JP3034113B2 - 繊維機械用摺動部材 - Google Patents

繊維機械用摺動部材

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JP3034113B2
JP3034113B2 JP4013924A JP1392492A JP3034113B2 JP 3034113 B2 JP3034113 B2 JP 3034113B2 JP 4013924 A JP4013924 A JP 4013924A JP 1392492 A JP1392492 A JP 1392492A JP 3034113 B2 JP3034113 B2 JP 3034113B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成繊維糸、天然繊維
糸等を取り扱う繊維機械において、これらの繊維を案内
するために使用される糸ガイドやローラー等の摺動部材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、繊維機械における巻取り装置
や、各種装置内で走行糸を案内するために糸ガイドやロ
ーラー等が使用されている。また、これら糸ガイドやロ
ーラー等の走行糸との接触面は摺動摩擦状態下にあるこ
とから、硬質で耐摩耗性に優れること、低摩擦係数を有
すること、毛羽発生や白粉発生がないこと、および接糸
部表面が滑らかで均一なことが要求されている。
【0003】従来これらのことを考慮し、繊維機械用摺
動部材としては、アルミナ等のセラミックス(特公昭5
2−48647号公報等参照)、または金属表面に硬質
クロ−ムメッキやセラミックコ−ティングしたもの(特
公昭58−12184号公報等参照)等を使用している
が、特にアルミナセラミックスは、比較的安価であり、
硬質で耐摩耗性に優れることから、多く使用されてい
る。さらに、アルミナセラミックスに対して酸エッチン
グや焼鈍処理を行い、丸味を帯びた結晶粒とし、走行糸
との接触面積を小さくすることで、低摩擦係数としたも
のもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来より繊
維機械用摺動部材として多く使用されているアルミナセ
ラミックスでは、接糸部表面を滑らかで均一な面にする
と、摩擦係数が高くなるという問題点があった。また、
接糸部表面に角ばった部分が存在すると、アルミナセラ
ミックスが硬質であるため走行糸とのなじみが悪く、糸
切れや糸の品質不良が多くなるという不都合があった。
【0005】これに対し、アルミナセラミックスに酸エ
ッチングや焼鈍処理を行ったものは、摩擦係数は低いも
のの、接糸部表面が滑らかで均一な面にならず、しかも
処理工程が入ることから製造工程が複雑になりコストが
高くなるという問題点があった。
【0006】また、金属表面に硬質クロ−ムメッキした
ものは、低摩擦係数を有するが、耐摩耗性の点で劣り、
一方金属表面にセラミックコ−ティングしたものは、耐
摩耗性には優れるが、金属表面形状の調整やコ−ティン
グしたセラミックスの表面仕上げ等の問題があり、低摩
擦係数を保持できないものであった。しかも、硬質クロ
−ムメッキやセラミックコ−ティングを施したものは、
製造工程が複雑になりコストが高くなるという問題点が
あった。
【0007】
【発明の目的】そこで本発明は、低摩擦係数を有し、接
糸部表面が滑らかで均一であり、糸とのなじみの良い糸
ガイドやローラー等の繊維機械用摺動部材を安価に提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、TiO2
0〜90モル%とBaO50〜10モル%から成る主成
分100重量部に対して、Al、Si、Fe、Zr、N
b、Ca、およびSrから選ばれる少なくとも一種の金
属酸化物を0.01〜2.50重量部含有する焼結体、
またはTiO2 50〜80モル%とCaO50〜20モ
ル%から成る主成分100重量部に対して、Al、S
i、Fe、Zr、Nb、Mg、およびSrから選ばれる
少なくとも一種の金属酸化物を0.01〜12.00重
量部含有する焼結体から成り、表面の中心線平均粗さ
(Ra)を0.01〜0.50μmとして繊維機械用摺
動部材を構成したものである。
【0009】上記組成範囲からなる焼結体は、表面が滑
らかで均一な面が得られるとともに、従来使用されてい
るアルミナセラミックスと比較して軟質であり、研磨加
工時に大きな脱粒が発生しないため、焼結体表面の凹凸
が少なく、糸とのなじみも良い。また、焼結体表面に大
きな脱粒は発生しないが、微小な脱粒が均一に発生して
いるため、走行糸との接触面積が小さく、低摩擦係数を
有する。しかも、製造方法が簡単であるため安価に製造
できる。
【0010】また、本発明の摺動部材において、主成分
の組成をTiO2 50〜90モル%とBaO50〜10
モル%、またはTiO2 50〜80モル%とCaO50
〜20モル%としたのは、この範囲外になると焼結性が
悪くなり完全な焼結体を得にくいためである。さらに、
副成分である、Al、Si、Fe、Zr、Nb、Ca、
およびSrから選ばれる少なくとも一種の金属酸化物
は、一部が焼結助剤として作用するものであり、その含
有量が上記範囲外になると、焼結性が悪くなってしま
う。また、これらの金属酸化物は、添加してもよいが、
予め主成分の原料中に含まれていたり、製造工程中で混
入するものである。
【0011】さらに、本発明の摺動部材において、焼結
体の平均結晶粒径は、TiO2 −BaO系の場合で1.
4〜2.0μm、TiO2 −CaO系の場合で1.6〜
2.2μmの範囲のものが優れている。また、表面の中
心線平均粗さ(Ra)は、0.50μm以下の範囲のも
のが良い。これは、中心線平均粗さ(Ra)が0.50
μm以上と粗い場合は、糸切れなどが発生しやすくなる
ためである。ただし中心線平均粗さ(Ra)を0.01
μm以下とすることは困難であるから、通常0,01〜
0.50μmの範囲とすれば良い。
【0012】なお、本発明の繊維機械用摺動部材は、上
記原料を所定形状に成形し、大気中1180〜1300
℃で焼成した後、得られた焼結体の表面を研磨すること
により、容易に製造することができる。
【0013】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
【0014】実施例1 チタニア(TiO2 )源としてルチル型酸化チタン粉末
を、酸化バリウム(BaO)源として炭酸バリウム粉末
をそれぞれ用いて、これらの主成分および添加物を表1
に示す割合で調合した。また、チタニア(TiO2 )源
としてルチル型酸化チタン粉末を、酸化カルシウム(C
aO)源として炭酸カルシウム粉末をそれぞれ用いて、
これらの主成分および添加物を表2に示す割合で調合し
た。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】これらの原料粉末をボ−ルミルで湿式混合
した後、脱水、乾燥させ、乾燥後の原料を1000〜1
300℃で20〜120分間仮焼し、この仮焼後の原料
を再度ボ−ルミルを用いて湿式粉砕して、表1、2表の
ような粉砕粒度となるようにした。これにバインダ−を
加え造粒を行った後、1.3ton/cm2 の圧力で成
形し、1180〜1300℃の大気中で焼成した。
【0018】得られた各焼結体をX線回折測定した結
果、表1の原料を用いたものではBaTi4 9 が、表
2の原料を用いたものではCaTiO3 とTiO2 が検
出された。また、得られた磁器に対して、平均結晶粒
径、見掛け比重、ビッカ−ス硬度、3点曲げ強度を測定
した。なお、平均結晶粒径は、得られた焼結体を鏡面研
磨後、エッチングし、1500倍の走査電子顕微鏡写真
を撮り、この写真上に任意に8cmの直線を3本引き、
この線上にある結晶粒の数をNとして、 平均結晶粒径(μm)=80×3÷1500÷N により算出した。
【0019】これらの結果を表3に示すように、焼成温
度の低い試料No.1、4は、見掛け比重が低く、完全
な焼結体となっていないため、硬度、強度ともに劣って
いる。それに対して、焼成温度を上げた試料No.2、
3、5、6は、見掛け比重、硬度、強度ともに、ほぼピ
−ク値を示しており、完全な焼結体となっている。しか
し、試料No.6については、結晶の異常粒成長が発生
しており、この異常粒が多くなると強度劣化が起こるこ
とから、試料No.2、5の焼成温度で焼成することが
望ましい。
【0020】
【表3】
【0021】次に、上記表3の試料No.1〜6につい
て、焼肌面、センタレス研磨後の面、センタレス研磨+
バレル研磨後の面、バレル研磨後の面について、それぞ
れ中心線平均粗さ(Ra)と摩擦係数を測定した。結果
は表4に示す通りである。
【0022】まず、各試料とも焼肌面では、焼結体表面
の凹凸があるため摩擦係数は低いが、その分表面粗さ
(Ra)が0.5μm以上と大きいため、毛羽や白粉が
発生しやすく、糸の品質を低下させるものであった。こ
れに対して、センタレス研磨やバレル研磨等の表面研磨
を行うと、焼結体表面の凹凸がつぶれて表面粗さ(R
a)は小さくなり、毛羽や白粉の発生を防止できるとと
もに、摩擦係数も充分低くできる。ここで、表面粗さ
(Ra)が小さくても摩擦係数が低い理由は、表面研磨
後に微小な脱粒が均一に発生しているため、走行糸との
接触面積が小さくなるためである。
【0023】以上の通り、本発明の組成範囲の焼結体に
対し、センタレス研磨やバレル研磨等の表面研磨を施し
て、表面粗さ(Ra)を0.5μm以下とすることによ
り、繊維機械用摺動部材として好適に用いることができ
る。
【0024】
【表4】
【0025】実施例2 次に、従来より使用されているアルミナセラミックスか
らなる摺動部材と、本発明の摺動部材を比較する実験を
行った。比較例として二種類のアルミナ原料と、本発明
実施例として表1(TiO2 −BaO系)、表2(Ti
2 −CaO系)に示した原料を用いて同一形状のロー
ラーを成形し、その成形体を完全な焼結体となるまで焼
成した。得られたそれぞれの焼結体を回転バレルにメデ
ィアと同時に投入し、12〜24時間研磨した。その
後、接糸部表面をダイヤモンドパウダ−で磨き、中心線
平均粗さ(Ra)を0.1μmとした。
【0026】それぞれのロ−ラ−について、表5に示す
測定条件で摩擦係数の測定を行った。結果は表6に示す
通り、比較例に比べ、本発明実施例は摩擦係数が低く、
繊維機械用摺動部材として優れていることが確認でき
た。
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【発明の効果】このように本発明によれば、TiO2
0〜90モル%とBaO50〜10モル%を主成分とす
る焼結体、またはTiO2 50〜80モル%とCaO5
0〜20モル%を主成分とする焼結体から成り、表面の
中心線平均粗さ(Ra)を0.01〜0.50μmとし
て繊維機械用摺動部材を構成したことによって、糸との
摩擦係数が低く、表面が滑らかで均一であり、糸とのな
じみが良い繊維機械用摺動部材を安価に提供することが
できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】TiO2 50〜90モル%とBaO50〜
    10モル%を主成分とする焼結体、またはTiO2 50
    〜80モル%とCaO50〜20モル%を主成分とする
    焼結体から成り、表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.
    50μm以下であることを特徴とする繊維機械用摺動部
    材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101554843B1 (ko) * 2015-03-19 2015-09-21 윤미경 귀걸이의 제조방법

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KR101554843B1 (ko) * 2015-03-19 2015-09-21 윤미경 귀걸이의 제조방법

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