JP3039917B2 - 紫外線硬化型インキ組成物 - Google Patents

紫外線硬化型インキ組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインキ、樹脂加工、
木材、ビン、金属、缶の表面処理剤等の分野において利
用され得る、紫外線硬化型インキ組成物に関するもの
で、可撓性を有し、被印刷体との可撓性および密着性に
優れる等の性状を有するものである。さらにオーバープ
リント(OP)ニスに使用した場合、下地の油性系イン
キとの密着性も向上することが期待できる。
【0002】
【従来の技術】光重合性モノマー、光重合性プレポリマ
ー、光重合開始剤などから成る紫外線硬化型インキは、
硬化速度が速く、強靱なインキ皮膜を形成するという長
所がある反面、以下の問題点を有している。すなわち、
インキ皮膜に可撓性・柔軟性を出すために処方するウレ
タン系のプレポリマーは高粘度でハンドリングが悪く、
また、N−ビニル−2−ビニリドンなどは臭気や人体に
対する安全性に問題がある。インキ皮膜はUV照射時に
即座に硬化するため硬化収縮を起こし被着体に対するイ
ンキの密着が困難あるいは低下し、また被着体にインキ
が密着した場合においても、その後被着体が変形し、被
着体に対して追従性を欠くこととなり、クラックを生じ
るという問題点があった。
【0003】一方、天然物である植物油脂を構成する脂
肪酸は、炭素−炭素間二重結合(以下、単に二重結合と
いう)に代表される不飽和結合を有する不飽和脂肪酸を
含み、そのうち特に2個以上の二重結合を有する不飽和
脂肪酸およびその誘導体は、熱や光によって重合反応が
促進され、不飽和度の高いものについてはその性状がペ
ースト状から固形状まで変化することが知られている。
従来からこの性状を活用して塗料やインキのような皮膜
や積層板のような板状の成形物を作成する等、二重結合
を多く有する不飽和脂肪酸は様々な分野において利用さ
れてきた。
【0004】一般に二重結合を有する不飽和脂肪酸およ
びその誘導体が重合する速度は、一つには二重結合の数
によって影響を受けるため二重結合数が多いほど重合反
応速度は早くなるが、また二重結合の位置も重合反応性
に大きく影響する。具体的には、2個以上の二重結合は
一般的に「ペンタジエン型」とよばれる1,4位の位置
関係(−CH=CH−CH2 −CH=CH−)にあり、
工業用あるいは食用として大量に生産されている通常の
液状油脂類、例えば大豆油、菜種油、コーン油、ひまわ
り油、米油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油、ア
マニ油等を構成するジエン酸(例えばリノール酸)やト
リエン酸(例えばリノレン酸)はそのような位置関係を
もつ。これらの油脂類は、光や熱をかけることにより、
または大気中に長時間放置することによりペースト状や
ゲル状に変化し、さらには皮膜を形成したり固化したり
するが、しかしその性状変化の速度はモノマー、プレポ
リマーの紫外線硬化とは比べられないほど非常に緩やか
なものである。
【0005】これに対して高い重合反応性(乾燥性)を
有する「共役型」とよばれる1,3位の位置関係(−C
H=CH−CH=CH−)にある二重結合をもつものが
ある。天然物のなかで共役型二重結合を比較的多量に含
むものの例としては桐油があげられる。これはエレオス
テアリン酸と呼ばれる共役トリエン酸を主成分として構
成されるものであり、天然系油脂の中では最も前記反応
性の高いものであるが、生成する皮膜にちぢみと呼ばれ
る皺の発生の問題があった。
【0006】天然油脂の構成脂肪酸(リノール酸、リノ
レン酸等)を出発原料として光(UV)照射処理、加熱
処理や触媒を用いて共役化反応を行わせて共役化率を高
めることも可能である(例えば油化学、第38巻、第9
49頁および第959頁、1989年)。また工業的規
模で実施されている共役化油脂類の事例としては共役化
アマニ油や脱水ひまし油等が挙げられるが、これらのい
ずれも共役化率は30モル%程度が限度であった。また
水酸化ナトリウムのようなアルカリ触媒を用いる熱異性
化反応による共役化脂肪酸や、ひまし油加水分解脂肪酸
を原料として脱水反応により共役化させたハイジエン酸
(綜研化学(株)製)は約60モル%の共役化率を有す
るが、末端カルボキシル基が遊離であるため、利用範囲
が限定されていた。
【0007】以上に述べたように、天然系油脂類および
その脂肪酸における共役型二重結合の含有量や機能的制
約から、現在、天然系油脂類やその脂肪酸誘導体の硬化
機能を活用する分野はさほど広くはないが、社会的な環
境問題対応のニーズ、特に化石資源である石油系原料に
対して計画栽培資源を起源として入手できる原料であ
り、高い生分解性が期待できる等の点から、天然系油脂
類およびその脂肪酸誘導体を見直す機運が高まってきて
いる。
【0008】特に近年においては、種々の工業分野で原
料加工処理工程の短縮化、効率化が要望されており、こ
のために例えば自動車、機械、船舶等の金属表面への保
護膜塗装の場合、またカルトン印刷、金属印刷、フォー
ム印刷、シール印刷、曲面印刷、プリント基板、オーバ
ープリント、ハードコート等の印刷の場合のように紫外
線照射による硬化反応技術が応用され、その被処理原料
としては主にアクリル酸系化合物等の化学合成原料およ
びこれを主要構成成分とする組成物が使用されてきた。
しかしながらアクリル酸系化合物のもつ機能的欠点(皮
膚刺激性、揮発性有機溶剤が不可欠である点等)の改善
が指摘され、また環境保全対応の観点からも化学合成原
料から天然系原料へのシフト、転換が進む中で、前記し
た種々の分野においても改めて天然系油脂類やその脂肪
酸等を活用した原料の有効利用が要望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、桐油を
除くと通常の植物性油脂はもとより、その誘導体である
共役化アマニ油や脱水ひまし油等の共役化率を向上させ
たものにおいても一般に重合反応性あるいは硬化性が不
足であったり、さらに高い該反応性を期待する用途では
桐油が検討されてきた。しかし、桐油については皺の発
生の問題があり、限られた分野での使用にとどまってい
た。したがって本発明の目的は、紫外線照射により高い
重合反応性すなわち硬化性を有するとともに、硬化させ
た際に均質で、可撓性および密着性に優れたインキ皮膜
を形成する紫外線硬化型インキ組成物を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、共役二重結合をも
つ脂肪酸を含む混合脂肪酸と多価アルコールとからなる
モノエステルないし多価エステルからなることを特徴と
する硬化性エステルが紫外線硬化性を有するラジカル反
応性添加剤であることを見いだした。この知見に基づい
てさらに検討を進めた結果、紫外線によって重合反応が
速やかに進行し、硬化性が良好で、生成した皮膜が適度
な強度と可撓性をあわせもち、かつ皺を生じないという
性状をも呈するような紫外線硬化型インキ組成物が得ら
れることを見い出した。本発明はかかる知見に基づくも
のである。
【0011】すなわち本発明の要旨は、共役二重結合を
もつ脂肪酸を含む混合脂肪酸と多価アルコールとからな
るモノエステルないし多価エステルであってエステル結
合した混合脂肪酸残基のうち共役二重結合をもつ脂肪酸
残基の割合が20モル%以上であるエステルを重合物含
量が5重量%以下になるように精製した紫外線硬化性エ
ステルを配合した可撓性を有することを特徴とした紫外
線硬化型インキ組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の共役不飽和脂肪酸を含む
硬化性エステルは、分子中に水酸基を2個以上有する多
価アルコールと混合脂肪酸とのエステル(モノエステル
ないし多価エステル)の構造をもち、エステル結合した
混合脂肪酸残基のうち共役不飽和脂肪酸残基を20モル
%以上、好ましくは35モル%以上含む前記硬化性エス
テルからなる。
【0013】本発明に係る硬化性エステルは、共役化し
得る二重結合を有する不飽和脂肪酸を含む混合脂肪酸と
多価アルコールとのモノエステルないし多価エステルを
共役異性化反応せしめるか、あるいは共役不飽和脂肪酸
を含む混合脂肪酸と多価アルコールとをモノエステルな
いし多価エステルにエステル化反応せしめるかして製造
する。
【0014】共役不飽和脂肪酸は、桐油の構成脂肪酸で
ある共役オクタデカトリエン酸(エレオステアリン酸)
のような天然に存在する共役不飽和脂肪酸を含む油脂を
加水分解したのち適宜に分画、精製処理を施すことによ
り得ることができる。また、大豆油、菜種油、サフラワ
ー油、ゴマ油、綿実油、アマニ油、エノ油等を構成する
リノール酸やリノレン酸、すなわち共役化し得る二重結
合を有する不飽和脂肪酸を多く含む油脂類を共役異性化
処理して共役オクタデカジエン酸や共役オクタデカトリ
エン酸のような共役不飽和脂肪酸を精取する方法もあ
る。この場合、前記油脂類の単独または混合物に対して
共役化反応を行わせ、その後加水分解処理することによ
り共役不飽和脂肪酸混合物を得るか、あるいは前記油脂
類を単独または混合したものを加水分解して脂肪酸と
し、これに共役化反応を行わせることにより共役不飽和
脂肪酸混合物を得ればよい。共役化の触媒としては、ア
ルカリ、ニッケル、カーボン、金属酸化物、二酸化硫
黄、アントラキノン、ベントナイト、ヨウ化メチル、シ
リカが使用できる。さらにこのようにして得られる共役
不飽和脂肪酸と他種脂肪酸との混合物に対して、必要に
応じて溶剤分別、シリカゲルカラム分画等の処理を施し
たり、または他種脂肪酸を混合することにより共役不飽
和脂肪酸の純度を調節することも可能である。
【0015】なお共役不飽和脂肪酸は、これを単独で用
いると、前記したように硬化速度は大きいものの硬化物
である皮膜に皺が発生するため、他種の脂肪酸と混合し
て用いることが必要である。このような目的で混合する
他種脂肪酸としては非共役脂肪酸が好適であり、例えば
酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペ
ンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステア
リン酸、ベヘン酸等の直鎖状飽和脂肪酸や、2−エチル
ヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2−
ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、エメリ
ー社製の多メチル基分枝型イソステアリン酸等の側鎖状
飽和脂肪酸や、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルシン酸等の不
飽和脂肪酸をあげることができる。
【0016】本発明に係るエステルは、これら非共役脂
肪酸の種類の選択によってその性状をコントロールでき
る。分子量の小さい脂肪酸を選択するほどエステルの粘
度を低下させることができ、不飽和度の高い脂肪酸を選
択するほど凝固点(融点)を下げることができ、また側
鎖状脂肪酸を選べばエステルの粘度および融点を低下さ
せることができる。
【0017】一方、本発明に係るエステルを構成するた
めの多価アルコールとしては、例えばエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、オクタンジオール、デカンジ
オール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールブタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール
類、ジグリセリン、トリグリセリン、デカグリセリン等
のポリグリセリンやジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコ
ール脱水縮合物、ソルビトール、マンニトール、キシリ
トール等の糖アルコール類、グルコース、ショ糖、キシ
ロース、マルトース等の糖類等を使用できる。これらの
多価アルコールのうち、本発明では分子中に水酸基を2
〜6個有するものが好ましい。
【0018】本発明では、前記共役不飽和脂肪酸および
他種脂肪酸からなる混合脂肪酸と前記多価アルコールと
を適宜に組み合わせてエステル化反応せしめることによ
り、モノエステルないし多価エステルを得ることができ
る。エステル化方法としては、常法によるものでよく、
例えば金属類やその酸化物、塩化物、また酸性またはア
ルカリ性物質等の公知のエステル化触媒を用い、加熱し
て脱水縮合を行わせたり、または前記混合脂肪酸の誘導
体(酸塩化物、酸無水物等)を経由してエステル化反応
の進行を容易ならしめたり、あるいは酵素(リパーゼ)
を利用してエステル化を行う等の方法を適宜に採用でき
る。なお本発明においては、通常の不飽和脂肪酸と比較
して光や熱に対する安定性が劣る共役不飽和脂肪酸を取
り扱うため、エステル製造工程ではできるだけ温和な方
法および条件を選択することが望ましい。
【0019】また、上記のようなエステル化反応を用い
る方法のほか、共役不飽和脂肪酸を含む油脂と任意脂肪
酸でエステル化された多価アルコールエステルとをナト
リウムメチラートやリパーゼ等のエステル交換反応用触
媒を用いてエステル交換を行わせたり、あるいはリノー
ル酸やリノレン酸等の共役異性化し得る不飽和脂肪酸を
構成要素として含む多価アルコールエステルに対してヨ
ウ素、ヨウ化メチル等の共役異性化反応用触媒を用いて
共役化を行わせたりすることにより、本発明に係る特定
の硬化性エステルを製造することも可能である。
【0020】本発明に係る硬化性エステルを製造するに
あたり、エステル化度合は通常ほぼ完全とすることが望
ましいが、エステルの利用目的や用途に応じて多価アル
コールの水酸基の一部を残存させた構造(モノエステル
ないし多価エステル)とすることができ、またこれらの
部分エステルの少なくとも1種以上を含む前記完全エス
テルとの混合エステルとすることも可能である。
【0021】以上のような条件を満たすエステルからな
る本発明の紫外線硬化性エステルは、前記の例えばエス
テル化反応生成物をそのまま各種硬化物の作成に使用で
きるが、必要に応じて特に共役不飽和脂肪酸の共役構造
の劣化を起こさせない程度に脱酸、脱色、脱臭等の精製
処理を施して使用してもよく、好ましくは重合物含量が
5重量%以下になるように精製した紫外線硬化性エステ
ルを使用することができる。本発明のエステル基剤は高
い重合反応性あるいは硬化性を有し、保存時の安定性が
良好で、硬化の際には均質で、可撓性および密着性に優
れた硬化組織を形成する等の特性を有する。
【0022】次に本発明の紫外線硬化型インキ組成物に
ついて説明する。本発明の硬化性組成物は、本発明の紫
外線硬化性エステルの前記特性を生かして、これと従来
の硬化性物質またはこれを含む組成物において用いられ
る各種公知成分とを混合してなるものである。このとき
本発明の硬化性エステルの配合割合は原則的には任意で
あり、本発明の硬化性エステル基剤を該組成物中の主成
分とする場合と添加剤とする場合とが考えられる。硬化
性エステル基剤を主成分として含有せしめる場合にはそ
の配合量は硬化性組成物全体に対して30〜95重量
%、好ましくは60〜90重量%である。また添加剤と
して使用する場合は硬化性組成物全体に対して0.1〜
30重量%、好ましくは1〜15重量%配合するのがよ
い。
【0023】前記公知成分としては、光照射処理により
重合反応するアクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸等
のような不飽和結合を有する低級カルボン酸およびその
誘導体(エステル、エーテル、塩、アミド等)である光
重合性モノマー、同じく光照射により重合するウレタン
系などのプレポリマー、加熱や酸素付加処理により部分
的に重合せしめたスタンド油、ボイル油等の重合油脂、
粘性の低減化や相互不溶性成分の相溶のための各種有機
溶剤、光による重合反応を促進させる光重合開始剤
(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1
−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−
ケトン等)、樹脂、顔料、色素等を例示することができ
る。
【0024】本発明の紫外線硬化型インキ組成物は、紫
外線照射によって皮膜や硬化物を形成するインキ、また
は紙や金属等の表面処理剤を対象とし、各々の要求機能
や使用条件にあわせて調製すればよい。例えば本発明の
紫外線硬化性エステルをビヒクル中の乾性油やその加工
品(加熱重合油、マレイン化油、ウレタン化油等)の一
部または全部代替物として使用できる。
【0025】具体例としては、主たる皮膜形成要素成分
としてアクリル酸系化合物をはじめとする光重合性モノ
マーあるいは光重合性プレポリマーを用い、これに光重
合開始剤および本発明の硬化性エステルを適量添加して
ベース組成物となし、さらに必要に応じて顔料や安定化
剤を加えて加温、混合して硬化性組成物を製造する。
【0026】かくして得られる硬化性組成物は、光照射
処理によって容易に硬化する高い重合反応性を有し、可
撓性および密着性の点で優れた均質な皮膜や硬化物を形
成する。このため本発明の硬化性組成物は、従来ではア
クリル酸系などのモノマーに代表される石油化学系原料
が主として用いられてきた分野、例えば特に高い重合反
応性を必要とする特殊塗料やUV硬化処理を行う樹脂加
工、インキ、塗料等の用途において使用することができ
る。また、一般的に熱や光を利用する硬化性原料として
は、石油化学系原料が比較的高い極性を有するのに対し
て本発明の硬化性エステルは極性が低いため、従来原料
とは相溶性のなかった色素や染料等を併用することが可
能となり、また皮膜の柔軟性が高くかつ密着性が良好で
あるといったような石油化学系原料では得られ難い性状
の硬化物を与えることができる。
【0027】本発明で使用される光重合性モノマーとし
ては広く知られている一般的なものが使用できる。例え
ば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ
プロピレングリコールジアクリレート、t−ブチルアミ
ノアクリレート、カプロラクタムアクリレート、N,N
−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−エトキシエ
チルアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプトパン
テトラアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート、長鎖脂肪酸アクリレート、長鎖脂肪酸ジアク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポ
リプロピレングリコールジアクリレート等の一般的な光
重合性モノマーが使用することが出来る。および、これ
らのアクリレート部分がメタクリレートになったものな
どの一般的な光重合性モノマーを使用することが出来
る。
【0028】本発明で使用される光重合性プレポリマー
としては広く知られている一般的なものが使用できる。
例えば、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアク
リレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリ
レート、ポリオールアクリレートなどの一般的な光重合
性プレポリマーを使用することが出来る。
【0029】本発明で使用される光重合開始剤としては
広く知られている、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、
アセトフェノ系、チオキサントン系など一般的なものが
使用できる。また、光増感剤として、脂肪族アミン系、
芳香族アミン系などを用いることが出来る。
【0030】本発明の紫外線硬化型インキ組成物には、
製造時の熱重合防止や貯蔵安定性を保つために、ハイド
ロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブ
チル−カテコール、p−ベンゾキノン、2,5−t−ブ
チル−ハイドロキノンなどの熱重合防止剤を0.01〜
1%程度配合することが好ましい。さらに、公知の着色
剤、顔料、表面平滑剤、消泡剤、粘度調整剤、紫外線吸
収剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤などを目的・用途
に応じて添加することができる。
【0031】本発明の紫外線硬化型インキ組成物は、通
常の印刷方法もしくは塗布方法により、被印刷体例えば
紙、フィルム、シート、金属表面上などに印刷し、紫外
線照射することで硬化させる。紫外線の発生源として
は、低圧または高圧水銀ランプ、メタルハライドラン
プ、キセノンランプなどが使用できる。標準的な硬化条
件としては、50〜200W/cm2 の出力の高圧水銀
ランプまたはメタルハライドランプを設置した紫外線照
射装置で、照射距離10cm程度、1〜50m/分のラ
イン速度で硬化させる。
【0032】
【実施例】
製造例1 大豆サラダ油100gにn−ヘキサン1000ml、ヨ
ウ素0.1gを加えた混合物に対して、高圧水銀ランプ
(ウシオ電機(株)製、型式:UM−102)を用い、水
冷しながら10時間照射して共役異性化反応を行わせ
て、共役脂肪酸の割合が38%の共役化大豆油を得た。
【0033】製造例2 桐油100gに、活性白土10g、酸化マグネシウム
(協和化学工業(株):キョーワマグ150)10gを加
えて、減圧下で105℃にて1時間攪拌しながら吸着反
応を行わせて、脱酸および脱色をした精製桐油を得た。
【0034】実施例 以下の表1に本発明の実施例および比較例に使用した各
種植物油および加工した油脂、エステルの特徴を示す。
【0035】
【表1】 注1)重合物含量が、5重量%以下のもの:○ 5重量%以上のもの:× 重合物含量は試料をテトラヒドロフランに溶解し、示差
屈折計を検出器としてゲル浸透クロマトグラフにより、
トリアシルグリセリン単量体より早く溶出する成分とし
て測定される。
【0036】以下の表2に本発明の実施例1〜4と、対
応する比較例1〜8の処方を示す。
【0037】
【表2】 注1)1,6−ヘキサジオールジアクリレート 2)トリメチロールプロパントリアクリレート
【0038】よく混合し攪拌したものを、3本ロールで
2回混練を行って紫外線硬化型インキ組成物を得た。こ
うして得られた実施例1〜2および比較例1〜4のイン
キをスクリーンインキとして試験した。すなわち、25
0メッシュテトロン製スクリーンに乳化膜厚10μmの
ネガ描像を作成し、0.5mm厚のポリカーボネートシ
ートに印刷した。これを80W/cm2 の高圧水銀ラン
プ3灯で、照射距離10cm、ライン速度5m/分で硬
化させた。得られた試験片について、碁盤目セロハンテ
ープ剥離試験(JIS K5400)によって密着性
を、屈曲試験により可撓性を調べた。上記方法で得られ
た実施例3,4および比較例5〜8のインキはOPニス
として試験した。すなわち、油性系凸版インキで印刷し
たクラフト紙に10μmの厚さで印刷した。同様に80
W/cm2 の高圧水銀ランプ3灯で、照射距離10c
m、ライン速度5m/分で硬化させた。得られた試験片
について、碁盤目セロハンテープ剥離試験によって密着
性を、屈曲試験により可撓性を調べた。可撓性は次のよ
うに定義する。JIS K7171の「プラスチック曲
げ特性の試験方法」のたわみの測定法に準拠する。可撓
性をたわみの距離で表し、そのたわみは厚さ3mm、幅
10mm、長さ100mmの試験板の支点間中央位置に
おける試験片の下面が湾曲しているとき初め(応力をか
ける前)の平面の位置から離れた距離(mm)とする。
【0039】
【表3】 注1)硬化させたときの硬化するまでの回数 2)基盤目セロハンテープ剥離試験(JIS K5400) 3)JIS K7171 応力が10MPaかけたときのたわみ(m m)
【0040】以上の結果から、本発明の硬化性エステル
を添加した紫外線硬化型インキ組成物は、硬化速度が速
く硬化性に優れ、かつ硬化皮膜の可撓性および被印刷体
に対する密着性の点において同時に優れた性状を示すこ
とが認められた。これに対して大豆油や共役化アマニ
油、桐油等の従来の油脂類、本発明ではないエステル類
を添加したものは硬化速度が不足したり、皮膜の性状が
もろく、可撓性に欠け、あるいは密着性が良好でなかっ
た。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、光照射による重合反応
性に富み、可撓性および密着性、硬さ等の点で優れた皮
膜や硬化物を与えるモノエステルないし多価エステルか
らなる硬化性エステルを配合してなる紫外線硬化型イン
キ組成物を提供できる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役二重結合をもつ脂肪酸を含む混合脂
    肪酸と多価アルコールとからなるモノエステルないし多
    価エステルであって、エステル結合した混合脂肪酸残基
    のうち共役二重結合をもつ脂肪酸残基の割合が20モル
    %以上であるエステルを重合物含量が5重量%以下にな
    るように精製した紫外線硬化性エステルを配合したこと
    を特徴とする、可撓性を有する紫外線硬化型インキ組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の紫外線硬化性エステル
    において、精製処理として脱酸、脱色、脱臭の少なくと
    も1つ以上、あるいは全部を行った、請求項1記載の紫
    外線硬化型インキ組成物。
  3. 【請求項3】 紫外線硬化性エステルが桐油の精製油で
    ある請求項1または2に記載の紫外線硬化型インキ組成
    物。
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