JP3035885B2 - 固体イオン導電体 - Google Patents

固体イオン導電体

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JP3035885B2
JP3035885B2 JP8059533A JP5953396A JP3035885B2 JP 3035885 B2 JP3035885 B2 JP 3035885B2 JP 8059533 A JP8059533 A JP 8059533A JP 5953396 A JP5953396 A JP 5953396A JP 3035885 B2 JP3035885 B2 JP 3035885B2
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sulfonic acid
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達弘 岡田
剛 謝
智朗 有村
洋昭 山崎
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体イオン導電体に
関し、より詳細には、燃料電池、一次電池、二次電池、
エレクトロミックディスプレイ、イオンセンサー、ガス
センサー等に有用な固体イオン導電体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料電池、一次電池、二次電池、
エレクトロミックディスプレイ、イオンセンサー、ガス
センサー等において電極間の短絡を防止しつつ電極間の
イオン伝導を可能とする為に固体イオン導電体が使用さ
れており、例えば固体高分子型燃料電池においてはアノ
ードからカソードに水素イオンが移動しやすいようにパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂からなる高分子膜等
が使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の高分子膜を使用すると、放電電流が増大する
につれて電圧が低下するため放電電流に限界があるとい
う問題があり、このような現象の原因の一つとして高分
子膜自身が有している電気抵抗が挙げられていた。
【0004】そのため、かかる高分子膜の電気抵抗を低
減する、すなわちイオン伝導性を向上させるための研究
がなされており、特開平6-111834号公報には平均一次粒
度が0.1μm以下である微細粒子のシリカ及び/又は
太さが6μm以下である繊維状のシリカファイバーをイ
オン交換樹脂に配合した高分子固体電解質組成物が開示
されている。
【0005】しかしながら、上記従来の固体イオン導電
体にあっても未だ、イオン伝導性の向上すなわち電気抵
抗の低減は充分に達成されず、しかも物性が充分に均一
な導電体を得るのは困難であった。
【0006】そこで、本発明の目的は、固体イオン導電
体の電気抵抗の充分な低減すなわちイオン伝導性の充分
な向上を可能とし、しかも物性が充分に均一な固体イオ
ン導電体を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、上記本発明の
固体イオン導電体を用いて放電特性に優れた燃料電池を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の固体イオン導電
体は、イオン交換樹脂を高分子マトリックスとする固体
イオン導電体であって、0.1μm〜300μmの粒子
径を有する吸湿性無機多孔質粒子が該イオン交換樹脂中
に分散混合されており、この吸湿性無機多孔質粒子が、
150〜900m2/gの比表面積、1〜350nmの
平均細孔径及び0.2〜3ml/gの細孔容積を有して
おり、かつ関係湿度が20%、50%、90%である場
合の吸湿容量がそれぞれ2〜15%、4〜40%、20
〜90であることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明の燃料電池は、アノードと、
カソードと、該アノードと該カソードとの間に配置され
ている高分子固体電解質膜とを備えた燃料電池であっ
て、該高分子固体電解質膜が上記本発明の固体イオン導
電体からなることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について説明する。
【0011】先ず、本発明の固体イオン導電体について
説明する。
【0012】本発明の固体イオン導電体は、イオン交換
樹脂を高分子マトリックスとする固体イオン導電体であ
って、下記の吸湿性無機多孔質粒子がそのイオン交換樹
脂中に分散混合されていることを特徴とするものであ
る。すなわち、本発明にかかる吸湿性無機多孔質粒子は
無機材料からなる多孔質粒子であり、かかる無機材料と
してはSiO2、ZrO2、Al23、TiO2、SnO2
及びY23からなる群から選択される少なくとも一つの
金属酸化物を構成要素とする無機材料が好適なものとし
て挙げられ、シリカゲル、合成ゼオライト、アルミナゲ
ル、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが
特に好ましい。
【0013】また、本発明にかかる無機多孔質粒子は表
面から内部にかけて無数の細孔を有するものであり、こ
れらの細孔の多くが一方の面から他方の面へ貫通してい
ることが好ましい。具体的には、比表面積が150〜9
00m2/g、特に好ましくは200〜600m2/g、で
ありかつ平均細孔径が1.0〜350nm、であること
が好ましい。比表面積が上記下限未満のものを添加して
もキャスト後の再生樹脂中にイオン輸送を促進するに充
分な水分量を保持することができないためイオン伝導性
の向上は達成されない傾向にあり、他方、上記上限を超
えるものを添加すると再生樹脂が吸湿した過剰な水分に
より膨潤し過ぎるため成形時に力学的強度が低下する傾
向にある。また、平均細孔径が上記下限未満のものを添
加しても吸湿機能を充分発揮しないためイオン伝導性の
向上は達成されない傾向にあり、他方、上記上限を超え
るものを添加すると無機多孔質粒子中に一旦捕捉された
水分が逃げ出る性質が大きくなるため再生樹脂の含水率
が電気伝導度を向上させるに充分な水分量を保持できな
くなる傾向にある。なお、比表面積はBET吸着等温式
に基づく値である。
【0014】更に、本発明にかかる無機多孔質粒子は
0.2〜3ml/g、の細孔容積を有していることが好
ましい。細孔容積が上記上限を超えるものを添加すると
再生樹脂を関係湿度が80%以下の条件下で使用する際
に吸湿性が非常に低下して再生膜に充分な水分を保持で
きなくなる傾向にあり、他方、上記下限未満のものを添
加すると無機多孔質粒子同士の自己凝集が起こって溶液
中での均一分散性が低下する傾向にある。
【0015】また、本発明にかかる無機多孔質粒子の真
比重は1.6〜7.0、充填嵩密度は300〜900k
g/m3、気孔率は0.2〜0.95、充填空間率は
0.2〜0.7であることが好ましい。
【0016】更に、上記本発明にかかる無機多孔質粒子
は吸湿性であることが必要であり、具体的には、関係湿
度が20%、50%、90%である場合の吸湿容量がそ
れぞれ2〜15%、4〜40%、20〜90%であるこ
とが好ましい。吸湿容量が上記下限未満のものを添加し
てもイオン輸送を促進させるに充分な樹脂含水率まで到
達することができないためイオン伝導性の向上は達成さ
れない傾向にあり、他方、上記上限を超えるものを添加
すると再生樹脂中の水分量が増大し過ぎるために樹脂が
膨潤し、再生樹脂を加工成形する際の加工性が劣ってく
る傾向にある。なお、吸湿容量は静的方法(JIS−K
1150-1994)による測定値である。
【0017】
【課題を解決するための手段】そして、本発明にかかる
吸湿性無機多孔質粒子の粒子径は0.1〜300μmで
あることが必要である。粒子径が300μmを超えたも
のを使用すると、導電体の膜を形成することが困難にな
ると共に、導電体が硬化して脆くなる。他方、粒子径が
0.1μm未満のものを使用すると、多孔質粒子が凝集
してしまい、均一に分散させることが困難になるため、
物性が充分に均一な固体イオン導電体が得られない。な
お、ここでいう粒子径は平均粒子径であり、例えばコー
ルターカウンター法によって求められる。
【0018】なお、このような吸湿性無機多孔質粒子は
例えば以下のようにして製造される。すなわち、上記金
属酸化物を含むコロイド溶液中で無機材料の結晶を析出
させかつ成長させることによってかかる無機材料のゲル
を得、次いで粒状に成形されたゲルを洗浄、乾燥、焼成
することによって吸湿性無機多孔質粒子が得られる。
【0019】本発明の固体イオン導電体においては、高
分子マトリックスであるイオン交換樹脂中に上記の吸湿
性無機多孔質粒子が分散混合されている。本発明にかか
る好適なイオン交換樹脂としては、パーフルオロカーボ
ンスルホン酸樹脂、ポリサルホン樹脂、パーフルオロカ
ルボン酸樹脂、スルホン酸基を有するポリスチレン系陽
イオン交換樹脂(例えばスチレン−ジビニルベンゼンス
ルホン酸樹脂)、フルオロカーボンマトリックスとトリ
フルオロエチレンとのグラフト共重合樹脂、ポリエチレ
ンスルホン酸樹脂及びポリビニルスルホン酸樹脂が挙げ
られ、特にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂が好ま
しい。このようなパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
としてはポリテトラフルオロエチレンよりなる主鎖とス
ルホン酸基を有する側鎖とからなるものが挙げられ、特
に下記一般式(1):
【化1】 [一般式(1)中、mは5〜13.5であり、nは5〜
10000(好ましくは約1000)であり、zは1〜
30である]で表わされるものが好ましい。一般式
(1)で表わされるパーフルオロカーボンスルホン酸樹
脂は、「ナフィオン」の商品名(デュポン社製)で市販
されている。このようなパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂は、図1に示すようなクラスター構造を有してお
り、イオン伝導性が特に優れている。すなわち、パーフ
ルオロカーボンスルホン酸樹脂においてはスルホン酸基
1が図1に示すように外径約4.8nm、内径約4.2
nmの複数の球2を構成しており、隣接する球2の内部
が直径約1nmの連通管3で接続されている。そして、
球2の内部に水が存在し、イオン4がその内部でスルホ
ン酸基と着脱を繰り返すことによって効率良く伝搬する
と考えられている。
【0020】そして、本発明の固体イオン導電体におけ
る前記吸湿性無機多孔質粒子の含量は、前記イオン交換
樹脂100重量部に対して0.5〜60重量部、特に好
ましくは1〜30重量部、であることが好ましい。上記
の含量が0.5重量部未満ではイオン伝導度が充分に向
上しない傾向にある。他方、上記の含量が60重量部を
超えると、膜が硬くなり、脆くなる傾向にある。
【0021】なお、本発明の固体イオン導電体におい
て、このようにイオン交換樹脂中に吸湿性無機多孔質粒
子を分散混合せしめることによってイオン伝導性が向上
する、すなわち電気抵抗が減少する理由を本発明者らは
以下のように考える。すなわち、このような吸湿性無機
多孔質粒子はその表面から内部へ通じる無数の微細孔の
中に水分子を捕捉し、水分子で囲まれた状態となる。例
えば、シリカゲルの表面は、その2.0〜5.5重量%
の水酸基で覆われており、これらの水酸基が水に対して
非常に強い親和性を発揮する。そのため、吸湿性無機多
孔質粒子によってより多くの水分子が導電体中に保持さ
れ、かかる水分子によってイオンが水和される。また、
かかる樹脂中の狭い空間内においては、水分子同士の押
し合いが生じるので、水和したイオンを押し出す力も働
く。従って、導電体中のイオン交換基上におけるイオン
の移動速度が向上し、イオン伝導性が促進される。
【0022】また、吸湿性無機多孔質粒子はその微細孔
の中に水分子を保持することができるので、イオンの輸
送経路を新たに供与することができる。すなわち、水分
子を保持した微細孔がパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂中にある親水クラスターやチャネルの役目を担うの
である。なお、無機多孔質粒子にはイオン交換基は存在
しないため、イオンは無機粒子の構成元素である酸素原
子の非共有電子対を足場にして移動し、樹脂全体から見
たイオンの移動量が増大することとなる。
【0023】更に、一般に水分が樹脂膜の中に入ってく
る速度は膜表面層が最も遅い(表面拡散律速)のである
が、本発明の固体イオン導電体においては無機多孔質粒
子が保持する水分によって樹脂表面の親水性が増大し、
濡れ易くなっているため、樹脂内部への水分の侵入が促
進される。かかる性質は、特に燃料電池のような加湿条
件下で使用する場合に重要である。
【0024】本発明の固体イオン導電体の形状は特に制
限されず、用途に応じて適宜選択されるが、固体高分子
型燃料電池等用の高分子膜として使用する場合は、膜厚
が10〜300μm、特に好ましくは30〜250μ
m、であることが好ましい。膜厚が300μmを超える
と、イオン伝導性の低下が顕著となり、使用に耐え得る
電流電圧を発現するのが困難となる傾向にある。他方、
膜厚が10μm未満では、膜の力学的強度が小さく、加
工性が低下し、加工する際にピンホールや裂け目が生じ
る傾向にある。
【0025】次に、本発明の固体イオン導電体の製造方
法について説明する。本発明の固体イオン導電体の製造
方法においては先ず、イオン交換樹脂を溶媒に溶解させ
て樹脂溶液を得る。例えば、パーフルオロカーボンスル
ホン酸樹脂を使用する場合は、パーフルオロカーボンス
ルホン酸樹脂を溶媒、例えばエタノールと水との混合溶
媒、プロパノールと水との混合溶媒、に浸し、加熱して
溶解させて樹脂溶液を得る。この際、樹脂濃度が0.5
〜30重量%であることが好ましい。樹脂濃度が30重
量%を超えると溶液の粘度が高過ぎるため吸湿性無機多
孔質粒子を均一に混合することが困難となり、また溶液
に気泡が入ってイオン伝導性を低下させる空孔が生じる
傾向にある。他方、樹脂濃度が0.5重量%未満では膜
を形成することが困難となる傾向にある。
【0026】続いて、上記樹脂溶液に、用いたイオン交
換樹脂100重量部に対して0.5〜60重量部、特に
好ましくは1〜30重量部、の吸湿性無機多孔質粒子を
添加し、混合して分散液を得る。
【0027】次いで、上記分散液を基材上に流延(キャ
スト)した後、乾燥させることによって本発明の固体イ
オン導電体が得られる。基材は特に制限されず、表面が
平滑であっても、凹凸を有するものでもよい。また、乾
燥方法として真空乾燥法を採用すると、乾燥時間が短縮
され、更にイオン交換樹脂及び吸湿性無機多孔質粒子の
凝集やこれらの相分離が防止されるので好適である。
【0028】次に、本発明の燃料電池について説明す
る。図2は、本発明の燃料電池(固体高分子型燃料電
池)の好適な一形態を概念的に示す模式図である。図2
に示す燃料電池5は、アノード6と、カソード7と、ア
ノード6とカソード7との間に配置されている高分子固
体電解質膜8とを備えており、高分子固体電解質膜8が
上記本発明の固体イオン導電体からなるものである。そ
して、アノード6に水素9を供給しかつカソード7に酸
素10を供給すると、高分子固体電解質膜8を介してプ
ロトン11がアノード6からカソード7に移動し、カソ
ード7において水12が生成されると同時に、電子13
が負荷14を介してアノード6からカソード7に流れ
る。このように、図2に示す燃料電池5における反応そ
のものは従来の燃料電池における反応と同様であるが、
前述のように本発明の固体イオン導電体はイオン伝導性
が高いことから、本発明にかかる燃料電池5は放電効率
に優れており、放電電流の増大に伴う電圧低下が低減さ
れる。
【0029】以上、本発明の好適な実施形態について詳
細に説明したが、本発明が上記実施形態に限定されない
ことは言うまでもない。例えば、本発明の固体イオン導
電体は、燃料電池以外にも一次電池、二次電池、エレク
トロミックディスプレイ、イオンセンサー、ガスセンサ
ー等にも有用であり、本発明の固体イオン導電体の使用
によって高性能化が図られる。
【0030】
【実施例】以下、実施例と比較例により、本発明の内容
を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
何ら限定されるものではない。
【0031】実施例1及び比較例1〜2 パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(商品名:「ナフ
ィオン117膜」、デュポン社製)を2×2mm程度の
大きさに裁断し、これをエタノールと水との混合溶媒
(容量比1:1)に浸し、230℃に加熱して1時間撹
拌して溶解させて樹脂溶液を得た。樹脂溶液中の樹脂濃
度は10重量%であった。
【0032】続いて、上記樹脂溶液に、表1に示す添加
物(実施例1:シリカゲル、比較例1:無孔質シリカ)
を同表に示す量(用いたパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂100重量部に対する重量部)添加し、混合して
分散液を得た。なお、使用したシリカゲル及び無孔質シ
リカは以下の特性を有するものであった。
【0033】(シリカゲル) 商品名:サイリシア310、富士シリシア化学株式会社
製 粒子径(平均粒子径):1.4μm 比表面積:300m2/g 平均細孔径:21nm 真比重:2.15 充填嵩密度:470kg/m3 気孔率:0.77(全体が孔になっていると擬制した場
合の気孔率=1に対する比率) 充填空間率:0.23(全体が充填されていると擬制し
た場合の充填空間率=1に対する比率) 細孔容積:1.60ml/g 吸湿容量:(関係湿度20%) 5% (関係湿度50%)10% (関係湿度90%)40%。
【0034】(無孔質シリカ) 商品名:アエロジル200、日本アエロジル社製 粒子径(平均粒子径):0.014μm 比表面積:200m2/g 真比重:2.15。
【0035】次いで、上記分散液をシャレー上に流延
(キャスト)した後、100℃で真空乾燥させることに
よって固体イオン導電膜を得、更に、重量減少率が0.
1%未満になるまで固体イオン導電膜の乾燥を継続して
恒量化処理し、電気伝導度を低下させる残存アルコール
分を完全に除去した。
【0036】得られた固体イオン導電膜の厚さ及び電気
伝導度を測定し、その結果を表1に示す。なお、比較例
2は上記添加物を添加しなかったブランク試験であり、
電気伝導度のブランクに対する比率として実施例1及び
比較例1の固体イオン導電膜のイオン伝導性を評価し
た。
【0037】また、実施例1の固体イオン導電膜におい
てはシリカゲル粒子が均一に分散しており、充分に均一
な物性を有するものであったのに対して、比較例1の固
体イオン導電膜においてはシリカ微粒子が部分的に凝集
しており、物性が均一ではなかった。
【0038】なお、電気伝導度は、下記条件下で交流法
(コール・コールプロット)によって膜抵抗を求め、そ
の値に基づいて以下の式: により算出した。
【0039】(電気伝導度測定条件) 白金電極(白金黒めっき付)面積:0.35cm2 電極間距離:0.5cm 導電膜寸法:1.0cmL×0.5cmW 膜接触液:脱イオン水(0.3ml)。
【0040】
【表1】 表1に示す結果から明らかなように、本発明にかかるシ
リカゲルをパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂中に分
散混合してなる本発明の固体イオン導電膜(実施例1)
は、シリカゲルを含有しないもの(比較例2)に比べて
電気伝導度が非常に優れており、しかも本発明にかかる
シリカゲルを添加した場合(実施例1)の電気伝導度の
向上率は従来の無孔質シリカを添加した場合(比較例
1)の電気伝導度の向上率に比べて顕著であった。
【0041】実施例2及び比較例3 使用する添加物を表1に示す合成ゼオライトとし、更に
固体イオン導電膜の作製から物性評価までの時間を短縮
するために前記恒量化処理を施さなかった以外は実施例
1と同様にして固体イオン導電膜を得た。なお、使用し
た合成ゼオライトは以下の特性を有するものであった。
【0042】(合成ゼオライト) 商品名:モレキュラーシーブ23364−1、アルドリ
ッチ社製 粒子径:5μm以下 平均細孔径:0.3nm。
【0043】得られた固体イオン導電膜の厚さ及び電気
伝導度を測定し、その結果を表2に示す。なお、比較例
3は上記添加物を添加しなかったブランク試験であり、
電気伝導度のブランクに対する比率として実施例2の固
体イオン導電膜のイオン伝導性を評価した。また、実施
例2の固体イオン導電膜においては合成ゼオライト粒子
が均一に分散しており、充分に均一な物性を有するもの
であった。
【0044】
【表2】 表2に示す結果から明らかなように、本発明にかかる合
成ゼオライトをパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂中
に分散混合してなる本発明の固体イオン導電膜(実施例
2)は、合成ゼオライトを含有しないもの(比較例3)
に比べて電気伝導度が非常に優れていた。なお、実施例
2の固体イオン導電膜の電気伝導度が実施例1の固体イ
オン導電膜の電気伝導度より劣るのは、実施例2におい
ては電気伝導度を低下させるアルコール分が幾分残留し
ていたためと考えられる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
固体イオン導電体の電気抵抗の充分な低減すなわちイオ
ン伝導性の充分な向上が可能となり、しかも充分に均一
な物性を有する固体イオン導電体を得ることが可能とな
る。さらに、本発明の固体イオン導電体を用いれば、放
電特性に優れた燃料電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるパーフルオロカーボンスルホン
酸樹脂のクラスター構造を概念的に示す模式図である。
【図2】本発明の燃料電池の好適な一形態を概念的に示
す模式図である。
【符号の説明】
1…スルホン酸基、2…球、3…連通管、4…イオン、
5…燃料電池、6…アノード、7…カソード、8…高分
子固体電解質膜、9…水素、10…酸素、11…プロト
ン、12…水、13…電子、14…負荷。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有村 智朗 茨城県猿島郡総和町北利根7 日本バイ リーン株式会社内 (72)発明者 山崎 洋昭 茨城県猿島郡総和町北利根7 日本バイ リーン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−241265(JP,A) 特開 平7−326361(JP,A) 特開 平6−111827(JP,A) 特開 平6−111834(JP,A) 特開 平7−90111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換樹脂を高分子マトリックスと
    する固体イオン導電体であって、0.1μm〜300μ
    mの粒子径を有する吸湿性無機多孔質粒子が該イオン交
    換樹脂中に分散混合されており、 前記吸湿性無機多孔質粒子が、150〜900m2/g
    の比表面積、1〜350nmの平均細孔径及び0.2〜
    3ml/gの細孔容積を有しており、かつ関係湿度が2
    0%、50%、90%である場合の吸湿容量がそれぞれ
    2〜15%、4〜40%、20〜90であることを特徴
    とする固体イオン導電体。
  2. 【請求項2】 前記吸湿性無機多孔質粒子の比表面積
    が、200〜600m2/gであることを特徴とする請
    求項1に記載の固体イオン伝導体。
  3. 【請求項3】 前記吸湿性無機多孔質粒子が、シリカゲ
    ル、合成ゼオライト、アルミナゲル、チタニアゲル、ジ
    ルコニアゲル、イットリアゲルからなる群から選択され
    るものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載
    の固体イオン導電体。
  4. 【請求項4】 前記吸湿性無機多孔質粒子の含量が、前
    記イオン交換樹脂100重量部に対して0.5〜60重
    量部であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのい
    ずれかに記載の固体イオン導電体。
  5. 【請求項5】 前記イオン交換樹脂が、パーフルオロカ
    ーボンスルホン酸樹脂、ポリサルホン樹脂、パーフルオ
    ロカルボン酸樹脂、スルホン酸基を有するポリスチレン
    系陽イオン交換樹脂、フルオロカーボンマトリックスと
    トリフルオロエチレンとのグラフト共重合樹脂、ポリエ
    チレンスルホン酸樹脂及びポリビニルスルホン酸樹脂か
    らなる群から選択される樹脂であることを特徴とする、
    請求項1〜4のうちのいずれかに記載の固体イオン導電
    体。
  6. 【請求項6】 アノードと、カソードと、該アノードと
    該カソードとの間に配置されている高分子固体電解質膜
    とを備えた燃料電池であって、該高分子固体電解質膜が
    請求項1〜5のうちのいずれかに記載の固体イオン導電
    体からなることを特徴とする燃料電池。
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