JP3039060B2 - ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法 - Google Patents

ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法

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JP3039060B2 JP31221791A JP31221791A JP3039060B2 JP 3039060 B2 JP3039060 B2 JP 3039060B2 JP 31221791 A JP31221791 A JP 31221791A JP 31221791 A JP31221791 A JP 31221791A JP 3039060 B2 JP3039060 B2 JP 3039060B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業用の利用分野】本発明はポリヘキサメチレンアジ
パミド繊維の製造方法に関するものであり、詳しくは、
とくに産業資材用途に適した高強度およびすぐれた熱寸
法安定性を有するポリヘキサメチレンアジパミド繊維の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、
高強度、高弾性率で、ゴムとの接着性、耐疲労性にすぐ
れた性能を有することから、タイヤコ−ド、伝動用ベル
ト、搬送用ベルトなどのゴム補強資材、シ−トベルト、
漁網、安全ネット、縫糸、カバ−シ−トおよびカバン地
など各種の産業資材用途に広く用いられている。
【0003】しかしながら、最近の産業資材用ポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維に求められる品質レベルは益
々高くなっており、とくに高強度化への要望が強い。ま
た、例えばタイヤコ−ドの分野では、タイヤ成型収率を
向上させるために、熱寸法安定性の改良が必要とされて
いる。
【0004】しかし、従来の製造方法によれば、ポリヘ
キサメチレンアジパミド繊維の強度を0.1g/d程度
向上させようとするだけでも、製糸条件が過酷となり、
収率の低下およびコストアップが招かれることになる。
【0005】これまで、高強度のポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維を得るための方法として、数々の提案がな
されている。例えば、特開昭58−208413号公報
および特開昭59−26517号公報には、紡糸速度4
000m/分以上の高速紡糸糸条に、低速でかつ特定の
張力下で加熱、急冷を行なうゾ−ン延伸・ゾ−ン熱処理
法を適用することにより、高強度・高弾性率のポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維を得る方法が開示されてい
る。
【0006】また、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維
およびそれを用いたタイヤコ−ドの熱寸法安定性を向上
させる方法としては、例えば特開昭58−60012号
公報に、紡速2000m/分以上の高速紡糸糸条を熱延
伸する方法が開示されている。
【0007】さらに、特開平1−16893号公報には
特定の高速紡糸条件で得たポリヘキサメチレンアジパミ
ド糸条を多段熱延伸することによって、高強度で熱寸法
安定性の改良された繊維およびコ−ドを得る方法が開示
されている。
【0008】させにまた、特開平3−199419〜2
2号公報には、低温プラズマ中で延伸する方法が開示さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記特開昭
58−208413号公報および特開昭59−2651
7号公報の方法によれば、確かに高強度化は達せられる
ものの、4m/分というような製造速度では生産効率が
悪く、工業的に採用することが困難である。
【0010】また特開昭58−60012号公報に記載
される高速紡糸糸条を熱延伸する方法によれば、確かに
寸法安定性のすぐれた繊維が得られるものの、その繊維
の強度は低いものであった。
【0011】さらに、特開平1−168913号公報に
開示された方法により得られる繊維およびコ−ドは、強
度が高く、熱寸法安定性も改良されているが、この明細
書の実施例によると、繊維強度は12.5g/dである
が、切断伸度は12.0%であり、十分な強伸度を合せ
持っているとは言い難い。
【0012】さらにまた、前記特開平3−199419
〜22号公報に記載された低温プラズマ中で延伸する方
法によれば、確かに高強度で寸法安定性のよいポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維が得られる。しかしながら、
この低温プラズマを用いる方法では、低温プラズマを発
生させるために雰囲気を50Torr以下、さらには2
0Torr以下の低圧にする必要があるため、真空容器
および排気設備を必要とする上に、低圧条件に至るまで
に長時間を要するので、著しくコストアップになるとい
う欠点があった。
【0013】本発明は、上述した従来技術が有する問題
点を解決するために検討した結果なされたものであり、
その目的とするところは、これまでにない高強度で、十
分な伸度を有し、かつ熱寸法安定性の改良されたポリヘ
キサメチレンアジパミド繊維を、低コストで効率よく得
る製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製
造方法は、分子鎖の全繰返単位の95モル%以上がポリ
ヘキサメチレンアジパミドからなり、硫酸相対粘度ηr
が3.0以上のチップを溶融紡糸して紡出糸となし、冷
却域に導入し、冷却気体を吹付けた後、紡糸筒を通過さ
せて冷却固化された糸条となし、この糸条を1500m
/分以下の速度で回転する引取ローラに巻回して、複屈
折が20×10-3以下の繊維として引取り、そのまま、
あるいは追加延伸して複屈折が40×10-3以下のポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維となした後、60モル%
以上の希ガス類元素を含有する常圧雰囲気下の放電部分
で、1.5〜7.0倍の延伸を施すことを特徴とする。
【0015】また、本発明において、上記放電部分は、
少なくとも片側の電極表面が誘電体によって被覆された
1対の電極に印加された高電圧によって形成されること
を特徴とする。
【0016】さらに、本発明において、上記希ガス類
は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノ
ンおよびラドンから選ばれた少なくとも1種であること
を特徴とする。
【0017】本発明の方法において用いるポリマは、分
子鎖の繰返単位の95モル%以上が、ヘキサメチレンア
ジパミド単位からなり、硫酸相対粘度ηrが3.0以上
のポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)であ
る。
【0018】前記ポリヘキサメチレンアジパミドポリマ
ーに共重合成分を含有させる場合の共重合成分として
は、ε−カプロアミド、テトラメチレンアジパミド、ヘ
キサメチレンセバカミド、キサメチレンテレフタルアミ
ドおよびキシリレンフタルアミドなどが挙げられ、これ
らは5モル%未満の範囲で共重合し得る。
【0019】硫酸相対粘度ηrが3.0以上のポリマ
は、通常の方法により重縮合して得られたポリヘキサメ
チレンアジパミドチップに、さらに固相重合を施すこと
によって得られる。
【0020】本発明の方法においては、まず硫酸相対粘
度ηrが3.0以上のポリヘキサメチレンアジパミドチ
ップを溶融紡糸装置を用いて紡糸する。すなわち、溶融
装置で溶融されたポリマを口金孔から紡出して紡出糸と
なす。この紡出糸を、好ましくは直ちに急冷することな
く、紡糸口金の直下に設けられた高温雰囲気域を通して
遅延冷却した後、冷却域に導入して冷風を吹きつけ、紡
糸筒を通過させて糸条となす。
【0021】前記の高温雰囲気域を通す場合の高温雰囲
気は、195〜350℃の高温で、その長さは50〜5
00mmの範囲内であり、この高温雰囲気域の条件は、紡
出される糸条の粘度、単糸の太さ、ドラフト率および単
糸数などの品質設定条件によって、選択され設定され
る。
【0022】前記の冷却域においては、120℃以下の
気体を15〜50m/分の速度の範囲内で糸条に吹付け
る。この冷却域の条件も、紡出される糸条の粘度、単糸
の太さ、ドラフト率および単糸数など品質設定条件によ
って選択され設定される。
【0023】前記の冷却域あるいは高温雰囲気域および
冷却域における各条件を前記の範囲内とすることによ
り、紡出糸の冷却勾配パターンを適切なものとし、紡出
糸の構造形成過程を制御することによって、各単糸の品
質を安定させることができ、得られるポリヘキサメチレ
ンアジパミド繊維の強伸度積および寸法安定性指標など
を満足し、強度および切断伸度が高く、耐疲労性にすぐ
れたポリヘキサメチレンアジパミド繊維を容易に得るこ
とができる。
【0024】前記の冷却域あるいは高温雰囲気域および
冷却域を通過した紡出糸は、必要に応じて排気筒および
下方に排気装置が設けられた紡糸筒を通過し、該紡出紡
糸に随伴する気体を徐々に剥ぎ取られる。すなわち、排
気筒で随伴する気体の一部を他の気体と置換し、徐々に
冷却させ、さらに紡糸筒の前半では安定した状態で通過
し、後半で随伴する気体の一部を他の気体と徐々に置換
させるという多段階で気体を置換することによって、紡
出糸の各単糸の乱れ、即ち各単糸の揺れを少なくした状
態で略均一に冷却を進行させる。
【0025】前記の冷却固化された紡出糸は、紡糸油剤
を付与され、1500m/分以下で回転するローラに巻
回されて、複屈折が20×10-3以下の状態で引取ら
れ、引取られたポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、
そのまま、あるいは複屈折が40×10-3以下となる範
囲の条件で追加延伸される。
【0026】前記の条件で得られたポリヘキサメチレン
アジパミド中間配向糸の複屈折が40×10-3を越える
と、配向結晶化が進みすぎるため、次の希ガス類元素を
含有する常圧雰囲気下での延伸において、繊維構造を再
編成することが難しく、十分な高強度化が達せられない
ため好ましくない。
【0027】次に、上記中間配向ポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維を、60モル%以上の希ガス類元素を含有
する常圧雰囲気下で、1.5〜7.0倍の範囲内で延伸
し、高配向ポリヘキサメチレンアジパミド繊維となす。
そして、高配向されたポリヘキサメチレンアジパミド繊
維は、そのまま、あるいは必要により再度高張力で延伸
または/および弛緩熱処理されてから巻取られる。
【0028】本発明においては、延伸域での雰囲気ガス
組成がきわめて重要である。希ガス類を60モル%以上
含有する常圧雰囲気で放電する。このような雰囲気での
放電は、通常の火花放電(コロナ放電と呼ばれる)では
なく、減圧下で起るグロー放電に似た放電になる。希ガ
ス類の含有率が高いほど上記の放電は均一で安定したも
のになるため、好ましくは80モル%以上、とくに90
モル%以上含有するのが望ましい。
【0029】上記の放電は、火花放電に比較して、多く
の電力を放電に供給することができる。また、上記放電
中で延伸を行うと、延伸時の熱結晶化を抑制しながら高
配向化することが可能となる。
【0030】なお、本発明で言う常圧とは、積極的に減
圧、加圧を行わないことを意味し、希ガス類の濃度を上
記の範囲に保つために、希ガスを供給し若干雰囲気圧力
が上昇することは問題ない。
【0031】本発明で使用される希ガスとしては、ヘリ
ウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンおよび
ラドンから選ばれた少なくとも一種が挙げられるが、な
かでもアルゴンおよびヘリウムがとくに好ましく用いら
れる。
【0032】本発明の方法を実施する際に用いられる延
伸装置としては、例えば図1に示した装置が挙げられ
る。
【0033】図1は本発明の方法で用いられる延伸装置
の一例を示す縦断面概略図であり、Yは延伸処理を施さ
れるポリヘキサメチレンアジパミド繊維、5は印加する
電圧を発生させるための電源を表す。
【0034】上記の装置における放電は、対向して設け
られた金属などの導体電極1、2に高電圧を印加して発
生させるが、導体電極1、2は一方あるいは両方の表面
が誘電体3、4で被覆されたものを用いる。導体電極
1、2の表面を覆う誘電体3、4としては、ゴム、ガラ
スおよびセラミックなど印加される電圧に対し十分な耐
電圧を持つものが選択するが、ガラスおよびセラミック
が好ましく、その厚さは0.1〜5mmが好ましい。
【0035】安定した放電を維持するためには、導体電
極1、2間の距離は5mm以下が好ましく、誘電体3、4
を介して両電極1、2が接触していてもよい。
【0036】導体電極1、2に印加する電圧の周波数
は、5〜2000KHzの範囲で選定するのが好まし
い。5KHz未満では放電が開始しにくく、2000K
Hzより高い周波数では整合を取るのが難しい。より好
ましくは20〜500KHzである。導体電極1、2に
印加する電圧は放電を安定したものにするため、1〜1
0KV、とくに1〜8KVとすることが好ましい。
【0037】本発明に係る放電中での延伸の延伸倍率
は、延伸に供する低配向ポリヘキサメチレンアジパミド
繊維または一部延伸された中間配向ポリヘキサメチレン
アジパミド繊維の物性によって、1.5倍〜7.0倍の
範囲内で選択されるが、延伸倍率が極端に高いと、延伸
中に繊維の破断が起きやすくなるため、1.5倍〜2.
4倍の範囲とするのが好ましい。
【0038】上記の高配向ポリヘキサメチレンアジパミ
ド繊維は、そのままあるいは、必要により再度高張力で
延伸または/および弛緩熱処理されて巻取られる。
【0039】前記のように60モル%以上の希ガス類元
素を含有する常圧雰囲気下の放電部分で延伸することに
よって、従来の熱延伸法に比べ、結晶化を抑制しながら
延伸することが可能となり、したがって高倍率の延伸を
可能とし、得られるポリヘキサメチレンアジパミド繊維
の高配向化が達成できる。
【0040】前記常圧雰囲気下の放電部分での延伸は、
1段階で行なってもよく、2段以上の多段で行なっても
よい。
【0041】
【作用】60モル%以上の希ガス類元素を含有する常圧
雰囲気下の放電部分での延伸によって得られるポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維は、プラズマ延伸の場合と同
様に、熱延伸法で延伸した場合に比べ、延伸時の分子量
低下が少ない。
【0042】また、密度はやや低く、複屈折が高いこと
から、結晶化が抑制されて高配向が達せられる。
【0043】しかも、プラズマ延伸のように、延伸域の
雰囲気を低圧にする必要がないので、低コストで効率よ
く、高性能なポリヘキサメチレンアジパミド繊維を製造
することができる。
【0044】したがって、本発明の方法によって得られ
たポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、とくに産業資
材用途に好ましく用いられ、このポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維を加撚し、レゾルシン・ホルマリン・ラテ
ックスなどの接着剤を付与することによって得られるタ
イヤ、伝動用ベルト、搬送用ベルトなどのゴム補強資材
は、きわめてすぐれた性能を発揮する。
【0045】また、本発明の方法によって得られたポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維を、編成あるいは織成す
ることにより、厚地布あるいは厚地ベルトとして好まし
く用いることができる。
【0046】さらに本発明方法によって得られたポリヘ
キサメチレンアジパミド繊維を、強撚加工することによ
り、縫糸として好ましく用いることができる。
【0047】さらにまた、本発明の方法によって得られ
たポリヘキサメチレンアジパミド繊維を、編成すること
により、網として好ましく用いることができる。
【0048】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明するが、
繊維物性の測定法は以下の通りである。
【0049】(A)硫酸相対粘度ηr:試料を98%硫
酸に1重量%の濃度で溶解し、オストワルド粘度計を用
いて25℃で測定した。
【0050】(B)複屈折△n:日本光学工業(株)製
POH型偏光顕微鏡を用い、白色光を光源として通常の
ベレックコンペンセ−タ法により求めた。
【0051】(C)結晶配向度fc :理学電機製X線発
生装置(4036A型)を用い、CuKαを線源として
測定した。赤道線干渉の(010)面の強度分布曲線の
半価巾H0 から次の式を用いて求めた。 fc =(180°−H°)/180° (F)強度、切断伸度、および初期弾性率:JIS−L
1017の定義によった。すなわち、試料を綛状にと
り、20℃、65%RHの温湿度調節室で24時間放置
後、(株)オリエンテック社製“テンシロン”UTM−
4−100型引張試験機を用い、試長25cm、引張速度
30cm/分で測定した。
【0052】(H)乾熱収縮率(150 ℃) :前記沸騰水
収縮率の測定法における加熱処理を150℃のオーブン
中で行なった以外、同様の条件で測定した。
【0053】(J)密度ρ:四塩化炭素を重液、n−ト
ルエンを軽液として作製した密度匂配管を用い、25℃
で測定した。
【0054】実施例1〜3および比較例1〜3 硫酸相対粘度ηrが3.5のナイロン66チップを、通
常の産業資材用ナイロン66繊維の製造で行なわれてい
る徐冷溶融紡糸法で紡糸した。口金は0.3mmφ、孔数
136ホールを用いた。紡糸口金直下には長さ25cmの
加熱筒を設け、この加熱筒内雰囲気を窒素ガス15NL
/分で充満させ、かつ温度310℃となるよう設定し、
さらにこの加熱筒の下方に90cmの長さのクーリングチ
ムニーを設け20℃、30m/分の冷風を用いて冷却し
た。
【0055】紡糸口金から紡出された糸条は、該加熱筒
内雰囲気を通過した後、クーリングチムニーで急冷され
た。紡糸速度を500m/分として未延伸糸を得た。こ
の未延伸糸は複屈折が5.1×10-3以上で、硫酸相対
粘度ηrが3.6であった。またこの未延伸糸は、延伸
後約840デニールとなるよう紡糸吐出量を調整して作
製した。
【0056】上記未延伸糸を、30m/分で回転するフ
ィ−ドロ−ルを通して給糸し、第1延伸ロ−ルとの間で
1段延伸した後、第2延伸ロ−ルとの間に設定した図1
に示した装置を用い、アルゴンガスを含有する常圧雰囲
気下での放電部分を通して2段目の延伸を行った。この
場合に、1段延伸倍率、延伸ロ−ル温度および2段目延
伸条件をそれぞれ表1に示したように変更して延伸し
た。なお、放電部分の導体電極としては、ガラス(厚み
1mm)で被覆された銅製の棒状電極を用い、電極の有効
長は100cm、放電のための印加電圧の周波数は110
KHzとした(実施例1〜3)。
【0057】一方、比較のために、プラズマ延伸部の代
りに、長さ100cmの熱板を用い、表1に示したように
温度を変更して熱延伸した(比較例1〜3)。
【0058】それぞれ、ナイロン66繊維の製造条件お
よび物性を表1および表2に示した。
【0059】表2の結果から明らかなように、本発明の
方法で得られた高強度ポリヘキサメチレンアジパミド繊
維は、高強度・高弾性率で、かつ熱寸法安定性にすぐれ
ている。
【0060】 <表1> 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 比較例3 延伸条件 1段延伸条件 フィ―ドロ 無加熱 60 60 無加熱 60 60 ―ル温度(℃) 延伸ロール 60 90 90 60 90 90 温度(℃) 延伸倍率 3.50 3.50 4.00 3.50 4.00 4.50 1段延伸糸 32.8 33.0 38.5 31.9 39.0 45.3 複屈折 (×10-3) 1段延伸糸 1.125 1.125 1.125 1.126 1.125 1.126 密度( g/cm3 ) 2段延伸条件 アルゴン濃 82 92 96 − − − 度(モル%) 印加電圧(KV) 4.5 4.5 5.0 − − − 熱板温度(℃)− − − 220 220 225 延伸倍率 1.60 1.65 1.50 1.43 1.35 1.24 <表2> 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 比較例3 硫酸相対粘度 3.57 3.56 3.58 3.50 3.48 3.47 ηr 複屈折△n 62.0 63.1 62.8 57.5 58.0 59.3 ( ×10-3) 密度ρ( g/cm3 )1.142 1.142 1.142 1.145 1.146 1.146 結晶配向度fc 0.95 0.95 0.95 0.93 0.94 0.95 繊度(d) 840 838 852 872 858 851 強度(g/d) 13.0 13.4 13.9 11.2 12.6 13.3 切断伸度(%) 19.8 19.2 18.1 15.2 16.0 15.6 初期弾性率(g/d) 42.2 44.0 45.1 38.8 39.8 40.5 乾熱収縮率(%) 1.2 1.5 1.7 3.2 3.6 3.9
【0061】
【発明の効果】本発明の方法で得られた高強度ポリヘキ
サメチレンアジパミド繊維は、高強度・高弾性率で、熱
寸法安定性にすぐれているため、タイヤコ−ド、伝動用
ベルト、搬送用ベルトなどのゴム補強材、シ−トベル
ト、漁網、縫糸、テント、タ−ポリン、スリング、ロ−
プおよび安全ネットなどの用途に有用である。
【0062】また、本発明の60モル%以上の希ガス類
元素を含有する常圧雰囲気下の放電部分での延伸では、
プラズマ延伸法と同様に、延伸時の結晶化を抑制し、高
配向化が達成できること、すなわちスム−ズな延伸を可
能とし、とくに高倍率、低張力延伸を可能とすることが
でき、得られるポリヘキサメチレンアジパミド繊維は高
品質特性を有する。しかも、プラズマ延伸のように延伸
域の雰囲気を低圧にする必要がないため、低コストで効
率よく、高品質なポリヘキサメチレンアジパミド繊維の
製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の方法を実施する際に用いられる
延伸装置の一例を示す縦断面概略図である。
【符号の説明】
Y:繊維 1,2:導体電極 3,4:誘電体 5:電源

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造
    方法において、分子鎖の全繰返単位の95モル%以上が
    ポリヘキサメチレンアジパミドからなり、硫酸相対粘度
    ηrが3.0以上のチップを溶融紡糸して紡出糸とな
    し、冷却域に導入し、冷却気体を吹付けた後、紡糸筒を
    通過させて冷却固化された糸条となし、この糸条を15
    00m/分以下の速度で回転する引取ローラに巻回し
    て、複屈折が20×10-3以下の繊維として引取り、そ
    のまま、あるいは追加延伸して複屈折が40×10-3
    下のポリヘキサメチレンアジパミド繊維となした後、6
    0モル%以上の希ガス類元素を含有する常圧雰囲気下の
    放電部分で、1.5〜7.0倍の延伸を施すことを特徴
    とするポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】常圧雰囲気下の放電部分が、少なくとも片
    側の電極表面が誘電体によって被覆された1対の電極に
    印加された高電圧によって形成されることを特徴とする
    請求項1に記載のポリヘキサメチレンアジパミド繊維の
    製造方法。
  3. 【請求項3】希ガス類が、アルゴン、ヘリウム、ネオ
    ン、クリプトン、キセノンおよびラドンから選ばれた少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2
    記載のポリエステル繊維の製造法。
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