JP2531073Y2 - インクリボンカセツト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、プリンタ等に装填されるインクリボンカセ
ット、より詳しくは、エンドレスリボンを使用して、こ
のリボンにインクを補給可能にして、長寿命化を図るイ
ンクリボンカセットに関する。

（従来の技術） インクリボンの長寿命化を図る一手段として、リボン
の長さを長くする方法があるが、カセットケースが大型
化する弊害がある。そこで、カセットケースの大型化を
回避するために、リボンにインクを補給するインク補給
体をカセット内に装備したインクリボンカセットが出現
している。しかし、インク補給体を装備しても、インク
補給体の大きさ、インク補給体の構成要素でインクを含
浸させる弾性多孔質体の気孔率、その気孔径、弾性多孔
質体からのインク吐出率などに限度があるので、50乃至
60万字程度の印字数が印字濃度の面から限界で、その時
点でカセットを交換しなければならなかった。ところ
で、カセットに収納されているリボン基布、特にシーム
レスのリボン基布は極めて耐久性にすぐれており、この
程度の印字数で損傷することは少なく、まだまだ使用に
耐えることができ、このリボンの耐久性が生かされるよ
うなリボンカセットの長寿命化が望まれている。そこ
で、カセットケースの外部からインク補給体に更にイン
クを補給するタイプのインクリボンカセットも提案され
ているが、この種のものは、特に凝集を生じやすい顔料
タイプのインクを補給した場合に弾性多孔質体に目詰ま
りが生じる問題があり、また、インクを補給した直後に
プリントすると、インクの拡散がまだ十分でないのでリ
ボン基布への転写が一様でなく印字にムラが生じる問題
があった。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、前記従来例の有する問題を解消させ、且つ
リボン基布の耐久性の限界まで印字寿命を延ばすことが
可能なインクリボンカセットの提供を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案のインクリボンカ
セットは、エンドレスリボン２に転写ローラ４を介して
インク補給体12からインクを補給可能としたインクリボ
ンカセットにおいて、カセットケース１内における底面
上の転写ローラ４の近傍に基軸10を突設すると共に該基
軸10の上方位置の天面に窓孔11を穿設し、一方、インク
を含浸して前記転写ローラ４と周側面を接触させる円盤
状の弾性多孔質体15と、該弾性多孔質体15の中心部に取
付けられて前記基軸10に回転自在に嵌着し且つ基軸10か
ら抜脱可能な中芯13と、弾性多孔質体15を覆って前記窓
孔11に蓋をするようにカセットケース１の天面に嵌着し
且つ同所から取り外し可能なカバー14とを有するインク
補給体12を構成し、弾性多孔質体15に含浸されたインク
が消費されて不足状態になったときに、前記のカバー14
を外し且つ弾性多孔質体15と中芯13を窓孔11から取出し
てこれらを廃棄し、代わりに別異の新しいインク補給体
12の弾性多孔質体15、中芯13及びカバー14をカセットケ
ース１に対し付け替えするようになし、また、転写ロー
ラ４の中心軸4aの両端をカセットケース１のケース本体
1aと蓋体1bとにそれぞれその中心軸4aの直径より少なく
とも長径の方が長くなるように設けた長孔1fに挿入して
支持することにより当該転写ローラ４を僅かに移動可能
としたことを特徴とする構成としたものである。

（実施例） 以下、図面を参照して、実施例について説明する。

まず、カセットケース１は、ケース本体1aと蓋体1bと
から成り、ケース本体1aの内部には第１図に示すよう
に、エンドレスリボン２が収納されている。このリボン
２はケース本体1aの内部に形成したリボン収納室1cに不
規則に折り重ねられた状態で収納されていて、リボン収
納室1cから板バネ３によりテンションを付与された状態
で引き出されたのち転写ローラ４に巻き掛けされ、その
後、ケース本体1aの左腕部1dを通過して一旦ケース外部
へ露出したのち、再びケース本体1aの右腕部1eに入り、
前記リボン収納室1cの入口まで導かれ、同所に設置され
た駆動ローラ５と従動ローラ６によってリボン収納室1c
内に繰り込まれるようになっている。尚、駆動ローラ５
は、プリンタに装填された場合に、プリンタの回転軸と
連動する駆動軸７に取付けられており、また従動ローラ
６はコイルばね８に付勢されたレバー９に取付けられて
いて、リボン２は駆動ローラ５と従動ローラ６とによっ
て挟み付けられている。このケース本体1aの底面上で前
記転写ローラ４の近傍に、第１図及び第４図に示すよう
に、基軸10が突設され、また基軸10の上方位置の蓋体1b
の天面には、第３図及び第４図に示すように内縁の一部
に切込部11aを有する窓孔11が穿設され、この基軸10と
窓孔11にインク補給体12が取付けられている。インク補
給体12は第２図に示すように、スポンジ等の如く連続気
孔を有してその気孔にインクを含浸させた円盤状の弾性
多孔質体15と、この弾性多孔質体15の中心部に取付けら
れた円筒状の中芯13と、弾性多孔質体15の略半部を収納
して覆うカバー14とを有し、その中芯13と弾性多孔質体
15が一体的に前記蓋体1bの窓孔11からケース本体1a内に
挿入されて、その中芯13が前記の基軸10に回動自在に嵌
着されると共に弾性多孔質体15の周側面が前記転写ロー
ラ４の周側面に適宜な圧力で接触させられ、また、カバ
ー14が窓孔11に蓋をするような状態で蓋体1bに装着され
ている。尚、転写ローラ４の中心軸4aは第３図に示すよ
うに蓋体1b及びケース本体1aに設けられた長孔1fに両端
を支持されて僅かに移動できるようになっており、弾性
多孔質体15を基軸10に取付ける場合に転写ローラ４を離
した状態で行なうことができる。また、カバー14の内面
中心部には第４図に示すように基軸10の先端を嵌入させ
る軸受筒部14aが設けられ、また周側面には第２図に示
すように一部に切欠き14bを有する鍔14cが周設されると
共にその鍔14cに対して軸方向に少しずれた位置で且つ
切欠き14bと対応する位置にリブ14dが突設されている。
そして、カバー14はそのリブ14dを窓孔11内にその切込
部11aから挿入したのち、カバー14を若干回転させるこ
とにより鍔14cとリブ14dによって第４図に示すように窓
孔11の内縁を挟むことによって蓋体1bに係止固定されて
いて、その逆操作をなせば蓋体1bから外して窓孔11を開
口状態にすることができ、また前記の中芯13も基軸10か
ら抜脱できるようになっている。尚、インク補給体12
は、カセットケース１に取付けられる前は、カバー14に
第２図に示すようなキャップ16が嵌着されていて、弾性
多孔質体15は完全に密封されてインクの揮発を防止され
ながら保管されるようになっており、カセットケース１
に取付けられる場合にキャップ16は外されて捨てられる
ものである。キャップ16の内面にはカバー14のリブ14d
を嵌入させて係止させるフック状の係止溝16aが設けら
れている。カセットケース１がプリンタに装填されて長
時間使用され、インク補給体12の弾性多孔質体15が転写
ローラ４との接触により回転しながら転写ローラ４を介
してリボン２にインクを補給し続けて、該弾性多孔質体
15のインクが消費され、その含浸量が減少して印字する
のに不足な状態になった場合、インク補給体12の弾性多
孔質体15、中芯13及びカバー14をカセットケース１から
取り外して廃棄し、別異の新しいインク補給体12の、イ
ンクが充満した弾性多孔質体15、中芯13及びカバー14を
前記と同様の状態にカセットケース１に対し付け替える
ようになしている。

（作用及び効果） 本考案は叙上のように、インク補給体のインクが消費
されて不足するようになった場合に、インク補給体を付
け替えできるので、インクリボンの基布の寿命がつきる
までインク補給体を次々に交替しながら使用し続けるこ
とができ、従来の交替不能なインク補給体を装備したイ
ンクリボンカセットに比べ、格段に寿命が延びるもので
ある。また、インク補給体にカセットケース外部からイ
ンクを補給するタイプのもののように、弾性多孔質体に
目詰まりが生じたり、印字にムラが生じる等の弊害がな
く、またインクを補給する作業に比べインク補給体の交
替作業の方が簡便で使い勝手が良いという利点がある。

また、本願考案は特に、転写ローラの中心軸の両端を
カセットケースのケース本体と蓋体とにそれぞれその中
心軸の直径より少なくとも長径の方が長くなるように設
けた長孔に挿入して支持することにより当該転写ローラ
を僅かに移動可能となしたので、インク補給体の交換時
に転写ローラを離すことができて、インク補給体の交換
作業をしやすいという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は蓋体を外してカセットケース内部を露出した状
態の平面図、第２図はインク補給体の斜視図、第３図は
蓋体を付けた状態の平面図、第４図は第３図Ａ−Ａ線の
部分断面図である。 １……カセットケース、２……リボン、４……転写ロー
ラ、10……基軸、11……窓孔、12……インク補給体、13
……中芯、14……カバー、15……弾性多孔質体。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンドレスリボン２に転写ローラ４を介し
   てインク補給体12からインクを補給可能としたインクリ
   ボンカセットにおいて、カセットケース１内における底
   面上の転写ローラ４の近傍に基軸10を突設すると共に該
   基軸10の上方位置の天面に窓孔11を穿設し、一方、イン
   クを含浸して前記転写ローラ４と周側面を接触させる円
   盤状の弾性多孔質体15と、該弾性多孔質体15の中心部に
   取付けられて前記基軸10に回転自在に嵌着し且つ基軸10
   から抜脱可能な中芯13と、弾性多孔質体15を覆って前記
   窓孔11に蓋をするようにカセットケース１の天面に嵌着
   し且つ同所から取り外し可能なカバー14とを有するイン
   ク補給体12を構成し、弾性多孔質体15に含浸されたイン
   クが消費されて不足状態になったときに、前記のカバー
   14を外し且つ弾性多孔質体15と中芯13を窓孔11から取出
   してこれらを廃棄し、代わりに別異の新しいインク補給
   体12の弾性多孔質体15、中芯13及びカバー14をカセット
   ケース１に対し付け替えするようになし、また、転写ロ
   ーラ４の中心軸4aの両端をカセットケース１のケース本
   体1aと蓋体1bとにそれぞれその中心軸4aの直径より少な
   くとも長径の方が長くなるように設けた長孔1fに挿入し
   て支持することにより当該転写ローラ４を僅かに移動可
   能としたことを特徴とするインクリボンカセット。