
材表面付着物との反応が促進され分散媒に対する分散強
化材のぬれが促進さる。また、該スラリーの粘度が高い
こと、その塊が分散媒金属の固相と衝突することによっ
て、分散強化材の塊の周囲からその表面のぬれが促進さ
れるため、塊の周囲から順次ぬれてその塊からの分離が
進行し、分散強化材の均一分散化が進む。しかし、分散
強化材がより微細になると、分散強化材の塊を完全に分
離消滅させることが難しくなる。
【0025】そこで、液固混相スラリー中に分散強化材
を添加完了後も、減圧のまま複合スラリーの攪拌を、分
散強化材が均一分散に至るまで継続する。この攪拌の継
続によって分散強化材の塊が分散媒とした金属の固相
(初晶粒)と衝突して分離すること、複合スラリーの粘
度が高いことなどから分散強化材の均一分散化が促進さ
れ、さらに減圧下の攪拌による脱ガスも推進させること
ができる。なお、複合スラリーの粘度はより高い方が好
ましいので分散媒の固相率は大きいことが望ましい。
を添加完了後も、減圧のまま複合スラリーの攪拌を、分
散強化材が均一分散に至るまで継続する。この攪拌の継
続によって分散強化材の塊が分散媒とした金属の固相
(初晶粒)と衝突して分離すること、複合スラリーの粘
度が高いことなどから分散強化材の均一分散化が促進さ
れ、さらに減圧下の攪拌による脱ガスも推進させること
ができる。なお、複合スラリーの粘度はより高い方が好
ましいので分散媒の固相率は大きいことが望ましい。
【0026】ここで、分散強化材の均一分散化のために
は、分散強化材を添加・混入したのちの複合スラリーの
粘度は高い方が好ましく、このためには分散強化材の添
加量は3vol %以上とすることが望ましい。
は、分散強化材を添加・混入したのちの複合スラリーの
粘度は高い方が好ましく、このためには分散強化材の添
加量は3vol %以上とすることが望ましい。
【0027】また、減圧下で攪拌中の液固混相スラリー
中に分散強化材を添加・混入することは、液固混相スラ
リー表面における該スラリーと分散強化材の表面付着物
との反応ガスの発生が促進され、そのスラリー表面での
反応ガスの発生割合が増加し、その分、複合スラリー中
での反応ガスの発生量が減少してガスの巻き込みによる
複合材の欠陥を低減させるとともに、早期に表面付着物
が消滅して分散強化材のぬれが良好となり複合化欠陥の
ないものが得られることになる。
中に分散強化材を添加・混入することは、液固混相スラ
リー表面における該スラリーと分散強化材の表面付着物
との反応ガスの発生が促進され、そのスラリー表面での
反応ガスの発生割合が増加し、その分、複合スラリー中
での反応ガスの発生量が減少してガスの巻き込みによる
複合材の欠陥を低減させるとともに、早期に表面付着物
が消滅して分散強化材のぬれが良好となり複合化欠陥の
ないものが得られることになる。
【0028】さらに、減圧下で液固混相スラリー中に分
散強化材を添加・混入することは、分散強化材が塊でそ
のスラリー中に混入されても、減圧下に置かれた分散強
化材であるのでスラリー内へ持ち込まれる雰囲気ガス量
を減少させる。そしてさらに、その塊内のガス圧は低く
塊の周囲の分散強化材がぬれて分散した後に新たに露出
した分散強化材(塊)の周囲の雰囲気ガス圧も低いため
分散媒と接触し易く、その分スラリー中での反応ガスが
発生しやすくなり、早期に反応ガスの発生を完了させる
ことができる。
散強化材を添加・混入することは、分散強化材が塊でそ
のスラリー中に混入されても、減圧下に置かれた分散強
化材であるのでスラリー内へ持ち込まれる雰囲気ガス量
を減少させる。そしてさらに、その塊内のガス圧は低く
塊の周囲の分散強化材がぬれて分散した後に新たに露出
した分散強化材(塊)の周囲の雰囲気ガス圧も低いため
分散媒と接触し易く、その分スラリー中での反応ガスが
発生しやすくなり、早期に反応ガスの発生を完了させる
ことができる。
【0029】また、減圧下であるため複合スラリー中の
反応ガスの減圧雰囲気中への放散が容易になることから
表面付着物が早期に消滅する、すなわち反応ガスの発生
が早期に完了する。この反応ガスの早期完了は、操業時
間を一定とした場合、反応ガス発生完了後の複合スラリ
ー中の脱ガス時間を長く確保でき、より多くの脱ガスが
できるという効果を有する。
反応ガスの減圧雰囲気中への放散が容易になることから
表面付着物が早期に消滅する、すなわち反応ガスの発生
が早期に完了する。この反応ガスの早期完了は、操業時
間を一定とした場合、反応ガス発生完了後の複合スラリ
ー中の脱ガス時間を長く確保でき、より多くの脱ガスが
できるという効果を有する。
【0030】しかし、分散強化材が微細になるにしたが
って、その表面積及び表面付着物が増え、しかも塊にな
り易く塊のまま液固混相スラリー中に添加・混入される
量が増加し、そのスラリー面での分散媒と表面付着物と
の反応が減少し、その分液固混相スラリー中での反応ガ
スの発生が多くなるとともに雰囲気ガスをスラリー中へ
持込む量も多くなる。
って、その表面積及び表面付着物が増え、しかも塊にな
り易く塊のまま液固混相スラリー中に添加・混入される
量が増加し、そのスラリー面での分散媒と表面付着物と
の反応が減少し、その分液固混相スラリー中での反応ガ
スの発生が多くなるとともに雰囲気ガスをスラリー中へ
持込む量も多くなる。
【0031】また、液固混相スラリー中に分散強化材を
添加・混入した複合スラリーは、分散強化材が微細なほ
どその粘度が高くなり、ガスの浮上速度が遅くなるた
め、脱ガスが不十分な場合が生じる。
添加・混入した複合スラリーは、分散強化材が微細なほ
どその粘度が高くなり、ガスの浮上速度が遅くなるた
め、脱ガスが不十分な場合が生じる。
【0032】そこで、さらに減圧下で複合スラリーの攪
拌を継続しながら、その複合スラリーを分散媒とした金
属の液相線以上の温度に昇温させて脱ガスする過熱・溶
解処理を施す。
拌を継続しながら、その複合スラリーを分散媒とした金
属の液相線以上の温度に昇温させて脱ガスする過熱・溶
解処理を施す。
【0033】ここで、この過熱・溶解処理中は分散強化
材の均一分散化と脱ガスのために攪拌処理を継続するこ
とが必要であり、脱ガスのために減圧下に置くことも必
要である。
材の均一分散化と脱ガスのために攪拌処理を継続するこ
とが必要であり、脱ガスのために減圧下に置くことも必
要である。
【0034】かくすることにより、複合スラリーの粘度
を低下させることでガスの浮上を溶湯にして脱ガスを促
進し、さらに、分散媒とした金属の固相が消滅すること
によって、この固相であった部分にも分散強化材が分散
し、分散強化材の分散状態をより一層均一にする。
を低下させることでガスの浮上を溶湯にして脱ガスを促
進し、さらに、分散媒とした金属の固相が消滅すること
によって、この固相であった部分にも分散強化材が分散
し、分散強化材の分散状態をより一層均一にする。
【0035】また、この発明においては、液固混相スラ
リー中への分散強化材の添加・混入から過熱・溶解処理
工程を通して攪拌を継続しているため分散媒が酸化され
やすいこと、分散媒が酸化すると分散強化材のぬれが悪
くなることなどから、これらの工程はArガスなどの不
活性ガス雰囲気中で行なうことがよい。
リー中への分散強化材の添加・混入から過熱・溶解処理
工程を通して攪拌を継続しているため分散媒が酸化され
やすいこと、分散媒が酸化すると分散強化材のぬれが悪
くなることなどから、これらの工程はArガスなどの不
活性ガス雰囲気中で行なうことがよい。
【0036】さらに、分散媒と分散媒に対する分散強化
材表面のぬれ及び分散強化材の表面付着物との反応ガス
の発生を促進させ反応ガスの発生を早期に完了させるこ
と及び脱ガス効果を向上させることのために、液固混相
スラリー中への分散強化材の添加・混入から過熱・溶解
処理工程を通してこれらは減圧下で行なうが、その減圧
度が、100Torrを超えると分散媒に対する分散強化材
表面のぬれならびに分散媒と表面付着物の反応ガス発生
の促進及び脱ガス効果が不十分であり、逆に1×10-4
Torr未満では分散媒成分が高真空のため蒸発しやすくな
り、さらに、設備費も高くなること、操業時間も長くな
ることなどコスト面でも実用的でない。したがって、そ
の減圧度は100Torr〜1×10-4Torrの範囲とするこ
とがよい。
材表面のぬれ及び分散強化材の表面付着物との反応ガス
の発生を促進させ反応ガスの発生を早期に完了させるこ
と及び脱ガス効果を向上させることのために、液固混相
スラリー中への分散強化材の添加・混入から過熱・溶解
処理工程を通してこれらは減圧下で行なうが、その減圧
度が、100Torrを超えると分散媒に対する分散強化材
表面のぬれならびに分散媒と表面付着物の反応ガス発生
の促進及び脱ガス効果が不十分であり、逆に1×10-4
Torr未満では分散媒成分が高真空のため蒸発しやすくな
り、さらに、設備費も高くなること、操業時間も長くな
ることなどコスト面でも実用的でない。したがって、そ
の減圧度は100Torr〜1×10-4Torrの範囲とするこ
とがよい。
【0037】また、分散強化材が極微細な場合には、減
圧度が1Torrを超えると分散媒に対する分散強化材表面
のぬれ及び分散媒と表面付着物との反応ガス発生の促進
及び脱ガス効果が不十分になる。したがって、この場合
の減圧度は1Torr〜1×10-4Torrの範囲とすることが
よい。
圧度が1Torrを超えると分散媒に対する分散強化材表面
のぬれ及び分散媒と表面付着物との反応ガス発生の促進
及び脱ガス効果が不十分になる。したがって、この場合
の減圧度は1Torr〜1×10-4Torrの範囲とすることが
よい。
【0038】
【実施例】まず、この発明の実施例に用いた複合材製造
装置を図面に基づいて説明する。図1は複合材製造装置
の説明図である。図1において、1はるつぼ、2は攪拌
用回転子、3は分散強化材添加装置、4は追加成分装入
装置、5は鋳型であり、これらは真空タンク6で形成す
る密閉構造の空間内に設置され、真空タンク6には排気
口7及び雰囲気ガス導入口8が設けられていて真空タン
ク6内は任意の減圧度及び任意のガス雰囲気にすること
が可能である。
装置を図面に基づいて説明する。図1は複合材製造装置
の説明図である。図1において、1はるつぼ、2は攪拌
用回転子、3は分散強化材添加装置、4は追加成分装入
装置、5は鋳型であり、これらは真空タンク6で形成す
る密閉構造の空間内に設置され、真空タンク6には排気
口7及び雰囲気ガス導入口8が設けられていて真空タン
ク6内は任意の減圧度及び任意のガス雰囲気にすること
が可能である。
【0039】実施例1 適合例1 この発明の適合例として、図1に示した複合材製造装置
を使用し、減圧度:1×10-2 Torr のArガス雰囲気
中で、るつぼ1内の7wt%Si−0.3wt%Mg−Al
合金(固相線温度:559℃、液相線温度:615℃)
を分散媒とし、温度:603℃、固相率:0.20の攪
拌用回転子2による攪拌下の液固混相スラリー2400
g中に、分散強化材添加装置3から分散強化材として粒
径:8μmのSiC粒子を5g/min の速度で54分間
にわたって合計270g添加・混入して複合スラリーと
し、その後同様の減圧度、雰囲気中で、温度:603℃
(分散媒合金の固相率:0.2)での攪拌用回転子2に
よる攪拌を継続しながら30分間保持したのち、700
℃に昇温してから鋳型5へ注入し複合材(鋳塊)を鋳造
した。かくして得られた複合材について、成分組成、金
属組織、含有ガス量及び密度を調査した。
を使用し、減圧度:1×10-2 Torr のArガス雰囲気
中で、るつぼ1内の7wt%Si−0.3wt%Mg−Al
合金(固相線温度:559℃、液相線温度:615℃)
を分散媒とし、温度:603℃、固相率:0.20の攪
拌用回転子2による攪拌下の液固混相スラリー2400
g中に、分散強化材添加装置3から分散強化材として粒
径:8μmのSiC粒子を5g/min の速度で54分間
にわたって合計270g添加・混入して複合スラリーと
し、その後同様の減圧度、雰囲気中で、温度:603℃
(分散媒合金の固相率:0.2)での攪拌用回転子2に
よる攪拌を継続しながら30分間保持したのち、700
℃に昇温してから鋳型5へ注入し複合材(鋳塊)を鋳造
した。かくして得られた複合材について、成分組成、金
属組織、含有ガス量及び密度を調査した。
【0040】比較例1 液固混相スラリー中に分散強化材を添加完了後、700
℃に昇温してから直ちに鋳型5へ注入した以外は適合例
1と同様の分散媒、分散強化材及び同様の処理条件で複
合材(鋳塊)を鋳造し、得られた複合材について適合例
1と同様の調査を行なった。
℃に昇温してから直ちに鋳型5へ注入した以外は適合例
1と同様の分散媒、分散強化材及び同様の処理条件で複
合材(鋳塊)を鋳造し、得られた複合材について適合例
1と同様の調査を行なった。
【0041】これらの結果として、まず、適合例1及び
比較例1の複合材は、分散媒とする合金の成分組成が7
wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金であり、粒径:8
μmのSiC粒子が10wt%分散したものになっている
ことが確かめられた。
比較例1の複合材は、分散媒とする合金の成分組成が7
wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金であり、粒径:8
μmのSiC粒子が10wt%分散したものになっている
ことが確かめられた。
【0042】つぎに、適合例1の複合材の金属組織写真
を図2に、比較例1の複合材の金属組織写真を図3
(a)に示し、図3(b)に図3(a)の金属組織写真
の説明図を示す。この図3(b)においてA部はSiC
粒子の密集欠陥部である。
を図2に、比較例1の複合材の金属組織写真を図3
(a)に示し、図3(b)に図3(a)の金属組織写真
の説明図を示す。この図3(b)においてA部はSiC
粒子の密集欠陥部である。
【0043】図2から明らかなように、適合例1の複合
材は分散強化材が均一に分散しその分散状態が極めて良
好であるのに対し、比較例1の複合材には図3(a)及
び(b)に示したような分散強化材の密集欠陥が見ら
れ、比較例1ではこの密集欠陥の発生は避けられなかっ
た。
材は分散強化材が均一に分散しその分散状態が極めて良
好であるのに対し、比較例1の複合材には図3(a)及
び(b)に示したような分散強化材の密集欠陥が見ら
れ、比較例1ではこの密集欠陥の発生は避けられなかっ
た。
【0044】さらに、含有ガス量及び密度の測定値は、
適合例1の複合材が、含有ガス量:0.24cc/100
g、密度:2.70g/cm3 であったのに対し、比較例
1の複合材は、含有ガス量:0.29cc/100g、密
度:2.67g/cm3 と含有ガス量が多く密度が低い値
を示した。
適合例1の複合材が、含有ガス量:0.24cc/100
g、密度:2.70g/cm3 であったのに対し、比較例
1の複合材は、含有ガス量:0.29cc/100g、密
度:2.67g/cm3 と含有ガス量が多く密度が低い値
を示した。
【0045】したがってこれらの結果は、比較例1の複
合材に比し、適合例1の複合材の品質が優れていること
を示している。
合材に比し、適合例1の複合材の品質が優れていること
を示している。
【0046】実施例2 適合例2 この発明の適合例として、図1に示した複合材製造装置
を使用し、減圧度:1×10-2TorrのArガス雰囲気中
で、るつぼ1内の7wt%Si−0.3wt%Mg−Al合
金(固相線温度:559℃、液相線温度:615℃)を
分散媒とし、温度:589℃、固相率:0.35の攪拌
用回転子2による攪拌下の液固混相スラリー2400g
中に、分散強化材添加装置3から分散強化材として粒
径:1μmのSiC粒子を1.5g/min の速度で18
0分間にわたって合計270g添加・混入して複合スラ
リーとし、その後同様の減圧度、雰囲気中で、温度:6
03℃(分散媒合金の固相率:0.2)での攪拌用回転
子2による攪拌を継続しながら30分間保持したのち、
さらに同様の減圧度、雰囲気中で攪拌用回転子2による
攪拌を継続しながら分散媒合金の液相線以上の温度70
0℃に昇温して30分間保持し、その後鋳型5へ注入し
て複合材(鋳塊)を鋳造した。かくして得られた複合材
について、成分組成、金属組成、含有ガス量及び密度な
どを調査した。
を使用し、減圧度:1×10-2TorrのArガス雰囲気中
で、るつぼ1内の7wt%Si−0.3wt%Mg−Al合
金(固相線温度:559℃、液相線温度:615℃)を
分散媒とし、温度:589℃、固相率:0.35の攪拌
用回転子2による攪拌下の液固混相スラリー2400g
中に、分散強化材添加装置3から分散強化材として粒
径:1μmのSiC粒子を1.5g/min の速度で18
0分間にわたって合計270g添加・混入して複合スラ
リーとし、その後同様の減圧度、雰囲気中で、温度:6
03℃(分散媒合金の固相率:0.2)での攪拌用回転
子2による攪拌を継続しながら30分間保持したのち、
さらに同様の減圧度、雰囲気中で攪拌用回転子2による
攪拌を継続しながら分散媒合金の液相線以上の温度70
0℃に昇温して30分間保持し、その後鋳型5へ注入し
て複合材(鋳塊)を鋳造した。かくして得られた複合材
について、成分組成、金属組成、含有ガス量及び密度な
どを調査した。
【0047】比較例2 比較例として、適合例2と同様の、装置、分散媒とする
合金及び分散強化材を用いて、同様の工程処理条件で複
合スラリーとし、その後同様の減圧度、雰囲気中で攪拌
用回転子2による攪拌を継続しながら分散媒合金の液相
線以上の温度700℃に昇温して30分間保持したの
ち、鋳型5へ注入して複合材(鋳塊)を鋳造し、得られ
た複合材について適合例2と同様の調査を行なった。
合金及び分散強化材を用いて、同様の工程処理条件で複
合スラリーとし、その後同様の減圧度、雰囲気中で攪拌
用回転子2による攪拌を継続しながら分散媒合金の液相
線以上の温度700℃に昇温して30分間保持したの
ち、鋳型5へ注入して複合材(鋳塊)を鋳造し、得られ
た複合材について適合例2と同様の調査を行なった。
【0048】これらの結果として、まず、適合例2及び
比較例2の複合材は、分散媒とする合金の成分組成が7
wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金であり、粒径:1
μmのSiC粒子が10wt%分散したものになっている
ことが確かめられた。
比較例2の複合材は、分散媒とする合金の成分組成が7
wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金であり、粒径:1
μmのSiC粒子が10wt%分散したものになっている
ことが確かめられた。
【0049】つぎに、適合例2の複合材の金属組織写真
を図4に、比較例2の複合材の金属組織写真を図5
(a)に示し、図5(b)に図5(a)の金属組織写真
の説明図を示す。この図5(b)においてA部はSiC
粒子の密集欠陥部である。
を図4に、比較例2の複合材の金属組織写真を図5
(a)に示し、図5(b)に図5(a)の金属組織写真
の説明図を示す。この図5(b)においてA部はSiC
粒子の密集欠陥部である。
【0050】図4から明らかなように、適合例2の複合
材は分散強化材が均一に分散しその分散状態が極めて良
好であるのに対し、比較例2の複合材には図5(a)及
び(b)に示したように分散強化材の密集欠陥が見ら
れ、比較例2ではこの密集欠陥の発生は避けられなかっ
た。
材は分散強化材が均一に分散しその分散状態が極めて良
好であるのに対し、比較例2の複合材には図5(a)及
び(b)に示したように分散強化材の密集欠陥が見ら
れ、比較例2ではこの密集欠陥の発生は避けられなかっ
た。
【0051】さらに、含有ガス量及び密度の測定値は、
適合例2の複合材が、含有ガス量:0.30cc/100
g、密度:2.68g/cm3 であったのに対し、比較例
2の複合材は、含有ガス量:0.40cc/100g、密
度:2.65g/cm3 と含有ガス量が多く密度が低い値
を示した。
適合例2の複合材が、含有ガス量:0.30cc/100
g、密度:2.68g/cm3 であったのに対し、比較例
2の複合材は、含有ガス量:0.40cc/100g、密
度:2.65g/cm3 と含有ガス量が多く密度が低い値
を示した。
【0052】したがってこれらの結果は、比較例2の複
合材に比し、適合例2の複合材の品質が優れていること
を示している。
合材に比し、適合例2の複合材の品質が優れていること
を示している。
【0053】なお、上記は粒径:1μmと極微細なSi
C粒子を分散強化材として用いたものであるが、この発
明によれば、このような極微細な分散強化材を用いる場
合でも良好な品質の複合材が得られることを示してい
る。
C粒子を分散強化材として用いたものであるが、この発
明によれば、このような極微細な分散強化材を用いる場
合でも良好な品質の複合材が得られることを示してい
る。
【0054】実施例3 適合例3 この発明の適合例として、図1に示した複合材製造装置
を使用し、減圧度:100TorrのArガス雰囲気中で、
るつぼ1内の7wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金
(固相線温度:559℃、液相線温度:615℃)を分
散媒とし、温度:589℃、固相率:0.35の攪拌用
回転子2による攪拌下の液固混相スラリー2400g中
に、分散強化材添加装置3から分散強化材として粒径:
5μmのSiC粒子を1.5g/min の速度で180分
間にわたって添加・混入して複合スラリーとし、その後
同様の減圧度、雰囲気中で、温度:603℃(分散媒合
金の固相率:0.20)での攪拌用回転子2による攪拌
を継続して30分間保持したのち、さらに同様の減圧
度、雰囲気で攪拌用回転子2による攪拌を継続しながら
分散媒合金の液相線以上の温度700℃に昇温して30
分間保持し、その後鋳型5へ注入して複合材(鋳塊)を
鋳造した。かくして得られた複合材について、成分組
成、金属組織、含有ガス量及び密度などを調査した。
を使用し、減圧度:100TorrのArガス雰囲気中で、
るつぼ1内の7wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金
(固相線温度:559℃、液相線温度:615℃)を分
散媒とし、温度:589℃、固相率:0.35の攪拌用
回転子2による攪拌下の液固混相スラリー2400g中
に、分散強化材添加装置3から分散強化材として粒径:
5μmのSiC粒子を1.5g/min の速度で180分
間にわたって添加・混入して複合スラリーとし、その後
同様の減圧度、雰囲気中で、温度:603℃(分散媒合
金の固相率:0.20)での攪拌用回転子2による攪拌
を継続して30分間保持したのち、さらに同様の減圧
度、雰囲気で攪拌用回転子2による攪拌を継続しながら
分散媒合金の液相線以上の温度700℃に昇温して30
分間保持し、その後鋳型5へ注入して複合材(鋳塊)を
鋳造した。かくして得られた複合材について、成分組
成、金属組織、含有ガス量及び密度などを調査した。
【0055】適合例4 この発明の適合例として、減圧度:1×10-4TorrのA
rガス雰囲気とした以外は全て適合例3と同様にして複
合材(鋳塊)を鋳造し、得られた複合材について適合例
3と同様の調査を行なった。
rガス雰囲気とした以外は全て適合例3と同様にして複
合材(鋳塊)を鋳造し、得られた複合材について適合例
3と同様の調査を行なった。
【0056】比較例3 減圧度:700TorrのArガス雰囲気とした以外は全て
適合例3と同様にして複合材(鋳塊)を鋳造し、得られ
た複合材について適合例3と同様の調査を行なった。
適合例3と同様にして複合材(鋳塊)を鋳造し、得られ
た複合材について適合例3と同様の調査を行なった。
【0057】比較例4 減圧度:1×10-5(真空)とした以外は、全て適合例
3と同様にして複合材の鋳造を試みたが、操業中に分散
媒の合金成分の蒸発によって発生するガスのため1×1
0-5Torrに維持することができなかった。
3と同様にして複合材の鋳造を試みたが、操業中に分散
媒の合金成分の蒸発によって発生するガスのため1×1
0-5Torrに維持することができなかった。
【0058】これらの結果として、まず、適合例3,4
及び比較例3の複合材は、分散媒とする合金の成分組成
が7wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金であり、粒
径:5μmのSiC粒子が10wt%分散したものになっ
ていることが確かめられた。
及び比較例3の複合材は、分散媒とする合金の成分組成
が7wt%Si−0.3wt%Mg−Al合金であり、粒
径:5μmのSiC粒子が10wt%分散したものになっ
ていることが確かめられた。
【0059】つぎに、適合例3の複合材の金属組織写真
を図6に、比較例3の複合材の金属組織写真を図7
(a)に示し、図7(b)に図7(a)の金属組織写真
の説明図を示す。この図(b)においてA部はSiC粒
子の密集欠陥部、B部は気泡欠陥部である。
を図6に、比較例3の複合材の金属組織写真を図7
(a)に示し、図7(b)に図7(a)の金属組織写真
の説明図を示す。この図(b)においてA部はSiC粒
子の密集欠陥部、B部は気泡欠陥部である。
【0060】図6から明らかなように、適合例3の複合
材は分散強化材が均一に分散しその分散状態が極めて良
好であるのに対し、比較例3の複合材には図7(a)及
び(b)に示したように分散強化材の密集欠陥及び気泡
欠陥が見られ、比較例3ではこれらの欠陥の発生は避け
られなかった。なお適合例4の複合材は、適合例3の複
合材の金属組織写真図6と同様で分散強化材が均一に分
散したものであった。
材は分散強化材が均一に分散しその分散状態が極めて良
好であるのに対し、比較例3の複合材には図7(a)及
び(b)に示したように分散強化材の密集欠陥及び気泡
欠陥が見られ、比較例3ではこれらの欠陥の発生は避け
られなかった。なお適合例4の複合材は、適合例3の複
合材の金属組織写真図6と同様で分散強化材が均一に分
散したものであった。
【0061】さらに、含有ガス量及び密度の測定値は、
適合例3の複合材が、含有ガス量:0.25cc/100
g、密度:2.70g/cm3 、適合例4の複合材が、含
有ガス量:0.22cc/100g、密度:2.71g/
cm3 であるのに対し、比較例3の複合材は、含有ガス
量:0.48cc/100g、密度:2.54g/cm3 と
含有ガス量が多く密度が低い値を示した。
適合例3の複合材が、含有ガス量:0.25cc/100
g、密度:2.70g/cm3 、適合例4の複合材が、含
有ガス量:0.22cc/100g、密度:2.71g/
cm3 であるのに対し、比較例3の複合材は、含有ガス
量:0.48cc/100g、密度:2.54g/cm3 と
含有ガス量が多く密度が低い値を示した。
【0062】したがってこれらの結果は、比較例3の複
合材に比し、適合例3及び4の複合材の品質が優れてい
ることを示している。
合材に比し、適合例3及び4の複合材の品質が優れてい
ることを示している。
【0063】
【発明の効果】この発明は、半凝固法により複合材を製
造するにあたり、減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを
分散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入
して複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの
攪拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続するこ
と、又は、さらに減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒
とした金属の液相線以上の温度に昇温して脱ガスする過
熱溶解・処理を施すことにより、分散強化材の均一に分
散したガスの巻き込みによる欠陥の少ない良好な品質の
複合材が得られ、特に分散強化材が極微細なため良好な
品質の複合材の製造が困難な場合にもこれを容易にする
ものであり、この発明によれば、適用できる分散強化材
の種類、大きさを飛躍的に拡大することができ、製品品
質の改善、製品歩止の向上などその効果は多大である。
造するにあたり、減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを
分散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入
して複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの
攪拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続するこ
と、又は、さらに減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒
とした金属の液相線以上の温度に昇温して脱ガスする過
熱溶解・処理を施すことにより、分散強化材の均一に分
散したガスの巻き込みによる欠陥の少ない良好な品質の
複合材が得られ、特に分散強化材が極微細なため良好な
品質の複合材の製造が困難な場合にもこれを容易にする
ものであり、この発明によれば、適用できる分散強化材
の種類、大きさを飛躍的に拡大することができ、製品品
質の改善、製品歩止の向上などその効果は多大である。
【図1】実施例で用いた複合材の製造装置の説明図であ
る。
る。
【図2】適合例複合材の金属組織写真である。
【図3】(a)は比較例複合材の金属組織写真である。
(b)は(a)の金属組織写真の説明図である。
(b)は(a)の金属組織写真の説明図である。
【図4】適合例複合材の金属組織写真である。
【図5】(a)は比較例複合材の金属組織写真である。
(b)は(a)の金属組織写真の説明図である。
(b)は(a)の金属組織写真の説明図である。
【図6】適合例複合材の金属組織写真である。
【図7】(a)は比較例複合材の金属組織写真である。
(b)は(a)は金属組織写真の説明図である。
(b)は(a)は金属組織写真の説明図である。
1 るつぼ 2 攪拌用回転子 3 分散強化材添加装置 4 追加成分装入装置 5 鋳型 6 真空タンク 7 排気口 8 雰囲気ガス導入口
Claims (5)
- 【請求項1】 減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを分
散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入し
て複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの攪
拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続することを
特徴とする複合材の製造方法。 - 【請求項2】 減圧下で攪拌中の液固混相スラリーを分
散媒として、この分散媒中に分散強化材を添加・混入し
て複合スラリーとなし、減圧のまま該複合スラリーの攪
拌を、分散強化材が均一分散に至るまで継続したのち、
さらに減圧のまま攪拌を継続しながら分散媒とした金属
の液相線以上の温度に昇温して脱ガスする過熱・溶解処
理を施すことを特徴とする複合材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、減圧下での雰
囲気が不活性ガスである複合材の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1,2又は3において、減圧度
が、100Torr〜1×10-4Torrの範囲である複合材の
製造方法。 - 【請求項5】 請求項1,2又は3において、減圧度
が、極微細な分散強化材に対し1Torr〜1×10-4Torr
の範囲である複合材の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17358893A JPH079113A (ja) | 1993-06-22 | 1993-06-22 | 複合材の製造方法 |
US08/124,933 US5513688A (en) | 1992-12-07 | 1993-09-21 | Method for the production of dispersion strengthened metal matrix composites |
CA002106803A CA2106803A1 (en) | 1992-12-07 | 1993-09-23 | Method for the production of dispersion strengthened metal matrix composites |
EP93307538A EP0601694A3 (en) | 1992-12-07 | 1993-09-23 | Method for the production of dispersion strengthened metal matrix composites. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17358893A JPH079113A (ja) | 1993-06-22 | 1993-06-22 | 複合材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH079113A true JPH079113A (ja) | 1995-01-13 |
Family
ID=15963371
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17358893A Pending JPH079113A (ja) | 1992-12-07 | 1993-06-22 | 複合材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH079113A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002316252A (ja) * | 2001-04-19 | 2002-10-29 | Taiheiyo Cement Corp | 金属−セラミックス複合材料の鋳造方法 |
US7650675B2 (en) | 2005-01-28 | 2010-01-26 | Ykk Corporation | Buckle |
US7725994B2 (en) | 2005-01-28 | 2010-06-01 | Ykk Corporation | Buckle, injection molding die and injection molding method |
JP2015116588A (ja) * | 2013-12-18 | 2015-06-25 | 株式会社東京ロストワックス工業 | 精密鋳造方法並びに精密鋳造用の溶湯製造装置 |
-
1993
- 1993-06-22 JP JP17358893A patent/JPH079113A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002316252A (ja) * | 2001-04-19 | 2002-10-29 | Taiheiyo Cement Corp | 金属−セラミックス複合材料の鋳造方法 |
US7650675B2 (en) | 2005-01-28 | 2010-01-26 | Ykk Corporation | Buckle |
US7725994B2 (en) | 2005-01-28 | 2010-06-01 | Ykk Corporation | Buckle, injection molding die and injection molding method |
JP2015116588A (ja) * | 2013-12-18 | 2015-06-25 | 株式会社東京ロストワックス工業 | 精密鋳造方法並びに精密鋳造用の溶湯製造装置 |
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