JP3043109B2 - 厨芥処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、厨房にて発生する生ご
み（厨芥）を処理し、公共下水道への一部の廃棄を可能
とする厨芥処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般家庭、飲食店等の厨房において日々
発生する生ごみ（厨芥）は、これを放置した場合、腐敗
に伴う悪臭の発生、並びに、害虫及び細菌の繁殖を招来
して厨房の衛生環境を著しく阻害する。そこで欧米各国
においては、流し台の排水口に厨芥粉砕機（ディスポー
ザ）を連設し、排水口に直接的に投入される厨芥をこの
ディスポーザの動作により粉砕した後、排水と共に排水
管を経て公共下水道に廃棄することが一般的に行われて
いる。

【０００３】ところが我が国においては、粉砕された厨
芥による下水管の閉塞及び下水処理場における負荷の増
大の問題があること、並びに雨水との合流式下水道にお
いては、粉砕された厨芥を含む越流水の流れ込みが河
川，湖沼等の自然水域の汚濁を招来し、富栄養化現象が
発生する虞があること等の理由により、公共下水道への
排水中の浮遊物質量（ＳＳ）及び生物科学的酸素要求量
（ＢＯＤ）の許容値が条例により厳しく規制されてお
り、粉砕された厨芥を含み濃い液状を呈するディスポー
ザからの排水は前記規制を満たし得ず、ディスポーザの
使用は禁止されているのが実情である。

【０００４】このような事情により、我が国における一
般的な厨芥処理は、流し台の排水口に連設した網籠、又
は流し台シンクの角部に載置した三角コーナ籠にて厨芥
を捕捉し、これらから取り出した厨芥を他のごみと共に
廃棄処理する手順にて行われている。

【０００５】ところがこのような厨芥処理においては、
前記網籠又は三角コーナ籠内に放置された厨芥が腐敗し
て厨房内に悪臭が充満すること、厨芥の取り出しに際し
該厨芥に含まれる汚水がこぼれ出し、流し台周辺が汚染
されること等、厨房における衛生環境の維持を阻害する
種々の不都合があり、厨芥の取り出しを頻繁に行い、ま
たこの取り出しの都度、前記網籠又は三角コーナ籠、及
び流し台周辺を洗浄する必要が生じ、多大の労力負担を
強いられる難点があった。

【０００６】これらの難点を解消すべく本願出願人は、
流し台の排水口にディスポーザを連設すると共に、この
ディスポーザの下流側に、周壁に微細目のフィルタを備
えて軸心回りに回転する円筒形の遠心分離槽を配し、粉
砕厨芥からなる固形分を含むディスポーザからの排水を
この遠心分離槽の内部に導入して、排水中の固形分を前
記フィルタに漉し取り、該フィルタを透過した水分のみ
を公共下水道に排出するようになした厨芥処理装置を既
に提案している（特願平３-81779号）。

【０００７】この厨芥処理装置においては、公共下水道
への排水が条例による排水規制を満たし得ることは勿
論、フィルタに漉し取られた厨芥は、ディスポーザによ
る粉砕の後に遠心分離槽の回転により脱水されたもので
あることから、腐敗の虞が少なく、処理頻度の削減によ
り厨芥処理に要する労力負担が軽減されると共に、厨房
の衛生環境を良好に維持できる効果が得られる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】さて、この厨芥処理装
置での厨芥処理は、遠心分離槽からフィルタを取外し、
該フィルタに漉し取られた厨芥を廃棄する手順にて行わ
れるが、このときフィルタにわずかに残留する厨芥が放
置された場合、該フィルタを遠心分離槽に再装着した後
に残留厨芥の腐敗が進行して、厨房の衛生環境維持に悪
影響を及ぼす虞が生じる。即ち従来の厨芥処理装置にお
いては、残留厨芥の除去のために、再装着前のフィルタ
を適宜の頻度にて水洗いする煩雑な作業が不可欠であ
り、これが厨芥処理に要する労力負担の更なる軽減を阻
害する要因となっている。

【０００９】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、遠心分離槽に装着されて固形分を漉し取るフィ
ルタを使い捨て可能に構成し、該フィルタと共に粉砕厨
芥を廃棄することにより再装着を不要として、厨芥の廃
棄を容易に、しかも衛生的になし得る厨芥処理装置を提
供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係る厨芥処理装
置は、排水と共に投入される厨芥を粉砕するディスポー
ザと、上部に開口を有する円筒形をなし、前記ディスポ
ーザからの排水を内部に導入されてその軸心回りに回転
し、前記排水中の固形分をその周壁に備えたフィルタに
漉し取る遠心分離槽とを備え、前記フィルタを透過した
排水を排出するようになした厨芥処理装置であって、前
記ディスポーザからの排水の導入口を有し、前記遠心分
離槽の開口に着脱自在に装着される蓋板と、該蓋板の導
入口の周縁にその開口部を固定されて前記遠心分離槽の
内側を覆う袋状をなし、前記フィルタとして機能するフ
ィルタ袋とを具備することを特徴とする。

【００１１】更にこれに加えて、前記遠心分離槽は、多
数の通水孔をその周壁に形成してなること、前記フィル
タ袋は、親水性の不織布からなる補強層と、前記排水中
に含まれる固形分の大部分を漉し取る主フィルタ層と、
該主フィルタ層を透過する微細な固形分を漉し取る補助
フィルタ層とを、その内側から順に備える３層構造とし
てあることを夫々特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明においては、ディスポーザからの排水
は、遠心分離槽の蓋板の導入口から、これの周縁にその
開口部を固定されたフィルタ袋内に導入されて、遠心分
離槽の回転により排水中の固形分のみがフィルタ袋の内
面に漉し取られる。所定量の固形分を漉し取ったフィル
タ袋は、蓋板と共に遠心分離槽から取外し、該蓋板と共
に、又は該蓋板から更に取外して廃棄する。

【００１３】また遠心分離槽の周壁に前記排水中の固形
分よりも小さい多数の通水孔を形成し、フィルタ袋の装
着忘れ又は装着不良によりディスポーザからの排水が遠
心分離槽内に直接的に導入された場合においても、粉砕
厨芥の公共下水道への漏れ出しを前記通水孔にて阻止す
る。またフィルタ袋を前述した３層構造を有する廉価な
不織布製とし、十分なフィルタ性能を得ると共に、前記
廃棄に伴う経済的な負担を軽減する。更に、遠心分離槽
の底面に形成したリブによりフィルタ袋の底部を浮かせ
て保持し、前記排水導入時にフィルタ袋の底部を透過し
て遠心分離槽の底面上に漏れ出す水分の排出通路を確保
する。

【００１４】

【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図１は本発明に係る厨芥処理装置（以下本
発明装置という）の全体構成を示す模式的側断面図であ
る。図中１は流し台、２はシンクであり、本発明装置
は、シンク２の底面に開口する排水口2aに連設したディ
スポーザ３の下流側に、遠心分離槽４を備えた遠心分離
装置５を配してなる。

【００１５】ディスポーザ３は、公知の如く、排水口2a
に連結された筒状をなすハウジング31の内部に、これの
内壁に突設された固定刃32と、該固定刃32の内側にてこ
れと同一面内にて回転する回転刃33とを備え、該回転刃
33をハウジング31の底部に固設された駆動モータ34によ
り回転駆動する構成となっており、排水口2aからハウジ
ング31内に投入される厨芥は、固定刃32と回転刃33との
間にて細かく粉砕されて、ハウジング31の底部側周面に
その一端を開口させた排水管６中に排水と共に排出され
る。

【００１６】図２及び図３は、本発明装置の特徴部分で
ある遠心分離装置５の拡大断面図である。遠心分離装置
５は、箱形をなすハウジング50の底部に複数の制振ばね
脚51，51…を介して駆動モータ52を固定する一方、この
駆動モータ52の上方に排水槽53を形成し、該排水槽53中
に突出する駆動モータ52の出力軸の先端に、防振ゴム54
を介して遠心分離槽４を固定してなる。

【００１７】遠心分離槽４は、上部の全面に開口を有
し、周壁を内外に貫通する極小径の多数の通水孔40，40
…を備えた円筒形の部材である。遠心分離槽４の上側開
口部には、その中心部に導入口 45aを備えた蓋板45が装
着してあり、遠心分離槽４の内側は、前記導入口 45aの
周縁にその開口部を固定されたフィルタ袋41にて覆われ
ている。

【００１８】遠心分離槽４の内側底面には、図４に示す
如く、中心部から放射状に延びる複数本のリブ43，43…
が突設してあり、前記フィルタ袋41の底部は、これらの
リブ43，43…により、遠心分離槽４の底面との間に所定
の隙間を有して支持されている（図２参照）。なお図中
の44は、周壁の一部を厚肉化して形成された動バランス
調整用のバランスウエイトである。

【００１９】ハウジング50の上部は、その一側縁を蝶番
止めされた上蓋55により、略全面に亘って開閉自在であ
り、遠心分離槽４の蓋板45はこの上蓋55の開放時に、前
述の如く固定された前記フィルタ袋41と共に遠心分離槽
４の開口部から取外し得るようになしてある（図３参
照）。

【００２０】前記上蓋55の内側には、これの内面に沿っ
て延び、中途部において略直角をなして屈曲された導水
管56が固設してあり、またハウジング50には、これの上
部側壁を内外に貫通する態様にて導入管57が固定してあ
って、図２に示す如く上蓋55を閉じたとき、導水管56の
基端が導入管57の内側端部に遊嵌されて、両者は相互に
連結される構成となっている。このとき、導水管56の基
端部周縁が導入管57の周囲に固着された環状パッキン58
に密着し、導水管56と導入管57との連結部分での水密状
態が得られるようになしてあると共に、導水管56の屈曲
側端部は、前記遠心分離槽４の中央にて略鉛直下向きに
垂下されて、蓋板45に形成された前記導入口 45aから遠
心分離槽４中に所定長侵入する構成となっている。

【００２１】導入管57の外側端部は、フレキシブルチュ
ーブを用いてなる連結管７を介して前記ディスポーザ３
の排水管６に連結してあり、ディスポーザ３から排水管
６中に前述した如く排出される粉砕厨芥を含む排水は、
導入管57及び導水管56を経て遠心分離槽４の内部に導入
される。なお導入管57の先端側は、基端に連結される連
結管７及びこれの上流側の排水管６よりも小径となるよ
うに縮径されており、遠心分離槽４への排水導入量を制
限する機能を果たす。またハウジング50内に形成された
前記排水槽53は、これの底部にその一端を固定され、ハ
ウジング50の外部に延設された排水管８を介して図示し
ない公共下水道に連結されている。

【００２２】以上の如く構成された遠心分離装置５の運
転は、蓋板45と共にフィルタ袋41を遠心分離槽４の開口
部に取付けた後、ディスポーザ３の運転に連動させて駆
動モータ52を回転させ、前記遠心分離槽４を軸心回りに
回転せしめる手順にて行われる。なおこのとき遠心分離
槽４に生じる回転振動は、駆動モータ52を支持する制振
ばね脚51，51…及び防振ゴム54により吸収され、遠心分
離装置５の運転は、振動及びこれに伴う騒音を発するこ
となく静かに行われる。

【００２３】このように回転する遠心分離槽４の内部に
は、ディスポーザ３の排水が、排水管６、連結管７、導
入管57及び導水管56を経て、蓋板45に形成された導入口
45aから導入される。この排水は、遠心分離槽４の回転
に伴う遠心力により周壁に向けて付勢され、前記排水中
に含まれる固形分、具体的にはディスポーザ３により粉
砕された厨芥は周壁の内面全体を覆うフィルタ袋41によ
り漉し取られ、水分のみがフィルタ袋41を透過して漏れ
出し、周壁に形成された通水孔40，40…を経て排水槽53
内に噴出して、該排水槽53の底部に連設された排水管８
を経て公共下水道に放流される。フィルタ袋41を透過し
たこの放流水は、条例による各種の排水規制を十分に満
たし得るものであり、前記放流は問題なく行い得る。

【００２４】なお、遠心分離槽４に導入される排水中の
水分の大部分は、前記遠心力の作用を受ける前にフィル
タ袋41の底部を透過して遠心分離槽４の底面上に漏れ出
し、この底面上に前記リブ43，43…の作用により確保さ
れた隙間を流れて周壁に達するから、底部を透過した水
分が再度フィルタ袋41内に逆流して、該フィルタ袋41の
漉し取りのための負荷が無為に増大する虞がなく、フィ
ルタ袋41の内面に付着した固形分は速やかに脱水され
る。

【００２５】このようにして所定量の固形分（粉砕厨
芥）を漉し取ったフィルタ袋41は、図３に示す如くハウ
ジング50の上蓋51を開放し、蓋板45と共に遠心分離槽４
から取外され、該蓋板45と共に、また該蓋板45から更に
分離され、内部に捕捉された粉砕厨芥と共に廃棄すれば
よく、このとき煩雑な水洗い作業は全く不要であり、厨
芥処理に要する労力負担が大幅に軽減される。

【００２６】フィルタ袋41を廃棄した後、次なる運転に
備えるべく新たなフィルタ袋41を用意し、これを蓋板45
と共に遠心分離槽４に装着するが、この装着が不完全な
まま、または装着そのものを忘れたまま遠心分離装置５
の運転が行われた場合、遠心分離槽４の周壁に形成され
た小径の通水孔40，40…がフィルタとしての機能を果た
し、排水槽53及び排水管８からの粉砕厨芥の流出を防
ぐ。

【００２７】このようなフィルタ機能は、通水孔40，40
…の大きさをディスポーザ３による粉砕の結果予想され
る最小の厨芥よりも十分に小さくすることにより実現で
き、フィルタ袋41を透過した水分の通過は、可及的に多
数の通水孔40，40を設けることにより対処する。

【００２８】さて、以上の如くフィルタ機能を果たすフ
ィルタ袋41には、固形分の捕捉を確実になし得ることの
他に、遠心分離槽４の回転に伴う遠心力に耐えるだけの
強さを有すること、及び、捕捉した厨芥と共に廃棄され
ることから可及的に廉価であることが要求される。

【００２９】フィルタ袋41に対する以上の要求は、図５
にその断面を示す如く、固形分の主たる漉し取り作用を
なす不織布製の主フィルタ層 41aの両側に、共に親水性
の不織布からなる内側の補強層 41bと外側の補助フィル
タ層 41cとを積層してなる３層構造の採用により解決さ
れる。補強層 41bは、フィルタ袋41に所定の強度を付与
する作用をなし、また補助フィルタ層 41cは、主フィル
タ層 41aを透過する微細な固形分を確実に捕捉する作用
をなすものであり、これらを共に親水性としたのは、内
外両側のこれらの層 41b,41cにより漉し取られた固形分
に含まれるわずかの水分を吸収させ、前述の如く取り出
されて廃棄されるフィルタ袋41からの水分の染み出しを
防止するためである。

【００３０】

【発明の効果】以上詳述した如く本発明装置において
は、ディスポーザから遠心分離槽に導入される排水中の
固形分を漉し取るフィルタが、遠心分離槽の開口に着脱
自在に装着される蓋板と共に着脱自在とされたフィルタ
袋であり、適量の固形分の漉し取り後このフィルタ袋
を、蓋板と共に、又は蓋板から更に取外して単独にて廃
棄することができ、煩雑な水洗いが不要となって労力負
担が軽減される。

【００３１】また、前記遠心分離層の周壁に、これに導
入される排水中の固形分よりも小さい多数の通水孔を備
えるから、フィルタ袋の装着忘れ又は装着不良時におけ
る固形分の流出が回避され、また前記フィルタ袋は、い
ずれも不織布からなる補強層と２層のフィルタ層とを備
えた３層構造としてあるから、遠心分離槽の回転に耐え
る十分な強度と、固形分の確実な捕捉とが廉価に可能と
なり、更に、遠心分離槽の内側底面に設けたリブの作用
により、この底面とフィルタ袋の底部との間に通水のた
めの隙間が確保され、フィルタ袋の漉し取りのため負荷
が無為に増大することがない等、本発明は優れた効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の全体構成を示す模式的側断面図で
ある。

【図２】本発明装置の特徴部分の拡大断面図である。

【図３】本発明装置の特徴部分の拡大断面図である。

【図４】遠心分離槽の平面図である。

【図５】フィルタ袋の一部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 流し台 ２ シンク 2a 排水口 ３ ディスポーザ ４ 遠心分離槽 ５ 遠心分離装置 ６ 排水管 ７ 連結管 ８ 排水管 41 フィルタ袋 41a 主フィルタ層 41b 補強層 41c 補助フィルタ層 43 リブ 45 蓋板 45a 導入口 52 駆動モータ 53 排水槽 56 導水管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭59−154341（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−17352（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−28738（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B02C 18/00 - 25/00 B04B 1/00 - 15/12 B09B 5/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排水と共に投入される厨芥を粉砕するデ
   ィスポーザと、上部に開口を有する円筒形をなし、前記
   ディスポーザからの排水を内部に導入されてその軸心回
   りに回転し、前記排水中の固形分をその周壁に備えたフ
   ィルタに漉し取る遠心分離槽とを備え、前記フィルタを
   透過した排水を排出するようになし、前記ディスポーザ
   からの排水の導入口を有し、前記遠心分離槽の開口に着
   脱自在に装着される蓋板と、該蓋板の導入口の周縁にそ
   の開口部を固定されて前記遠心分離槽の内側を覆う袋状
   をなし、前記フィルタとして機能するフィルタ袋とを具
   備してなり、前記遠心分離槽は、多数の通水孔をその周
   壁に形成してなる厨芥処理装置において、前記フィルタ
   袋は、親水性の不織布からなる補強層と、前記排水中に
   含まれる固形分の大部分を漉し取る主フィルタ層と、該
   主フィルタ層を透過する微細な固形分を漉し取る補助フ
   ィルタ層とを、その内側から順に備える３層構造として
   ある厨芥処理装置。