JP3035313U - 焼成炉の炉蓋の断熱構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼成炉の炉蓋の内張り構造において、繊維質
断熱材を使用することによって、炉蓋の熱効率・耐用の
向上・軽量化・コストの節減ができる、改良された炉蓋
の断熱構造を提供する。 【構成】 炉蓋のケーシングに繊維質断熱材を層状に数
層積み重ねてスタッドで保持することにより、炉蓋の耐
火ライニングを構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ア−ク炉用電極・アルミニウム電解炉用電極・電極板などの炭素質 製品を焼成又は仮焼するための炉の炉蓋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

炉蓋用の内張り炉材としては、一般的には耐火断熱煉瓦が使用されており、個 々の煉瓦１をモルタル２にて接着し、ア−チ形を構築した構造が使用されている 。図１に従来の構造を示す。

【０００３】 耐火断熱煉瓦を急熱したり急冷したりすると、表面と内面に熱膨張・熱収縮の 差による歪みが生じ、表面剥離が起きる。この様な損傷を防止するため、炉内全 体をできるだけ均一にゆっくりと加熱・冷却する必要がある。

【０００４】 耐火断熱煉瓦で構築された炉蓋３は、重量も重く熱膨張も大きいため、耐火断 熱煉瓦を保持する鋼材も強度が必要であり、炉の基礎も重量に十分耐えうる強度 が必要である。

【０００５】 炉の操業サイクルに合わせて炉蓋を移動させる構造の炉であり、炉蓋を移動す る事が多く、移動時の衝撃により耐火断熱煉瓦を接着しているモルタル目地がゆ るみ、構造が不安定となり易いため特殊な形状の煉瓦となり、コストが高い。耐 火断熱煉瓦の熱伝導率が大きいため、天井よりの放散熱量が大きく、又蓄熱損失 も大きい。

【０００６】 耐火断熱煉瓦の施工には熟練した技術者が必要であり、工期も長く取る必要が ある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】 本発明はこれらの問題を解決すべく、炉蓋の熱効率・耐用の向上・軽量化・コ ストの節減を目的としてなされたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段及び作用】

繊維質断熱材は軽量で柔軟であり、しかも優れた断熱性と耐熱性を兼ね備えて いる。この繊維質断熱材を使用することによりコストの節減ができるものと考え た結果、本考案に至った。

【０００９】 本考案を図２に示す。

【００１０】 炉蓋のケ−シング面にスタッドを溶接し、繊維質断熱材４を差し込みスピ−ド クリップ（繊維質断熱材を仮止めするための金具）で止め、次々と繰り返し、繊 維質断熱材を層状に数層積み重ねて、最後にワッシャ−をはめナットで固定する 。又、ナットは金具の保護のため繊維質断熱材を締付け金具全面を包むように取 り付ける。

【００１１】

【実施例】

炉蓋のケ−シング面５にスタットボルト（φ６×２６０Ｌ）６を溶接した。炉 蓋のケ−シング面より、最高使用温度：６５０℃用の繊維質断熱材７（５０mm厚 さ）を１層差し込み、スピ−ドクリップ８にて止めた。次に最高使用温度：１０ ００℃用の繊維質断熱材９（５０mm厚さ）を２層差し込み、スピ−ドクリップ８ にて止めた。更に、最高使用温度：１２６０℃用の繊維質断熱材１０（２５mm厚 さ）を４層積み重ね、スタッドボルトにワッシャ−１１をはめ込みナット１２に て締め付けた。全体の施工厚さが２５０mmとなる構造とした。ナットは金具の保 護のため最高使用温度：１２６０℃用の繊維質断熱材で作ったキャップ１３で締 め付け金具全体を包むように取付けた。又、迫受け部には最高使用温度：１２６ ０℃用の繊維質断熱材（５０mm厚さ）を６枚接着材にて貼り合わせたものを１ブ ロックとしてブロックを支持金物に取り付けた。

【００１２】 実施例を図３に示す。

【００１３】 耐火断熱煉瓦を使用した従来型と実施例との比較を図４・図５に示す。

【００１４】

【図４】

【００１５】

【図５】

【００１６】 上記放散熱量の比較では実施例の場合、従来型の３５％程度となり、省エネル ギ−効果が出ている。又、重量比較では従来型が２７５kg/m²に対して実施例の 場合は２９．６kg/m²となり、従来型の１１％程度となり軽量化ができる。

【００１７】

【発明の効果】

炉蓋を断熱構造にすることによって、蓄熱損失が大幅に低下するため、昇温降 温を繰り返すような炉では操業効率が非常に高まり省エネルギ−面で大きな効果 がある。又、耐火物に比べて耐スポ−リング性に優れており、振動・衝撃にも強 いため炉の寿命が長くなる。

【００１８】 繊維質断熱材は軽量であるため、炉蓋を保持する鋼材を節減でき、炉の基礎も 低減できる。又、施工が容易であるため、熟練した技術者も必要なく工期を短縮 でき更に、乾燥が不要であるため乾燥時間を短縮できるので、建設・補修費の節 減ができる。

【００１９】

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の炉蓋の構造を示したものである。

【図２】本考案の構造を示したものである。

【図３】実施例の炉材構成を示したものである。

【図４】従来型の天井壁の温度分布を示したものであ
る。

【図５】実施例の天井壁の温度分布を示したものであ
る。

【符号の説明】 １ 天井用煉瓦 ２ モルタル ３ 炉蓋 ４ 繊維質断熱材 ５ 炉蓋のケ−シング ６ スタッドボルト ７ 最高使用温度：６５０℃用の繊維質断熱材 ８ スピ−ドクリップ ９ 最高使用温度：１０００℃用の繊維質断熱材 １０ 最高使用温度：１２６０℃用の繊維質断熱材 １１ ワッシャ− １２ ナット １３ 最高使用温度：１２６０℃用の繊維質断熱材で
作ったキャップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 焼成炉の炉蓋の内張り用として使用され
   る耐火材において、繊維質断熱材を層状に数層積み重ね
   てスタッドで保持することにより、炉蓋の耐火ライニン
   グを構築する断熱構造。