JPH07300634A - AlまたはAl合金複合材料の製法 - Google Patents

AlまたはAl合金複合材料の製法

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JPH07300634A
JPH07300634A JP9357594A JP9357594A JPH07300634A JP H07300634 A JPH07300634 A JP H07300634A JP 9357594 A JP9357594 A JP 9357594A JP 9357594 A JP9357594 A JP 9357594A JP H07300634 A JPH07300634 A JP H07300634A
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temperature
alloy
molten metal
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JP9357594A
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Masahiro Nomura
正裕 野村
Hiroyuki Morimoto
啓之 森本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 AlまたはAl合金溶湯中に、炭化物形成元
素と固体状炭素源を添加し、該溶湯に攪拌を加えつつ1
100〜1500℃の温度で反応させて炭化物粒子を生
成・分散させた後、溶湯温度を液相温度以上1000℃
以下に降下させてから鋳込みを行ない、あるいは降温後
に高揮発性合金元素を添加し成分調整してから鋳込みを
行なう。 【効果】 気孔や空洞等の内部欠陥がなく、また高揮発
性合金元素を添加して成分調整を行なう場合も該合金元
素の揮発ロスが起こらず、均質でしかも耐熱性、比強
度、比弾性等のいずれにおいても高レベルで安定した物
性を示すAlまたはAl合金複合材料を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気孔や空洞等の内部欠
陥がなく、かつ比強度、比弾性率、耐熱性、耐摩耗性等
の優れたAlまたはAl合金複合材料を製造する方法に
関するものであり、この方法で得られる複合材料は、自
動車、船舶、航空機等のエンジン部品、制動機部品、駆
動伝達部品、更には電算機や医療用機器等の広い分野に
渡って有効に活用することができる。
【0002】
【従来の技術】AlまたはAl合金(以下、Al合金で
代表することがある)は軽量で比強度が高いという特性
を有している反面、一般に軟質で且つ耐熱性や耐摩耗性
に劣るという欠点があるため、適用分野は著しく制限さ
れている。ところが最近、Al合金中にTiCやSiC
などの炭化物粒子等を強化材として分散せしめ、強度、
剛性、耐熱性、耐摩耗性等の物性を高めたAl合金複合
材料が開発されるに及び、軽量化、高性能化が強く望ま
れる宇宙、航空機、自動車等の輸送機器分野の構造部材
や、エンジン用部材、更には精密機器用部材等として注
目を集めている。
【0003】こうしたAl合金複合材料を製造するに当
たっては、Al合金粉末と炭化物等の強化粒子を混合
した後、高温・高圧下で成形する粉末冶金法、Al合
金を半溶融状態とし、攪拌しながら炭化物等の強化粒子
を混合するコンポキャスト法、炭化物等の強化粒子で
プリフォームを作製しておき、これにAl合金溶湯を注
入するスクイズキャスト法等が提唱されている。ところ
がこれらの方法では、いずれも製造プロセスが複雑で製
品コストが高くなる、或いは高精度の温度管理や生産設
備が必要となる、といった問題が避けられなかった。
【0004】また近年ではin situ 法として、Al合金
溶湯中に炭化物形成性元素を添加しておき、その溶湯中
にメタンなどの炭素源となるガスを吹き込んで炭化物を
生成させる方法が提案されている(例えば、米国特許第
4808372 号)。また本発明者等は、Al合金溶湯に炭化
物形成元素と固体状の炭素源を添加し、溶湯中で炭化物
を反応生成させる方法を開発し、別途特許出願を済ませ
ている。この方法によれば、炭素源として固体を使用す
るので、メタンの様な気体炭素源を使用する方法に比べ
て爆発の危険が少なく操業安全性が高められるばかりで
なく、炭化物生成反応時の気泡の混入が起こりにくく、
更には炭素源としての歩留も向上しコスト低減が図れる
といった利点を得ることができる。
【0005】ところが、これらIn situ 法を利用してA
l合金溶湯中で炭化物を反応生成させた複合金属溶湯を
使用すると、鋳造工程で溶湯が膨れを生じたり、あるい
は鋳造製品内に気孔や空洞等の内部欠陥が生じ、安定し
た強度特性の鋳造製品が得られにくいという問題が生じ
てくる。
【0006】また、上記の方法によりAl合金溶湯中で
炭化物の反応生成を行なう場合、該炭化物の生成を効率
よく進めるには、処理温度を1100℃以上の高温にし
なければならないが、この様な高温条件下で例えばC
u,Mg,Zn,Siの様に揮発性の高い合金元素を添
加して成分調整を行なうと、それらが溶湯温度によって
揮発し、合金元素のロスが生じるばかりでなく、該合金
元素の歩留が不安定になって得られる合金組成にバラツ
キが生じ、ひいては添加合金元素による固溶強化量や析
出強化量等の改質効果が変動し、安定した品質のAl合
金複合材料を得ることができなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な問
題点に着目してなされたものであって、その目的は、前
述の様な気孔や空洞などの内部欠陥を解消すると共に、
揮発性の高い合金元素を用いて成分調整する際における
添加合金元素の揮発ロスを抑え、歩留を高めて目標成分
組成に確実に調整し、安定した物理的特性のAl合金複
合材料を効率よく製造することのできる方法を確立しよ
うとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るAlまたはAl合金複合材料の製
法とは、AlまたはAl合金溶湯中に、炭化物形成元素
と固体状炭素源を添加し、該溶湯を攪拌しつつ1100
〜1500℃の温度で反応させて炭化物粒子を生成・分
散させた後、溶湯温度を液相温度以上1000℃以下に
降下させてから鋳込みを行なうところに要旨を有するも
のである。
【0009】また本発明に係る他の構成は、Alまたは
Al合金溶湯中に、炭化物形成元素と固体状炭素源を添
加し、該溶湯を攪拌しつつ1100〜1500℃の温度
で反応させて炭化物粒子を生成・分散させた後、溶湯温
度を液相温度以上1000℃以下の温度に降下させ、該
溶湯に高揮発性合金元素を添加し成分調整してから鋳込
みを行なうところに要旨が存在する。
【0010】尚、上記において炭化物形成元素として
は、B,Si,Ti,Nb,Zr,Ta,Cr,V,C
e,Mo,HfおよびW等が例示され、これらは単独で
使用し得る他、必要により2種以上を併用することがで
きる。また成分調整用として使用される高揮発性合金元
素としては、Cu,Mg,Zn,Si等が例示され、こ
れらも単独で使用し得る他、必要により2種以上を複合
して使用することができる。
【0011】
【作用】Al合金複合材料のin situ 製造方法とは、溶
湯撹拌混合法の様に予め製造した炭化物粉末をAl合金
溶湯中に添加して混合分散させるのではなく、炭化物が
例えばTiCであるならば、TiとCを別々にAl溶湯
中に添加し、溶湯中で化学反応を起こさせてTiCを生
成・分散させる方法であるから、Al合金溶湯と炭化物
微粒子との濡れ性不良により分散状態が不均一になると
いった、従来の溶湯撹拌混合法に指摘される問題点は回
避される。
【0012】この場合、Al合金溶湯中で炭化物粒子を
効率よく反応生成させると共に、生成する炭化物粒子を
溶湯内へ均一に分散させるには、溶湯温度を1100℃
以上の高温に加熱しなければならない。ところが、この
様に高温に加熱された炭化物粒子含有Al合金溶湯(以
下、複合溶湯ということがある)を用いて鋳造を行なう
と、前述の如く鋳造工程で複合溶湯の膨れが生じたり、
あるいは鋳造製品内に気孔や空洞等の内部欠陥ができる
という問題が生じてくる。しかもこの様な高温条件下で
前述の様な高揮発性の合金元素を添加すると、それらが
溶湯温度によって揮発し、その歩留が低下して目標添加
量を確保できなくなり、合金組成も不安定になって製品
の物性が非常に不確定になってくる。
【0013】そこで、こうした問題点の改善を最終の目
的とし、まず気孔等の内部欠陥の発生原因を追求したと
ころ、次の様な事実が明らかとなった。即ち、まず第1
の理由は、複合溶湯の鋳込みを高温状態で行なった場合
に生じる凝固収縮によるものであり、他の理由は、高温
の複合溶湯内に溶解した雰囲気ガス(水素等)成分中の
原子やイオンが、鋳造時の温度低下により複合溶湯内で
ガス状となって遊離し、これがガス欠陥として鋳造製品
内部に現われることが確認された。また、添加合金元素
の歩留り低下が、高温度の溶湯熱による揮発に起因する
ことは明白である。
【0014】そこで、上記の様な難点を生ずる原因を解
消し、内部欠陥がなくしかも添加合金元素の歩留を高め
て、目標組成通りで高品質の鋳造製品を安定して得るこ
とができる方法を確立すべく、更に研究を進めた。その
結果、炭化物の生成反応は1100〜1500℃の高温
で行なうことによって、必要量の炭化物を効率よく生成
せしめ、その後、複合溶湯を1000℃以下の温度に降
温し、次いで高揮発性の合金元素添加による成分調整を
行なってから鋳込みを行なえば、該降温により鋳造時の
凝固収縮量が低減されると共に、該複合溶湯内に過飽和
に溶解している気体成分は降温工程で溶湯内から湯面上
方へ放散され、且つ添加合金元素の揮発も最小限に抑え
られ、内部欠陥がなく且つ目標組成通りのAl合金複合
鋳造製品が安定して得られることを知った。
【0015】上記の様に本発明では、炭化物の生成反応
時の温度条件は比較的高温に設定することによって反応
効率を高め、この複合溶湯を1000℃以下に降温して
から鋳込みを行ない、あるいは1000℃以下の温度に
降温した後高揮発性の合金元素を添加して成分調整を行
ない、しかる後に鋳造を行なうものであり、こうした条
件設定を行なうことによって、鋳造時に発生する気孔や
空洞欠陥の発生を防止し、あるいは高揮発性合金元素の
揮発ロスを最小限に抑えるものである。
【0016】ここで、炭化物生成反応時の温度が110
0℃未満の低温では炭化物の生成に長時間を要するので
実用的でなく、一方1500℃を超える高温にしてもそ
れ以上の反応促進効果が得られる訳ではなく、むしろA
l合金溶湯の酸化、窒化等の問題が起こってくる。従っ
て、炭化物生成反応時の温度は1100〜1500℃の
範囲、より好ましくは1100〜1400℃程度とすべ
きである。
【0017】一方、合金元素添加による成分調整温度お
よび鋳込み温度については、1000℃以下の温度で且
つAl合金溶湯の液相温度以上であれば低い方が好まし
いが、鋳込み温度が余り低くなり過ぎると温度降下のた
めの所要時間が長くなってその間に炭化物粒子同士が合
体して粗大化し、炭化物粒子の均一な微細分散が阻害さ
れて鋳造品の均質性が悪くなったり、あるいは溶湯の粘
性が高くなり過ぎて添加合金元素の分散が不十分とな
り、合金組成が不均一になる恐れがあるので、好ましく
は700〜850℃の温度範囲で成分調整および鋳込み
を行なうのがよい。
【0018】尚、炭化物粒子反応生成温度から成分調整
温度および鋳込み温度までの降温は、炉冷、空冷など特
に制限されないが、炭化物粒子の合体による粗大化ある
いは炭化物粒子の沈降による鋳造製品の不均質化等を防
止する上では、処理炉を水冷ジャケット等によって積極
的に冷却することにより、できるだけ短時間で鋳込み温
度まで冷却するのがよい。但し、該降温時間が余り短く
なり過ぎると、溶湯内に生じた過飽和ガス成分の溶湯外
への放散が不十分になることがあるので、この場合は、
成分調整温度まで冷却した後合金元素を添加してから等
温保持することにより、添加合金元素を十分に混合・拡
散させると共に、過飽和ガス成分を十分に放散させてか
ら鋳込みを行なうことが望まれる。
【0019】特に、炭化物粒子の生成量が体積分率で1
0%を超える多量になると、固液2相からなる複合溶湯
は非常に高粘性になって、添加合金元素の混合・拡散お
よびガス成分の放散が起こりにくくなる傾向があるの
で、この様な場合は、添加合金元素の混合・拡散と過飽
和ガス成分の放散をより効果的に進めるため、複合溶湯
を電磁攪拌あるいは機械攪拌等によって攪拌し、あるい
は処理雰囲気を減圧することが有効である。また、炭化
物生成反応の効率を高める上でも、反応系を上記の様な
方法で攪拌することが好ましい。
【0020】本発明で使用される母材金属としては、純
Alあるいは合金元素としてSi、Fe、Cu、Mn、
Ni、Tiなどの1種もしくは2種以上を含有する様々
のAl合金を使用することができるが、成分調整前のA
l基合金中に含まれる合金元素は、炭化物生成のための
1100〜1500℃の加熱処理温度で揮発ロスを生じ
ることのない様、Alよりも低揮発性の合金元素を選択
し、高揮発性合金元素(Cu,Mg,Zn,Si等)に
ついては、1000℃以下に降温した後の成分調整工程
で添加すべきである。 また強化粒子となる炭化物とし
ては、例えばB,Si,Ti,Nb,Zr,Ta,C
r,V,Ce,Mo,Hf,W等の炭化物が例示され、
これら炭化物も単独で反応生成させ得る他、2種以上を
併用して反応生成させることが可能である。これら炭化
物粒子の好ましい含有率は、用途や要求特性に応じて任
意に決めればよく、通常は耐熱性や耐摩耗性の要求度合
いに応じて含有率を高めに設定されるが、強化粒子とし
ての特性を効果的に発揮させる意味から標準的な含有率
は、鋳造製品中に占める体積分率で3〜30%、より一
般的には5〜25%の範囲である。
【0021】固体状の炭素源の種類も特に限定されない
が、好ましいのは黒鉛、カーボンブラック、石炭、コー
クス等であり、これらの中でも黒鉛は不純物が少ないと
いう点から特に好ましい。また固体状炭素源は、取扱性
や反応速度等の点で粉末状のものが好ましいが、ペレッ
ト状、細片状、ブロック状等のものを使用することも勿
論可能である。更に、固体状炭素源をAl基合金溶湯中
に供給する方法としては、黒鉛のブロックをAl合金溶
湯中に浸漬する方法、粉末状の黒鉛を溶湯中に散布しあ
るいは吹き込む方法、更にはAl合金の溶解に黒鉛製の
るつぼを使用して、該るつぼから炭素源溶出させて供給
する方法等を採用することも可能である。
【0022】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明の構
成および作用効果をより具体的に説明するが、下記実施
例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を
逸脱しない範囲で適宜変更を加えて実施することは全て
本発明の技術的範囲に包含される。尚下記実施例におい
て「%」とあるのは、特記しない限り「重量%」を表わ
す。また、合金組成は、成分調整後の最終組成を示す。
【0023】比較例1 Al−7.2%Ti合金を、高周波誘導溶解炉を用いて
大気雰囲気下で1200℃に加熱して溶解し、これに
1.6%の黒鉛粉末を加え、同温度で60分間保持する
ことによりTiC粒子を反応生成させた。その後、同温
度で金型への鋳込みを行なったところ、鋳込み工程で溶
湯が約2倍の体積に膨れ上がり、得られる鋳造製品の密
度は約1.8g/cm3 であって内部に無数の気孔や空
洞を有するものであった。
【0024】実施例1 外周側に水冷ジャケットを設けた高周波誘導溶解炉を用
いて、Al−7.2%Ti合金を大気雰囲気下で115
0℃に加熱して溶解し、これに1.6%の黒鉛粉末を加
え、同温度で60分間保持することによりTiC粒子を
反応生成させた。その後、溶湯温度を700℃まで低下
させてから金型への鋳込みを行なったところ、鋳込み工
程で溶湯の体積膨張は殆ど認められず、また得られた鋳
造製品の密度は約2.8g/cm3 であって、内部に気
孔や空洞は認められなかった。
【0025】実施例2 外周側に水冷ジャケットを設けた高周波誘導溶解炉を用
いて、Al−1.35%Ti合金を大気雰囲気下で13
00℃に加熱して溶解し、これに3.4%の黒鉛粉末を
加え、溶湯をプロペラ式攪拌機で攪拌しつつ同温度で3
0分間処理することによりTiC粒子を反応生成させ
た。その後、溶湯温度を700℃まで低下させてから金
型への鋳込みを行なったところ、鋳込み工程で溶湯の体
積膨張は殆ど認められず、また得られた鋳造製品の密度
は約2.9g/cm3 であって、内部に気孔や空洞は認
められなかった。
【0026】実施例3 高周波誘導溶解炉を用いて、Al−13%Ti−3%C
u合金を大気雰囲気下で1300℃に加熱して溶解し、
これに3.3%の黒鉛粉末を添加すると共にプロペラ式
撹拌機によって攪拌しつつ昇温し、1500℃で30分
間攪拌することによりTiC粒子を反応生成させた。そ
の後、溶湯温度を900℃まで低下させてから金型への
鋳込みを行なったところ、鋳込み工程で溶湯の体積膨張
は殆ど認められず、また得られた鋳造製品の密度は約
2.9g/cm3 であって、内部に気孔や空洞は認めら
れなかった。
【0027】実施例4〜9 上記実施例1〜3において、Al合金溶湯組成、黒鉛添
加量、加熱処理温度、鋳込み温度等を表1に示す様に変
更した以外は同様にして炭化物の反応生成と鋳込みを行
ない、得られた鋳造製品の特性を調べた。結果を表1に
一括して示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかである様に、本発明方法に
よれば、鋳込み工程で溶湯中の過飽和ガス成分に起因す
る溶湯の体積膨張が起こらず、気孔や空洞欠陥のない高
品質のAl合金複合材料を提供し得ることが分かる。 実施例10 プロペラ式撹拌機を備えた高周波誘導溶解炉を使用し、
Al−13.9%Ti合金をアルゴン雰囲気下で130
0℃に加熱して溶解し、これに3%の黒鉛粉末(粒径:
1〜10mm)を加え、同温度で40分間攪拌すること
によりTiC粒子を反応生成させた。その後、溶湯温度
を攪拌しながら750℃まで降温し、これに4%のCu
と1.5%のMgを添加して5分間攪拌した後、同温度
で金型への鋳込みを行なった。その結果、鋳込み工程で
溶湯の体積膨張は殆ど認められず、また得られた鋳造製
品の密度は約2.9g/cm3 であって、内部に気孔や
空洞は認められなかった。また、得られた鋳片中のCu
含有量は4.0%、Mg含有量は1.4%であり、添加
合金元素通りの合金組成を有しており、添加時の揮発ロ
スは全く認められなかった。また、この鋳片をT6処理
したものの硬度はHv170であり、均質で優れた強度
特性を有するものであった。
【0030】実施例11 上記実施例10において、Cu,Mgの添加時および鋳
込み時の温度を850℃に代えた以外は全く同様にし
て、TiC分散Al合金鋳片を製造したところ、実施例
1と殆ど同様の結果が得られ、合金元素添加時の揮発ロ
スおよび内部欠陥は全く認められず、目標通りの成分組
成を有する均質で高硬度の鋳造製品を得ることができ
た。
【0031】比較例2 実施例10において、Cu,Mgの添加時および鋳込み
時の温度を1100℃に代えた以外は全く同様にして、
TiC分散Al合金鋳片を製造した。その結果、Cu,
Mgの添加混合時にかなりの揮発ロスが認められると共
に、鋳込み工程で溶湯の著しい膨れが認められ、得られ
る鋳片の密度は約2.0g/cm3 で内部に無数の気孔
や空洞が認められ、また、鋳片中のCu含有率は3.1
%、Mg含有率は0.4%であり、それらの含有率は添
加量に比べてかなり少なくなっていることが確認され
た。
【0032】比較例3 実施例10において、Cu,Mgの添加時および鋳込み
時の温度を1300℃に代えた以外は全く同様にして、
TiC分散Al合金鋳片を製造した。その結果、Cu,
Mgの添加混合時に著しい揮発ロスが認められると共
に、鋳込み工程で溶湯の著しい膨れが認められ、得られ
る鋳片の密度は約1.8g/cm3 で内部に無数の気孔
や空洞が認められ、また、鋳片中のCu含有率は3.0
%、Mg含有率は0.3%であり、それらの含有率は添
加量に比べて著しく少なくなっていることが確認され
た。
【0033】実施例12 プロペラ式撹拌機を備えた高周波誘導溶解炉を使用し、
Al−13.9%Ti合金を大気雰囲気下で1200℃
に加熱して溶解し、これに3%の黒鉛粉末(粒径:1〜
10mm)を加え、同温度で60分間攪拌することによ
りTiC粒子を反応生成させた。その後、溶湯温度を攪
拌しながら700℃まで降温し、これに1.5%のCu
と2.5%のMgおよび5.5%のZnを添加して5分
間攪拌した後、同温度で金型への鋳込みを行なった。そ
の結果、鋳込み工程で溶湯の体積膨張は殆ど認められ
ず、また得られた鋳造製品の密度は約2.9g/cm3
であって、内部に気孔や空洞は認められなかった。ま
た、得られた鋳片中のCu含有量は1.5%、Mg含有
量は2.4%、Zn含有量は5.5%であり、添加合金
元素通りの合金組成を有しており、添加時の揮発ロスは
全く認められなかった。また、この鋳片をT6処理した
ものの硬度はHv181であり、均質で優れた強度特性
を有するものであった。
【0034】比較例4 上記実施例12において、Cu,Mg,Znの添加時お
よび鋳込み時の温度を1200℃に代えた以外は全く同
様にして実験を行なった。その結果、Cu,Mg,Zn
の添加混合時にかなりの揮発ロスが認められると共に、
鋳込み工程で溶湯の著しい膨れが認められ、得られる鋳
片の密度は約2.0g/cm3 で内部に無数の気孔や空
洞が認められ、また、鋳片中のCu含有率は0.8%、
Mg含有率は0.3%、Zn含有率は0.6%であり、
それらの含有率は添加量に比べてかなり少なくなってい
ることが確認された。
【0035】実施例13 プロペラ式撹拌機を備えた高周波誘導溶解炉を使用し、
Al−13.9%Ti合金をアルゴン雰囲気下で150
0℃に加熱して溶解し、これに3%の黒鉛粉末(粒径:
1〜10mm)を加え、同温度で20分間攪拌すること
によりTiC粒子を反応生成させた。その後、溶湯温度
を攪拌しながら750℃まで降温し、これに1.0%の
Mgと0.6%のSiを添加して5分間攪拌した後、同
温度で金型への鋳込みを行なった。その結果、鋳込み工
程で溶湯の体積膨張は殆ど認められず、また得られた鋳
造製品の密度は約2.9g/cm3 であって、内部に気
孔や空洞は認められなかった。また、得られた鋳片中の
Mg含有量は0.9%、Si含有量は0.6%であり、
ほぼ添加合金元素通りの合金組成を有しており、添加時
の揮発ロスは全く認められなかった。また、この鋳片を
T6処理したものの硬度はHv135であり、均質で優
れた強度特性を有するものであった。
【0036】比較例5 上記実施例13において、Mg,Si添加時および鋳込
み時の温度を1400に代えた以外は全く同様にして実
験を行なった。その結果、Mg,Siの添加混合時に著
しい揮発ロスが認められると共に、鋳込み工程で溶湯の
著しい膨れが認められ、得られる鋳片の密度は約1.8
g/cm3 で内部に無数の気孔や空洞が認められ、ま
た、鋳片中のMg含有率は0.1%、Si含有率は0.
4%であり、それらの含有率は添加量に比べてかなり少
なくなっていることが確認された。また、得られる鋳片
の硬度はHv92であり、実施例13に比べてかなり低
いことが確認された。
【0037】実施例14,15、比較例6,7 前記実施例10および比較例2の方法に準じて、添加合
金元素の種類や添加量、添加時および鋳込み時の温度等
を種々変えて実験を行なった。結果を表2に一括して示
す。
【0038】
【表2】
【0039】表2からも明らかである様に、本発明の規
定要件を満足する条件で成分調整および鋳込みを行なっ
たものは、鋳造工程で溶湯の膨らみを生じることがな
く、且つ鋳造製品に気孔や空洞等の内部欠陥を生じるこ
ともなく、更には成分調整元素として添加した高揮発性
元素の揮発ロスも殆ど起こらず、目標通りの成分組成を
有するAl合金複合鋳片が得られている。これに対し、
合金元素添加時の温度及び鋳込み時の温度が本発明の規
定要件を外れる比較例では、鋳込み時の溶湯の膨れが著
しく、得られる鋳片は内部欠陥が著しく、更には高揮発
性合金元素の揮発ロスが多くてその歩留が大幅に低下し
ており、満足な物性が得られていない。
【0040】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、気
孔や空洞等の内部欠陥がなく、しかも高揮発性合金元素
の揮発ロスも起こらず、均質でしかも耐熱性、比強度、
比弾性等のいずれにおいても高レベルで安定した物性を
示すAlまたはAl合金複合材料を提供し得ることにな
った。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlまたはAl合金溶湯中に、炭化物形
    成元素と固体状炭素源を添加し、該溶湯を攪拌しつつ1
    100〜1500℃の温度で反応させて炭化物粒子を生
    成・分散させた後、溶湯温度を液相温度以上1000℃
    以下に降下させてから鋳込みを行なうことを特徴とする
    AlまたはAl合金複合材料の製法。
  2. 【請求項2】 AlまたはAl合金溶湯中に、炭化物形
    成元素と固体状炭素源を添加し、該溶湯を攪拌しつつ1
    100〜1500℃の温度で反応させて炭化物粒子を生
    成・分散させた後、溶湯温度を液相温度以上1000℃
    以下の温度に降下させ、該溶湯に高揮発性合金元素を添
    加し成分調整してから鋳込みを行なうことを特徴とする
    Al合金複合材料の製法。
  3. 【請求項3】 炭化物形成元素が、B,Si,Ti,N
    b,Zr,Ta,Cr,V,Ce,Mo,HfおよびW
    よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項
    1または2に記載の製法。
  4. 【請求項4】 成分調整用合金元素が、Cu,Mg,Z
    n,Siよりなる群から選択される少なくとも1種であ
    る請求項2または3に記載の製法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2002027055A1 (ja) * 2000-09-25 2004-02-05 株式会社東北テクノアーチ アモルファス合金及びその作製法
JP2006089838A (ja) * 2004-09-27 2006-04-06 Chiba Univ リサイクル型Fe−Al複合材料の製造方法
JP2013518178A (ja) * 2010-01-21 2013-05-20 アディトヤ ビルラ サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド 微粒子アルミニウムマトリックスを含むナノ複合物と同複合物を生産するプロセス

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