JP3034777B2 - カセットリボン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインパクト式の印字装置
等のように、インクリボンにしみこませたインクを用紙
に転写することにより印刷を行う印字装置に使用される
カセットリボンに関し、特に高寿命化、省資源化、使い
勝手の向上を達成することができるカセットリボンに関
する。

【０００２】

【従来の技術】インパクト式印字装置においては、リボ
ンカセット内に収納した略帯状のリボンの一部を印字用
ヘッドと印字媒体との間に誘導し、該リボンに含有する
インクを印字ヘッドを介して印字媒体に転写させ印字を
行う。

【０００３】従来は上記リボンに含有するインクが消耗
又はリボン生地が消耗すなわち、良好な印字品質が得ら
れなくなると新品のリボンをカセットケースに換装した
り、リボンに含有するインクとは別にカセットケース内
部に該インクを含有する保水部材（インク補給部材）を
設け、該保水部材にリボンを接触させて該リボンにイン
クを補給するタイプ等の技術が提案されている。尚、こ
れらの技術に関しては例えば、特開昭６１−１００４８
６号公報，特開昭６２−２４８６７７号公報，特開昭６
３−１５７７８号公報，特開平１−１６８４７６号公報
等の技術が公開されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、下
記に記述する課題があり、本発明はこれらの技術課題の
解決を提案するものである。

【０００５】特開昭６１−１００４８６号公報はインク
リボンの高寿命化には好適な技術である。然るに、イン
クタンク貯溜部２３がリボンカセット１９のケース内部
に収納されているため、インクの補充時ケースのふたを
開き、インク貯溜部２３を取出し、新品のインク貯溜部
２３を再セットする際、リボンを板ばね２５とガイドピ
ン２６との間に手で通す必要があり手が汚れる。また、
インクタンク貯溜部２３の交換工程が５工程にも及び必
ずしも容易交換とは言いがたい。更に、インクリボン色
が単色以外の多色リボンに対する配慮が欠けている。更
に、インクタンク貯溜部２３がインクリボン繰り出し側
にあるため、補給されたインクの拡散が十分に行われな
い内に印字手段で印字され易く、印字濃度むらが発生し
易い等の技術課題も残存している。

【０００６】特開昭６２−２４８６７７号公報はインク
リボンカートリッジの高寿命化には好適な技術である。
然るに、インクリボン２３及び補給ローラ１８の交換使
用に対しては配慮が欠けており、リボン２３の寿命がイ
ンクリボンカートリッジの寿命となり使い捨てインクリ
ボンカートリッジの観点からすれば省資源に技術課題を
残している。

【０００７】特開昭６３−１５７７８号公報はインクリ
ボンへのインク補給機構としては好適な技術である。然
るに、インクリボンが移動していない時つまり、装置が
停止している時リボンへのインク供給が局部的に過多供
給となり印字濃度むらが出易い。従って、印字濃度を管
理する印字又は印字結果を重視する通帳印字，債権印字
等への応用には配慮が欠けており技術課題が残存してい
る。

【０００８】特開平１−１６８４７６号公報インクリボ
ンカートリッジには好適な技術である。然るに、インク
マット４にインク液を塗布した前後で印字濃度むらが出
ることは明白であり、特開昭６３−１５７７８号公報と
同一の技術課題を残存する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明においては、カセットリボンのリボンにイ
ンクを補給するインクタンク部及びインク補給部材をカ
セット化してカセットリボン本体と独立形成し、カセッ
トリボン本体の外部から着脱交換を可能とした。

【００１０】また、前記インクタンク部内部を可視でき
る窓を設けた。

【００１１】更に、前記インク補給部材は、前記インク
タンク部内部下面を覆うように敷設するようにした。

【００１２】更に、カセットリボンを多色印刷可能な構
成とした。

【００１３】

【作用】インクタンクとインク補給部材のカセット化し
たことによりインク補充がワンタッチでしかもエンドユ
ーザの手汚しをすることなく容易に行うことができるよ
うになり、インクリボンの寿命延長が図れるようにな
る。

【００１４】また、タンク内部を可視できるので、イン
ク残量及びインク補充量が可視できるため、インク補充
がタイムリーでしかも適正に行えるようになる。

【００１５】更に、多色印刷でも対応できる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
詳細に説明をする。

【００１７】図１は本発明のカセットリボンを搭載した
印字装置の概略図、図２は本発明のカセットリボン１の
インク補給カセット９の着脱部分の構造を示す図であ
り、インク補給カセットの着脱交換手順及びインク補給
路の遮断切替機構も示す。図３は本発明のインク補給カ
セットにおけるインク補給部材の構成を示す図である。

【００１８】まず、本発明によるカセットリボン１を使
用する印字装置について図１により説明する。本発明を
適用した印字装置は、被印字媒体２に対して印字を行う
印字ヘッド３、被印字媒体２を押し当てるプラテン４を
有し、印字ヘッド３と被印字媒体２との間に挾んだイン
クリボン５に含浸したインクを印字ヘッド３を介して被
印字媒体２に転写する。この時、印字ヘッド３は矢印Ｘ
方向、被印字媒体は矢印Ｙ方向に移動可能であり、各々
の移動組合せを制御することにより被印字媒体２の任意
の位置に所望の印字を行う。

【００１９】また、インクリボン５は図示しないリボン
巻取りモータ等の手段により一方向に巻取られる。印字
ヘッド３の下部に有るリボン５はその巻き取り動作によ
り移動し、カセットリボン１の本体内部に収納／繰り出
しが行われる。

【００２０】インクタンク部６とインク補給部材７をカ
セット化したインク補給カセット９は矢印Ａ，Ｂ方向に
取外しが可能であり、矢印Ｃ，Ｄ方向に取付が可能な構
成を成す。そのために、カセットリボン１のインクリボ
ン巻き取りギヤ８，８’の近傍のカセットリボンの外枠
の形状を前記インクタンク部６の外部形状にあわせた外
部形状とし、インクタンク部６のインク補給部材７が巻
き取りカセットリボン内部の巻き取りギヤ８に接触させ
るために、前記カセットリボンのうちの巻き取りギヤ８
部分の外枠部分に開口部を設ける。

【００２１】そして、インク補給部材７はインクリボン
巻取りギヤ８，８′の８に接触し間接的にインクリボン
５にインクタンク部６からのインクを補給する構造とな
っている。

【００２２】インク補給カセット９のカセットリボン本
体１への固定は公知のモールド品に多用されているスナ
ップフィット機構が採用され（図示せず）、インク補給
カセット９の着脱交換を容易にしている。

【００２３】インク補給カセット９にはインクタンク部
６にインクの補充を行う給入口１０があけてある。ま
た、レバー１１を必要に応じて切替えることによりイン
ク補給部材７がインクリボン巻取りギヤ８と非接触とさ
せることができるようにしておく。即ち、このレバー１
１を動作させることにより、インク補給部材７には、イ
ンクリボン巻き取りギヤ８と当接する方向の反対の面に
抑え部材１３がつけられ、インクタンク部６内部で、前
記レバー１１と接続されている（図示せず）。そして、
レバー１１の動作により、抑え部材の角度が変わる構成
としておく。このレバーは通常はギヤ８とインク補給部
材７とは接触状態（レバー１１が実線で示される位置）
であるがインクリボンを新品と交換した直後の所定期間
はインクリボン５のインク保水力は十分あるため、イン
クリボン５にインクをインク補給カセット１０から供給
する必要性はまったく無く、インクリボン５へのインク
過多供給とインクリボン５の寿命延長の目的から一時的
にインク補給を遮断するために使用される（レバー１１
が点線で示される位置とする）。このレバー１１はイン
ク供給カセット９側又はカセットリボン本体１側のどち
らに設けても良い。また、レバー１１の切替えはマニュ
アル切替，更にはソレノイド，ギヤモータ等の図示しな
いアクチュエータで切替える方式のどちらでもよく、シ
ステムに適している方式を選択すれば良い。

【００２４】また、インク補給カセット９の所定エリア
は透明な可視構造の窓１２が形成される。窓１２を設け
て可視構造とすることにより、インクタンク部６のイン
ク残量及び、インク供給口６から供給したインク量が目
視でき、給入口からあふれ出てインクもれを防止するこ
とができ、これによってインク補給が適正にしかもタイ
ムリーに行える。

【００２５】図３は、インク補給カセット９の内部を示
す図（抑え部材１３は省略）を示す。（ｂ）は横断面図
を、（ｃ）は（ｂ）のＹ１−Ｙ１断面を、（ｄ）は
（ｂ）のＹ２−Ｙ２断面をそれぞれ示す。

【００２６】インク補給カセット９のインク補給部材７
は、（ｂ），（ｄ）に示すように、インクタンク部６の
底部全面を覆うように敷設する。また、（ｃ）に示すよ
うにインク補給部材７がある方のインク補給カセット９
の内壁も覆うように敷設する。 このようにインク補給
部材７を設けることにより、インク補給カセット９内部
のインクは常にインクタンク底部に溜るため、インクタ
ンク部６とインク補給部材７との毛細管現象により、イ
ンクが最後まで効率良くインク補給部材７に行きわた
り、インクの巻き取りギヤ８への供給が確実に行えるた
め印字品質も安定する。

【００２７】図４，図５は本願発明を多色印刷に用いる
場合に好適な実施例を示す。カセットリボン１の巻き取
りギヤ８，８’は取扱リボン色に対応して複数の段付き
ギヤとする。本実施例は上が赤色、下が黒色の２色の場
合を想定してあり、巻き取りギヤ８，８’はそれぞれ、
８ａ，８ｂ，８ａ’８ｂ’の２段で構成する。２段のギ
ヤの間には、混色防止プーリ１９ａ，１９ｂを形成す
る。

【００２８】混色防止プーリ１９の詳細を図５に示す。
混色防止プーリ１９の、上面（印字装置に装着したとき
に上となる面）には、凹部１１０（１１０ａ，１１０
ｂ）が形成され、上のインク補給部材７から供給される
赤インクが巻き取りギヤ８ａの動作する軸を伝わって下
の巻き取りギヤ８ｂに流れ込むのを阻止する。

【００２９】２色用のインクタンク６は、上部が赤色イ
ンクタンク部６ａ，下部が黒色インクタンク部６ｂとな
るように、内部で壁が設けられており、インク吸入口１
０も、窓１２も各々に設けられている。インク補給部材
７の敷設は１つのときと同様の方法でなされる。

【００３０】本実施例によれば、下記の効果が得られ
る。

【００３１】（１）．インクタンク部とインク補給部材
をインク補給カセットとしカセットリボン本体と分離／
独立させ、カセットリボン本体の外部からワンタッチ交
換可能構造とすることにより、インク補給が容易にしか
も手を汚すことなく行える。

【００３２】（２）．インク補給カセット内部を可視構
造とすることによりインク残量及び供給インク量が目視
確認できるため、適正でタイムリーなインク補給が行え
る。

【００３３】また、インク供給口からのインクあふれ出
を未然防止できる。

【００３４】（３）．インク補給路の遮断切替可能構造
によりインクの供給過多未然防止及びインクリボンの寿
命延長が図れる。

【００３５】（４）．インク補給部材をインクタンクの
底部全面から導いた構造によりインク補給を確実に安定
化させることができる。

【００３６】

【発明の効果】本発明によれば、インク補給カセットを
交換可能としたリボンカセットを提供できるので、リボ
ンカセットの寿命を伸ばすことが簡単に行えるようにな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のカセットリボンを搭載した印字装置の
概略図。

【図２】インク補給カセット９の着脱部分の構造を示す
図。

【図３】インク補給部材構成を示す図。

【図４】多色印刷に用いる場合に好適な実施例を示す
図。

【図５】図４の混色防止プーリ１９の詳細を示す図。

【符号の説明】

１…カセットリボン、 ２…印字媒体、
３…印字ヘッド、４…プラテン、 ５…イ
ンクリボン、 ６…インクタンク部、７…インク補給
部材、 ８，８′…リボン巻取りギヤ、９…イン
ク補給カセット、 １０…インク補充の給入口、１１…
インク補給路遮断切替レバー、１２…窓、１３…抑え部
材、１１０…凹部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 辰磨 愛知県尾張旭市晴丘町池上１番地株式会 社日立旭エレクトロニクス内 (56)参考文献 実開 昭60−14957（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−94470（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−136954（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 31/16

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インクリボンのインクにより印刷を行う印
   字装置に使用されるカセットリボンにおいて、 前記インクリボンにインクを補給するインクタンク部及
   びインク補給部材とを備えるインク補給カセットを有
   し、該インク補給カセットは前記カセットリボン本体と
   独立に形成するとともに着脱交換を可能とし、前記イン
   ク補給部材は、前記インクタンク部の下面を覆うように
   敷設することを特徴とするカセットリボン。