JP3039570B2 - 投写表示装置 - Google Patents

投写表示装置

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JP3039570B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光照明装置及び該
偏光照明装置を有する投写表示装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】投写表示装置の画像形成手段としての液
晶ライトバルブは、通常ツイストネマチック型(以下T
N型と呼ぶ)がよく用いられる。このTN型液晶はよく
知られているように視野角特性が大きく見る方向によっ
てコントラストがかなり異なる(Appl.Phys.
Lett.38(1981)497参照)。このため、
直接液晶ライトバルブを観察する直視型液晶表示装置に
おいてはこの特性に合わせて液晶分子、偏光子、検光子
の向きを調節する。
【0003】図10はこの状況を表す図であり、(a)
に示す直視型液晶表示装置41の法線43に対し、観察
者42の視角44は角度θだけ傾いており、通常この視
角θの周辺領域が視野領域となる。従って、この領域に
TN型液晶の視野角特性を合わせる為に(b)に示すよ
うに偏光子45、検光子49の透過偏光方向及び液晶分
子47の液晶層両端部に於ける配向方向46、48を水
平軸に対して45度傾けた構成を用いる。
【0004】投写表示装置に於ては直視型に比べ液晶に
入射する光束の角度拡がりは小さくなるが、やはり画質
向上(特にコントラスト)の為に同様の構成を用いる場
合が多く、また、生産設備共通化によるコスト削減等の
副次的効果も得られる。
【0005】また、近年投写表示装置の高輝度化並びに
光利用効率アップの手段として、光源からの不定偏光光
を、ある特定の偏光方向を持った直線偏光光に変換する
偏光照明装置が種々提案されているが、それらの偏光照
明装置から出射される直線偏光光は前述した理由から偏
光方向が前記水平軸に対して45度傾いていなくてはな
らない。
【0006】偏光照明装置から出射する直線偏光光の偏
光方向を傾ける方法としては、例えば、図7、図8に示
すような偏光変換系が考えられる。図7は、特開昭61
−90584記載の偏光照明装置の要部のみ示したもの
で、光源(不図示)からの不定偏光光は偏光ビームスプ
リッタの多層膜1001で2つの直線偏光成分S、Pに
分けられ、偏光成分Sは直角プリズムの全反射面100
2で偏光成分Pと同一進行方向に曲げられた後、λ/2
光学位相板1003aで偏光成分Pと同じ偏光方向に偏
光方向を回転させられる。このようにして同じ進行方
向、同じ偏光方向となった2つの光束を、λ/2光学位
相板1003bに入射させることにより、このλ/2光
学位相板1003bの光学軸に依存した方向に、2つの
光束の偏光方向を傾けることができる。
【0007】図8は、λ/2光学位相板の代わりにλ/
4光学位相板を用いた例で、偏光成分Sを直角プリズム
1002の全反射面で偏光成分Pと同一進行方向に曲げ
るところまでは図7と同じだが、2つの光束の光路上に
λ/4光学位相板1112aを該2つの光束が円偏光に
なるように配置し、更にλ/4光学位相板1112b
を、該2つの円偏光光束が所定の直線偏光光になるよう
に配置するものである。
【0008】図9は、図7又は図8に示した偏光照明装
置をカラー投写表示装置に適用した場合の概略構成図を
示したものである。31は図7で示した偏光素子を表
す。偏光素子31から出射された白色の直線偏光光は、
赤色を反射し、緑色・青色を透過するダイクロイックミ
ラー32、青色を反射し緑色を透過するダイクロイック
ミラー33及び全反射ミラー34により赤・緑・青の3
色に分解され、各々の光は液晶ライトバルブ7R、7
G、7B及び偏光板8R、8G、8Bを透過した後、全
反射ミラー35、青色を反射し赤色を透過するダイクロ
イックミラー36、及び緑色を反射し赤色・青色を透過
するダイクロイックミラー37により再び合成される。
【0009】合成光は投写レンズ10により不図示のス
クリーン上へ投影される。
【0010】従って、このカラー投写表示装置において
は、光の利用効率をアップする事ができるだけでなく、
液晶分子の配向方向に該偏光照明光の偏光方向を合わせ
ることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示す系には以下のような問題がある。位相板は波長依存
性を示す為、白色光のような広帯域の光の偏光方向をあ
る状態に変更しようとする場合、例えば位相板が白色光
のG成分の波長に対して設計されていると、G成分の波
長とは異なる波長を持つB、R成分に対してはG成分と
同じ量だけ位相をずらすことができなくなる。したがっ
て、G成分の殆どの部分は予め決めた状態に偏光方向が
設定されるが、B、R成分のかなりの部分は、この状態
に偏光方向が設定されない。
【0012】偏光変換系は特定の偏光方向を持つ光を供
給する系であるから、この偏光方向を持たない光は、利
用されないことになる。したがって位相板の波長依存性
の為、B、R成分のかなりの部分が損失することにな
り、その上、系からの光が緑色がかったものになる。ま
た、同様の理由で位相板が白色光のB成分の波長に対し
て設計されていると、G、R成分のかなりの部分が損失
することになり、R成分の波長に対して設計されている
と、B、G成分のかなりの部分が損失することになる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するため、つぎの(1)〜(12)のように構成した
投写表示装置を提供する。 (1)光源からの偏光していない光を偏光光に変換する
偏光手段と該偏光光を互いに色が異なる複数の光に分解
する色分解手段とを有する照明光学系と、前記複数の光
のそれぞれの光路に設けられた、光学軸の方向が可変な
光学的異方性を有する部材を用いて光の偏光状態を変え
ることにより画像光を形成する画像形成手段と、前記複
数の光のそれぞれの光路の前記画像形成手段からの前記
画像光を合成し、投影する投影光学系とを有する投写表
示装置において、前記光学的異方性を有する部材は偏光
方向が水平軸に対して傾いた直線偏光光を受光するよう
に設定されており、前記偏光手段を前記色分解手段のダ
イクロイックミラーに対してP偏光またはS偏光となる
偏光光を形成するように構成し、前記複数の光のそれぞ
れの光路に、前記P偏光またはS偏光の偏光光を前記偏
光方向が水平軸に対して傾いた前記直線偏光光に変える
変更手段を配したことを特徴とする投写表示装置。 (2)光源からの偏光していない光を偏光光に変換する
偏光手段と該偏光光を互いに色が異なる複数の光に分解
する色分解手段とを有する照明光学系と、前記複数の光
のそれぞれの光路に設けられた、光学軸の方向が可変な
光学的異方性を有する部材を用いて光の偏光状態を変え
ることにより画像光を形成する画像形成手段と、前記複
数の光のそれぞれの光路の前記画像形成手段からの前記
画像光を合成し、投影する投影光学系とを有する投写表
示装置において、前記光学的異方性を有する部材は、偏
光方向が水平軸に対して傾いた直線偏光光を受光するよ
うに設定されており、前記偏光手段を、偏光方向が前記
複数の光のそれぞれの光路における光軸を含む平面に対
して傾いていない偏光光、すなわち、P偏光またはS偏
光となる偏光光を形成するように構成し、前記複数の光
のそれぞれの光路に、前記偏光手段が形成する前記偏光
光を前記偏光方向が水平軸に対して傾いた前記直線偏光
光に変える変更手段を配したことを特徴とする投写表示
装置。 (3)前記色分解手段は、赤、緑、青の3色の光を形成
することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記
載の投写表示装置。 (4)前記偏光手段は、前記光源からの光を互いに直交
する直線偏光光に分離する手段と該2つの直線偏光光の
偏光方向を一致させる手段と該2つの直線偏光光の射出
方向を一致させる手段とを有することを特徴とする上記
(1)〜(3)のいずれかに記載の投写表示装置。 (5)前記投影光学系は前記各画像形成手段からの前記
画像光を合成する色合成手段と合成された画像光を投影
する投影レンズとを有することを特徴とする上記(1)
〜(4)のいずれかに記載の投写表示装置。 (6)前記光学的異方性を有する部材は、最も光入射側
の液晶分子が前記水平軸に対して45度方向に配向した
ツイストネマチック型液晶であり、前記最も光入射側の
液晶分子の配向方向と同じ方向に偏光した直線偏光光を
受光するように設定されていることを特徴とする上記
(1)〜(5)のいずれかに記載の投写表示装置。 (7)前記変更手段は、前記偏光手段が形成する前記偏
光光の偏光方向と22.5度を成す方向に光学軸を向け
たλ/2板であることを特徴とする上記(6)に記載の
投写表示装置。 (8)前記光学的異方性を有する部材は、双安定型強誘
電性液晶であり、該液晶の一方の安定状態における配向
方向と同じ方向に偏光した直線偏光光を受光するように
設定されていることを特徴とする上記(1)〜(5)の
いずれかに記載の投写表示装置。 (9)前記変更手段は光軸の回りで回転可能なλ/2板
であることを特徴とする上記(8)に記載の投写表示装
置。 (10)前記双安定型強誘電性液晶の温度変化を検出
し、検出結果に応じて前記偏光回転手段は光軸の回りで
回転させることを特徴とする上記(9)に記載の投射表
示装置。 (11)前記光学的異方性を有する部材は液晶またはP
LZTであることを特徴とする上記(1)〜(7)のい
ずれかに記載の投写表示装置。 (12)前記変更手段はツイストネマチック液晶である
上記(1)または上記( 2)に記載の投写表示装置。
【0014】
【実施例】図1は本発明の実施例を表すカラー画像投写
表示装置の概略構成図を示したものである。従来例と共
通の部分には同じ番号を付した。偏光素子31は、図7
におけるλ/2光学位相板1003bを除いた部分に相
当する。光源1からの光は反射ミラー2、熱線カットフ
ィルタ3を介してコンデンサレンズ4へ入射する。コン
デンサレンズ4から出射される平行光束は偏光素子31
でこの場合、進行方向に垂直で且つ紙面内の方向に偏光
している直線偏光光(ダイクロイックミラー32,33
に対してP偏光光)に変換される。偏光素子31から出
射された白色の直線偏光光は、赤色を反射し、緑色・青
色を透過するダイクロイックミラー32、青色を反射し
緑色を透過するダイクロイックミラー33及び全反射ミ
ラー34により赤・緑・青の3色に分解され、各々の色
光はλ/2光学位相板51R、51G、51Bで紙面に
対して45度偏光方向が傾いた直線偏光光に変換された
後、同じく紙面に対して分子配向軸が45度傾いている
液晶ライトバルブ57R、57G、57Bを通過し、偏
光板58R、58G、58Bを通過する。これらのうち
赤色光を例にとって図2を用いてその作用を説明する。
【0015】水平軸に平行な直線偏光光E1 からなる
入射光は屈折率の光学軸52が22、5度傾いたλ/2
光学位相板51Rを通過してその偏光方向が45度回転
させられた後(E2 )図10(b)に示した液晶構成
からなる液晶ライトバルブ57Rで画像信号に応じて変
調され、検光子の作用をする偏光板58Rを通過する。
λ/2光学位相板51Rは赤の波長域(概ね、600〜
700nm)において、レタデーションが1/2波長に
近くなるように選択される。
【0016】緑色光、青色光についても同様である。
【0017】夫々対応した液晶ライトバルブで変調され
た各色光は、全反射ミラー35、青色を反射し赤色を透
過するダイクロイックミラー36、及び緑色を反射し赤
・青色を透過するダイクロイックミラー37により再び
合成される。合成光は投写レンズ10により不図示のス
クリーン上へ投影される。
【0018】本実施例では、白色光をまず赤と、緑・青
成分に分け、その後青と緑に分けたが、色分解・色合成
の順序は本構成に限定されるものではない。又、図1に
示した構成では赤・緑・青夫々にλ/2光学位相板を設
けたが、ダイクロイックミラー32、33の間に緑・青
共通のλ/2光学位相板を設けても良い。但し、青色光
については屈折率差の波長依存性が大きくなり易いので
共通化する場合は、赤・緑の組み合わせのほうが望まし
い。
【0019】図3は他の実施例を表す概略構成図であ
る。前の実施例と共通の部分は同一番号を付した。偏光
素子31を出射したP偏光光は偏光ビームスプリッタ6
8を通過した後、ダイクロイックミラー62、63で赤
・緑・青色の3色に分解され、各々λ/2光学位相板6
1R、61G、61B、反射型液晶ライトバルブ67
R、67G、67Bを往復する。該反射型液晶ライトバ
ルブは画像信号に応じてP偏光光を45度傾ける機能を
持っているので、該P偏光光は該反射型液晶ライトバル
ブを往復する事により90度回転され、S偏光光とな
る。このようにして画像信号に応じてP偏光光とS偏光
光の混ざった光は、ダイクロイックミラー62、63で
合成され、S偏光成分は偏光ビームスプリッタ68で反
射され、投写レンズ10により不図示のスクリーン上へ
投影される。一方P偏光成分は偏光素子31側に戻る。
反射型液晶ライトバルブ67R、67G、67Bとして
は45度TN型液晶等、複屈折変調型の方式を用いるこ
とができ、λ/2光学位相板61R、61G、61Bは
各液晶方式に適した入射偏光光となるように選択され
る。
【0020】又、近年、液晶ライトバルブとして、強誘
電性液晶素子を用いたものが提案されている。
【0021】強誘電性液晶(以下、「FLC」と記す)
を用いた光学変調素子(以下、「FLC素子」と記す)
において、液晶層を互いに平行で極薄い間隔(例えば1
〜2μm)を有する2枚の板の間に形成し、該2枚の板
の表面作用を用いて双安定な状態を作り出す方式(SS
FLC.Appl.Phys.Lett.36(189
0)899参照)は、その高速応答性及びメモリ性など
により様々な応用が期待されている。
【0022】前記双安定型のFLC素子は、液晶層を挟
む両側の板の液晶層側にラビング等により形成される配
向作用面の軸方向(ラビング方向等)に対し、液晶分子
軸がある一定角度異なった方向において2つの安定状態
を示す。この角度をコーン角(以後θCで表す)とい
う。
【0023】前記FLC素子の液晶層面に垂直な方向に
電圧を印加すると、FLCは一方の安定状態から他方の
安定状態へ移る。この変化は屈折率異方性を有する材料
の屈折率楕円体の一主軸を液晶層面内で角度2θCだけ
回転させることに対応している。液晶分子軸と屈折率楕
円体の一主軸は厳密には一致しない場合もあるが、ここ
では簡単のために両者は同じ方向とみなす。従って、λ
/2光学位相板の作用に相当する厚みを有するような前
記FLC素子に対し偏光光が入射した場合、双安定の2
つの状態による入射偏光光に対する偏光回転作用は互い
に4θCだけ異なる。クロスニコル或いは平行ニコル配
置の偏光素子(偏光板等)で前記FLC素子を挟むと、
4θC=90°(θC=22.5°)の時、両双安定状態
に於ける透過光量のオン・オフ比(透過率比、コントラ
スト)は最も高くなる。
【0024】ところで、前記FLC素子に於けるコーン
角θCは、かなり温度依存性をもっている。このため、
ある温度で入射光の偏光方向と一方の安定状態の液晶分
子軸がそろうように配置しても、別の温度ではコーン角
の変化によって入射光の偏光方向と一方の安定状態の液
晶分子軸の方向とはずれてしまう。従って、入射光は偏
光回転作用を受け、光の一部は検光子を透過してしま
う。このため、偏光子と検光子をクロスニコル配置にし
た場合においては十分に暗い状態が実現できず、コント
ラストの低下を招く。
【0025】一方、偏光子と検光子を平行ニコル配置に
した場合には十分に明るい状態が実現できず、同様にコ
ントラストの低下を招く。これらコントラスト低下を防
ぐ事のできる実施例を以下に示す。
【0026】図4は、本発明の他の実施例を示す部分的
概略図であって、図1に示した実施例と異なる部分のみ
示したものであり、図1中の入射光E 1 、λ/2光学位
相板51R(51G、51B)、ライトバルブ57R
(57G、57B)、検光子58R(58G、58B)
に対応する部分を置き換えたものである。図4におい
て、71Rは入射光 in の偏光方向を回転させるλ/2
光学位相板、77Rは印加電圧に応じて入射直線偏光光
の偏光状態を制御(変調)して出射するFLC素子、7
8RはFLC素子77Rによって変調された光をある偏
光成分だけ検出するための検光子、72Rは予め液晶の
温度と、λ/2光学位相板71Rと検光子78Rの回転
角を対応させたテーブルを記憶したROMなどを含む信
号変換回路部、FLC素子77Rは、対向する透明基板
771R、773R、該透明基板間に注入されたFLC
分子層772R、及びFLC分子層772Rの温度検知
部774Rからなる。
【0027】λ/2光学位相板71Rを通過した入射偏
光光はFLC素子77Rで変調され、検光子78Rの光
学軸方向成分のみ透過して出射光となる。FLC分子層
772Rは基板771R、773Rの内側に形成された
不図示の透明導電膜間に印加される電界の大きさまたは
方向を変えることにより、双安定状態のどちらかの状態
をとる。
【0028】温度検知部774Rによって検知されたF
LC分子層の温度情報は、信号変換部72Rを通してλ
/2光学位相板71R及び検光子78Rの回転を制御す
る信号となる。
【0029】図5は、図4の構成における或る温度A
[度]での各層の光線の状態を示したものである。図6
は、図4の構成における或る温度B[度](A≠B)で
の各層の光線の状態を示したものである。図5及び図6
中の744はFLC分子層772Rの配向作用軸(ラビ
ング方向)を示す。図中角度の単位としては光軸に対し
て右まわりを負として以下に示す。
【0030】図5において、偏光した入射光Ein(ダ
イクロイックミラー32,33に対してS偏光)は、入
射光Einの偏光方向と液晶分子軸の方向が一致する
に光学軸を設定した、λ/2光学位相板71Rを通過
後、FLC分子層772Rに対し、該FLC分子層77
2Rの配向作用軸744から温度A[度]でのコーン角
θCだけ回転した偏光方向745(双安定状態の一方の
液晶分子軸)をもつ偏光光として入射する。この時、F
LC分子層772Rに電界が印加されていなければFL
C分子層772R内において入射光の偏光回転作用はな
く、光線は検光子によって全てカットされ完全な黒が表
現される。一方、FLC分子層772Rに電界が印加さ
れている場合、FLC分子層772R内の液晶分子軸は
方向746を向くため、入射光Einはλ/2光学位相
板の作用に相当する厚みを有するFLC分子層772R
通過後は−4θCだけ偏光方向が回転された光となる。
このとき検光子に到達する光に対して、該検光子を通過
する光の比率はsin2(4θC)で表現される。
【0031】次に、FLC分子層772Rの温度がB
[度]の場合、図6に示すように、入射光Einは、λ
/2光学位相板71Rを通過後、FLC分子層772R
において配向作用軸744から温度A[度]でのコーン
角θCだけ回転した方向745と一致した偏光方向を持
つ光としてFLC素子77Rに入射する。この時、FL
C分子層772Rに電界が印加されていなければ、FL
C分子層772RにおけるFLCの双安定状態の一方の
状態の液晶分子軸は軸742、すなわち配向作用軸から
B[度]でのコーン角θC´だけ回転した方向を向く軸
となり、FLC素子77R通過後、偏光光Einに対す
る偏光回転作用は742の軸を挟んで−2(θC−θ
C´)となる。しかし、λ/2光学位相板71RをA
[度]の状態から−{(θC−θC´)/2}だけ回転し
て配置すれば偏光光Einは−(θC−θC´)だけ偏光
回転作用を受ける為、FLC素子77Rへの入射光の偏
光方向はFLC分子層772RにおけるFLCの双安定
状態の一方の液晶分子軸742と一致する。従ってFL
C層77Rは偏光回転作用を生じない。この時、検光子
78RをA[度]の状態から−(θC−θC´)だけ回転
させる事によりクロスニコル状態が保たれ、FLC素子
77Rからの出射光は検光子78Rにおいて全てカット
され完全な黒を表現する。一方、FLC分子層772R
に電界が印加されている場合、液晶分子軸は軸743と
なり、λ/2光学位相板71Rを上記のごとく回転させ
た場合、FLC分子層772Rによる偏光光の回転作用
は−4θC´となり、更に、検光子78Rを上記の如く
回転させた場合、検光子に到達した光のうち透過する光
の比率はsin2(4θC´)で表現される。
【0032】なお、信号変換回路部内の素子としてはR
OM以外にも同様の機能をもつものであればその限りで
はない。また、温度検知部774RはFLC分子層77
2Rでなく、隣接した検光子78Rにつけてもよい。
【0033】以上のように本構成においては温度が変化
しても完全に一致した黒状態が再現でき、広い温度範囲
でコントラストの高い良質な画像を表示する素子が提供
できる。
【0034】又、図1の形態の場合、原理上は液晶ライ
トバルブの入射側の偏光板は不要となるが、フレア光除
去などの目的で偏光素子31から液晶ライトバルブ57
R、57G、57Bの間に適切な透過軸を持つ偏光板を
挿入しても良い。例えば、λ/2光学位相板51と液晶
ライトバルブ57の間に偏光板を置くときは、偏光板の
透過軸を液晶ライトバルブ57の入射側光学軸(液晶分
子の配向方向)に合わせ、λ/2光学位相板51と偏光
素子31の間に置くときは偏光板の透過軸を偏光素子3
1からの直線偏光光の偏光方向に合わせればよい。これ
らの場合も透過軸方向の調整機構がある事が望ましい。
【0035】このように温度依存性の大きいFLCを用
いる場合、温度の変化に対応して液晶デバイスを照射す
る直線偏光光を所望の偏光方向に調整することができ
る。
【0036】以上説明したように、TN型液晶のよう
な、入射光側の光学軸が、入射光である直線偏光光の偏
光方向と異なるような素子を用いたライトバルブを照射
する該直線偏光光を、本発明では所望の偏光方向に変換
することができる。
【0037】ここまで、白色光を赤・緑・青の3原色に
分解する例を示したが更に多色に分解する形態でも、2
色に分解する形態でも同様に実施できる。
【0038】以上示した実施例においては、液晶ライト
バルブを用いているが、PLZT等、偏光光を用いる他
のライトバルブ方式についても入射光の偏光方向を選択
する手段として有効である。
【0039】又、実施例では偏光光を45度回転させる
為に、λ/2光学位相板を用いたが、45度ツイストネ
マチック液晶等を用いても構わない。
【0040】以上の実施例によれば、各ライトバルブの
特性に合わせて、入射光の偏光方向を各々独立して調整
できる。更に液晶ライトバルブの個体差バラツキにも対
応できる。この調整機構は光学位相板及び、検光子とし
ての偏光板の一方又は両方に設けることができる。TN
型液晶、FLCなどの液晶デバイスの温度変化に対応し
て、該温度での入射側の液晶分子の配向軸方向に、最も
適した偏光方向の直線偏光光が得られるように光学位相
板の光学軸を設定できるので、広い温度範囲でコントラ
ストの高い良質な画像を表示する素子を提供することが
できる。また、温度変化だけでなく、湿度変化、若しく
は時径的劣化による液晶分子の配向軸の変化などに対し
ても、該光学位相板の光学軸を可動にする事によって対
応できる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、色分解手
段と、該分解された夫々の光路に設置される液晶ライト
バルブなどの画像形成手段との間に、光学位相板などに
よる 光変更手段を夫々の光路毎に設ける事により、 1.該画像形成手段の特性に合った偏光方向の直線偏光
光を用いることができる。 2.各波長域に適応した位相板を選択できるので、該画
像形成手段に入射させる偏光光の直線偏光性を保ち易
い。従って画像のコントラスト低下が防止できる。 3.色分解手段としてのダイクロイックミラーの特性は
偏光方向によってかなり異なる。従って、色分解前に偏
光方向を45度回転させると、ダイクロイックミラー通
過後、波長によっては偏光方向が45度からずれてしま
うのでコントラスト低下の原因となる。本発明の構成で
はこれも防止できる。
【0042】この発明はTN型液晶、FLCだけでなく
直線偏光光を必要とする全てのデバイスに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す投写表示装置の概略構成
図。
【図2】図1の実施例要部の作用説明図。
【図3】他の実施例を示す投写表示装置の概略構成図。
【図4】他の実施例要部の構成図。
【図5】図4の実施例要部の作用説明図。
【図6】図4の実施例要部の作用説明図。
【図7】従来の投写表示装置の概略図。
【図8】従来の投写表示装置の概略図。
【図9】従来のカラー投写表示装置の概略図。
【図10】直視型液晶表示装置の説明図。
【符号の説明】
1 光源 2 反射ミラー 3 赤外線カットフィルター 4 コンデンサ R 白色光の赤成分 G 白色光の緑成分 B 白色光の青成分 5、8、58、78 偏光板 6、9、68 偏光ビームスプリッタ 7、57、67、77 液晶ライトバルブ 10 投写レンズ 51、61、71、1003 λ/2光学位相板 1112 λ/4光学位相板 32、33、36、37 ダイクロイックミラー 34、35 全反射ミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 PROCEEDINGS of EU RODISPLAY’90 the Te nth International Display Research C onference Septembe r 25−27,1990 Amsterda m,The Nethelands (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 27/28 G02F 1/1335

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源からの偏光していない光を偏光光に変
    換する偏光手段と該偏光光を互いに色が異なる複数の光
    に分解する色分解手段とを有する照明光学系と、前記複
    数の光のそれぞれの光路に設けられた、光学軸の方向が
    可変な光学的異方性を有する部材を用いて光の偏光状態
    を変えることにより画像光を形成する画像形成手段と、 前記複数の光のそれぞれの光路の前記画像形成手段から
    の前記画像光を合成し、投影する投影光学系とを有する
    投写表示装置において、 前記光学的異方性を有する部材は偏光方向が水平軸に対
    して傾いた直線偏光光を受光するように設定されてお
    り、 前記偏光手段を前記色分解手段のダイクロイックミラー
    に対してP偏光またはS偏光となる偏光光を形成するよ
    うに構成し、 前記複数の光のそれぞれの光路に、前記P偏光またはS
    偏光の偏光光を前記偏光方向が水平軸に対して傾いた前
    記直線偏光光に変える変更手段を配したことを特徴とす
    る投写表示装置。
  2. 【請求項2】光源からの偏光していない光を偏光光に変
    換する偏光手段と該偏光光を互いに色が異なる複数の光
    に分解する色分解手段とを有する照明光学系と、前記複
    数の光のそれぞれの光路に設けられた、光学軸の方向が
    可変な光学的異方性を有する部材を用いて光の偏光状態
    を変えることにより画像光を形成する画像形成手段と、 前記複数の光のそれぞれの光路の前記画像形成手段から
    の前記画像光を合成し、投影する投影光学系とを有する
    投写表示装置において、 前記光学的異方性を有する部材は、偏光方向が水平軸に
    対して傾いた直線偏光光を受光するように設定されてお
    り、 前記偏光手段を、偏光方向が前記複数の光のそれぞれの
    光路における光軸を含む平面に対して傾いていない偏光
    光を形成するように構成し、 前記複数の光のそれぞれの光路に、前記偏光手段が形成
    する前記偏光光を前 記偏光方向が水平軸に対して傾いた
    前記直線偏光光に変える変更手段を配したことを特徴と
    する投写表示装置。
  3. 【請求項3】前記色分解手段は、赤、緑、青の3色の光
    を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の投写表示装置。
  4. 【請求項4】前記偏光手段は、前記光源からの光を互い
    に直交する直線偏光光に分離する手段と該2つの直線偏
    光光の偏光方向を一致させる手段と該2つの直線偏光光
    の射出方向を一致させる手段とを有することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の投写表示装置。
  5. 【請求項5】前記投影光学系は前記各画像形成手段から
    の前記画像光を合成する色合成手段と合成された画像光
    を投影する投影レンズとを有することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の投写表示装置。
  6. 【請求項6】前記光学的異方性を有する部材は、最も光
    入射側の液晶分子が前記水平軸に対して45度方向に配
    向したツイストネマチック型液晶であり、前記最も光入
    射側の液晶分子の配向方向と同じ方向に偏光した直線偏
    光光を受光するように設定されていることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の投写表示装置。
  7. 【請求項7】前記変更手段は、前記偏光手段が形成する
    前記偏光光の偏光方向と22.5度を成す方向に光学軸
    を向けたλ/2板であることを特徴とする請求項6に記
    載の投写表示装置。
  8. 【請求項8】前記光学的異方性を有する部材は、双安定
    型強誘電性液晶であり、該液晶の一方の安定状態におけ
    る配向方向と同じ方向に偏光した直線偏光光を受光する
    ように設定されていることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の投写表示装置。
  9. 【請求項9】前記変更手段は光軸の回りで回転可能なλ
    /2板であることを特徴とする請求項8に記載の投写表
    示装置。
  10. 【請求項10】前記双安定型強誘電性液晶の温度変化を
    検出し、検出結果に応じて前記偏光回転手段は光軸の回
    りで回転させることを特徴とする請求項9に記載の投射
    表示装置。
  11. 【請求項11】前記光学的異方性を有する部材は液晶ま
    たはPLZTである ことを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の投写表示装置。
  12. 【請求項12】前記変更手段はツイストネマチック液晶
    である請求項1または請求項2に記載の投写表示装置。
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