JP3034994B2 - 糖タンパク質10遺伝子 - Google Patents

糖タンパク質10遺伝子

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JP3034994B2
JP3034994B2 JP3146054A JP14605491A JP3034994B2 JP 3034994 B2 JP3034994 B2 JP 3034994B2 JP 3146054 A JP3146054 A JP 3146054A JP 14605491 A JP14605491 A JP 14605491A JP 3034994 B2 JP3034994 B2 JP 3034994B2
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株式会社日本抗体研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な糖タンパク質10
遺伝子に関し、更に詳細には腫瘍マーカー、免疫異常マ
ーカーあるいは各種炎症性疾患マーカーとして有用なヒ
ト由来の糖タンパク質10のコアタンパク質をコードす
る塩基配列を含有する遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に癌化した細胞の細胞膜には正常な
細胞とは異なる糖タンパク質や糖脂質などの複合糖質が
存在することが知られている。またガンを診断するに際
し、癌患者において特異的に産生されるタンパク抗原や
糖鎖抗原を測定する方法が行なわれている。その例とし
ては、癌胎児抗原(CEA) 、α−フェトプロテイン、CA19
−9などの測定による消化器系癌の診断等が知られてい
る〔村松喬,日本臨床,44, p.337-344(1986) ;神奈木
玲児,臨床病理,35, p.1247-1264(1986) ;医学のあゆ
み,106巻,5号,第5土曜特集,235〜250頁(1978
年)〕。
【0003】
【発明が解説しようとする課題】しかしながら、従来の
各種癌抗原測定を利用するガンの診断法は適用できる癌
の種類が比較的限られていたり、健常人や肝炎等の他疾
患との交差反応がおこるなどの問題点があり、より広範
な種類の癌に適用できる診断法又は特異性の高い診断法
が望まれている。また、種々の免疫異常応答に基づく疾
病や各種炎症性疾患においても適確な診断法が望まれて
いる。そして、かかる癌の診断に利用出来る腫瘍マーカ
ー、免疫異常マーカーあるいは各種炎症性疾患マーカー
となり得る新たな糖タンパク質及びそのコアタンパク質
をコードする遺伝子の開発が切望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記課題を解決する目的でヒト胃癌細胞表面に発現する糖
タンパク質に着目して研究をしてきたところ、腫瘍、免
疫異常あるいは各種炎症性疾患の診断上有用な新規糖タ
ンパク質10のコアタンパク質をコードする遺伝子を見
出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、配列番号1で表され
るアミノ酸配列中、1番目から189番目の配列からな
る蛋白質、2番目から189番目の配列からなる蛋白
質、又は24番目から189番目の配列からなる蛋白質
をコードする塩基配列を有する糖蛋白質遺伝子を提供す
るものである。本発明はまた、かかる塩基配列を有する
糖蛋白質遺伝子と、ストリンジェントな条件でハイブリ
ダイズし、かつ腫瘍、免疫異常応答に基づく疾患、又は
炎症性疾患のマーカーとしての機能を有する糖蛋白質を
コードする糖蛋白質遺伝子を提供するものである。本発
明はまた、前記配列からなる蛋白質に対するポリクロー
ナル抗体又はモノクローナル抗体を提供するものであ
る。本発明はまた、かかる糖蛋白質遺伝子検出のための
標識プローブを提供するものである。本発明はまた、か
かる糖蛋白質遺伝子検出用合成ヌクレオチドプライマー
を提供するものである。
【0006】本発明遺伝子は、例えば配列表で示される
アミノ酸配列をコードする塩基配列、該アミノ酸配列に
相補的な塩基配列、又はその両者を含有するものであ
る。なお、配列表において、塩基配列の下段は、上段の
塩基配列より推定されるアミノ酸配列である。
【0007】本発明の糖タンパク質10遺伝子は、例え
ば以下のようにして調製される。すなわち、まず糖タン
パク質10を発現している細胞より全RNA を分離し、こ
れよりmRNAを精製し、常法によりcDNAを合成したのちこ
れを発現ベクターに組込んだライブラリーを構築する。
次いで抗糖タンパク質10抗体を用いてこのcDNAライブ
ラリーより糖タンパク質10遺伝子を有するクローンを
選択し、本発明の糖タンパク質10遺伝子を得る。次に
上記本発明遺伝子の製法につき、詳細に説明する。
【0008】〔1〕cDNAライブラリーの構築 全RNA の抽出に用いられる組織細胞としてはヒト胃癌組
織又は既にセルラインとして確立された細胞株、例えば
胃癌細胞株KATO-III〔Sekiguchi M., Sakakibara K. an
d Fujii G. (1978). Jpn. J. Exp. Med., 48, p.61-6
8〕が挙げられる。
【0009】RNA の抽出は、グアニジン−イソチオシア
ネート混合液又は適当な界面活性剤、例えばSDS, NP-4
0、トリトンX-100 、デオキシコール酸等を用いて、或
いはホモジナイザーを用いる方法や凍結融解等の物理的
方法によって、細胞を部分的又は完全に破壊、可溶化し
た後、染色体DNA を、ポリトロン等のミキサーもしくは
注射筒を用い、ある程度せん断し、その後、蛋白質と核
酸分画とを分別する操作により行なわれる。この操作に
は、特にフェノール・クロロホルム抽出もしくは超遠心
を用いるCsCl重層法〔チルグウインら(Chirgwin, J.
M., et al.) 、バイオケミストリー(Biochemistry), 1
8, p.5294(1979)〕等が一般に用いられる。
【0010】また上記各方法においては、RNase による
RNA の分解を防ぐために、RNase インヒビター、例えば
ヘパリン、ポリビニル硫酸、ジエチルピロカーボネー
ト、パナジウム複合体、ベントナイト、マカロイド等を
添加しておくのがよい。
【0011】上記抽出操作に従って得られるRNA からの
mRNAの分離、精製は、抽出物を例えばオリゴdT−セルロ
ース(Colaborative Research Inc.)、ポリU−セファ
ロース(ファルマシア(Pharmacia)社)、セファロー
ス2B(ファルマシア社)等の吸着カラムを用いる方法に
より又はバッチ法により実施できる。
【0012】上記により得られる精製mRNAは、通常不安
定であり、安定な相補DNA(cDNA) の型に代えられ、目的
遺伝子の増幅を可能とするために微生物由来のレプリコ
ンに接続される。インビトロでの、上記mRNAのcDNAへの
変換、即ちcDNAの合成は、一般に次のようにして行なう
ことができる。
【0013】即ち、まずオリゴdTをプライマーとし(こ
のプライマーは遊離のオリゴdTもしくは既にベクタープ
ライマーに付加されたオリゴdTのいずれでもよい)、mR
NAを鋳型としてdNTP(dATP, dGTP, dCTP又はdTTP)の存
在下で、逆転写酵素を用いてmRNAに相補的な一本鎖cDNA
を合成する。次のステップは、上記において遊離のオリ
ゴdTを用いたか、ベクタープライマーに付加されたオリ
ゴdTを用いたかにより、各々以下の如く異なる。
【0014】前者の場合、鋳型としたmRNAをアルカリ処
理等により分解して除去し、その後一本鎖DNA を鋳型と
して逆転写酵素又はDNA ポリメラーゼを用いて二本鎖DN
A を作成する。次に得られる二本鎖DNA の両端をエキソ
ヌクレアーゼで処理し、そのそれぞれに適当なリンカー
DNA 又はアニーリング可能な組合せの塩基を複数付加
し、これを適当なベクターへ組込む。これは使用するベ
クターに応じ公知の方法、例えばグブラーとホフマンの
方法〔Gubler, U. and Hoffman, B. J. Gene, 25, p.26
3(1983) 〕 などを使用して行われる。また、上記cDNA
の合成には市販のcDNA合成キットを用いれば容易に行う
ことができる。
【0015】ベクターは、特に制限はされないが、λgt
系のファージベクターやプラスミドベクター等を宿主に
応じて適当に選択し、あるいは組合せて使用できる。こ
こで用いられるベクターとしてはλgt10、λgt11等
を例示でき、λgt10、λgt11をベクターとして用い
る方法はヤングらの方法に準じて行うことができる〔Yo
ung, R. A., et al., in DNA Cloning,, 49(1985)〕
【0016】λgt系のファージベクターに組込んだcDNA
組換え体はインビトロパッケージング液と反応させるこ
とによりcDNA組換え体ファージとなり、λgt10又はλ
gt11のcDNAライブラリーが構築される。上記のλgt系
ファージライブラリーの作成は市販のλgt10又はλgt
11cDNAクローニングキットを用いれば容易に行うこと
ができる。
【0017】また、後者の場合、鋳型としてmRNAを残存
させたまま、上記と同様のリンカー付与した開環状プラ
スミドと、リンカーDNA(しばしば動物細胞で自立複製で
きる領域とmRNAの転写プロモーター領域を含むDNA 断片
が用い得る) とを、アニーリングさせて閉環状とした
後、dTNP存在下で、RNase とDNA ポリメラーゼを共存さ
せてmRNAをDNA 鎖に置換し、完全なプラスミドDNA を作
成できる。
【0018】上記の如くして得られるDNA をベクターの
宿主微生物に導入し、該微生物を形質転換する。宿主微
生物としては、エシェリヒア コリーが代表的である
が、特にこれに限定されず、その他にバチルス ズブチ
リス(Bacillus subtilis)、サッカロミセス セレビ
シアエ(Saccharomyces cervisiae)等も使用すること
ができる。
【0019】DNA の宿主微生物への導入及びこれによる
形質転換の方法としては、一般に用いられている方法、
例えば主として対数増殖期にある細胞を集め、CaCl2
理して自然にDNA を取り込みやすい状態にして、プラス
ミドを取り込ませる方法等を採用できる。上記方法にお
いては、通常知られているように形質転換の効率を一層
向上させるためにMgCl2 やRbClを更に共存させることも
できる。また、微生物細胞をスフェロプラスト又はプロ
トプラスト化してから形質転換させる方法も採用するこ
とができる。
【0020】〔2〕糖タンパク質10遺伝子クローンの
選択 上記により得られる形質転換株から、本発明糖タンパク
質10のコアタンパク質をコードするcDNAを含有する株
を選出する方法としては、例えば以下に示す各種方法を
採用できる。
【0021】(1) 本発明糖タンパク質10を含むレクチ
ン結合糖タンパク質のコアタンパク質に対する抗体を用
いて選出する方法 予め、cDNAを形質転換株内でタンパク質を発現し得るベ
クターに組込み、形質転換株内でタンパク質を産生さ
せ、本発明糖タンパク質10を含むレクチン結合糖タン
パク質のコアタンパク質に対する抗体及び該抗体に対す
る第2抗体を用いて、本発明糖タンパク質10を含むレ
クチン結合糖タンパク質のポリペプチド産生株を検出
し、目的株を得る。
【0022】(2) 動物細胞で本発明糖タンパク質10の
ポリペプチドを産生させてスクリーニングする方法 形質転換株を培養し、遺伝子を増殖させ、その遺伝子を
動物細胞にトランスフェクトし(この場合、自己複製可
能でmRNA転写プロモーター領域を含むプラスミド若しく
は動物細胞染色体にインテグレートするようなプラスミ
ドのいずれでもよい)、遺伝子にコードされたタンパク
質を産生させ、本発明糖タンパク質10を含むレクチン
結合糖タンパク質のコアタンパク質に対する抗体を用い
て本発明糖タンパク質10を含むレクチン結合糖タンパ
ク質のポリペプチドを検出することにより、元の形質転
換株より目的の本発明糖タンパク質10のポリペプチド
部分をコードするcDNAを有する株を選出する。
【0023】(3) セレクティブ・ハイブリダイゼーショ
ン・トランスレーションの系を用いる方法 形質転換株から得られるcDNAを、ニトロセルロースフィ
ルター等にブロットし、本発明糖タンパク質10を含む
レクチン結合糖タンパク質のポリペプチド産生細胞から
のmRNAをハイブリダイゼーションさせた後、cDNAに対応
するmRNAを回収する。回収されたmRNAを蛋白翻訳系、例
えばアフリカツメガエルの卵母細胞への注入や、ウサギ
網状赤血球ライゼートや小麦胚芽等の無細胞系で蛋白質
に翻訳させ、本発明糖タンパク質10を含むレクチン結
合糖タンパク質のコアタンパク質に対する抗体を用いて
検出して、目的の株を得る。
【0024】なお、上記方法において用いられる本発明
糖タンパク質10を含むレクチン結合糖タンパク質のコ
アタンパク質に対する抗体は、公知の方法により作成す
ることができる。
【0025】即ち、まず本発明糖タンパク質10を発現
している組織細胞の細胞膜を界面活性剤を用いて可溶化
し、これを糖タンパク質10が結合しうるレクチン結合
アガロースカラムに吸着させて、レクチン結合糖タンパ
ク質を調製する。
【0026】各種組織細胞の細胞膜可溶化画分分離手段
としては、例えばヒト癌組織、ヒト細胞を適当な緩衝液
中で破砕後、100,000×gの高速遠心分離に付し、その残
渣をトリトン系界面活性剤に溶解し、これを再度100,00
0×gの高速遠心分離に付し、その上清を採取する方法が
挙げられる。
【0027】得られた細胞膜可溶化画分より本発明糖タ
ンパク質10を含むレクチン結合糖タンパク質を分離す
るために用いられるレクチンとしては、例えばピーナッ
ツ豆レクチン(Peanut agglutinin, PNA)が挙げられ、
かかるレクチンは市販されているものを用いてもよい
し、例えばピーナッツ豆より自体公知の手段により抽出
分離したものを用いてもよい。レクチン結合アガロース
は市販されているものを用いてもよいし、通常の手段に
よりアガロースゲルにカップリングさせて得ることもで
きる。
【0028】レクチン結合糖タンパク質の溶出には、ハ
プテン糖、例えばラクトース溶液等が用いられる。ここ
で用いる溶出液の濃度は0.05〜0.2Mが好ましい。
【0029】次に、本発明糖タンパク質10を含むレク
チン結合糖タンパク質をトリフルオロメタンスルホン酸
(TFMS)またはフッ化水素で処理して糖鎖を除去した
後、これを完全アジュバントと共にウサギ等の小動物に
免疫し、さらに適当な間隔をおいて数回不完全アジュバ
ントと共に免疫した後抗血清を採取する。次に大腸菌を
熱処理し遠心分離して得られる菌体成分と前述で得られ
た抗血清とを4℃にて混和した後、遠心分離すれば求め
るポリクローナル抗体を得ることができる。
【0030】上記において得られた本発明遺伝子クロー
ンは、常法に従って各種プラスミドにサブクローニング
することができる。例えばEcoRI にて切断して精製した
本発明遺伝子を含むcDNA断片を、同様にEcoRI にて切断
した pUC18〔Yanisch-Perron, C., et al., Gene, 8
3, p.103-119(1985)〕などのクローニングベクターの切
断部位へ挿入すればよい。これにより所望の組換え体プ
ラスミドを得ることができる。また得られる組換え体プ
ラスミドの宿主への導入及びこれによる組換え体プラス
ミドの増幅と個別化は、一般に用いられている各種の方
法、例えば主として対数増殖期にある細胞を集め、CaCl
2 処理により自然にDNA を取り込みやすい状態とし、こ
れをにベクターを取り込ませる方法等により行い得る。
【0031】なお、上記において採用される各種の操
作、例えば一部DNA の化学合成、DNA鎖の切断、削除、
付加ないし結合を目的とする酵素処理、DNA の単離、精
製、複製、選択等はいずれも常法に従うことができる。
より具体的には、上記DNA の単離精製は、アガロースゲ
ル電気泳動等により行うことができる。
【0032】また、上記で得られる本発明遺伝子の塩基
配列の決定は、適当な制限酵素でDNA を消化した後、ジ
デオキシ法〔Sanger, et al., Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 74, p.5463(1977)〕 やマキサム−ギルバート法
〔A. M. Maxam and W. Gilbert, Methods in Enzymolog
y, 65, p.499(1980)〕等により行い得る。更に上記塩基
配列の決定は、市販のシークエンスキット等を用いるこ
とによっても容易に行い得る。
【0033】かくして得られた本発明糖タンパク質10
遺伝子の塩基配列及び対応するアミノ酸配列を配列表に
示す。塩基の番号は5′末端を1とし、5′末端から
3′末端方向につけられている。アミノ酸残基の番号は
N末端からC末端方向へつけられており、最初にコード
されるアミノ酸を1としている。糖タンパク質10遺伝
子の配列は、翻訳領域及び3′側の非翻訳領域を含めて
全体で2427個の塩基からなる。翻訳領域は567塩基の
長さで、189個のアミノ酸のタンパク質部分に相当す
る。
【0034】得られた本発明遺伝子の利用によれば、従
来公知の一般的な遺伝子組換え技術により〔Science, 2
24, p.1431(1984); Biochem. Biophys. Res. Comm., 13
0, p.692(1985); Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 80,
p.5990(1983); EP特許公開第187991号公報等参照〕 、
糖タンパク質10のコアタンパク質を容易に且つ大量に
製造、取得することができる。また、このようにして得
られる糖タンパク質10のコアタンパク質を用い、糖タ
ンパク質10のコアタンパク質に特異的な抗体を作成す
ることができる。抗原として用いるコンポーネントは遺
伝子工学的手法で大量に産生されたものを用いることも
できる。抗体は通常のポリクローナル抗体、モノクロー
ナル抗体の製造法に従い製造されるが、糖タンパク質1
0のコアタンパク質複合体に対するポリクローナル抗体
からワインバーガー(Weinberger)らの方法〔Sience, 22
8, p.740-742(1985)〕に従いエピトープ特異的抗体を得
ることも可能である。抗体は糖タンパク質10及びその
コアタンパク質の精製、測定、識別等に用いられる。
【0035】また、上記の如くして得られる糖タンパク
質10のコアタンパク質には、配列表に示すアミノ酸配
列のN末端にメチオニンが結合していないポリペプチ
ド、及び上記アミノ酸配列のN末端に糖タンパク質10
のためのシグナルペプチドの部分もしくは全部が結合、
又は欠損した中間体も包含される。かかる変異は天然
に、例えば翻訳後の修飾により得られ、あるいは遺伝子
工学的手法においては、天然から得た遺伝子を例えばサ
イトスペシフィック・ミュータゲネシス等の方法により
改変したり、ホスファイトトリエステル法等の化学合成
法により変異したDNA を合成したり、或いは両者を組合
せて、遺伝子を合成できる。これらの遺伝子を利用し、
これを微生物のベクターに組込み、形質転換された微生
物から産生させることにより、変異を有するコンポーネ
ントを得ることができる。又、これらのタンパク質は、
その機能を保ったまま、天然或いは人口の変異により、
その一部のアミノ酸の置換や配列の改変を行うことがで
きる。従って、本発明の糖タンパク質10遺伝子は、上
記の各種変異を有する蛋白質をコードする遺伝子も包含
する。遺伝暗号の末端にはTAG 、TAA 等の終止コドンを
付加することができる。遺伝暗号は上記配列番号1に例
示されたコドンに限られず、アミノ酸配列を変えること
なく各アミノ酸に対し任意のコドンを選択でき、例えば
遺伝子組換えに利用する宿主のコドン使用頻度等を考慮
した常法に従えばよい〔Nucl. Acids. Res., , p.43-
74(1981)〕。
【0036】
【発明の効果】本発明糖タンパク質10遺伝子を用いれ
ば糖タンパク質10のコアタンパク質を容易に且つ大量
に製造することができる。糖タンパク質10は、ヒト癌
組織、特に胃癌細胞KATO-IIIに多く存在し、腫瘍マーカ
ー、免疫異常マーカーあるいは各種炎症性疾患マーカー
として有用である。
【0037】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。
【0038】実施例1 本発明糖タンパク質10の調製:胃癌細胞KATO-III 2
gを氷冷下CaCl2およびMgCl2添加PBS [PBS(+)] 中で
細断し、これをPotter-Elvehjem 型のホモジナイザーに
てホモジナイズした。
【0039】この破砕液を4℃にて1時間高速遠心(10
5,000×g)し、その上清を除去したペレットに2%トリ
トンX−100 、0.15M NaCl、0.01Mトリス−HCl (pH7.6)
及び50μg/mlのプロテアーゼ阻害剤であるPMSF(フェ
ニルメチルスルホニルフルオライド)(シグマ社)を含
む溶液60mlを加え、さらにこれをホモジナイズしたのち
4℃にて30分放置し、細胞膜を可溶化した。これを4℃
にて1時間高速遠心(105,000×g)し、該上清を得た。
【0040】該上清を市販のPNA 結合アガロースカラム
(E.Y ラボラトリーズ社製)に添加し、PNA 結合糖タン
パク質を吸着させた。
【0041】該カラムを0.1 %トリトンX-100、0.15M N
aCl及び0.01Mトリス-HClを含む洗浄液(pH7.6)200mlにて
洗浄した。その後PNA 結合糖タンパク質を0.05M ラクト
ース溶液50mlにて溶出させた。
【0042】溶出液中のPNA 結合糖タンパク質のタンパ
ク濃度はローリー法にて測定し、総量で3mg(タンパク
含量)のPNA 結合糖タンパク質を得た。
【0043】実施例2 (1) PNA 結合糖タンパク質の糖鎖除去:PNA 結合糖タン
パク質2mgを凍結乾燥後、トリフルオロメタンスルホン
酸(TFMS)−アニソール(2:1)溶液1mlを加えて溶
解した。反応液中に窒素ガスを通気して置換したのち25
℃で5時間撹拌し、糖鎖を分解した。反応終了後、2倍
量のジエチルエーテルを加えて混和したのち、−80℃に
1時間放置した。次に氷冷した50%ピリジン溶液を等量
加えてボルテックスミキサーで撹拌し、次いでエーテル
層を除去した。さらにエーテルを加えて同様にエーテル
抽出を2回行ったのち、2mMピリジン−酢酸バッファー
(pH 5.5)4lに対して、透析した。
【0044】(2) PNA 結合糖タンパク質のコアタンパク
質に対するポリクローナル抗体の作成:(1)で調製した
糖鎖除去PNA 結合糖タンパク質のPBS(−)溶液(タン
パク質濃度 800μg/ml)0.5ml とフロインドの完全アジ
ュバント0.5ml を混和して調製した懸濁液をニュージー
ランドホワイト種の雄ウサギの足跂に皮下接種した。そ
の後2週間おきに3回、上記フロインドの不完全アジュ
バントとPNA 結合糖タンパク質の懸濁液を足跂又は背に
皮下接種して免疫した。最終免疫後10日目にウサギの耳
静脈より採血し、完全に凝血させた後4℃で20分間高速
遠心(150,000rpm)を2回くり返して上清を回収し、抗
血清を得た。
【0045】(3) 抗体の吸収処理:後記実施例3(2)で
示す、本発明糖タンパク質10のコアタンパク質をコー
ドする組換え体ファージクローン分離のためのスクリー
ニングに用いる抗体は、大腸菌菌体成分と交差反応しな
いことが望まれる。そこで、予めスクリーニングに用い
る抗体を大腸菌(E. coli Y1090) 菌体成分と反応させ、
これと交差する抗体を除去した。
【0046】E. coli Y1090 株をLB培地 〔Molecular C
loning (A Laboratory Manual); T.Maniatis, E. F. Fr
itsch, J. Sambrook; Cold Spring Harbor Laboratory
(1982), p.68〕 500ml 中で37℃にて一夜培養し、5000r
pm 、10分間の遠心で菌体を集めた。これを20mlの蒸留
水に懸濁して100 ℃で5〜10分間加熱処理した。更に、
10,000rpm で10分間遠心したのち上清を分離した。次
に、実施例2(2) で作成した抗血清をPBS(−)で50倍
希釈した溶液100mlに、この上清1mlを加えて混和し、
4℃で2時間放置したのち、10,000rpm で15分間遠心
し、その上清を分離して本発明糖タンパク質10のコア
タンパク質に対する抗体を得た。
【0047】実施例3 (1) 胃癌細胞株KATO-IIIのcDNAライブラリー作成:胃癌
細胞株KATO-IIIを、RPMI-1640 培地に10%の割合で牛胎
仔血清を加えた培地で5%のCO2 ガス通気下37℃にて継
代培養した。得られた胃癌細胞株KATO-III1gからグア
ニジウムイソチオシアネート法 〔Molecular Cloning
(A Laboratory Manual); T. Maniatis, E. F. Fritsch,
J. Sambrook; Cold Spring Harbor Laboratory (198
2), p.196〕に従って全RNA 3mgを抽出し、これをオリ
ゴ(dT)セルロースカラム(Colaborative Research In
c., カラム容量1ml)を用いてポリ(A)+RNA200μg を得
た。以下アマシャム社のcDNA合成システムのプロトコー
ルに従い、2本鎖のcDNAを合成した。即ち、該当ポリ
(A)+RNA 5μgに逆転写酵素(アマシャム社)を作用さ
せて第一DNA 鎖を合成した。次に大腸菌リポヌクリアー
ゼH(RNase H)及び大腸菌DNA ポリメラーゼI(共にアマ
シャム社)を作用させ、RNA を消化しながら第一DNA 鎖
を鋳型として第二DNA 鎖を合成し、T4DNA ポリメラーゼ
のエキソヌクレアーゼ活性を利用して平滑末端を有する
二本鎖cDNA(ds-cDNA)を合成した。
【0048】上記により得られたds-cDNA をさらにアマ
シャム社のcDNA・クローニングシステムλgt11を使って
発現ベクターλgt11にクローニングした。即ちds-cDNA
にEcoRI メチラーゼ(アマシャム社)を作用させ、ds-c
DNA の内部にある制限酵素EcoRI の認識部位をメチル基
により保護し、次にT4DNA リガーゼ(アマシャム社)に
より合成EcoRIリンカー(アマシャム社)を両末端に接
続し、最後にこれに制限酵素EcoRI(アマシャム社)を
作用させて両端を付着末端とした。
【0049】このds-cDNA とλgt11アーム(アマシャム
社)をT4DNA リガーゼ(アマシャム社)により結合さ
せ、組換えDNA を作成した。これにインビトロパッケー
ジング液(アマシャム社)を作用させてcDNAライブラリ
ーを作成した。
【0050】(2) 本発明糖タンパク質10をコードする
組換え体ファージクローンの分離:(1)で得られたλgt1
1cDNAライブラリーとE. coli Y1090を37℃にて20分間イ
ンキュベートし、組換え体ファージを宿主菌であるY109
0 に吸着させた後、溶解した上層軟寒天と混合して寒天
平板上にまきひろげた。上層寒天固化後寒天平板を42℃
で4〜8時間培養し、プラークを形成させた。次いで10
mMイソプロピル-1-チオ-β-D- ガラクトシド (IPTG) で
飽和させ、乾燥させたニトロセルロースフィルターを寒
天平板表面に置き37℃にて2時間インキュベートして、
β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を発現させた。
【0051】その後これを4℃にて1時間以上冷却した
後フィルターをはがした。このフィルターを室温で1時
間ブロッキング溶液(2%馬ヘモグロビン、0.1 % Twe
en20、PBS(−))に浸した後、該ブロッキング溶液中
で実施例2(3)で吸収処理した本発明糖タンパク質10
のコアタンパク質に対する抗体50μg/mlと反応させ、室
温にて2時間インキュベートさせた。該フィルターを0.
1% Tween20を含むPBS(−)で5回洗浄後、このフィル
ターをホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)標
識抗ウサギIgG抗体(Cappel社製)ブロッキング溶液(2
00倍希釈液)中で室温にて2時間反応させ、該反応終了
後、上記の洗浄液で5回洗浄した。次いで過酸化水素含
有4−クロロ−1−ナフトール溶液で発色させて本発明
糖タンパク質10のコアタンパク質に対応する融合タン
パク質を発現しているクローンを選択した。得られたク
ローンの単一プラークを分離した後、Y1090 を宿主とし
て増殖させSM緩衝液中に懸濁させて4℃で保存した。該
クローンをλKP10と命名した。
【0052】(3) 本発明糖タンパク質10をコードする
組換え体ファージの溶原菌作成:(Huynth, T. V., Youn
g, R. A., Davis, R. W. :DNA Coloning Vol.1 A Pract
ical Approach, Glover, D. M.) p.49-78 IRL Press(19
85) 記載の方法に従ってλKP10をE. coli BNN103に溶原
化させた溶原菌を作成した。
【0053】(4) 本発明糖タンパク質10をコードする
組換え体ファージDNAの分離:(2)で得られた本発明糖タ
ンパク質10をコードする組換え体ファージクローン
(λKP10)をE. coli Y1090 を宿主として増殖させたの
ち、〔Molecular Cloning (A Laboratory Manual); T.
Maniatis, E. F. Fritsch, J. Sambrook; ColdSpring H
arbor Laboratory (1982) p.371-372〕記載の方法に従
って、本発明組換え体ファージDNA(λKP10 DNA)を調
製した。
【0054】(5) プラスミドpKP10形質転換株の作成:
λKP10 DNAを制限酵素EcoRI(日本ジーン社製)で消化
し、約2300塩基対のDNA断片を得た。
【0055】一方、プラスミドベクターpBluescript II
KS(ストラタージーン社製)を同じくEcoRIで消化した
のち、両断片をT4DNAリガーゼ(宝酒造社製)で結合さ
せ、本発明糖タンパク質10のポリペプチド鎖をコード
する組換え体プラスミドpKP10を得た。
【0056】得られた組換え体プラスミドpKP10 をE. c
oli JM83のコンピテント細胞に形質導入した。
【0057】(6) 制限酵素地図の作成:(5)で得られたp
KP10 を 〔Molecular Cloning (A Laboratory Manual);
T. Maniatis, E. F. Fritsch, J. Sambrook; Cold Spr
ing Harbor Laboratory (1982)p.104-106〕 に記載の方
法に従って処理し、さら上記文献p.374-p.381の方法に
従って、本発明糖タンパク質10をコードするpKP10 ク
ローンの制限酵素地図を作成した(図1)。
【0058】(7) pKP10 クローンの塩基配列決定:pKP1
0 クローンの塩基配列の決定はサンガー(Sanger)らの
方法 〔Sanger F.,Nicklen S. & Coulson A. R., Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 74, p.5463-5467(1977)〕に従
って行なった。その結果、pKP10 クローンは本発明糖タ
ンパク質10をコードするmRNAの5′末端領域に対応す
る一部が欠落していることが判明した。
【0059】そこでプライマー伸長法により欠落部分の
塩基配列を決定した。pKP10 クローンにおけるcDNAの
5′末端に近い領域の塩基配列に対応する20塩基対の合
成ヌクレオチドをプライマーとして前記と同様の方法で
胃癌細胞株KATO-III由来のポリ(A)+ RNA を鋳型としてc
DNAを合成しさらにλgt10アーム(アマシャム社)とcDN
Aを結合させてライブラリーを作成した。
【0060】このλgt10ライブラリーとE. coli NM514
を37℃にて20分間インキュベートしてファージを宿主菌
に吸着させたのち、溶解した上層軟寒天と混合して寒天
平板上にまきひろげた。上層寒天固化後、寒天平板を4
〜8時間培養し、プラークを形成させた後、4℃にて1
時間以上冷却した。
【0061】次にニトロセルロースフィルターを寒天平
板表面に置き、4℃で15分間放置後、フィルターをはが
し、0.5M水酸化ナトリウム-1.5M塩化ナトリウム溶液を
しみ込ませたろ紙(ワットマン社3MM)上にプラークと
の接触面を上にして置き10分間放置してファージDNA を
変性させた。その後、フィルターを1M-トリス塩基-1.5M
塩化ナトリウム溶液をしみ込ませたろ紙に10分間置いて
中和し、さらに2×SSC(1×SSC:0.15M NaCl+0.015M
クエン酸Na) 溶液をしみ込ませたろ紙上に5分間置い
た。フィルターを室温にて乾燥させた後、減圧下80℃に
て2時間処理(ベーキング)してファージDNA をフィル
ター上に固定した。
【0062】ベーキング終了後、フィルターを2×SSC
に浸したのち、プレウオッシング溶液(前記Molecular
Cloning p.326)に移して42℃で1時間振とうして洗浄
した。洗浄後フィルターをプレハイブリダイゼーション
溶液(50%ホルムアミド,5×SSC、50mMリン酸ナトリ
ウム (pH 6.5)、200μg/mlサケDNA、10×デーンハー
ト氏液(1×デーンハート氏液:0.02%ウシ血清アルブ
ミン+0.02%フィコール400+0.02%ポリビニルピロ
リドン)、0.1%SDS:前記Molecular Cloning)中で42℃
にて一夜間振とうした。
【0063】次にフィルターをα-32P-dCTP標識プロー
ブを含むハイブリダイゼーション溶液(組成はプローブ
以外プレハイブリダイゼーション溶液と同じ)中に移し
て42℃にて20時間振とうした。プローブはpKP10 クロー
ン中のcDNAを制限酵素EcoIで切断した断片をマルチプラ
イムDNA ラベングシステム(アマシャム社)を用いてα
-32P-dCTPにて標識したものを3×106〜1×107cpm/ml
の濃度で使用した。
【0064】ハイブリダイゼーション終了後、フィルタ
ーを2×SSC-0.1%SDS 溶液に移して室温で10分間ずつ
3回洗浄し、さらに0.1×SSC−0.1%SDS溶液中で60℃に
て30分間ずつ3回洗浄した後室温で乾燥した。フィルタ
ーをろ紙にはりつけてX線フィルムカセットに入れ、X
線フィルム(コニカ社XAR-5)を重ねて−70℃で一夜感
光させた。
【0065】フィルム上に出現したシグナルに対応する
プラーク中の組換え体ファージSM緩衝液に懸濁し、再度
寒天平板上に単一プラークを形成させ、上記同一操作を
行なって陽性クローンを分離した。得られたファージク
ローンをE. coli NH514 に感染させて増殖させた後、前
記(4)と同様に組換え体ファージDNAを調製した。
【0066】このDNA を制限酵素EcoRI で切断して生じ
る断片をファージベクターpUC18 に前記(5)の方法でサ
ブクローニングし、得られた組換え体プラスミドを鋳型
として前記サンガーらの方法により同組換え体中に含ま
れる本発明糖タンパク質をコードするcDNAの5′末端領
域及び5 ′側の非翻訳領域の塩基配列を決定した(図
1)。
【0067】以上の結果より得られた糖タンパク質10
遺伝子の配列は、5′側の非翻訳領域、翻訳領域及び
3′側の非翻訳領域を含めて全体で2427個の塩基からな
る。翻訳領域は567塩基の長さで、189個のアミノ酸のタ
ンパク質部分をコードすることが判明した。
【0068】実施例4 (1) 全RNA及びポリ(A)+RNAの調製 実施例3−(1)に示したグアニジウムイソチオシアネー
ト法に従って胃癌細胞株KATO-IIIより全RNA を抽出し、
また市販のオリゴ(dT)セルロースカラム(Colaborati
ve Research Inc.)を用いてポリ(A)+RNA を調製した
(前記MolecularCloning p.196-p.198 参照)。
【0069】(2) ノーザンブロッティング (1)で調製した全RNA20μg又はポリ(A)+RNA10μgを前記M
olecular Cloning (p.200〜201)の方法に従って、グリ
オキサール存在下、50℃にて1時間加温して変性させた
後、10mMリン酸ナトリウム溶液を含む1%アガロースゲ
ルにて90V で3〜4時間電気泳動を行なった。次に分離
したRNAを20×SSC中でニトロセルロースフィルター(シ
ュライアーアンドシェル社)へ15時間かけて転写させ
た。RNA 転写後のニトロセルロースフィルターを室温で
乾燥後80℃で2時間ベーキングして固定し、その後20mM
トリス塩酸バッファー(pH 8.0)中、100 ℃にて5分間
加熱してグリオキサールを除去した。このフィルターを
実施例3−(7) に記したプレハイブリダイゼーション溶
液中で42℃にて3時間振とうした後、α−32P-dCTP標識
プローブを含むハイブリダイゼーション溶液(組成はプ
ローブ以外プレハイブリダイゼーション溶液と同じ)中
に移して42℃にて20時間振とうした。プローブはpKP10
クローン中cDNAを制限酵素EcoRIで切断した断片をマル
チプライムDNAラベリングシステム(アマシャム社)を
用いてα−32P-dCTPにて標識したものを0.5〜1×107cp
m/mlの濃度で使用した。ハイブリーダイゼーション終了
後、フィルターを2×SSC-0.1%SDS 溶液に移して室温
で10分間ずつ3回洗浄し、更に0.1×SSC-0.1%SDS 溶
液中で60℃にて30分間ずつ3回洗浄した後室温で乾燥し
た。フィルターをろ紙にはりつけてX線フィルムカセッ
トに入れ、X線フィルム(コニカ社XAR-5 )を重ねて−
70℃で1〜3日間感光させた。
【0070】得られたノーザンブロッティングの結果を
図2に示す。
【0071】なお、RNA の分子量マーカーとして28S 及
び18S リボゾームRNA を用いた。その結果、3400塩基長
の単一のmRNAが検出された。
【0072】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ: 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ホモサピエンス 細胞の種類:胃印環細胞癌 セルライン:KATO-III 直接の起源 ライブラリー名:λgt11 KATO-III cDNA library クローン名:λKP10 配列の特徴 特徴を表す記号:sig peptide 存在位置:80..148 特徴を決定した方法:S 特徴を表す記号:mat peptide 存在位置:149..649 特徴を決定した方法:S 特徴を表す記号:poly A signal 存在位置:2388..2393 特徴を決定した方法:S 特徴を表す記号:poly A site 存在位置:2418..2427 特徴を決定した方法:S 配列 GCGGCGCCGC AGGGGATTGA GGGGTTGACT GAGCGTTGCG AGCCTTAGCT TTCTCCCGAA 60 CGCCAGCGCT GAGGACACG ATG TCG CGG CTC TCC CGC TCA CTG CTT TGG GCC 112 Met Ser Arg Leu Ser Arg Ser Leu Leu Trp Ala 1 5 10 GCC ACC TGC CTG GGC GTG CTC TGC GTG CTG TCC GCG GAC AAG AAC ACG 160 Ala Thr Cys Leu Gly Val Leu Cys Val Leu Ser Ala Asp Lys Asn Thr 15 20 25 ACC CAG CAC CCG AAC GTG ACG ACT TTA GCG CCC ATC TCC AAC GTA ACC 208 Thr Gln His Pro Asn Val Thr Thr Leu Ala Pro Ile Ser Asn Val Thr 30 35 40 TCG GCG CCG GTG ACG TCC CTC CCG CTG GTC ACC ACT CCG GCA CCA GAA 256 Ser Ala Pro Val Thr Ser Leu Pro Leu Val Thr Thr Pro Ala Pro Glu 45 50 55 ACC TGT GAA GGT CGA AAC AGC TGC GTT TCC TGT TTT AAT GTT AGC GTT 304 Thr Cys Glu Gly Arg Asn Ser Cys Val Ser Cys Phe Asn Val Ser Val 60 65 70 75 GTT AAT ACT ACC TGC TTT TGG ATA GAA TGT AAA GAT GAG AGC TAT TGT 352 Val Asn Thr Thr Cys Phe Trp Ile Glu Cys Lys Asp Glu Ser Tyr Cys 80 85 90 TCA CAT AAC TCA ACA GTT AGT GAT TGT CAA GTG GGG AAC ACG ACA GAC 400 Ser His Asn Ser Thr Val Ser Asp Cys Gln Val Gly Asn Thr Thr Asp 95 100 105 TTC TGT TCC GTT TCC ACG GCC ACT CCA GTG CCA ACA GCC AAT TCT ACA 448 Phe Cys Ser Val Ser Thr Ala Thr Pro Val Pro Thr Ala Asn Ser Thr 110 115 120 GCT AAA CCC ACA GTT CAG CCC TCC CCT TCT ACA ACT TCC AAG ACA GTT 496 Ala Lys Pro Thr Val Gln Pro Ser Pro Ser Thr Thr Ser Lys Thr Val 125 130 135 ACT ACA TCA GGT ACA ACA AAT AAC ACT GTG ACT CCA ACC TCA CAA CCT 544 Thr Thr Ser Gly Thr Thr Asn Asn Thr Val Thr Pro Thr Ser Gln Pro 140 145 150 155 GTG CGA AAG TCT ACC TTT GAT GCA GCC AGT TTC ATT GGA GGA ATT GTC 592 Val Arg Lys Ser Thr Phe Asp Ala Ala Ser Phe Ile Gly Gly Ile Val 160 165 170 CTG GTC TTG GAA ATA AGA TGC CAC ACA AGG AAC TAC ATT CCA GAT TTA 640 Leu Val Leu Glu Ile Arg Cys His Thr Arg Asn Tyr Ile Pro Asp Leu 175 180 185 AAG AAA TGAAAGGATA CCATTAGTGT GTATAACAGA TTATTGTTCA TACTTGTAAA 696 Lys Lys 189 GCACCTTATG TCATTGAGAA TATAAAGAAC AGTGCCTTAG AAGACAGTGA AAGGTAAGCT 756 CTAGCTTAAT GTCTATGATT TGTTCTTTGA CATTAAGGAA GGTAAGGATT GGTCAGAGGA 816 TGTAACTTGA TGTGAGCAGT AGTAAACCTG TTTTAGATAT CATACTGTTA ATATTTTATT 876 GAAAATTTAT TTCAGAGCGG AGAAACTTAA GCTAAAGTCT GTTATACAGA ATTGAAAGCC 936 TTCGTATCTT GAACCTCCCA ACATTTTTCT TATGGCTGTT GAAAAGTATA GAGCTAAATT 996 GATTTAATTA CACTTTCCTT TGTACTTTAA AAAAAAGTAT GCTAGCACTA TTGTACCTTG 1056 AAAGGATTTC CACCAGACTG TCTTGAGTAG TGACTTCTTT GGTGAGGCAA GAAGGATATA 1116 CATTATTTTA GAATCATTTA CTATTTAAAT GAGACAATCA TATTATTTTA GAATCATTTA 1176 TTTTAAATGA GACAATCATT TTAAGTTTTA AGATAACAGA AGTGACCAAT GTAATTTCAC 1236 AACACCTAAG GATTTTTTGG TTGATCAGGT TACTGTAGAT TTTTACTGAT TGTCCTGGAT 1296 GAATAGACTG TGCTTTTTCT TTTTCTCTCC CTTCCTTCTT GGTTTCCCAT AGTATAATAA 1356 GCATGCATAC TTTAACTTCT ATAGTTTTGT CCTTTAGAGG GTCTTCTTCA GTTTTAGAGG 1416 TTTACTTCTC CCTTGCCTTT GACTCATTGG ACTAGTGCAG AGGCTTTAAG TAGTTTAAAA 1476 TGGGCTTTTG CTTTTCTAGG TCATTAACGT TTTTTATTTA GTTTCTTTAG CCAATAGTGG 1536 CTGAGTTTCG CACTTGATTT TCAATATTTT ATAGTAAGAA ATGACAAACT GCTTTGGTTC 1596 ATTTCATAAA CAAACTCTGC ATTTAGATAA CTATTAAAGG TTGTTAAGAT GAAGATTTAC 1656 TGTTTCTTTG TTACTCGTTG GTACAGCTGT TTGTTTTACT TGCACATTTG TAGATATACT 1716 TAATGTTTTC AAGTGCCTTA ATTGTTTAAA ATCTCTGGCT TCAAAGTTTC TTGGGGAAAG 1776 GTCGGTTTAC CTCACATTTT TTGTTTCCAT TAGTAATATT CTAGGTACCT CACAAAATGT 1836 ATTATGGTGC CATGGCTGTT AGTTTTTAGT GAGTGCTGTA GGATTAATTC GAAAATAGGC 1896 AGAATTCCAT TCCTCCCAAG GTGGCAAAAA TTAGCTATAC TGATGTAATT GTCATTTACC 1956 TGGGTATGAA TTCCCTGACA CACATTCATG TCAACATATG TAGCAAATTT TGTGAAAACA 2016 CAACAATTTG AAGCTTCTGT AATTTTGAGC ACTGCTCTAA CAACAAGCAT AATATAAAAT 2076 TAGTTAGATT TTGCAAGTCT ACAAATGAGC TCTTGCAACA GAACTCACAG CCTTTTTACT 2136 TTTTTCCCCT AACTTTAGCA ATGTAGTATC TTGAGCCATT AATTTTTGGG TTTTTTTAAA 2196 ATCCAGAAGG TATATAGAAA CCTTTTCAGA TTTTTCATCT GATTTGTTCT TGCAGATGTT 2256 CTTCTATCAA ATACCTTATT TTACCTTACA GATATTTGTT GCACAGGCAG ATACTGCTGT 2316 ATTTAGACAT TTCTATTTCA GTTCATTAAA AACTGCAAAA CCAATCTGTA TCATGTACCA 2376 AACTGACTTA AAATAAATCT ACATGTTTAT TGAATTAAAA CAAAAAAAAA A 2427
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明糖タンパク質10のコアタンパク質をコ
ードするcDNAの制限酵素地図及び塩基配列決定方法を示
す。図1中、最上段に示したスケールは、cDNAの1番目
の塩基を基準にしたヌクレオチドの長さ(キロベース)
である。その下段は本発明糖タンパク質10をコードす
るcDNAクローンpKP10 を示している。該線上左側の太い
黒線部分はコーディング領域を示す。矢印は各DNA断片
について決定した塩基配列の方向と長さを示す。該線部
の黒長方形印はプライマー伸長法で用いたプライマーの
位置を示す。
【図2】実施例4における本発明タンパク質をコードす
るmRNAのノーザンブロッティングを示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:19) (72)発明者 宮内 照雄 鹿児島県鹿児島市宇宿町689 USKビ ル202 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/00 - 1616/46 C12P 21/00 - 21/08 C12N 1/00 - 1/38 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で表されるアミノ酸配列中、
    1番目から189番目の配列からなる蛋白質、2番目か
    ら189番目の配列からなる蛋白質、又は24番目から
    189番目の配列からなる蛋白質をコードする塩基配列
    を有する糖蛋白質遺伝子。
  2. 【請求項2】 塩基配列が、配列番号1で表される塩基
    配列中、1番目から2427番目までの配列、80番目
    から646番目までの配列、83番目から646番目ま
    での配列、又は149番目から646番目までの配列か
    らなるものである請求項1記載の糖蛋白質遺伝子。
  3. 【請求項3】 ヒト遺伝子である請求項1又は2記載の
    糖蛋白質遺伝子。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の塩基配列を有する
    糖蛋白質遺伝子と、ストリンジェントな条件でハイブリ
    ダイズし、かつ腫瘍、免疫異常応答に基づく疾患、又は
    炎症性疾患のマーカーとしての機能を有する糖蛋白質を
    コードする糖蛋白質遺伝子。
  5. 【請求項5】 配列番号1で表されるアミノ酸配列中、
    1番目から189番目の配列からなる蛋白質、2番目か
    ら189番目の配列からなる蛋白質、又は24番目から
    189番目の配列からなる蛋白質に対するポリクローナ
    ル抗体又はモノクローナル抗体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項記載の糖蛋
    白質遺伝子検出のための標識プローブ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項記載の糖蛋
    白質遺伝子検出用合成ヌクレオチドプライマー。
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