JP3037189B2 - 金属製階段用制振遮音板 - Google Patents

金属製階段用制振遮音板

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JP3037189B2
JP3037189B2 JP9091398A JP9139897A JP3037189B2 JP 3037189 B2 JP3037189 B2 JP 3037189B2 JP 9091398 A JP9091398 A JP 9091398A JP 9139897 A JP9139897 A JP 9139897A JP 3037189 B2 JP3037189 B2 JP 3037189B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人が階段を昇降す
る際に発生する騒音や振動を軽減させるために、金属製
の階段に用いられる制振遮音板に関する。
【0002】
【従来の技術】集合住宅の外階段や軽量鉄骨住宅などの
室内階段には、鋼板等の金属製の階段が用いられるが、
金属製階段では人が昇降する際に発生する騒音や振動が
大きいためにその対策が求められていた。従来金属製階
段で発生する騒音や振動を防止するために、ゴムや合成
樹脂からなるシートを金属製階段の段板に取り付けるこ
とが提案されている。(例えば、実公昭57−4087
2号公報、実開平6−58029号公報) しかしながら、これら従来の遮音シートは、原材料及び
成形加工等のコストが高い、得られる制振遮音効果も必
ずしも十分なものではない、施工に特別な装置や技術を
必要とする等の欠点があった。また室内階段では、単に
制振遮音効果を有するだけではなく、周囲の壁材、床材
や家具等と調和のとれた高級感のある外観を有する金属
階段用の制振遮音板が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技
術の欠点を解消し、製造コストが安く、制振、遮音効果
に優れるとともに施工が簡単で、しかも周囲の壁材、床
材や家具等と調和のとれた高級感のある外観を有する金
属階段用の制振遮音板を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、繊維シート
層(イ)上に、制振遮音シート層(ロ)、繊維シート層
(ハ)、木質材料層(ニ)を順次積層することにより制
振遮音板を構成し、所望によりさらに繊維シート層
(イ)の表面に、感圧性接着剤層(ホ)及び該感圧性接
着剤層を覆う剥離シート層(ヘ)を設ける。また、本発
明は制振遮音シート層(ロ)として、アスファルト10
0重量部に熱可塑性ポリマー0〜100重量部、無機充
填剤100〜2000重量部を添加後均一に混合して得
られたものを使用することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
てさらに詳細に説明する。本発明の制振遮音板を構成す
る(イ)及び(ハ)の繊維シート層としては、不織布、
フェルト、織布、紙、板紙等種々のものが使用できる
が、制振、遮音効果の点で不織布又はフェルトを使用す
ることが好ましい。特に好ましいものの例としては、ポ
リエステル等の合成繊維からなる不織布、無機質フェル
ト、高質量の特殊紙にアスファルトを含浸させたアスフ
ァルトフェルト、クラフト紙等が挙げられる。
【0006】本発明の制振遮音板を構成する制振遮音シ
ート層(ロ)としては、アスファルト100重量部に熱
可塑性ポリマー0〜100重量部、無機充填剤100〜
2000重量部を添加後均一に混合して得られたものを
使用する。熱可塑性ポリマーを添加する場合には、アス
ファルトとポリマーをあらかじめ混合したものに無機充
填剤を加えるようにしてもよい。使用されるアスファル
トとしては特に制限はなく、一般にアスファルトと呼ば
れるもの、例えば天然アスファルト、ならびにストレー
トアスファルト、ブローンアスファルト及びカットバッ
クアスファルト等の石油アスファルトが使用される。こ
れらのアスファルトは単独で又は2種以上の混合物とし
て使用することができる。
【0007】熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィ
ン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、エチレン・酢酸ビニル
共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・
アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチ
ル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、天然ゴ
ム、天然ロジン、変性ロジン等を使用することができる
が、特にスチレン・ブタジエンブロック共重合体を使用
することが好ましい。
【0008】無機充填剤としては、鉄、銅、鉛、錫、亜
鉛、ニッケル、ステンレス鋼等の金属粉体、酸化鉄、三
二酸化鉄、四三酸化鉄、フェライト、酸化鉛、酸化錫、
酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム等の金属酸化物、
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫酸アルミニ
ウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉛、炭
酸バリウム、水酸化マグネシウム等の金属塩類、製鋼ス
ラグ、マイカ、クレー、タルク、亜鉛華、ウォラストナ
イト、けい藻土、けい砂、軽石粉等を使用することがで
き、これらは単独で又は2種以上を混合して使用するこ
とができる。
【0009】好ましい無機充填剤としては、鉄粉、各種
酸化鉄粉末、製鋼スラグ粉末、炭酸カルシウム、重炭酸
カルシウム等が挙げられ、これらは粒径0.5mm以
下、特に0.2mm以下の粉末として使用することがさ
らに好ましい。このように微粉末化された無機充填剤を
使用することにより、制振遮音板を製造する際の成形加
工性を改善し、アスファルト基材中に多量の無機充填剤
を均一に分散配合することができ、制振遮音シート層
(ロ)の面密度を大きくすることが可能となるととも
に、制振遮音シート層(ロ)の感熱安定性を大きく向上
させることができる。制振遮音シート層(ロ)の面密度
は、制振遮音板の制振遮音効果と密接な関係を有し、面
密度が大きいほど制振遮音効果は優れたものとなるが、
アスファルト基材中に無機充填剤を多量に配合すること
はきわめて困難であり、従来のアスファルト基材を使用
する制振遮音シート層では面密度の大きいものを得るこ
とはできなかった。本発明では、上記微粉末状の無機充
填剤を使用することによって、面密度が2.0kg/m
2/mm以上、好ましくは2.5kg/m2/mm以上、
さらに好ましくは2.8kg/m2/mm以上のものを
得ることが可能となり、優れた制振遮音効果を有する制
振遮音板を実現したものである。
【0010】無機充填剤は、アスファルト100重量部
に対して100〜2000重量部添加されるが、無機充
填剤の量が100重量部より少ない場合には充分な制
振、遮音効果が得られず、また、2000重量部を超え
る場合には全体がもろくなり、制振遮音板としての施工
性が低下する。本発明で、制振遮音シート層(ロ)を形
成するには、例えばアスファルトに熱可塑性ポリマー及
び無機充填剤を添加し、加熱しながら均一に混合後制振
遮音シートを形成し、これを繊維シートと積層するか、
加熱溶融状態のアスファルト混合物により繊維シート層
(イ)、(ハ)間に直接制振遮音シート層を形成する。
この際、必要に応じて各層間に接着剤層を設けてもよ
い。
【0011】アスファルトに無機充填剤を添加したシー
トは、無機充填剤の添加量が多くなると全体がもろくな
り、成形加工性や施工性がきわめて悪くなるが、本発明
ではこの制振遮音シート(ロ)を、繊維シート(イ)、
(ハ)間にサンドイッチ状に挟むことによって、制振遮
音板の成形加工性や施工性を著しく改善することが可能
になった。
【0012】本発明の金属製階段用制振遮音板の表面に
設ける木質材料層(ニ)としては、木材単板、パーケッ
ト、合板、竹材、パーティクルボード等が挙げられる。
本発明の金属製階段用制振遮音板は、その表面に木質材
料層(ニ)が設けられているので、金属製の室内階段に
使用した際に、木製の階段と同様の触感があり、周囲の
壁材、床材や家具等と調和のとれた高級感のある外観を
有する階段を得ることができる。また、上記したように
制振遮音シート層(ロ)により階段昇降時の騒音、振動
を著しく防止することができる。
【0013】また、図2にみられるように繊維シート層
(イ)の表面に、さらに感圧性接着剤層(ホ)及び該感
圧性接着剤層を覆う剥離シート層(ヘ)を設けてもよ
い。感圧性接着剤層(ホ)としては、通常のものが用い
られ、例えば通常事務用、包装用、電気絶縁用等に使用
される粘着剤層を有する粘着シートを使用することがで
きる。感圧性接着剤の材質としては、例えば石油樹脂、
ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル
系樹脂、ブチラール樹脂等の粘着性付与樹脂を各種のゴ
ムに添加したもの等が挙げられる。感圧性接着剤層
(ホ)の表面には、該感圧性接着剤層の全面を覆うよう
に剥離フイルム、剥離紙等からなる剥離シート層(ヘ)
を設ける。このように構成した本発明の金属製階段用制
振遮音板を金属製階段に施工するには、剥離シート層
(ヘ)を取り除いて、階段の段板の上に置き加圧するこ
とによって、きわめて簡単に施工することができる。
【0014】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。 (実施例1)図1は、本発明の制振遮音板の1例を表す
模式断面図である。図1において符号1は制振遮音板、
符号2、4はポリエステル不織布(繊維シート層)、符
号3は制振遮音シート層、符号5は接着剤層、符号6は
木質材料層を表す。この例では、アスファルト20重量
部、粒径0.5mm以下の酸化鉄粉70重量部、200
メッシュ以下の炭酸カルシウム粉末10重量部を均一に
混合して厚さ2mm、面密度2.8kg/m2 /mmの
制振遮音シート層3を構成した。ポリエステル不織布
2、4としては面密度50g/m2 のものを使用した。
また、木質材料層6としては、厚さ3.0mmの合板を
使用した。あらかじめポリエステル不織布2、4間に加
熱溶融状態のアスファルト混合物を押出し積層した後
に、ポリエステル不織布4の表面に通常の水性アクリル
系接着剤層5を設け、合板6を積層して厚さ5mm、の
制振遮音板1を得た。
【0015】(実施例2)実施例1で得られた制振遮音
板のポリエステル不織布2の表面にブタジエンゴム系の
感圧性接着剤層7を設け、該感圧性接着剤層7の全面を
覆うように剥離紙層8を設けて図2に示す制振遮音板1
1を得た。
【0016】実施例2で得られた制振遮音板の剥離紙層
8を取り除いて、二階建ての軽量鉄骨住宅の鋼製室内階
段の段板の上に置き、加圧することにより接着し表面に
木質材料層を有する階段を得た。この階段は、木材から
なる階段と同様の触感を有し、周囲の壁材、床材や家具
類と調和のとれた高級感のある外観を有する。この階段
の段板をタッピングマシンで叩いたときの衝撃音を、階
段に隣接した部屋で精密騒音計を用いて、オクターブ分
析器により騒音を解析した結果を図3に示す。図3にお
いて、横軸はオクターブバンド中心周波数(Hz)を、
縦軸は音圧レベル(dB)を表す。図3中、一点鎖線B
は制振遮音板を使用しない場合の測定結果、実線Aは本
発明の制振遮音板を使用した場合の測定結果を表す。こ
の結果から、本発明の制振遮音板が優れた制振遮音効果
を奏することがわかる。
【0017】
【発明の効果】本発明では、繊維シート層(イ)上に、
制振遮音シート層(ロ)、繊維シート層(ハ)、木質材
料層(ニ)を順次積層することにより金属製階段用制振
遮音板を構成し、所望によりさらに繊維シート層(イ)
の表面に、感圧性接着剤層(ホ)及び該感圧性接着剤層
を覆う剥離シート層(ヘ)を設ける。また、本発明は制
振遮音シート層(ロ)として、アスファルト100重量
部に熱可塑性ポリマー0〜100重量部、無機充填剤1
00〜2000重量部を添加後均一に混合して得られた
ものを使用する。このような構成をとることによって、
本発明の金属製階段用制振遮音板は、木材からなる階段
と同様の触感を有し、周囲の壁材、床材や家具類と調和
のとれた高級感のある外観を有するとともに、優れた制
振、遮音効果をも発揮する。また、遮音板製造時の成形
加工性に優れ、微粉末化された無機充填剤を使用するこ
とにより面密度の大きい、従来の制振遮音板よりも一段
と改善された性能を有する金属製階段用制振遮音板を得
ることができる。そして、本発明の制振遮音板は製造コ
ストを安くすることができるとともに、簡単に施工する
ことができ、きわめて実用的価値が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属製階段用制振遮音板の1例を表す
模式断面図である。
【図2】本発明の金属製階段用制振遮音板の他の例を表
す模式断面図である。
【図3】本発明の金属製階段用制振遮音板の制振遮音性
能を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1、11 金属製階段用制振遮音板 2、4 繊維シート層 3 制振遮音シート層 5 接着剤層 6 木質材料層 7 感圧性接着剤層 8 剥離シート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−266487(JP,A) 実開 昭55−10820(JP,U) 実開 昭53−34221(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/82 - 1/86 E04F 11/02 E04F 15/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)繊維シート層上に、(ロ)制振遮
    音シート層、(ハ)繊維シート層、(ニ)木質材料層を
    順次積層した金属製階段用制振遮音板において、(ロ)
    制振遮音シート層が、アスファルト100重量部に熱可
    塑性ポリマー0〜100重量部、無機充填剤100〜2
    000重量部を添加後均一に混合して得られたものであ
    ることを特徴とする金属製階段用制振遮音板。
  2. 【請求項2】 無機充填剤が、0.5mm以下の粒径を
    有する、金属、金属酸化物及び金属塩から成る群から選
    ばれた1種又は2種以上のものであることを特徴とする
    請求項1に記載の金属製階段用制振遮音板。
  3. 【請求項3】 (ロ)制振遮音シート層の面密度が2.
    0kg/m/mm以上であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の金属製階段用制振遮音板。
  4. 【請求項4】 (ニ)木質材料層が木材単板、合板、パ
    ーティクルボードから選ばれたものであることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属製階段用
    制振遮音板。
  5. 【請求項5】 (イ)繊維シート層の表面に、(ホ)感
    圧性接着剤層及び(ヘ)該感圧性接着剤層を覆う剥離シ
    ート層を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の金属製階段用遮音板。
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